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漫画に関するディ-プな雑誌『ガロ』があったようで、発刊当時に見たわけではないのだが・・・でも、その内容が私のツボを突いていて、ええでぇ♪*********************************************************図書館で、『ガロ曼陀羅』という本を手にしたのです。貸し本屋系からメジャー系まで、ほとんどすべての漫画家がコメントしているのが、スゴイでぇ♪【ガロ曼陀羅】ガロ史編纂委員会編、阪急コミュニケーションズ、1991年刊<「BOOK」データベース>より創刊号(1964年9月)から318号(1991年6月)までの全表紙をカラー写真で収録。『ガロ』掲載全作品を作家別に網羅。約30年におよぶ『ガロ』の歴史と変遷。まるごとオリジナル書き下ろし。<読む前の大使寸評>貸し本屋系からメジャー系まで、ほとんどすべての漫画家がコメントしているのが、スゴイでぇ♪amazonガロ曼陀羅『ガロ』が見つけた異才・つげ義春のコメントを、見てみましょう。p20~22青林堂主人 長井さんとの最初の出会いは、ぼくが大塚に住んでいた頃、出来たての白土三平さんの『忍者武芸帳』第1巻を持ってひょっこり訪ねてきたのが最初で、三洋社を始めた頃だったと思います。 白土さんのデビュー以前から、ぼくは貸本向けのマンガを描いていましたが、白土さんはよく、ぼくの作品を読んでくれていたようですので、白土さんに言われて長井さんが来たのかな、とも思いました。 それで、三洋社の『忍風』に描くようになったのです。当時はミステリー、ハードボイルドものが人気があったので、その手の作品を描いていました。 しばらくして、僕も引っ越しして、少しマンガから遠ざかっていた頃、『ガロ』の本の柱に「つげ義春さん、連絡乞う」と出ていたのを友だちの漫画家が見て、ぼくに教えてくれました。別に放浪していたわけでもなかったのですが、引っ越し先の住所が分からなかったからでしょうか。 それで長井さんのところへ出向きました。白土さんが、『ガロ』を作るときのメンバーにぼくの名前も考えていてくれていたからでしょうね。 当時は、本当にこっちも苦しかったから、1ヵ月後の原稿料の支払いも待てず、原稿と引き換えにギャラをもらうということでやっていました。 でも、神保町の長井さんの待ち合わせがなかったときは、練馬の赤目プロに行って、白土さんに二回くらい立て替えてもらったこともありました。長井さん、白土さんにそれを返したのかな? それが気掛かりですが、もしそのままだったら、ぼくは未だに白土さんから原稿料を借りていることになってしまっていますね。 そのついでというわけでもないのですが、1週間くらいは白土さんの手伝いをしたこともあります。 「紅い花」がNHKで映像化されたことについて何か、ということなのですが、正直言って当時はあまり面白くなかったです。70分くらいの作品で、佐々木昭一郎さんがきれいな映像に仕上げてくれましたが、反戦思想を作品の中に盛り込んだりしたことがふあわしくないように思ったんです。 でも、ぼくにとっても初めての経験でしたし、エミー賞という海外の賞や芸術祭参加作品の大賞をいただいた作品なので、今思えばすごいことだったのでしょうね。ガロ曼陀羅1:佐々木マキさんのコメントガロ曼陀羅2:『ガロ』創刊当時のお話ガロ曼陀羅3:南伸坊・元編集長の昔話ガロ曼陀羅4:青林堂社長の「はじめに」ガロ曼陀羅5:蛭子能収さんのコメント『ガロ曼陀羅』6:つげ義春のコメント
2024.06.03
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定年退社前の仕事で、「個体燃料電池を組み込んだ試験用発電設備」の設計、製作、試運転に携わったことがあるのですが・・・ネットで「グリーン水素革命目指す欧州」という記事を見たので紹介します。*********************************************************水素関連で500社弱出展のハノーバーメッセ、「グリーン水素革命」目指す欧州よりドイツ・ハノーバーで開催された「Hannover Messe 2024」の主要テーマは「Energizing a Sustainable Industry(持続可能な産業を活性化する)」。約4000社の出展のうち、多くが「Industry 4.0」、すなわち工場のオートメーション化やデジタル化を軸に出展した。 その中でやや異色だったのが「Hydrogen+Fuel Cells(水素と燃料電池)」をテーマとした出展だ。Hannover Messeでは30年近くも続いているテーマだが、今回は、「Hydrogen+Fuel Cells EUROPE」というコミュニティーに所属する企業だけで300社超。それ以外の企業も含めると出展社500社弱(日経クロステック調べ)と過去最大規模になった。水素関連だけでこの出展規模は世界最大級といえる。Bosch社の個体燃料電池■水素社会実現のインフラ、サプライチェーン構築へ 会場には、「ENERGY 4.0」や「green hydrogen revolution(グリーン水素革命)」といった刺激的なキャッチコピーが目立つ。出展内容も、水素またはアンモニアやメタノールなどの水素キャリアの生産技術、その圧縮や貯蔵システム、パイプラインの敷設計画、水素の充填ステーション、そして燃料電池や燃焼システムまで、水素の様々なサプライチェーンやインフラが出そろった。 中でも人気を集めたのがドイツRobert Boschの出展や講演だ)。同社は、日本では自動車関連の部品・部材メーカーとしての印象が強いが、水素関連でもサプライチェーン・システムの多くを手掛けている。
2024.05.18
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図書館で『地図で見るロシアハンドブック』という本を、手にしたのです。この本は2022年のウクライナ侵攻前に発刊されているが・・・2014年のクリミア半島侵攻には触れているので借りた次第です。【地図で見るロシアハンドブック】パスカル・マルシャン著、原書房、2021年刊<「BOOK」データベース>よりロシアの現状が一目瞭然でわかるアトラス!ウクライナ危機、国境の変化、世界の新たな均衡など、今日のロシアの地政学的利益が一目でわかる。<読む前の大使寸評>この本は2022年のウクライナ侵攻前に発刊されているが・・・2014年のクリミア半島侵攻には触れているので借りた次第です。rakuten地図で見るロシアハンドブック「ロシアの地政学的利点」から「極東のロシア」を、見てみましょう。あくまでもフランス人著者の見方ですが。p176~179<空白地域を管理する> エニセイ川より東の極東と東シベリアでは、1000万平方キロメートルの面積に1550万人の住民しかいない。1989年には1670万人だった。大多数を占めるロシア人は西に戻っていく傾向があり、数少ない先住民族はあまり多産ではない。この空白地域に隣接するのが、人口13億人の中国をふくむ世界でもっとも人口密度が高い地域である。 中国人移民はアメリカやヨーロッパ、アフリカなど、もっと温暖で実入りのいいところへの移住を好むので、ロシアへはほとんど入ってこない。 1990年代にはイルクーツク、ノヴォシビルシク、コムソモリスク・ナ・アムーレにあるスホーイ社の工場が、インドなどアジア諸国に作戦機を大量に輸出した。西部にある工場ではおこなわれなかった近代化がなされたのである。 現在、航空機産業の復興はこれらの工場にかかっている。最新型の戦闘機(Su—34、Su—35、Su—57)や、ソ連崩壊後に設計された民間旅客機、スーパージェット100やイルクートMS—21の製造がおこなわれている。 ロシア政府は2006年にヴォストチヌイ宇宙基地の建設をけっていした。2020年にはロシアのほとんどすべての有人飛行を担うことになるだろう。ロシアの民間船舶建造の刷新は、とくに韓国からの技術移転がおこなわれることになっているヴラジオストクのズヴェズダ造船所に託されている。将来のロシア製砕氷船の製造もうけおっている。(中略)<国境紛争> アムール川とウスリー川に沿った現在のロシアと中国の国境は、1858年のアイグン条約で定められたものだ。この条約は19世紀にヨーロッパの列強に押しつけられた「不平等条約」と中国がよんでいるもののひとつである。1969年には、ウスリー川流域でロシアと中国との軍事衝突が起こった。その後、国境が画定され、承認された。 中国は、東シベリアの豊富な鉱物資源に触手を伸ばしたいという気持ちはあるかもしれないが、これほど広大で過酷な地域の管理コストを負担するのは避けたいところだろう。いずれにしても、この地域からの販路としては中国や東アジアしかない。(中略) いっぽう、ロシアと日本の領土問題は数世紀前から続いている。千島列島は1644年から日本地図に描かれている。日本人は列島南部を支配し、ロシアのロシアのアザラシ猟師たちは北部にやってきていた。 1855年の下田条約(日露和親条約)で、列島北部はロシアに、列島南部は日本に割りあてられた。国境線は択捉島とウループ島(得撫島)のあいだを通っていた。 1875年のサンクトペテルブルク条約(樺太・千島交換条約)で、日本は千島列島すべてを獲得し、ロシアは樺太(サハリン)の統治権を得た。1905年にロシアが敗北したとき、ロシアは樺太北部の領有権を保持し、日本が樺太南部の支配権を得た。 1945年、ソ連軍が千島列島と樺太を占領した。樺太については日本から意義は唱えられなかった。1946年、ソ連は千島列島全体を併合し、南の4島に住んでいた1万7000人の日本人を追放した。1951年、サンフランシスコ講和条約により、日本は千島列島北部を放棄したが、南部の4島(歯舞、色丹、択捉、国後)はそうではない。 両国のあいだにはいかなる平和条約も結ばれていない。 2019年はじめ、日本の報道機関は、安倍晋三首相の発言にもとづいて、返還合意が間近にせまっていると報じた。このうわさは、ロシアのモスクワや、千島列島が属するサハリン州で抗議運動をひき起こした。『地図で見るロシアハンドブック』1:2014~19年のウクライナ
2024.05.09
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京都市美術館では「村上隆もののけ京都」という企画展が催されているが、これは興味深いのです。・・・ということで、2012年11月29日「村上隆の原点」を復刻して読み直してみましょう。まあ村上隆の予習とでも申しましょうか♪*********************************************************今では超ビジネス書を発刊するなど、ブイブイ言わせている村上隆の原点までさかのぼってみたい・・・・ということで、「リトルボーイ」という本を借りたのです。リトルボーイといえば、広島に落とした原爆の愛称であるが・・・今のアメリカ市民は知っていたか、知らなかったか?大使幼少の頃、原子力と言えば、鉄腕アトムとかゴジラを連想するように、割と肯定的なイメージもあるが・・・・これがCIAの刷り込みと言えば、当らずとも遠からずという裏事情もあったようです。(あかん、書評の観点がずれてゆくがな)ということで、ヤノベケンジのゴジラです。ポップやなぁ♪本書は、ニューヨーク市内各所で開催されたリトルボーイ展に際して出版されたという曰くがあるが、村上隆のアメリカに対する強烈なコンプレックスが見られるわけで・・・反米の大使の胸に響くわけです(笑)ともあれ、スーパーフラットとは何だ?という問いに答える本ということでしょうか♪【リトルボーイ】村上 隆(編集) 、ジャパン・ソサエティー イェール大学出版、2005年刊<「MARC」データベース>より2005年にニューヨークのジャパン・ソサエティー・ギャラリーで行われたリトルボーイ展のカタログ。アニメ、だめ、かわいい、マニア、おたく、少女、ゆるキャラ等をキーワードに、村上隆、岡田斗司夫、椹木野衣らが執筆。 <大使寸評>本書は、ニューヨーク市内各所で開催されたリトルボーイ展に際して出版されたという曰くがあるが、村上隆のアメリカに対する強烈なコンプレックスが見られるわけで・・・反米の大使の胸に響くわけです(笑) ともあれ、スーパーフラットとは何だ?という問いに答える本ということでしょうか♪Amazonリトルボーイこの本から一部紹介します。<Superflatプロジェクト発動:村上隆>p153~155「Superflat」 この呼び名はLAのギャラリスト二人が、私の絵画作品のセールストークに使っていた表現が起源だ。「superflatでsuperクオリティー、そしてsuperにクリーンなこのペインティングはいかがでしょうか?」という具合の売り文句。日本の車や電化製品を讃える表現と変わらぬ所に本質的な日本文化の特性を知った気がした。そしてその表面を乗り越えなければ「文化」そのものになり得ない、故にその売り文句を超えていくという批評的な観点から、superflatを冠としたプロジェクトをスタートさせた。「SuperFlat宣言」日本は世界の未来かもしれない。そして日本のいまはsuper flat。 社会も風俗も芸術も文化も、すべて超2次元的、この感覚は日本の歴史の水面下を澱みなく流れ続け、とくに美術にわかりやすく顕在化してきた。現在では、強力なインターナショナル言語となった日本のスーパーエンタテイメント、ゲームとアニメにとくに濃密に存在している。そのフィーリングを説明すると、例えば、コンピューターのデスクトップ上でグラフィックを制作する際の、いくつもに分かれたレイヤーを一つの絵に結合する瞬間がある。けっして分かりやすい例えではないが、そのフィーリングに、私は肉体的感覚に近いリアリティーを感じてしまうのだ。この本で日本のハイもロウもすべてフラットに並んでいるのは、そのフィーリングを伝えるためでもある。POP、ERO POP、OTAKU、HIS-ISM、そして、そんな日本文化の表層下に流れる「レイヤーの結合」の瞬間を体験してほしい。私達のリアリティーはどこにあるのか。 この本は「super flat」を、自分達の、つまり日本文化を潜在的に構築してきた、そしして、今もしつづけている大きな感性であり、世界観として捉え直し、過去から現在、そして未来へとつながるオリジナルなコンセプトとして、展示していくためのものである。近代以降、日本が西洋化されていく過程で、この「super flat」的感性はどのように姿を変え、いまに到っているのか。そこをきっちり見据えることから、いまの我々のスタンスも、見えてくるに違いない。 その意味で、ここには現在進行形の日本のリアルが詰まっている。私達の生きてゆくコンセプト探しの答えが見つかるかもしれない。西洋化されてしまった日本人のオリジナルコンセプト、「super flat」。<東京ポップの逆襲:松井みどり>p226~227 スーパーフラット理論の出発点は、『広告批評』誌1999年4月号のために村上が企画した「東京ポップ」特集にあり、ここで日本のポストモダンの文化状況に対する村上のスタンスが詳らかにされた。同誌に発表された村上のテキスト「拝啓 君は生きている―TOKYO POP宣言」は、世紀末東京の大衆文化生産にひそむカオスと幼稚性から日本独自の芸術表現を形成しようと目論む村上の見事なまでに一貫した戦略を表している。 まず、村上は、日本文化がアメリカとの植民地関係に縛られているとの歴史観に基き、「戦後の日本はアメリカによって生かされ培養されてきた。無意味こそが人間の生きる姿。だから、何も考えずに生きろ、と教育された」と言う。そして、日本で精神的内容を持たない物質主義が膨張した原因を文化の対米依存性に見いだし、この環境こそが、個人や組織の成熟を妨げていると考える。と同時に、近年アメリカが徐々に日本を縛る手綱を緩めている状況下、日本の文化生産は行き先不明の状況に陥っているのだが、にもかかわらず方向性を失った文化的生産に酔いしれる日本社会は真のヒエラルキーを欠き、超富裕階級の台頭は妨げられ、専門水準の形成が遅れ、幼稚な社会構造から脱却できないでいる。これが村上の現状認識だ。 日本文化の「マイナー」な―つまり、本流ではなく、瑣末で、幼稚で、貧相な―特質を認識する村上は、明らかに欠点と思われる要素に、新しい創造の契機を探り当てたのである。 一見ネガティブに見えるこの3点、1)子供的価値観、2)豊かさのレベルなき社会、3)アマチュアリズム。しかしこの3点がアドバンス〔有利〕となって、いま新しい創造の世界を作り始めている。 こうした「マイナー」の条件を逆説的に運動の中心に据えて企画された「ポップ」は、あの輝かしいアメリカのポップ・アートとは似つかない。そのかわりに、村上流ポップは現代東京の異種混合のリアリティーに根ざしており、東京の偽物性をユニークな特質として、また文化占領の歴史的産物として甘受するのである。「TOKYO POP宣言」執筆に加えて、村上は「東京で活躍しながら、西洋的な価値観の軸に乗せてインターナショナリズムを持ち得る、と思わせた10人のアーティスト」を東京ポップの作家として紹介し、軋轢の強い文化的影響を乗り越えて創出された美術表現のハイブリッド性をむしろ誇示するのだ。第五福竜丸とヤノベケンジより椹木野衣・日本のサブカルチャーは原点であるゴジラや、宇宙戦艦ヤマトの放射能除去装置など、核と放射能と被爆の歴史である。鉄腕アトムや仮面ライダー、ドラえもんなどは原子力の平和利用。・放射能に対してはサブカルチャーの蓄積から免疫があった。地震の問題は実は大きな問題で、今一分後に大地震が起こるかもしれない。世界に原発が増え続け、世界各地で地震の多発期に入ったと思われる今、我々は震災の事後にいて、それに対応するばかりではなくて、これから起こる更なる災害に対する想像力を持たなければならない。・(ヤノベのサン・チャイルドに対して)震災後を見すえて作品を作るのはまだ早いのではないか。今サバイバルの方がリバイバルより必要な状況に帰っているのではないか。二人の対話は、阪神・淡路大震災、オウム真理教、東海村臨界事故、さらには戦後のアメリカから日本への原発の輸入の構造にも及び、現在まだわれわれが渦中にある東日本大震災以後にいたる状況を、ヤノベの表現活動の軌跡と重ねて考えさせられる内容だった。
2024.04.04
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図書館で『辺境メシ ヤバそうだから食べてみた』という本を手にしたのです。巻頭のカラー写真の数ページを眺めると、確かにおぞましいというかヤバい感じを受けるわけで・・・高野さんの胃腸はどうなっているのかと思ったのです。【辺境メシ ヤバそうだから食べてみた】 高野秀行著、文藝春秋、2018年刊<「BOOK」データベース>より人類最後の秘境は食卓だった!食のワンダーランドへようこそー辺境探検家がありとあらゆる奇食珍食に挑んだ、驚嘆のノンフィクション・エッセイ!<読む前の大使寸評>巻頭のカラー写真の数ページを眺めると、確かにおぞましいというかヤバい感じを受けるわけで・・・高野さんの胃腸はどうなっているのかと思ったのです。rakuten辺境メシ ヤバそうだから食べてみた仕事がら砂漠に行ったことがあり、帰国する際のお土産としては「デーツ」くらいしかなかったのを思い出すのだが・・・そのデーツが語られているので、見てみましょう。p35~37<砂漠のスーパー甘味“デーツ”> 酒飲みであるせいか甘い物が不得手だ。だから旅先や取材先でスイーツの類いを勧められるのがいちばん困る。特に中東・アフリカのイスラム圏。酒が少ないかわりに、お菓子の類いが無駄に充実しているうえ、どれも甘すぎる。 その代表格がデーツ(ナツメヤシの実)。たいていは乾燥させたもので、干し柿を一回り小さくしたようなサイズと質感だが、デーツの方がもっと甘味が強く、ねっとりしている気がする。しかもただでさえ甘いデーツを砂糖漬け(もしくはシロップ漬け)にしたスイーツも人気で、正直「頭がおかしいんじゃないか」とすら思っていた。 ところがこれまでの人生で二回だけこのデーツを「美味い」と感じたことがある。 一度はラマダン(断食月)中にソマリアを旅していたとき、イスラムの戒律ではこの期間(約1ヶ月間)、日の出から日の入りまで食べ物も水も一切口にしてはいけない。私も、一緒に行動しているソマリア人の通訳や護衛の兵士たちの手前、自分だけ飲み食いするのは気が引けるので、同じように断食していた。 毎日、夕方になると、近くのモスクからアザーン(お祈りを促す声)が聞こえて来て、やっと食事にありつける。私はこれまでイエメンとスーダンの田舎でラマダンを経験したことがあって、その2カ所では、アザーンが聞こえると同時に炊き込みご飯やらローストチキンやらを一気食いしていたが、ソマリア人はもっと上品。「一日食を絶ったあと、急にたくさん食べるのは胃腸によくない」というもっともな理由で、まず軽食をとる。メニューは、三角形の総菜サモサ、スイカ、固く焼いた小さなパン、そしてデーツと決まっている。飲み物はレモンジュースかお茶か水。 丸一日、食を断ったあとのデーツはねっとりとした甘みがすーっと体に染みこんでいくようで、本当においしい。酒を飲んだときのように、体のこわばりがとれ、五臓六腑にしみわたったものだ。 もう一度は数年前、アルジェリアのサハラ砂漠を42.195キロ走る「サハラマラソン」に出場したとき。当時私は最も長く走ったときでも15キロという超初心者ランナーで、マラソンに関する知識もゼロ。単に夜中に酒に酔った勢いでネットで参加申し込みしてしまっただけだった。 現地のスタート地点で、他の選手たちが栄養補給のゼリーやドリンクを用意し、腰や背につけたりするのを見て、「こういうものが必要なのか!」と今さらながら青くなった。 でも、ないものはない。そのままスタートしてしまった。砂漠の中には、だいたい2キロに一つは給水所が設置され、水のボトルとデーツの砂糖漬けの山が用意されていた。もともとデーツの砂糖漬けなんて苦手だし、水だけ補給して走り去っていたが、10キロぐらいになるとガクンと疲れてきた。日頃の練習がせいぜい7キロ程度だから無理もない。 給水所で水を飲むついでにほぼ無意識的にデーツの砂糖漬けをかじったのだが、これがめちゃくちゃ美味い! 同時に、何か内側からバーン!と叩かれたような刺激に心身が目覚め、元気が出た。以後、デーツをバリバリ食べ、そのおかげで完走できたといってもいい。 ちなみに、一度、併走していたオランダ人ランナーからスポーツゼリーを分けてもらって食べたが、そんな刺激は何もなかった。 思うに、栄養学的にはゼリーの方が優秀なのかもしれないが、デーツにはそれを上回るスーパーな疲労回復力があるのではないか。きっと、大昔から、砂漠の旅人はオアシスの村に到着すると、デーツを食べ、再び歩きだす力を得たのだろう。 デーツは過酷な砂漠の必需品なのである。『辺境メシ ヤバそうだから食べてみた』1:はじめに
2024.03.17
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『朝日デジタルの書評から』フォームや『読みたい本』フォームを作っているのだが、これを市図書館の予約に利用しようと、思い立ったのです。これまでの予約内容と予約候補は以下のとおりです。<予約中>・川上未映子『黄色い家』(7/24予約、副本?、予約504)現在217位・三浦しおん『墨のゆらめき』(8/9予約、副本12、予約373)現在125位・堤未果のショック・ドクトリン(8/25予約、副本7、予約177)現在63位・『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』(9/18予約、副本5、予約126)現在54位・原田ひ香『図書館のお夜食』(10/04予約、副本17、予約402)現在209位・南海トラフ地震の真実(10/20予約、副本?、予約44)現在16位・斎藤幸平『マルクス解体』(11/28予約、副本?、予約?)現在15位・吉岡桂子『鉄道と愛国』(12/04予約、副本?、予約?)現在7位・高野秀行『イラク水滸伝』(1/06予約、副本3、予約86)現在71位・大学教授 こそこそ日記(1/12予約、入荷待ち、予約?)現在49位・絲山秋子『神と黒蟹県』(3/02予約、副本3、予約63)現在62位<カートで待機中>・N・ネフスキー著『月と不死』・グレタたったひとりのストライキ・カズオ・イシグロ『夜想曲集』・沢木耕太郎『深夜特急』<予約候補>・中野翠『ほいきた、トシヨリ生活』・鴨志田譲×西原理恵子『アジアパー伝』:図書館未収蔵・ジョージ・ミーガン『世界最長の徒歩旅行』:図書館未収蔵・李琴峰『彼岸花が咲く島』:第165回芥川賞受賞作(21年)・ひさうちみちお『パースペクティブキッド』・ジェイムズ・ジョイス『フィネガンズ・ウェイク』・ケン・リュウ『草を結びて環を衡えん』:図書館未収蔵・九段理恵『東京都道場塔』:図書館未収蔵・外山滋比古『思考の整理学』・ウマは走るヒトはコケる・ガブリエル・ガルシア=マルケス『百年の孤独』・『深海ロボット、南極へ行く』:図書館未収蔵<予約分受取:12/27以降> ・斎藤環『社会的ひきこもり』(12/25予約、12/27受取)・満州国グランドホテル(12/20予約、1/20受取)・絲山秋子『御社のチャラ男』(1/27予約、2/04受取)・村上春樹×柴田元幸『翻訳夜話』(2/15予約、2/27受取)・楊双子『台湾漫遊鉄道のふたり』(6/23予約、2/27受取)・川添愛『世にもあいまいなことばの秘密』(1/26予約、2/27受取)・呉叡人『フォルモサ・イデオロギー』(2/03予約、3/13受取予定) **********************************************************************【黄色い家】川上未映子著、中央公論新社、2023年刊<「BOOK」データベース>より2020年春、惣菜店に勤める花は、ニュース記事に黄美子の名前を見つける。60歳になった彼女は、若い女性の監禁・傷害の罪に問われていた。長らく忘却していた20年前の記憶ー黄美子と、少女たち2人と疑似家族のように暮らした日々。まっとうに稼ぐすべを持たない花たちは、必死に働くがその金は無情にも奪われ、よりリスキーな“シノギ”に手を出す。歪んだ共同生活は、ある女性の死をきっかけに瓦解へ向かい…。善と悪の境界に肉薄する、今世紀最大の問題作!<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(7/24予約、副本?、予約504)>rakuten黄色い家【墨のゆらめき】三浦しおん著、 新潮社、2023年刊<出版社>より実直なホテルマンは奔放な書家と文字に魅せられていく。書下ろし長篇小説! 都内の老舗ホテル勤務の続力は招待状の宛名書きを新たに引き受けた書家の遠田薫を訪ねたところ、副業の手紙の代筆を手伝うはめに。この代筆は依頼者に代わって手紙の文面を考え、依頼者の筆跡を模写するというものだった。AmazonのAudible(朗読)との共同企画、配信開始ですでに大人気の書き下ろし長篇小説。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(8/9予約、副本12、予約373)>rakuten墨のゆらめき【堤未果のショック・ドクトリン】堤未果著、幻冬舎、2023年刊<「BOOK」データベース>より「ショック・ドクトリン」とはテロや大災害など、恐怖で国民が思考停止している最中に、為政者や巨大資本がどさくさに紛れに過激な政策を推し進める悪魔の手法のことである。日本でも大地震やコロナ禍という惨事の裏で、知らない間に個人情報や資産が奪われようとしている。パンデミックで空前の利益を得る製薬企業の手口、マイナンバーカード普及の先にある政府の思惑など…。強欲資本主義の巧妙な正体を見抜き、私たちの生命・財産を守る方法とは?滅びゆく日本の実態を看破する覚悟の一冊。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(8/25予約、副本7、予約177)>rakuten堤未果のショック・ドクトリン【ぼくはあと何回、満月を見るだろう】坂本龍一著、新潮社、2023年刊<「BOOK」データベース>より「何もしなければ余命は半年ですね」ガンの転移が発覚し、医師からそう告げられたのは、2020年12月のこと。だが、その日が来る前に言葉にしておくべきことがある。創作や社会運動を支える哲学、坂本家の歴史と家族に対する想い、そして自分が去ったあとの世界についてー。幼少期から57歳までの人生を振り返った『音楽は自由にする』を継ぎ、最晩年までの足跡を未来に遺す、決定的自伝。著者の最期の日々を綴った、盟友・鈴木正文による書き下ろし原稿を収録。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(9/18予約、副本5、予約126)>rakutenぼくはあと何回、満月を見るだろう【図書館のお夜食】原田ひ香著、ポプラ社、2023年刊<「BOOK」データベース>より東北地方の書店に勤めるものの、うまくいかず、仕事を辞めようかと思っていた樋口乙葉は、SNSで知った、東京の郊外にある「夜の図書館」で働くことになる。そこは普通の図書館と異なり、亡くなった作家の蔵書が集められた、“本の博物館”のような図書館だった。開館時間は夜7時から12時まで、まかないとして“実在の本に登場する料理”が出てくる「夜の図書館」で、本好きの同僚に囲まれながら働き始める乙葉だったがー。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(10/04予約、副本17、予約402)>rakuten図書館のお夜食【南海トラフ地震の真実】 小澤慧一著、東京新聞出版、2023年刊<「BOOK」データベース>より「南海トラフは発生確率の高さでえこひいきされている」。ある学者の告発を受け、その確率が特別な計算式で水増しされていると知った記者。非公開の議事録に隠されたやりとりを明らかにし、計算の根拠となる江戸時代の古文書を調査するうちに浮かんだ高い数値の裏にある「真実」。予算獲得のためにないがしろにされる科学ー。地震学と行政・防災のいびつな関係を暴く渾身の調査報道。科学ジャーナリスト賞で注目のスクープを書籍化!<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(10/20予約、副本?、予約44)>rakuten南海トラフ地震の真実【マルクス解体】斎藤幸平著、 講談社、2023年刊<「BOOK」データベース>よりいまや多くの問題を引き起こしている資本主義に対する処方箋として、斎藤幸平は、マルクスという古典からこれからの世の中に必要な理論を提示する。本書『マルクス解体』は、マルクスの物質代謝論、エコロジー論、プロメテウス主義の批判から、未来への希望を託す脱成長コミュニズム論までを精緻に語る。これまでの斎藤の活動の集大成であり、同時に「自由」や「豊かさ」をめぐり21世紀の基盤となる新たな議論を提起する書である。<読む前の大使寸評>追って記入。<図書館予約:(11/28予約、副本?、予約?)>rakutenマルクス解体【鉄道と愛国】吉岡桂子著、岩波書店、2023年刊<「BOOK」データベース>より戦後日本の発展の象徴、新幹線。アジア各地で高速鉄道の新設計画が進み、中国が日本と輸出を巡って競い合う現在、新幹線はどこまで日本の期待を背負って走るのか。一九九〇年代から始まった新幹線商戦の舞台裏を取材し、世界最長の路線網を実現した中国の高速鉄道発展の実像に迫る第一部、中国、香港、韓国、東南アジア、インド、ハンガリーなど世界各地をたずね、鉄道を走らせる各国の思惑と、現地に生きる人々の声を伝える第二部を通じて、時代と共に移りゆく日中関係を描き出し、日本の現在地をあぶりだす。<読む前の大使寸評>追って記入。<図書館予約:(12/04予約、副本?、予約?)>rakuten鉄道と愛国【イラク水滸伝】高野秀行著、文藝春秋、2023年刊<「BOOK」データベース>よりアフワールーそこは馬もラクダも戦車も使えず、巨大な軍勢は入れず、境界線もなく、迷路のように水路が入り組み、方角すらわからない地。権力に抗うアウトローや迫害されたマイノリティが逃げ込む、謎の巨大湿地帯。中東情勢の裏側と第一級の民族誌的記録ー“現代最後のカオス”に挑んだ圧巻のノンフィクション大作!<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(1/06予約、副本3、予約86)>rakutenイラク水滸伝【大学教授 こそこそ日記】 多井学著、三五館シンシャ、2023年刊<「BOOK」データベース>より「いくらでも手抜きのできる仕事」。現役教授が打ち明ける、ちっとも優雅じゃない生活。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(1/12予約、入荷待ち、予約?)>rakuten大学教授 こそこそ日記【神と黒蟹県】絲山秋子著、 文藝春秋、2023年刊<「BOOK」データベース>より「黒蟹とはまた、微妙ですね」。日本のどこにでもあるような「地味県」の黒蟹県。そこで暮らす、そこを訪れる、名もなき人々や半知半能の神がすれ違いながら織りなす、かけがえなく、いとおしい日々。まだ名付けられていない人間関係を描き続けてきた著者真骨頂の連作小説集。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(3/02予約、副本3、予約63)>rakuten神と黒蟹県【月と不死】N・ネフスキー著、平凡社、1971年刊<出版社>より著者は日本民俗学界の異色の存在として知られるロシア人学者で,柳田国男,折口信夫らと親交を結び,沖縄,東北などの民俗を採録した。本書は日本語で発表された論文・書簡を網羅した唯一の著作集。<読む前の大使寸評>ロシア人にして、日本民俗学界の異色の存在が気になるのです。<図書館予約:(とりあえずカートに入れておこう)>heibonsha月と不死図書館予約の運用にも慣れて、速攻で入手するコツも何となくつかんだと思うのだ♪・朝日書評欄で探すとしたら、3ヶ月前掲載くらいのモノが狙い目かも。・専門的すぎるほどのモノは、予約0となっていることが多い。・受取館に収蔵しているモノは、移送する手間が省けるので早くなるだろう。・本屋の店頭に出た直後の新刊本・ウィキペディアでめぼしい著作を探す・神戸市図書館の予約順位は毎週火曜日(午前1時~3時) に更新されます。・Kindle版を購入すれば、その本の全て読めるのだが、紙の本から書き写す手間が好きなわけでおます。予約分受取目録R26好書好日トップ図書館情報ネットワーク 蔵書検索
2024.03.12
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シルクロードや沙漠といえば、私のロマンをかきたてるものであるが・・・デジタル朝日に興味をひく記事があったので、紹介します。(この記事は有料記事なんで・・・お咎めがあるやも。)*********************************************************(「緑の長城」アフリカの挑戦:上)移民と過激派生む、サハラ砂漠の熱風より アフリカのサハラ砂漠南部に広がるサヘル地域が、気候変動で危機に陥っている。雨が減って作物は枯れ、家畜を育てることが難しくなった。生活の糧を失い、希望を失った若者たちの国内外への流出や、政情不安も止まらない。「負の連鎖」に歯止めをかけることはできるのか。アラッサン・コンテさん ■水不足で不作、職求め欧州へ 熱風が乾いた大地に吹きつけ、サハラ砂漠からの白い砂が覆う。昨年12月、アフリカ西部セネガルの内陸部バケルでは、本格的な乾期が始まろうとしていた。 「ここでは救いがみつからなかった」。アラッサン・コンテさん(33)は、そう漏らした。 家畜を使って畑を耕す伝統的な農業を営む両親のもとに、7人きょうだいの長男として生まれた。10年ほど前から極端に雨が少なくなり、ひどい水不足に悩まされるようになった。自分たちが食べる穀物を育てることすら難しくなった。 7年前、両親に告げず、欧州をめざした。移民として、職を探そうと考えた。「苦しく、つらい道のりだとはわかっていた。でも、残るのも地獄。それなら、行くしかない」と思った。 陸路と船でモロッコやスペイン領カナリア諸島を経由して、欧州入りしようとした。道中では、交通費を稼ぐために隣国モーリタニアのコメ農家で働いた。 すきま風が吹く小屋に寝泊まりし、炎天下での長時間労働を強いられた。だが「不法移民」の身分で得られる給料はわずかだった。 半年が過ぎ、一緒に働いていた同年代の青年が倒れ、亡くなった。「次は自分かもしれない」。そう思うと、心が折れた。 地元では、移民になろうと国を出て戻ってくる人は、「恥ずかしい失敗者」とみなされる。帰国後も家族から受け入れられない場合が多い。 アラッサンさんの両親は、何も言わず迎え入れてくれた。それだけが救いだった。「暮らしがよくなるだろうと理想を追いかけたことが過ちだった……」 過酷な状況を知っていても、移民への道を探る人もいる。マムドゥ・バーさん(25)もその一人。「機会があれば欧州をめざすのは当然だ」と語る。 2年前に、セネガルの首都ダカールで大学を卒業。欧州への進学を模索したが、ビザが出ずにあきらめた。いま、地元に戻って畑を耕して暮らしている。 「大学を出ても、ここには仕事がない。それなら、厳しくても別の場所をめざすべきだ」 セネガルでは、アラッサンさんやマムドゥさんのように、欧州をめざす若者たちが後を絶たない。 ■コロナ拍車、貧しい若者勧誘 英BBCは昨年10月、セネガル当局が3日間で600人以上の密航を阻止したと報じた。若者たちは小さな木造船に分かれて乗り、欧州への「玄関口」となっているカナリア諸島に向かっていたという。 国際移住機関(IOM)によると、この航路上で11月に約280人が密航を試み、6人が死亡、185人が行方不明に。隣国モーリタニアでも同月、カナリア諸島に向かった約300人のうち、113人が死亡または行方不明となった。 サハラ砂漠の南側に広がるサヘルは半乾燥地帯で、古くから遊牧民や交易商人が暮らしてきた。その広大さから海にも例えられるサハラ砂漠に対し、サヘルは「沿岸部」とも呼ばれる。サヘル周辺には「港町」のように都市が栄えてきた。 だが、国連によると、サヘルでは世界平均の1・5倍の速さで気温上昇が進んでいるとされる。雨が減り、水不足で人々の暮らしが成り立たなくなっている。その結果、サヘル諸国の情勢はコロナ禍以降、急速に不安定化している。 マリ北部やブルキナファソでは、生活できなくなった一部の若者が、反政府を掲げる過激派組織にリクルートされているとみられている。過激派の台頭の影響もあり、サヘルではクーデターの連鎖が続いている。 気候変動が大量の移民や過激派の台頭を生む「負の連鎖」は、アフリカや欧州にとって待ったなしの課題だ。解決には、温暖化がサヘルにもたらしている根本的な問題と向き合うことが必要になる。 その解決策として、サヘルの東西8千キロに植林し、「緑の長城」をつくる「グレート・グリーン・ウォール(GGW)」構想が動き出している。(セネガル東部バケル=今泉奏)(「緑の長城」アフリカの挑戦:下)遊牧民も町の雇用も、植林が守る
2024.02.04
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<二十四節季の大寒に注目(復刻3)>早朝に散歩する太子であるが、南東の空に月と金星が見えるのです。ちょうど三日月の内側に金星が位置しているが、これって中東諸国が好むマークではないか。また、このマークは春分と関係があるのではないか?『日本のならわしとしきたり』という蔵書に二十四節季の記事があることを思い出したのです。今年の冬は暖冬と言われていたが・・・さすがにこの時期の寒さは厳しいのです。【日本のならわしとしきたり】ムック、 徳間書店、2012年刊<内容紹介>ありふれたムック本ということなのか、ネットにはデータがありません。<大使寸評>とにかく「今日は二十四節季でいえば、何になるか♪」を知りたいロボジーにとって、座右の書となるでしょう♪Amazon日本のならわしとしきたり蕗冬華この本で、大寒のあたりを見てみましょう。和暦p5<大寒>二十四節季が新たに始まる直前の節気 「大寒」は、現行の暦では1月21日ころ、第1日目を迎え、立春(2月4日ころ)に入る前日までとなっている。前節気「小寒」からは「寒」に入っており、寒明けと同時に「大寒節気」も終わる。寒が明けると、暦の上では「春」になる。 寒の入りは、前節気「小寒」から始まっているが、手が切れるほど冷たい「大寒の水」には、その清らかさのために霊力があると考えられていた。 朝の水は1年間腐らないとも言われ、容器などに汲み保管し、薬を飲むときや祝い事の料理に使う家庭も少なくないという。寒の水は、酒造や化粧水にも用いられている。 1年で最も寒さが厳しいとされる「大寒」を『暦便覧』では「冷ゆることの至りて甚だしきときなれば也」と説明している。 また、寒の厳しい最中の鍛錬は、心身共に向上するとして、武道では「寒稽古」が行われる。加えて、「寒施行」も寒中の独特の行為だ。 これは餌の乏しい寒中に、野の動物に与えることだが、これは「放生会(ほうじょうえ)」を行う仏教の影響のようだ。ちなみに「放生会」は、殺生を戒め生き物を野に放つ仏事で、秋の季語になっている。 大寒の期間の七十二候は、次の通り。 初候は「蕗冬華(ふきのはなさく)」蕗の薹が蕾を出し始める。 次候「水沢腹堅(さわみずこおりつめる)」沢に氷が厚く張りつめる。 末候は「鶏始乳(にわとりはじめてとやにつく)」鶏が卵を産み始める。 寒中の微妙な気候の変化が読み取れる。二十四節季の小寒に注目(復刻)二十四節季の冬至に注目(復刻)
2024.01.20
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図書館で『おいしい水』という本を手にしたのです。神戸を舞台にして繰り広げられるラブストーリーのようです。カラー写真のページも多くて・・・ええでぇ♪【おいしい水】 原田マハ著、岩波書店、2008年刊<「BOOK」データベース>よりあの頃、誰かを好きになると、世界が、変わる。-若い恋の“決定的瞬間”をたどったラブストーリー。<読む前の大使寸評>神戸を舞台にして繰り広げられるラブストーリーのようです。カラー写真のページも多くて・・・ええでぇ♪rakutenおいしい水メリケン波止場やトアロードやポートタワーが出てくるあたりを、見てみましょう。p60~63 あの頃、携帯電話なんてなかった。 ましてやメールやインターネットなんて。 気になる男の子のことを知ろうとすれば、友達か本人に聞くしかなかった。 共通の友だちもいない、本人も口を割らない、となると、その男の子のことは、永遠に謎になる。 話をしたくても、いつでもしゃべれるわけじゃない。伝えたいことがあっても、なかなかうまく伝えられない。 待ち合わせをすれば、絶対に遅れずにその場所に行く。来なくても、いつまでも待つ。 ただ、信じて待つしかないのだ。「まだ待ってたんか」 約束の時間を1時間過ぎても、私は北風の中、ベベを待ち続けた。センター街の角の鞄家の前で、海岸通りの古い銀行の前で、トアロードのパン屋の前で。ベベは決まって遅刻した。早くて十分遅れ、三十分はざらだった。ひどいときは一時間以上、遅れてやってきた。 そのつど、辛抱強く待っている私をみつけては、「まだ待っていたんか」とあきれて言う。「約束やもん」 私はふくれて返す。だけど一度も、哀しいなんて思ったことはない。必ず、ベベは現れる。どんなに遅れても、私が待っていることを忘れないで、やって来るのだ。 私たちは、ぽつぽつと会うようになっていた。冬が終わりに近づく頃、私の大学が春休みに入る頃には、三日に一度、会っていた。私はその年、年末年始も実家に帰ろうとしなかった。長い休みのあいだに、二度とベベに会えなくなってしまったらどうしよう、と不安だったのだ。 何をするでもない。ただ、あてもなく街なかを並んで歩くだけだ。 私は自分のことをほとんどベベに話した。実家は岡山、父は普通のサラリーマン、母は専業主婦、兄は地元で今年就職した。通っている大学のこと。女子寮の話、口うるさい管理人のおばさん。ブランド好きの同級生、つまらない授業、学食のメニュー。 ナツコさんのこと。センスがよくて、おもしろくて、聡明な憧れの女性。デザイン会社に勤務して蓄えた貯金で、「スチール・アンド・モーション」をオープンした。経営難に陥っていることは、言わなかった。 それから、大好きな写真家のこと。 ベベは何ひとつ、自分のことは教えてくれなかった。本名も、年齢も、住んでいる場所も、恋人がいるかどうかも。もちろん、あの男、フツダとの関係も。けれどたったひとつ話してくれたのは、写真のことだった。「おれは、ブラッサイが好きやな」 ブラッサイの写真集、それも三万円近くする高級本を、ベベは「スチール・アンド・モーション」で買っていた。「パリのカフェの写真、あたしも好き。あのにぎやかな感じ」 ポストカードになっているブラッサイの写真を、私は思い出していた。(中略) トアロードから北へ、山の方角へずっと上がっていく。異人館が立ち並ぶ北野町界隈に出る。異人館通りを通って、東へ。緑色のよろい戸の異人館の脇を、急こう配の坂を上がる。うろこ模様の壁の異人館が見えてくる。息切れするくらいの坂道を登りきったところで、「振り向いてみ」とベベが言った。 わあ、と私は自然に声を上げた。 両腕をいっぱいに広げたように、街並みがなだらかに広がる。その向こうに、灰色の海が見える。ちょこんと突き出ている赤い突起はポートタワーだ。空中をあちこち指差して、私はひとりではしゃいだ。
2024.01.09
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<クマ被害に思うこと>大阪でも熊『数年に一回…連日見られるのは異常』柿の木に爪痕「食べないなら撤去を」で最新の動画がみられます。 大阪にもクマが現れたそうで、もうすぐ兵庫にも出るんじゃないかと心配になるのだが・・・ 兵庫ではGPS端子を付けて山に返したそうで、その地域のクマも凝りて里には近づかないそうです。今年はドングリやブナの実が不作だったようで、飢えたクマが里山に出没してクマ被害が多発しているようだが・・・捕獲されるクマがなんとも哀れである。ところで、日本の生態系を脅かす危険な外来種10選によれば、ワースト1はアライグマとなっています。・アライグマ・ヒアリ・カミツキガメ・ワニガメ・タイワンハブ・クロゴケグモ、etc.アライグマ千葉でキョンが大量出没!とのこと.・「キャッチ&リリース」など言っていられないのが琵琶湖のブラックバスであるが・・・ 食べると美味いとのことなので、食べるか、捨てる場所に捨てるのがマナーのようですね。 ところで、明日は寒気到来で、暑い夏もやっと終わり、木枯らし1号となる地域もあるそうです。お気をつけて。
2023.11.10
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図書館で『こんな雨の日に』という本を、手にしたのです。めくってみると、カトリーヌ・ドヌーブさんを主役にして映画を撮る記録となっていて、私向きの本になっているのでおます♪【こんな雨の日に】是枝裕和著、文藝春秋、2019年刊<「BOOK」データベース>より映画コンテ、自身が撮影した写真、撮影の記録とともに、是枝監督自身が映画について、現在の想いを綴るー【目次】『こんな雨の日に』から『真実のカトリーヌ』へ/伴走ープロデューサー 福間美由紀/グラビア/『真実のカトリーヌ』から『真実』へ<読む前の大使寸評>めくってみると、カトリーヌ・ドヌーブさんを主役にして映画を撮る記録となっていて、私向きの本になっているのでおます♪rakutenこんな雨の日にドヌーブさんへのロングインタビューや女優のオーディションを見てみましょう。p154~157<伴走:プロデューサー福間美由紀> また、この滞在でドヌーブさんへのロングインタビューを監督自身が行った。子どもの頃の家族の思い出、娘キアラとの関係、ジャック・ドゥミ、フランソワ・トリュフォー、アンドレ・テシネらとのコラボレーションなど半生について伺った。「自分は女優としてのDNAを誰から受け継いでいると思われますか?」と尋ねると、「ダニエル・ダリュー」と即答。「では誰に受け継がれていますか?」と聞くと、「フランスにはいないわ・・・。ケイト・ウィンスレット、ナオミ・ワッツかしら」と答えた。 このやりとりは映画冒頭の記者によるインタビューの場面に活かされている。この滞在の成果をもって、ロングプロットのリライトが重ねられた。劇中劇でケン・リュウの短編小説『母の記憶に』を使用できないかと監督に聞かれ、すぐに原作権交渉を始めた。そして、11月末に初稿完成。 2018年3月、『三度目の殺人』のフランス公開に合わせてパリに2週間滞在中ドヌーブさんに2回目のロングインタビューを行う。初稿を読んだ感想は、「この主人公は価値観がずいぶん古いから、せめてヌーヴェル・ヴァーグまで〈現代化〉が必要ね。名前は(カトリーヌではなく別のに)変えてくださいね」。その半年後、名前は彼女のミドルネームであるファビエンヌに落ち着く。さらに、「撮影場所は絶対パリよね、郊外はイヤよ」とまっすぐ監督の目を見て3度繰り返す。その一部始終をドヌーブさんの愛犬ジャックが傍らで目を閉じて聴いている。 ひとしきり話した後、ジャックの友だち犬がわんさか登場。カオスめいてインタビュー終了。ドヌーブさんは私たち私たちに近所の美味しいピザ屋さんを勧めて、「À bientot(またね!)」とジャックと一緒にホテルを出ていかれた。話の内容ももちろんだが、口調も仕草もワガママもすべてチャーミングで、「軽やかだよなあ」と監督が繰り返し呟く。女優自身のもつこの「軽み」は、主人公のキャラクターや映画全体のトーンともなって、スクリーンに滔々と流れている。 監督の右腕である撮影監督として、切望したエリック・ゴーティエさんが決定する。『クリスマス・ストーリー』でドヌーブと、『夏時間の庭』でビノシュと現場経験のあるベテランで、近年はウォルター・サレス、ジャ・ジャンクーらフランス国外にもフィールドを広げている点が、この作品にも適っていると思われた。 ロケハンにエリックも合流し、14区サン・ジャック通りに理想の戸建てが見つかった。監督は特に庭に面したテラスに一目惚れ。これでパリ市内というドヌーブさんの希望も叶うことになり、私もほっとした。(中略) さらに、新進女優役と子役のオーディションも行った。ミヒャエル・ハネケの作品も手がけるキャスティングディレクターのクリス・ポワティエさんに参加してもらった。新進女優役の一次面接では、事前に日本へ送ってもらった書類とビデオから厳選した約20人。『イヴの総て』『スイミング・プール』『アクトレス 女たちの舞台』からの抜粋と、本作の脚本の抜粋を演じてもらった。フランスの若手女優の基礎演技力のレベルに監督も驚嘆していたが、中でもマノン・クラヴェルさんは群を抜いていた。 魅力的なハスキーボイスで、本作のワンシーンを彼女が演じ始めたとき、部屋の空気が水を打ったように静まり返った。監督が不意に立ち上がって演出をつけ始めると、彼女の演技が的確に変わっていく。鳥肌が立った。「なんか、4:6になった感じ。期待の方が不安よりちょっと上回ったかな」と監督は手応えを感じて、少し安心した表情。一方、シャルロット役は、6歳前後の仏英バイリンガルの女の子から探していった。演技では劇中の台詞を監督が口立てで伝えていった。決定したクレモンティーヌ・グルニエちゃんは、度胸と愛嬌、鼻の形がどことなくイーサン・ホークに似ていることも監督の決め手となった。『こんな雨の日に』3:制作費前貸制度受験『こんな雨の日に』2:映画撮影の続き『こんな雨の日に』1:2018.8.23
2023.11.09
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図書館で『図説 マザーグース』という本を、手にしたのです。つい最近に『マインド・ザ・ギャップ! 日本とイギリスの〈すきま〉』という本を読んだように、イギリスという異国の文化が気になるわけで、チョイスしたのでおます。【図説 マザーグース】藤野紀男著、河出書房新社、2007年刊<「BOOK」データベース>より聖書、シェイクスピアと並ぶ三大知識が、貴重なイラストレーションと楽しい唄の数々で身近になる。マザーグース入門の決定版。<読む前の大使寸評>つい最近に『マインド・ザ・ギャップ! 日本とイギリスの〈すきま〉』という本を読んだように、イギリスという異国の文化が気になるわけで、チョイスしたのでおます。rakuten図説 マザーグースマザーグースとパブの関係を見てみましょう。p98~99<マザーグースとパブ(2)>■キャット・アンド・フィドル マザーグースの詞句を名前にしているパブのベスト4(使用頻度順)を挙げると、次のようになるようです。①キャット・アンド・フィドル 11軒②カウンティング・ハウス 7軒③マルベリ・ブッシュ 5軒④ジャック・ホーナー 4軒 キャット・アンド・フィドルの名前には、フランス語がなまったという説の店もあるにはあるのですが、看板に「フィドル(バイオリン)を弾くネコ」の絵柄を使用している限り、ここに含めておきます。 キャット・アンド・フィドルという名前のパブ11軒のうち9軒には立ち寄ったことがあります。看板に描かれた猫が黒ネコだったり、トラネコだったりしますし、真面目な顔つきでフィドルを弾いていたり、スキップしながら弾いているような感じの絵だったりします。ネコが左手で弾いていたのもありました。 チェシャー州のマクレスフィールドからダービー州のバクストンへ向かう途中、小高い丘のてっぺんにポツンと建っていたキャット・アンド・フィドルは忘れがたい店です。ハイカーや車で通り過ぎる人たちを相手にしているのでしょうが、立ち寄った2度とも、客であふれんばかりでした。 しかも、ふもとでは天気がいいのに、このパブのあたりは曇っていたり小雨が降っていたりしました。小高い丘にあるわけですから、天気がいい日には素晴らしい眺望が期待できるはずなのですが。 このパブは、イギリスで2番目に高い場所に位置していることでも知られていて、手元にあるロード・アトラス(道路地図帳)にも載っています。この点でもユニークなパブだといっていいでしょう。『図説 マザーグース』1:上は王室から下は「乞食」まで
2023.11.06
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我が町のツバメの旅立ちについて、この5年ほど気にかけているのです。だって空いっぱい群れをなしていたツバメたちが翌日は見えなくなるのは・・・寂しいというか、ボンボヤージュと手を振って見送りたいではないか。今年(2023年)の旅立ちは、10月13日でした。**********************************************************************<2022.09.28>■27日14時半から約2時間、雨の中、電線に停まる群れを見たのです。雨、風など自然状況をものともしない力強さが、ええでぇ♪例年10月10日ころまでには旅立つようだから、もうすこしフォローしてみます。■26日14時頃に群れて高く飛ぶシーンが見られた♪まだ旅立ってはいなかったのです。(あるいは、渡り中の群れだったのかも)■25日夕には1羽ずつのツバメは見えたが、群れは見えなかったので今度こそ旅立ったのだろうか。■24日の早朝に群れて高く飛ぶシーンが見られたが、夕方にもそれが見えたのです。 おお まだ旅立ってはいなかったようです。**********************************************************************<2021.10.10>■今朝(10/10-6時半)はお天気良~し♪、おや、我が町の上空を数羽のツバメたちが飛んでいるぞ・・これは渡りの途中なのか?■今朝(10/07)はお天気良~し♪、おや、我が町の上空をツバメたちが舞っているぞ・・・これは行き遅れた群れなのか、はたまた、北から移動中の群れなのか?この行動は寒くなるまでは続くかもしれないので、ウォッチングせなあかんなあ。(8時には見えていたこの群れは、9時頃には見えなくなりました)ということで、以前の日記から復刻します。***********************************************************************日に日に、群れで飛ぶツバメが少なくなっているような、このごろですね。七十二候に「玄鳥去」というのがあるけど・・・どうも我が町生れのツバメたちは、もう飛び去っていて南の地域を移動中ということのようです。ネットでこんなサイトがありました。七十二候「玄鳥去(つばめさる)」。巣立ったヒナは、どんな旅に出るのでしょうかより■もう帰る巣のない幼鳥たち。「渡り」を前に、集団で暮らします 食糧や繁殖のため定期的に長距離を移動する『渡り鳥』。日本でもいろいろ見られます。ツバメなどの「夏鳥」は、春に来て子育てし、秋になると南の国に去っていきます。オオハクチョウなどの「冬鳥」は、越冬するために北の国から日本にやってきます。チドリなどの「旅鳥」は、北国で繁殖し南国で越冬するため、中継地点として日本を通りかかります。 人間の世界では、転々とする苦労人を「渡り鳥」と表現したりしますが、『渡り』の旅はまさに苦労の連続。嵐や天敵など危険もいっぱいです。ツバメたちも、毎回命がけで種の楽園をめざします。 5月下旬。生まれてからおよそ20日で巣立った一番子のヒナたち。ツバメは2回子育てをする親が多く、生まれた巣は、これから育つ弟妹(二番子)たちのもの。巣立った子の居場所はありません。 そこで、幼鳥たちは集まって、出発の日まで水辺のアシ原や大きな樹木などで集団生活をします。早く一人前にならないと、南の国に渡っていけません。渡り鳥としての自覚を高める寮生活といったところでしょうか。幼鳥は、尾が短いので遠くからでもよくわかります。 夏になると、2回目の子育てが終わった親鳥たちも集団に加わります。夕方、空にたくさんのツバメたちが集結して、日が沈むと一斉にねぐらに入っていきます。「集団ねぐら」は毎日少しずつ移動するうえ、夜明けにはツバメたちはもう飛び立っているので、なかなか見つけにくいようです。集団はだんだん大きくなり、秋には数千~数万羽もの大群になるといいます。■歩かないツバメ。渡り鳥を見送れる場所をご存じですか? ある日の明け方前に小グループで出発。親鳥から先に南へと旅立ち、幼鳥は渡る体力がつくのを待ちます。連れて行ってはもらえません。7月後半になると、ねぐらは親の割合が少なくなってきます。それでも10月頃までには、皆出発するようです。 渡りにはいくつかのコースがあるようです。まだ一度も通ったことのない何千キロもの空の道を、親もいないのに、幼鳥はどうやって迷わずに行けるのでしょう? ツバメには、目印のない海の上でも目的地に向かって飛び続けられるよう、太陽や地磁気によって方角を知る能力があるといいます。さらには、目的地に近づくと地形や目立つ建造物をたよりに正しい場所を見つけるのだそうです。生まれながらに「渡る力」が備えられていたのですね。(中略) 飛行速度は時速45km、最高時速は200kmともいわれます。また、長い尾や翼のひと振りで、急旋回・急降下・停止飛行も思いのまま! 多くの渡り鳥が、気流が安定していて天敵に襲われにくい夜間に渡るなか、飛翔力に優れたツバメは、昼間に堂々と渡っていくのです。体力のついたツバメたちは南の地域を移動中のようだが・・・来年の春にまた帰っておいで。
2023.10.14
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図書館で『K氏の大阪弁ブンガク論』という本を、手にしたのです。K氏の説く大阪弁ブンガク論とあれば・・・あだやおろそかにはできんなあ♪【K氏の大阪弁ブンガク論】江弘毅著、ミシマ社、2018年刊<「BOOK」データベース>より国民的作家から現代の人気作家まで縦横無尽!長年街場を見つめてきた著者がボケてつっこむ!唯一無二のブンガク論。【目次】ブンガク論に入る前に、ちょっと地元のこと。K氏の場合。/日本ブンガクを席巻する関西弁の技法/黒川博行ブンガクを支える「口語」表現/『細雪』-大阪弁が現代文で書かれるようになった時代/『細雪』はグルメ小説や!/大阪語・標準語の書き分けによるブンガク性/ほか<読む前の大使寸評>K氏の説く大阪弁ブンガク論とあれば・・・あだやおろそかにはできんなあ♪rakutenK氏の大阪弁ブンガク論序章から多様な関西弁を、見てみましょう。p17~20<正しい言葉などない> 先生も地元出身ばかりで、国語の先生は宮沢賢治の詩を泉州弁で朗読していたし、英語の先生は大阪流イントネーション英語で、テープレコーダーの英語とは全然違っていた。 そこで教育の際に使われるセンセの話し言葉は「教育目的の制度化された標準(共通)語」ではない。そんなコトバによる授業を前提として学んだことは、「正しい言葉などといったものはない」ということであり、日常の実生活においての「それぞれの言葉」は違うということだ。 K氏は「動物園みたいだった」中学校で、無意識のうちに言語の多様性を見つめる土壌を体得したと思っている。 実際に大阪弁(関西方言というのが正しいのだろう)は、ミナミで河内弁と泉州弁がどちらも聞こえてきたり、同じミナミでも心斎橋筋のデパートや洋服屋で話される言葉と黒門市場の魚屋で話される言葉は違う。言葉は地域や職業、社会的属性によって違うという、至極当然の事実を身体でわかるということだ。「こちらの理解のほうが、全然グローバルやないか」「なにが英語を話せて国際競争を勝ち抜ける人材や」などとK氏は苦々しく思うのだ。 中学生のK氏たちは、本気の怒突き合いをずいぶんやったが、「一人勝ち、勝ち逃げ。親の総取りはあかん」という掟がルールとして徹底していたし、困っているものをもっと困らせてやろうというようなガキには、誰かが「それはやめといたれ」という土地柄だった。 子どもの頃から誰もが似かよったやりかたでセコく「勝ち抜く」ことばかり考えていて、のっぺりと画一なビジネスマン言葉を話す大人に育つ社会は「気色悪いな」、とK氏はその頃からすでに思っていた。 てんでばらばらな背景を持ち、想像も共感も絶する「他者」に、自分の言葉で意思伝達したりする際の「俳味」とでも言うべき「おもろさ」。それがK氏にとってのコミュニケーションの基本であり、それこそが他人にフレンドリーな態度というものなのだろう。<関西方言には「標準語」はない> K氏が関西のエリア雑誌の編集をやっていた頃、大分県出身で大阪在住の編集者にこういう話を聞いたことがある。 大阪や京都の地元出身の人は、東京弁すなわち標準語を使う人は少ない。会社の編集会議も結婚式の挨拶もデパートの店員さんも関西弁だ。だからこちらも標準語を使わなくてもいいんだ、と思ってそのまま「せからしかぁ」などとつい大分弁を喋ってしまう。しかしながら、それでは「?」という顔をされる。 街場のコトバは難しいなあ、とK氏は思う。 関西方言には標準語のようなものはない。つまり京都人は京都弁、大阪はもっと多く、K氏ら岸和田の人間は岸和田弁、東大阪や八尾の人は河内弁を大阪市内で普通に喋っている。「~しよう」「~しとう」という神戸~播州系の言語も梅田近辺ではしょっちゅう聞こえるし、「でんでんかまいませんよ」などと、「ざじずぜぞ」が「だぢづでど」になる和歌山弁を聴いたりすると、近しい泉州地方出身のK氏からすれば、思わずにやっとしてしまう。 とくにミナミの難波周辺にいると、近鉄、南海沿線からの人が集まっているので、「わいら」「しやけど」といった奈良~河内系、「おもしゃい」「ええわし」などの千秋弁は当たり前に耳にする。 K氏はこういった大阪系言語のさらに細かい地域性がわかるローカル的な理解が好きだ。どこかの評論家が「吉本芸人の話芸は河内や泉州の人間が噺家や漫才師になってから下品になった」みたいなことを書いているのを読んだ記憶があるが、K氏は「そら、ちゃうやろ」と思っている。むしろ落語家が「言うてはるのやおまへんか」などと妙な船場言葉を喋ったりしているのを聞くときに、「変に真似すなよ、逆にそれ田舎臭いど」と思ったりする。 これについてはさすが織田作之助、随筆なのにまことに小説的な味わいのする「大阪の可能性」という作品でドンピシャに書いている。この本も関西人の話法に載せておこう♪
2023.10.11
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図書館に予約していた『うずまき猫のみつけかた』という本を、待つこと10日ほどでゲットしたのです。ぱらぱらとめくってみると・・・カラー写真や挿絵が多くて、気楽に読めるエッセイ集となっているのがええでぇ♪【うずまき猫のみつけかた】村上春樹著、新潮社、1999年刊<「BOOK」データベース>よりアメリカのケンブリッジに住んだ‛93年から‛95年にかけての滞在記。ボストン・マラソンに向けて昴揚していく街の表情、「猫の喜ぶビデオ」の驚くべき効果、年末に車が盗まれて困り果てた話、等々なごやか(?)なエピソードの中に、追悼特集で報じられたニクソン元大統領の意外な一面や、帰国後訪れた震災後の神戸の光景がキラリと光る。水丸画伯と陽子夫人が絵と写真で参加した絵日記風エッセイ集。<読む前の大使寸評>ぱらぱらとめくってみると・・・カラー写真や挿絵が多くて、気楽に読めるエッセイ集となっているのがええでぇ♪<図書館予約:(9/26予約、10/04受取)>rakutenうずまき猫のみつけかた村上さんが、自分の中華料理アレルギーについて語っているので、見てみましょう。p53~56<この夏は中国・モンゴル旅行と、千倉旅行をしました> 6月28日に全日空機で成田から大連に向かう。これはある雑誌の取材で、写真の松村エイゾー君と二人で中国の級満州とモンゴル共和国を巡る2週間ばかりの旅行をするためである。でもただ単に雑誌の取材だけではなく、僕としては今書いている小説(『ねじまき鳥クロニクル/第3部』)のための個人的な取材をするという目的もあった・・・というか、実を言うとそっちがずっとメインなわけですね。そう言うと身も蓋もないけれど。 いずれにせよ僕は中国という国にぜひ一度行ってみたいと思っていたので、この取材はまあ渡りに船という感じであった。たとえ行きたいと思っても、一人で中国の奥地まで行くのは、今の段階では現実的にものすごく難しいわけだし。 というと、いかにも順風満帆言うことない話みたいなのだが、僕はこの旅行に関してはひとつだけ非常に深刻な個人的問題を抱えていた。その「ただひとつの問題」というのは、僕が極端な中華料理アレルギーだという事実である。僕はたしかに子供のころは偏食の傾向が強くて苦労したのだが、大人になってからはいろんなものを努力して食べるようにしてきたし、事実大抵のものは食べようと思えば食べられるようになった。 でも中華料理だけは何があろうとぜったいに駄目なのだ。なにしろ千駄ヶ谷の〈ホープ軒〉の前を通っただけで気持ちが悪くなる。横浜の中華街なんかとても歩けないし、中華街どころかシュウマイの匂いをかぐのが嫌で横浜駅を下りたくないというかなり重度のアレルギーである。生まれてからラーメンなんて一度として食べたことがない。 そういう話をするとみんな冗談だと思うらしいのだが、これはほんとうにほんとうに真剣な話です。何かの折りに中華料理店に招待されて、申しわけないけれどまったく箸をつけられなかったということも何度かあった。(中略) そんなこんなで、こと中華料理アレルギーの矯正については、けっこう性格的にしつこいうちの奥さんもさすがに匙を投げて、自分が中華料理を食べたいときには誰かほかの人を誘って食べにいくようになった。この前急にどうしてもラーメンを食べたくなって、お昼に一人でラーメン屋に入って食べていたら、近くのテーブルに座っていた若い女の子のグループに聞えよがしに、「年とっても、一人でラーメンを食べるような女の人だけにはなりたくないわね」と言われたそうで、「これというのもだいたい、あなたがラーメンを食べられないせいよ」とぷんぷん怒っていた。 ですから、一人でモクモクとラーメンを食べている40代の女の人をどこかで見かけても、あまりいじめないであげてください。人にはそれぞれいろんな個人的事情があるんだから。そしてそういったとばっちりは必ず僕のほうに来るんだから。『うずまき猫のみつけかた』1:人喰いクーガーの話
2023.10.08
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このところ、共通言語・漢字とか、中華のドーダについて拘っているのだが・・・以前に読んだ『漢字がつくった東アジア』を復刻して読んでみようと思ったわけでおます♪*********************************************************「漢字がつくった東アジア」を読み進めています。日本が最初に中華圏から独立したとする切り口が、ええでぇ♪今はない渤海という国が大使にはエキゾティックなんですね。歴史上、日本とは友好的であったし、抗争も無かったようです。<渤海の辿った道>p173~176 それでは、独自の年号までもった渤海国とは、どのような歴史を辿ったのか。それは、あまり明らかではありません。なぜなら、渤海国自身によって書かれた歴史書が残っておらず、同時代の日本の『続日本紀』や、中国の『旧唐書』などから再現するしかないからです。 926年、第15代の大イセンという国王が契丹の耶律阿保機に亡ぼされ、渤海国の歴史はここで終わります。したがって698年から926年までの230年ぐらいが渤海国の歴史ということになります。それは、日本でいえばおおよそ奈良時代から平安前期。政治的に独立した後、中国的文化を意識的に学び、擬似中国的な国家を形成っしつつ、平仮名(女手)の誕生によって、文化的独立に至る時代に相当します。 靺鞨人の国家・渤海が、なぜ、日本や朝鮮のように安定した形態をとることがなかったかといえば、王を中心とするごく少数の官僚達は、漢詩・漢文に通じ、東アジアの政治的関係を理解していたとしても、圧倒的な数の民衆は、これとは無縁の無文字的空間にあったからであると考えられます。西にモンゴル、さらには突厥という遊牧の空間に接する靺鞨人は、東アジア漢字文明に半分だけ足を突っこんだにすぎなかったからです。 新羅が立ったのは676年で、その20年後には渤海国が立ち、ある意味でここに朝鮮半島での南北時代、北と南という二つの国が立つという構造が生じました。 さて、ここで見ていただきたいのは、698年から926年ということは、律令日本時代と重なるという事実です。日本は710年に奈良朝に入ります。794年には奈良から平安に遷都して、894年には遣唐使を廃止しています。 (1日文字数の制約で省略)wikipediaに靺鞨、渤海の位置づけが載っているが・・・ま~民族勃興史を見るようで感慨を覚えます。wikipedia靺鞨より靺鞨(7世紀後半)渤海(8世紀、9世紀頃) 靺鞨(まつかつ)は、中国の隋唐時代に中国東北部(現在のロシア連邦・沿海地方)に存在した農耕漁労民族。南北朝時代における「勿吉(もつきつ)」の表記が変化したものであり、粛慎,挹婁の末裔である。16部あったが、後に高句麗遺民と共に渤海国を建国した南の粟末部と、後に女真族となって金朝,清朝を建国した北の黒水部の2つが主要な部族であった。「中国からの独立」という白川さんの独特な切り口を拝聴してみましょう。<唐の滅亡と東アジアの文化的独立>p188~190 こうしたことを総合的に考えると、900年から1000年代のところで、東アジアの各地方は文化的に独立することがわかります。この900年から1000年代に越南でも独立の気運が起ってきます。 一方、朝鮮半島は、北では926年に渤海が亡び、南では919年に新羅から高麗に代わっています。ここでも文化的な独立めいた動きが生じます。 日本は、国が亡ぶような大きな政治的な変革は見られないものの、それに匹敵するような文化的な革命と断絶がこの時期に起きます。それは女手の成立です。再三繰り返すように、女手が誕生したことにより日本は文化的な独立を遂げますが、それがちょうど越南が中国から離れて独立する時期と重なるのです。 ここで非常に興味深い原理がひとつ抽出できます。それは、「東アジア漢字文明圏における独立は、自主的に中国風の体制を整え、漢字文明・文化を推進する」ということです。 一般的に、独立するという場合には、支配者の束縛から離れて自分たちのものを打ち立てることを意味しますが、東アジアで自分たちのものを打ち立てようとする場合には、かならずいちど政治的にも文化的にも中国化する必用があります。まず中国の政治制度を学び、中国の文化を積極的に取り入れ、あたかも中国と同じような政治的・文化的形態になる。その経験を経たあとに、はじめて文化的な独立が成立します。これが東アジア漢字文明圏における独立の条件です。 非常に矛盾に満ちていますが、わかりやすくいえば、京都と奈良の違いです。あるいは、京都の町でいえば、御所と禅院の違いです。奈良とはいったい何かというと、あれは中国です。中国のものをどんどん取り入れて、中国と瓜二つの姿になることを目指したのです。この逆説的な動きが、日本が白村江の戦いで敗れ、中国から独立したあとに起きます。つまり自主的に中国文化を吸収することによって独立するしかないのです。 それほど中華の文明というもの、知識学問というもの、政治制度というものが圧倒的に大きく、水圧が高いのです。それを自分のものとして取り入れなければ中国からの相対的な独立はありえないのです。 たとえば奈良時代の写経。写経によって中国の文字を知る、中国の文を知る、中国の知識を知ることを徹底することによって独立が果たされたのです。(中略) 越南でも、脱中国化を達成して独立しようと思えば中国化しなければいけない。つまり中国化することによって脱中国化するのです。日本の場合もそうですし、朝鮮の場合もそうです。これが漢字文明圏における独特な独立の形態だと思います。 拙著『日本書史』で詳しく述べていますが、私は900年を日本史におけるひとつの分水嶺と考えてもよい大きな区分と考えています。900年までを、奈良時代あるいは空海などが活躍する平安初期を含めて「擬似中国時代」と考えます。この時代の文化は、中国から独立していちばん最初にやってくる姿をしています。東アジアの国が政治的に独立したあっとには、中国のごとき姿をする時代がかならずやってくるのです。それを経た後にやがて「違いのわかる大人」になることがあります。日本でいえば、女手をつくることによって、和歌と和文の表現力を手に入れ、擬似中国段階を脱して日本化することになります。 同様の試みが、東アジアではやはり文字をめぐって起ります。日本では女手でした。朝鮮ではハングルをめぐって起ります。そして越南ではチェーノム(字喃)という、いわゆる越南文字をつくることを通じて起ってきます。この「喃」の字がまさにチェーノムです。「口」扁が表音のための借用字であることを表し、「越南」の「ノム(南)」という音を合わせてつくられた越南文字です。中国に組み込まれながら、一貫して反抗的だったヴェトナムの文化、王制を見てみましょう。辺境としての悲哀は朝鮮半島より大きかったようですね。チェノム<朝鮮、越南、日本の支配体制>p199~201 江戸時代までは一貫して、朝鮮半島は日本に大陸のいろいろな文化を伝えるというかたちで、ある意味での師匠役をしてきたわけです。けれども、半島側には豊臣秀吉の朝鮮侵攻に象徴されるような、とんでもないことをする、わけのわからない要素をもっている島だという認識もある。そういうなかで、朝鮮半島の、大陸と孤島のあいだにあるという中間の意識は、単に半島意識ということだけではなく、孤島との関わりを絶えず意識させられてきたと考えられます。 元の侵攻に対して、越南が選んだ対応は反抗でした。文化的民族主義としてチェーノムはつくられました。しかし先ほどいったように、大陸を北といい自分たちを南というように、基本的に自分たちを大陸と同格に見ようという意識が支配層にあります。 なぜか。それは越南が中国だからです。とはいえ、体制に組み込まれて、生活しているだけの被支配層は別です。支配する層は、要するに中国です。だから大陸の南朝なのっです。まさに南朝を建てるというような意識から越南は生まれてきたのです。チェーノムが基本的には漢字と同じ構造の亜漢字であり、また(それゆえ)越南語が中国語と同じ単音節孤立語でありつづけていることにも触れておきましょう。 さらに興味深いのは、朝鮮、日本、越南の三つの国で支配体制が異なることです。朝鮮は基本的に「王」、つまり王制です。この王制というのは、再三述べているとおり、皇帝のもとにある王制です。要するに冊封された王制です。あくまで「自分たちのところには王しかいない」という考え方です。皇帝がいるとは考えないし、また考えられもしないのです。 それに対して、日本の場合は「皇帝」です。皇帝とは名乗らないけれども、王とも名乗らずに、その中間的な概念、もしくは模擬皇帝概念として天皇をつくる。天皇制が強化されるのは近代以降です。しかも日本史の過半を実際的に支配したのは、古代には摂政や関白、あるいは院、そして中世、近世は征夷大将軍、つまり将軍でした。わかりやすくいえば、日本の場合、皇帝でも王でもない天皇という制度になります。 ところが越南の場合は異なります。対中国的には王でありながら国内的には皇帝と称するのです。実際問題としては中国の皇帝と冊封関係にあり、したがって王、あるいはもっと貶められて郡王ぐらいのこともあるのですけども、王でありながら国内的には皇帝と称するのです。したがって越南がいちばん中国的なのです。中国でありながら中国とは違うという、むろん朝鮮あるいは日本とはまた違った姿をとるのです。 話は少し脱線しますが、これは絶妙かなと思うのは、越南を含む半島をインドシナ半島と呼ぶことです。すなわちインドの文明と中国の文明がちょうどそこで交差し、共存している半島です。中国大陸に発する漢字文明は東海岸の方から越南へと南下してきますが、西の方からはインドの文明が押し寄せてくる。それは文字が、越南以外のところでは、アルファベットでもなく漢字でもない、いわゆるサンスクリット系の文字が基本的に使われていることと関連しています。 越南が独立するときに、「漢唐はわが帝国にして、孔孟はわが祖師なり」という考え方が払拭すべき意識として語られました。この考え方を払拭しなければ越南の独立はありえないというのが越南の独立のときの考え方です。それほど越南の知識人のあいだには、中国大陸の文化・文明が自分たちの礎であるという考え方が根強くあったのです。wikipediaチュノムによれば、一般のパソコンでも大多数のチュノムを表示、印字することが可能となっているそうです。ベトナム語のローマ字表記化についてはwikipediaクオック・グーに詳しいが・・・1945年独立を期に、中華のしがらみを絶ったのでしょうか?(クオック・グーとは、もちろん国語ですね)漢字がつくった東アジア1:現代の中国語漢字がつくった東アジア2:立ち上がる朝鮮半島漢字がつくった東アジア3:上古日本語漢字がつくった東アジア4:今はない渤海という国
2023.10.02
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中華を語るなら陳舜臣さんということで、『実録アヘン戦争』という本を復刻して読んでみようと思い立ったのです。*********************************************************図書館で『実録アヘン戦争』という新書を、手にしたのです。かなり古い本であるが、毎日出版文化賞受賞の本ということで・・・期待できそうである。【実録アヘン戦争】陳舜臣著、中央公論新社、1971年刊<「BOOK」データベース>より古書につき、データ無し<読む前の大使寸評>かなり古い本であるが、毎日出版文化賞受賞の本ということで・・・期待できそうである。amazon実録アヘン戦争英メネシス号の中国兵船砲撃アヘン戦争開戦前夜あたりを、見てみましょう。p128~130<実力行使> 公行は大へんな問題を背負い込んだ。 夷人がこの国に来るのは、アヘンを売って、茶葉を買うためである。 アヘンを持ち込めば殺されてもよい。・・・そんな誓約書に、夷人たちがおいそれとサインをするはずがない。 そのうえ、現在夷人が〇〇沖にストックしているアヘンを、ぜんぶ没収されるために供出せよというのだ。 困ったことに、天朝である中国には対等の国家がなく、したがって外交関係もありえないという“たてまえ”である。したがって、外交を担当する役所もない。夷人のことは、すべて公行というルートを通してなされる。たとえば、すべての外国船が広州にはいるとき、公行のメンバーの誰かが保証人とならねばならない。国家の外交と通商事務を、民間の同業組合が一手に引受けているという変則的な形態である。商売のうえでは独占ということになって、大そうけっこうであるが、こんどのような難題がもちあがると、たちまち頭が痛くなるのだった。 期限と定められた三日のあいだに、公行総商の伍紹栄はげっそりと痩せてしまった。問題が解決する見通しはまったくなかった。 いったい、公行は正式の特許商人だから、アヘンは扱うことができない。それなのに、アヘン問題から起こったゴタゴタで、こんな苦しい板挟みになるのだから、割の合わない話である。 かつて公行のメンバーであった同泰行という店が、自分が保証人になった外国船からアヘンが発見されたというだけで、貨物の50倍の罰金刑を受けたことがあった。 …弛禁論が実現しておれば、こんな苦労もなかっただろう。 そんな愚痴がメンバーの口からもれたであろう。 夷人たちは、公行から示された諭帖を、頭から拒絶した。話し合いの余地もないという態度であった。 約束の期限は2月7日であった。新暦では3月21日で、春分にあたる。そのためか、林則徐はその日、なんの行動も起こさなかった。翌日も代理の役人を十三行街に派遣いただけである。 伍紹栄はけんめいに夷人たちのあいだを説いてまわった。 …どうせこの国の役人のことだ。こけおどしにすぎない。賄賂をはずめということだろうが、そうはさせないぞ。 夷人の大部分は、そんなふうに考えていた。これまで清国の役人は、ソデの下をつかませると、どうにでもなったからである。 伍紹栄は、「欽差大臣」という役職を説明し、これは非常のときにしか任命されないもので、最近では7年まえの台湾叛乱にさいして、福州将軍瑚松額が任命された一例のみだから、ことは重大だ、と熱っぽく説く。やっと夷人たちも、こんどは金で解決できそうもないとわかったようだ。 欽差大臣ともあろう者が、いったん言い出したことを、かんたんに引っ込めることはできないだろう。では、すこし奮発して、面子を立ててやるか。…こうして、夷人たちもちょっぴり譲歩した。 誓約書のことにはふれずに、ストックのアヘン1037箱を供出しようと答えたのである。だが、林則徐は各方面の情報を検討して、アヘン母船にストックされているアヘンは、約2万箱あると推定していた。 …千箱などでは問題にならん! と、その申し出は一蹴された。 追い打ちをかけるように、欽差大臣から夷館内の一英人に逮捕状が出された。 デント商会のデントである。 もともと林則徐は代表的アヘン商人としてジャーディン・マセソン商会のジャーディンを逮捕して、みせしめにするつもりであった。ところが、かんじんの本人が、林則徐着任五日まえに、イギリスに帰国していたのである。デントはその身代りであった。この本も陳舜臣アンソロジーR12に収めておくものとします。なお、東インド会社については『東インド会社とアジアの海賊』という本が面白いのです。『実録アヘン戦争』3:アヘン戦争開戦前夜『実録アヘン戦争』2:東インド会社の退潮『実録アヘン戦争』1:貿易品としての茶とアヘン
2023.09.18
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<横尾忠則を観に行こう♪19>異常に蒸し暑い昨今であるが・・・久々に横尾忠則現代美術館の企画展に繰り出そうと思い立ったのです。ということで、今回の企画展をネットで覗いてみました。今回のポスターです。Yokoo in Wonderland―横尾忠則の不思議の国より横尾作品のなかの「不思議」に着目し、現実の延長にあるもうひとつの世界をルイス・キャロル作「不思議の国のアリス」になぞらえて紹介する展覧会。第1章「不思議の国」では、地底や海中、宇宙を舞台にした作品が、第2章では「鏡の国」と題して鏡やミラーイメージを用いた作品が、私たちを異世界へと誘います。そして、第3章「夢の国」では、横尾自身の夢をもとに描いた《夢枕》全43点を一堂に展示します。期間 2023.9.16 sat. - 2023.12.24 sun.時間 10:00~18:00 (最終入場時間 17:30)休館日 月曜日 ただし9月18日(月・祝)、10月9日(月・祝)は開館、9月19日(火)、10月10日(火)休館観覧料 一般 700円、大学生 550円、70歳以上 350円鑑賞後のレポートは追って追記する予定とします。横尾忠則を観に行こう♪18
2023.09.18
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今、西加奈子さんのがん闘病記『くもをさがす』を読んでいるところだが・・・まあ、外国でがん治療を行うことの大変さがよく分かります。その点で私の場合は、全摘ではあったにしろ、術後にフルマラソンに挑戦するなど、がんを軽くみるあまり怖いのは肺がんだけでおます。ということで、私のがん闘病記のひとつ『予定どおりに退院しました』を復刻して読んでみます。*********************************************************2010.12.22予定どおりに退院しましたより本日、傷跡の痛みは残っているけど、ほぼ予定どおりに退院しました。いちばん心配だった検査結果は「摘出した部位は早期癌の段階であり、転移は見られない」とのことで、不幸中の幸いのような結果に安堵しました。・・・・これで、心置きなくリハビリ、練習に励むことができるというものです♪ところで、手術はこんなでした。手術室に歩いて入り、装着していたウォークマンを看護婦に渡して、ベッドに横になったのです。さり気なく(そんなに感じた)、麻酔用のマスクを付けられて「ちょっと匂うけど呼吸してみてください」と言われて呼吸を数回繰り返していたら・・・・・麻酔が効いたらしく、起されたのは手術の終わった約5時間後でした。「あれ?数字を数えてくれと言われるのではなかったのか?」全身麻酔は2回目の体験であったが、前回と様子が違っているのです。これだと、なんかだまし討ちにあったような気がしないでもない。腹のあたりが痛いので、意識のない間に肝を抜かれたことが分かるのであるが・・・・(胃と胆嚢を抜かれたのです)医学の恩恵を受けていることに感謝こそすれ、だまされたなどと文句をいえる筋合いのものではない。(ま~文句言ってももう遅いけど)徐々に回りの様子が分かってくるのだが・・・・出入りのチューブが点滴用チューブを含めて都合6本もあり、ベッドに釘付けされたような有様である。とくに鼻と尿道の2本が煩わしかったが、手術の翌日にはこの6本のチューブを点滴スタンドにぶら下げて歩かされるわけです。とにかく、最近の手術ではベッドから追い立てるように歩かせるのが主流のようです。*********************************************************
2023.09.14
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図書館で『街のスキマ植物図鑑』という本を、手にしたのです。ぱらぱらとめくってみると、雑草図鑑となっているではないか♪・・・こんなニッチでディープな本を捜していたのです。【街のスキマ植物図鑑】瀬尾一樹著、大和書房、2020年刊<出版社>より人気Twitterアカウント「やけに植物に詳しい悟空」全面監修! 身近すぎて見過ごしがちな、道ばたの植物の魅力を徹底紹介。<読む前の大使寸評>ぱらぱらとめくってみると、雑草図鑑となっているではないか♪・・・こんなニッチでディープな本を捜していたのです。rakuten街のスキマ植物図鑑「空き地・公園の植物」からエノコログサを、見てみましょう。p16~41<コンクリートの隙間> 灼熱のコンクリートに焼かれ、わずかな土は乾燥し、人に踏まれ・・・と、身近でありながら街中で最も過酷な環境の一つです。 しかしこんな場所でも、体を小さくしたり、暑さや乾燥に耐える仕組みを持っていたりと、自分の持つポテンシャルを活かしてたくみに生きる植物たちがいます。 あまり見向きもされない存在ですが、ここに生えているということは、それなりの特殊技能を持っているということなのです。■№36 エノコログサ ムラサキエノコロ 猫じゃらしの名前で親しまれています。たくさんの種類がありますが、他の仲間に比べてコンクリートの隙間に多いように思います。数あるエノコログサの中でも、暑くて乾燥する過酷な環境に強いようです。 アキノエノコログサやキンエノコロは土のある植え込みや公園などによく生えますが、こういう場所ではエノコログサの勢力はちょっと弱い感じです。街中でもちょっとしたところで住み分けているのが観察できます。私が撮りためた「野草(お奨め)」がお奨めです♪『街のスキマ植物図鑑』4:クズ『街のスキマ植物図鑑』3:ドクダミ『街のスキマ植物図鑑』2:ツユクサ『街のスキマ植物図鑑』1:スミレ
2023.08.27
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図書館で『街のスキマ植物図鑑』という本を、手にしたのです。ぱらぱらとめくってみると、雑草図鑑となっているではないか♪・・・こんなニッチでディープな本を捜していたのです。【街のスキマ植物図鑑】瀬尾一樹著、大和書房、2020年刊<出版社>より人気Twitterアカウント「やけに植物に詳しい悟空」全面監修! 身近すぎて見過ごしがちな、道ばたの植物の魅力を徹底紹介。<読む前の大使寸評>ぱらぱらとめくってみると、雑草図鑑となっているではないか♪・・・こんなニッチでディープな本を捜していたのです。rakuten街のスキマ植物図鑑冒頭の「コンクリートの隙間」から、見てみましょう。p16~18<コンクリートの隙間> 灼熱のコンクリートに焼かれ、わずかな土は乾燥し、人に踏まれ・・・と、身近でありながら街中で最も過酷な環境の一つです。 しかしこんな場所でも、体を小さくしたり、暑さや乾燥に耐える仕組みを持っていたりと、自分の持つポテンシャルを活かしてたくみに生きる植物たちがいます。 あまり見向きもされない存在ですが、ここに生えているということは、それなりの特殊技能を持っているということなのです。■№1 スミレ スミレの仲間は日本にたくさんいますが、コンクリートの隙間に生える、最も身近ともいえるのが、このふつうの「スミレ」。春に咲く花がかわいいです。 そんなスミレですが、じつは夏から秋にかけて、「咲かない花」をつけているのです。春の紫色の花とは違う、つぼみのようなものがスミレの「咲かない花」。 これは閉鎖花という、自分の花粉で受粉するための花です。春に咲く花は虫を使って他の花と花粉を交換しますが、この花は、閉じた花の中で自分の花粉を使って受粉が行われるもの。花を開いてみると、おしべとめしべがすでにくっついて受粉している様子が見られます。 自家受粉になるので、自分と同じ遺伝子の種しかできませんが、花粉の量は最低限で済むので、エネルギーを節約しつつ、確実に子孫を残せる戦略なのです。
2023.08.17
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図書館で『町山智浩のアメリカ流れ者』という本を、手にしたのです。アメリカ映画はあまり観ないが、町山さんの書いた映画評は面白かったので【町山智浩のアメリカ流れ者】町山智浩著、スモール出版、2018年刊<「BOOK」データベース>より映画は、何も知らずに観ても面白い。でも、知ってから観ると100倍面白い。観てから知っても100倍面白い!人種差別・戦争・ドラッグ…映画が映し出す光と闇。合計21本の傑作コラムを収録!<読む前の大使寸評>アメリカ映画はあまり観ないが、町山さんの書いた映画評は面白かったのでチョイスしたのです。rakuten町山智浩のアメリカ流れ者「フューリー」という映画は観ていたので、その映画評を見てみましょう。p44~47<フューリー:“良い戦争”などあり得ない>■美化されていた第二次世界大戦 先日、イギリスのボービントン博物館に行ってきました。ここには古今東西の戦車の実物が保存されています。第一次世界大戦で英国が開発した世界最初の戦車から、第二次大戦の敵であるナチス・ドイツの戦車、それにソ連の戦車もあります。僕はタミヤの35分の1の戦車のプラモデルで育った世代なので、本当に夢がかないました。 ボービントンに行ったのは『フューリー』という第二次大戦を描いた映画の取材です。この博物館にあるタイガー戦車が映画に出てくるんですね。タイトルのフューリー(FURY)とは主人公たちが乗るアメリカ軍の戦車のニックネームで、日本語で言うと「激怒号」みたいな感じです。 アメリカでは一般的に、第二次世界大戦はナチス・ドイツを倒した戦争だからということで「グッド・ウォー」だったと言われています。今までアメリカ側の視点で第二次世界大戦を描いた映画は全て美化されていて、アメリカ軍が英雄として描かれていました。 しかしデヴィッド・エアー監督が『フューリー』で描こうとしたのは、「良い戦争などない」ということです。エアー監督のおじいさんは父方も母方も第二次世界大戦に従軍していて、エアー監督自身も海軍で潜水艦に乗っていました。監督がおじいさんたちに第二次世界大戦で何をしたのかを尋ねると、2人とも「言いたくない」と答えたそうです。 「グッド・ウォー」のはずなのに、なぜ実際に参加した人々が語りたがらないのか。疑問に思ったエアー監督は、アメリカ軍がドイツで何をしたのかを調べました。すると、やはり戦争ですから、倫理的な選択の余地がない状況で、女性や子供を殺すなど、人には言えないような酷いこともしていたとわかったそうです。■戦争末期の極限状況『フューリー』は、アメリカ軍のシャーマン戦車に乗る5人の戦車兵の物語です。戦車というのは、5人の戦車兵が機械仕掛けのように連携して操縦することで初めて敵と戦えます。戦車内は非常に狭く、戦車兵たちは体をくっつけるようにして操縦します。 ブラッド・ピット演じる「激怒号」の指揮官は「ウォーダディー(戦争オヤジ)」というニックネームで呼ばれています。機関銃手が死んでしまったため、ローガン・ラーマン演じるノーマンくんという20歳くらいの男の子が補充員として送られてきます。戦争の末期で兵士が足りなくなっているため、6週間ほどの訓練を終えたばかりのノーマンのような若者が、いきなり戦場に送られてしまう状況です。 そのころのドイツ軍は崩壊寸前でした。すでにドイツ国内にアメリカ軍が侵攻していたため、ナチス・ドイツは国民全てを兵隊化しました。女性や子供、老人までパンツァーファウストという対戦車擲弾筒を配り、アメリカ軍を迎え撃とうとしたのです。だから、アメリカ兵にとっては、子供だろうと女性だろうと誰が狙ってくるかわからないわけです。 日本でも戦時中は「進め一億火の玉だ」というスローガンで同じことをやろうとして、沖縄の多くの民間人が犠牲になりました。 激怒号が進んでいくと、ノーマンは子供たちが森の中を移動しているのを目にします。相手が子供だから撃たないでいると、パンツァーファウストでアメリカ軍の戦車が攻撃されます。パンツァーファウストは高熱のガスで戦車の装甲を破り、車内の乗組員を皆殺しにします。ウォーダディーは子供を見逃したノーマンに怒り狂います。「お前が殺さなければ、俺たちが殺されるんだ!」と。(中略)■本物のティーガー戦車 この映画最大のセールス・ポイントは、ナチス・ドイツ軍が実際に使用していた本物のティーガー戦車を撮影に使っていることです。これまでに第二次世界大戦を描いた戦争映画はアメリカやイギリス、ソ連で何本も作られていましたが、本物のナチス・ドイツの戦車が映画に出てくることはほとんどありませんでした。 第二次世界大戦でナチス・ドイツは徹底的に殲滅されたため、戦車はほとんど現存していません。なので戦争映画にティーガー戦車を出すときは、アメリカやソ連の戦車を改造して、ドイツのティーガー戦車に見せかけていました。あのスティーブン・スピルバーグ監督も『プライベート・ライアン』の中で、ソ連のT34戦車を改造してティーガー戦車の代わりにしています。 ところが『フューリー』の撮影では、イギリスにあるボービントン戦車博物館が所有しているティーガー型重戦車を実際に走らせています。これはアフリカ戦線でイギリス軍が鹵獲したものを保管しておいて、修理して走れるようにしたものです。僕はボービントン戦車博物館で、この本物のティーガー戦車を触ってきましたが、体にビリビリと電気が走るような感動がありました。この映画は9年前に封切館で観ていたので、『フューリー』を観てきた で紹介します。
2023.08.14
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20世紀の美術といえば、私の場合、シュールレアリスムが思い当たるので・・・『すぐわかる20世紀の美術』を復刻して読み直してみようと思い立ったのです。*********************************************************図書館で『すぐわかる20世紀の美術』という本を手にしたのです。ぱらぱらとめくると・・・画像の多いビジュアル版シリーズの本である。そして内容記事も充実しているのがええでぇ♪【すぐわかる20世紀の美術】千足伸行著、東京美術、2008年刊<「BOOK」データベース>より美術とは何なのか?この根源的な問題をはらみつつ20世紀美術は多様な展開を見せた。その「わかりにくさ」を「面白さ」に変える入門書の決定版。【目次】第1章 第一次世界大戦までの美術(フォーヴィスム/キュビスム/オルフィスム ほか)/第2章 両世界大戦間の美術(ヨーロッパ構成主義/ピュリスム/バウハウス ほか)/第3章 第二次世界大戦後の美術(抽象表現主義/ポップアート/コンセプチュアル・アート)<読む前の大使寸評>ぱらぱらとめくると・・・画像の多いビジュアル版シリーズの本である。そして内容記事も充実しているのがええでぇ♪amazonすぐわかる20世紀の美術さらに、シュールレアリスムを見てみましょう。p102~103■シュールレアリスムの広告塔 自ら現代美術の“サルバドール”(救世主)と任じていたダリは、良くも悪しくもシュールレアリスムの広告塔的な存在であり、シュールレアリスム自体の一般的な人気、注目度も彼に負うところが大きい。 地中海に臨むカタルーニャ地方のフィゲラスに生れたダリは、パリに出てからも地中海人であることを誇りとし、また実際、彼の作品には彼が生まれ育った地中海のモチーフが頻出している。 シュールレアリスムの絵画には細部描写にこだわった具象性の強い様式と、記号的なイメージを多用した抽象性の強い様式とがあるが、前者を代表するのがダリ、マグリット、デルヴォーであり、後者を代表するのがミロ、マッソン、その中間をいくのがエルンストである。 ダリ自身、自分の絵は「手彩色のカラー写真」、つまりトロンプ・ルイユ(目だまし絵)的な絵といっているが、幻覚的な光と影のコントラスト、どぎついまでの彩色、19世紀のアカデミズムの画家にならった細心の細部描写は“ダリ様式”を形成する三つの大きな要素といえる。 また、“ダリ的イメージ”ともいうべき蟻、バッタ、眠る胎児に似た生体、松葉杖、糸杉などは、彼の幼少時代の体験と、また何よりも彼自身の性的欲望、夢と無意識の世界と密接にかかわっている。■現実と超現象の入れ子構造 ダリのトレードマークともいうべき“偏執狂的批判的方法”も、現実と夢のイメージとの出会いの中から生まれてきたともいえるが、これはわかりやすくいえば、あるものが同時に別のものに見えるダブル・イメージ、あるいは視覚的なトリック、一種の判じ絵であり、言葉におけるシャレ、語呂合わせに近い。 この種の例は16世紀のアルチンボルドなど、過去にもあるが、しかしここでダリがいいたかったのは、我々が見ているあるイメージ(=現実)が実はそのまままったく別のイメージ(=超現実)でもあること、言い換えれば現実と超現実は入れ子構造になっているというシュールレアリスム的なメッセージであった。『すぐわかる20世紀の美術』3:(救世主)と任じていたダリ『すぐわかる20世紀の美術』2:シュールレアリスム『すぐわかる20世紀の美術』1:モンパルナスの青春時代
2023.08.11
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図書館で『地球遺産最後の巨樹』という大型本を、手にしたのです。全ページにわたってカラー写真満載の大型ビジュアル本である・・・写真と文章の著作コンビが世界中を訪ねた熱意と薀蓄がええでぇ♪【地球遺産最後の巨樹】吉田繁, 蟹江節子著、講談社、2002年刊<「BOOK」データベース>より【目次】プロローグ 地上に残った巨樹たち/奇樹バオバブ(マダガスカル)/世界一の巨樹の森(米国カリフォルニア州)/世界最長寿の樹(米国カリフォルニア州東部)/樹幅世界一の巨樹(メキシコ)/台湾神木十傑(台湾)/日本最大級の巨樹(日本)/宝石になった巨樹(米国アリゾナ州)/古代文明を支えた巨樹(レバノン)/森を失った国に残された巨樹たち(イギリス)/星の王子さまのバオバブ(ジンバブエ)/世界一の巨樹発見(南アフリカ)/世界を創った森の神(カナダ クイーン・シャーロット諸島)<読む前の大使寸評>全ページにわたってカラー写真満載の大型ビジュアル本である・・・写真と文章の著作コンビが世界中を訪ねた熱意と薀蓄がええでぇ♪rakuten地球遺産最後の巨樹レバノンスギレバノンスギの今について、見てみましょう。p95~98太古の巨樹を守る現代の救世主:LEBANON 横に大きく扇を広げたようなしなやかな枝ぶり。まっすぐに天空に伸びたたくましい幹。そして芳しい香りを放つレバノンスギ。 カディーシャ渓谷の石窟につくられた修道院には「神に従う人はナツメヤシのように繁り、レバノンスギのようにそびえる」と旧約聖書の言葉が掲げられている。 残された太古の森を「神の杉の森(アルゼラブ)」と名づけたのはマロン派の人々である。弟子たちを連れて高い山に登ったイエスはそこで神に姿を変え、最も大切な樹を植えた。その樹こそがレバノンスギで、高い山がこの森だと言い伝えられているからだ。神の杉の森の中心には、そのときの様子が描かれた祭壇画が飾られた小さな石造りの教会がある。 しかし、敬虔なクリスチャンたちが守り続けてきた小さな森にも陰りが見えてくる。数千年を生きたレバノンスギの中には無残に倒れるものが現れ、樹皮が剥がれ落ち痛々しく木肌をさらす古木が増えてきたのだ。 だが太古の貴重な森には現代も救世主がいた。 太古の巨樹を救おうと最初に立ち上がったのは国際日本文化研究センターの安田嘉憲教授である。その依頼を受けてアルゼラブにやって来たのは、漢方薬を主成分とした樹勢回復剤を弱った樹に注入しているのが広島県の戎晃司氏。戎さんは広島大学の中根周歩教授と共同開発したマツ枯れ防止剤を数千万円以上無償提供し、ボランティアで毎年この森の治療にやってくる。 戎さんが1本1本樹勢を調べたレバノンスギは620本。推定樹齢6500年の巨樹も含め、治療を施した樹は大量の花と実をつけた。レバノンスギの活力が復活してきたことを示すように、枯れたように見えた樹肌にはマツヤニがにじみ出した。 破壊し尽くした人類の歴史から奇蹟的に生き残った太古の巨樹。その行く末をレバノンから遠く離れた日本人が今、見守っている。そして、それに続くように村人たちもまた苗木をつくり、神の杉の森の周囲に若い森を育て始めている。『地球遺産最後の巨樹』1:イギリスのオーク『地球遺産最後の巨樹』2:台湾ヒノキ『地球遺産最後の巨樹』3:レバノンスギ
2023.08.07
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今回借りた4冊です。 だいたい支離滅裂に借りているけど、今回の傾向は強いていえば、「ナショナルジオグラフィック」でしょうか♪(なお、「老人初心者の覚悟」は7/26受取予定です)<市立図書館>・ウクライナ(ナショナルジオグラフィック2023年6月号)・80億人(ナショナルジオグラフィック2023年4月号)・科学で大切なことは本と映画で学んだ・老人初心者の覚悟<大学図書館>(ただいま市民への開放サービスを休止中)図書館で手当たり次第で本を探すのがわりと楽しいが・・・これが、図書館での正しい探し方ではないかと思ったりする(笑)***********************************************************【ウクライナ(ナショナルジオグラフィック2023年6月号)】雑誌、日経BPマーケティング、2023年刊<商品の説明>より【特集】●わが愛しき祖国ウクライナ人によるプロジェクトが記録した、戦いの前の美しい祖国。●原生の自然を探して手つかずの自然とは何か。その答えを見つけたいと、原生自然地域になっている米国ニューメキシコ州のヒラの森を訪れた。●宇宙から来た金属製鉄技術が誕生する以前、古代の人々は空から落ちてきた隕石に含まれる鉄を使って、貴重な装飾品や武器を作っていた。<読む前の大使寸評>おお ナショナルジオグラフィックのウクライナ特集ではないか、これは借りるしかないでえ♪rakutenウクライナ(ナショナルジオグラフィック2023年6月号)【80億人(ナショナルジオグラフィック2023年4月号)】雑誌、日経BPマーケティング、2023年刊<商品の説明>より【特集】●爆発する世界の人口医療の発達で子どもの死亡率が低下し、平均寿命が長くなるに伴って、世界の人口は半世紀もしないうちに2倍に増加した。だが、食料などの資源の不足や気候変動といった要因によっては、この傾向が反転する可能性があると、専門家たちは考えている。●減る中国一人っ子政策と出生率の急落によって人口が減少に転じたこの国で、人々は新しい生き方を模索している。●超高齢社会の日本人口の3割近くを65歳以上が占める日本。高齢化対策で世界をリードし、お手本になれるのだろうか?<読む前の大使寸評>おお ナショナルジオグラフィックの人口問題特集ではないか、これは借りるしかないでえ♪rakuten80億人(ナショナルジオグラフィック2023年4月号)【科学で大切なことは本と映画で学んだ】渡辺政隆著、みすず書房、2021年刊<「BOOK」データベース>より本から映画、映画から本へ縦横自在に往き来して科学を語る。ハメット、ヴォネガットからダーウィン、「時をかける少女」に「アナと雪の女王」、寺田寅彦、中谷宇吉郎、グールドにドーキンス、憧れのS.コネリー、「ひょっこりひょうたん島」、「崖の上のポニョ」、ビッグヒストリー、ダイアモンド、ハラリ…芸術も科学も文化、科学の知識があれば人生はさらに楽しい。心おどる科学研究の最先端はもちろん、科学のわき道・回り道、科学と科学者のいかにも人間味ある営みを捉えて随一の書き手の物する無類のサイエンスライティング。挿絵・山本美希。<読む前の大使寸評>追って記入rakuten科学で大切なことは本と映画で学んだ【老人初心者の覚悟】阿川佐和子著、中央公論新社、2019年刊<「BOOK」データベース>より老人若葉マークの踏んだり蹴ったり…だからなんだ!「高齢者」の仲間入りをしたアガワが、ときに強気に、ときに弱気に、老化と格闘する日々を綴る。<読む前の大使寸評>帰って調べてみると、この本は以前にも借りた本でした。<図書館予約:(7/18予約、副本1、予約0)>rakuten老人初心者の覚悟図書館大好き601
2023.07.25
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朝からセミが鳴いてうるさいが、まだ梅雨明け宣言も出ていないのに、まったく。(*) ここでさわやかなエピソードをひとつ♪ 我が地域の小さな公園の東屋で休むことがあるのだが・・・ ここで11時前後の時間帯に、チュチュチュと舌打ちするとオスの地域ネコが登場することがあるのです。 どうして地域ネコなのかだって?、それは彼の片方の耳に避妊処置済みを示す切り欠きが見えるからです。こんな手間をかけて彼を遇した猫好きが、我が地域にいることは確かです。 ゆったりと歩をすすめる姿を見ると。猫好きの私には、とにかくうれしいのです。そして、どこで見張っていたのか、聞き耳をたてていたのか分からないが、彼は私の存在を認識しているのです。 食い物を持っていない私に、彼が好意を示すのは・・・ 食い物や水を準備して、彼をてなづけた猫好きおばさんがいたからで、私はその友達仲間に加わったからです。 おばさんが言うには「足音を聞きつけて、寄ってくる」かも知れないのだそうです。 この歳になっても茶飲み友達ができない私だが、地域ネコを介して友達仲間ができたのは嬉しいかぎりでおます。 まったく、くそ暑い昨今であるが、体調をくずさないようにして頑張ってください、お互いに。在りし日のフータロー(*):この記事を書いた後に、近畿の梅雨明けが宣言されました。
2023.07.20
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<方言あれこれR4>『やっとかめ!大名古屋語辞典』という本がどえりゃあ面白かったので、この際、大使が気になる方言をあれこれ集めてみました。・ぼっけえ きょうてえ:岡山弁・ロンドンの方言・幡多の方言・『笑説 大名古屋辞典』:名古屋弁・『やっとかめ!大名古屋語辞典』:名古屋弁・『でーれーガールズ』:岡山弁・『ラジ&ピース』:群馬弁・播磨気質:播州弁・関西弁基礎講座:関西弁・関西人の話法R4:『ぼっけえ きょうてえ』を見直し・ぼっけえ きょうてえ・美の巨人たち 甲斐庄楠音 「横櫛」:ぼっけえ きょうてえ『ブロークン・ブリテンに聞け』4:英国英語はしちめんどうくさい・『笑説 大名古屋辞典』・『やっとかめ!大名古屋語辞典』2・『でーれーガールズ』・『ラジ&ピース』・播磨気質・関西弁基礎講座 INDEX・関西人の話法<ぼっけえ きょうてえ >東京のテレビでレギュラー出演もあるらしいけど(関西では見えないのだ)その存在自体が、ぼっけえ きょうてえ岩井志麻子が気になるのです。なんでや?韓国の若い子との悲恋から覚めやらぬ(笑)大使としては・・・・「ぼっけえ きょうてえ」をまだ読んでいないけど、韓国の若いツバメに入れあげているこの作家が気になるのです。それと、岩井志麻子と西原理恵子がお友達らしく(実態は未確認ですが)、よくメディアの企画で取材旅行など行っているようです。思うに・・・・このふたりとの同行を命じられた若い男性スタッフの気持ちを察するに・・・ぼっけえ きょうてえ・・・ですね。このおふたり、別名「オバハン喜び組」には拉致されてみたいという気がしないでもないが(オイ オイ)・・・やっぱりチョット怖い。ということで・・・怖いものが見たいひとは岩井志麻子オフィシャルサイトに、どうぞ。「ぼっけえ きょうてえ」という岡山弁は、学生時代に耳にしたが・・・類推不能のあるいみ完璧な方言として印象に残っているが、強烈な名古屋弁に次ぐものではないだろうか?(やはり名古屋弁は無敵だ!)とはいえ、岡山弁はおえりゃーせんの~。<ロンドンの方言>『ブロークン・ブリテンに聞け』という本にロンドンの方言にふれている個所があるので、紹介します。【ブロークン・ブリテンに聞け】ブレイディみかこ著、講談社、2020年刊<「BOOK」データベース>より EU離脱、広がる格差と分断、そしてコロナ禍ー。政治、経済、思想、テレビ、映画、英語、パブなど英国社会のさまざまな断片から、激動と混沌の現在を描く傑作時事エッセイ集。<読む前の大使寸評>2020年刊10月刊行の本なので、当然として新型コロナに対するイギリスの対応が載っているので興味深いのです。<図書館予約:(12/9予約、1/30受取)>rakutenブロークン・ブリテンに聞け連合王国イギリスの英語が興味深いので、見てみましょう。p44~49<英国英語はしちめんどうくさい> おもしろいことに、「Same Same But Different」のサイトを主宰するカップル自身が、海外で英語を教えるようにると、これまで喋っていた英語ではわかってもらえないのでスタンダードな英語を喋るようになったと書いている。つまり、外国人が周囲に増えると、言語は地域性や階級性を失い、単純化される宿命を負っているのだ。 ならばこれから英国英語はどんどんシンプルになって、めんどくささを失うはずである。 が、その結論に達するのはまだ早い。というか、事態は真逆な方向に進んでいる。 外国人が増えているロンドン東部で、いわゆるコックニーと呼ばれる下町英語が消滅寸前の代わりに、ニューコックニーとも呼ばれる新たな言葉が誕生している。MLE(マルチカルチュラル・ロンドン・イングリッシュ)というこの英語は、ジャファイカン(ジャマイカ出身者を真似た若者たちの英語)を基盤とし、西インド諸島出身、アジア南部出身の移民の英語、コックニー、河口域英語の影響を混ぜたハイブリッドな方言だそうです。<幡多の方言>大使の故郷・幡多には思いのほか、京都なまりが残っているので、それらを思い出してみます。そんな言葉が残っている訳は・・・言ってみれば「遠流(おんる)の地」だったからでしょうね。・おおきに(ありがとう)・ほたえる(たわむれる)・まろぶ(ころぶ)・ざまに(すごい、すごく)・~ちや(~だって)・~けん(~だから)・へんしも(すぐに、急いで)・がいな(乱暴な)・づつない(とても悲しい)・えっころ(相当)京都新聞に「遠流(おんる)の地」が報じられていたので、見てみましょう。2020/5/15土佐への遠流、京とのゆかり 石畑匡基氏より 新型コロナウイルス感染の流行はいつまで続くのだろうか。高知県立歴史民俗資料館(高知県南国市)の企画展「遠流(おんる)の地 土佐」では、3月10日までの会期を全うすることなく、3月5日で閉幕した。 企画展の準備をしたものの、全く開館することなく閉幕を迎える博物館が増えている現状からすれば、会期のほとんどを終えることができ、幸いであったのかもしれない。この企画展では、古代から日本で行われた刑罰である流罪をテーマに取り上げた。流罪には、罪の軽重によって「近流(こんる)」「中流(ちゅうる)」「遠流」があった。土佐(高知県)はその中でも最も重い「遠流」に規定されていたことに因んだものである。 京都からも、多くの人々が土佐へ流されている。その一人が土御門上皇である。父の後鳥羽上皇と弟の順徳天皇が、1221(承久3)年に鎌倉幕府打倒を画策して「承久の乱」を起こしたことが影響し、土佐へ配流(はいる)となった。その後、土佐は遠すぎるという理由で阿波(徳島県)へ移され、同地で亡くなった。 展示で特別協力をいただいた冷泉家時雨亭文庫(京都市上京区)は、土御門上皇が配流中に土佐で詠んだ和歌が載る「土御門院御集」と、上皇の女官が記した「土御門院女房(日記)」を所蔵している。それらを四国で初めて公開できた。 作品返却に訪問した際には「このように取り上げられて土御門上皇も喜んでいらっしゃるだろう」と言われ、改めて開催の意義を実感した。 ところで、土御門上皇のように、配流地で無念のまま亡くなった人がいた一方、罪を許され土佐での観光を楽しんで帰京した人もいる。その一人が江戸時代の公家である滋野井実光だ。ディープな幡多弁が遅咲きのヒマワリより遅咲きで振り返る四万十「幡多弁」で見られます。名古屋弁を、見ていきましょう。p65~68<がや> 名古屋語としてあまりにも有名な「ぎゃあ」と同じ。「…だがや」等と断定するときに使われることが多い。三河地区では「がや」、名古屋地区では「ぎゃあ」が使われることが多いが、どちらも名古屋語として公認されており、意味は通じるのであまり神経質になる必要はない。 それにしても、最近、名古屋のことを駄我屋などと言う東京人が増えた。はっきり言って、不愉快である。<かん> 本来は「いかん」(いけない)「あかん」(だめだ)なのだが「い」や「あ」が省略されるか、ほとんど発音されないので他国人には「かん」と聞こえる。この種の省略は他の言葉にも見られるので注意が必要である。→いかん「今年のドラゴンズ、かんなあ」(今年のドラゴンズ、だめだなあ)「応援、かんとかんなあ」(応援に、行かなければいけないなあ)『やっとかめ!大名古屋語辞典』で、名古屋弁の一例を見てみましょう。p33 <えりゃあ> 普通ではないことを表すきわめて使い道の広い言葉。「疲れる」「大変な」「ものすごい」そして「偉い」等、様々な意味をもち、発音もまったく同じなので理解するのがきわめてむずかしい。 「えりゃ」と短縮形で使われることもある。「えりゃあを笑う者は、えりゃあに泣く」という格言があるほどで、名古屋語をマスターするためにはどうしても越えなければならない関門である。なお、英語と同様比較変化をし、比較級は「どえりゃあ」、最上級は「どえらけねゃあ」となる。これが名古屋独特の圧縮技術により「どえりゃあ」→「でりゃあ」→「でら」となると、もう名古屋人以外には理解不可能。東海地方限定ビールの「でらうま」が「どえりゃあうみゃあ」の圧縮形であることを理解できた東京人は皆無と言っていいだろう。 なお、一部地域では、「ど」ではなく「も」がついて、「もえりゃあ」「もえらけねゃあ」となることがあるが、意味は同じである。(例)「今日、学校で先生に、えりゃあってほめられたがや」「そりゃえらかった。何でほめられたん?」「遊んでて窓ガラス割ってまったら、どえりゃあことしてくれたって」『ラジ&ピース』という小説から、群馬弁を見てみましょう。p54~57 毎週火曜日のこの時間は、「なっから群馬弁」。 初心者の私、相馬野枝に、皆さんの群馬弁を伝授していただくコーナーです。FAXは027-3・・・メールアドレスはwww.joshn-fm・・・ケータイはスラッシュkをつけてください。 先週いただいた「ガショーキ」つまり乱暴とか粗雑って意味なんですけれど、わかんねーよ、使わねーよ、という声多数いただきました。「ガショーキ」は東毛の方の言葉なんですね。高崎、前橋では使わないようです。 さて、今週もたくさんいただいています。ラジオネーム恐妻センター前橋さんのなっから群馬弁。 (嶋野がBGMを切ると同時にあらかじめ録音していた音源を流す。エコーをかけた間島の声が流れる) 「チョットイッテミラァ」 「ハアキャア?」 (BGMをスタートさせる) これは、「帰るよ」「もう帰るのかい?」という意味だそうです。「もう」が「ハア」なんですね。なるほどー。帰るときでも、行ってみらぁなんですんね。「ハア、ケエラア」「ハア、ケエルンベ」になると、もっと帰る意思が強いっていう解説をいただいたんですが、これはすごい。恋人同士で使ったりもするんでしょうか? それからこちらは、えーと藤岡市のバイアス33さんからいただきました。 (嶋野、BGMを切り、音源を流す) 「ミンナンチのカタログ持ってきてクンナイ」 (BGMスタート) この場合「ミンナンチ」っていうのは、「あなたの会社」だそうです。これもびっくりですね。私が藤岡へ行ったら、「ミンナンチの番組いつも聞いてるよ」って言われるのかな、なんだかかわいい言葉ですね。 えーっと、もう1枚行けますね。こちらは高崎市の不眠鳥さん。 (BGMを切る。ここは野枝がメッセージを読む) 「野枝さん、ナカラとオーカとマッサカの使い分けってわかりますか?全部すごくという意味なんですが、ニュアンスが違います。オーカはどっちかというと否定的なニュアンス、マッサカは予想と違う驚きのニュアンスです。これをマスターしたら野枝さんも群馬人ですよ」 (BGMスタート) はい、英語で言うとveryということですよね。ナカラはわかりますが、あとの二つは全然わからないです。そっかー、副詞を聞いただけで意味合いがわかるんですね。奥が深いなあ。 今日採用された方にはステッカーお送りします。「なっから群馬弁」のコーナーでした。 (嶋野、CDを流す。野枝、天気予報が原稿と変わっていないかどうか確認のため、ブースを出て行く) (野枝、ミネラルウォーターを持ってブースに戻ってくる) 「あと十秒です」 (CDが終わり、サイレントとなる)
2023.07.13
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早朝に散歩する太子であるが、南東の空に月と金星が見えるのです。ちょうど三日月の内側に金星が位置しているが、これって中東諸国が好むマークではないか。また、このマークは春分と関係があるのではないか?このところ、早めの台風到来、降れば大雨、晴れると真夏かと・・・季節感に混乱が起きるではないか。宇宙や占星術の記事を見たり、書いたりしているが『日本のならわしとしきたり』という蔵書に二十四節季の記事があることを思い出したのです。【日本のならわしとしきたり】ムック、 徳間書店、2012年刊<内容紹介>ありふれたムック本ということなのか、ネットにはデータがありません。<大使寸評>とにかく「今日は二十四節季でいえば、何になるか♪」を知りたいロボジーにとって、座右の書となるでしょう♪Amazon日本のならわしとしきたりこの本で、夏至のあたりを見てみましょう。和暦p17<夏至>昼が一番長く、夜が一番短い日 夏至節季は、現代の暦で6月20、21日ころから始まり、次の節季「小暑」の前日までを指す。夏至に入った初日を特に「夏至日」あるいは「夏至の日」と呼び区別されている。 地球の北半球では、夏至の日は1年で昼がいちばん長い日であり、1年で昼がいちばん短い冬至の日から約半年後が夏至の日となっている。 『暦便覧』に記されている言葉は「陽熱至極し、また、日の長きのいたりなるを以てなり」である。また、陰暦6月の異称には、「水無月」、「風待月」、「常夏月」、「青水無月」などがあり、いずれも田植えにかかわった名称となっている。 水無月について、「田には田植えのための水が張られているのに、水が無い月?」―よく聞かれる疑問だ。諸説あるが、「無」は連帯助詞で「の」と解釈し、「水の月」とする説と、梅雨が明けると「水が無くなる」ので文字通り「水無月」とする説がある。 夏至の期間は、梅雨の真っ只中。農家は田植えに「大忙し」の時期ですが、燕は飛来し、筍は地上に顔を出し、蝉の初音など、気候風土の風物詩は一変する。 この時期の七十二候には 初侯「乃東枯」(ないとう、かるる)夏枯草が枯れる、 次候「菖蒲華」(あやめ、はなさく)あやめの花が咲く、 末候「半夏至」(はんげ、しょうず)など。「半夏生」は、一部の葉が白色に変わるドクダミ科の植物・カラスビシャクのことである。カラスビシャク和名の由来は、仏炎苞を「柄杓」に見立て、人が使うには小さいということで名づけられた。 塊茎は半夏(はんげ)という生薬に用いられる。 鎮吐作用があり、半夏湯(はんげとう)などの漢方薬に配合される。 俳句の季語は夏である。 二十四節季の立夏に注目(復刻)
2023.06.20
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図書館で『アメリカ人の見たゴジラ、日本人の見たゴジラ』という本を、手にしたのです。横書きで論文調の構成ではあるが・・・何やらマニアックであり、面白そうである。【アメリカ人の見たゴジラ、日本人の見たゴジラ】 池田 淑子編著、大阪大学出版会、2019年刊<「BOOK」データベース>よりゴジラはついに星になった(ゴジラ座、2018)。なぜ半世紀以上も日米で愛されているのか。ゴジラを愛してやまない日米の6人の研究者がその問いに挑む。<読む前の大使寸評>横書きで論文調の構成ではあるが・・・何やらマニアックであり、面白そうである。rakutenアメリカ人の見たゴジラ、日本人の見たゴジラ「第3章」でアメリカでリメイクされたゴジラ映画を、見てみましょう。p52~55<第1節 序論> 2014年7月、初代『ゴジラ』(1954)のリブート版『GODZILLAゴジラ』(2014)が公開されてからアメリカでは再びゴジラブームが巻き起こった。 当時、「手がつけられないほど勢いに乗った」(unstoppable)次期大統領候補であったトランプ氏をGodzillaのようだと語ったメディアは、その年の冬に北米を襲った記録的な大寒波を“Snowzilla”、過去最大のエルニーニョ現象を“Godzilla EL Nino”と呼んだ。ゴジラという名前のレストランや伐採サービスを行う会社が現れたかと思うと、最近新しく発見された天体はNASAとその研究チームに「ゴジラ座」と名付けられた。 このようにGodzillaという語は、アメリカ文化の一つの基準となっている。なぜアメリカ人はGodzillaにこれほど愛着を示すのだろうか。本章は、この問を初代のゴジラ映画の需要にさかのぼり、考察を試みるものである。 特に、初代『ゴジラ』(1954)のゴジラ表象は、象徴として多義的ではあるものの、当時の日本人にとっては、明らかにアメリカの代理表象でもあり、反戦・反核・反米の色彩が強いものである。にもかかわらず、当時、大部分の国民が原爆投下の正当性を信じていたアメリカで、なぜゴジラは広く受け入れられたのだろうか。第1章と第2章で論じられた当時のGodzillaのニューヨークへの軟着陸に関する解説を基盤に、本章ではさらにこの問いの探求を進めたい。 初代『ゴジラ』(1954)は、アメリカでどのようにアメリカ版Godzilla, King of the Monsters!(『怪獣王ゴジラ』)(1956)となったのだろうか。どのように新しい映像が付加され、編集され、修正され、吹き替えられ、変容され、そしてそれが宣伝され、受容されたのか。 また、第二作『ゴジラの逆襲』(1955)、第三作『キングコング対ゴジラ』(1962)および第四作『モスラ対ゴジラ』(1964)もアメリカ版においてどのような修正・編集が加えられ、受容されたのか。本章は、初代作品をはじめとする昭和シリーズ前半4作品の受容について相対的に検討したい。また、それらの作品群を同時代の核や怪獣を描きヒットしたアメリカのサイエンス・フィクション映画の作品群と比較・対照する。 そうして縦横的に、「怪獣王」について歴史的・政治的・社会的・文化的な考察を深め、当時のアメリカ社会におけるゴジラ表象が担う文化的な役割を探求し、その後のゴジラ映画の受容を分析する手がかりとしたい。<第2節 Godzilla, King of the Monsters!『怪獣王ゴジラ』(1956)、『ゴジラ』(1954)>■2.1 辛辣な批評と記録的なヒット アメリカ版ゴジラの制作・配給の鍵を握るのは、ボストンを拠点にした配給会社のジョセフ・レヴィーンである。東宝から映画『ゴジラ』(1954)の版権を購入したジュエル・エンタープライズのリチャード・ケイとハロルド・ロスがレヴィーンのもとに映画を持ち込んだのである。彼は、映画業界では、マーケティング戦略においてパイオニア的存在であった。映画市場をテレビ番組に普及させたのも彼である。 アメリカ版のタイトルはGodzilla, King of the Monsters!であり、日本では文字通り『怪獣王ゴジラ』と訳されている。この『怪獣王』の監督にアメリカ人のテリー・モースが採用されたのである。 第4章で、デイビッド・カラハン氏が詳細に説明するように、『怪獣王』は、アメリカでは、まず大都市の主要な市場で上映され、それから次第に小さな市場で、別のホラー映画と同時上映された。その後、全国放送もしくはローカルなテレビ局で放送されたのだが、1950年代、1960年代、1970年代、1990年代に繰り返し放送されている。また、1980年代以降、VHSやDVD版が利用できるようにもなった。 後に、特殊効果や音楽についてポジティブに評価する記事が多数みられたが、当時の映画批評は、大部分が辛辣な批判だった。『アメリカ人の見たゴジラ、日本人の見たゴジラ』1:はじめに
2023.06.17
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図書館に予約していた『自民党の統一教会汚染』という本を、待つこと7ヶ月ほどでゲットしたのです。昨今ではコメンテーターとしてテレビに登場し、鋭い指摘を述べる鈴木エイトさんであるが・・・教会員の暴力など気にかけず追及するジャーナリスト根性がいいではないか。【自民党の統一教会汚染】鈴木エイト著、小学館、2022年刊<「BOOK」データベース>より安倍元首相と教団、本当の関係。メディアが統一教会と政治家の関係をタブーとするなか、教団と政治家の圧力に屈せずただひとり、問題を追及しつづけてきたジャーナリストがすべてを記録した衝撃レポート、緊急刊行!<読む前の大使寸評>昨今ではコメンテーターとしてテレビに登場し、鋭い指摘を述べる鈴木エイトさんであるが・・・教会員の暴力など気にかけず追及するジャーナリスト根性がいいではないか。<図書館予約:(10/27予約、副本2、予約56)>rakuten自民党の統一教会汚染かなり中抜きになるが・・・「第二部 菅・岸田政権への継承(2020~2022)」の最終章で安倍さん事件のあたりを見てみましょう。p292~294<第19章 2020年参院選、安倍晋三暗殺> そして、2022年の参院選を迎える。 教団内では第一次安倍政権で安倍の首席秘書官を務めた井上義行への組織票支援が指示された。井上は選挙期間中の6月24日、世界平和連合がオンラインで開催した青年フォーラムのト-クセッション『若者がつくる、これからの社会』に参加。7月4日には教団がさいたま市文化センターで開いた神日本第1地区責任者出発式に参加。司会の方相逸・全国祝福家庭総連合会総会長から「井上義行先生はもうすでに食口(シック)になられました」と紹介されている。■暗殺に至る経緯 そして参院選運動期間中、投開票日2日前の7月8日、日本中を揺るがす大事件が起こる。奈良県内で自民党候補者・佐藤啓の選挙応援演説を行っていた安倍晋三が背後から銃撃を受け死亡したのだ。衆人環視の下で起こった銃撃暗殺事件に列島中が衝撃を受けた。 もちろん私も、一連の疑惑を追ってきた安倍が亡くなってしまったことで、ある種の空虚感に苛まれた。 だが、手製の銃器で安倍を撃ち逮捕された山上哲也の供述内容が明らかになるにつれ、私の周囲も騒がしくなっていった。当初、ある団体への恨みから安倍を狙ったとの報道がなされ、「ある団体」が「ある宗教団体」となった瞬間、私は「統一教会」だと確信した。 そしてやはり奈良県警に張っていたメディアから「ある宗教団体」が「統一教会」だという情報が漏れだしたことを機に、複数のメディアから照会が寄せられるようになった。なぜならそれまで、安倍と統一教会の関係性を継続して取材し記事にしていた報道人は私以外にいなかったからだ。 山上の母親が統一教会への一億円を超える多額の献金によって自己破産し、家庭が崩壊したという背景が報じられた。教団の反社会性を各メディアが取り上げ、信者の家族、特に子供たちの問題もクローズアップされた。だが、統一教会と政治家、とりわけ安倍晋三との近年の関係については、どのメディアも材料がなく、山上の思い込みや勘違いによるお門違いの殺人であるかのような言説が流布されていた。■教団との関係が矮小化された言説 それは2021年9月のビデオメッセージが暗殺への直接のトリガーとなったことが明らかになってからも続き、安倍と教団との関係性については矮小化を図るような言説が目立った。単に2021年9月のビデオメッセージだけを取り上げ、大したことではないとの論調で話すコメンテーターが続出した。これは、充分想定されたことだった。安倍とその周辺の政治家の一群と統一教会との関係性は一連の流れの中で捉える必要があり、局所を取り上げても全体像はなかなか見えてこないからだ。 多くのメディアが安倍の祖父・岸信介と文鮮明の関係などに焦点を当てた報道を行った。また、個々の政治家と統一教会との接点を追及する報道は多くなされていたが、連続性を持って追及する報道はなかった。山上が事件前にルポライターへ宛てた手紙の内容から「最も影響力のあるシンパ」として安倍を狙ったことが判って以降も、独自に安倍自身と統一教会との関係の深さに切り込むメディアは皆無だった。だが、これは無理もないことだ。 第2次安倍政権以降の教団と政治家の関係性については、どの素材を当たっても結局は私がこれまでに報じてきた内容に行き着くこととなり、私が入手した証拠を基に積み上げた考証を経ない限り、安倍自身と統一教会との関係は幡けないからだ。『自民党の統一教会汚染』1:安倍政権との癒着
2023.06.12
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早朝に散歩する太子であるが、南東の空に月と金星が見えるのです。ちょうど三日月の内側に金星が位置しているが、これって中東諸国が好むマークではないか。また、このマークは春分と関係があるのではないか?梅雨入り宣言は出たが、早く到来した台風のせいで・・・各地に線状降水帯が発生し、約100年ぶりのような降水が記録された模様ですね。『日本のならわしとしきたり』という蔵書に二十四節季の記事があることを思い出したのです。【日本のならわしとしきたり】ムック、 徳間書店、2012年刊<内容紹介>ありふれたムック本ということなのか、ネットにはデータがありません。<大使寸評>とにかく「今日は二十四節季でいえば、何になるか♪」を知りたいロボジーにとって、座右の書となるでしょう♪Amazon日本のならわしとしきたりこの本で、芒種のあたりを見てみましょう。和暦p16<芒種>米、麦、穀類の種を蒔く、収穫へ向けた出発の季節 小満から数えて約15日、立夏から約30日を経ると「芒種」の節となる。期間は例年6月5~6日ころから始まり夏至(6月21日ころ)の前日までになる。 芒種とは、「穂の出る種類の穀物の種を蒔く時期」ほどの意味で、特に「米」を指した。米は寒冷に弱い性質を持っていたため、種を蒔くのはこの時期だったが、品種改良後の現在はもっと早く行われている。『暦便覧』には「芒(のぎ)のある穀物稼種する時なり」とある。芒とは、米・麦のように籾(もみ)でくるまれた種子のことだ。 米に限らず、農作業は1年間という長いスパンで、種蒔き→育成→収穫→収穫後の田畑の涵養→作付け計画などが進められる。長い間の経験や体験、試行錯誤を経て、最良の時期が選ばれてきた『暦便覧』はその集大成でもあったのである。 芒種のころは、西日本では梅雨入りしており、大量の水は必要とする稲作に適した時期でもあった。梅雨入りかその少し前の時期に当たる芒種節の気候は、暑さが日一日と増し、湿度が高く、徐々に梅雨めき始め、五月雨(さみだれ)を経て梅雨に入り、西日本から「田植え」が北上する。 芒種の期間の七十二候は、次の通り。 初候「蟷螂生(かまきり、しょうず)」 次候「腐草、為蛍(くされたるくさ、ほたるとなる)」 末候「梅子黄(うめのみ、きばむ)」二十四節季の小満に注目(復刻)
2023.06.06
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図書館で『もう「はい」としか言えない』という本を、手にしたのです。フランス語も喋れない海馬五郎が受賞の特典でパリ観光できるんだって・・・面白そうである。【もう「はい」としか言えない】松尾スズキ著、文藝春秋、2018年刊<「BOOK」データベース>より「世界を代表する5人の自由人のための賞…?」胡散臭いものだが、パリへの旅費と一週間の滞在費を支給してくれるらしい。飛行機が嫌いで、外国人が怖い海馬五郎も、一週間は妻とのセックスを休めるというので、その誘いにのった。これが悪夢の旅になったのである。<読む前の大使寸評>フランス語も喋れない海馬五郎が受賞の特典でパリ観光できるんだって・・・面白そうである。rakutenもう「はい」としか言えない受賞の特典が語られているあたりを、見てみましょう。p16~18 ピコンと、スマホのカメラの自撮りの音がする。小さな音だが、何度聞いても初老の見てくれの自分にピコンの醸すファンシーさは似合わない。画面には無表情の海馬と、商業用に磨き上げられた笑顔にピースの上垣。その、背景にはクリント・イーストウッドの渋面。上垣の写真写りのインチキ臭さは尋常でないが、背に腹は代えられない。海馬は、それを慣れた手つきでメールに添付して妻に送る。 もう半年、生真面目にこの作業をやっている。禊(みそぎ)の気持ちもあるが、GPSの共用だけはなんとしても避けたい。この恥辱に付き合い笑い転げてくれる人間としかもはや海馬は飲むことはない。 上垣は、一通りネタになる話は聞かせていただきましたという表情で微量のカクテルをすすって、切り出した。海外映画の吹き替えのような声を作って。「で、私が呼ばれるからには、それなりの相談ごとがあると思うんですが」 寒がりの海馬は、バーの止まり木にいるくらいではコートを脱がない。そのベージュのトレンチコートの内ポケットから、丁寧に折りたたんだ2枚の紙を取り出し、わざと安っぽいものを放るように上垣の前のカウンターに置いた。「読んでみて」 それは、英文で書かれた文章のコピーと、それを日本語に訳したもので、海馬がエドゥアール・クレスト賞というフランスの賞を受賞したことを告げる手紙だった。この知らせはパリのクレスト社の事務局から文化庁宛てに半年前に届き、なぜかずっとほっておかれたのだが、急に10日ほど前、海馬の所属するシナリオライターや俳優のマネジメント会社に転送されたのだ。 日本語訳の手紙に国際文化交流室の職員の名義で遅配に対する詫びの言葉が簡単に添えられていたが、その理由すら書かれていない。パリでの授賞式まで2週間を切っているのにである。おそらく、たまたま出演する映画を見てようやく海馬五郎というものが何者であるのかピンときて手紙のことを思い出し、慌ててウィキペディアで経歴や所属事務所を調べたのだろうと海馬は想像する。 そもそもエドゥアール・クレスト賞がいかなるものなのかも、誰も知らなかったことであろうし。「世界を代表する5人の自由人のための賞…?」上垣は、一度眼鏡を額の上にずらし、手紙に顔を近づけ裸眼で確認し、ぶつぶつ言って、また眼鏡をかけて言う。「なんですか、これ、世界を代表する自由人の5人の中に海馬さんが入っているってことですか?」 いつも斜め上から人を見るようなあ冷静さを崩さない上垣も、さすがに手紙を少し読んだだけで動揺している。その顔が見たかったので海馬は内心ほくそ笑みながらうなずいた。「うけるだろう。この僕が自由人だって言うんだぜ」 手紙にはおおむねこういうことが書かれてあった。〇エドゥアール・クレスト氏は、フランスの実業家で、世界規模の美術工芸品の売買、その利益を運用した不動産や株式の投資により成功した社主であり、近年は芸術への恩返しの意味を込め、資産の一部を文化事業に充てている。〇ひいては、今年より、エドゥアール・クレスト賞というものを設立し、彼が、自分の事業においてのモットーである「ルールに縛られない自由な精神」を、実践して生きていると評価する世界の5人の文化人に賞を与えたい。〇第1回目の受賞者は、アメリカ人、ドイツ人、フランス在住のパキスタン人、フランス人、日本人、5人の「自由の実行者」に決定した。もちろん、日本人は海馬五郎だ。〇海馬氏の受賞の理由は、クレスト氏が若き日に語学留学で滞在した日本で、偶然鑑賞した、海馬五郎作の演劇『椰子の木の下の小人』の、既成の演劇の概念にとらわれない自由な作劇に、氏が感銘を受けたことに由来する。〇なお、この賞は、20〇〇年〇月〇日に、パリで行われる授賞式に出席するものだけが正式に受賞することになる。欠席すれば受賞は無効になる。〇賞金賞品に関しては、心ばかりのものだが、旅費、1週間の宿泊費、食費のすべてはクレスト社がまかなう。〇授賞式は、パリ滞在の1週間以内に「受賞のためのワークショップ」の準備ができ次第行われる。 一通り読み終わったが、合点がいかないという顔で上垣が言った。「でも、これ、海馬さんが芝居やってたのって、20代の頃なんじゃないですか?」「そう。30年前の話だ。あまりにも唐突なんで英語のできるマネージャーに、事務局に電話をさせたよ。まあ、できるといっても、そうたいしたものじゃないからおおまかなことしかわからなかったけど、ざっくりいうと、日本に語学留学中の若きクレスト氏が、留学先の大学の友達と語学の勉強の一環として、たまたま下北沢でやっていた芝居を観たらしく、それが、僕が映画学校のOBでくすぶっていた連中と作った劇団の公演だったのだ、と。(中略) 当時、フランス人があんな小さな劇場でやっていたつたない芝居を観に来ていたなんて知らないから、まあ、いまこの瞬間もうっすらびっくりし続けているというわけ」
2023.06.02
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トルコ大統領はエルドアン氏が続投とのこと・・・クルド人やスウェーデンはガッカリしたのかも。ウクライナ紛争を解決する上で、大きな(あるいは微妙な)影響力を持っているトルコが気になるわけで・・・そのトルコを知るために『恐ろしい軍楽隊?』という日記を復刻してみます。*********************************************************日露戦争を契機に親日的なトルコ人ではあるが・・・・かってオスマントルコがヨーロッパを蹂躙したが、今はそのヨーロッパに出稼ぎに行く有様で、昔の栄華は見る影もありません。昨今では、トルコ軍がイラクのクルド人地域に越境攻撃をかけていて終わりの見えない民族間紛争に暗澹とするのです。なんで、トルコや?といえばArexさんのトルコ行進曲というエントリーに触発されたからなんですが・・・オスマン軍の行進はオーストリアの人々を震え上がらせました。とりわけ先頭をゆくイェニチェリの軍楽隊が打ち鳴らす勇壮なリズムとメロディは、人々を恐怖と絶望のどん底につき落としました。泣く子も黙る「恐ろしいトルコ人」のイメージはこうしてヨーロッパ中に流布されたようです。 私も、向田邦子さんの「阿修羅のごとく」と言うテレビドラマは見ていて、その強烈にエキゾティックな、それでいて奇妙な音楽は印象に残っている。そうして、私もNHKBS2でイェニチェリ軍楽隊の「ジェッティン・デデ」の演奏を見て聴いた。・・・・「阿修羅のごとく」を私も見ましたが、ドラマの筋よりも「ジェッティン・デデ」のほうが、強烈な印象で記憶に残っています。たしかに軍楽隊の演奏を聴いた敵軍の兵士は恐れおののくような曲調ですね。YOUTUBEでこの演奏ジェティン・デデンを聴くと、古今の覇権戦争やら、異民族、異文化との衝突やら諸々の思いが湧いてくるようで・・・・とにかくインパクトが強いのです。印象をひとことで言えばエキゾティックでしょうか?良いも悪いもないエキゾティックです。聴きなれない曲調でなにやら恐ろしいけど、そこには他民族の驕りと誇りと、少し悲哀さえ感じられるのです。サルタンが白人傭兵を引き連れてヨーロッパから中東を蹂躙したけど、今ではアメリカの富裕な管理者たちが貧民をけしたてて、中東の最貧国を蹂躙しています。違いがあるとするなら・・・ブートキャンプで精神的にロボット化されたアメリカ軍兵士達には、戦意を高揚する軍楽など無い!ということでしょうか?この軍楽の伝統は現代のトルコ軍にも引き継がれているようだけど、クルド人には脅威を与えるのでは?ところで、この動画の最後に手榴弾を投げようとするトルコ軍兵士が登場するが、「撃ちてし止まむ」を彷彿としますね。このコピーといい洗練されたグラフィックといい秀逸であり、印象的である。だけど、youtubeのトルコ軍も「撃ちてし止まむ」もプロパガンダとしては優れものであるだけに、怖い気がするのです。
2023.05.30
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『朝日デジタルの書評から』フォームや『読みたい本』フォームを作っているのだが、これを市図書館の予約に利用しようと、思い立ったのです。これまでの予約内容と予約候補は以下のとおりです。<予約中>・和田秀樹『70歳の正解』(9/14予約、副本2、予約99)現在11位・松本修『言葉の周圏分布考』(8/15予約、副本1、予約16)現在2位・小川哲『地図と拳』(2/01予約、副本6、予約196)現在117位・ジンセイハ、オンガクデアル(2/10予約、副本1、予約15)現在11位・砂漠と異人たち(2/25予約、副本1、予約5)現在1位・『小川さゆり、宗教2世』(4/06予約、副本1、予約5)現在2位・西加奈子『くもをさがす』(5/10予約、入荷待ち)現在111位・村上龍『ユーチューバー』(5/20予約、入荷待ち)・『千葉からほとんど出ない引きこもりの俺が、一度も海外に行ったことがないままルーマニア語の小説家になった話』(5/23予約、副本1、予約26)<カートで待機中>・N・ネフスキー著『月と不死』・グレタたったひとりのストライキ・カズオ・イシグロ『夜想曲集』・沢木耕太郎『深夜特急』<予約候補>・養老孟司『形を読む』・中野翠『ほいきた、トシヨリ生活』・鴨志田譲×西原理恵子『アジアパー伝』:図書館未収蔵・『82年生まれ、キム・ジヨン』・スヴェン・ベッカート『綿の帝国』・ビル・ヘイトン『南シナ海 アジアの覇権をめぐる闘争史』・『カラハリ アフリカ最後の野生に暮らす』・ジョージ・ミーガン『世界最長の徒歩旅行』:図書館未収蔵・鈴木大介「ネット右翼になった父」・動的平衡3:あるいは購入<予約分受取:3/14以降> ・小田嶋隆『東京四次元紀行』(8/29予約、3/14受取)・デイブ・グールソン『サイレントアース』(10/01予約、3/14受取)・砂川文次『小隊』(5/11予約、4/09受取)・『おどろきのウクライナ』(12/06予約、4/25受取)・真鍋真『真鍋先生の恐竜教室』(4/29予約、5/09受取)・西加奈子『夜が明ける』(2/15予約、5/23受取)・横尾忠則『見えるものと観えないもの』(5/16予約、5/23受取)・『語学の天才まで1億光年』(10/18予約、5/28受取)**********************************************************************【70歳の正解】和田秀樹著、幻冬舎、2022年刊<商品説明>より60代では約「40人に一人」だが、80代では約「3人に一人」ーー認知症の有病率、即ちボケる人の割合だ。脳だけでなく健康も見た目も、分岐点は70歳。いつまでも若々しい人でいるか、一気に老け込むかは、60代から70代にかけての生き方で決まる。「老後にコレステロールは必須」「運動は〈走る〉より〈歩く〉」「仕事と勉強は死ぬまで」等々、老年医学の第一人者が「老いを遅らせる正解」を大公開した『老後は要領』を大幅改訂。健康で、人間関係にもお金にも追い詰められない「最高の老後30年」を送るための決定版。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(9/14予約、副本2、予約99)>rakuten70歳の正解【自民党の統一教会汚染】鈴木エイト著、小学館、2022年刊<出版社>より安倍元首相と教団、本当の関係。メディアが統一教会と政治家の関係をタブーとするなか、教団と政治家の圧力に屈せずただひとり、問題を追及しつづけてきたジャーナリストがすべてを記録した衝撃レポート、緊急刊行!<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(10/27予約、副本2、予約56)>rakuten自民党の統一教会汚染【地図と拳】小川哲著、集英社、2022年刊<「BOOK」データベース>より「君は満洲という白紙の地図に、夢を書きこむ」日本からの密偵に帯同し、通訳として満洲に渡った細川。ロシアの鉄道網拡大のために派遣された神父クラスニコフ。叔父にだまされ不毛の土地へと移住した孫悟空。地図に描かれた存在しない島を探し、海を渡った須野…。奉天の東にある“李家鎮”へと呼び寄せられた男たち。「燃える土」をめぐり、殺戮の半世紀を生きる。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(2/01予約、副本6、予約175)>rakuten地図と拳【ジンセイハ、オンガクデアル】ブレイディみかこ著、筑摩書房、2022年刊<「BOOK」データベース>より貧困層の子どもたちが集まるいわゆる「底辺託児所」保育士時代の珠玉のエッセイ。ゴシック文学的言葉を唱え人形を壊すレオ。「人生は一片のクソ」とつぶやくルーク。一言でわたしの心を蹴破ったアリス。貧窮、移民差別、DV。社会の歪みの中で育つ、破天荒で忘れがたい子どもたち。パンクスピリット溢れる初期作品。『アナキズム・イン・ザ・UK』の一部に大幅増補。映画・アルバム評、書評を収録。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(2/10予約、副本1、予約15)>rakutenジンセイハ、オンガクデアル【砂漠と異人たち】宇野常寛著、朝日新聞出版、2022年刊<「BOOK」データベース>より情報社会を支配する相互評価のゲームの(外部)を求め、「僕」は旅だった。そこで出会った村上春樹、ハンナ・アーレント、コリン・ウィルソン、吉本隆明、そしてアラビアのロレンスー。20世紀を速く、タフに走り抜けた先人たちの達成と挫折から、21世紀に望まれる、新たな主体像を模索する「批評」的冒険譚。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(2/25予約、副本1、予約5)>rakuten砂漠と異人たち【小川さゆり、宗教2世】小川さゆり著、小学館、2023年刊<「BOOK」データベース>よりなぜ彼女は「涙の告発」を決意したのか?「神の子」じゃなく私として生きたい。両親や教会からの妨害に負けず、統一教会での体験を明かす覚悟の手記。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(4/06予約、副本1、予約5)>rakuten小川さゆり、宗教2世【くもをさがす】西加奈子著、河出書房新社、2023年刊<商品説明>よりカナダで、がんになった。「私は弱い。徹底的に弱い」。でもーーあなたに、これを読んでほしいと思った。祈りと決意に満ちた著者初のノンフィクション。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(5/10予約、入荷待ち)>rakutenくもをさがす【ユーチューバー】村上龍著、幻冬舎、2023年刊<出版社>より20代半ばにしてデビューをした作家・矢崎健介、70歳になった。「世界一もてない男」を自称するユーチューバーが、矢崎をユーチューブに誘う。承諾した矢崎が語り出したのは、自由である人間について。自由な人間は滅多にいないのだと言った。自由であるということは、唯一の希望を生む。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(5/20予約、入荷待ち)>rakutenユーチューバー【千葉からほとんど出ない引きこもりの俺が、一度も海外に行ったことがないままルーマニア語の小説家になった話】済東鉄腸著、左右社、2023年刊<「BOOK」データベース>より日本どころか千葉の実家の子供部屋からもほとんど出ない引きこもりの映画オタクの下に差し込んだ一筋の光、それはルーマニア語ールーマニア人3000人に友達リクエストをしてルーマニアメタバースを作り猛勉強、現地の文芸誌に短編小説を送りつけ、『BLEACH』の詩へのリスペクトと辞書への愛憎を抱きながらルーマニア語詩に挑戦する。受験コンプレックス、鬱、クローン病。八方塞がりの苦しみから、ルーマニア語が救ってくれた。暑苦しくって切実で、好奇心みなぎるノンフィクションエッセイ。千葉の片隅から、魂の故郷・ルーマニアへの愛を叫ぶー。本、映画、音楽…ルーマニアックのための巻末資料も収録!<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(5/23予約、副本1、予約26)>rakuten千葉からほとんど出ない引きこもりの俺が、一度も海外に行ったことがないままルーマニア語の小説家になった話【月と不死】N・ネフスキー著、平凡社、1971年刊<出版社>より著者は日本民俗学界の異色の存在として知られるロシア人学者で,柳田国男,折口信夫らと親交を結び,沖縄,東北などの民俗を採録した。本書は日本語で発表された論文・書簡を網羅した唯一の著作集。<読む前の大使寸評>ロシア人にして、日本民俗学界の異色の存在が気になるのです。<図書館予約:(とりあえずカートに入れておこう)>heibonsha月と不死図書館予約の運用にも慣れて、速攻で入手するコツも何となくつかんだと思うのだ♪・朝日書評欄で探すとしたら、3ヶ月前掲載くらいのモノが狙い目かも。・専門的すぎるほどのモノは、予約0となっていることが多い。・受取館に収蔵しているモノは、移送する手間が省けるので早くなるだろう。・本屋の店頭に出た直後の新刊本・ウィキペディアでめぼしい著作を探す・神戸市図書館の予約順位は毎週火曜日(午前1時~3時) に更新されます。・Kindle版を購入すれば、その本の全て読めるのだが、紙の本から書き写す手間が好きなわけでおます。予約分受取目録R26好書好日トップ図書館情報ネットワーク 蔵書検索
2023.05.29
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図書館で『タイワニーズ』という本を、手にしたのです。温又柔、余貴美子、陳舜臣、蓮舫など、この本が取り上げている在日台湾人がええわけです。【タイワニーズ】野嶋剛著、小学館、2018年刊<「BOOK」データベース>より日本は台湾を二度も捨てた。それでも彼らがいたから、強く、深くつながり続けた。在日台湾人のファミリーヒストリー。<読む前の大使寸評>温又柔、余貴美子、陳舜臣、蓮舫など、この本が取り上げている在日台湾人がええわけです。rakutenタイワニーズ温又柔は以前から気になる作家であったが、そのエッジはいかにして鋭いのか、見てみましょう。p118~122<おかっぱの喧嘩上等娘、排除と同化に抗する温又柔> 名前も外見も穏やかそうに見えるが、いつでも「戦闘モード」にスイッチが入る。話していても、反応の一つひとつに、妙な鋭さと、緊張感が、匂ってくる。 台湾出身の「ニホン」語作家・温又柔。 日本語では「おんゆうじゅう」。本人いわく「おまんじゅうに似た響き」。中国語では「うぇんようろう」となる。こちらも可愛い響きだ。しかも、中国語の「温柔」は「優しい」を意味する。「キラキラネームみたいです」。これも本人の弁だ。 彼女との出会いは、2012年だったと思う。台湾文学関係のイベントでゲストとして同席したときのことだった。温又柔は『来福の家』を発表した作家として、私は台湾社会や歴史に詳しいジャーナリストとして、ともに登壇した。 おかっぱの小さな女の子がいて、人当たりも丁寧だな、という印象しかなく、彼女の根っこにある文学的闘争のエネルギーに気づくことはなかった。 しばらくしてから、温又柔のエッセイ『台湾生まれ 日本語育ち』を手に取った。中国語の言語環境における表現の「揺らぎ」をテーマに、言葉と人間の関係に深く切り込んだ文章に、いままでにない独特な視座を感じた。 温又柔は過程で使われていた「日本語」「中国語(北京語)」「台湾語」の3言語の世界で、複数言語を行き来することを楽しむセンスを自然に体得しており、なかでもリズミカルで楽しげに聞こえる台湾語の音を巧みに文章化していた。 台湾、香港、アモイ、シンガポールといった、北京語、福建語、広東語などが入り乱れた複雑な中国語環境でそれなりに長い生活歴のある私が、実は長年書きたいと思っていた話を「先にやられてしまった」といういささかの悔しさもあった。 この本とは別のところに温又柔が寄せたエッセイには、こんなくだりがある。〈日本語では、タイワンと尻下がりのイントネーションで発音するのがふつうだろう。タイワンの『ワン』を、ワーンと平らに伸ばして長めに発音すると、途端に中国語っぽくなる。『タ』を少々濁らせて『ダイ』と『ワン』をそれぞれ低く抑え込みながら言えば、もう立派な台湾語〉(「音の彼方へ」/「すばる」2012年8月号) これは、台湾や香港、あるいは海外華僑・華人などが使う「辺境の中国語」に触れるチャンスがないと分かりにくい世界だ。そして、中国語世界から離れて生きている人にとってはまったくどうでもいいことかもしれない。 しかし、台湾とそれなりに近いところで生きている私のような人間にとっては、けっこう切実で、身近で、楽しい問題である。 台湾という、ともすれば重苦しい論述になってしまいがちなテーマで、こうした微妙なところを、さらりとエッセイにできる作家の登場に私は身震いするところがあった。『台湾生まれ 日本語育ち』はのちに日本エッセイスト・クラブ賞が与えられた。<怒りこそ創作を生む> 温又柔のエッセイを読んでいてわかったもう一つのことは、この作家の表面的なイメージに、やすやすと騙されてはいけない、ということだ。 小学生の頃から基本変えたことがないというキノコのようなおかっぱの髪型。 どうしても警戒心を解いてしまいがちだが、実際のところ、彼女は、優しさの対極にある「怒り」をエネルギーを創作に向かう。『台湾生まれ 日本語育ち』を読んでいて、そのことに気付かされた。 その「怒り」の根源にあるものと、向けられる対象を考えることが、私にとっての温又柔理解のアプローチとなった。 温又柔には怒りを向ける相手を常に探している「意地の悪さ」がある。それは、自分の文学が「敵」とするものがわかっているからだ。 インタビューで本人にその点をただしてみると、嬉しそうに「そこを見てくださって、ありがとうございます」と、満面の笑みをもらった。 人畜無害な外見と地雷つきの文学。この落差が温又柔の持ち味である。 温又柔の家庭にはそれほど複雑な要素がない。両親は、温又柔いわく「ばりばりの本省人。職人だった祖父は国民党が大嫌いで、台湾社会ではマジョリティの人々です」。 父は、知人や家族と電子部品関係の会社を立ち上げ、日本での仕事を受け持つことになり、温又柔が3歳のときに日本に渡った。両親とも日本語能力はないに等しかったが、台湾の人たちは、それでも日本に気軽にやってくる。日本と台湾の距離は、特に台湾の人たちにとって、日本人が想像するよりはるかに近い。 やがて廉価な労働力から会社の生産拠点を置くようになった中国にも父は長期出張を重ねるようになる。これも台湾人家庭の一つの典型でもある。 幼い頃は自然に中国語と台湾語を使いこなした。家庭では、中国語と台湾語が混ざったうえに、日本語が重なる言語環境で育った。温又柔にとっては母語という感覚はあいまいだ。人生のなかで、最初になじんだのは中国語と台湾語だった。 しかし日本で暮らすにつれ、次第に日本語が頭の中に「侵入」を始めた。中国語や台湾語は、ますます台湾人らしくなくなり、日本語が「言語」の中心にどっかと座るようになった。楽に話せるのは日本語になり、文章も日本語で書く。 中学3年で選んだ進学先の高校は中国語が学べる新設校。そこで使ったテキストは簡体字という中国大陸で使用される文字だった。台湾の繁体字という旧字体ではなかった。母親は温又柔のテキストを読むことすらできなかった。 温又柔にとって、しばらく離れていた中国語世界との再会であり、同時に、最初の中国語世界との「ずれ」との出会いでもあった。 以前に読んだ『台湾生まれ 日本語育ち』という作品を紹介します。【台湾生まれ 日本語育ち】温又柔著、白水社、2016年刊<「BOOK」データベース>より3歳から東京に住む台湾人作家が、台湾語・中国語・日本語、三つの母語の狭間で揺れ、惑いながら、自身のルーツを探った4年の歩み。<読む前の大使寸評>著者の母語体験や台湾語と中国語の違いが語られているそうで・・・興味深いのです。<図書館予約:(9/22予約、10/19受取)>rakuten台湾生まれ 日本語育ち『台湾生まれ 日本語育ち』1:わたしのニホン語事始め
2023.05.13
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『朝日デジタルの書評から』フォームや『読みたい本』フォームを作っているのだが、これを市図書館の予約に利用しようと、思い立ったのです。これまでの予約内容と予約候補は以下のとおりです。<予約中>・西加奈子『夜が明ける』(2/15予約、副本16、予約531)現在18位・松本修『言葉の周圏分布考』(8/15予約、副本1、予約16)現在3位・和田秀樹『70歳の正解』(9/14予約、副本2、予約99)現在17位・『語学の天才まで1億光年』(10/18予約、副本2、予約65)現在9位・鈴木エイト『自民党の統一教会汚染』(10/27予約、副本2、予約56)現在13位・小川哲『地図と拳』(2/01予約、副本6、予約196)現在127位・ジンセイハ、オンガクデアル(2/10予約、副本1、予約15)現在11位・砂漠と異人たち(2/25予約、副本1、予約5)現在1位・『小川さゆり、宗教2世』(4/06予約、副本1、予約5)現在3位・真鍋真『真鍋先生の恐竜教室』(4/29予約、副本7、予約2)現在1位 <カートで待機中>・N・ネフスキー著『月と不死』・グレタたったひとりのストライキ・カズオ・イシグロ『夜想曲集』・沢木耕太郎『深夜特急』<予約候補>・養老孟司『形を読む』・中野翠『ほいきた、トシヨリ生活』・鴨志田譲×西原理恵子『アジアパー伝』:図書館未収蔵・『82年生まれ、キム・ジヨン』・スヴェン・ベッカート『綿の帝国』・西加奈子『くもをさがす』:図書館未収蔵・藻谷浩介『進化する里山資本主義』・『カラハリ アフリカ最後の野生に暮らす』・ジョージ・ミーガン『世界最長の徒歩旅行』:図書館未収蔵・スマラサーラ『怒らないこと』・横尾忠則「見えるものと観えないもの」・鈴木大介「ネット右翼になった父」・小林快次「恐竜は滅んでいない」・動的平衡3:あるいは購入・千葉からほとんど出ない引きこもりの俺が、一度も海外に行ったことがないままルーマニア語の小説家になった話<予約分受取:2/21以降> ・温又柔『李良枝セレクション』(12/01予約、2/21受取)・酒井隆史『ブルシット・ジョブの謎』(5/02予約、2/25受取)・『潜入ルポ アマゾン帝国の闇』(10/14予約、2/25受取)・『ウクライナ戦記 不肖・宮嶋 最後の戦場』(10/09予約、3/07受取)・多和田葉子『太陽諸島』(11/21予約、3/07受取)・小田嶋隆『東京四次元紀行』(8/29予約、3/14受取)・デイブ・グールソン『サイレントアース』(10/01予約、3/14受取)・砂川文次『小隊』(5/11予約、4/09受取)・『おどろきのウクライナ』(12/06予約、4/25受取)**********************************************************************【夜が明ける】西加奈子著、新潮社、2021年刊<「BOOK」データベース>より思春期から33歳になるまでの男同士の友情と成長、そして変わりゆく日々を生きる奇跡。まだ光は見えない。それでも僕たちは、夜明けを求めて歩き出す。現代日本に確実に存在する貧困、虐待、過重労働ー。「当事者でもない自分が、書いていいのか、作品にしていいのか」という葛藤を抱えながら、社会の一員として、作家のエゴとして、全力で書き尽くした渾身の作品。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(2/15予約、副本16、予約531)>rakuten夜が明ける【70歳の正解】和田秀樹著、幻冬舎、2022年刊<商品説明>より60代では約「40人に一人」だが、80代では約「3人に一人」ーー認知症の有病率、即ちボケる人の割合だ。脳だけでなく健康も見た目も、分岐点は70歳。いつまでも若々しい人でいるか、一気に老け込むかは、60代から70代にかけての生き方で決まる。「老後にコレステロールは必須」「運動は〈走る〉より〈歩く〉」「仕事と勉強は死ぬまで」等々、老年医学の第一人者が「老いを遅らせる正解」を大公開した『老後は要領』を大幅改訂。健康で、人間関係にもお金にも追い詰められない「最高の老後30年」を送るための決定版。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(9/14予約、副本2、予約99)>rakuten70歳の正解【語学の天才まで1億光年】高野秀行著、集英社インターナショナル、2022年刊<出版社>より語学は魔法の剣!学んだ言語は25以上!の辺境ノンフィクション作家による、超ド級・語学青春記。自身の「言語体験」に基づき、「言語」を深く楽しく考察。自動翻訳時代の語学の意味を問う。さらにネイティヴに習う、テキストを自作するなどユニークな学習法も披露。語学上達のためのヒントが満載。そしてコンゴの怪獣やアマゾンの幻覚剤探し、アヘン栽培体験などの仰天エピソードにおける語学についても語られる。『幻獣ムベンベを追え』から『アヘン王国潜入記』まで、高野作品の舞台裏も次々と登場。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(10/18予約、副本2、予約65)>rakuten語学の天才まで1億光年【自民党の統一教会汚染】鈴木エイト著、小学館、2022年刊<出版社>より安倍元首相と教団、本当の関係。メディアが統一教会と政治家の関係をタブーとするなか、教団と政治家の圧力に屈せずただひとり、問題を追及しつづけてきたジャーナリストがすべてを記録した衝撃レポート、緊急刊行!<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(10/27予約、副本2、予約56)>rakuten自民党の統一教会汚染【地図と拳】小川哲著、集英社、2022年刊<「BOOK」データベース>より「君は満洲という白紙の地図に、夢を書きこむ」日本からの密偵に帯同し、通訳として満洲に渡った細川。ロシアの鉄道網拡大のために派遣された神父クラスニコフ。叔父にだまされ不毛の土地へと移住した孫悟空。地図に描かれた存在しない島を探し、海を渡った須野…。奉天の東にある“李家鎮”へと呼び寄せられた男たち。「燃える土」をめぐり、殺戮の半世紀を生きる。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(2/01予約、副本6、予約175)>rakuten地図と拳【ジンセイハ、オンガクデアル】ブレイディみかこ著、筑摩書房、2022年刊<「BOOK」データベース>より貧困層の子どもたちが集まるいわゆる「底辺託児所」保育士時代の珠玉のエッセイ。ゴシック文学的言葉を唱え人形を壊すレオ。「人生は一片のクソ」とつぶやくルーク。一言でわたしの心を蹴破ったアリス。貧窮、移民差別、DV。社会の歪みの中で育つ、破天荒で忘れがたい子どもたち。パンクスピリット溢れる初期作品。『アナキズム・イン・ザ・UK』の一部に大幅増補。映画・アルバム評、書評を収録。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(2/10予約、副本1、予約15)>rakutenジンセイハ、オンガクデアル【砂漠と異人たち】宇野常寛著、朝日新聞出版、2022年刊<「BOOK」データベース>より情報社会を支配する相互評価のゲームの(外部)を求め、「僕」は旅だった。そこで出会った村上春樹、ハンナ・アーレント、コリン・ウィルソン、吉本隆明、そしてアラビアのロレンスー。20世紀を速く、タフに走り抜けた先人たちの達成と挫折から、21世紀に望まれる、新たな主体像を模索する「批評」的冒険譚。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(2/25予約、副本1、予約5)>rakuten砂漠と異人たち【小川さゆり、宗教2世】小川さゆり著、小学館、2023年刊<「BOOK」データベース>よりなぜ彼女は「涙の告発」を決意したのか?「神の子」じゃなく私として生きたい。両親や教会からの妨害に負けず、統一教会での体験を明かす覚悟の手記。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(4/06予約、副本1、予約5)>rakuten小川さゆり、宗教2世【月と不死】N・ネフスキー著、平凡社、1971年刊<出版社>より著者は日本民俗学界の異色の存在として知られるロシア人学者で,柳田国男,折口信夫らと親交を結び,沖縄,東北などの民俗を採録した。本書は日本語で発表された論文・書簡を網羅した唯一の著作集。<読む前の大使寸評>ロシア人にして、日本民俗学界の異色の存在が気になるのです。<図書館予約:(とりあえずカートに入れておこう)>heibonsha月と不死図書館予約の運用にも慣れて、速攻で入手するコツも何となくつかんだと思うのだ♪・朝日書評欄で探すとしたら、3ヶ月前掲載くらいのモノが狙い目かも。・専門的すぎるほどのモノは、予約0となっていることが多い。・受取館に収蔵しているモノは、移送する手間が省けるので早くなるだろう。・本屋の店頭に出た直後の新刊本・ウィキペディアでめぼしい著作を探す・神戸市図書館の予約順位は毎週火曜日(午前1時~3時) に更新されます。・Kindle版を購入すれば、その本の全て読めるのだが、紙の本から書き写す手間が好きなわけでおます。予約分受取目録R26好書好日トップ図書館情報ネットワーク 蔵書検索
2023.05.06
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ルイス・キャロルの「アリス・イン・ワンダーランド」に惹かれているが、それはひとえに、そこに描かれた挿絵が素晴らしいからなのです♪・・・・ということで、その挿絵を復刻してみます。*********************************************************図書館で『ルイス・キャロル小辞典』という本を、手にしたのです。おお 「不思議の国のアリス」を著わしたルイス・キャロルではないか・・・「アリス・イン・ワンダーランド」はただいま大使のミニブームなので、この本を借りた次第でおます。【ルイス・キャロル小辞典】定松正編、研究社出版、1994年刊<「BOOK」データベース>より世界的名作となった二つの「アリス」の著者、論理と言語をあやつるノンセンス文学の先駆ルイス・キャロルの総合ガイドブック。<読む前の大使寸評>おお 「不思議の国のアリス」を著わしたルイス・キャロルではないか・・・「アリス・イン・ワンダーランド」はただいま大使のミニブームなので、この本を借りた次第でおます。amazonルイス・キャロル小辞典4章「キャロル文学と挿絵」で挿絵そのものについて、見てみましょう。p89~90<文学作品の挿絵> 19世紀までの文学作品で、挿絵がついて出版された本はきわめてまれであった。今日では、挿絵のない『ロビンソー・クルーソー』や『ガリヴァー旅行記』など想像すらできない。だが、双方とも初版には肖像画と地図が数葉あるのみで、挿絵がつくのは数版を重ねてからである。つまり、一定の購読者を得てはじめて挿絵が加えられたのである。 印刷技術の機械化、教育の普及による識字率の上昇などによって、19世紀の出版界は活況を呈し、挿絵の流布を阻んでいた経済的な障壁もとれるようになった。『不思議の国のアリス』と『鏡の国のアリス』が出版されたヴィクトリア朝中期は挿絵入りの出版物がこれまでにないほどあふれるようになる。 『ペニー・マガジン』、『パンチ』、『イラストレイティッド・ロンドン・ニューズ』などに代表されるジャーナリズムにあっても、挿絵が本文と並んで重要視されるようになる。「会話も絵もない本なんて、いったい何の役に立つの?」というアリスの断定的な口調は、こうした背景を文脈にしていたのであった。 ジョージ・クルックシャンク、リチャード・ドイル、ジョン・リーチ、G・デュ・モーリエ、オーブレ・ビアズリーなど、卓越したイラストレーターが輩出し、ジョン・テニエルの挿絵がほどこされた『アリス』物語も、挿絵文化の潮流のまっただなかに位置していたわけである。そして、挿絵は本文をただ単に説明するだけの飾りものではなく、むしろ啓発するようになっていたのである。 ジョン・テニエル以後も、キャロルの作品群は多くの画家たちの想像力を借りたててやまなかったようだ。アール・ヌーヴォー、アール・デコ、シュールレアリスム、ポップ調といった絵画史上の変遷そのものが挿絵に集約され、変奏され続けてきたと言ってよい。『アリス』物語だけに限っても、チャールズ・ロビンソン(1907年版)、アーサー・ラッカム(1907年版)、ウィリー・ポガニー(1929年版)、マーヴィング・ピーク(1954年版)、サルヴァドール・ダリ(1969年版)、マックス・エルンスト(1970年版)・・・、とたちまちのうちに列挙できよう。 挿絵は本文の解釈として、それぞれ意義がある。ただ文学作品の場合、初版の挿絵ほど重要なものはない。作者が挿絵画家に作品の内容を説明し、意味を解釈しているからである。画家を指揮下に置き、内なるヴィジョンを忠実に写そうとしたキャロルの挿絵は、本文に劣らず意味を生み出してくる。「わからないときは挿絵を見てください」というような言葉まで飛び出してくるのだから。えっ ダリやエルンストまでが、『アリス』物語の挿絵を描いているのか・・・探してみよう。『ルイス・キャロル小辞典』2『ルイス・キャロル小辞典』1
2023.05.05
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図書館で『宇宙への旅』という大型本を、手にしたのです。カラー画像満載で、記事内容も充実しているのでチョイスしたわけですが・・・BBC科学ドキュメンタリー番組から翻訳しただけに、とにかくアカデミックです。【宇宙への旅】ブライアン・コックス著、創元社、2013年刊<「BOOK」データベース>より宇宙誕生から137億年。今、時空をめぐる発見と興奮の旅が始まる。イギリスBBCの科学ドキュメンタリー番組「Wonders of The Universe」を完全書籍化。ナビゲーターのブライアン・コックスが古代遺跡を訪れ、化石を探し、無重力を体験しながら、宇宙の不思議へと迫る壮大なロマンティック・サイエンス・ストーリー。<読む前の大使寸評>カラー画像満載で、記事内容も充実しているのでチョイスしたわけですが・・・BBC科学ドキュメンタリー番組から翻訳しただけに、とにかくアカデミックのようです。rakuten宇宙への旅星の誕生から爆発までが語られているので、見てみましょう。p84~85<星のゆりかご> 私たちの頭上では、生と死の物語が壮大に繰り広げられている。その物語が始まる場所は、新しい恒星がはじかれたように誕生する巨大な星のゆりかご。恒星が形成されるこの肥沃な場所は星雲と呼ばれ、夜空で見られる最も美しい構造物の一つだ。そんな場所の一つ、オリオン大星雲(写真)は、おそらく最も研究が進んでいる天体だろう。 この星雲は通常、ニコラ=クロード・ファブリ・ド・ペーレスクが19610年に発見したとされているが、マヤの人々も、オリオンのベルトの下にぼんやりした“にじみ”があることを知っていたという証拠が民話に残っている。この星雲は、よく晴れた非常に暗い夜空の下でなら、肉眼でも見ることができる。星の誕生物語にまつわる多くのことを私たちに教えてくれたのも、このオリオン大星雲の、複雑かつ常に変化し続ける構造だった。 オメガ星雲(馬蹄形星雲または白鳥星雲とも呼ばれる)は巨大な星間雲で、15光年分の幅があり、多数の若く明るい恒星に照らされている。このような恒星は、その質量に応じて数億年から数千億年燃え続け、絶え間なく宇宙に光を放ち続ける。そしてついに中心核の中の水素を使い果たすと、拡張を余儀なくされて、巨星へと変貌する。 いよいよ命の終りに近づくと、最も大きな恒星は巨星に変わる。例えば、赤色巨星のミラがその例だ。ミラの直径は太陽の400倍もあり、その終焉は間近に迫っている。このような恒星の最後がついに訪れ、超新星爆発が起こったあとに残るのは、かつてあった恒星のほんのわずかな形跡だけだ。最大級の巨星の場合、超新星爆発のあとにはブラックホールが残される。ブラックホールの密度はきわめて高いため、光さえそこから抜け出すことはできない。 それよりいくらか小さい恒星は、超新星爆発のあと、中性子星になる。中性子星の存在は、数秒間に一回あるいはそれ以上の超高速で自転しながら灯台の光のように放たれる電波の観測により検出される。 ミラよりずっと小型の恒星は、命の最後を爆発で終わらせることはない。このような比較的低温の恒星は赤色矮星と呼ばれ、私たちの銀河系では最もよく見られるタイプだ。おそらく研究されているなかで最も有名な赤色矮星は、グリーゼ581だろう。地球からほんの20光年と少ししか離れていないこの恒星には、すくなくとも6個の太陽系外惑星があることが発見されたため、近年、非常に熱心に観察されている。***********************************************************<オリオン大星雲> オリオン大星雲はおそらく最もよく研究されてきた天体で、夜空に浮かぶ最も美しい構造物の1つでもある。アメリカ航空宇宙局(NASA)のハッブル宇宙望遠鏡は、2004年10月から2005年4月にかけ、地球の軌道を回りながら100回以上にわたってこの大星雲のイメージをとらえた。それらは史上有数の最も詳細な天体写真だ。3000個以上の大小さまざまな恒星を含むこの壮大な構造物は、よく晴れた暗い夜であれば、肉眼でも見ることができる。 『宇宙への旅』2:光を感知する古代生物 『宇宙への旅』1:ハッブル宇宙望遠鏡
2023.03.29
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朝日新聞Globeの「ドイツ発ハチのための自動販売機」という記事がええのでスクラップしたのだが、ネットでも以下のとおり紹介します。(アナログ老人には、紙の記録をネットでも残す性癖がありまんねん) ドイツ発ハチのための自動販売機より日本で昆虫食の自動販売機が話題になっている。ドイツでも「ハチの自販機」が注目を浴びているという。ただし、人が食べるためではなく、ハチに食べさせるための自販機らしい。いったいどういうことだろう。現地を訪ねた。<50セント投入 カプセル内には草花の種>ドイツ西部に位置するドルトムント。郊外の静かな住宅街に、それはあった。商店の外壁に設置された黄色地でカラフルな自販機。正面には、かわいらしいハチと花々が描かれていて、「ハチのごはん自販機」とある。「2019年秋に造った1号機です。50セント硬貨を入れてみて」と、実業家のセバスチャン・エバーディングさん(40)。硬貨を入れてハンドルを回すと、コロンコロンと音がした。取り出し口を開けると、親指の先ほどの大きさのカプセルが転がっている。カプセルに入っていたのは、たくさんの植物の種だ。「家に持って帰って、庭やベランダにまくんだ。やがて草花が育ち、ハチがやって来るというわけ」自販機の隣には、種をまいた後のカプセルを返却する箱がある。「回収したらきれいに洗浄して、また種を入れて使ってもらえるようにしている」<チューインガムのガチャガチャをアップサイクル>機械はもともと、子ども向けにチューインガムやおもちゃを売るガチャガチャだった。エバーディングさんはそれらを修理して、新たな用途に使えるように「アップサイクル」している。遊び心をうまくくすぐるこのアイデア、エバーディングさんによれば、もともとは有名コメディアンがガチャガチャを利用して「ジョークの自販機」を造ったのが始まりだった。カプセルの中にジョークを書いた紙を入れて、買った人に笑ってもらう仕掛けだ。そのアイデアをエバーディングさんはいたく気に入り、コメディアンに連絡。自分もすぐに造ってみた。秀逸なジャーマンジョークもひねりだした。自宅の前に設置したところ、なかなか好評で、時折聞こえてくる笑い声に満足もしていた。ただ、当時のパートナーの女性にこう言われたという。「次はもっと人のためになるものを造ったら良いね」そうは言っても、手間のかかる作業だ。自販機の多くは風雨にさらされているし、時には心ない人に壊されていることもある。通貨ユーロの導入前の古い自販機は、投入口も取り換えなければならない。自販機を覆う鉄のカバーを磨いたり、塗装したりする工程は外注しているが、自販機そのものを修理したり、ステッカーを貼ったりするのは全てエバーディングさんの手作業。1台修理するのに2~5時間かかるという。設置する人は自販機を買い、カプセルを入れる。中の種はエバーディングさんに賛同するドイツ西部フランクフルトの会社が補充し、設置した人に送る仕組みだ。<農作物の花粉を媒介するハチ 生息地は減少>なぜハチなのか。ドイツが児童文学「みつばちマーヤの冒険」で知られているから?エバーディングさんは「最初みんなそれを連想するんだけど、僕の自販機はむしろ野生のハチのためなんだ。ミツバチは養蜂家が大切にしているけど、野生のハチのことはほとんどの人が気にしない。生息地はどんどん少なくなっている」。野生動物が好きで、保護団体でボランティア活動をした経験もあるという。国連食糧農業機関によれば、花粉を媒介するハチや鳥の働きは、農作物生産の4割近くに影響を与え、果実や種子として栽培される作物の75%がハチの恩恵を受けている。国連は、近代養蜂のパイオニア、スロベニアのアントン・ヤンシャの誕生日にちなみ、5月20日を「世界ミツバチの日」としている。ハチの生息地を生み出すこの自販機、エバーディングさんがこつこつと始めただけだったが、わずか3年半でドイツ全土に広がり、現在稼働中のものが約300台もある。一つのカプセルで1~2平方メートルの植栽ができると仮定すると、これまでに100万平方メートル以上になる計算という。
2023.03.27
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図書館で『日本がウクライナになる日』という本を、手にしたのです。著者は外務省に入省後、ソ連、ロシアに4度も駐在したことで・・・そんなディープスロートが語るプーチンが興味深いではないか。【日本がウクライナになる日】河東哲夫著、CCCメディアハウス、2022年刊<「BOOK」データベース>より文明国同士ではあり得ないと思っていた戦争が起きた。起きてみれば、いとも簡単だった。自由と平和を守るために知っておきたいこと。【目次】第1章 戦争で見えたことープーチン独裁が引き起こす誤算/第2章 どうしてこんな戦争に?-ウクライナとは、何があったのか/第3章 プーチンの決断ーなぜウクライナを襲ったのか/第4章 ロシアは頭じゃわからないー改革不能の経済と社会/第5章 戦争で世界はどうなる?-国際関係のバランスが変わる時/第6章 日本をウクライナにしないためにーこれからの日本の安全保障体制<読む前の大使寸評>著者は外務省に入省後、ソ連、ロシアに4度も駐在したことで・・・そんなディープスロートが語るプーチンが興味深いではないか。rakuten日本がウクライナになる日「第四章 ロシアは頭じゃわからない」で、ロシアの悲劇が語られているので、見てみましょう。p65~70<ロシアの悲劇―改革不能の国> ロシアのウクライナ軍事進攻。このグローバリゼーションの時代、ロシアはなぜそのような時代遅れのやり方で、自分の縄張りを作ろうとするのか? ロシアが魅力ある経済・社会を築いていれば、ウクライナの方からロシアに寄っていくだろう。 今から約160年前、外交官で詩人だったフョードル・チュッチェフは書いた。「ロシアは頭じゃわからない。普通の物差しじゃ測れない」と。ロシアが魅力ある経済・社会をこれから築けるのかどうか、一つ歴史の物刺しと人の心で測ってみよう。ロシアの経済や社会については拙著『ロシア皆伝』(イースト・プレス)にも詳しく書いたので、参考にしていただきたい。 僕は大学時代をマルクス主義学生運動全盛の1960年代後半に過ごしたから、社会主義・計画経済というものに関心を持ち、卒業レポートもそのテーマにした。ハーバードではソ連経済研究の大御所エイブラム・バーグソン教授のゼミにもいた。その後は外交官として、全盛期のソ連、ゴルバチョフが登場した時のソ連、ソ連崩壊とロシアの誕生、1990年代前半の経済崩壊とハイパー・インフレ、そこからのデフォルトとプーチンの台頭と、移り変わるロシア社会を横で見てきた。 外務省を辞めてからは、最近まで十年以上、ほぼ毎年モスクワ大学のビジネス・スクールで集中講義をやって、ビジネス専攻の学生たちの脈にふれてきた。その間ずっと、「社会主義は成り立つのか?」「ロシアは市場経済化できるのか?」という問題意識を抱えて。 格差が広がっている今の日本では、「分配」を求める声が強くなっている。「ソ連で失敗した計画経済は、膨大な生産力、世界一の計算能力を誇るスパコンを持つ日本でなら実現できるのではないか。政府が経済を計画し、ソ連よりもっと公平な分配を実現できるのではないか」そんな声も聞かれる。 しかし、このことをもう50年考え、実際のロシアを見てきた僕に言わせれば、こうだ。 ―それはおそらく無理だ。そんなことをしたら、日本経済は競争力を失い縮んでいくから、皆の取り分も縮小する。(中略) ロシアは多分、これからじり貧になる。なぜそう言えるのか、それをここでは論じることにする。<ルネッサンスと宗教改革=「近代化」の不在> ロシア人はよく、仲間内で論争する。自分たちはヨーロッパ人なのか、あるいはアジア人なのか、と。大体“リベラルで裕福なエリート、インテリ”は、一にも二にもヨーロッパに組し、アジアを上から目線で見る。ロシアがうまくいかない理由を、「昔モンゴルに支配されアジア的奴隷根性を植えつけられた“ロシアの大衆”」になすりつけるのである。 その一般大衆は、自分たちをアジア人だとはもちろん思っていない。彼らは彼らである。ロシア人であり、ろしあ正教の習俗(と言っても、その中には原始宗教時代の習俗が色濃く残っている)に従う人たちなのだ。根底には、中東のバザール商人のぶったくり、ビザンチン帝国の専制主義、モンゴルが叩きこみロシアの貴族が受け継いだむき出しの力の支配、こういったものがごった煮となっている。 かつてロシアに、ドイツの中世商業都市と同じような民主政の芽はあった。が、それは13世紀のモンゴル侵入でつぶされた。だから、14世紀に始まったルネッサンス、そして16世紀の宗教改革の波とは無縁に過ごすこととなった。この二つは、教会より人間を前面に出すことで、経済、科学を活性化し、18世紀西欧の産業革命を導いた。 逆にロシアは、17世紀には農奴制を強化して、自国民を搾取する逼塞した社会を作り上げた。農奴制が廃止されるのは1861年。近代化を開始したのは、日本の明治維新とさして変わらない、ついこの前のこと。ヨーロッパやアメリカでのような自由、民主主義、権利意識、勤労精神は根づいていない。 それでも19世紀末から20世紀初頭のロシアは、鉄道建設ブームなどで経済が発展した。しかし同時期のアメリカが、ヨーロッパから千五百万人もの移住者(自分の貯金を持ってきた)を得て急成長を実現したのには及ばなかった。『日本がウクライナになる日』2:ウクライナ侵略の理由『日本がウクライナになる日』1:異常なプーチン
2023.03.24
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図書館で『日本がウクライナになる日』という本を、手にしたのです。著者は外務省に入省後、ソ連、ロシアに4度も駐在したことで・・・そんなディープスロートが語るプーチンが興味深いではないか。【日本がウクライナになる日】河東哲夫著、CCCメディアハウス、2022年刊<「BOOK」データベース>より文明国同士ではあり得ないと思っていた戦争が起きた。起きてみれば、いとも簡単だった。自由と平和を守るために知っておきたいこと。【目次】第1章 戦争で見えたことープーチン独裁が引き起こす誤算/第2章 どうしてこんな戦争に?-ウクライナとは、何があったのか/第3章 プーチンの決断ーなぜウクライナを襲ったのか/第4章 ロシアは頭じゃわからないー改革不能の経済と社会/第5章 戦争で世界はどうなる?-国際関係のバランスが変わる時/第6章 日本をウクライナにしないためにーこれからの日本の安全保障体制<読む前の大使寸評>著者は外務省に入省後、ソ連、ロシアに4度も駐在したことで・・・そんなディープスロートが語るプーチンが興味深いではないか。rakuten日本がウクライナになる日「第三章 プーチンの決断」で、ウクライナ侵略の理由が語られているので、見てみましょう。p56~58<日本にとっての満州は、プーチンにとっての東ウクライナ> 戦争でやり過ぎると、後でろくなことにならない。日露戦争で南満州の利権を手に入れた日本は、それを守るために満州国設立にまで突き進み、アメリカから石油禁輸の制裁を食らう。その結果、「今やらねばじり貧で」ということで、真珠湾を襲ったのだ。 この構図、ロシアによるクリミア併合以後の展開とよく似ている。どういうことなのかと言うと・・・。 2014年3月、クリミアを首尾よく併合したロシア軍(と言うより、海兵隊と軍内部の情報部GRU所管の特殊部隊)を高く評価した前出のドキュメンタリーには、「これが我々ロシア人にできることかと思った」というプーチンの言葉があったと書いた。 これでGRUは図に乗った。ロシアに接しロシア語人口も多い東ウクライナ、つまりドネツ、ルガンスク、ハリコフ三州に手を伸ばす。地元親露勢力を武装させて州長などを占拠させ、ロシアから義勇兵を送り込んで制圧する。そういう一手に出たのだ。 ハリコフは極右勢力が死守したので、親露勢力はドネツ、ルガンスク両州の一部を手中に収めるだけで事態は収束した。その地はただし、石炭、鉄鋼生産の中心地である。 ウクライナの歴史は複雑だから、東ウクライナにはロシア語を主言語とする人口が多い。しかしその中には、ロシアでの領主の圧政から逃れて「コサック」になった者の子孫もいる。だから、ロシア語をふだん使っているから、ロシアが好き、ということにはならない。 2019年8月、ベルリンのCenter for Èast Èuropean and International Studies(ZOiS)が、ドネツ、ルガンスク両州住民の意識を電話で調査した。キエフ政府が支配する地域と親露派が支配する地域で千二百名ずつに対して行った。すると、キエフ政府が支配する地域でさえ、自分たちをウクライナ人だと意識する者は26.1%のみで、2016年の53.2%からは大きく後退していた。キエフ支配地区の住民は全般に疲れていて、ウクライナでもロシアでもどっちでもいい、という感じ。 一方で、親露派が支配する地域では、ロシアへの併合を望む者は18.3%しかいなかった。2016年の11.4%よりは増えてはいるものの、ロシアへの併合の可否についての住民投票が公正に行われれば親露側は結局負けるのである。 だからクリミアとは違って、ドネツ、ルガンスクは、ロシアにとっての満州のような存在となる。 プーチンは、「ウクライナは極右=ナチが支配している。だからロシアはナチ殲滅の『特殊軍事作戦』をやっているのだ」と言っている。「ナチ」と戦うのは聖戦。何でもあり、というわけだ。 しかし、ナチを名乗りナチの旗を振り回すネオ・ナチは、アメリカにも欧州にもいる。そして他ならぬロシアにもいる。ヒットラー・ナチは、「自分の領土」を回復すると称して戦争をしかけた勢力だ。今、ロシアがウクライナにやっていることは、ウクライナの住民にとっては、昔「真正ナチ」がウクライナにした残虐行為とまったく同じなのだ。『日本がウクライナになる日』1:異常なプーチン
2023.03.20
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スギ花粉飛散がピークになりつつあるが・・・一方で、黄砂やPM2.5はどうなっているんだろうと思うわけです。 2023年 春の花粉飛散予測(第4報) PM2.5分布予測ということで、今日(2023.03.08)の情報を「黄砂の季節にそなえてR3」としてお知らせします。***********************************************************例年、黄砂のピークは2月~4月のようであるが・・・この黄砂にはPM-2・5が含まれていて危険な降下物であり、中国からの贈りものは迷惑このうえないのです。今日の黄砂情報を見てみましょう。気象庁の黄砂情報黄砂に関する本や過去の日記を紹介します。【ここまでわかった「黄砂」の正体】三上正男著、五月書房、2007年刊<「BOOK」データベース>より知っているようで知らない「黄砂」の常識をくつがえす!!過酷な砂漠体験に挑む科学者たちの情熱とチームワーク。日中共同研究プロジェクト(ADEC)の日本側代表者による、最前線からの「黄砂」レポート。<読む前の大使寸評>ぱらぱらとめくってみると・・・とにかく砂漠に関する記事が充実しているわけです。ここまでわかった「黄砂」の正体『黄砂の季節にそなえて』R2:2022.03.16『黄砂の季節にそなえて』R1:2022.03.05
2023.03.09
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図書館に予約していた『ブルシット・ジョブの謎』という本を、待つこと10ヶ月ほどでゲットしたのです。 この本のタイトルが刺激的であるが・・・欧米発の最新の経済論ではなかろうか、ということでチョイスしたのです。 【ブルシット・ジョブの謎】酒井隆史著、講談社、2021年刊<「BOOK」データベース>より仕事とは何か?悩み苦しむすべての人へ。誰も見ない書類を作成する事務、上司の虚栄心を満たすだけの部下…資本主義や効率化が進めば進むほど無意味な仕事が生まれる「不思議」。『ブルシット・ジョブ』翻訳者が贈る特別講義!世界的現象の「謎」を解き明かすー<読む前の大使寸評>この本のタイトルが刺激的であるが・・・欧米発の最新の経済論ではなかろうか、ということでチョイスしたのです。<図書館予約:(5/02予約、副本3、予約49)>rakutenブルシット・ジョブの謎「第1講 ブルシット・ジョブの宇宙」からBSJ証言を、見てみましょう。p18~20<世界中から集まったBSJ証言> そもそも「ブルシット・ジョブ」とかいわれても、耳慣れない造語ですし、なんとなくわかるようでわからない感じをもたれている方も多いのではないかとおもいます。 そこでBSJとはなにかについてあれこれ切り込むまえに、まずBSJとは具体的にどのようなものか、そのイメージをつくってみたいとおもいます。 2013年の小論は、グレーバーが理論的に考えていたことと直感のラフな提示でしたが、それが予想外の反響を呼んだことで、かれのもとには当事者からの報告が多数集まることになります。さらにそれをみたグレーバーは積極的にSNSを利用して、BSJについての報告を募集します。それによってかれのもとには英語圏を中心にして、しかしそれだけではなく世界中から膨大な情報が集まりました。それをもとに、『ブルシット・ジョブ』は書かれているわけですが、かれはそのソースをおおよそ二つにわけています。 一つ目は小論の公表のあとに、ウェブ上のブログやホームページなどにあげられたBSJの経験についての情報。グレーバーは、124のウェブページをダウンロードし、時間をかけて整理したということです。 二つ目のデータは積極的に募集をかけたもの。2016年の下半期に、グレーバーは、調査用のeメールアカウントを作成し、さらには自身のツイッターアカウントを利用して、直接的な体験談を送ってくれるように呼びかけます。短いものから論文なみに長大なものまで、最終的に、250を超す証言が集まりました。 それらの応答を整理すると、11万語を超えるデータベースになりました。それらを入念に分類します。 質的分析としてはこのうえなく優れた史料である、とかれは自負しています。とりわけ多くの場合で追加の質問を実施できたこと、ときにインフォーマント(情報提供者)と長い対話を交わすことも、資料の質の向上に有益であった、とつけくわえます。 また、『ブルシット・ジョブ』でキーとなる概念のいくつかは、このようなインフォーマントとのやりとりのなかで、グレーバー自身、示唆を受けたり、触発されたり、あるいは実際に知見や概念を借用したりしたものであるから、この研究は、ある意味で共同のプロジェクトだともみなしうるといっています。とくに、以下の類型学にとっては、それが強い意味をもっていたようです。 こうした過程をへて、小論にはまだなかったBSJの定義が『ブルシット・ジョブ』ではおこなわれます。次講でこれについては詳細に検討しますが、まずそれをぼんやりとでも念頭においておいたほうがよいとおもわれるので、あげておきます。 BSJとは、被雇用者本人でさえ、その存在を正当化しがたいほど、完璧に無意味で、不必要で、有害でさえある有償の雇用の形態である。とはいえ、その雇用条件の一環として、被雇用者は、そうではないととりつくろわねばならないと感じている さて、それではBSJにはどのような種類のものがあるのか、グレーバーの分類によりながら見ていきましょう。 以降、次のようなグレーバーの分類が述べられています。(1)取り巻き、(2)脅し屋、(3)尻ぬぐい、(4)書類穴埋め人、(5)タスクマスター
2023.03.05
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図書館で『球形時間』という本を、手にしたのです。 おお 多和田葉子の初期の小説ではないか・・・ということで、チョイスしたのです。【球形時間】多和田葉子著、新潮社、2002年刊<「BOOK」データベース>より鋭くも愚かしくも聞こえる問いをつねに発している高校生サヤは、ある日の放課後、喫茶店で謎のイギリス女性と出会ってひきつけられる。クラスメートのカツオは、フィリピン人の混血少年と性関係をもちつつも、太陽を崇拝する青年への興味を抑えられない。あっちへこっちへと転がりながら、はからずも核心へと向かってゆく少女と少年の日常を描く、愉快かつ挑戦的な最新長篇。<読む前の大使寸評>おお 多和田葉子の初期の小説ではないか・・・ということで、チョイスしたのです。rakuten球形時間冒頭あたりの語り口を少しだけ、見てみましょうp11~14 その時、隣の文房具売り場の前に展示された綺麗な金属の列が、視覚の隅でピンクやブルーに光ったので、何をする機械かなあ、と思って、すうっとそちらに吸い寄せられていった。呼び込みの人がすかさず近ずいてきて、「最新型の電子辞書です、すごく軽いんですよ」 と言った。二十代後半の男性。髪の毛が洗いすぎの染めすぎで、ぺらぺらになっている。サヤは、なんだ、ただの辞書か、と思って、そのままその場を去ろうとした。すると、店員はサヤの心の内をすばやく読み取って、「今までのと違ってデザインがオシャレですよね。」 と付け加えた。そうかな、と思って、サヤは手に取ってみる。可愛いけれども、でも辞書なんか、もう持ってるからいらない。「煙草の箱より小さくて薄いでしょう。持ち歩きに便利です。たとえ持ち歩きの必要がないとしても、家に置いて使うだけでも、可愛いですよ。英和、和英、国語、合わせて、十万語入ってますから。」 と店員は早口で言う。十万語って、多いのかな。少ないのかな。サヤはふとさっきの出来事を思い出して、「それじゃ、ドジンって言葉、載っているか、引いてください。」 と頼んでみた。それまでニコニコしていた店員は、急に眉をしかめて。「え、ドジ?」 と聞き返した。「いいえ、ドジじゃなくて、ドジンです。土の人」 店員はうなずいて、きれいに切った爪で小さなボタンを押して、「はい、どうぞ。」 とサヤに画面を見せた。「土人=その土地に生まれ住んでいる人。」と、電光文字が出ている。ええ、なんだ、土人って、その土地で生まれて、まだしつこくその土地に居残っている人のこと。それじゃあ、あたしなんか、本当に土人なのね。まぎれもなく、この土地、東京で生まれ育ったんだから。 店員は、機械の一番隅にある黄色いボタンを、つつつつつ、とおした。すると、下に隠れていた続きが画面に現れた。「未開の土着人。(要注意!差別用語)」あ、これだ。あの男、あたしを差別するために、そう言ったんだ。未開の土着か。でも、未開の人って、駅のプラットフォームにすわって化粧するんだろうか。そんな話、聞いたこともないなあ。なんで、あたしのこと、土人だなんて言ったのかなあ。 店員は、いかがですか、と言うようにサヤの顔を見ている。店員の知りたいのは、買うか、買わないか、それだけ。サヤは、店員の顔を見て、首をゆっくり左右に振った。辞書って面白い言葉がたくさん載ってるんだ、でも、誰かが、あたしにその言葉を言ってくれないと、辞書を引くことだってできない。いろんな言葉を耳の中に囁き込んでくれる機械ってないんだろうか。 サヤは、金属の曲面を口蓋で読み取るように、スプーンをゆっくりとしゃぶりあげた。スプーンを口から出してからも、インスタントカレーの甘さが、しばらく口蓋に残った。母親と父親は、テレビの画面に見入っている。画面には、ちかちかといりいりな顔が映るけれども、サヤは画面に目を固定し続けることができない。せかせかと無駄な動きが多すぎるような気がする。音も落ち着きがない。テレビの中で会話しているタレント族の途切れのないおしゃべり、べとべとしていて、しかも、そっけない。 変な人たち。そうなんですよねえ、だから、それは、やっぱり、そういうことだとは思うんですけれどね。でも、わたくしどもなんかは、やっぱりあれなんで、ほら、最近はよくそういうことも言われるようになってきましたけれども、やっぱり、何と言っても、そうですよねえ、本当にそうですよねえ、ええ、わたしも本当にそう思ったんです、と休みなく声が続いて、そのうち急に番組が変わって、ドラマティックになって、何よ、あなたたちにはあたしの気持ちなんか少しも分からないんだわ、などと盛り上がるので、サヤはそのわざとらしい演技に恥ずかしくなって画面から目をそらす。からっぽのお皿には、薄くカレー色が残っている。サヤは黙って席を立って自分の部屋に入り、ドアを閉めた。 コンピューターの清涼な青い光が灯る。コンピューターは人間ぶって声を張り上げたりしないから神経が苛立たなくていい。それに、色が綺麗。テレビしかなかった時代の人って可哀想。画面に、今日のニュースが映った。継ぎはぎパッチワークの四角い画面の右上は、アサマカズヤという歌手の浮気事件。その下が、エレガントな金貸しの広告。その下は、旅行情報。写真の中で、ヤシの木の緑がつるつるして、今にも触れそうな、タイ五日の旅。目眩のするサリーの赤、インド名所巡り。香港、ソウル、北京。今お金のないあなたもすぐに旅立ち、と書いてある。 そうか、貯金なんかなくても、お金を借りて旅行に出ることができるんだ、それで、帰って来たらバイトして返せばいいんだ。バイトと旅行とセットで申し込めるようになっている。今すぐ誰でも、旅に出ることができるんだ。(中略) その後、インターネットの街をなんとなくうろうろ散歩しているうちに、「準喫茶ドジン」というサイトに入り込んだ。「ドジン」と今日言われたことがまだ気になっていて、つい、指がこのキーワードを捜索してしまった。でも、喫茶店の名前はカタカナで書いてあるから、「土人」のことではなくて、「ロダン」とか「魯迅」みたいに、「ドジン」っていう名前の芸術家か作家が外国にいたのかもしれない。住所も書いてある。それは、驚いたことに、サヤがいつも使っている駅の近くだった。 西口を出れば歩いて5分で行ける、と書いてある。御来店をお待ちしております、と書いてある。ネット上で、今着ている人たちとチャットで会話することもできる。英語の会話も出て来るところを見ると、日本語のできない訪問者もいるらしい。本当にこんな茶店、あるんだろうか。この本も『多和田葉子アンソロジー』R10に収めておくものとします。
2023.02.28
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図書館で『ダーティ・ワーク』という本を、手にしたのです。 おお 絲山秋子の初期の小説ではないか・・・ということで、チョイスしたのです。【ダーティ・ワーク】絲山秋子著、集英社、2007年刊<「BOOK」データベース>よりギタリストの熊井望は、自分をもてあましながら28年間生きてきた。音楽以外に興味はなく、唯一思いを寄せるのは、昔の友人。自分の分身のようにかけがえのない存在だったが、今はもう会えない。彼女が取り返しのつかないことをしてしまったからー。様々に繋がる人間関係から見えてくる、ささやかな希望。ローリング・ストーンズに乗せておくる、不器用な若者たちのもどかしくも胸に迫る物語。<読む前の大使寸評>おお 絲山秋子の初期の小説ではないか・・・ということで、チョイスしたのです。rakutenダーティ・ワーク冒頭の語り口を少しだけ、見てみましょう。いきなり禁煙の話が出てくるが・・・なかなかの掴みでおます♪p7~9 どちらが長く禁煙が続くかなんて、本気でやめる気もないくせにベーシストの坂間とくだらない賭けをした。結局熊井は負けて、約束通り大嫌いな健康診断に行く羽目になった。二人とも、そんなものはナンセンスだと思っていた。 健康あっての仕事なんてことはいやというほどわかっている。けれど、一曲いくら、ライブになれば1本いくらで働いている彼らが、体が動くのにどこか悪いと言われたって仕事を休むはずがない。休むのはどこかが痛くて立っていられなくなってからだ。熊井は生命保険にも入っていない。受け取って欲しい相手がいない。国民健康保険料だって渋々払っているのだ。 病気休暇があるリーマンとは違うんだ、と熊井は思った。リーマン、と頭の中で強い調子で発音したとき、まだあの男への腹立ちが残っていることに気がついて、自分で「へえ」と思った。 坂間は賭けに勝ったとわかった瞬間から、またパーラメントを吸い始め、熊井が目の前で病院に問い合わせと予約の電話をするのをほくほくしながら見守っていた。いつかこの借りは返してやると熊井は思った。 熊井の医者嫌いは子供の頃からだった。風邪をひいても医者に行くのが嫌でギリギリまで我慢していた。健康なのに病院に来るなんて愚の骨頂だ、と思いながら、服を脱いで軽く畳むとロッカーに入れた。それから薄いピンク色の術衣とも寝間着ともつかぬものを身につけた。もしも大地震とかが起きたらこんなみっともない恰好で逃げるのだろうか。ここは病院だけれど火災が起きない保証はないし、そのときはやはり財布も鍵も持たずに逃げなければならないのではないだろうか。 検診は検尿、胸部Ⅹ線、心電図、採血、身長体重測定、問診の順番ですみやかに、しかし学生時代とほとんど変わらない設備で行われた。婦人科系の検査は改めて来て下さいと言う。行くかよ婦人科なんて、と呟きながら病院の玄関を出たときにはもう午後二時をまわっていた。 熊井は一度見た楽器は決して忘れないが、自分のママチャリはどこに置いたのかいつも忘れてしまう。やっとみつけて乗ったとき、また自分の体から消毒のにおいがつんと立つような気がした。大通りを渡る信号を待っているとき、一瞬、夏の街が黄色っぽく見えた。 スタジオに出かけるまでにはまだ時間があった。 どんなに忙しくても暇なものは暇だ。つぶせないからそれを暇と言う。熊井は映画もテレビも見ないし、本も新聞も読まない。いつまでもギターをいじっている。けれどふと途切れる瞬間というものはあって、それがフレーズの途中だったりしても、ここまでだ、というのは直感でわかる。 音が止まった後に残るのは膨大な暇だ。音楽は聴くが、聴くといっても仕事のものが多い。それが終わってしまうと、結局ローリング・ストーンズばかりになる。そのストーンズだって別にまじめに聴いているわけではなくて、流しているだけだ。ビデオクリップを見て熱くなっていた時代は終わった。 ツアーに出ればそれはそれで忙しそうなものだが、サウンドチェックはいつも三時頃からだし、睡眠時間の少ない彼女は出発でどこを見て回るでも買い物をするでもなく、ただ暇なのだ。それでホテルのベッドの上にだらしなく座ってギターを触っている。
2023.02.25
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図書館に予約していた『宇宙はなぜ美しいのか』という新書を、待つこと7ヶ月ほどでゲットしたのです。 ぱらぱらとめくってみると、カラー画像も多くてビジュアルであり、解説もわりと物理学的でかつ、美しくなっているのが、ええでぇ♪【宇宙はなぜ美しいのか】村山斉著、幻冬舎、2021年刊<「BOOK」データベース>より夜空を彩る満天の星や、皆既日食・彗星などの天体ショー。古来、人類は宇宙の美しさに魅せられてきた。しかし宇宙の美しさは、目に見えるところだけにあるのではない。これまで宇宙にまつわる現象は、物理学者が「美しい」と感じる理論によって解明されてきた。その美しさの秘密は「高い対称性」「簡潔さ」「自然な安定感」の3つ。はたして人類永遠の謎である宇宙の成り立ちを説明する「究極の法則」も、美しい理論から導くことができるのか?宇宙はどこまで美しいのか?最新の研究成果をやさしく解説する知的冒険の書。<読む前の大使寸評> ぱらぱらとめくってみると、カラー画像も多くてビジュアルであり、解説もわりと物理学的でかつ、美しくなっているのが、ええでぇ♪<図書館予約:(7/14予約、副本2、予約19)>rakuten宇宙はなぜ美しいのかわし星雲の「創造の柱」「第1章 宇宙はこんなに美しい」から星の誕生を、見てみましょう。p36~39<新しい星が生まれる「創造の柱」や「神秘の山」> 星が爆発して生涯を終えるのは寂しいことですが、その「死」は決して無駄にはなりません。実は、私たちの体がさまざまな元素から成り立っているのは、信じられないかもしれませんが、超新星爆発のおかげです。 宇宙がビッグバンによって始まったとき、炭素、酸素、窒素、鉄、カルシウム・・・などの元素は存在しませんでした。あったのは、水素とヘリウムです。それだけでは、地球もそこにすむ生命も作れません。 炭素や酸素のような重い元素は、宇宙空間ではほとんど合成されず、星の内部で作られました。先ほど、太陽の内部で水素の原子核(陽子)からヘリウムが創られる話をしましたが、大きな星の中でその核融合がさらに進むと、もっと重い元素も合成されるのです。 しかし、いくら重い元素が作られても、星の内部に閉じ込められていたのでは、それを使って物質を作ることはできません。さまざまな元素を作り出した星が爆発することによって、それが宇宙空間にバラ撒かれるのです。それが再び重力によって集まり、また新しい星が生まれる。「超新星」は名前とは裏腹な古い星ですが、その爆発はたしかに「新しい星」の材料を次世代に残していることになります。 その次世代の星は最初から重い元素を持っているので、そこからさらに重い元素をたくさん作ることができるでしょう。私たちの太陽は、そうやって生まれた「3代目」の星だと考えられています。 そのため太陽には、最初から炭素や鉄やカルシウムなどがふんだんにありました。したがって、太陽系の惑星である地球にもそうした元素がたくさん存在し、そのおかげで私たちの体も作られているのです。 自分の体が「星屑」でできているのかと思うと、かに星雲の写真も単に遠い宇宙で起きたイベントには見えません。私たちのルーツも、このような大爆発だったはずなのです。 では、超新星爆発でバラ撒かれた物質は、どのように再び集まるのか。その様子がわかるのが、写真(上の写真)です。「わし星雲」の一部を拡大したもので、「創造の柱」と名付けられました。 宇宙空間にフワフワと漂っていた塵が集まり、柱のような形になっています。全体は向こう側にある星の陰になって黒っぽくなっていますが、よく見ると、ところどころにチラチラと明るい部分がある。それが、塵が集まって生まれた星の光にほかなりません。「創造の柱」という名のとおり、ここは新しい星を生み出すゆりかごのような場所なのです。『宇宙はなぜ美しいのか』1:「はじめに」
2023.02.21
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図書館に予約していた『宇宙はなぜ美しいのか』という新書を、待つこと7ヶ月ほどでゲットしたのです。 ぱらぱらとめくってみると、カラー画像も多くてビジュアルであり、解説もわりと物理学的でかつ、美しくなっているのが、ええでぇ♪【宇宙はなぜ美しいのか】村山斉著、幻冬舎、2021年刊<「BOOK」データベース>より夜空を彩る満天の星や、皆既日食・彗星などの天体ショー。古来、人類は宇宙の美しさに魅せられてきた。しかし宇宙の美しさは、目に見えるところだけにあるのではない。これまで宇宙にまつわる現象は、物理学者が「美しい」と感じる理論によって解明されてきた。その美しさの秘密は「高い対称性」「簡潔さ」「自然な安定感」の3つ。はたして人類永遠の謎である宇宙の成り立ちを説明する「究極の法則」も、美しい理論から導くことができるのか?宇宙はどこまで美しいのか?最新の研究成果をやさしく解説する知的冒険の書。<読む前の大使寸評> ぱらぱらとめくってみると、カラー画像も多くてビジュアルであり、解説もわりと物理学的でかつ、美しくなっているのが、ええでぇ♪<図書館予約:(7/14予約、副本2、予約19)>rakuten宇宙はなぜ美しいのかわし星雲の「創造の柱」この本の「はじめに」が格調高いので、見てみましょうp3~5<はじめに> 星空を見上げるとその美しさに引き込まれます。 ハッブル宇宙望遠鏡の写真集などは人気が高いようで、天体の写真を見て癒される人は多いと思います。 以前、NHKの取材で、夜、ハワイ島にあるマウナケアの山頂に登ったことがあります。すばる望遠鏡のすぐ横で、夏だったのに寒さに震えながら撮影をしました。空気が薄く服も着込んでいるのでゆっくりしか動けません。しかし星空の美しさは素晴らしいものでした。しかも空気が薄いので、星がまたたかないのです。とても印象に残っています。 私たちはなぜ宇宙を美しいと感じるのでしょうか。 私たちが宇宙から来た星のかけらだからでしょうか。 何を美しいと思うかは、人によって違うでしょう。どんな絵が好きか、好みのタイプは、などは話が付きません。花を美しく飾るという目的は同じでも、欧米のフラワーアレンジメントと日本の生け花はずいぶん違います。 科学はせっかくの自然界の美しさを台無しにする、といわれることがあります。 私は紅葉を鑑賞しているときに、うっかり「葉っぱが黄色から赤へと変わるのは、養分の供給を絶たれて窒息しかけているからだよね」と呟いて、周囲の人に思いっきり嫌な顔をされたことがあります。 もちろん私も紅葉を美しいと思います。科学的に説明ができてしまうと美しさが損なわれると思わないというところで、変わっていると思われてしまうのでしょうか。 ほとんどの物理学者は、重力を記述するアインシュタイン方程式を「美しい」と感じます。数式を見て「美しい」と感じるとは奇妙な人種だ、と思われるかもしれません。 アインシュタイン方程式のどこが美しいかというと、まずこの方程式は、座標系をどうとってもいいという「高い対称性」を持っています。また、1本の式で書けてしまう「簡潔さ」があります。そして簡単に変更を加えることができない「安定感」もあります。 しかもブラックホールから惑星の運動、宇宙全体の膨張まで、空間と時間に関わる全てを説明してくれる、一種の「統一理論」なのです。こうした性質を物理学者は美しいと感じるのです。 そして物理学者には、物理法則は美しいはずだ、という信念のようなものがあります。 実際、暗黒物質の正体について新しい理論を考えていると、同僚から「その理論、きれいだね」といったコメントがきたりします。逆に「そのアイデアは嫌いだな」ということもあるのです。今までの科学の歴史で、研究者は「こういう理論の方が正しそうだ」というカンを育ててきたのでしょう。直感的に「美しい」「醜い」という判定をしているのです。 しかし本文でお話しするように、暗黒エネルギーの発見以来、「美しい物理法則」を求める物理学者の信念は、もしかすると変更を迫られているのかもしれません。 この本は、物理学者が感じる「美しさ」を説明してみようという試みです。 私たち物理学者の気持ちが伝わるかどうか。「美しい物理法則」の探求はどこまで行けるのか、壁にぶち当たっているのか。 みなさんが本書を読んでどのように感じられるのか、とても楽しみです。「物理学者というのは、やっぱり変な人種だ」で終わるのかもしれませんが(笑)。
2023.02.20
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宋の文化には惹かれるが・・・押しなべていえば体面を重んじる中華(漢族)を好きになれないのである。特に昨今では、ロシアや北朝鮮と同盟を組み少数民族を軽んじるところが、目にあまるのである。・・・で、ネットを巡ってみると以下の書籍がヒットしました。【マネーモンスター 中華帝国の崩壊】藤井厳喜著、ダイレクト出版株式会社 (2022年刊)<カスタマーレビュー>より内容は良いのですが、校正や編集が入っているのか疑うほど読みにくい本です。対談か動画の文字起こしをそのまま本にしたような文章で、非常に読みにくいです。例えば、わずか5〜6行で構成されている一つの段落の中で何度も同じことを書いていたり、接続詞に「ですから」と「しかし」が多用されています。とにかく読みにくいです。<読む前の大使寸評>追って記入amazonマネーモンスター 中華帝国の崩壊出版社(ダイレクト出版)のサイトを見てみました。「マネーモンスター中華帝国の崩壊」より■中国経済、ただいま崩壊中・・・大ニュースです。中国経済が崩壊している、ハッキリした証拠が見つかりました。経済があまりにボロボロになりすぎて、習近平が崩壊を隠しきれなくなってきたのです…その「証拠」とは…■深刻なドル不足その答えは、中国が持っている外貨の量...12年ぶりに中国の米国債保有額が1兆ドルを下回ったのです…つまり、経済がうまくいかないので、今まで稼いできたドルを吐き出している ということ…さらに、長く続いたゼロコロナで、インフレ、失業、不況のオンパレード...さらには若者を中心に、中国全土でデモまで発生しています…このままで大丈夫か?と思ってしまいますが、、これは序の口です。地獄の始まりはこれからです・・・そう、国際政治学者の藤井厳喜先生はおっしゃいます。一体これから、中国はどうなってしまうのでしょうか...?一冊の本で明らかにしました。【目次】・序章ついに始まった“チャイナ・バブル”の崩壊…世界経済はこれからどうなる? ・第1章チャイナ政治と経済成長の歴史・第2章怪物を育てたアメリカの罪 そして始まった米中新冷戦・第3章予測!チャイナ・バブル 崩壊の瞬間
2023.01.30
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朝日新聞『つげ義春さん「自分なんかでよいのだろうか」』という記事をネットで見つけたのだが・・・ 謙虚なつげさんが表れているので、以下のとおり紹介します。つげ義春さん「自分なんかでよいのだろうか」芸術院会員選出に驚きより 日本芸術院の新会員候補に、「ねじ式」「無能の人」などで知られる漫画家のつげ義春さん(84)が決まった。3月1日付で文部科学相が発令する。新設分野の「マンガ」で選ばれたつげさんは「非常に名誉に感じています。マンガ界に何かよい影響があれば」などと朝日新聞にコメントを寄せた。 芸術院会員に新設の「マンガ」、ちばてつや氏・つげ義春氏を選出 つげさんは1937年、東京都生まれ。小学校卒業後、めっき工場での勤務などを経て、1954年にデビューした。雑誌「月刊漫画ガロ」などで活躍し、「沼」「チーコ」「李さん一家」「紅(あか)い花」「ねじ式」「ゲンセンカン主人」「無能の人」など幻想性、叙情性のある作品や私小説的な作品を発表。独特の作風で人気を博した。故・水木しげるさんのアシスタントを務めていたこともある。 87年の「別離」を最後に断筆。2017年に日本漫画家協会賞大賞、20年に仏・アングレーム国際漫画祭特別栄誉賞を受賞した。 文化庁の発表資料では推薦理由について、「人間存在の不条理や世界からの疎外を垣間見せる『文学的な』表現によって、自己表現としてマンガを捉える青年たちに絶大な影響を与えた」「美術と文学の世界からも高い評価を集め、その作品を読み解く試みを誘発してマンガ評論の発展にも影響を及ぼした」などとしたうえで、「まさに『芸術』としてのマンガ表現において日本を代表する作家」としている。 会員は非常勤の国家公務員で年250万円の年金が支給される。任期は終身。新設された「マンガ」分野では、「あしたのジョー」「おれは鉄兵」などで知られるちばてつやさん(83)も選ばれた。 つげさんのコメントは次の通り。■つげ義春さん「マンガ界によい影響があれば」 突然選出を知り、驚きました。選ばれるとは思っていませんでした。日本芸術院に関する知識もなく、自分なんかでよいのだろうかとも思いましたが、選んで頂いたこともあり、ありがたくお受けしました。マンガの分科が新設され、その初代の会員ということも、非常に名誉に感じています。今後の具体的なことについてはまだよくわかりませんが、マンガ界に何かよい影響があればいいなと思います。(黒田健朗)
2023.01.25
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朝日新聞『デジタル終活のすすめ』という記事をスクラップしたのだが・・・ 最近になってクレジット会社から支払先不明の課金ハガキが到来してきて、その処置に往生こいているわけで、スクラップとネット記事から、以下のとおり紹介します。ちなみに、私はアナログ老人なのでスマホは持っていないのです。デジタル終活のすすめ 家族用に「スマホのスペアキー」を」より 家族とLINEで会話し、公共交通機関や買い物は専用機にタッチすれば決済完了、移動中だってサッカーW杯を観戦――。日常生活に欠かせぬスマホを始め、パソコンやタブレットなど「デジタル社会」が到来しつつあります。では、死後の備えは? 「デジタル遺品」に詳しいジャーナリスト古田雄介さん(45)に聞きました。 超高齢社会で「終活」にいそしむ人が増え、「デジタル遺品」という新語もここ数年で急速に広まった。それは何を指すのか、まず全体像をつかもう。「デジタル遺品を考える会」代表を務める古田さんによると、①携帯電話やパソコンなどの情報端末 ②ネット上にある故人のアカウントや投稿 ③故人のネット金融口座の預金など、の大きく三つに分かれる。①は目に見えるが、 ②③は本人以外に見えづらい。 最近、古田さんに寄せられる相談で急増中なのが「サブスプリクションの契約解除を巡るトラブル」で、②にあたる。動画コンテンツやゲームといった定額制の配信サービスなどが本人没後も解約できず、毎月もしくは毎年、課金され続けてしまうという。 なぜ、そんな事態が起きるのか。 例えば動画配信「Hulu」を解約したい人向けのサイト画面では、顧客に「決済方法」を問う選択肢が18個も現れる。「クレジットカード」「PayPay」「d払い」などと続き、最後は「わからない」。それぞれで解約の仕方が異なり、わからない場合は本人の「アカウント」と「パスワード」が必須だ。 古田さんも以前、故人の銀行口座からクレジット会社経由で引き落とされる“支払先不明のサブスク課金”に悩む遺族に泣きつかれた。「わずか550円の課金の主を突き止めるのに数週間を費やし、遺産が確定できないので海外在住者が日本に足止めになったとも。行政や業界は指針を作るなど早急に対応すべきです」 古田さんは葬儀社スタッフなどを経てライターになり、2010年ごろからは亡くなった人のブログやホームページを丹念に調べ、15年に単行本「故人サイト」をまとめた。この時、ネット上に残る死者の日記などの権利関係を探る過程で、デジタル遺品が放置されている現状を痛感。20年に新書「スマホの中身も『遺品』です」、昨秋も共著を出版するなど啓発してきたが、「デジタル遺品のリスクはまだまだ認知されていません」とこぼす。■スマホのデータ入力ミスで消滅 象徴的なのが、故人のスマホを他者がロック解除する際の注意点がほぼ知られていないことだ。息を引き取った途端、訃報の連絡や葬儀の準備に慌しい遺族がやみくもにパスワードを入力してミスが連続すると初期化、つまり内部のデータが消えてしまうことがしばしばあるという。「スマホのロックはパソコンよりもずっと強力で、米連邦捜査局(FBI)さえ開けられない。解除を請け負うサービス自体が少なく、対応する企業でも成功報酬で20万~50万かかり、解除までに1年以上かかることも。遺族にはとてつもない負担です」 そこで古田さんが考案したのが「スマホのスペアキー」だ。“たった3分間のデジタル終活”をうたい、名刺大の厚紙にスマホの型番とパスワード、記入日を書き込み、パスワード部分だけを修正テープを2、3回走らす。あとは預金通帳などを入れた引き出しなどに保管するだけ。「手製のスクラッチカードのようなもの。盗み見されたら痕跡が残るので対処でき、万一の時には家族を救います」(中略) 終活といえば高齢者のイメージが根強いが、「デジタル終活は、スマホ決済が当たり前になっている若い世代を含めて全員がやってほしい。大晦日など家族が集まる機会にぜひ、『スマホのスペアキー』を作ってみてください」。
2023.01.24
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