PR
Comments
Free Space
Calendar
Keyword Search
民事再生法適用申請 → 上場廃止 で ”100%減資=既存株は無価値” の路線を進んでいるように思っているのだけれど、
なんと30日の夜間PTSでは、40円で寄って高値50円、終値42円というかなり高い水準での取引が成立している。しかも、出来高約270万株、売買代金約1.1億円と結構なボリューム。
どうやら、当面の資金繰りをサポートする投資ファンド、インテグラル社長の発言が材料視されている模様。通信社とのインタビューで、普通株取得に関心を示したとのこと。
・スカイマークへの支援、普通株取得にも関心=インテグラル社長(ロイター)
該当部分を引用すると、
投資ファンド、インテグラル(本社、東京都千代田区)の佐山展生社長は30日、ロイターとのインタビューで、28日に民事再生法適用を申請したスカイマークへの支援について、「最終的にはエクイティー(株式)にしたい」と述べ、スカイマークの株式取得に強い関心を持っていることを明らかにした。
また、今回の融資について、ファンドは「いわゆる金融機関ではなく、融資をするのが仕事ではない」と指摘。「入り口のところでは金を貸すが、我々の本業は普通株買い」と語り、スカイマークへの融資にとどまらず、同社の株式取得への関心を明確にした。
今回は、民事再生法における株主の権利についてひもときながら、この発言の意味するところを探ってみたい。
1.民事再生法における株主の権利
民事再生法のルールを調べてみると、 債務超過かどうかで株主の権利が大きく左右される
模様。
(参考)
民事再生法の条文
〇債務超過で無い場合
民事再生法が適用となったからといっても、株主の権利はしっかり残るのが原則的なルール。事業譲渡や減資などの重要事項を決定するには株主総会の特別決議が必要。
〇債務超過の場合
ただし、債務超過の場合(民事再生法適用の大半はこちらの方)には、株主総会の決議は不要。
裁判所の許可があれば、事業譲渡が可能となるし、債権者の決議で決める再生計画に100%減資を盛り込むことも出来る。
民事再生法適用で、債務超過の場合には、株主の権利は無いに等しい。再生計画に関与することもできず、100%減資にも抵抗できない。
第四十三条 再生手続開始後において、株式会社である再生債務者がその財産をもって債務を完済することができないときは、裁判所は、再生債務者等の申立てにより、当該再生債務者の事業の全部の譲渡又は会社法第四百六十七条第一項第二号 に規定する事業の重要な一部の譲渡について同項 に規定する株主総会の決議による承認に代わる許可を与えることができる。
第百五十四条
3 第百六十六条第一項の規定による裁判所の許可があった場合には、再生計画の定めによる再生債務者の株式の取得に関する条項、株式の併合に関する条項、資本金の額の減少に関する条項又は再生債務者が発行することができる株式の総数についての定款の変更に関する条項を定めることができる。
第百六十六条 第百五十四条第三項に規定する条項を定めた再生計画案を提出しようとする者は、あらかじめ、裁判所の許可を得なければならない。
2 裁判所は、株式会社である再生債務者がその財産をもって債務を完済することができない場合に限り、前項の許可をすることができる。
ようするに、 債務超過でなければ会社は株主のものだけど、債務超過であれば株主の権利が剥奪され会社は債権者が決定権を持つ というようなことが民事再生法の精神のようだ。
2.スカイマークは債務超過なのか
で、肝心のスカイマークは債務超過なのだろうか。
平成27年3月期第2四半期決算短信
によると、昨年9月末時点で、約390億円の資産超過、自己資本比率約50%と、債務超過には程遠いように見える。しかし、急速に資金繰りに行き詰ってしまったのも事実。
9月末時点の負債の部は385億円の計上に留まるが、報道では負債総額710億円とされており、その差325億円増えている。
また、エアバスから大型機キャンセルにともなう多額の違約金を請求されているけれども、スカイマーク側は争う構えで未確定。
まあ、固めに精査すれば、資産は減り負債は増える傾向だと思うし、
会社側が民事再生法適用申請時に、上場廃止の猶予を求めなかった流れからしても(債務超過・100%減資でないのなら、上場を継続した方が再建がスムーズに進むに決まっている)、
ひょっとすると判断の余地があるのかもしれないけれども、債務超過が既定路線だという気がしてならない。
3.インテグラル社長の発言の意味
「最終的にはエクイティー(株式)にしたい」
と述べたとされている。
債務超過という扱いになるなら、既存の株式には実質的に権利が無い。なので、既存の株式を取得しても役に立たない。
この場合の解釈としては、
100%減資後に、新規に出資。
DES(デット・エクイティ・スワップ)という手法で、貸し付けたお金を株式に転換することを想定しているのではと思われる。
”最終的には”とか、”エクイティにしたい”との表現とも符合する。
4.感想など
私としては、引き続き、100%減資・既存株は無価値の公算が高いような感覚しか持てず、
マネーゲーム的には、一旦2~3円ぐらいまで下げてから、こういうネタが出てくれば面白かったのだけど、
さすがに40円では、いくらなんでも高すぎで参入する気にはなれない。
もし万々一、「民事再生法適用申請+上場廃止猶予は求めない。だけど、資産超過で既存株主の権利は残ります」なんてことになるのなら、その段取りの悪さ、行動のチグハグさにまたまたビックリ仰天してしまうことだろう。
※投資は、損しても得しても自己責任で!
スカイマーク株関連まとめ Feb 22, 2015 コメント(2)
スカイマークの今後と民事再生法の手続き Feb 9, 2015
上場廃止だけど価値のあるケース Feb 4, 2015