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監督: 山下敦弘 出演: 妻夫木聡 、松山ケンイチ 、忽那汐里 、石橋杏奈 、韓英恵続きはこちら。<お知らせ>このブログは、ミラーブログです。2011年4月19日以降、トラックバックが入らなくなります。コメント・トラックバックはgooブログの方にお願いします。
2011.06.03
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監督: 大森立嗣 出演: 瑛太 、松田龍平 、片岡礼子 、鈴木杏 、本上まなみ試写会場 : ニッショーホール公式サイトはこちら。先週試写で鑑賞してましたが書くのが遅くなっちゃいました。・・・・続きはこちら。<お知らせ>このブログは、ミラーブログです。2011年4月19日以降、トラックバックが入らなくなります。コメント・トラックバックはgooブログの方にお願いします。
2011.04.14
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先日、知り合いが「これいいよ!」ってお勧めしてくれたプロジェクト。 T・ジョイ系にて3月5日(土)~11日(金)の1週間限定公開でしたんで、この日しかない!ってピンポイントでブルク13に行って来ました。【PROJECT A】若手アニメーター育成プロジェクト 公式サイトはこちら。精鋭アニメ会社が、若手アニメーターと組んで作った作品の中から選ばれし4作品・・・ということだそうです。このblogをよく読んでくださっている方ならお分かりだと思うんですが、実は自分はアニメはどっちかっていうと苦手科目(苦笑)なので、最初は知り合いの話を、ふーんって感じで聞いてたんだけど、公式HPを見る感じだと、この中で、『おぢいさんのランプ』、これがどうにも私のツボに来そうなヨカンがしてしまいましてねえ・・・。これをメインに鑑賞して4本、1,000円ならお得なんじゃないか? という感覚で行きました。『キズナ一撃』監督・脚本:本郷みつるアニメーション制作:アセンションページはこちら。戦うキズナちゃんと、そうでない萌えなキズナちゃんとの落差が面白かった。やたら強い女子キャラというと真っ先に思い浮かぶのはアラレちゃん(!)なんだけど、それと比べるとインパクトはちょっと薄めだったかな。TVアニメの形式を思い出させてくれる感じで、続編来週もありそうな雰囲気なのには笑ってしまいます。★★★ 3/5点『おぢいさんのランプ』原作:新美南吉監督:滝口禎一キャラクターデザイン・作画監督:高須美野子アニメーション制作:テレコム・アニメーションフィルムページはこちら。これが今回一番楽しみな作品でして、そしてそれは間違ってなかったですね。まず絵が好き。 繊細で精密でそれでいて絵心があるという感じです。原作も新見南吉ということで親しみのある本作、どのように仕上げたのかというのも気になりました。電気が通ったことによって商売のランプ屋が傾く焦り、巳之助が自己を守ろうとするあまりについた嘘、そして、諦めの末に自分自身で決着をつけていく様が、どこか最後まで未練があれども潔い。その未練を断ち切るかのようなラストには、うまくいかなくて苦悩する人間が、それまでの一切のよもやまを捨て去って、前に進んでいく行くようなイメージも重なる。★★★★★ 5/5点『万能野菜ニンニンマン』監督・キャラクターデザイン:吉原正行アニメーション制作:P.A.worksページはこちら。これはどっちかというとお子さま向けなんでしょうかね。 テーマといいキャラといい。ですが・・・。私、これ、ラスト10分くらい落ちてしまいました。 もう眠気には勝てず。なので気がついたらエンディングテーマ、ほんとにすみません。なのでオチがわからず、点数はなしにします。『たんすわらし。』監督・原案:黄瀬和哉キャラクター原案:ヒラタリョウキャラクターデザイン・作画監督:末吉裕一郎アニメーション制作:Production I.Gページはこちら。独り暮らしで毎日を何となく送るOL・のえるのもとに実家から届いたたんすの中身。そこから出てきたのは、彼女を守ろうとする「わらし」たち。あくまでものえるを「刃自さま」という位置づけで見守ってあげる存在のわらしたちは、女系家族の伝承をも思い起こさせる。そこに、のえる自身の人間としての成長を折り込んでいく設定がいい。★★★★★ 5/5点入場者アンケートを出してくるのを忘れてしまったんですが、もっと続けてほしいですね。アニメーションのクオリティも全体的に高かったと思いました。
2011.03.09
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原作: 西原理恵子監督: 小林聖太郎出演: 小泉今日子 、永瀬正敏 、矢部光祐 、小西舞優 、正司照枝試写会場: スペースFS汐留公式サイトはこちら。トークショーつき女性限定試写会に行って来ました。上映終了後に、小宮山洋子厚生労働副大臣、北斗晶さん(本作出演)、そして原作者の西原理恵子さんの3名がゲストでお見えになりました。西原理恵子さん関係の映画を観るのは4本目です。 『女の子ものがたり』 『パーマネント野ばら』 これらは彼女の高知時代の話がベースです。 そして、直近の 『酔いがさめたら、うちに帰ろう。』、 これは『毎日かあさん』と同じく 鴨志田さんとのことを描いてます。 西原さんが一言ずつ面白いんですよね。 で、 「東のお母さんってすごい真面目なんですよね。 『こんなことしたら子どもに悪いんじゃないのか』とかって真剣に考えちゃう。そう言う所は 西のお母さんってすごいアバウトというか、てきとーというか。 私もそのノリなんですけどね。 だって『今日、私離婚したんですよー』って言ったら、 『そりゃーアンタ、よかったなあ』って言われちゃって(笑) 関西のオバちゃんの返しは奥が深いです。」 なんて言うもんだから。 とにかく彼女の感覚としては、「金があってよかったなあー」ということで、 鴨志田さんが亡くなった時にも、人としてちゃんと送りだすにも お金が必要だった、だからその時感じたのはお金があってよかったってことで、 そのためにも、女性は仕事をしなさいってことをお話しされてました。 「『毎日かあさん』が、私の感覚に一番近かったような気がする。だけど、映画というのは別のメディアなので、私の手を離れたら、どういう風になろうと関知しないことにしてます。」とも仰せでした。マンガなども時々拝読させていただいてますけど、もともとお子さんの描写が多い。 本作も、お子さんに割く時間が多かったり、また描写自体もじっくりしていました。『酔いがさめたら、うちに帰ろう。』が、鴨志田さんの闘病に重きを置いていたのに対して、『毎日かあさん』はどちらかと言いますと、西原さんの母親としての視点がポイントになっています。あとの2人のゲストは、出演してた北斗晶さん。 彼女もワーキングマザーとしての「どすこい母ちゃん」的な目線での話、 そしてもう1人の、小宮山洋子厚生労働副大臣も、 「そのためにも女性が働きやすい社会にしたい」と仰せでした。 (ちゃんと実現させて下さいね)児童虐待防止キャンペーンとタイアップということで、今回小宮山大臣がゲストにいらした模様。こういうタイアップならどんどんやっていただきたい。さて映画ですが、永瀬正敏・小泉今日子という、「元夫婦」が主役というのも、本作はなかなかの話題です。 よく承知したなーと。 公開時期が続いてしまったということで、やはりどうしても 『酔いがさめたら、うちに帰ろう。』との比較になってしまうのですが、この2つの映画の夫婦役、浅野忠信・永作博美&永瀬正敏・小泉今日子の俳優陣が似た雰囲気なんですよね。外観だけじゃなくて演技のスタイルもどことなくなのですが。なので、どちらか片方だけ鑑賞する分にはいいんですが、両方観てしまうと、どっちがどうとも言いにくい部分があります。特に鴨志田さんを演じたお2人に関しては、それぞれ「なりきる」意気込みが伝わってきていますので。もちろん西原さん役に関しても、小泉さん永作さんともに雰囲気作りをきちんとされています。映画のスタンスもすごくかけ離れている訳ではないので、余計にそう感じてしまう。ですので、映画自体のポイントがどこにあるのか、そこが分かれ目のようにも思いました。『酔いが・・・』は鴨志田さんの入院生活、そして本作は西原さんの子育てです。西原さんのワールドは確かに、普通の人生では体験できないことが 一気に凝縮して来てしまった彼女の人生そのもので、 またそのどこを切ってもドラマティックなわけですよ。 幼少期からしてありえないでしょー? て思うんですけど、 そこを少しづつマンガに書いていくうちに、それ面白い、書籍とか映画にしようという話に なって行ったんじゃないかと思います。 そして鴨志田さんとの生活もまさにジェットコースターであり、 渦中にいる時は壮絶であったとしても、それが終わってみると 遠隔で眺めることができるくらい、彼女にとっては「俯瞰している」感覚になるのでしょう。 どちらにも共通することですが、そこにお2人の仕事が絡んでくるということです。マンガと写真。そこに普段の生活を写し出すことによってワンクッションができ、逆に生活そのものを俯瞰できるようになる。この作り方は個人的にはすごく好きです。本作の最後の、鴨ちゃんの写真の場面や、『酔いが・・』の海の場面など、日常をべったりということではなく、それをどこか突き放して見る目線があるからこそお話自体が生きてくるように感じます。西原さんご自身のお話を少し伺ってみて、あくまでも自分に起きたことではなく、1つ離して眺めているスタンスを感じ取りまして、ご職業柄そうでないといけないのだろうなとも思いました。そしてそのポリシーを忠実に表現していた小泉さんにも好感も持てます。壮絶な人生だった鴨志田さんとの生活のもう1つの柱として、子どもたちの成長をユーモラスに折り込んで、和らげる役割もきちんと置いており、バランスが取れた作品となっているように感じました。今日の評価 : ★★★☆ 3.5/5点
2011.01.26
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監督・出演(声): FROGMAN 出演(声): 松崎しげる 、国広富之 、 神田うの鑑賞劇場 : TOHOシネマズ川崎公式サイトはこちら。ぼーっとしてたら、この映画が限定劇場で1週間限定公開(1月22日~28日)、しかも料金が無料という、一体それは何? 的な作品だってわかったので、川崎ついでに観ることにしました。何でこのように無料鑑賞ができるのかと言いますと、TOYOTAハイブリッドとのタイアップだから。窓口で「トヨタ店のハイブリッド1枚」って言うと鑑賞料金が無料でした(笑)登場する刑事(デカ)が全部兼務(笑)というか、そこがハイブリッド! という、なるほどFROGMAN的なオチに苦笑。ですけど、単純に面白いよ。このくだらないネタに公務員改革だとかをマジで絡めてるって。そして、聞いた瞬間に一発でわかる神田うのの声だとか、今さらトミーとマツだとか、かなりウケました。私も、ブッ飛ばしてえ・・・ って若干思わなくもなかったから!?あ、そうだ、それと個人的に一番印象に残ったのはエンドロールの曲!これ~、知ってる人はトシがバレるけど(爆)タイアップはタイアップでも、TV局と映画が滑った転んだってじゃんじゃかやってるのは嫌いな自分ですが(!)、こういう、純粋にお客さんに喜んでもらおうというためのタイアップは大歓迎です。こういうタイアップですと企業の印象もよくなりますね。ふむふむ、ハイブリッドカーとはそういうものなのか! と、映画のなかでもきちんと丁寧に紹介されてますので、好感持てます。今後、映画も企業もイメージアップする形のサービスを兼ね備えたタイアップの一例として、モデルになるケースだと感じました。今日の評価 : ★★★★ 4/5点
2011.01.24
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監督: 星護出演: 草なぎ剛 、竹内結子 、谷原章介 、吉瀬美智子 、陰山泰 、大杉漣ワーナーマイカル全国一斉試写会にて鑑賞公式サイトはこちら。SF作家である、眉村卓氏の実話をもとにした作品です。 2002年に癌で亡くなった奥様に、1日1篇の小説を書く。 それを続けていたそうです。設定は30代の夫婦ということにして、剛くん&竹内さんが演じてます。 映画館での予告のフィルムもとっても素敵でしたんで、これはもともと観る予定でした。その2人の姿ももちろんよいのですが、 この映画での見せどころ、それは、朔太郎の作品を映画にする部分。 これは眉村作品を読まれた方ならおわかりかとは思いますが、 氏のショート・ショートの世界や文体というものを、的確に表現している映像だと思います。 突然始まって突然終わる(笑)という印象が強く、その中に時折見せる ヒューマンテイスト、かな。 ずいぶん昔に読んだのでそんな思い出しかないのですが・・・。 しかもSFですからね。 その世界を工夫して映像化している。 ここは評価されるべき点だと思います。 特に、竹内さんの電話ですね。あれは竹内さんの魅力とも相まって素晴らしかった。眉村ワールド×竹内結子のコラボですね。昔読んだ作品を読みたくなって書店に行ったんですが、今はもうほとんど絶版。 オークションや古書店を回るしかなさそうです(涙)でも行ってみようかな。病気ものということは言わなくてもわかりますので、 泣きを取りに来るか・・・? と思ってたんですけど、 取りに来るというよりも、自然に泣きに引き寄せられると言った方が正確かもしれません。 大げさではなく、感情を乱す訳でもなく、あくまで淡々と、日々ショート・ショートを書くことに 専念する朔太郎。 しかしながらその動機が 「妻を笑わせて、癌細胞がなくなるくらい免疫力を高めてあげたいから」。 突然癌を宣告されてしまった節子のために、何かしてあげられることはないだろうか。 僕に何ができるだろうか。 実直な朔太郎にできるせめてものこと、それは書くことしかないのではないだろうか。 毎日1つづつオリジナルの作品を生み続けよう、そう決めても、 それをしていくことの何と困難なことだろう。 毎日自分のテンションだって違う、しかも最愛の妻の死を見透かしながら 書かなければならない辛さを、どこにしまえばいいのか。 節子も朔太郎も、もっともっと一緒にいたかったのに。 その想いを敢えて前面に出さずに、お互いが小説を通じて笑い合う日々は、 素敵だなと思います。 しかしその穏やかな表情が崩れるシーンも時折ある。本気で相手のことを想っているんだ、という時ですよね。普段は夢見がちで、SFのこと、空想のこと、小説のことしか考えてない朔太郎であっても、節子がいなくなると考えたらもう、他に何もなくてもいいからとにかく節子が助かって欲しいという気持ちしかなくなる。それ故の彼の行動には胸を打たれます。逆に節子は淡々としてます。それもまた、朔太郎に余計な心労をかけまいとする彼女の心遣いなんだとは思うけどね。自分の本心を抑えて抑えて、朔太郎じゃない人に打ち明けてみたり。気持ちはわかるけど、夫婦でしかわかちあえないこともある訳だから・・・ ってついつい考えてしまうんですが、そこをベタベタにしないところが本作のいいところなのかもしれません。(敢えて言えば、竹内さんがいささかお元気そうにみえてしまうのは 仕方ないんですかね・・・?)1日1篇、といってもエッセイではなく小説。 だから必ずオチがある。 とは言ってもそこはやはり氏も人間であり、最愛の妻が苦しんでいるのを目の当たりにしては、 心の平静も保てないのも当然のこと。 当然、状況だって違ってきます。最初は共に小説を読んで笑い合ってた節子が、だんだん変化していく。ゆっくりと確実に死に向かっていく事実があります。それは、日を追って小説の内容が変化していくことによって読み取ることが 可能である。 朔太郎が小説を書こうと思った1日目の作品と、 そして最後の1778日目の作品と。 そこに流れているドラマを、じっくりと、その余韻まで味わえる、秀作だったと思います。 今日の評価 : ★★★★ 4/5点
2011.01.13
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監督 : 森田芳光 原作 : 磯田道史 出演 : 堺雅人 、 仲間由紀恵 、 松坂慶子 、 西村雅彦 、 草笛光子 、 中村雅俊 試写会場 : 有楽町朝日ホール公式サイトはこちら。<Story>古本屋で偶然見つけられた、ある古文書。それは、武士の手で精密に綴られた家計簿だった。鮮やかによみがえる下級武士の暮らしぶり。幕末から明治へ、世の中の秩序も価値観も大きく変わっていく時代、代々加賀藩の御算用者(経理係)として仕えた猪山家の跡取り息子として、猪山直之(堺雅人)は家業のそろばんの腕を磨き、才能を買われて出世する。しかし、当時の武家の慣習によって出世する度に出費が増え続け、ついには家計が窮地にあることを知った直之は、ある“家計立て直し計画”を宣言する。それは、家財を売り払い、家族全員で質素倹約して膨大な借金の返済に充てることだった。体面を重んじる武士の世にあって、世間の嘲笑を浴びながらも、知恵と工夫で日々の暮らしを前向きに乗り越えようとする猪山家の人々。見栄や世間体を捨てても直之が守りたかったもの、そしてわが子に伝えようとした思いとは…。武士の家計簿 - goo 映画<感想>久々に自力で当ててました。 というか最近は応募をほとんどしなかったんで、ネットで当たるのはほんと珍しくて。これも東京国際映画祭で特別招待作品でした。 舞台挨拶チケットは即完売でしたね。 堺さんがもともと好きな俳優さんなんで楽しみにしてました。原作は、磯田道史氏による教養書「武士の家計簿 『加賀藩御算用者』の幕末維新」です。ここからイマジネーションを膨らませて脚本化したのでしょうね。武士の体面を保つためにかかる費用。 そんなに大事なんでしょうか? とも今に暮らす私たちは思うのですが、当時は武家の存続にも関わることでした。武家が破産すると「長屋送り」になるというのも初めて知りましたし。家督関係の費用、自分たちが仕える大名との関係で生じる費用、交際費的なものが多かったんだと思いますが、今からすればすごく無駄が多い。それに追随して、家族のそれぞれが「体面を保つ」という名目で使う費用は、完全に無駄というか、ただの贅沢に過ぎないのに、それこそが全てと思う世界。 今じゃ笑い話ですが当時は真剣でした。その猪山家の「無駄な出費」廃止に着手する直之。彼の行動は周囲には奇妙に思われたり、習慣とは違うと横やりを入れられたりしますが、それには一切取り合わないで断行していく。武士が家財を売り払うなど当時は言語道断だったと思います。家族の無駄な習慣を洗い出していくシーンは面白いですね。そして、貧困ではあるけどそれを恥としないで生きることを身を持って示した直之の姿勢ですよね。ユーモラスかつ合理的な発想は、今の時代にも見習うべき点があります。消費して飾ることだけが生きる道ではない、ということです。そんな直之に仕える妻のお駒。控えめで美しく気が効いて夫を立てる。すごい、昔の武士の妻の鏡ですね。そのお駒も、直之が一粒種の直吉(後の成之)に行う厳しい指導に断固として立ち向かう姿などは、やっぱり母親なんだなあと思います。直之が成之に行う教育、これは猪山家が御算用者として代々生きてきた家柄であることを思っても、ただ単に「お家芸」を仕込むものではなかった。直之はそこに、自分たちがやって来てしまった失敗を子どもたちにはさせたくないという願いを込めたのではないだろうか。武士の体面だけ保てばいい、無難に務めて適当に楽しめばいい、あとはどうにかなるだろう。それではいけないと直之は成之に伝えたかったのではないだろうか。親が言ういいつけを、子どもながらにご無体と思いながらも、実はその記憶や、口伝されたことが全て、成之の身を助けている訳である。それがなかったらとうの昔に、成之は維新の陰の犠牲者となって露と消えたかもしれないと考えた時、「芸は身を助く」という言葉の真の意味が沁みてくる。成長した成之役の俳優さんに見覚えがあったので調べたら、『ぼくはうみがみたくなりました』に出てきた伊藤祐輝さんでした。今回の成之役は、かなり演技力を必要とされていて、『ぼくうみ』でも見せてくれた彼の実力が、ここでも発揮されてたことが何だか嬉しいです。こういう難しい役ができる力量があるんだなーと感じました。堺さんは老年期に差し掛かった時の表情とかが、やっぱり相変わらずうまいなと。仲間さんも女の一代記を演じ切ったというか、老境になっても違和感がなかったです。両親役の中村雅俊さん・松坂慶子さんもうまい。草笛さんはさすがベテランの味、西村さんもとぼけててよかったですね。少々詰め込んだ感もなくもなかったですが、1つの家に代々伝わることの大切さ、そして受け継いでいくことの重みや尊さ、親子の情愛などが伝わってきた作品です。ラストに出てくる、一族の顛末の説明文なども、彼らが遺した証として貴重なものだと思いました。今日の評価 : ★★★★ 4/5点
2010.11.16
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監督 : 下村優 出演 : 浅利陽介 、 大塚ちひろ 、 村田雄浩 、 川上麻衣子 、 近藤里沙 、 根岸季衣 、 熊谷真実 、 夏八木勲 鑑賞劇場 : ヒューマントラストシネマ有楽町公式サイトはこちら。<Story>19歳の剛(浅利陽介)は知人の死をきっかけに、盲導犬訓練士学校に入学し、准訓練士となる。初めて担当する盲導犬はラブラドール・レトリバーのチエ。パピーウォーカーの長谷川家での生活を終え、訓練センターに戻って来たのだった。しかし、チエは長谷川家の長女で10歳の美羽(近藤里沙)のことが忘れられない。美羽に相談に行くと、「それは、私がチエを好きなったから」。その言葉で、剛は、犬に愛情を感じていない自分に気がつくのだった。パートナーズ - goo 映画<感想>関係者の方から劇場鑑賞券をいただいたので、観てきました。自分ではたぶん選ばない作品なので、ちょうどいい機会でした。(どちらかというと、動物ものの映画は苦手なので。。。)わんこものの映画ですと、『クイール』『きな子』は鑑賞しています。『クイール』が、盲導犬の一生をざっとなぞったのに対して、本作は盲導犬が誕生して活躍するまでの過程と、その周辺に関わる出来事を中心に描いています。簡単に言うと、・誕生 → パピーウォーカー宅へ。・パピーウォーカー宅を出る → 盲導犬訓練センターへ。・目の不自由な方(盲導犬ユーザー)とマッチングした場合、盲導犬として活躍する。・10歳(人間で言うと60歳くらい)くらいになると引退して余生を送る。のが盲導犬の生涯です。上のあらすじの中には出てないですが、もう1人、真琴(大塚ちひろ)がこの話に深く関わっています。これ、文科省推薦の映画なのですよね・・・。なので当然として観ていて安心できる結末になっています。そして剛と美羽とちひろが別立てでストーリーが出てきても、結びついてしまうかなというのがわかってしまいます。それは経緯から言って仕方ないと言えばそうなのですが。で、おおよそ展開などがわかってしまう。真琴自体がもともととてもスレた感じなんですね。盲導犬ユーザーになってからも、自分とチエの安全よりも体裁を優先してしまったことが悲劇につながる・・・というのも、何となく共感ができにくいポイントでした。彼女と熊谷さんはとてもよく似ていたので、母と娘役に持ってきたのはいいと思います。川上麻衣子さんもなつかしい~。美羽役の近藤里沙ちゃんはとても上手だったと思いますね。あと夏八木勲さんの、ベテランの引き締めもよかったです。主役の浅利くんは、劇団東俳生え抜きキャリアの持ち主で、実直な剛役を丁寧に演じていました。この映画に出てくるエピソード自体は、実際にあったことを映画のヒントに持っていているんだろうなという感じがします。根岸季衣さんの吐露する本音とか、パピーウォーカーの気持ち、処分される犬たちの話など。ダンカンが出る場面のことなども、実際にありそうな話ですね。 哀しいですが。ただ、そのあたりが少々盛りだくさん過ぎた感じがありました。大切なことなのですが、登場人物が多い分、話を絞り込んだ方が、シンプルでよかったようにも感じます。**********************************今日の評価 : ★★☆ 2.5/5点
2010.11.07
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監督・脚本 : 日向朝子 原作 : 八木沢里志 出演 : 菊池亜希子 、 内藤剛志 、 田中麗奈 、 奥村知史 、 きたろう 、 松尾敏伸 、 吉沢悠 、 岩松了 鑑賞劇場 : シネセゾン渋谷公式サイトはこちら。<Story>失恋の痛手から会社を辞め、ひたすら眠って毎日をやり過ごしていた貴子(菊池亜希子)は、神保町で古書専門の森崎書店を経営する叔父のサトル(内藤剛志)に誘われ、小さな書店の2階で暮らし始める。ふさぎ込みがちな自分を何くれとなく気遣い励ましてくれるサトルやユニークな常連客、近所の喫茶店で働くトモコ(田中麗奈)らと触れ合ううちに、生まれて初めて貴子は本の世界に引き込まれてゆく。そして、最低最悪の失恋に決着をつける時がやってくる。森崎書店の日々 - goo 映画<感想>『ふたたび』の試写のあとに行ってしまいました。時間遅くなったけど・・・上映館が少ないので、観れる時に観ておかないとまた逃してしまうのです。本が好き。 で、神保町も馴染みがあるので、これは絶対に外せません!この映像の感じが、とても神保町っていう街に似合ってました。落ち着いた色調で、まさに古書店街でのお話という感じがします。そしてこれは、自分の人生に迷い込んでしまった女性が、自分を取り戻していくお話です。期せずして辛い扱いを受けてしまう。 しかも、自分が好きだった人に。それは本当に耐えがたいと思うんです。それが本を通じて、いろいろな世界と触れ合って、貴子は癒されていきます。このように表現すると、ではまるでこの話はまるまる夢物語のようなのか? とも思えるかもしれませんが、決してそうではなく、むしろ貴子は現実の心の痛みと闘って行きます。恋人が突然去って行った後の、心の、身体の空洞を埋める痛み。そして心の傷をさらけ出して、対決しようとする痛み。全部貴子は抱えながらも、どうしていいか分からずにいたところを、叔父のサトルに背中を押されます。必ずしも納得がいく結果でなくてもいい、それが前進するきっかけになるのなら。しかし、その一歩を踏み出すことがどれほど勇気がいることなのだろうか。自分を変えたい、今までの自分から脱却したいと思うことも生きている上では出てくると思います。その作業は実は困難を伴うようにも感じます。何故なら、それまで自分が過ごしてきた「居心地のいい自分」を止めないといけないから。いきなりできるものでもないです。貴子は、彼女をよく知る人も、そうでない人も含めて、周りの支えがよかったのでしょうね。これからの彼女の行く末を想わせるような、透明感のあるラストシーンも素敵でした。菊池亜希子さんの雰囲気もぴったりです。**********************************今日の評価 : ★★★★☆ 4.5/5点
2010.11.01
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監督 : 塩屋俊 出演 : 鈴木亮平 、 MINJI 、 財津一郎 、 青柳翔 、 藤村俊二 、 犬塚弘 、 佐川満男 、 渡辺貞夫 、 古手川祐子 、 陣内孝則 試写会場 : 九段会館公式サイトはこちら。<Story>神戸。50年前ジャズバンドに青春を賭けていた男たちは、今やそれぞれの人生の最終コーナーを曲がろうとしていた。78歳になった貴島健三郎(財津一郎)は、かつてのバンド仲間を探すために、思うように動かなくなった手に杖を握らせ立ち上がった。彼の願いは、何も言えないまま姿を消したあの日の許しを請うこと。そして、あの日果たすはずだった、憧れのジャズクラブ “ソネ” でのセッションを実現させることだった。それは、彼にとってやり残した人生を取り戻す最後の旅でもあった…。ふたたび swing me again - goo 映画<感想>TIFFの特別招待作品ですが一般公開まで待とう・・・と思ってたら、試写を譲っていただきました。 ありがとうございます。原作は、フリーの助監督でもある矢城潤一(やぎ・じゅんいち)氏の小説。第5回日本ラブストーリー大賞エンタテインメント特別賞を受賞しています。この主役の鈴木亮平くんが、めちゃくちゃよさそうな人っぽくて、気になった作品です。で、その通り。調べてみたら、外語大卒業、英検1級(!)持ってるんだって。 すんごいです。 ハンパない経歴の持ち主ー。 おまけにモデルだとか。『シュアリー・サムデイ』にも出てたんですね。 観ておけばよかった。 何気に他にもいっぱい出ているようですけど、私は今回が初鑑賞。予告でも流れていますが、ジャズの話と、ハンセン病の話を両輪で進んていきます。日本のハンセン病問題について(wiki)病気がテーマですと、そちらがメインになってしまう映画が多く、これもそうだったらどうしようかなと思ったんですが、要所要所で引き締める役割にしていました。 これはいい入れ方だと思います。長い間、病気への偏見で御苦労されてきた人たちの想いをそっと折り込んでいます。ある日突然、今までいなかったはずの人が血縁として目の前に現れたら・・・そんな戸惑いも、私たちにとっては考えさせられるポイントでしょう。健三郎自身は、例えば、自分の病気がいろいろなことを阻害する要因となったとしても、「もう、ええ。」と、さらりと受け流して生きていっています。それが長年彼が苦労の末に身につけてきた処世術でもあるのでしょう。うまくいかない。 ですが立ち向かってもどうなるものでもない。偏見が容易に取り除かれる訳でもない。であれば、その結果を受け入れて、前に進む。そんな身の処し方です。観ている方としては哀しくなってしまいますが、それしか生きる術がなかったのかもしれません。子や孫の世代は、彼のそんな想いを知ってか知らずか、健三郎を思いやる気持ちは十分にあれども、自分たちにも偏見の波が来てしまうと、考えが変わったりする。それも全て健三郎はお見通しです。全部わかっていて、それでも絶対に彼らを責めたり、卑屈になったりしない。何故なら彼にはジャズがあったからです。ジャズが彼の生きる支えであり、夢だったから。その夢に向かって彼は進み、それを周囲も支えます。現実問題としての不況、ハンセン病を取り巻く諸問題、それらを効果的に取り込んでいました。そして孫の鈴木くんが、自然でいいんだなー。「いい子になってます」じゃなく、逆にスレてもいなくて、自然に祖父を気遣っているのがよかった。しょーがない・・・ と言いながらも、祖父を心配しているし、できるだけのことはしてあげたいと思ってる。財津一郎さんも、金八先生の時のイメージが強いんだけど、お齢を召されてもいい役者さんだなあと改めて思います。健三郎の過去の話も、ほんわかしてくる感じで私は好きですね。メンバーもいいじゃないですか・・・。おひょいさんも、何だか彼らしい役で、観ててホッとするのよ。あとは渡辺貞夫さんの演奏が聴けるところもお得感ありますね。「さりげなく、人を支える」って、こういうことなのかと、じわーっと来る映画でした。こういう映画は時々観た方がいいですよね。 心があったかくなってきます。*********************************今日の評価 : ★★★★ 4/5点
2010.11.01
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監督 : 瀬々敬久 出演 : 寉岡萌希 、 長谷川朝晴 、 忍成修吾 、 村上淳 、 山崎ハコ 、 菜葉菜 、 栗原堅一 、 江口のりこ 、 大島葉子 、 吹越満 、 柄本明鑑賞劇場 :ユーロスペース公式サイトはこちら。<Story>8歳の少女のサト(本多叶奈)は、友だちと海水浴中に両親(吹越満、片岡礼子)と姉を殺害さる。ひとり残されたサトは、ひとり暮らしの祖父ソウイチ(柄本明)に引き取られることになる。ひとり息子を育てている警官のカイジマ(村上淳)は、他人には言えない副業をしている。春、まだ雪が残る東北の鉱山跡で“仕事”をこなしていた。バンドでギターを弾いているタエ(菜葉菜)は、父の暴力のせいで片耳が聞こえない。ある雨の日、鍵屋のトモキ(長谷川朝晴)と知り合う。ヘヴンズ ストーリー - goo 映画<感想>予告やチラシなどで結構期待をして行きました。4時間38分? とてつもなく長い上映時間は、『愛のむきだし』よりも長い! 寝ないでちゃんと観れるといいけど。 バッチリ映画2本分だし。上映前に、監督・光石研さん・山崎ハコさんのご挨拶がありました。山崎さんは細い! ちっちゃい! 素敵です。光石さんはすごく普通の感じでした。 でもこちらも素敵でした。監督の進行で、10分くらい、雑談?に近いトークをなさって終了。サックリと感想を言いますと、『愛のむきだし』に感じたような、「長尺故の感動」にまでは至りませんでした。登場人物が本作では20名以上ということなのですが、本筋とはあまり関係ない方が主要な感じで紹介されています。あくまでも主要な話(母子殺人、家族3人殺害、人形師の絡み、代行屋関連)にメインで関わる人だけが主要キャストでよかったようにも思いました。そもそも、ここまで残虐な事件がつながることはある? と言ってしまっては元も子もないのですが。。。「私が復讐する人はもうこの世にはいない」だけをテロップで言わせて、その代理として自分が敬愛する人を炊きつけるという行為自体がそもそも共感できず。そのくらいの想いを被害者家族は抱えており、加害者にも同等かそれ以上のものを求める。そこまで人間はエゴなのか? ということを言いたいのだとは思うのですけど。このような被害に遭われた方には、心の持って行きどころがないのも当然だとは思います。 ですが、他人を炊きつけてまで達成したいというのは行き過ぎのようにも感じます。自分自身のことを、他人に解決させるというのはいかがなものでしょうか。そして4時間半強は明らかに長すぎます。せめて2時間半くらいでもいいような展開です。 ここまで長くするのであれば『愛のむきだし』のように掘り下げて欲しかったのですが、ただ物語が広がって進んでいってしまうだけなので、後半は正直飽きてしまいました。数多い登場人物のなかでも目を引いたのは山崎ハコさん。彼女の歌は聴いたことがなかったのですが、この人形師の役はよかったです。人形師の結末にふさわしいイメージの持ち主でした。柄本明さんは短時間の出演でしたが(もっと後半で出してもよかったように思いました)、『悪人』よりもこちらのおじいちゃんの演技の方がリアリティあってよかったかも。長谷川朝晴さん、忍成修吾さん、村上淳さんの3名は、それぞれが軸となるストーリーの主人公を好演していたと思いました。*********************************今日の評価 : ★★☆ 2.5/5点
2010.10.23
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監督 : 堤幸彦 原作 : ハロルド作石 出演 : 水嶋ヒロ 、 佐藤健 、 桐谷健太 、 忽那汐里 、 中村蒼 、 向井理 公式サイトはこちら。<Story>内気な高校生の幸雄(通称コユキ、佐藤健)は、ある日、ニューヨーク帰りで天才的なギターテクニックを持つ竜介(水嶋ヒロ)と運命的な出会いをし、音楽の道にのめり込んでいく。ボーカルの千葉(桐谷健太)、ベースの平(向井理)、そしてコユキの親友サク(中村蒼)がドラムに加わり、バンドBECKが結成された。ライブハウスでの活躍、自主制作CDの作成、そして大型ロックフェスへの出演が決まり、順調に見えたかの船出。しかし、ライバルバンドの大物プロデューサー(中村獅童)が罠を仕掛けてくる。BECK - goo 映画<感想>向井くんが出るので(笑)必修科目ですw これ。みてきましたよー。1つ前が『オカンの嫁入り』だったんで、何か桐谷くん祭りみたいでしたが f^^;音楽映画大好きなんでわくわく^^ 原作は未読です。そうそう、水嶋くんは英語得意なんですよね。 帰国子女だったかな?彼と忽那汐里ちゃんの英語力を存分に生かす? 設定というのもなかなか考えたなーと思いました。舞台が横須賀ということで、ちょいヤンキー入った感じの街にも合ってたと思います。あ、水嶋くんと言えば、1つ前の職場に水嶋くんがやってきたことがありました(!)当時はライダー時代でまだそんなに認知度が高くなくて、しかもやってきた日が土曜日で私は仕事が休みだったこともあって、「ま、いっか」とスルーしてしまったんですが(笑)、結構若いコがたくさんやってきたそうです。今思うと、あの時行っておけばよかったなとつくづく後悔(苦笑)その後、『インクレディブル・ハルク』のプレミアの時にヒロくんの実物を拝見することになります(笑)映画に戻りますが(笑)、これ堤幸彦監督なんですねえ。。。『20世紀少年』シリーズも全部観ましたが、どうやら、広げるのはいいんですが、たたみ方が今一つ。。。という感じがしました。終わりは、結局どうなったんだろう? と思うんですけどね。そして一番疑問だったのが、どうして歌わないの? ってことですよね。みんなが感動するくらいの歌なんだから、実の声は出せないのか? それはそれで佐藤くんに失礼かも。ラストで出すのかと思ったんだけどそうでもなく。 コユキが何となく、直立っぽかったのも最後まで気になるところでした。高校生の設定だからしょうがないと言えばしょうがないけど。主要キャスト、BECKのメンバーに関してはよかったと思います。ストーリーがそうだと思うんですが、千葉の葛藤とかふて腐れなんかもわかる。彼の居場所がBECKのどこにあるのかっていうことですよね。個人的に好きな(笑)向井くんもクールに演じてたし。竜介が子どもみたいにスネてたのは気になったけど、それもストーリーかな? なので仕方ないですね。サクの方が竜介よりも精神的に大人なのかもしれないし。メンバーはいい感じかなと思ったんですが、エピソードがところどころ「えっ?」って感じのもあって。例えば獅童演じるプロデューサーの蘭(だっけ?)ですが、これがもう絵にかいたようなプロデューサー(笑) こんな風に妨害するのは今でもありそうだけど、それにしてもこんな人今時いるのか・・・?そして全体的に長いです。 こんなに引っ張らなくてもたぶん2時間には収まったんじゃないでしょうか。***********************************今日の評価 : ★★★ 3/5点
2010.09.07
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監督 : 平山秀幸 原作 : 藤沢周平 出演 : 豊川悦司 、 池脇千鶴 、 吉川晃司 、 戸田菜穂 、 村上淳 、 関めぐみ 、 小日向文世 、 岸部一徳 公式サイトはこちら。<Story>時は江戸。東北は海坂藩の近習頭取・兼見三佐ェ門(豊川悦司)には、消そうにも消せない過去があった。物頭をつとめていた三年前、藩主・右京太夫(村上淳)の愛妾・連子(関めぐみ)を城中で刺し殺したのだった。最愛の妻・睦江(戸田菜穂)を病で喪った三左ェ門にとって、失政の元凶である連子刺殺は死に場所を求めた武士の意地でもあった。が、意外にも寛大な処分が下され、一年の閉門後、再び藩主の傍に仕えることになる。腑に落ちない想いを抱きつつも、身の周りの世話をする亡妻の姪・里尾(池脇千鶴)との日々の中で三左ェ門は再び生きる力を取り戻してゆく。そんなある日、中老・津田民部(岸部一徳)から思わぬ話を持ちかけられる三左ェ門。それは、彼を天心独名流の剣豪だと知っての相談であり、“鳥刺し”という必勝の技をお上のために役立てろという秘命でもあった。その者の名は直心流の達人であり、藩主家と対立しているご別家の帯屋隼人正(吉川晃司)だった。そして待ち受ける隼人正との決着の日。三左ェ門は、想像を絶する過酷な運命に翻弄されていく。必死剣鳥刺し - goo 映画<感想>藤沢作品は好きなので(これは未読なんですが)楽しみにしてました。武士の世界も、今のサラリーマン社会(というか、雇われ者の世界)に通じるものがあるんだなという印象です。上の言うことは絶対。 逆らう=アウトサイダー、それどころか、メンツをつぶしたら時には死をもって償わないといけない。(そういうの好きじゃないんだよね。。。 f^^;)特に男社会は、救ったように見せかけて実は捨て駒だったとか、そういう処遇は女よりも冷酷なように感じます。右京太夫みたいに脳無しボンボン社長を持ったらホント大変だよ。でもそのボンボンにも仕えないと自分の身が危なくなってくる。 結局保身のために生きる男たちが哀れです。その中にあって、捨て身で信念を貫く兼見。彼がしたことは大罪ですが、世のためを思ってやったこと。 しかしながら彼の想いは思わぬ方向へと進んでいってしまいます。それでも自分の意地を通しきった兼見は「男」だったなあ。。。こういう人が好きです。そんな兼見を見守る里尾の姿。池脇さんは今年は『スイートリトルライズ』『パーマネント野ばら』と観てますが、本作のように静かに一途な女が似合う女優さんだと思います。 この役好き。こういう風に想いを寄せる女はいいもんです。あとはご別家の帯屋隼人正。 吉川晃司もこれがピッタリハマってました。 トヨエツと釣り合うんですよね。 背も迫力も。岸部さんは、今まで見てきていい役だったことがあまりないんだけど(笑)、今回もイヤな奴全開でしたね。***********************************今日の評価 : ★★★★ 4/5点
2010.07.14
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監督・原作・脚本 : 小林政広出演 : 仲代達矢 、 徳永えり 、 大滝秀治 、 菅井きん 、 小林薫 、 田中裕子 、 淡島千景 、 柄本明 、 美保純 、 戸田菜穂 、 香川照之鑑賞劇場 : CINECITTA公式サイトはこちら。<Story>19歳の孫娘・春(徳永えり)と、北海道の漁村・増毛で暮らす74歳の忠男(仲代達矢)。かつて漁師だった忠男は、妻と春の母である一人娘にも先立たれ、兄弟たちとも疎遠になっていた。しかし、春が勤めていた小学校が廃校になり、春は都会へ出たいと言う。そこで、忠男は兄弟たちの家に居候するために、春とともに兄弟たちの家を訪ねて行くことにする。最初に訪れた長兄・重男(大滝秀治)は、忠男の申し出を拒んだ。実は、重男は老人ホームへの入居が決まっていた…春との旅 - goo 映画<感想>バタバタしていて1週間以上前の映画感想になってしまいました。 正直忘れそうでやばいですが。なので簡単になってしまいます。徳永えりさん。実は彼女の作品は『フラガール』以外にも観てたんですが思いだせなかった。『うた魂♪』『ノーボーイズ、ノークライ』でしたか。 でも『フラガール』の印象が強すぎちゃってわからなかったな。確か蒼井優ちゃんの親友役で、途中で引っ越してしまった役でしたっけ。徳永さんを囲んで出てくる俳優は全てベテラン勢。 彼らの個性豊かな演技が目立ちます。ただ個性があり過ぎる感じもしてしまったかな。仲代さんは舞台もなさっているから余計にそう感じてしまった。 舞台ではちょうどいい表情も映画では大きすぎるように感じます。田中裕子さんは久しぶりにスクリーンで拝見しましたけど、肩の力が相変わらず抜けてていい感じ。 生活感がある脱力系の役が合ってます。そしてこの映画で一番好きなのが淡島千景さん!「肝っ玉姉ちゃん」そのもの。 歳を取ってもきちんと自活してて身綺麗で、しゃきっとしてる。 カッコいいな。 ああいう風に齢は取りたい。美しく齢を取るためには、自分自身人に頼ってはいけないんじゃないかと思っている自分にとって、忠男の生き方というのはあまりにも無責任に感じてしまう。でも世の中こういう人間は案外多いもんです。好き勝手してきていよいよ困ると人に頼る。。。そうしたくないからみんな人生を懸命に作り上げていくと思うんですが、家族よりも自分の夢を優先させてしまった忠男には、孫の春を除いて何も残っていない。春を頼りたくないと強がっても最後は結局春頼み。 そしてうまくいかないと逆ギレ。 春ちゃんかわいそう。。。と思うんですが、春は春で心境が変わっていく。人にはそれぞれの都合があるし、「兄弟は他人の始まり」という言葉がある以上、自分のことは自分でちゃんとしないとな。。。 と、こういう絵を見ては思うけど、そうはできない人もいる。 面倒くさいから付き合いたくなくなってしまったり、疎遠になってしまう人。それでもその人のことを放っておけないという人がいるってことは幸せなのかもしれないです。ただねえ・・・。 自分の観点からするとやっぱり迷惑かけないで生きようよ、とか思っちゃうかなあ。 いくら愛情に溢れた人が世間にはいると言っても、甘えちゃいけないような気がする。あと、この映画で気になってしまったのはラストシーン。あれ?そういう風に持って行ってしまっていいのかしら。 せっかくなのに。。。そしてエンドロールが黒地に青緑で、しかも字が動かず対角線上に静止で出ているのもあり、とても観辛かったです。 徳永えりさんの歩き方が・・・という話もよく聞きますが、それは役作りの一貫なので問題はないと思います。******************************今日の評価 : ★★ 2/5点
2010.06.02
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監督 : 小泉徳宏出演 : 蒼井優 、 鈴木京香 、 竹内結子 、 田中麗奈 、 仲間由紀恵 、 広末涼子試写会場 : 東宝試写室公式サイトはこちら。<Story>昭和11年・春。古き日本のしきたりにそって、親同士が決めた結婚に婚礼前日まで悩み続ける凛(蒼井優)。女学校を出て進歩的な考えを持つ凛は、これからの時代の女性の生き方と自由への葛藤、そして会ったことがない伴侶への不安を抱えながら式当日を迎える。厳格な父を前にして、結論を出せないまま遂に凛は花嫁姿のまま家を飛び出してしまう…。凛が花嫁姿で走り出した昭和11年から、凛の三女・慧(仲間由紀恵)の長女・奏(鈴木京香)が決意する平成の現代まで、前向きに芯のある凛とした日本女性たちの美しさの瞬間瞬間を三代にわたり大河ドラマとして描き出す。[ 2010年6月12日公開 ]FLOWERS-フラワーズ- - goo 映画<感想>すっごく興味ある映画でした。 何と言ってもTSUBAKIの女優陣がずらり終結してますし、しかも全員主役級。一体どうやってこのメンバーで1本の映画にするんだろう? という素朴な疑問です。下手をすると全員が主張しかねないから、これをまとめるのは難しいんだろうなと、勝手に思っていたのですが、シナリオは何と、女系の血統を追った、大河ドラマ風になっています。ここがうまいなと。これなら全員演じられるし、全員の個性も生きてきます。そして、「日本女性の美しさ」を追求していく、TSUBAKIのコンセプトにも合っていますし。この6人の相関図はサイトにも書いてありますが、一応ざっとおさらい。凛(りん) ・・・蒼井優薫(かおる:凛の長女)・・・竹内結子翠(みどり:凛の次女)・・・田中麗奈慧(さと: 凛の三女)・・・仲間由紀恵奏(かな: 慧の長女)・・・鈴木京香佳(けい: 慧の次女)・・・広末涼子必ずしも、実際の年齢順に役が振られている訳じゃないです。白黒の予告部分で、最初が蒼井優ちゃんから始まるというのはわかっていたんですが、昔の花嫁さんは若かったですね。 可愛らしい。女性がこの映画を観たら、どうしたってそれぞれの立場から、自分の人生とどこかしらリンクしてしまう部分があるように思います。もちろん自分もそう。6人の人生と、形は違いますが少しずつ重なっている部分がありますので余計そう思いました。結婚する、結婚を決めた。でも本当にそれでいいのだろうかという疑問は限りなくやってきます。特に昔のように、相手をあまり知らずに結婚する場合は余計そうだと思う。疑問が出る方が自然だと思います。特に凛は教養があり、進歩的な考えを持つ女性だったので、その当時、女性は親の言われるままに人生を決めることを当然だと思っていた風潮には納得できません。そこで凛が自分の人生を決める決め手となったのも、やはり同じ女性である母でした。母親が幸せかどうか。今はあまりその基準で物事を考えることはないのかもしれませんが、唯一身近だった母がどんなふうに人生を送っているのか。これは、情報の少ない時代においては、娘にとっては重要なことだったに違いありません。身近な母の姿を通じて成長していく娘たち。母の姿というものが代々受け継がれていくのでしょうか。この6人は、自らに課せられた立場というものをしっかりと成し遂げつつも、自分をきちんと持っているというのが共通項のようです。薫の、表面の無邪気さとは裏腹に、心の奥底に秘めた大きな悲しみ。翠が考える女性の社会での在り方と、幸せの両立。慧が示した家族への無償の愛、そして家庭を持つことの感動と喜び。奏の抱える、自己実現の難しさと、自分を支えてくれる人々への感謝の念。佳が背負った運命の過酷さが彼女に与えた、前向きな考え方。どれを取っても、うなずける要素がどこかに潜んでいるようで、彼女たちがどのように人生を歩んでいくのか、目が離せませんでした。自分の親、そのまた親、過去にさかのぼって連綿と続く血脈の流れの中には、喜びも悲しみも、その時彼女たちが悩み、立ち止まって考えたものが入っている。そして自分も人生を懸命に生きるのであれば当然として起こってくる葛藤がある。それを次世代が引き継いで行く。女系家族であればなおさら、社会の影に隠れがちな分、表には現れない葛藤も深く、色濃く人生が反映されるような気がしてならない。市井の人間として終わって行くであろう女性たちが抱えてきた諸々のことが、こうしてクローズアップされ、些細なことではあるけど、スポットが当たるのは、今まで報われなかった想いを聞いてもらったようで、見ているこちらも元気が出てくる。そして、その悩みの中にいる時は深い深いものではあるけど、いったん決断した女は、飄々とその人生を生きていく。流れるような、軽いメロディーに乗っているかのように、その姿は優雅に映る。ただこれ、男性には退屈かもしれません。全編女性の生き方満載ですので。あと、人生経験値の少なめな方(若い人)とかにも、ピンと来ないかもしれないですね。実際、この試写でも若い女性がため息&大あくびをして、おじさまが携帯パカパカ。。。だったようで。たぶんこの映画、私のような人間がターゲットなんだとは思いますが。。。でも別にいいんです。 楽しかったし。 まさにそうなので。 笑********************************今日の評価 : ★★★★★ 5/5点
2010.06.01
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監督 : 高橋伴明出演 : 萩原聖人 、 新井浩文 、 葉月里緒奈 、 村野武範 、 保阪尚希 、 ダンカン 、 須賀貴匡 、 中村優子 、 雛形あきこ 、 大杉漣 、 國村隼 、 志村東吾 、 吉村実子 、 岸部一徳 、 塩見三省 、 石橋凌鑑賞劇場 : ユーロスペース公式サイトはこちら。<Story>昭和41年6月30日未明、静岡県清水市で味噌製造会社専務の自宅が放火され、一家4人が殺害された。警察は、従業員で元ボクサーの袴田巌(新井浩文)を容疑者として逮捕、連日、過酷な取り調べを行った。そして、拘留期限の3日前、自白にこぎつけるが、裁判では犯行を全面的に否認。裁判官の熊本(萩原聖人)は警察の捜査に疑問を抱き始める。乏しい物証の中での、強制の疑いのある自白…。しかし熊本は、無罪を確信しながらも他2名の裁判官の合議に負けてしまう。BOX 袴田事件 命とは - goo 映画<感想>予告の、新井くんの演技にやっぱり惹かれてしまい、どうしても観ないとなあ・・・と思った作品です。袴田事件について事件の名前こそ知っていても、一体どんな事件なのか、そして犯人は今どうしているのか。そこまではなかなか知らないものです。こうして調べていくと、昔の日本の事件には実に冤罪が多かったことがわかる。この袴田事件に関わった警部は、「腕がいい」と表彰もされたそうですが、実際はただの「拷問屋」だったことが分かり、今では全く評価されてないそうです。 これが石橋凌さんのやった役のモデルみたいな気がするんだけど。とにかく警察のやったことはひどい。 やってないと言っているのに証拠をでっち上げて、昼夜を問わず尋問(「拷問」に近い)し、精神的に追い詰めて、そこから逃れたくさせて無理矢理自白させる手法。これでは、誰か犯人にしようと決めたら誰でもそうなってしまう。そんなことが許されていい訳はない。袴田さんは死刑判決を受けて41年、今もなお拘留中。 今年74歳。判決以来拘禁症状が出ているということ。この症状が40年以上も続いていること自体が耐えがたい苦痛であり、それも与えられてしまった刑罰に等しいようなものではないだろうか。現在第二次再審請求をしているそうです。 支持している方も多いということですし、袴田さんのご苦労が報われることを願います。経歴が多少普通の人間と違うというだけで、「あいつなんじゃないか」という先入観や差別意識を持ってしまう状況があります。その無意識の誘導が、人に対しての偏見を植え付けていく。冤罪が作られていく要因となりうるような気がしました。そしてそこに警察の、犯人を検挙すべしという至上命令が加わりますので、拷問や証拠の捏造なども行われる訳です。そうして犯人に仕立てられてしまう袴田さんの役を演じた新井くん。壮絶な演技でした。最初の方の、人には言いにくい過去を持っているけど今はきちんと働いているのに犯人に仕立てられてしまった困惑から、中盤、拷問によって精神的に追い詰められていく様子。 そして後半の、死刑判決後の拘禁症状までもを彼は役に徹して演じ切っていたように思う。対する熊本裁判官役の萩原さん。スクリーンでは久しぶり。出世主義に走ろうと思えばいくらでも走れるのに、袴田事件への贖罪の気持ちを優先させて、これも精神的に行き詰って行く姿。 実直な1人の人間の姿が印象的でした。しかしながら、この映画で違和感を感じる部分もあり。熊本さんの妻役が葉月里緒奈さんだとわかるまでに結構時間がかかったのは仕方ないかもしれませんが、演技が平坦な感じがしてしまいました。もしかしたら熊本さんご夫妻が実際にそうだったのなら、仕方ないかもしれませんが、自分の生活の平穏と、お子さんのことだけを考えている奥さん、という印象しか残らなかったです。熊本さんの心情を汲もうというのが伝わってこなかったです。雛形あきこさんの役とチェンジした方がよいのになーとも思ってしまったり。あとは余分なCGが多かったようにも思います。これは『禅 ZEN』でも感じたことなのですが、余韻が欲しい場面をCGで構成してしまって、たたみかけるようなナレーションでまとめてしまうというのもいかがでしょうか。そのモチーフを描きたいのは十分わかるのですが。。。何かもったいないような感じです。最後の方に、國村隼さんがちょこっと出てくるシーンがあります。ここのところがすごかった。あんまり言うとネタばれになるんですが、彼しかできないような演技。。。短いシーンでしたけど、執着心というものを実にドロドロと表現していました。見ていて切なくなります。罪を犯したことはもちろん本人の過失であり、それをどうこう言う気は一切ないけど、自分の命が奪われることが目前に迫ったらやはり正気じゃいられなくなるでしょう。そんな部分はなるほどと思えたんですが、先に書いたようなことがどうしても違和感を残してしまうような作品でした。**********************************今日の評価 : ★★★☆ 3.5/5点自白の心理学
2010.06.01
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監督 : 吉田大八原作 : 西原理恵子脚本 : 奥寺佐渡子主題歌 : さかいゆう出演 : 菅野美穂 、 小池栄子 、 池脇千鶴 、 宇崎竜童 、 夏木マリ 、 江口洋介 、 畠山紬鑑賞劇場 : ヒューマントラストシネマ有楽町公式サイトはこちら。<Story>なおこ(菅野美穂)は夫と離婚し、娘の一人娘のもも(畠山紬)を連れて実家に戻った。実家では母・まさ子(夏木マリ)が「パーマネント野ばら」という美容室を営んでおり、毎日近所の女性たちが詰めかけては男の思い出や恋の話に花を咲かせていた。何度も再婚を繰り返したまさ子は最後の夫・カズオ(宇崎竜童)とは別居中。カズオは別の女性と同居しており、なおこに取り成しを頼んできた。そんななおこは、高校教師のカシマ(江口洋介)と、誰にも秘密でひっそりとした交際を続けていた…。パーマネント野ばら - goo 映画<感想>『ローラーガールズ・ダイアリー』に続いてこちらを鑑賞。 移動時間がたったの5分間しかないのでもう走る走る。。。 笑西原理恵子さん原作の『女の子ものがたり』は昨年鑑賞して、最近NHKで放送された西原さんのドキュメンタリーも観ました。おおよそ彼女の経歴は把握しています。本作も、西原さんが生まれ育った高知が色濃く出ています。街に1軒しかないパーマ屋(絶対にこの場合は、美容院じゃなくて「パーマ屋」)にわらわらと女たちが集まり、そして、本当に「いい歳こいた」(。。本当にこきまくってた)おばちゃんたちが、性懲りもなくオトコの話をする。 しかもそのオトコたちは揃いも揃って「○○○」としか表現されてない。 ここのところは事実に基づいてもいるんだろうけど、故郷を好きじゃなかった西原さんの心境を知っていれば、デフォルメしているのかとも取れるし、逆に本能としての人間の本質をあからさまに出しているとも取れる。だけど内容が内容だけに呆れるというか苦笑というか、とがめる気にはなれないんですよね(笑) その場にいたら彼女たちに釣られて、うっかり余計なことまで話してしまいそうな? そんな気すらしてくる。 自分たちのダメな話をしていながらもお互い傷を舐め合うというか、慰められてもいるのだろう。そんな女たちを束ねているまさ子の割り切りというか、気風のよさというか、カラッとした人柄は魅力的だし、みっちゃん(小池栄子)やともちゃん(池脇千鶴)の、だめんずばかり追いかけることから抜け切れないのもどこか微笑ましく思える。そしてなおこの恋もそう。ここに出てくる女たちの姿はさらっと淡白に描かれているけど、奥底に隠されたものは、愛への飽くなき執念に他ならない。どこまでもどこまでも、お互いに愛せる人を求めて、人は歩いていく。そしてやっとたどり着いたかと思ったら、手にした幸せはいつも砂のように掌からこぼれおちてしまう。人生なんてそんなものなのかもしれない。自分の思い通りになることなんて、一体どのくらいあるのだろう。 ましてそれが恋ならばなおさらのこと。それでも歩き続けるしかない悲しみを背負って、私たちは生きていく。 でも悲しみだけでは生きていくにはあまりにも辛すぎて。だから彼女たちは笑うのである。 全て笑い飛ばしていく。 切ない想いなど、初めからなかったかのように。**********************************今日の評価 : ★★★★☆ 4.5/5点
2010.05.26
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監督 : 古厩智之出演 : 成海璃子 、 北乃きい 、 石黒英雄 、 荒井萌 、 山下リオ 、 高木古都 、 賀来賢人 、 波瑠 、 古村比呂 、 堀部圭亮 、 小木茂光 、 板尾創路公式サイトはこちら。<Story>厳格な父の下で剣道一筋に生きてきた磯山香織(成海璃子)は、負けず嫌いの中学チャンピオン。しかし、「甲本」のゼッケンをつけた同学年の剣士に敗戦を喫した香織は、「甲本」を追って名門東松学園女子高等部の剣道部に入部する。しかし、甲本は両親の離婚で苗字が西荻(北乃きい)に変わり、剣道も腰抜けになっていた。ライバルにイラついた香織は、西荻を鍛え直そうと、父(小木茂光)の道場で稽古をつけ始めるのだった。武士道シックスティーン - goo 映画<感想>成海璃子、北乃きいのダブル主演。 楽しそうな作品が観たくて行ってきました。璃子ちゃんの「めーーーん!」の迫力がすごい。 一体これだけの剣道、どのくらい練習したんだろう。 すごく様になっているしうまい。 若いってすごい(笑)香織が小さいころから抱えてきたトラウマとか、植えつけられてきた勝利へのこだわりが彼女を縛り付ける。 縛られ過ぎて心を曲げることができないくらい。楽しくて浮かれてるはずの中高生の時代を、ひたすら勝利への道を走ることを義務付けられる。 そして香織本人も勝つことが絶対と思っている。そのためだけに生きてきた。 だが気がつくと自分がやってきたことへの意味を見いだせなくなっていた。自分よりはるかにちゃらちゃら遊びで剣道している早苗の方が、よっぽど楽しそうだなんて。一体自分は何やってきたんだろ。こうして香織は心が折れていってしまう。今まで絶対に曲がることを知らなかった心が折れるとき。 その人にとっても一大事であると同時に、転換期であるはず。 今まで生きてきた中での価値観では測れないことが出てきてしまったのだから。対する早苗。 ハッキリ言って剣道で名を上げようなんてこれっぽっちも思ってないのに、まぐれで勝った相手の香織が乗り込んできたことからこの話の主人公になってしまう。自分は大してうまくないし適当でいいから・・・ っていうそれまでのスタンスを香織によって変えさせられる。絶対に早苗には潜在力があると踏んだ香織が、早苗と練習を始め、早苗は自分の隠れた素質を引き出されていく。 今まで出来なかったことができるようになった喜び。 それは剣道が楽しくなって来る瞬間だった。自信がついた早苗が香織を引っ張って行く。今までとは逆の展開。 それが友情の面白いところでもある。今まで先を走っていたものが少し疲れていると思ったら、後続の仲間が支えてあげる。 その姿を見て、疲れを取ってまた走り出していく。自分たちだけで孤独に走っていたら、お互いの隠れたいいところが見つからず、持って生まれたままの自分たちで終わっていただろう。だから、異質なものでも出会うことには必ず意味がある。「剛」の香織、「柔」の早苗。 目指す場所へのアプローチは全く違うけど、志があればいつでも、どこにいても繋がることができる。あとは先生役で堀部圭亮さんがご出演。彼は最近『悪夢のエレベーター』で監督したりしてるので、俳優でこんなに長時間出ているのは久しぶりだったかも。 落ち着いた雰囲気がよかった。そして村浜ゆかり役の高木古都さんが凛々しくて印象に残りました。主演2人のパワーと清々しさに元気をもらえるような作品でした。***********************************今日の評価 : ★★★☆ 3.5/5点
2010.04.27
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監督 : 石原興出演 : 近衛はな 、 前田倫良 、 目黒祐樹 、 赤座美代子 、 池内万作鑑賞劇場 : 横浜ニューテアトル公式サイトはこちら。<Story>長州藩の牢獄、野山獄ただ1人の女囚、高須久(近衛はな)。ある日、国外密航という大罪で投獄された吉田寅次郎(前田倫良)が護送されてくる。一度、獄に入れられたら刑期はなく、囚人たちは皆、二度と外には出られない絶望に打ちひしがれていた。しかし、誰にでも声をかける寅次郎の気さくな人柄に、囚人たちは少しずつ前向きさを取り戻していった。それが後に吉田松陰と呼ばれる男との出会いであった。獄(ひとや)に咲く花 - goo 映画<感想>これも上映館が少ない作品ですが、映像が美しく気になっていた作品。ですがどうにも時間が合わず。。。 先日初めて行った横浜ニューテアトル(!)でこの週いっぱい上映ということでまたまた行ってみました。その29年の生涯を独身で通した吉田松陰と、野山獄にて交流があったと言われている女囚・高須久(久子ともありますが)にスポットを当てた作品。本年は生誕180周年にあたるそうです。龍馬もいいけど松陰もぜひ! ということなんでしょうね。松陰を演じたのはとっても凛々しい前田倫良さん、そして久役は目黒祐樹さんの娘さんでもある近衛はなさん。 目黒さんは野山獄の責任者である福川犀之助役で出ていますので、父娘共演になります。近衛さん、前田さんともに今回初めてきちんと演技を拝見させていただきましたが、こういう時代劇にぴったりですね。 前田さんは松陰の前向きな、というか、先見性のある発想や、一本気な性格をとても的確に演じていました。 近衛さんはそこにいるだけでふんわりとした女性らしさを振りまくような雰囲気。 野山獄については驚くことばかり。 受刑者たちが構内を自由に移動できたり、会話もできたり、という扱いはとても今の刑務所からは想像できません。 しかもたった1人の女囚である久も、男性の囚人たちと同じところにいたということ(もちろん監視の目はあったとは思いますが)。 確かに平等であることは間違いないとは思いますが、裏を返せば、久が女性として扱われなかったことも意味します。そのせいか、最初に登場する久の恰好は凄まじく、辛うじて頭髪で女性とわかるようなものの、その姿は乞食の風体。姦淫罪で獄に入ってからというもの、自らに与えられること以上のものを一切望まなかった久の心情が、服装の変化に現れるのに注目してみる。寅次郎(=松陰)と出会ってからの久は、彼のその破天荒な言動に驚きつつも、人間を尊重していく、前向きなその姿勢に惹かれていった。時代が激動期に入る前、一体これから世間が、自分の身がどうなって行くのかわからない中、久は寅次郎の志に賭けてみようと思ったに違いない。 そして恐らく、今まで生きてきた中で、絶対に会ったことがないタイプの人物だったからだ。女性だから、武家の未亡人だから、・・・ ~~だからこうするべき、的な規範に縛られて生涯そこから抜け出せない時代だったあの頃。 久はもっと自由に生きたかったに違いない。それと同時に、久は寅次郎の人柄にも惹かれていった。それまで何だかわからなかったような髪型、ボロボロの着物をまとい、辛うじて生きているという状態だった久は、髪を簡単ながら結うようになり、こざっぱりとした服で過ごすようになる。 全て、好きな男の前ではせめて装いたいという女心の現れ。 自分ができることは決まっているけど、せめてその中でも精一杯装いたい気持ちが健気である。この映画の中で寅次郎は野山獄の中でも囚人たちに講話をしているが、この内容が全て事実であるかどうかは正直わからない(脚色されている可能性もあるからだ)。 彼のキャラクターが実際果たしてここまで破天荒であったかどうかもわからないが、映像から受けるイメージとしては、これであれば多くの門下生を持つであろうと思わせる、人を惹きつける魅力があることだ。 混沌とした時代に、彼なら何かしてくれるだろう、そうに違いないと思わせる思想。 多くの幕末の志士たちの先駆けとなった松陰の原点を感じるにふさわしい場面が続く。その寅次郎と久との会話の中には、お互いに対しての思慕を感じさせる言葉が多く出てくる。 互いに読みあった句にも現れている心遣いが、かえって想いの深さを伺わせている。 初めはひっそりと心の中で慕っていただけの久も、寅次郎が出獄したり、江戸に護送されるともなればもう毎日姿を見ることは叶わない。 胸に秘めた想いを口にするシーン、そして寅次郎を見送る時の彼女の衣装。 久の中では寅次郎は自分の生涯でただ一人愛した人と決まっていたのではないだろうか。 寅次郎とて、その時精一杯の自分の原点とも言えるものを久に持つようにと差し出している。 実直な、真面目な人柄だから堂々とは言えなかったに違いないけど、寅次郎も久に運命的なものを感じていたと思いたい。前半部分が少し道徳っぽかったり、時折挟まれるCGなどに不要なものも感じられるが、美しい映像に乗せて綴られた松陰の恋に焦点を当て、2人の切ないこころを描くという点では成功しているように思った。***********************************今日の評価 : ★★★★ 4/5点
2010.04.21
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監督 : 中西健二原作 : 藤沢周平出演 : 北川景子 、 甲本雅裕 、 宮尾俊太郎 、 相築あきこ 、 谷川清美 、 佐藤めぐみ 、 市川亀治郎 、 伊藤歩 、 柄本明 、 國村隼語り : 藤村志保鑑賞劇場 : 横浜ブルク13公式サイトはこちら。<Story>東北にある海坂藩。女でありながら男顔負けの剣術の腕を持つ以登(北川景子)は、一度だけ竹刀を交えた藩随一の剣士・江口孫四郎(宮尾俊太郎)に、一瞬にして熱い恋心を抱く。しかし、以登にも孫四郎にも、ともに家の定めた許嫁がいた。以登はひそかな思いを断ち切って、江戸に留学中の許嫁の帰りを待ち続ける。数か月後、以登のもとに藩命で江戸に向かった孫四郎が自ら命を絶ったという知らせが入る……。花のあと - goo 映画<感想>せっかくだからと見学?に行ったブルクですが、ちょうど5分後からこれが始まるので観てきました。意外と上映館少ないのよね。藤沢周平はよく読みますがこれは未読。藤沢さんということもあってか、場内平均年齢高し。 60代といったところか。誰も周りにいなさそうな座席を選んで正解。北川景子さんは、時代劇を演じるには少々線が細すぎる。これは体型的に細いという意味じゃないです。細くてもいいから、がっしりと芯がしっかりしてて、内面は強そうな女性じゃないと、時代劇を演じるには厳しいかも。実年齢の彼女は23歳ですけど、昔の23歳と今の23歳じゃ経験値がたぶん恐ろしく違うんで、そこを比較するには無理がありますが、内面から滲み出てくる芯の強さ、女としての力強さという意味では、これからの人、という印象です。殺陣にも挑戦されていまして、確かに努力のあとは見られますし、彼女にとっても新境地ではありましたが、彼女の小柄さが無理を感じさせてしまいます。小柄であれば、アクション系俳優さん並みの動きがないと厳しいのでは・・・?男優が「合わせていた」という感じの殺陣に見えてしまいました。市川亀治郎さんの悪役ぶりが板についていただけに、これに対抗するには、以登も出すべきところではひと癖ふた癖ないとなあ、と。もしも伊藤歩さんがこの役だったらどうだったでしょうか。あるいは壇れいさんとか。壇さんがイメージに浮かぶんですが、もう少し年代が下でこういう役をできる人が、浮かんでこないんですよね。と、厳しくなってしまうんですが、これはヒロインが命のような映画なので、無理もない。宮尾俊太郎さんは今回初めて演技を見ました。 ダンサーということで、お武家さん姿もなかなか似合ってます。北川さんとのシーン、結構ドキドキさせられちゃいまして。(と思ったらこのお2人噂になってたんですね)孫四郎の気持ちってあんまり出てこなかったようにも思うんですが、ほのめかす場面があってもよかったかも。脇役はなかなか観ていて面白かったです。市川亀治郎さんはさすが。わざと悪役らしく、悪そうな顔色にしていたり、薄笑いなんかもなるほどと思わせます。國村さんのお父さんも、寡黙な分、目線で心情を語れていたのはさすがです。そして甲本さん。 情けない奴という入り方なんですが、実は策士でもあり、以登のことを深く思っているというのが味わいがあって、こういう役は好きです。いざという時に頼りになる男という感じ。原作も読んでみたいと思うんですが、映画として落ち着いた雰囲気に仕上げていたのは、好感持てます。静かな中にも熱い志を秘めた以登。 そのイメージに近付けるために、北川さんがなさった努力は相当のものだったように感じました。**********************************今日の評価 : ★★★ 3/5点
2010.03.31
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監督・脚本 : 行定勲原作 : 吉田修一出演 : 藤原竜也 、 香里奈 、 貫地谷しほり 、 林遣都 、 小出恵介公式サイトはこちら。<Story>「上辺だけの付き合い、それくらいが丁度いい」都内の2LDKマンションに暮らす男女四人の若者達。映画会社勤務の直輝(藤原竜也)、イラストレーターの未来(香里奈)、フリーターの琴美(貫地谷しほり)、大学生の良介(小出恵介)。それぞれが不安や焦燥感を抱えながらも、“本当の自分”を装うことで優しく怠惰に続く共同生活。そこに男娼のサトル(林遣都)が加わり、同じ町では連続暴行事件が起こり始める。そして彼らの日常に、小さな波紋が拡がり始める…。パレード - goo 映画<感想>原作は未読。 時折電車の中で、この原作を読んでいる女性を見かけるので、人気あるんだなあと思っていました。役者さんも今が旬の人たちばかり揃えていますよね。ここに出てくる5人、表の顔とは別に、人におおっぴらに言えないことをそれぞれ抱えています。もちろんそのことについては話し合うことはなく、相手のことを知ってか知らずか、同居しているお互いに対して、深入りはしない。見て見ぬふりなのか、本当に知らないのか。そしてそれをどこで判断するのか。相手の懐に入らない関係である以上、それはうかがい知れないのである。うかがい知れないにも関わらず、彼らはどういうわけか、和気あいあいな状態に見える。それは本心からなのか、それとも考えていないからなのか。それすらも見えてこない。これも今時のコたちなんだろうな・・・ と解釈していく。ただ、話のキモとなるエピソードの謎が解けてから、同居者たちが投げかける少し長めの視線がある。たぶんこの無言のシーンこそが、この映画のクライマックスなのだろう。が、しかし、それまでがあくまでも表面的には心の鬱屈を見せないだけに、果たしてこれだけで映画の核心は完全につかめるのだろうか。この視線だけで、わかってね・・・ というには、残念ながら少し弱い。実際、上映後にあちこちで若いコたちが、「今のわかった? わかった?」と声を上げていた(笑わかりやすくしないのも映画の手法ですし、そうと悟られないようにわからせるのが映画の見せどころだと思うけど、それを伝えるには、若干弱い。あと少しインパクトというか、ひねりが欲しかったですね。何となく惜しい1本でした。*********************************今日の評価 : ★★★
2010.02.24
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監督・脚本 : 三浦大輔 原作 : 花沢健吾 出演 : 峯田和伸 、 黒川芽以 、 松田龍平 、 YOU 、 小林薫 、リリー・フランキー公式サイトはこちら。<Story>弱小玩具メーカーに勤める29歳の田西(峯田和伸)は、サエない日々を送っている。商品企画部の同僚・ちはる(黒川芽以)に恋をしているが、どうアプローチしていいかわからない。そこで彼は営業先で知り合った大手ライバルメーカーのやり手営業マン・青山(松田龍平)に相談を持ちかける。青山の手助けで少しずつ距離を縮めていく田西とちはる。しかし風邪で寝込んでいるちはるを見舞いに行った田西はそこで大失敗をやらかしてしまい……。ボーイズ・オン・ザ・ラン - goo 映画<感想>予告で面白そうと思ったんですが、上映館が少ないんでどうしよう・・・? と考えてたところ、近くでかかっていたので早めに行ってみました。 原作は漫画ですね。 「ボーイズ」の定義って一体何歳まで? って、こういう映画を見ると単純に考えてしまう私。田西は29歳なんだけどねえ。でも、女の子へのアピり方知らなかったり、何となく不器用に営業してる感じが、ボーイなのかなあとも思ったり。彼の、ちはるへの接し方とか見てると、すごく女の子に気を遣っているのもわかる。 好きだからこそ、ああしたらどうだとかこうなったらどうしようだとか。そういうけなげさは、女の子にしてみたら時々すごく焦れったく感じるのかもしれない。 だけどそれをあからさまに出すのはカッコ悪いとか、「それは男子の役目!」とか言いだしそうなのがちはる(笑このちはる。 これは超、超曲者でした(笑)サマーも結構なもんだと思ったんですが(笑)、完全にその上を行ってます。 これを観たら、サマーがすごく可愛く見えてしまいました(爆怖いとかなんだとかもあるんだろうけど、結局全部田西に頼ってて自分からは言わないし。田西の気持ちって、結局このコは最初から最後まで全然気にしてないんですよね。好きなら少しは話くらい聞けよ!とか思うけど~そして挙句の果てに青山とかその腰ぎんちゃくに遊ばれてーみたいな。 もう痛すぎます(笑で、最後に田西にケツ持ってきたりとかさあ。 これダメでしょ。まあこんな感じのが「フツーの清純派っぽい」を気取ってるんだから、女っていうのはホントタチが悪い生き物(笑そして、青山の松田くんもどうしようもなくハマってた(笑) いますよねえ・・・ ああいう若い営業マン。 したり顔で仕事とか女のこととかうんちく垂れる奴(爆ああいう、世渡りうまくやってけよ系のオトコは個人的に大っ嫌いなだけに(笑)、憎たらしさ100%で観賞しました^^あのマンモスっていう会社自体が、どうしようもなく腹黒さいっぱい。それは会社の建物だけじゃなくて、上層部から派遣社員まで(!)、要領悪い奴をせせら笑ってる感じがもうたまんなくブラックでキライ(爆青山が連れてきた女なんか、最高にbitchだったしなー。何か会社自体の手口も汚かった(→ それがうまいところでもあるんだけど)「人の食っているもんが、たまんなく旨そうに見えることってあるじゃないですか?」っていうセリフ自体が、彼らのワールドの象徴みたいな気がする。それってどんなの? って、それを手に入れる努力をした人のことは全く気にせずに、堂々とつまみ食いして飽きたらポイ捨て。 それが見てくれ的にはスマートだと思われるから、それがいいと思われがちなんだけど、田西の生き方ってそれとは真逆。マンモスがそうなだけに、対する斎田産業はやっぱり田西的な生き方というか、世渡りもそうなんでしょうね。人に美味しいところまた持ってかれちゃったよ・・・って言っても、まあそれでもいいやって思えちゃう。社長のリリーさん最高だなあ。あと上司の小林薫さんも。全然ダメでもいいじゃん、何か1つだけでもいいところがあれば。そういう風に、なかなか言ってあげられない世の中だからこそ、こういう人を見るとホッとする。個人的には田西の鼻ちょうちんが気になったけど、それを除けば、峯田和伸さんの体当たり演技は不器用だけど好き。 みんながみんな、世渡りできるわけじゃないんだから。 そういう凸凹さを気にしている人にはこの映画は響くと思う(→ しかし痛いけど)最後なんか、もっとやれーって感じだったけど、田西のキャラとか優しさならあれが限界だったんだろうなあ。 そのあたりのさじ加減も絶妙でした。**********************************今日の評価 : ★★★★ 4/5点
2010.02.04
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監督・プロデュース・音楽 : 小林武史 原作・脚本 : 菅知香 プロデュース・脚本 : 岩井俊二 出演 : 赤西仁 、 北乃きい 、 高良健吾 、 柴本幸 、 金子ノブアキ 、 笠原秀幸 、 杏 、 伊藤歩 、 財津和夫 公式サイトはこちら。<Story>90年代、空前のバンドブームが巻き起こっていた。そんなバンドの1つ、LANDS(ランズ)のCDを聴いたアサコ(北乃きい)は天才的な音楽センスを持つユキヤ(高良健吾)に惹かれ、LANDSのファンに。ミハル(杏)とLANDSのライブに行ったアサコは楽屋に忍び込み、LANDSのメンバーでボーカルのナツ(赤西仁)に気に入られる。ナツによってLANDSの練習場に連れて行かれたアサコはこれを機にLANDSと深く関わっていく。そして、アサコとLANDSの運命は大きく変わっていった…。BANDAGE バンデイジ - goo 映画<感想>気にはなってたんですが日にちが経っちゃって、ようやく1週間後の観賞。岩井作品は、『ハルフウェイ』が今1つ取り残されちゃった感じで乗れなかったから、これもどうかなあと若干不安ながらも、でも予告の音楽がよさげだし、北乃きいちゃん高良健吾くん出るしーと、惹かれる要素満載なんで、これは観ないとわからん! ということで行ってきました。90年代初めって、その頃は私事忙しくて音楽観賞からちょっと離れた時期でもあったけど、バンドブームでもあったのはなんとなく覚えてます。インディーズとかいっぱいいましたね。このLANDS、見てる感じでは結構スレてなくて、ピュアな部類に入りそうな気がする。 まあ映画なんであまりにもダークにはできないのもあると思うが。ナツの設定って、ちゃらちゃらさせようと思えばいくらだってできちゃうのに、敢えてそれをしてなくて、方向性が定まってない、くらいに抑えているのがこの映画にとっては効果的。そしてユキヤは天才、アルミ(→ この役名が柴本さんにピッタリ)はこだわり派、ケンジは自信喪失、リュージは職人肌と、キャラが微妙にバランス取れてるのが共感持てます。私知らなかったんですが、金子ノブアキさんはもともとドラマーなんですね。 道理でうまいわけです。『クローズZERO II』 が印象的なんで、役者だけだと思ってました。 天晴れ!それで、感想としてはすごくよかった。 これは期待通りで本当にうれしいところ。これから俺たちどうなるの? っていう焦燥感。 それは自分たちの感覚の違いとか、レコード会社やプロダクションの思惑なんかにも左右されちゃう。その危うさみたいなのがしっかり描かれていましたね。何となくバンドしてるようなナツに対して、スタイルを持つユキヤとアルミ。 ここでもう大体LANDSがどういう道をたどるかは見えるんだけど、でも見えてても彼らのとんがった表情にぐいぐいと惹かれてしまう。(C)2010「BANDAGE」製作委員会高良くんも柴本さんもまさにこれしかない!ってキャスティングで、惚れ惚れしちゃったな。。。彼らのもがき方もハンパじゃないし、才能があるものならではのジレンマも、出演時間は主役に比べると短いながらも伝わってくる。 ユキヤ@高良くんのサウンドのシーンとかも最高にカッコよかったし。 そして柴本さんやっぱり好きー。 彼女は基本、男っぽい役が似合うのかもしれません。金子くんも、その経歴から漂ってくる刹那をうまく出していたし、笠原さんも、一歩後から付いていく立場のやるせなさが何か見てて切なかった。脇も何だか、ジャストフィットな感じの場面がたくさんありすぎちゃいました。 たとえば伊藤歩さん。 ちょっとスカート丈短すぎとも思いましたが(笑)、ユカリの持っている怒りだとかブチギレとかが、最後に形を変えてこちらに返ってくるのはいいなあーと思った。 あとお久しぶりに観た財津さん! 最初どなたかと思いました。 お元気な姿拝見できてうれしい~~。 ギョーカイ人の脱力感がほとんど素なんじゃないかって思うくらい(笑彼らに対峙する、というか、この気流を作ってしまうアサコ。 この出会いも、そうそううまくある訳じゃないでしょ! とツッコめばそれまでなんですが(笑)、まあ映画なんでそこは目をつぶるとして。ギョーカイ入りするきっかけって、案外どうでもいいところから生まれるものなのかもしれないですね。それでも全然ギョーカイ人らしくならないアサコちゃん、という感じなんですが、彼女もまたLANDSを通じて成長していくんだなあ。。。って感じるのは、私がママ役の斉藤由貴さん的目線だからだろうか(→ 彼女もよかったよねえ。 笑)「おまえがLANDS壊したから」って言われたって、それも壊したくて壊そうとしたわけじゃない。 大体壊れてないし壊したくなんかない! もがくアサコの心中がわかる。人の心はいつも、ひとつところになんてとどまる訳はない。 永遠にそのままだなんてことは絶対にない。 その中で自分の立ち位置を見つけていく。 そして人は孤独。 だから、同じように孤独を語るものに共鳴していく。 ユキヤはサウンドの中に自分の孤独を吐き出していく。 私たちがアーティストに惹かれるときってそんなものじゃないだろうか。 アサコもミハルも自分の代弁者を見つけた。 そしてそこからさらに表現者、創造者として立ち上がった。 見てて清々しいしまぶしい。素直にそんなきらめきを感じました。ジャニーズ!? って思い込みはこの際なしで、真っ白にして観てみると、何かが浮かび上がってくるような作品でした。*********************************今日の評価 : ★★★★☆
2010.01.22
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監督・脚本・キャラクターデザイン・録音・Flash・編集・声の出演など : FROGMAN 公式サイトはこちら。<Story>長期休暇から戻った鷹の爪団メンバーに衝撃が走った。彼らの秘密基地が何者かの手で荒らされていたのだ。しかも、レオナルド博士がまだ故郷から戻っていないと言う。博士に液晶テレビを作ってもらい、それを来月分の家賃に充てようと画策していた総統は大弱り。仕方なく博士の故郷であるテキサスに向かう鷹の爪団一行。しかし、そこで彼らはジョン・ジョロリンと名乗る男から、博士が恐ろしい陰謀に巻き込まれたと聞かされる…。秘密結社 鷹の爪 THE MOVIE3 ~http://鷹の爪.jp は永遠に~/同時上映:古墳ギャルのコフィー - goo 映画<感想>すっかり我が家の行事と化しつつある、この「鷹の爪」シリーズの観賞。過去作品感想はこちら ↓『秘密結社 鷹の爪 THE MOVIE ~総統は二度死ぬ~』『秘密結社 鷹の爪 THE MOVIE II ~私を愛した黒烏龍茶~』『ピューと吹く!ジャガー ~いま、吹きにゆきます~』やっぱり最初が一番印象深いかなあ。寝てしまうともうついて行けなくなっちゃう。実は本作もそうでした(苦笑) もう始まって10分くらいで眠気が。。。 15分くらい寝ちゃったかな?大家さんが出てきて・・・ くらいでもう撃沈。ネタとしては、2作目とかに似ているなという感じです。 バジェットゲージとか赤字ゲージなんかはやっぱり面白いけど。あとは山崎貴チームのCG部分はさすがに豪華でしたよね。 最後なんて、壊すのもったいないと思ったくらい。ひそかに「目覚ましタイム」「おさらいタイム」に期待したのですが ・・・!? ありゃりゃでした(笑) って、そんなもんなんですけどね。ジョン・ジョロリンとか、途中ちょっと汚い系のネタでしたんで、そこはうーん・・・でしたが。セリフにもありましたけど、どうしてもテイストが3作目ともなりますと似てきちゃうんですよね。 ここをどうやって克服していくかがシリーズ続投のカギなのかもしれません。コフィーちゃんの、コフンデレラ。 これは結構好きでした。 王子様の顔がまずウケます。**********************************今日の評価 : ★★☆
2010.01.17
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監督 : 新城毅彦 原作 : 青木琴美 出演 : 井上真央 、 岡田将生 、 仲村トオル 、 杉本哲太 、 森口瑤子 、 細田よしひこ 、 原田夏希 公式サイトはこちら。(TOHOシネマズ1か月フリーパス鑑賞 12本目)<Story>8歳の頃出会った逞(岡田将生)と繭(井上真央)。2人は互いに恋心を抱き結婚の約束をするが、逞は心臓に重い病気を患っており、二十歳まで生きられない身体だった。そして時は経ち、2人は高校生に。繭は今も一途に逞を愛し続けていた。しかし逞はそんな繭をいずれ訪れる別れで悲しませないために、自分から遠ざけようとする。それでも繭に思いを寄せる同級生の昴(細田よしひこ)や逞と同じ病気で床に伏せる照(原田夏希)との出会いの中で、彼の心は揺れ動いていくのだった……。僕の初恋をキミに捧ぐ - goo 映画<感想>何となく結末はわかるような気がするんですが、せっかくの岡田くんなんでフリーパスの恩恵を受けることにしました。何だか少女マンガみたいな話だな・・・ と思っていたらやっぱり原作はマンガでした。どことなく中学高校の様子も、現実離れしている感じでして。こんなにイケメンとか美女とかってそうそうたくさんいないんじゃない? 笑うーん、好きな漫画はとことん好きで、マンガを映画化した作品が全て苦手ということはないんですが、こういう感じのはちょっと自分の好みではありませんでした。お父さん役ですが、杉本さんというのは当てはまっているとしても、仲村トオルさんが真央ちゃんや岡田くん世代のパパというのはちょっと若すぎませんかね・・・? 考えてみたら岡田くんの映画は結構観ていました。『天然コケッコー』はとてもピュアな感じがよかった。『ホノカアボーイ』は、それのお兄さんバージョンって感じで、ナチュラルでしたね。彼の作品で一番いいと思うのは何と言っても『重力ピエロ』。 これは多面性を持つ主人公で難しかったと思いますが、よく演じたと思います。こうして見ると岡田くんは圧倒的に学生役が多いんですが、本作はその中でもいちばんいろんな意味で「現実離れ」してしまったかも。 同じ高校生の役、しかもベタベタ系(!)でも、まだ 『ハルフウェイ』の方がリアルな空気感というか、若者ならではの壊れやすい繊細さみたいながあったように思いました。テーマ的には非常に重たいものを取り扱っていて、果たしてこれを関係者が観たらどういう風に感じるのだろうかとは思いました。移植する方される方、どちらも複雑な思いで臨む訳ですから。片方の喜びがもう片方の悲しみでしかない辛さ。 この苦しみは部外者にはわからないのかもしれません。その矛盾を演じた、双方の両親というか保護者世代はうまかったと思いました。 堀内敬子さんが特に。主演のお2人は、そこそこキャリアも積んだという点が共通で、そこは遜色なかったと思いましたが、いかんせんこの2人のペースでず~っと映画を引っ張っていっちゃった感じでした。 そこがいいと思えるのか、そうでないのかでこの映画の評価は分かれてくると思います。********************************今日の評価 : ★★
2009.11.25
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監督 : 星田良子 音楽アドバイザー : 奥田民生出演 : 竹中直人 、 宅麻伸 、 斉藤暁 、 稲垣潤一 、 段田安則 、 浅田美代子 、 紺野美沙子 、 貫地谷しほり 公式サイトはこちら。(TOHOシネマズ1か月フリーパス鑑賞 11本目)<Story>「男性、53歳。末期の胆のう癌…」胆石の手術で入院していた藤岡徹(竹中直人)は、偶然主治医の言葉を耳にして愕然とする。退院後に妻の章子(浅田美代子)と共に息子の学園祭に遊びに行った徹は、そこで高校生バンドを見てかつて自分も親友たちと組んでいたバンド“シーラカンズ”を思い出す。「家族に音を残したい」徹のその思いにかつてのバンドメンバーたちも動かされた。そして、メンバーとその家族を巻き込んだ“僕らのすばらしい日々”が始まる…。僕らのワンダフルデイズ - goo 映画<感想>26日(木)で公開終了のこれをチョイス。 終了間際の作品ってみんな朝早いのね(苦笑時間がかぶってしまって、他に観れなくなる作品があったのは非常に残念です。。。アラフォーならぬ「アラフィー」の物語。アラフォーだったら、まだ独身がいたり、結婚してても子どもが小さかったりで、何となくまだやり直しのきく年代なんでしょうけど、アラフィーともなってくると、もう子どもが独立したり仕事でも責任取らされたりと、何かとずっしりとしたものがのしかかってくる世代なんだろうなーと。そこに自分自身の健康問題が発生してくる訳ですからね。今まで自分の道だけは順風満帆だと思っていたのが、妙に弱気になったりすることもきっとあるんだろうと思います。仕事と家族しか見て来なかったけど、たまには他の世界もあってもいいんじゃないかと思ったり。徹を演じる竹中さん、さすがに濃いですね f^^;だけどバンドのボーカルやって様になるアラフィーっていうのも、この人ならではとも思う。音楽監修が奥田民生さんで、歌詞もまっすぐな感じなのが多いんで、それを堂々と歌い上げるって決まるっていうのもある意味個性がないとできないかな。そして何と言ってもうれしかったのは稲垣潤一さん(笑) ほとんど、ドラムの辻褄合わせ? のために登場した様な雰囲気ですが、昔を知っている者には妙に懐かしく(笑)、しかも彼があんまり変わっていなかったのもよかった。 何気にこの物語は彼の存在なしには動いて行かなくて、彼がいたからこそシーラカンズも成り立っていましたね。 段田さんも、初めてTVで拝見したのがもうかなり前で、ああこんな感じに年を取っていかれるんだ。。。 というのが何となくわかるお年頃?キャストもまさにアラフィーという感じですよね。宅間伸さんの哀愁もまさにこの世代ならではで、子どもとのコミュニケーションの難しさなんかもうまく混ぜていたように思います。頑張ってきたけど、そんなに走り続けてたら息が切れる、このあたりで楽しくやろうぜ~ という元気? 意気込み? のようなお話。 同世代の方々には親近感あるかもしれません。個人的には、あの女優さんが登場したところが大爆笑でした。 私、ずっと前からファンなんです(笑***********************************今日の評価 : ★★★
2009.11.25
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監督 : 本広克行 原作・脚本 : 上田誠 出演 : 長澤まさみ 、 三宅弘城 、 諏訪雅 、 中川晴樹 、 辻修 、 川島潤哉 、 岩井秀人 、 志賀廣太郎 (TOHOシネマズ1か月フリーパス鑑賞 7本目)公式サイトはこちら。<Story>超常現象番組のAD・桜井米(長澤まさみ)は、幼い頃から超能力の存在を信じていた。番組の企画で視聴者からの情報を基に、エスパーを見つけるために全国を飛び回る米。しかし、どれもガセネタばかりだった。世間がクリスマス・イブで浮かれる中、最後にたどり着いたのは喫茶店“カフェ・ド・念力”。だが、ここは本物の超能力者が集まる店だった。自分たちの秘密を守りたい超能力者たちは、米に正体がバレず、無事に帰す事ができるのだろうか!?曲がれ!スプーン - goo 映画<感想>フリーパスでなかったらたぶんこのテの作品って自分は見ないんだろうなあ。。。 という予感がした1本。 予告でチープ感が伝わり過ぎてしまうんですね。 公開翌日のお昼だというのに、客席が5割程度しか埋まっていないのも何となく早めに打ち切りになりそうな感じ。 もっとも『イングロリアス・バスターズ』や『2012』などと同時期の封切というのも、ちょっと割を食っている感じがするような。そしてよく考えてみると長澤まさみ主演ってこれが初鑑賞かもしれません。 あまり彼女の作品は、観たいと思う邦画じゃないジャンルが多かったかな? そういう意味でもちょっと興味があり、フリーパスの恩恵を使ってきました。観始めて、「ありゃ~これやっちゃったかな?」と一瞬思ってしまったほど、超常現象のエピソード部分や米の幼少期の回想部分があり得ない感じで、番組自体は存在してもまあいいのかなとは思いますが、この掴みはかなりうーん。。。と思ってしまったのでした。 そもそも超常現象の出現って、そうそうタイミングよくとらえて、映像になってお茶の間で見れるというものでもないように思うんですよね。それでも、子どもなら誰もが通る、「もし~~だったら」という疑問や好奇心が、米のベースになっているということはわかるのですが。番組ADの長澤さんですが、あの業界の持つ「適度の投げやり感」とか、「けだるさ」のような感じはよく出ていたと思います。 変にいい子キャラで、シャキシャキしたらかえって不自然なだけに、この方向はよいと思います。 彼女の衣装も今時のコって感じで可愛くて好き。そんな彼女が番組の取材で行った先が香川県ということなんですが、ここでいろいろと善通寺などの観光スポットが出てくるのはまあご愛嬌として。。。念力者たちの描き方がとてもおかしかったんですが、「それって絶対念力じゃないだろ!」って言いたくなるようなことを真剣に番組に投稿している人も本当にいるんだなーと思う。 だって「細男」ってさ。。。 爆 意味ない~~(笑ただ、自分たちがエスパーだってことをカミングアウトするのも相当勇気が要りますし、それはエスパー同士でしか共有できないし、万が一集まっても誰かがエスパーじゃなかった時の混乱もあると思いますし。 エスパーにはエスパーならではの苦しみ? があるのかなと。この喫茶店のオーナーも含めたエスパー関係者、自分はほとんど全員知らなかったですね。 どうやら演劇系の方たちのようなんですけど。 毒グモの方に寺島進さん、松重豊さんという実力派がいて(笑)、どうにも贅沢な使い方という感じがしましたけど、エスパーメンバーとのギャップあり過ぎて、狙い過ぎみたいな感じもしなくないです(笑話としては終わってみるとほんわかムードで、エスパーとは何ぞや? などと大上段に構えることもなく、人がみな持ったことのある「何故?」という原点の気持ちを非常に大事にしているように思えました。ただいかんせんラストがなぁ・・・ と思うんですよね。 監督が言いたかったことはこれなんだろうなとは思いつつも、もっと長澤さんとの関連などを描かないと、彼女はまるで旅のレポーター的な役割になってしまってたようでした。YUKI、矢野顕子の劇中歌はとても雰囲気に合っていたと思いました。***********************************今日の評価 : ★★☆
2009.11.22
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監督・脚本・編集 : 冨永昌敬 原作 : 太宰治 出演 : 染谷将太 、 川上未映子 、 仲里依紗 、 窪塚洋介 、 ふかわりょう 鑑賞劇場 : テアトル新宿公式サイトはこちら。<Story>日本が戦争に負けた年、「新しい男」に生まれ変わる決意をした利助(染谷将太)だったが、血を吐いて結核療養の健康道場に入る。患者は塾生、看護婦を助手と称し、屈伸鍛練や摩擦など一風変わった治療法を実践するそこでは、互いをあだ名で呼び合うのが習わしで、利助は「ひばり」と名づけられる。しばらくすると新しい組長こと看護婦長の竹さん(川上未映子)が赴任する。ひばりは助手のマア坊(仲里依紗)や竹さんとの日々を詩人のつくし(窪塚洋介)に宛てた手紙に綴る。パンドラの匣 - goo 映画<感想>これも上映館が非常に少なくて、貴重な平日休みを費やして鑑賞(涙やっぱり太宰ものはハズせませんので。。このあとに『THIS IS IT』を鑑賞したんですが、あっちの方が日記書くの速かったんで、これは後からのUP分。どうしても『ヴィヨンの妻』と比べてしまいますが、こちらのほうが繊細な雰囲気があり、画質も綺麗。そして何と言っても、キャストに、第138回芥川賞受賞作「乳と卵」の著者である、川上未映子氏が抜擢されていること。「乳と卵」は読みましたが、その何とも言えない文体がまた彼女の魅力だったりします。そしてミュージシャンでもある彼女。 下の写真のような、ギター弾き語りなどはお手の物だったんでしょうね。また女優としても活躍して、何ともマルチな魅力がある彼女。 今回の「竹さん」役に大抜擢なんですが、よくぞ出演してくれた、というか、これほどまでにピッタリな配役もそうそうないのではないだろうか。大胆で、かつ気風もよく、それでいて押さえるところはしっかりとしていて。 ですけどどこかでちゃんと自分の効果や価値を計算しながら生きるしたたかさもある。 「年増」と言われてしまう竹さんですが、それでも官能的な雰囲気も残していて、こういうバランスは、川上未映子にしか出せない味とでも形容すればいいのだろうか。 不思議なまでに当てはまっている。終戦後の、どことなく日本全体が「これでいいのだろうか」と戸惑いながら進んでいく感じや、それでも旧きよきものが色濃く残っている様子、その中に織り交ぜられる、昔の人の、立場をわきまえつつもおきゃんな感じなどがよく出ている。この「道場」も本当に不思議な場所で、実際当時の結核療養施設には珍しい描写である。 暗くて希望が少ない感じのする従来の描写とは違い、「若い女性指導員」 をたくさん配置して、鍛練と摩擦で健康体を取り戻すという発想が明るい。 この映画の鑑賞後に原作を読みました。 200ページくらいなので、2時間ほどで読めてしまいましたが、太宰の作品の中ではこれは明るい分野に属するのではないだろうか。 (C) 2009「パンドラの匣」製作委員会竹さんがクールで大人な、昔気質の女性だとしたら、対するマー坊はおきゃんそのものである。 この道場のムードメーカー的存在かもしれない。 一歩間違えれば同性から総スカンを食らうキャラクターなのに、そうなっていないのは時代のせいだろうか。 総スカンのギリギリ手前で止める計算が、彼女にもあるのかもしれない。仲里依紗のふわっとした雰囲気が、殺風景な療養所にも彩りを添えている。 総じて女性陣の衣装などもまた、観るべきものがあり、和服のコーディネートなどはかなり楽しめる。 これも『ヴィヨン・・』よりも小ざっぱりとした和服で、凝ったところを見せないようにしてもついついレア感が滲み出るのが何ともお洒落。道場の女性たちの白衣も、ちょっとコスプレ感もあって楽しい。こう書くとこの映画は女性たちに引っ張られているようにも見えるけど、登場人物の数の上では男性の方が圧倒的に多く、1人1人個性的に仕上げている。原作とはベースになっている設定が多少異なっていて、ラストなどはかなりいじっているけど、それもありかもしれないと思わせるのは、窪塚洋介の魅力だからなのだろう。 そして主人公の「ひばり」。 染谷くんはどことなく頼りなさ気に感じてしまうが、内面の成長が伴っていて、語り部としてはよかったように思う。 他にも、かっぽれや越後獅子なども、味のあるキャラクターに仕上がっていた。 友情出演のKIKIも優美さが引き出されている。原作はなるほどと思わせるが、映画のラストも面白みがあって、いい意味で映画への改編が成功している。 ビジュアル的にも面白かった。『ヴィヨン・・』よりも、こちらの方が無理なく設定としては受け入れられるし、人物の心情も追いやすい。 そして何よりも、この作品独自の世界が展開されていくことによって、観客が最後まで飽きずに引き込まれていっている。 ***********************************今日の評価 : ★★★★☆
2009.10.28
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監督 : 佐藤祐市 脚本 : いずみ吉紘 出演 : 小池徹平 、 マイコ 、 池田鉄洋 、 田辺誠一 、 品川祐 、 田中圭 、 中村靖日 、 千葉雅子 、 森本レオ 試写会場 : 映画美学校公式サイトはこちら。<Story>高校中退でニートのマ男(小池徹平)は、母(朝加真由美)の死をきっかけに一大決心。プログラマの資格を取得して、なんとか小さなIT企業に就職する。しかし、そこは想像を絶する“ブラック会社”だった!サービス残業・徹夜は当たり前、ありえない仕事量、納期を目指して毎日デスマ(デスマーチ:死の行軍)が続く!超過酷でへんてこな職場と、クセ者ぞろいの同僚たちに、マ男の限界はピークに。「もう俺は限界かもしれない!!」果たして、マ男の運命は…?[ 2009年11月21日公開 ]ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない - goo 映画<感想>Yahooユーザーレビュアー試写会にて鑑賞。会場はほぼ満席。正直とても長いタイトルだと思いますし(笑)、チラシなんかでもにぎにぎしかったので、お笑いに近いノリなのかと思ってました。まあそれは当たってるって言えば当たってるんですが。。。最近の過重労働ぶりを象徴するような話だし、昨年の世界同時不況からの雇用確保の難しさなども織り込まれている。タイトルから、もっともっと「映画にはできない」という意味のブラックな会社なのかと思いましたが、あくまでも労働者サイドからみた場合のブラックさのようです。会社自体は正当なことをしてはいても、それが従業員の精神的・肉体的な犠牲の上に成り立っているようではダメなことは百も承知している。 が、しかし、現実にこのような会社はきっと存在しているだろう。その原因が外部からの圧力とか競争に勝てないとなどというのならまだ社内で奮起すればいいという道もあるが、内部同士の足の引っ張り合いが会社の発展を妨害しているとしたら、出社するのも嫌だろうし、ストレスの持って行き場がなくなる。ここに出てくるリーダーは、自分の権威だけが大事で、そして井出はリーダーの腰巾着。 彼らのイジメのターゲットもちゃんと存在している。 そして白馬の王子様やみんなの憧れもいるし。 やっぱりあるんだろうなーこういう会社(苦笑「そんな会社しか拾ってくれなかった」マ男が、救いようがない現実に直面しても逃げられない理由も本当に切ないのですが、過去の自分と決別していく彼が、いままでどうしようもなかった周囲を動かして行く。中西さんも上原さんも藤田さんも、それまではなかった自分の思わぬ面が、マ男の存在で引き出されていく。実際にはこの結末はどうなんだろう・・・? と思わなくもないが、これもこういう世の中なんで、いいのかもしれない。 結構笑わせていただいてしまったし。上映終了後、佐藤祐市監督のティーチインがありました。・キャスティングについて小池徹平くんとは旧知の間柄だったんで、この映画は彼で行くと聞いた時は、正直やりやすいと思った(笑アイドル系のように見られがちな彼だが、実は骨っぽいものを持っていて、演技に対しての取り組み方とか、現場での姿勢なんかがとても好きな俳優でもあります。1人の「役者」として彼を見てほしいという思いがありますね。品川祐さんは沖縄でご一緒だった時、飲みに行って「態度が悪い人だな」と思ったんですが(笑)、最後に小声で「今度使って下さい」なんて言ってました(笑) お笑いの人は根が真面目なんですね。 こちらからオファーをした時に快諾してくれました。マイコさんは、普通の女性が言うと嫌みになってしまうところが、彼女が言うとそうは聞こえないような部分があり、立派にコメディエンヌとして素質がある女優さんだなと感じました。組み合わせについては、リーダーが品川さんなら井出は誰がいいのか、など、原作も非常に濃いキャラクターなので、考えながら決めていきました。・小道具についてリラックマ=マイコさんっていうイメージはあまりないだろうなと思い、敢えて採用しました(笑ああいう感じで、会社で見ている人も多いんじゃないかなと思いまして。割とそんなところもこだわっています。・この映画で愛情を込めた部分は?最後のマ男の選択はもしかしたら今よりももっと辛いものになるかもしれないが、逃げることよりも、一歩を踏み出すことを描いて行きたかった。過去の自分を決別することは悲しいと小池くんが言ってましたが、何かを捨てないと先には進んで行けないから。あとは最後にみんなが協力するところなどでしょうか。他にも、実際にIT企業で働いているのでこの映画は人ごとには感じなかった、とか、今就活中なので参考にしたい、などの方々もおられました。先が見えない、希望が持ちにくい時代だからこそ、ブラックさの中にもユーモアがあり、シニカルな目線もありという本作は、楽しませてくれそうです。そして佐藤監督は、とてもユーモラスで明るい監督でした。そして笑いに対してもすごく真面目に取り組んでおられる印象。 劇中に出てくる、某映画のパロディなんかはかなり笑ってしまった。キャラクターの特徴も、例えば木村くんなんかは冷酷なのにどこかズッコけていたり、通り一遍の性格だけじゃなくて、その人の裏側ものぞかせているなど、細かい配慮がなされた作品でした。**********************************今日の評価 : ★★★☆
2009.10.25
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監督・脚本 : 山崎貴 出演 : 草なぎ剛 、 新垣結衣 、 武井証 、 筒井道隆 、 夏川結衣 、 香川京子 、 中村敦夫 、 大沢たかお 公式サイトはこちら。<Story>ひょんなことから戦国時代にタイムスリップした小学生・真一(武井証)は、春日という小国の廉姫(新垣結衣)と、姫を命がけで守ってきた侍・又兵衛(草なぎ剛)と出会う。真一の面倒を見ることになった又兵衛は、最初は嫌がっていたものの、素直な心を持つ真一に徐々に気を許し、奇妙な絆を育んでいく。そんなある日、北関東の大名・大倉井高虎(大沢たかお)が美人の誉れ高い廉姫に婚儀を申し込む。国のことを思い、縁談を了承する廉姫と又兵衛。しかし幼なじみの二人は、この時代には決して叶わぬ身分違いの恋を、互いの胸深くにしまい込んでいるのだった…。BALLAD 名もなき恋のうた - goo 映画<感想>まずは作者の臼井儀人さんのご冥福をお祈りします。実はクレヨンしんちゃんってまともにアニメを見たことがない。今の高校生くらいが子どものころから放映されているような気がした。まだ上の子が生まれたばかりのころ、少し上のお子さんを持つママ友さんと話をした時のこと。 「あれは子どもには見せたくないのよねえ。。。」と彼女は言ってました。 やっぱりしゃべり方が気になるらしいです。うちの子たちはあまりしんちゃんには興味を示さなかったので、自然に見ることもなくこれまで経過してきちゃいました。今回、臼井さんが不慮の事故でお亡くなりになり、またたまたまこの映画を見た友人が「いい映画だった」と言っていたことから、それではということでシルバーウィークの最後に鑑賞。SMAPの中では草なぎくんが実は一番好きなんで、この映画興味あったんです。シルバーウィーク最終日&水曜レディースデーがバッティングして、ものすごい混雑になるのはわかっていたので予めチケットは朝購入。 それでも私が観た回は満席でした。幅広い年齢層。。。 というと聞こえはいいのですが、休日にめったに映画を見ない層が大挙して押しかけてるっていうこと。 上映中、大声で笑ったり、携帯鳴らすだけじゃなくてしゃべり始めた人がいたのには閉口しました(→ どっちも同じオヤジだったんです)あとはゲタゲタ笑いだす「笑い組」みたいなおばちゃんたち数名。でもこういうのはホント止めてほしいんだけど。草なぎくんの作品は『ホテルビーナス』(→ DVD持ってますが日記なし)、『山のあなた』を観てます。TVも「ぷっすま」とか好き。何か一歩引いた感じがいいんです。この映画の中でも、とにかく一生懸命なんですよ。 廉姫LOVEなんだけどそれをひたすら隠してお家のために、みたいな設定です。味方の周りからだけでなく、周辺諸国の武士にまでとどろいている評判ってカッコいいじゃないですか。どう考えても無謀な作戦なんだけど、彼と一緒なら何だかできそうな気がする、そんな夢を見させてくれる武士っていいですね。初めは、未来から来た真一たちをしょうもないと思うけど、次第に真一たちのまっすぐな姿勢に協力して打ち解けていくところなんかもよかった。しんちゃんの武井くんは直近で『ぼくとママの黄色い自転車』を観てます。 これはいい子過ぎちゃった感じの役でした。 本作の武井くんはそれに比べるとナチュラルっぽく、好感持てます。しかし筒井くんと夏川さんが両親役っていうのもちょっとショックだったり。。。 まあみんながそんな年代になったんでしょうね。(C)2009「BALLAD 名もなき恋のうた」製作委員会 (C)臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK 2009廉姫の新垣さんの仕草がお姫様らしからぬ感じなんですけど、私はこの感じは好きですね。当時は自分の思うままになんて絶対に生きられなかったお姫様ですから、このくらいの夢は見させてあげてもいいんじゃないかと。そういう自由さを出していたところなんかは、父上役の康綱もいい感じ。文四郎役の吉武怜朗くん、彦蔵役の波岡一喜さんもよかったです。あとは女性たちの強さが印象に残りました。『BABY BABY BABY!ベイビィ ベイビィ ベイビィ!』 でも女医さんを好演した斉藤由貴さん。 ここでも文四郎とのシーンがよかった。 こういう演技させると彼女はうまいですね。それと美佐子の夏川さん。 この2人を見ていると「女は強し」っていう言葉がそのまま当てはまると言いますか。。。 任せなさいという雰囲気がさすがでした。最後に香川京子さんですかね・・・。 ひっそりと脇を締めているような役でした。 脇役さんたちも素敵な感じ。そして、この映画でなるほどと思ったのは、合戦の後方を描いていたことです。前線で武士たちが必死に闘っていますけど、その後方は意外とどっしりとしていたんですね。 女性たちが炊き出しを作っているところなんかも場面にあったりすると、とても死闘を繰り広げているとは思えないくらいの感じ。あと、貝の音で合戦が終了するという暗黙の了解があるのもまた面白かった。 武士には武士のルールが存在しているんですね。 今日はこれにて・・・ という言葉の意味はこれだったのか。あとは大将の首を取るにもルールがあるということ。今の戦争にはそういう美学がないだけに、それが成立して、お互いがきちんと守っていた時代があったというのが不思議です。強いて言えば、やっぱりラストの持って行き方ですよね。 ああいう感じに突然なっちゃうのは何ともな~と思うんです。何でいきなり又兵衛に!? 又兵衛だけ前から? 最初のあの武士たちなのか? なんて、様々思うんですけど、ちょっと強引だったかなあ。。。と、いろいろあるんですが(笑)、全体的に楽しめる作品ではありました。**********************************今日の評価 : ★★★☆
2009.09.23
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監督・脚本 : 大森美香 原作 : 桜沢エリカ 出演 : 小林聡美 、 加瀬亮 、 伽奈 、 シッティチャイ・コンピラ 、 もたいまさこ 公式サイトはこちら。<Story>大学生のさよ(伽奈)は卒業を控え、タイ北部・チェンマイのゲストハウスで働く母・京子(小林聡美)のもとを訪ねる。迎えに現れたのは母の仕事を手伝う市尾(加瀬亮)だった。小さなプールのあるゲストハウスには、オーナーの菊子(もたいまさこ)やタイ人のビー(シッティチャイ・コンピラ)という少年らがいて、母は楽しそうに暮らしていた。そんな母の姿を、さよはどうしても素直に受け入れることができないでいた…。プール - goo 映画<感想>予告からしてこれはもう、 『かもめ食堂』 『めがね』系っていうのはわかります。前者は感動でしたが後者はNGだった私。今回、「小林聡美&チェンマイで企画」というのがあったらしい映画というのは小耳に挟んでいましたので、企画ものっていう頭はあらかじめ入れておくことで鑑賞することにしました。 こうしておけばダメだった時にそんなに落胆感がないからです。それにしても、出演者のうち、小林さん・もたいさん・加瀬くんがご一緒ということで、まんま『めがね』なんですよね。どうしてまた同じ人を集める??それがまず疑問。映画の場合、既視感って、シリーズものは別ですけど、あまりプラスにならないような気がするんですよね。 「またもう1回?」ってお客さんは思ってしまいそう。この日の2本目、飯島奈美さんのフードスタイリングつながりでこれにしてみました。しかしながら、本作は、そのせっかくのスタイリングが生きていません。まず、食べ物のアップがほとんどと言っていいくらいない。 タイ料理は私も好きですし、ここでどんなスタイリングをしているのだろうかというのは少なからず楽しみにしていただけに、これは本当に残念。最後のエンドロールのカットで、ようやく何を食べていたのかがわかるんだけど、ここで出すくらいならなぜ映画の中で出さないのかな?『めがね』でも食はクローズアップしていたのに。。。?そして観ていて不思議なことがかなりありました。 正直この映画、かなり睡魔を誘われる感じなんで(苦笑)、ところどころ初めの方が記憶ないんですが、この物語の設定がよくわからなかった。 上のgoo映画のストーリーを読んで初めてわかったくらい。 母と娘はもちろんわかりますし、ビーくんを面倒見ているっていうのもわかるんだけど、その他の人物のつながりがはっきりしなかった。 そして、あのセットなんですが、壁が周りにない家らしいように見えましたが、かなり家電やPC、家財道具が置いてあって、夜なんて誰か盗りに来ないのか? と思ってしまった。母と娘の葛藤というところに焦点を当てているのは、前2作と違って、人のしがらみが初めて観れたような気がしたのだけど、どうもそれも掘り下げが浅くて、何となく納得したのかしないのかわからないまま、うやむやに映画は終わっている。 つかみは出したのだから、ここまで来たら出し切ってもよかったのではないでしょうか。加瀬くんの立ち位置もどうにもわからないポイントだったのは、『めがね』と同様。 全体的に前2作の続きの話としか思えなかったです。そのテイストに、去年観た『七夜待』 も、タイつながりで時々浮かんできたり。 どうしても、プロモーションのような感じがして来ちゃうんですよね。ですが、個人的にはまたこの続きもありそうにも思うんです。。。 女性狙いということで。*********************************今日の評価 : ★
2009.09.16
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監督 : 佐藤信介 声の出演 : 綾瀬はるか 、 戸田菜穂 、 大森南朋 、 谷村美月 試写会場 : ニッショーホール公式サイトはこちら。<Story>主人公の遥は、至って普通の女子高生。幼い頃母親を亡くし、父親に育てられた凛とした少女。遥が武蔵野にある子供の頃遊んでいた神社に行くと、捨てられたゴム式のおもちゃの飛行機を運んでいる“きつね”を目撃する。きつねを追っていくうちに、森の中に迷い込んだ遥。不思議な水たまりを見つけ、その生暖かい水に手を入れると……一瞬にして異次元の世界に吸い込まれ、「ホッタラケの島」に迷い込んでしまう。(作品資料より)[ 2009年8月22日公開 ]ホッタラケの島~遥と魔法の鏡~ - goo 映画<感想>この日ニッショーホールではこの試写は3回あったそうです。 夏休み&お盆ということで、ファミリーもたくさんな試写会。 3回転ですので分散されたのか、お客さんはちょっと少なめ。 でもこのくらい余裕あった方が観やすいですね。たぶん自分では観に行かなかったであろう作品ですし、ネットでの評判もやたら良いので、鑑賞させていただくことにしました。まず思ったのは、CGが非常に美しいということ。実写かと思うくらいの精巧さです。遥ちゃんが本物の人形のように見えました。 肌がポーセリンみたいに綺麗になってます。このCGの美しさが、ホッタラケの島にあふれる、ありとあらゆる物たちの洪水をもきれいに見せているんですね。あれはどこにやったっけ、またどっか行っちゃった・・・。はい、お恥ずかしながらそれしょっちゅうやってます(笑引っ越しも何回もしてますから、その時は「場所取るからいらないから捨てちゃおう」と処分したとしても、あとで「やっぱりあれは取っておけばよかった」などと後悔すること多々あります。で、引っ越したら引っ越したで、物の整理もするんですが、それでも家の一角が物置みたいになるんですよ(笑うちにもホッタラケ、たくさんあるなあ・・・ と思いながら観てました。ホッタラケとは「放ったらかしてあるもの」の意味だそうです。手にしたその時はいい気分でも、その喜びが過ぎてしまうのはあっという間なのです。(C)2009フジテレビジョン/ProductionI.G/電通 生きてきた中で、いろんなものに囲まれた生活をしてきて。 物は、その時その時の思い出を彩る存在です。だけど、もしかしたら思い出が薄れていくのと同時に、物の記憶もなくなって、ぞんざいな扱いになってしまっているのかもしれません。物は気持ちを語ることはできないけど、大事な思い出までもが忘れ去られてしまうことは、リンクしている物たちにとっても、実は哀しいことではないかしら。コットンは、遥との思い出を本当に大事にしていて、その思い出のために自分を投げうっていきます。何も言わないけれど、物にも心があるような気がしてなりません。遥はまさに今を生きる女子高生。 幼い頃の悲しみや、胸の痛みをなかったかのように生きてきて、その痛みを、今をかったるく生きることで忘れようとしている感じがします。ですがホッタラケの島にやってきて、忘れていた大事なものを思い出す。それは彼女があまり思い出したくない出来事だったかもしれません。一度思い出してしまうと、とことん物悲しくなってしまうが故に、封印してきたことでもありました。ですが、やっぱりどうしても恋しくて、そして自分にとっては唯一かけがえのないものだった。思わず飛び込んで行きたくなるような想いと、そしてありがとうの気持ちがあふれてきます。思い出は美しいもの、簡単に忘れることはなく、また忘れてはいけないことだから。誰しもが持っている思い出。夏休みという時期だからこそ、ふと立ち返って見たくなるような気がします。この夏は帰省できるかなあと思ったんですがお盆は無理でした(中途半端に近いので、帰ろうと思えばいつでも帰れるんですけど)。でも遥のお父さんを見ていると、今までの辛い記憶を打ち消すように生きてきた姿が見えてくるようで。遥につれなくされても、苦笑いして暮らしていくのなんか見ちゃうと、もうダメだ。。。 やっぱり父に逢いたくなります。一応父は健在なんですが、去年舅が突然亡くなってしまったのを見ているだけに、何時いなくなってしまうかわからないと思うと、やっぱり顔は見せてあげられる時には見せてあげるのも親孝行のうちかなと思いました。ふらっと帰ってみようかな。**********************************今日の評価 : ★★★☆
2009.08.15
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監督・脚本 : 西川美和プロデューサー : 是枝裕和出演 : 宮迫博之 、つみきみほ 、大谷直子 、平泉成 、笑福亭松之助 、手塚とおる 、絵沢萠子 公式サイトはこちら。<Story>どこにでもいるごく平凡な家族、明智一家。同僚の教師との結婚を控え幸せいっぱいの長女・倫子(つみきみほ)は、仕事第一の典型的なサラリーマンの父・芳郎(平泉成)と、毎朝同じ電車で仲良く通勤。しっかりものの母・章子(大谷直子)は、痴呆症の祖父・京蔵(笑福亭松之介)の世話を嫌な顔せずにこなし、家族を守っている。しかし、この一見何の変哲もない家族にも小さな秘密があった。蛇イチゴ(2003) - goo 映画<感想>そう言えば西川監督作品でこれを見ていなかったと思ってました。 彼女を語る上では、やはりこれは押さえておかないといけないですよね。『ゆれる』、 『ディア・ドクター』と彼女の作品を鑑賞してきて、これはやはり『蛇イチゴ』を観ないと始まらないかなあと。この作品が公開された頃って、まだ何気に子どもたちが今よりは小さくて、自由には映画鑑賞には行けなかったんですよね。行ったとしてもシネコン水曜日の午前に1本だけ、みたいな感じ。blogも書いてなかったしね。だからこの作品は当時ノーマークでした。静かに始まっていく冒頭部分。京蔵のアップ、このまま観ていてよいのか、目のやり場に困ってしまうくらいこちらは戸惑う。これが、この映画の中に現れる、明智家の「歪み」の伏線となっている。すなわち、対外的には、自分たちのやるべきことをきちっとしている「健気で堅実な家族」なのだが、それと引き換えに、いろんな感情を犠牲にしてきている。 感情だけでなく、事情もそう。章子が京蔵に対して思う気持ち。 賢明な嫁の務めとして行っている介護だけど、反面どうしようもない行き詰まりも持ち合わせてしまう。 このシーン、『ディア・ドクター』にも関連したものが出てきているが、「~せねばならない」という義務としてやっていると、「私だけが・・・」という自己犠牲の気持ちがどうしても出てきてしまって、些細なことでも自分の中でバランスが崩れた時に、矛先が思わぬ方向に向かって行ってしまう。 そんな危うさを抱えてしまう可能性は誰にでもある。芳郎を支えているものって何だろう。 彼を見ているとそう思います。 対外的に虚勢を張って、家庭には大黒柱としての威厳を見せる。 そのバランスを保つためには、それ相応の秘密が必要だった。そして唯一、明智家でまともなように見える倫子。 彼女の言うことは確かにいつでも正しい。 正しいのだけど、立場が子どもである以上、「親より正しくあってはいけない」と両親には思われてる。 ひた隠しにしてきた「心の闇」が明るみに出てしまい、両親が一気に瓦解していってしまった以上、最早子どもの方が正論であることは確かなんだけど、それでも自分たちの至らなさを認めようとせず、本来持ち合わせているだらしなさや甘さを惨めにもさらけ出して生き延びようとする芳郎と章子。 そんな両親を前に、倫子は正論を述べる。 それでも家を、家族を守ろうとしている倫子。 そんなことする必要があるのかと、観ている側は言いたくなるけど、それでもどうにかしたいと思う倫子を見ると、家族っていったい何なんだろうってつくづく考えさせられてしまう。エンドロールで気がついたんですが、実はこの映画の主役は上に出てきた誰でもなく、中盤からメインになってくる、音信不通だった長男・周治(宮迫博之)なんですね。この使い方がまた見事としか言いようがない。割と真面目に暮らしてきた両親からどうしてこんな子が・・・という要素がたくさんあって、家族に顔向けできない暮らしになってしまった。 そして彼の10年ぶりの帰宅も、心からそう望んだわけでもなく、まさに「引き寄せられた」ものであったこと。場の流れを読んで、恐ろしい速さで自分に有利になるようにその場を味方につける見事さは天性のものなのだろうか。周治と倫子、対極にある2人。だからお互いに相容れるものがないのか。 もう昔には戻れないのか。もしも見切ったあとに、相手の誠意が伝わってきたとしたら。 絶対に無理な相手だって、心には一片の誠実さが残っているのかもしれない。そして、正々堂々と生きてきたとしても、限界を超えてしまったら、自分の論理を展開してしまうものなのかと。ここが人の心のわからなさであり、本作の面白さとなっている。ラストでは、心のどんでん返しに驚くことになるだろう。とにかく、心の表と裏の揺れ動きにくっきりと焦点を当てているので、観る方も自分のこととして置き換えることができる。鎌田を見ているとそれが顕著にわかる。 出てきた瞬間から、胡散臭そう(笑)と思っていたのだけど、思った通りの人物であったのにはかなり笑える。 だけどこういう人って自分が汚らしい心を持っていることは認めないんだろうなあ。 そんな気がします。それにしても何で、「蛇イチゴ」なんでしょうね。このチョイスも実にうまい。いちごでも苺でもなくて「イチゴ」。 カタカナ表記にも意味がありそうです。そしてその前に「蛇」なんてものがくっつく(笑でもラストの映像を見ていただければ、どうしてその植物なのか。 それがハッキリしてきて、そういうところの描写に関しては西川監督はやはり一流だと思います。************************************今日の評価 : ★★★★☆
2009.08.11
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監督 : 河野圭太 原作 : 新堂冬樹 出演 : 武井証 、 阿部サダヲ 、 鈴木京香 、 西田尚美 、 甲本雅裕 、 ほっしゃん。 、 柄本明 、 鈴木砂羽 、 市毛良枝 試写会場 : 九段会館公式サイトはこちら。<Story>小学3年生の大志(武井証)は、父親(阿部サダヲ)と二人で暮している。母(鈴木京香)はデザインの勉強のため、パリに留学中。週に一度、母親からの手紙が届くのが大志は楽しみだった。しかし、ふとしたことで、母親がいるのはパリではなく、瀬戸内海の小豆島であることを知ってしまう。どうしてお父さんとお母さんは僕に嘘をついたんだろう?「お母さんに会いにいかなくちゃ」。大志は黄色い自転車に乗り、愛犬アンと共に、横浜から小豆島まで冒険の旅に出た。[ 2009年8月22日公開 ]ぼくとママの黄色い自転車 - goo 映画<感想>予告を見る限り、ハートウォーミング系? と予想して、まあそれならちょっと興味あるかなあ・・・? と、拝見させていただきました。原作は、直木賞候補にもなった新堂冬樹の小説。文部省推薦・家庭向けの映画だそうです。この、「家庭向け」というのが良くも悪くもついて回ってしまった感じがある。原作は未読ですが、ほのぼの系に描かれているならば、それを生かした作品と言えると思います。簡単に言えば、「母を訪ねて三千里」なんですよね。 横浜から小豆島まで、小学3年生&犬1匹が自転車で行けるのか? という疑問も大いにありなんですが(笑)、そこはお話なので・・・・。物語の設定として、家族の根本に関わることをいつまでも他の家族に内緒にしているのはいかがなものかなと。子どもだから・・・ と、いつまでも隠しておけるものでもないし。その辺り、父親と伯父夫婦はとっても不自然に感じました。 いとこのお姉さんの方がよっぽどリアリティあるし気持ち分かってます。途中で出会う人たち、特によかったのが、関西弁コテコテお嬢ちゃんと、ママの鈴木砂羽さんですね。 飾らないし妙に本音炸裂の、どっちかというと「大阪のおばちゃん」に近い感覚のお嬢ちゃんは見ものです。 鈴木京香さんは最近はママ役がとても多くなっています。 ここでもそうなのですが、今回は変化していく役ということで、彼女の役割もとても大きく、演技的にも大変だったんじゃないかと思います。 具体的な名前が出ていないのは関係者に配慮した都合もあるのでしょうけど、症状を類推して、変化してしまうのかなあ・・・と観客に想像させていくことはできていたと思います。小道具でそれを現していましたし、そこまでしても想いは残したい気持ちもよくわかりました。全体として、リアリティが薄く感じちゃったかなという印象です。親子関係もそうですし、細かいところあげるときりがないのでやめておくんですけど。 ただこれも、原作ありきですので、どこまで雰囲気を保持していくかはあると思いますが、そのファンタジーの中でも、ある一定のリアリティはあるべきかなと感じました。例えばですが、台風のシーンで自転車が固定されているのは明らかにおかしいです。 そしてアクシデントや困難というのも多少は起こりうることだと思うんですけど。。。********************************今日の評価 : ★★
2009.08.11
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監督 : 英勉 脚本 : 鈴木おさむ 出演 : 谷原章介 、 塚地武雅 、 北川景子 、 佐田真由美 、 大島美幸 、 池内博之 、 本上まなみ 、 佐々木希 、 山本裕典 、 ブラザートム 、 温水洋一 、 中条きよし 、 伊武雅刀 公式サイトはこちら。<Story>母親の残した定食屋を継いだ琢郎(塚地武雅)は、ブサイクだが料理の腕前は天下一品の優しい男。これまで数々の女性に告白してはフラれ続けてきたが、心優しい美女、寛子(北川景子)がバイトに来るようになってから、琢郎の生活は変わった。しかし、寛子にもあっけなくフラれた琢郎は、自分がモテないのはブサイクなルックスのせいだとひどく落ち込む。そんな時、立ち寄った洋品店で、着るとハンサムになれる“ハンサム・スーツ”を勧められる。ハンサム★スーツ - goo 映画<感想>昨年何となく時間が合わなくて、見逃してしまったこの作品。夏休みおうちDVD鑑賞会用に借りてきました。子どもも観れる作品ということで。。。全体的に、絵が可愛いんですよね。 アニメ的な感じの表情もあったりで。本当なら、ハンサムとかブサイクとか、美人とかブスとか、割とシリアスな悩みになりがちなところなのですが、笑える要素とか、こういった可愛らしい絵を入れることによって、クッションの役割を果たしています。思うんですが、男性で、(仮に)ブサイクだったとして、ここまで女性からひどい仕打ちを受けるものなんでしょうか?確かに今は痴漢冤罪などはあるかもしれませんが、それは顔の問題ではないような気もします。隣り合っただけで非難する女性もそんなにいないと思うんだけど。。。 デフォルメしてるからそういう場面はしょうがないか。ですが世の中は、見てくれや第一印象でいろいろと言われてしまうのは周知の事実だし。 イケメンとかって言葉もあるし、「人は見た目が9割」な訳でもある(笑)これが男女逆であったとしても、「もし自分が美男美女だったら、住む世界が変わるかも」って思うことは誰でもあると思う(笑(C) 『ハンサム★スーツ』製作委員会昨年鑑賞した、この系統の男女逆バージョンの映画が実は好きじゃないんですが、何故かと言いますと、「人間、顔じゃない」という持って行き方をしておいて、実は最後の最後で「でもやっぱり女性は美女に限る」と主張しているからなんです(気がつかない方は気がつかないと思いますが)。得てしてこの手の作品は、「人間、顔じゃない」の方向に行くのですが、そこにブレがあるととても後味が悪いものになる。 そこに行くと本作は、生まれつき美男美女に生まれた人のコンプレックス、そしてそうでない人のコンプレックスの両方を取り上げている。 各々の人はたぶん自分でしかわかり得ないコンプレックスがあり、それも含めて好きになってくれる人、一緒にいたいと思える人に出会いたい。 「こんな私の、何が好きなの?」 という寛子の問いかけが、みんなにあると素直に思いたいし、それを踏まえて生きていく姿勢が描かれてて好感持てました。個人的に思うんですが、人って、生き生きしている時は顔が輝いてくるんでしょうね。それは顔の造作という問題ではなくて。どれだけその人の今が充実しているか。 充実させるために努力しているか。 どんな気持ちで過ごしているか。 それが顔には出てしまっているように感じます。自分と一緒に過ごした人が、元気になってくれたり、楽しいと言ってくれたり。 それを聞く方もうれしかったりします。そうやっていろんなものをいただいて、差し上げて、人は生き生きとしてくるのかも。 本江が、このお話の中で、「幸せ探しておうちに帰ろうゲーム」をしてますが、そんな風に過ごしていると心が豊かになってきそうです。琢郎は、自分が一緒にいて本当に笑える相手は本江しかいないと思ったのは、きっと彼女のそんな前向きなところに惹かれたのでしょうね。余談ですが、谷原さんが去年「ネプリーグ」に「ハンサム★スーツチーム」で出た時に、難しい漢字をたくさん書けていたので、これはすごいと思いました。 単にイケメンってだけじゃなくて、知識もあったらそれはすごいです。 ちなみに、モデル役の山本くんも出てたんだけど、彼は全然漢字問題わかんなかったと思った。。。あらら 苦笑あと、個人的にものすごくツボだったのは、中条きよしさんの腹筋! あれも凄すぎます。 「うそ」は一応知ってるんですが(!)、そのイメージで見ちゃいけなさそうですね。そして中条さんがあの人に変身したのも、めちゃくちゃ笑えました^^*********************************今日の評価 : ★★★★
2009.08.09
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企画・原作・脚本 : 山下久仁明監督・編集 : 福田是久出演 : 大塚ちひろ、 伊藤祐貴、 石井めぐみ、 小林裕吉、 ピエール瀧、 秋野太作試写会場 : 町田市民ホール公式サイトはこちら。関連HPはこちら。山下さんのblogもありました。<Story>自分を見失いかけてた看護学生の明日美(大塚ちひろ)はある日のこと、愛車の黄色いステップワゴンを見つめている青年・淳一(伊藤祐貴)に声をかける、高校時代に好意を寄せていた度言う急性に面影が似ていたからだ。明日美の誘いを断るわけでもなく、助手席に乗り込んできた淳一とともに、二人は海へと向かう。しかし彼の言動は変だ。 いや、少しどころじゃない。 どう考えてもおかしい。偶然から始まったドライブは、旅先で出会う人々を巻き込みながら、たくさんの驚きとささやかな幸福と明日美にもたらすことに。。。 (チラシより引用)[東京都写真美術館ホールにて8月22日公開]<町田プレミア試写のレポ>アメブロのお友達、hyoutanさんにお誘いいただき、行って参りました。町田市民ホールでのプレミア試写会、舞台挨拶つきです。試写会募集の記事も見かけず、この映画の存在を知らなかったので、有難いお誘いです。この映画のロケが、東京都町田市と、神奈川県三浦市がメインなので、町田でプレミア試写会をしようという企画になったそうです。上映前に舞台挨拶がありました。登壇者は5名。原案の山下さん、福田監督、石井めぐみさん(母役)、伊藤祐貴さん(長男・淳一役)、小林裕吉さん(次男・健二役)。もう1人の主演・大塚ちひろさんは、この日は帝劇で舞台ということでした。山下さんのご長男・大輝(ひろき)くんは、養護学校の高等部入学を目前に、2006年に事故でお亡くなりになりました。 「ぼくはうみがみたくなりました」は、そのご子息をモデルにしたもの。この本の初版は2002年。 そのころから映画化の話は出ていたそうです。そして山下さんのお母様も、この映画の完成を楽しみにしておられたそうですが、今年の5月にお亡くなりになったということです。ロビーの関連書籍の販売コーナーには、お2人のお写真がありました。 山下さんもお2人にこの映画を観ていただきたかったことでしょう。その想いを恐らくご覧になりながらこの映画の製作に携わってこられた福田監督も、涙声でのご挨拶となりました。石井めぐみさんは、ゆっぴぃくんを育てられていらしたので、その想いもおありなのか、「この本は絶対に映画化するべきだよ! と、ずっと言っていました。 それがかなって本当にうれしいです」と仰せでした。オーディションで500人の中から選ばれたという、主役の長男・淳一役の伊藤祐貴くん。 なかなか長身で、ライダー系イケメンくんです!彼は、撮影の休憩時間も、演技を深めるために淳一くんになりきっていたくらい、この役を研究していたそうです。 その熱意は十分表れていました。そして次男・健二役の小林裕吉くん。 彼は『アルゼンチンババア』に出演していたそうです。「恵比寿(東京都写真美術館ホール)をいっぱいにしたい。 そこからムーブメントが起こってほしいと思っています。 今、バトンをみなさんに渡しました。 みなさんから次は誰かにこの映画のバトンを渡して下さい」と、山下さんと福田監督からのメッセージがありました。上映終了後、ロビーで、前売券、書籍、CD、Tシャツなどの関連商品展示即売会がありました。装丁が可愛らしくて読みやすそうでしたので、原作本を購入しました。DSCI0192 posted by (C)rose_chocolat青と黄色のコントラストが素敵ですよね。読みやすくわかりやすい本です。 夏休みの、中高生の課題図書にしてもいい感じです。終了後もロビーに登壇者の方々は残ってくださって、サインや写真撮影に気軽に応じて下さいました。私も、本にサインをいただきました。左から、伊藤くん、小林くん、石井さん、福田監督のサインです。DSCI0196 posted by (C)rose_chocolatそして伊藤くんと小林くんのお写真をちょっとだけ。左が小林くん、右が伊藤くんです。加工させていただきました。ご容赦くださいね。img9ffefff7zikdzj posted by (C)rose_chocolatとっても気さくなお2人でした。次回作にも大いに期待したいと思います。<映画感想>この映画の画期的なところは、自閉症の姿をありのまま伝える姿勢であること、そして自閉症の家族を抱える周囲の偽らざる本音を描いているところである。原作はロードムービー風なのだが、その中で、秋野太作演じる慎之助がナビゲーターとなり、自閉症についての正しい理解や、対処の方法などを説明し、大塚ちひろ演じる明日美が健常者の視点で受け止めていくという構図である。淳一を忠実に受け止めて、ありのままを表現するという伊藤祐貴さんの演技の結果、非常にリアリティが強くなっている。 自閉症への理解が浅い人にも、きちんと解説と実像で説明できるようになっている。また突然のハプニングにも見舞われ、戸惑いながらも、淳一を理解していこうとする明日美の姿もよかったし、夫妻役の秋野太作・大森暁美の距離の取り方などにも大いに配慮があった。要所要所で出てくる、淳一と出会った時の人々の様々な反応、そしてそれを受け止める側の想いなどもよく表れている。 それがいいものであっても、悪い反応であっても、そのよさや嫌な部分をそのまま観客に見せている。もともと、原作に忠実に作られており、原作の持つストーリー性や雰囲気はよく出ている。ただ、観ていて、もっと掘り下げた方がよかった部分もいくつかあった。例えば、次男の健二とそのガールフレンドの場面などは、兄弟姉妹に自閉症の人を持つ人間の本音が出ているが、健二の出演場面をもう少し多くしたり、母親の抱えてきたトラウマなどももっと紹介していってもよかったように思う。 明日美のバックグラウンドが簡単に終わってしまっていたが、ここも説明した方がよかった。物語自体が当然のことなのだが「お話」なので、普通では起こり得ないことが起こっていくのだけど、そこの雰囲気を保つことも大事なのだが、バックグラウンドを付け加えてもよかったのではないだろうか。 せっかくの貴重な映画化の機会なので、障害者と健常者のボーダーを取り除くためには、もっと両者の本音を出してもよかったようにも思う。『ミルク』などでもそうなのだけど、1つのカテゴリーに属することを、それ以外に広めていくのには大変な労力を要する。理解してもらうには、声を発していかないといけない。 いいところも不都合なところもひっくるめて。そういう意味において、この映画、もっともっと貪欲であってもよかったように思う。文章では活字でフォローできても、映像でフォローできることには限りがあるし、また伝わり方も活字とは異なる。 映画でしか表現できない食い込み方も恐らくあったはず。 インパクトを強くすることによって、自閉症に関心がない層にも興味を持っていただくことができるのだから。自分のカテゴリーにこもっているのは確かに楽ではある。 だが、それを広めていきたいのなら、摩擦や意見の相違がその過程であったとしても、伝えていかないといけない。 この映画がそのメッセンジャー的役割を担っていけるのなら、それは大変誇らしいことではないだろうか。 *********************************今日の評価 : ★★★☆
2009.07.14
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監督・脚本 : 坪田義史 出演 : 水橋研二 、 町田マリー 、 本多章一 、 松浦裕也 、 あんじ 、佐野史郎鑑賞劇場 : シアターイメージフォーラム公式サイトはこちら。<Story>1970年代初頭。漫画家の安部愼一(水橋研二)とその恋人、美代子(町田マリー)は、東京・阿佐ヶ谷で同棲生活を送っていた。自らの体験をもとに漫画を書くという信念のもと、安部が美代子をモデルとして「月刊漫画ガロ」に発表した「美代子阿佐ヶ谷気分」は彼の代表作となる。しかし次第に答えのない疑念に引きずり込まれていった安部は、故郷・福岡県の炭坑の記憶を辿るが、やがて、作品と私生活の境界線を見失っていく…。美代子阿佐ヶ谷気分 - goo 映画<感想>この日試写会があったので、その前にチョイスした1本。実は町田マリーさんの舞台を観に行くことになっており、映画になっているこちらも鑑賞しておいた方が、より彼女を知ることが出来そうと思ったので。舞台は思いっきり70年代色に染まってます。「ガロ」とか、思いっきり知らない世代。 もちろん安部愼一さんの漫画すらも全然わかりません。そして、あの頃の阿佐ヶ谷のイメージと言えば、「喫茶店」って感じなんですよね。 カップル(この言葉も死語?)が裸電球のアパートで同棲して神田川。。。 みたいな。 まさに映像はその世界です。「阿佐ヶ谷の 彼の部屋でわたし 平和よ」安部愼一の、「美代子阿佐ヶ谷気分」のコマ割りと全く同じカットで、映画は撮影されていく。 その様子はどこか自堕落であり、頽廃的。安部はドキュメント的手法でないと漫画が描けないため、ネタ元が日常生活の範囲内にしかなく、必然的にその対象は美代子となる。 絵に自信がないから、一度美代子の裸を写真に撮ってから漫画に描く。 だけどそんな手法は行き詰って・・・。安部が行き詰まる気配を感じ取る美代子の微妙な表情がよく出ている。 買いもの1つするのでも、自分たちの生活の空気を滲ませているのがわかる。 部屋で1人で過ごす美代子の気だるさ、外に出るとそれを隠すように生きているけど、本当は安部を求めていることは隠しきれない。実生活がそのまま漫画になってしまうというのは、描かれる方としてはかなり厳しいだろうけど、それも安部を愛したからこそ。 それに比べて安部はどこか落ち着かない印象を受ける。 美代子の気持ちを知ってか知らずか、無茶苦茶な要求や意味不明の行動をする。 それも彼の作品の将来への不安から来ているものなのだろうけど。 旧友の川本の気持ちを薄々わかりつつ、彼を結局自分の作品を生み出すために利用してしまうところなんかはかなりキツいだろうし、自己中かなとも思うんだけど。でも、そこには男と女の違いっていうのも思いっきりあるんだろうなとも思う。待っていたいのが女、そして求めていきたいのが男。 このバランスを保つために美代子が支える形となっている。 昔の女、昭和の女。 美代子を見ているとそんな言葉が浮かんでくる。何と言っても町田マリーの存在に圧倒される。 何となく予想はしてたけどここまで脱いじゃうとは。。。 という感じで(苦笑)でもそこには美代子という人間を思いっきり理解して演じるという度胸がある。 安部のためなら、ということ。 彼をわかりたい、時にはわからない振りもして。 痛々しいほどの演技に、この役にかける意気込みが十分込められていた。翻って安部役の水橋研二。 町田マリーに押されっぱなしという感じもする。 でもそれが安部夫妻のあり方だとすれば、この配分でもいいのかもしれない。むしろ印象に残ったのは、川本役の本多章一。 モデル出身という経歴を見て納得。 何となく気になる、惹かれる、そういう要素を持っている。そして真知子役のあんじ。 彼女の役も本当に嫌な女の予感がたくさんして、またそうだったんだけど(笑)、真知子にどっぷりとはまっていた。 いますねえ、こういう女友達。。。 とうなずく人も多いのでは? ちなみに私にはこんな友達はいないけど。ポンキッキーズ以来どうしてるのかなと気になったけど、こんな形でお目にかかれるとは。 ある意味感激。そしてこの映画の佐野史郎はいいなあと思う。 いつも彼の役にはどこか「冬彦さん」っぽい部分が要求されるのだろうか、という感じの役をたくさん見てきただけに、そういう要素が一切ない演技がよかった。 何かのイメージを固定されることはきっと役者さんとしては嫌だろうし、編集者の松田は安部をリスペクトしている訳で、そこがちゃんとしていたのはよかった。かなり観る人を限定するタイプの映画だし、導入部分で「大丈夫?」とも思ってしまうんだけど、観終わってみると、それぞれの演技がとても深かったと思わせた。 この映画の役に対してすごくそれぞれ分析したんだろうなという足跡が感じられる。**********************************今日の評価 : ★★★★
2009.07.10
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監督 : 篠原哲雄 監修・脚色 : 福井晴敏 原作 : 池上司 出演 : 玉木宏 、 北川景子 、 堂珍嘉邦 、 平岡祐太 、 吉田栄作 、 鈴木瑞穂 、 吹越満 、 益岡徹 試写会場 : ヤクルトホール公式サイトはこちら。<Story>現代。倉本いずみ(北川景子)はアメリカからの手紙を携え、かつて日本海軍で潜水艦艦長を務めた祖父を知るただ一人の存命者・鈴木を訪ねる。手紙に同封されていた、古びた手書きの楽譜が、なぜ戦争相手のアメリカ海軍駆逐艦の艦長に渡ったのか…。第二次世界大戦末期。日本海軍は、最後の防衛ラインとしてイ-77をはじめとする潜水艦を配備していた。艦長・倉本孝行(玉木宏)は、親友であるイ-81の艦長・有沢義彦(堂珍嘉邦)の妹・志津子(北川景子)から渡された手書きの『真夏のオリオン』の楽譜を手に、米海軍駆逐艦を迎え撃っていた。イ-81が突破され、激戦の果てに劣勢に立たされたイ-77は、知力と体力の限りをつくした最後の戦いに臨もうとしていた……。[ 2009年6月13日公開 ]真夏のオリオン - goo 映画<感想>基本的に戦争もの・病気ものはスルーすることが多い。どうしてかというと大体結末がわかってしまうから。どっちも「亡くなる」が大前提と考えないといけない。なのですが、堂珍くんがやっぱり気になって応募(笑なのであらかじめ苦手分野ということを織り込み済みの鑑賞となる。戦争映画は結末が分かっているだけに、直視するのが大変しんどい部分もある。この映画もおおよそそんなところだろうと想像していたが、着地点が意外な場所であった。第2次世界大戦で、日本海軍にいた方ならばきっと、このように戦いたかったと思っただろうと感じさせる「おとぎ話」、と位置付けてもいいかもしれない。なので下手に戦闘シーンを期待していくととんでもない肩すかしを食らう。チラシや予告、音楽でそこは予測できる部分でもあるのですが。最初と最後が現代、その間に戦争のシーンがあるんですが、あとでよく考えると、最初のシーンで結末が1つネタバレしてた。 『Uボート』は鑑賞しているが、それと比較したら戦闘の緊迫感はかなり少ないものの、潜水艦での戦法が多様であり、心理戦であることを思わせる。頭脳の戦いでもある。相手の姿が見えないだけに、自分の存在を感知させたりさせなかったりもまた作戦に利用するのは見どころ。玉木宏さんはその部分を表情だけで演じないといけなくて、また共に闘ってきた仲間・部下に対してどう思っているかも出す必要があった。これは彼の演技の幅を広げたものではないだろうか。 結果としてとても優しく、当時の日本海軍にこんな人がいたとはとても思えないくらいのキャラクターに仕上がっていたけど、着地点を考えたら妥当な線なのかな。倉本孝行がいかに人望が厚かったかということは随所に出ている。通常の潜水艦映画ではありえないくらいの穏やかさ、艦長の命令なら聞く部下たち。 (・・・ですが、「真夏のオリオン」に気を取られ過ぎて戦局を不利にするのはあり得ない)戦闘そのものに対しての彼の信念、そして命を大事にすることを説いていました。回天にもいろいろな考えがあるし使い方もある。意外な考えです。そして私の期待の初出演、堂珍くん扮する有沢義彦ですが、やっぱり正直固かったかなあと思わせる場面もある。だけどイ-81の船内での彼の表情はよかった。絶望とかすかな期待とが混じってて。北川景子さんのヒロインはインパクトに今一つ欠けるように思う。あの頃の女性の、ふわっとした感じや、情緒的な表情がもう少しほしかった。この映画自体が女性や子ども向けでもよいくらいなだけにそこは少々残念なところ。この映画ってどういう風に考えたらいいんだろう・・・ と思ったんですが、やっぱり戦いにおける理想形なんでしょうね。 こんな風に戦えたらいいんですが、現実は「船底一枚の下は地獄」だし、日本海軍の悲惨な最期は枚挙に暇がないので、そこを知っている世代の方々には物足りないか、かえって絶賛されるかどちらかになると思う。 音楽もファンタジックなのでそれもこの映画のイメージを先行させる1つの要因となっている。全体として絵本のような印象でした(児童書も出てるくらいだし)。 平和を訴えるのにはいい教材だと思います。***********************************今日の評価 : ★★★
2009.05.21
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監督 : 大友啓史 原作 : 真山仁 出演 : 大森南朋 、 玉山鉄二 、 栗山千明 、 高良健吾 、 遠藤憲一 、 松田龍平 、 中尾彬 、 柴田恭兵 試写会場 : よみうりホール公式サイトはこちら。<Story>鷲津政彦(大森南朋)は、ニューヨークの敏腕ファンドマネージャーとして鳴らした後、1998年に日本に帰国。以来、投資家から募った資金をもとに、徹底した合理主義で幾多の企業を買い叩き、“ハゲタカ”の異名をとっていた。数年後、相変わらず閉鎖的で不透明な日本のマーケットに絶望し、海外生活を送る鷲津のもとへ、盟友・芝野(柴田恭兵)が訪れる。芝野は、日本有数の大手自動車会社に対するとある巨大ファンドの買収を察知し、鷲津にこの危機を救ってほしいと頼みにきたのだ。その巨大ファンドとは、豊富な資金力を背景に設立された中国系ファンド。その命を受けた最強の敵“赤いハゲタカ・劉(玉山鉄二)”が、鷲津に真っ向から戦いを挑む。[ 2009年6月6日公開 ]ハゲタカ - goo 映画<感想>気にはなりつつもドラマは未見での鑑賞。ドラマ鑑賞済の友人によると、かなりドラマの評判が良いため、この映画に関してはドラマファンはハードル高くなるよとのこと。大体映画化するとどうしても他の媒体とは同じではなくなるため、そのあたりは自分の中では織り込み済みにしておく。原作・ドラマ知らない人に対してはこの映画はどんなスタンスかなと思ったのですが、オープニングの鷲津登場の場面で、ドラマ鑑賞を前提としているとわかる。かと言ってドラマ鑑賞必須でないと映画についていけないということはないけれど、観ておいた方がより話に入り込めることは間違いないようです。ドラマは6話ですし、今からなら間に合うかな?メインの大森南朋、栗山千明、松田龍平、中尾彬、柴田恭兵はドラマから引き続きの出演で、それに玉山鉄二、高良健吾、遠藤憲一を迎えて構成している。ざっとでいいので6話分は何となく押さえておくと違います。話としては現実に起こっている経済問題、社会問題をモチーフとして多用していて、それぞれリンクさせていくことで厚みを持たせている。日本の伝統的な企業経営スタイルがもはや全面的には通用しないことが分かっていても、それでも昔ながらの経営を止められず、あるいは新しい分野に舵を切ったのに業績不振だったり。挙句の果てに買収候補に挙げられたり、TOBの対象になったり、そんな企業にはどこか甘さや歪みがある。ここに出てくる「アカマ自動車」にもたくさんの歪みがある。だが経営している側にはそれは見えていない。どこかが故障しているけど、どこが悪いのかがわからず、何となく放置しているまま、気がつくと手遅れになっている患者のような会社。 その原因は、利益追求・コスト削減のために人心を犠牲にしてきたこと、創業の精神をないがしろにして目先の立て直しだけを優先したこと、なりふり構わぬ経営陣の方針転換など、枚挙に暇がない。そして会社を憂慮している社員がいるのにその想いを踏みにじったら、愛想を尽かされても文句は言えまい。このように緩慢に死につつあるアカマ自動車が、大会社であるというだけで日本そのもの、と捉えるのが適切かどうかは別として、そこに劉が赤いハゲタカとして乗り込んできたシナリオは現実味があり、興味深く鑑賞した。目先の甘言で、拝金の日本人を釣るところなども笑えない。もっとも、各国が今まで中国を「世界の工場」化してきた経緯を思ったら、それを非難ばかりしてもいられないとも思うんだけど。そして劉ですが、自分の生い立ちに打ち勝つため、そして鷲津を超えたいがため、という、戦う動機ははっきりとしているので、敵としてのキャラクターは十分できている。玉山さんも人目を引くんで、見ごたえという点ではかなりあった。 実際にこんなにスタイリッシュで、一見ソフトに好条件を語りかけられたら、そっちに心理的に流れていってしまうことを読んでいるのは面白い。(C)2009 映画「ハゲタカ」製作委員会劉が目的遂行のために、人心に訴える場面は効果的だったように思う。特に今話題の「派遣切り問題」とも絡めて、利用する側される側の落差を見せ、立場は違えど金に対しての執着心があることを焙り出している。大会社に巣くう不満の元凶の1つが、非人間的な扱いしか受けていない労働者達の想いであることを描きつつも、そこから抜け出すために手段を選ばない一面も取り上げ、一方的にならないような配慮が見てとれる。ここでの高良健吾くんもよかったなあ。投げやりな部分とハングリーさを併せ持つ若者の設定なんですが、器用に演じていました。リーマンショックを題材にしたクライマックスへの持って行き方なんですが、株関係に疎い自分にとっては、こういう決着のつけ方があるのはすごく勉強になった反面、個々の会社の中身は依然として変わらなく、法律が変わらない限りは労働者の環境もそう大きくは変わることはないことを思うと、この買収劇自体の意味そのものがあるかないか、考えてしまう部分があった。結局、会社を守るって何だ? と。買収劇で一体何が変わったのか。なので、買収後まで追いかけないとその答えは見えてこないように思う。すったもんだの挙句に海外に逃避してしまっていた鷲津の心境も何となくわかるような。日本は変わらない、という虚無感。それでも鷲津は戦った。だが肝心の彼が戦う動機がしっかりしていないように思えてならない。単にライバルに勝ちたいから? 日本のために、ともあまり思えなかったのですが。。。企業やものづくりに対しての「夢や希望」、と言うにはあまりにも青臭すぎるようにも感じるんですけど。仮にそのために戦ったとしても、そのあとに実現しなければ、夢も希望も初めからなかったに等しいのではないか。と、このように実にたくさんの問題を盛り込んだ本作品ですが、最後が少しダレてしまった感がある。2時間14分ということですが、2時間くらいに収めようと思ったらできたと思う。2時間くらいの映画を見慣れてくると、この14分って意外と長く感じるもので、そこを「長い」と感じさせてしまうにはそれだけの部分があったということ。具体的に言えば、鷲津が最後に訪ねて行くシーン。 はるばる行ってもいいんですが、回想的に途中に何回か挟み込んでも時間を短縮できたのではないでしょうか。あと、せっかく映画にしたのだし、劉と鷲津の過去もあったのだから、「不明」で終わらせないで、劉のルーツを示してもちゃんと示してもよかったのでは。 何となくそこが物足りない。それとも、それが次回作への布石なのかもしれないけど、まだそこまでは勘繰らなくてもよいのかな。金がない不幸と、金がある不幸。どっちも極端なのは嫌だな。 ・・・と言っても今のところは前者しかありえませんが~*********************************今日の評価 : ★★★★(5点満点で4点、★は1点・☆は0.5点)
2009.05.18
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監督・脚本 : 両沢和幸 出演 : 観月ありさ 、 松下由樹 、 谷原章介 、 神田うの 、 伊藤かずえ 試写会場 : 一ツ橋ホール公式サイトはこちら。<Story>大手出版社に勤務する佐々木陽子(観月ありさ)は30代・未婚。仕事に生きがいを感じている彼女は、自分が子供を持つ事など想像もしていなかった。ところが編集長の昇進が決まった矢先、突然の妊娠発覚!キャリアを選ぶか、子供を取るか、究極の選択を突き付けられる。おそるおそる訪れた産婦人科で、陽子は、世間知らずの10代カップル、不妊治療中の夫婦、深夜ひそかに診察に訪れる謎のモデルなど、様ざまな事情を抱えた妊婦たちと出会う。4人目の子供を産もうとしている自称ベテラン妊婦の大野春江(松下由樹)は、戸惑う陽子の良き相談相手となってくれた。そんな人たちとの出会いが、陽子の出産に対する思いを少しずつ変化させていく。そして9ヶ月が過ぎ、とある満月の夜、妊婦たちの人生最大の戦いが始まった…![ 2009年5月23日公開 ]BABY BABY BABY!ベイビィ ベイビィ ベイビィ! - goo 映画<感想>正直言って「ナースのお仕事」シリーズ、TVも映画も未見なので(大体の雰囲気はわかりますが)、同じ顔触れで作るこの作品が果たして前シリーズを知っている人向けなのかどうなのかはわからないまま試写に参加。ですけどその心配は全くありませんでした。全然見たことがない私でも楽しかった~この映画は設定が病院ではなく、あくまでも出産なので、別物のコメディーとして立派に成り立ってました。観月ありさちゃんももうそろそろ・・・じゃなくてとっくに30代だったんですね。そして松下由樹さんは4人目を産む役! 「29歳のクリスマス」とか見てた頃が懐かしいわ。そして斉藤由貴さん、伊藤かずえさん。 何かアラフォー女子が満載じゃないですか(笑・・・って改めて自分も年取ったなあと思いました(笑ありさちゃん相変わらず綺麗だけどやっぱり30代なんだなあ・・・。 ってちょっと共感する部分もたくさんあります。だからこういう、仕事か子供か?? みたいな役が似合ってくるのかもしれません。そもそも、仕事と出産って実に対極にある出来事。 自分は結婚して初めは働いていたのでよくわかります。仕事もきちんとして成果を出したい。 だけど結婚・妊娠・出産も絶対に大事。どっちも大事なんだけど、全然真逆。どちらかをあきらめないといけないようになっているのは、あの頃も今もまだまだ意識の中では変わらないように見受けられます。それでも今はずいぶん育児支援の体制ができているから、若い人には産みやすいんじゃないかとは思うんですが、体制だけ整っても実際に周囲の理解があるのか、そうでないのかでは、仕事と出産の両立ができるかどうかは全くわからなくなってきます。この陽子の勤めている出版関係の会社、妊娠した人を一線から外してしまっているので、こういう会社は建前だけで本音は両立に関しては冷たいんだと感じます。そういう人を生かして企画組んで、部数伸ばすとか考えればいいのにね(笑ですが両立したらしたで、仕事をしながらの妊娠生活だと、今度は肝心の出産に関しての情報が入らない。 「ママ友」なんてまだ彼女たちにはいないだろうし。春江は今時ありえない世話焼きおばちゃんタイプで、何かとお世話して来るけど、そういうのがうざい・・・と思う反面、情報だけはしっかりちゃっかり利用したりする若い人も多いんじゃないかなと。ここではそんなに彼女たちの本音は扱ってはいないけど、どう思っているのかは気にはなりますね(笑(C)2009「BABY BABY BABY!」製作委員会谷原さんの役、私は結構好きで、はっきり言って能天気な感じなんだけどちゃんと陽子のこと考えてる。仕事仕事出世出世って言っている人よりも、よっぽど魅力的のように感じるけどなあ。自分で陽子と子供を守りたい! いいじゃないそういうの、素敵だし^^そして写真右の斉藤由貴さんが今回は頑張ったと思います。優しい女医さんなんだけどシメるところはシメて、そして呼び捨て! これは参りました 。ちゃんとコメディーのツボ押さえてます(笑彼女の存在がこの映画のスパイスかも。 基本的にあったかい目線で。そして吉行和子さんもね。 あんまり書くとネタばれなんでこのくらいで。とはいえ、この映画、やはり出産経験者の方が数倍笑えることは確かで、母親教室・父親教室・赤ちゃん沐浴ネタなんかは知っている方が視点が違うんで楽しい。 出産シーンも、あんなときに長セリフかいっ!! と、細かいこと言えばきりがないですが(笑)、みんなそれなりに頑張ってたんでまあよしとします。逆に言うとそこまでリアルにこだわっているのは良い点です。ここでも斉藤由貴センセイがいい味出してるんだよねえ。ちょっとほろっとしてしまった。今時の不妊治療、飛び込み出産、妊婦さんのたらい回しなどにも言及するような場面もありました。てんこ盛りではあったけど、楽しくておかしくて、あったかい話。 「ナース・・・」知らない方がもしかして楽しめるかもしれないです。先入観なしで観れるから。あと細かいですが、私の好きな田中要次さんがなぜか出ています。 彼、めちゃくちゃウケました。というか自分のツボでしたw*********************************今日の評価 : ★★★☆
2009.05.12
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監督 : 真田敦 原作 : 吉田玲雄 出演 : 岡田将生 、 倍賞千恵子 、 長谷川潤 、 喜味こいし 、 正司照枝 、 蒼井優 、 深津絵里 、 松坂慶子鑑賞劇場 : ヒューマントラストシネマ渋谷公式サイトはこちら。<Story>ハワイ島の北、ホノカア。ここでは月に虹がかかるとき、願いが叶うという…。恋人(蒼井優)に振られ、大学を休学したレオ(岡田将生)は、とにかく日本を離れ、ただ違う風景の中にいたかった。そして、ひょんなことからホノカアの映画館で映写技師として働くことに。レオが初めてこの町にやってきたのは半年前。見た者に最高の祝福をくれると言われる“月の虹【ムーンボー】”を探し求めて、恋人と一緒にハワイ島に。しかし“月の虹【ムーンボー】”は見られず、かわりに道に迷って辿り着いた町がホノカアだった。不思議な魅力に吸い寄せられるように再びやってきたこの町でレオが出会ったのは、風変わりだけど優しい人たち…。出会い、恋、ごはん、そして別れ。レオが大人になるために必要なもの。そのすべてがホノカアにはあった…。ホノカアボーイ - goo 映画 <感想>どうしようか、スルーしようかと迷いながらも結局観に行きました。前に『いとしい人』をガーデンシネマに観に行った時、このホノカアボーイの小物とかセット、写真の展示がロビーであり、それを見てすごく可愛かったし、映画に出てくる食べ物がとっても美味しそうだった(笑) すごくいい雰囲気だったので、それで観に行こうと決めました。この映画の予告の、ゆったりまったりした雰囲気は、『かもめ食堂』『めがね』にすごく近いと思いました。『かもめ』は★5つだけど『めがね』は★3つだったんで、これは大当たりか大ハズレかのどっちかと予想しました(笑) 自分の場合、意味のない強引なファンタジー系はとことん苦手なのです。ですけど、その2本とも違う雰囲気でしたね。まず設定がハワイ・ホノカア。 実在する外国の町のお話。 当然ホノカアの自然とか風土、伝統などが出てきます。 その設定の中で、日本人のコミュニティがあり、ここに出てくる人たちが生きているということ。「ハワイハワイと来てみたけれど・・・」倍賞千恵子さん演じるビー。ビーはいつも穏やかに、そして少しだけ茶目っ気を出して生きている。 彼女の歩んできた人生は若いころはきっと波乱万丈で、けど懸命に生き抜いてきたもので、もちろんそのことを彼女は納得はしているのだけれども、長く生きてきた中でもどこかさみしさが心の中に溜まっていったのかもしれない。ビーの作る料理はどれも本当に美味しそう。 「猫の餌」の白身魚の煮付け、ロールキャベツ、スパム寿司、海苔巻、海老フライ、炊き込みごはん、本当にどれも食べてみたくなってきます。 中でもやっぱりマラサダでしょうね~。 これはぜひ作ってみたいと思います。そんな素敵な料理、やっぱり食べてくれる人がいてこそ、料理も輝いてくる訳で。 ビーの生活に飛び込んできたレオの存在は、変わらない日常を送っていたビーに喜びをもたらしたんでしょうね。(C)2009フジテレビジョン/電通/ROBOT 大学を休学してまでホノカアに滞在しようと思ったレオ。その理由はハッキリとは述べられてはいないけれど。 だけど彼の行く先にはなぜだか、いいものがつながってくる。 どんなものとは定義はできないけれど、とにかく一緒にいてよかったっていうオーラがレオにはある。だけど、レオにはレオの都合というものもある。 やっぱり恋だってしてしまったりする。自分の中の、まるで少女のようなジェラシーに気が付いてしまったビー。 そこで彼女がとる行動はかなりシャレになってなかったけど、そんな風に拗ねたりするのだって生きている証拠だから。風のように、どこからともなくやってきて、そしてまた来た時と同じように、風に乗って還っていく。潔い、と言うべきなのだろうか。周りのひとたちが1人、また1人と去って行って、そして自分の去り際はいつなんだろうと見極めている人たち。去るにあたって、自分が培ってきたことをきちんと次代に残していく始末の仕方。 ホノカアに吹く風のように、どこまでも穏やかに、たゆたえながら、生きていっている。シンプルながらも、この主題がきちっと完結されているところが、この映画を観た後にすがすがしさを残す所以ではないだろうか。今の岡田くんにはどうしようもなく勢いがある。 『天然コケッコー』のときはどっちかというと夏帆ちゃんに目が行っていたけど、あれから数年したら断然岡田くんはカッコよく素敵になっているし(笑)、そして素で演じることが本当に似合う俳優さんになっていた。 誠に残念ながら『ハルフウェイ』は私のツボではなかったけれど、それでも自然の中での彼の存在は光っていたし、『重力ピエロ』に至ってはもう完璧。 今年は彼の年になることはたぶん間違いないしこれからも伸びていってほしいです。そして倍賞さんがあのキャラクターになるとは! のんびりと、自分に起こることを受け止めていって。 衣装もポップな感じで可愛らしかったし、何といっても黄色いワンピのところなんてもう完全に「少女」。 いくつになっても可愛い女性なんですね。この映画で可愛いと言えば、松坂慶子さん。 彼女は『大阪ハムレット』で、あまりの変わりぶりにちょっとビックリしてしまったんですが、この映画では可愛らしさを前面に出しているのがすごくよくわかる。 仕草にしても、話し方(なぜか大阪弁なんですが)にしても、衣装にしても。 そんなに食べて大丈夫かな・・・? とも思ったりしますが(笑)、それでも彼女のラブリーさはあちこちで引っ張りだこになるだろう。で、この映画のラブリーなキャラクターたちのとどめは、何といっても喜味こいしさんではないだろうか。「年を取ったからといってやっちゃいけないことなんて、ないんだぜ」この言葉、なんだか最高にクールだし、粋だよね。 こういう強さを持って生きていきたい。**********************************今日の評価 : ★★★★☆
2009.05.01
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監督・脚本 : 北川悦吏子 出演 : 北乃きい 、 岡田将生 、 溝端淳平 、 仲里依紗 、 成宮寛貴 、 白石美帆 、 大沢たかお 鑑賞劇場 : ヒューマントラストシネマ渋谷公式サイトはこちら。<Story>近づいただけで倒れそうなくらい大好きな片思いの相手シュウ(岡田将生)に、ある日突然「つきあってください」と告白され舞い上がるヒロ(北乃きい)。2人は北海道の同じ高校に通う受験を控えた3年生だ。楽しい日々が続く中でシュウにはどうしても言い出せないことがあった。それは早稲田大学進学を目指していること。地元の大学志望のヒロはその事実を知ると、「東京に行くつもりなのに、なぜコクったの? 無責任だよ」と責めるのだった。ハルフウェイ - goo 映画<日記&感想>今日は夜に試写があったので、その前にどっかで1本観たいなと思っていたのですが、運悪く(苦笑) 長男がお休み。彼は学校行事で明日から旅行に行くので、準備のためのお休みの日だってさ。実質これが修学旅行のようなもの。自分で荷造りせいよ! って何回も言ってるんですけどねぇ。。。だけどなかなかやんないんだなこれが。 だから何となく口で指示して(詰めてなんかやらないw)いるうちに、家出るの遅くなっちまっただyo。。。おかげで1時台の上映の作品には間に合わず。 他にも観たいのがたくさんあったんですが、時間が合いそうなこれにしました。北乃きいちゃん結構好きなんです。監督も北川悦吏子さんっていうことで話題でした。プロデュースが岩井俊二・小林武史(音楽も)ということで、一体どうなるのかというのもありまして。行ってみると。。。 ちょうど、「高校の放課後」って雰囲気の館内でした(笑高校生だらけ・・・ 当たり前かw3人揃うと割引もあるからね。私なんてカンペキ親世代ですよ(笑あーまたやっちゃったかな、みたいな感じで鑑賞に入ります(笑これ、一言で言うならば、「普通の高校生の恋愛」を描いた作品。台本もアドリブがほとんどなだけに、素のまんまの高校生の会話とか生活感があふれています。だからよくある学園もののわざとらしさがないのはよいこと。題材も本当にシンプルな恋バナ系。「若いなー」ってこちらは思うんですよね。そのシュウとヒロ。ヒロはまっすぐな女子高生。「私を見て!」一辺倒じゃなくて、そこを一歩引いてあげることで彼が一回り男になってくれるんじゃない?? って、親目線ではついついおせっかいにも思うのです(笑それでも彼女は何とか自分の気持ちに折り合いをつけていこうとします。対するシュウ。矛盾してるってわかってるのに、やっぱ男子なんですね。後先考えないのはみんな同じ。ヒロの気持ちに応えたい優しさもあるけどやっぱり男は夢でしょ?無邪気な2人のシーン、可愛いなって思えます。白石美帆と大沢たかおはもちろんのこと(?)なのでそんなに思いませんでしたが、成宮くんまでもが「アドバイザー」的な年齢になってしまってるんだぁ・・・ っていうのは軽くショック(苦笑ですけど成宮くんも立派におにいさん目線ができてました。そして今回ピックアップしたいのは大沢たかおのセリフ。ああ、それ、いいこと言ってるじゃん! とうなずくこと多し。やっぱり経験してきた人の言うことっていいもんです(笑そう、どこまで行っても男と女はわかり合うことは難しい。こちらがしたいと思うことは相手には理解不能だったりする。そこから押したり引いたり駆け引きがあって初めてお互いを知っていく。それが若いと、待てなかったり引けなかったりするものだから。小樽が舞台ということで、一貫して景色が美しく、そしてそれに合う音楽もよかったです。いかにも岩井・小林っぽいなーと思う場面も多数。そしてテレビで活躍した北川監督らしいラスト、なのかなあ。だけどもうちょっと、持って行き方で、何かがあってもよかったような気もする。館内の高校生軍団からも「えーっ!?」って声が上がってましたから。年代的に違和感あったり、少女マンガっぽい世界が苦手な方はこの映画キツいかも。*******************************今日の評価 : ★★
2009.03.11
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監督 : 中村義洋 原作 : 伊坂幸太郎 音楽プロデュース : 斉藤和義 出演 : 伊藤淳史 、 高良健吾 、 多部未華子 、 濱田岳 、 森山未來 、 大森南朋 試写会場 : 一ツ橋ホール公式サイトはこちら。<Story>1975年、セックス・ピストルズがデビューする1年前。最後のレコーディングで「FISH STORY」を放った、早すぎたパンクバンド“逆鱗”。1982年、いつか世界を救うと予言された気弱な大学生(濱田岳)。2009年、シージャックに巻き込まれた女子高生(多部未華子)と、正義の味方になりたかったフェリーのコック(森山未來)。まったく接点のない彼らが、1曲の「FISH STORY」を通じてつながり、2012年、地球滅亡の危機を救う!フィッシュストーリー - goo 映画<感想>伊坂作品は好きなので、これも観たいと念じておりましたら、無事に?? お誘いがございまして、行ってきました♪よかったよかった。これからも観たい映画が目白押しなので、早く行かないと本当に観れなくなりそうな予感が(涙原作は未読なのですが、ぜひ読まないといけませんね。4つの時代がクロスオーバーするお話です。(正確に言うと、5つの年なんですけどね)昭和50年代に生きた者としてはすっごく懐かしい。。。ゴレンジャーだよ!!涙出そうなくらいうれしいネタですよね。小道具とか、クルマとか、セットなんかも、よく再現したなって思います。懐かしいものがたくさん。。。 灰皿の形とか、カーステとか。中でもホントにすごかったのはカセットテープ(笑) ちゃんと時間も46分だ90分だって・・・ ここら辺は斉藤和義さんがチェック入れたんでしょうか?? “逆鱗”の場面、ちょっとセピアがかった画面で、それがあの時代の雰囲気をうまく出しています。チビノリダー(→ 自分にとって伊藤くんは永遠にチビノリダーなんです)がこんなに「男」だったとは! もう、感動。 そしてこんなにベースがうまいだなんて。知らなかったよ~ 高良くんの歌だってプロ並み。 「長崎は今日も雨だった」の方がうまいのはご愛敬ですがw『禅 ZEN』で見せた、俗世間とは一線を画していく俊了の雰囲気がまだ残っていたけど、坊主頭はかえってこの役の場合よかったかも(笑ここでも彼は何だかバンドなのに宙を舞っているようなモノローグ。それがいい。 (C)2009「フィッシュストーリー」製作委員会そして何故だか中村監督にはごひいきの様子の濱田岳くん。 金八先生時代から彼の存在感は群を抜いていました。 『アヒ鴨』ではその「普通すぎるほどの普通感」を十分に出してくれていて。 今回も彼の「ちょっとした気の弱さ」がよかったように思います。森山くんの正義も、あり得なさそうですが何故か引き込まれてしまいます。「あなた、1度でも何かに立ち向かったことがあるの?」 そう面と向かって聞かれて、「あります」って答えられる人ってどのくらいいるのだろう。 自分もそんなことなかったように思う。 勇気を振り絞って立ち向かって・・・。 それが連綿と続いていく系統になる。 そしていつかは。。。 もしかしたら原作を読んだ方に言わせると、つなぎを無理につないだ・・・?? 怒られそうな気もしないでもないですが、種明かしをわかりやすくラストで見せてくれたということで許してあげましょうよ(笑中村監督はどっちかといいますと実は苦手なのですが、これは伊坂さん原作ってことでよくなるのかな。アヒ鴨もそうでしたが。伊坂幸太郎×中村義洋×斉藤和義のコラボ、なかなか素敵でした。 音楽もかなりいい感じです。 売れないのにあれだけいい曲だと、ちょっと買ってみたくなりますよね。**********************************今日の評価 : ★★★★★
2009.03.04
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監督 : 金子修介 原作 : 一条ゆかり 出演 : ステファニー 、 満島ひかり 、 渡辺大 、 高島礼子 、 及川光博 、 由紀さおり 、 五大路子 、 長門裕之 鑑賞劇場 : 109シネマズ川崎公式サイトはこちら。<Story>声楽家を志す萌(満島ひかり)は、ハウスクリーニングのバイトで同じく声楽科の史緒(ステファニー)と知り合う。1枚5万円のオペラのチケットをゴミ箱に捨てるお嬢様の史緒。驚く萌を、史緒はその夜の公演に誘う。しかし、会場で音楽界の人々を見て、格差を思い知らされた萌は、史緒に激しい憎しみを感じる。貧しい家庭で育った萌は、実はしたたかな野心家だったのだ。父親の会社が倒産し、史緒が一文無しになったことを知ると、同じ境遇の萌は反撃を始める。プライド - goo 映画<感想>マンガってほとんど読まないのですが、これは予告から楽しみにしていました。もともと、「牡丹と薔薇」みたいなのが大好きなので。こういう、女同士の対決ものってわくわくするんですよねwとにかくこれはすごい迫力です。ステファニーは見た目もゴージャスだし、歌も当然としてうまい。対する満島ひかりは元Folder5のメンバー。ちょっとハスキーな声がセールスポイント。この2人の対決です。(C) 2008プライド製作委員会自分は恵まれていることが当たり前になっていて、そのプライドから抜け出せない人と、どんだけ貧乏くじを引きっぱなしかわかんないくらいどん底の生活から、何があってもくたばらないことを学び、どんな汚い手を使ってものし上がろうとする人と。プライドが邪魔をして、あるいはかなぐり捨てたはずのプライドが別の形で自分を縛りつけていて。どっちもどっち。あなたには、プライドというものはないの?劇中の史緒のセリフ。プライドはあってもいいが、自分の邪魔をするプライドならいらない。プラスになるプライドのみが役に立つ。ステファニーは、自分の声に対して、蘭丸が史緒に指摘したのと同じような悩みを抱えていた、と語っている。つまりは、「うますぎて心に引っかからない声」ということだろうか。歌手はうまければ売れるわけではない。心がないと売れない。この映画を通じて恐らく彼女は大きく成長していると信じている。逆に満島ひかりは、萌に共感できた、と語っている。すなわち沖縄から幼くしてショービズの世界に入って、Folderの経緯とともに浮き沈みも味わって・・・ という自分の境遇と、どんなことをしても這い上がる、相手を蹴落とすハングリー精神を持つ萌とに、共通点を見出したようだ。(C) 2008プライド製作委員会この2人を軸に、取り巻くキャストがまた素晴らしく。蘭丸役の渡辺大くんの女装は、寒気がするほど綺麗だったし似合ってた。及川ミッチーもセレブがどんぴしゃ。そして高島礼子さんは言わなくてもママってわかるし(笑五大路子と由紀さおりの火花もよかったですねー。妥協しない終わり方もよかった。普通ああいう風になると、誰かが情に流されて、ああそうなっちゃうのね的な考え甘い結末が1つ2つあるものだけど、それがない。「いらぬプライドを捨て、誇りを持つ」ことに妥協していない。それがいい。こういう邦画が観たいのです。無駄がなくて妥協していない邦画。**********************************今日の評価 : ★★★★★
2009.01.21
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監督・脚本 : FROGMAN 原作 : うすた京介 声の出演 : 藤原啓治 、 金丸淳一 、 真木よう子 、 板東英二 、 伊武雅刀 公式サイトはこちら。<Story>とあるフリマのお店で、何かを買わないと気まずい感じになったピヨ彦は、仕方なく筒状のオブジェがついたチョーカーを購入する。そして、ちょうど会場に居合わせたジャガー、高幡不動とともに父字郎の珍笛ブースを覗いたりしたのち、帰途につく…そんな、よくある一日のハズだった…。自室に帰ったピヨ彦は、急な尿意に襲われトイレへ直行!だが扉を開けると、そこは一面の別世界だった!驚きのあまり息を飲むピヨ彦。そして、あわてて扉を閉じると部屋には、今度は異世界からまぎれこんだと思われる女性が立っていた。さらに彼女は、ピヨ彦の首にかかるチョーカーを見て表情を変えるのであった…。ピューと吹く!ジャガー ~いま、吹きにゆきます~ - goo 映画<感想>この日の2本目。もともと鷹の爪とかFROGMANとかはだいたい観ているので、これも観とかないとということでヘルボーイに続いて鑑賞。今まで観たFROGMAN作品。『秘密結社 鷹の爪 THE MOVIE ~総統は二度死ぬ~』 『菅井君と家族石 THE MOVIE』 『秘密結社 鷹の爪 THE MOVIE II ~私を愛した黒烏龍茶~』・・・で、お約束の小編が本編の前にあるんですよね。今回は『エト』っていうんですけど。丑年を迎えたばかりなのに、何故か再来年の、卯年の話です。そう、「干支」のことなんですが・・・。原作がうすた京介さんということもあって、原画の線がいつものFROGMANものとは違うこともあり (→ 吉田戦車みたいな感じ!?)、淡々と鑑賞してましたw「世紀末じゃないけど世紀末」的な今の地球の状況なんか持ってくるあたりは今っぽいのかしら。ミスが許されないからこそダメキャラが目立ちますけど、ダメダメでも一生懸命やる!って感じの開き直りはよかったです。『エト』を一生懸命見た後に本編だったのですが、実はほとんど半分くらい意識飛んでたかな。言い訳するわけじゃないんですがこの日すごかったんです。天然の中学の出願はいいんですが、「この冬一番の寒さ」の中、朝から建物の外に1時間以上も立って並ばされてしまいまして。開門前とか、受付前に並ぶ分には、自己責任だと思うのでそれはいいんですが、自分が行ったのは受付時間くらいだったのね。長くて30分くらいで終わるかなって思ったのですが・・・列が進まない進まない。ちんたら受付してるんですよね。だから自分の番が終わったのは、並んでから1時間10分くらいでした。建物の外、日蔭で立ったまま。 足先なんか感覚なかったのよ。ありえねー。ということでえらい目に会いました。その後だったので、ヘルボーイの後はもう、撃沈。。。エト見たらあとはもうダメでした。とまあこんな感じだったのですが。ですがところどころ覚えてますよ(笑坂東さんのところとかね。何でみんな同じ顔やねん! ってwただ・・・ いつものFROGMANものに比べると、あまりインパクトがなかったのよね。だから寝ちゃったのかもしれません。ちょっと考えないとオチがわかんなかったり。そこなのかなあ・・・? 今1つと思っちゃったのは。『菅井君・・・』は小ネタ・音楽ネタで結構笑えたのですが、ここまでゆるいとね。。。それでも、「お!」と思ったのはエンドロールのダンス(笑結構あのおねえちゃんがイケてました。シルエットだけなのにいいじゃん♪ って男目線なあたし。それってどうよ!?ということですっかり意識がない自分でしたが、くまんちゅうさんとこですっごく詳しく書いてあるんで、そっちで読んで下さい(笑**********************************今日の評価 : ★★☆
2009.01.13
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監督 : 前田哲 脚本 : 小林弘利 原案 : 黒田恭史 出演 : 妻夫木聡 、 原田美枝子 、 大杉漣 、 田畑智子 、 池田成志 、 戸田菜穂 公式サイトはこちら。<Story>「卒業までの1年間でブタを飼育し、最後にはみんなで食べたいと思います」─新任の星先生(妻夫木聡)の提案に6年2組は騒然となる。校庭の片隅に小屋を作り、掃除、エサやリなど生まれて初めての経験に戸惑いながらも、成長してゆくブタに愛着を抱いてゆく子どもたち。“Pちゃん”と名づけ、家畜ではなくペットとして慈しむようになるが、卒業の時は迫り、Pちゃんを「食べる」「食べない」で教室を二分する大論争が巻き起こる。ブタがいた教室 - goo 映画<感想>なかなか、観たい映画が水曜に観れなかったのですが、ようやく空いたので、時間が合った2本を鑑賞。これは1本目。今年のTIFFで、チケットが取れなかった作品です。妻夫木くんの舞台挨拶だから倍率高かったですよね。なのでゆったりと劇場鑑賞にしました。何の予備知識もなく観てます。原作も読んでないし、話としても聞いてないです。いきなり、担任が、「今日からブタをみんなで飼って、食べます」なんて言いながら、本当に子ブタちゃんなんか持ってきた日には。。。子どもたちにとっては本当にエキサイティングな学校生活なんだろうなと想像します。現実に、小学6年生を育てている身としては、担任がこんなこと言いだしたら、親として一体どう反応しただろう? と、あれこれ、考えもします。でも、私が考えそうなことは、「親が何か、手伝わされるんじゃないか?」とか、「大丈夫? 授業成立するの?」とか、きっとそんな親目線ばかりなんじゃないかなと。かと言って、決して、映画の中の親たちみたいに、校長室には行ったりはしないと思うんだが(笑大沢逸美さんの名前がクレジットで出てましたが、もしかしてあの親の中にいたのだろうか?年取りましたよね。自分もだけど(笑(C)2008「ブタがいた教室」製作委員会初めに、ブタに対して、あるべき1つの方向性を出しながら飼い始めたにも関わらず、星先生は、子どもたちに考えさせる。普通だったら、というか、私が実際に見ている今の若手の教師たちは、「責任取れないから」「保護者の立場に立って」「学校の方針」という、外部からの様々な問題?に加えて、自身が「考える」体験が圧倒的に不足しているために、思い切った、身体ごとぶつかっていく指導が、あんまり見られないように感じる。うちの次男の学年にも若手さんが2人いるけど、今の子どもたちがあまりにも変化してしまっているのに、それをどう導いていいのかが分からないような雰囲気を感じる。どうにも子どもたちを持て余している。・・・って、愚痴混じりだね 苦笑だから、結果はどうなるのかわからないし、提案として、いいのか悪いのかわからないけれども、恐らくは自分なりのリサーチをして、敢えてこんな試みをした教師がいる、ということは、画期的なことではないだろうか。それほどまでに、今の小学校の現場は、何をしていいのか途方にくれているのだから。「子どもたちのために」という、一貫した見守り方が、星先生にも校長にもあったからこそ、実現できた話だと思う。・・・まあ、実際の話は聞いてなくて、あくまでも映画を観ただけだからそう感じますが。生き物を責任持って最後まで飼うこと。それは人間が負うべき責任。では、その「責任」って何?いくら、授業のために連れてきたブタでも、最後の責任はきっちり取らないと。そういう意味では、星先生のしたことは、残酷だとも思えなくもない。生き物を世話していく。大変だけど、そこには何か、心が通い合うものがある。自然に「情」がうつる。それを全く計算していなかったのだろうか? そこが、若手教師なのかもしれない。 要するに「若い」のだ。彼自身も、成長過程なのだ。とにかく、子どもたちに、命の勉強をしてほしい。ひたむきな想いが、彼に、ベテラン教師たちからは考えもつかなかったこの授業をさせて、そして、原点は子どもたちなんだということを、必ずしも全員ではなかったけれど、周囲の教師に気がつかせたということは、それはそれで、大きな意義があるような気がする。(C)2008「ブタがいた教室」製作委員会得てして、このような学園モノに出てくる子どもたちに持つ感想として、セリフを言わされている、学校生活を演じさせられている、という「作り込んだ感じ」があるのが普通なんですが、この映画の子どもたちは、そういった「縛り」が少ないように感じた。「素」なのだ。言葉づかいだって、映画の中で出てくる、妙に不自然なしゃべり方なんて実際はしない。「。。。だろ?」「。。。 じゃん?」ここに出てくる子たちは、ごくごく、フツーに過ごしている部分が多かったと思う。教室内の小競り合いなんて日常茶飯事、それもこの映画にはある。そういう、飾ってない感じがいい。取っ組み合いして襟首つかんで、ののしり合って。そうやって、ぶつかりながら、でも相手を認めながら、子どもたちは成長していく。転校してきてなかなかクラスに溶け込めなかった。そんな子が、Pちゃんの世話を通じて、心を開いていけるようになった。ブタのお世話だけれど、それがもたらした子どもたちの成長は素晴らしいもので、観ている方は、自分の子どもがどうしてもオーバーラップされてきて、泣けて泣けて仕方がなかった。きっかけは先生から持って来たものだろうけど、でも自分たちも、Pちゃんとは離れ難い。このまま小学校で世話をしてもらうのか、それとも自分たちの手で終わりにするのか。6年生と3年生っていう学年の差も、ミソなんですよね。3年生に、あのお世話をもしさせたならば、恐らくは怪我人が出ることは間違いないし、3年の担任だって、6年の先生どころじゃない負担を背負いこむことは容易に想像できるから。星先生だって、1年経ってみたら、初めに持ってきた時の心境とは違うものがあったと想像する。そのみんなの気持ちや、学校への配慮、いろんなものがない交ぜになりながらも、結論は出る。知らぬ間に、子どもが成長しているのを一番感じるのは、何と言っても小学校の卒業式。こんな大きくなって・・・。こんなに成長して・・・。その、成長に大きく関わったPちゃんここまでみんなを成長させてくれたものには、やっぱり、ありがとうという言葉しか出てこないような気がする。観ている側もずいぶん、生きていくためには自分勝手なことをしている。生き物をいただいて生きている。それを忘れてしまっている。「生かせていただいている」気持ちが根底にあるからこそ、そして、勝手をして申し訳ないという心の痛みを知ったから、子どもたちには素直に感動できるのだと思う。***********************************今日の評価 : ★★★★★
2008.11.26
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監督:林田賢太出演:中村梨香、中村美香、平林鯛一、瀬戸口剛、小田豊試写会場 : KINEATTIC公式サイトはこちら。<Story>高校生の日名子(中村美香)は、北国の町でケーキ屋を営む叔父さん(小田豊)と二人暮らし。どこかクールな雰囲気を漂わせる日名子は、ちょっとした癖があった。それは“ある”衝動に駆られると小さな放火を繰り返すこと。そこに、幼い頃に離ればなれになった妹の水那子(中村梨香)が現れた。一卵性双生児の日名子と水那子は10数年ぶりに再会した。水那子も誰にも言えない秘密があった。共に暮らし始めるが、バランスが崩れていく。いつもの日名子の火遊びが、思いもよらない大火事になり、二人は逃走することに…。日名子は、なぜ火をつけるのか?放火の謎と逃れられない運命が、行くあてのないふたりを加速させる。※2008年10月25日(土)より、ユーロスペースにてレイトロードショーユーロスペース 『ブリュレ』の紹介文より<感想>シネトレさんの、ブロガー試写会に当選しました。実は、今日の試写会だっていうことに気がついたのが、昨日でした(笑メールチェックできないほど仕事も忙しく、やっとメール整理していたら!!「当選メール」出てきたじゃないですかwちょっと待って。。。 これ日曜じゃないの! 明日じゃん! って大慌てでした。何故かと言いますと、今日は朝6時台から外出しないといけなかったのよー。しかも大変気を遣う用事。。。なので試写会どうしようかと・・・しかも、添付PDFがDLできませ~ん。これじゃ本人確認できませんよ。。。 ま、いいか。行けたら行くし、入口で断られたら帰ればいいしw (→ そんなことはありませんでしたけど)無事に昼までの用事も終わって、時間ができそうでしたので、そのまま子どもと別れて試写会場に行きました。すっごく久々の原宿。。。 中学の頃は塾が原宿にあったんで帰りによく遊びましたが(笑)、さすがに今は行かない。 渋谷は行くけどね。なので余計にあの人ごみ見るだけで疲れました。でもフェイスビルを過ぎてキラー通りに入ったら、さすがに喧騒からは離れました。 試写会場はさらに奥まったところにあって、外観も素敵なところでした。さて映画です。ユーロスペースのレイトで10月25日より公開予定ということで、きっと自分はまず見には行けない時間帯です。なので、こういう風に試写していただけるのはお得なことです。子どもがいる人は、近所のシネコンならともかく、ミニシアター系でのレイトはまず無理ですからね。約5年前に主役の双子さんのオーディションをして、合格したのは実際の一卵性双生児でもある、中村美香さん、中村梨香さん。とても美しい双子ちゃんです。ただ綺麗だけではなくて、何かを訴えかけるような意志の強さを持っている雰囲気です。ブリュレ posted by (C)rose_chocolatこんなに大きなポスター、初めてです^^ いただいちゃいました。 小さいのはチラシです。試写の後に、林田監督が来場して下さいました。「双子の絶対性というか、そんな感じのものを描きたかった。現代へのアンチテーゼという意味もあります」というお言葉でしたが、自分には今一つ、「現代へのアンチテーゼ」が映画からは伝わってこなかったかな。。。 ごめんなさい。。今は家族がつながっていないから、双子の姉妹という絶対的なものを掲げて、その重要性を示したかったのでしょうか?ネタバレになるのであらすじは詳しくは書きませんが(↑のダイジェストをご参考に)、あらかじめ、紹介文を読んでおかないと、話についていけなさそうです。2人や、おじさんの会話の中から断片的に拾い上げていかないといけないのでは、初めて劇場で鑑賞する方などはかなりストーリー追うのに難しそう。それでも、火遊びをするに至る経緯まではわかるのですが。(C) 2008CINEVITAL放火をすることによって、過去のトラウマを打ち消して、姉妹としての絆を確認する。。。 ような展開ではありました。 ラストに、全て燃やし尽くして昇華させていく、というのは確かにわかるのですが、いかんせん、やっていることがやっていることだけに、これを素直に納得していくのはかなり自分としては難しかった。決して賞賛はできない題材ですから。それでも、能代や角館といった場所の自然の美しさは伝わってきましたし、雪と炎の対比などは視覚的効果を考えていると思いました。この映画は公開までに約3年かかったと仰せでした。ずいぶんご苦労をされたのではと推察されます。前売りの売れ行きがよいので、公開も1週間伸びたとか。主役のお2人も舞台などで経験を積んでいらっしゃるようです。またどこかで、このお2人がご活躍されることを期待しています。*********************************今日の評価 : ★☆
2008.10.05
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監督・脚本 : 中島哲也 原作 : 後藤ひろひと 出演 : 役所広司 、 アヤカ・ウィルソン 、 妻夫木聡 、 土屋アンナ 、 阿部サダヲ 、 加瀬亮 、 小池栄子 、 劇団ひとり 、 山内圭哉 公式サイトはこちら。<Story>一代で会社を作り、我侭放題に生きてきた大貫(役所広司)は、持病で入院していた。病院には、患者も医者も看護婦もクセのある者ばかりが集まっていた。その中で唯一、ピュアな心を持っていたのが、交通事故で入院した少女パコ(アヤカ・ウィルソン)。我侭な大貫だったが、パコの優しい心に打たれ、毎日、絵本を読み聞かせるように。しかし、事故の後遺症でパコの記憶が一日しか持たないと知った大貫は、パコのために絵本をお芝居にしようと病院の人々に呼びかける。パコと魔法の絵本 - goo 映画<感想>今日の1本目。『下妻物語』も、『嫌われ松子の一生』も未見なんですが、一度その世界を観たいと思っていた中島監督。なかなか出足もよさそうな感じなので、行って来ました。初めは、極彩色のスクリーンにうっ・・・ と来たんですが、これも慣れなんですね。そのうち気にならなくなりました(笑(C)2008 「パコと魔法の絵本」製作委員会とにかく、パコちゃんをみんなが気遣っているのがただただ素敵なこと。記憶が持たないなら、じゃあどうやったら彼女の心に残るものを作れる? と考える発想は、ついつい忙しくて世の中に流されてしまいそうな現代人には必要なことではないかな・・・ と思いながら観ていました。毎日生きていること、それだけでもう毎日が誕生日みたいなものだし、そのことを喜んでいるパコちゃんも可愛くて。キャスト。ここに出てくる俳優陣はそれだけで1人1人がもう主役級なだけに、劇中の変貌ぶりはなかなか楽しめました。特に小池栄子のメイクの感じとか、妻夫木クンとはわからなさそうな乱れ髪なんかはすごい・・・。 素の役者をどこかに置いてきてるのがいい。。。所々の小ネタなんかは完全にアラフォー以上ですよね。國村さんなんか笑っちゃいました。彼もあのメイクと素顔のギャップがすごくて好きです。セクシーですよね。それと阿部サダヲ。私は彼の使われ方好きです。すねている人みたいなんだけど、しっかり笑いもいいところも持ってっちゃってるんで。ギター引いているところの間髪いれない返事とか、あの「間」が好きです。ファンタジーなら、このくらい徹底的に作っていただくと、観ている方も楽しめます。ちゃんとオチもあり、映像もファンタジックに作っていて。。。 しっかりと土台があるから観客が楽しめるんだと思います。最近は、「あとはあなたの想像で考えて」というタイプのファンタジー映画がとても多いような気がします。それはそれで持ち味があっていいんですが、そのあまりに肝心の説明が足りていなかったりするのはどうかなと。作り手の考えが決まらないと、観客だってどう受け止めていいのやら困ってしまいます。自分はそんなタイプなんですけどね。その点この映画は、シンプルに問いを投げかけていて、そこがきちんと作ってあるからこそファンタジックな部分が生きてきたんだと感じました。*********************************今日の評価 : ★★★★
2008.09.17
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監督・脚本 : タナダユキ 出演 : 蒼井優 、 森山未來 、 ピエール瀧 、 竹財輝之助 、 齋藤隆成 公式サイトはこちら。<Story>短大を卒業後、フリーターをしている鈴子(蒼井優)は、バイト仲間からルームシェアを持ちかけられて実家を出る事にした。しかしひょんな事から事件に巻き込まれ、警察沙汰に。前科者になってしまった鈴子は、「百万円貯まったら出ていきます」と家族に宣言し、バイト掛け持ちで懸命に働く。やがて実家を出た鈴子は、とある海辺の町にたどり着く。海の家で働き始めるが、貯金が百万円貯まると、あっさり次の土地を目指して旅立つのだった…。百万円と苦虫女 - goo 映画<感想>珍しく公開初日なんかに行ってしまいました^^この日は、夏休み映画の目玉のこれが公開だったもんで、ロビーはそのお客さんたちでいっぱい・・・。 なんですが、この映画も9割方入ってました。なかなかの健闘。優ちゃん効果ですね。蒼井優ちゃんの映画を観るたびにいつも思うんですが、雰囲気や演技で「もう1度観てみたい」と思わせる女優です。肩に力が入らず、気負いも感じさせず、それでいて役に溶け込んでいる。「才能」です。この映画もそんな感じでした。タナダユキ作品は、『赤い文化住宅の初子』に続く鑑賞です。『・・・初子』もそうだったんですが、今回も「お金」にまつわる話で、しかも彼女の作品のそれはあんまり景気がよくないというか(苦笑)、「金の切れ目は縁の切れ目」みたいなところがあるわけです。期せずして前科者になってしまった鈴子。家族はバラバラ、自分はもう実家のコミュニティでは受け入れてもらえないという疎外感から、敢えて他者との接点を持たずに生きる・・・。百万円貯まると次の居場所を求めるというのも、見方によっては、百万円がその土地や人々との手切れ金みたいな感覚なんでしょうか。(c)2008『百万円と苦虫女』製作委員会そこに生きていく限り、自分は関係ないし関係を持ちたくないと思っていても、それが自分にとっていい関係でも煩わしかったりする関係でも、何がしかの人との関わりは必ずできる。自分はどうでもいいと思っていても相手にとってはそうじゃないこともある。海で鈴子に好意を持った若者と鈴子との関係もそうだし、「都会と田舎のギャップ」という形で不満をぶちまけていた、桃の村民の言葉も鋭かったですね。自分はこれでいい、しかし相手にとっては利用されるだけじゃないかっていう一方通行のコミュニケーションへの不満です。鈴子の言い分を一切聞かずに交際申し込む男や、桃娘を押し付けようとした村側だって一方通行なんですよね。(c)2008『百万円と苦虫女』製作委員会そして初めてつながりたいと思えた中島くん。 ですがこれも一筋縄でいかないところがね(笑中島くんも鈴子もどっちも不器用で言葉足らずで、そこはやっぱり「若さゆえ」なんだろうなと感じます。お互いに、言えばいい所をしっかりと言わない、伝えない、もういいか!? ってあっさりと踏み込まないところが、今の気質をよく表していると思います。そしてラストなんかはタナダユキっぽいなと・・・。 あえてはっきりとしない。 でも現実だっていつも白黒つくわけじゃないし、うやむやに終わることだって多いからね。それでも、「終わりにすることで、逃げない」という選択をした鈴子は、1歩前に進むことができたんじゃないかと思いました。弟くんの壮絶な叫び・・・ これもいろいろ考えさせられたし、家族が前に歩いて行こうとしていることが鈴子の励みになって、彼女がこれからの人生を送って行くんじゃないかと感じました。********************************今日の評価 : ★★★★
2008.07.19
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製作・監督・撮影・編集:坂田雅子配給:シグロ出演:グレッグ・デイビス、フィリップ・ジョーンズ=グリフィス、グエン・ティ・ゴック・フォン博士試写会場 : 佑浩寺※ 劇場公開について : 2008年6月14日(土)~7月4日(金)岩波ホールにて3週間限定特別上映/全国順次公開公式サイトはこちら。<Story>フォトジャーナーリストだったグレッグ・デイビス氏が癌で亡くなった後、妻の坂田雅子氏には「なぜ?」という疑問が残った。兵士としてベトナム戦争に送られた過去を持つ夫の死について、当時戦場で浴びた枯葉剤が原因ではないかと思った坂田氏は、ベトナムへ行く。そこで彼女が目にしたのは、いまだに枯葉剤が、ベトナムの人々を蝕み続けている現実だった。戦後30年経った今でも、重い障害を持った子供たちが生まれているのだ。花はどこへいった - goo 映画<感想>今回は シネトレ公認bloger試写会ということでご招待いただきました。アメリカ人のご主人が、恐らくベトナム戦で浴びた枯れ葉剤が原因で亡くなった、だから枯れ葉剤のことを記録に残したい、というのがこの映画の製作のきっかけ。そして、監督がベトナムに渡ると、そこには21世紀になってもなお誕生し続けている枯れ葉剤の犠牲者がおり、そのことが恐らく監督の胸を打ってしまったのだと思います。ですがそこから、だんだんこの映画の視点そのものがずれてしまっていました。グレッグ氏の逝去から、この問題を取り上げることにしたわけですから、ベトナム帰還兵で枯れ葉剤の犠牲者になった方を中心に追跡していくのかと思いきや、ベトナムでの枯れ葉剤の犠牲者や、彼らを抱える家族に視点が移動しているため、被害はこんなにあったんだよ・・・ ということはわかっても、では焦点はどこに? と考えると、あっちこっちに行ってしまっている感はぬぐえませんでした。上映時間も短かったせいか、とりあえず一通り紹介しました・・・ といったところでしょうか。東京でも3週間限定ということで、巡回上映を初めから意識して制作していたかどうかはわからないのですが、何か主題を絞って掘り下げた方が説得力がより増したのでは。もっとも、ベトナムで今なお枯れ葉剤の後遺症に苦しんでいる人々の映像は胸を打ちました。直接枯れ葉剤を浴びた世代の、次の次の世代が出産年齢に差し掛かっていて、彼らの赤ちゃんにまで被害が受け継がれる確率があります。「子どもを作るのが怖い」という声は切実でした。そして子どもたちがみんな明るいんです。片足だけで跳びながら階段を降りていく子、両手がなくても身の回りのことをこなし、パソコンを操る子。彼らが、自分の置かれた環境の中で懸命に生きている姿は力強かったです。**********************************音響・上映設備について、各社の協賛があり、レビューをお願いしますということですので。【シアター用フルHD液晶プロジェクター「LP-Z2000」・・・三洋電機】割と離れたところから鑑賞していたのですが、画質は美しかったです。色の彩度もよく、鮮明だったと思います。【ホームシアターHTSシリーズ(スピーカー)/ INTEGRAシリーズ(AVアンプ)・・・ONKYO】HTSシリーズDTX-7.8アンプとスピーカー、セットでの協賛です。そう言えば右側の方に、1mくらいのスピーカーありましたね。場所も取らないし、お部屋のインテリア兼用で設置するのも悪くはないのでしょうね。音もくっきりと聞こえてました。THX認定ですからね。【スタンフル・モバイルスクリーン・・・キクチ科学研究所】軽量で簡単に室内でも設置できる、という触れ込みです。画質はある程度は鮮明です。コンパクトとはいってもかなり広げてしまうとスペース取ります。ですからやっぱり広いリビングがないと厳しいかなあと。今回は試験的な要素が多い試写会でしたが、正直、この日の会場にこのスクリーンは少し小さすぎませんでしょうか?おうちではかまわないと思いますし、実際に製品のレベルは高かったのですけどね。あくまでも「試写会」なのですから、もう少し大きいスクリーンでないと鑑賞する側は大変です。**********************************お寺で試写会ということなので、すごく楽しみにしていました。本堂のようなところに座るのか? お線香の匂いはするのか? 講話があったりしてw ・・・などといろいろ想像していた私たち。試写会場に近づくと、荘厳なお寺が見えてきたので入ろうとするとどうもそこではないらしい。ご案内のスタッフさんが立っていたのは隣のビル・・・。え?ここが佑浩寺なのだそうです(笑完全にビルですね。会場内に初めパイプ椅子が並べられていて、私たちも初めはそこに座っていたのですが、前に人が着席するとどうにも観辛い。椅子はずらしてあり、ある程度間隔開けて並べたようなのですが・・・。 人が前に座ってしまうとスクリ-ンが半分隠れてしまうので、結局私たちは椅子を諦めて床に座って観ました。かえってこの方が快適だったくらい。上映途中でやっぱり・・・ と床にいらした方もいたくらいです。ただ、背もたれがない状態で1時間以上はキツい。といいますか、パイプ椅子に座っていたとしても、前の人の身体に半分隠れているスクリーンをあっちこっちと頭を動かしながら鑑賞というのもどうでしょうか。実際パイプ椅子に長時間着席というのもしんどいような気もするんです。ご年配の方もおられましたのに、そのあたりの配慮が全くなさそうなのが気になりました。試写会場を設置する際には、実際に観る立場で考えていただきたいですね。この体勢で1~2時間近く過ごしたらどうなるんでしょうか・・・ ということです。そしてなによりも、映画に集中できる環境作りに徹していただきたかったです。観辛かったね、身体が痛い・・・ ということでは、試写会の意味がないのでは?実際、劇場で映画鑑賞するときには、傾斜のある映画館を選んで行くくらいですから、前の人の頭とか身体がスクリーンに入ってくる時点で、もうどうかと思うのですけど。お誘いした友人には申し訳なかったです。。。**********************************今日の評価 : ★☆
2008.06.08
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