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酒の神ディオニューソス
父は神のゼウス、母は人間、テーバイの王女セメレー。
神々の王ゼウスは密かに人間の姿に成ってセメレーと交わり、セメレーは妊娠した。このことを聞きつけたゼウスの本妻のヘーラーは、嫉妬心を燃やした。
ヘーラーは嫉妬深く残酷な性格で、夫の不倫相手であるセメレーを大変に憎み、夫の子を身ごもった彼女を焼き殺してしまう。
しかし、焼け残った子宮から、まだ胎児だったディオニューソスはヘルメース(エルメス=ゼウスの部下)により取り上げられ、父ゼウスのふとももに埋め込まれ、臨月がくるまでかくされた。
しかし、生まれてすぐヘーラーに追われる身となったディオニューソスは、里子に出されたり、長い長い逃亡生活を送ったり、発狂したりもした。その間にブドウ栽培やワインの造り方を身につけてこれを人間に教えた。
ワインについては、次のような神話がある。
各地を放浪したディオニューソスは、ギリシャ、アテーナイ(アテネ)の近くイーカリアー村で農夫イーカリオス父娘のもてなしを受けた。そこでディオニューソスはイーカリオスに御礼としてブドウおよびワインの造り方を伝授した。
イーカリオスは出来たワインを村人たちにふるまった。初めて飲む酒で村人達は始めて酔い、その感覚が毒を盛られたとかん違いして、イーカリオスを殺してしまった。それを見た娘はかなしみ、首をつった。
ディオニューソスは怒り、村の娘全員を発狂させ絞め殺した。
やがて誤解と知り反省した村人達の手で哀れな父イーカリオスと娘は供養され、ディオニューソスの怒りも収まった。
同地はワインの産地として名をはせるようになったという。
この悲惨な物語が、ワインの本当の意味でのファースト・ヴィンテージである。
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