40 代単身者の厳しいお金事情~不況で割を食った世代の貯蓄と負債を見る 2019-5-10 LIMO [ リーモ ]
2017 年末に NHK の「クローズアップ現代 + 」が放映した特集「アラフォー・クライシス」は、現在の 40 代を中心とした世代が直面する未曾有(みぞう)の危機を浮き掘りにして大きな反響を呼びました。
バブル崩壊、アジア通貨危機、リーマンショックなどによる不況のあおり 20-30 代で受けたこの世代は、 就職氷河期世代 とも ロスジェネ世代(失われた世代) とも言われます。
この記事では、いくつかの調査結果から 40 代の貯蓄や負債の実情に迫ります。
1,000 万円の貯蓄、ありますか?
2018 年 5 月に総務省が公開した「家計調査報告(貯蓄・負債編) - 平成 29 年( 2017 年)平均結果 - (二人以上の世帯)」によると、 40 代の 2 人以上世帯における貯蓄現在高は 1074 万円となっています。一方で負債現在高も貯蓄とほぼ同じ 1055 万円となっています。
1000 万円を超える貯蓄現在高を見て、「こんなに貯めていない」と思った人もいるかもしれませんが、この数字はあくまでも平均結果を示したもの。 全データの真ん中にあたる中央値 のほうがより実態に即しているとも考えられます。
そこで、ここからは金融広報中央委員会の「平成 30 年( 2018 年) 家計の金融行動に関する世論調査」のデータを見ていきましょう。この調査は 「 2 人以上世帯」と「単身世帯」に分けて集計 されており、中央値も記載されています。
二人以上世帯 ( 出所:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査 [ 二人以上世帯調査 ] 」 各種分類別データ(平成 30 年) )
40 代の 2 人以上世帯における貯蓄の中央値は 800 万円?
最初に、「平成 30 年( 2018 年) 家計の金融行動に関する世論調査 [ 二人以上世帯調査 ] 」をもとに、 40 代の 2 人以上世帯における金融資産保有額と借入金残高を紹介します。
※この記事で扱う金融資産保有額には、預貯金のほかに保険、有価証券などを含みます。また、 2 人以上世帯の構成員には配偶者だけでなく親や子なども含みます。
2 人以上世帯では金融資産を保有している割合が 77.4 %と高く、保有額の平均は 1238 万円です。中央値は 800 万円。金融資産を持たない世帯を含めると中央値は 500 万円です。
負債について見てみると、 2 人以上世帯で借入金がある割合は 61.8 %と過半数を超えており、平均・中央値とも 1600 万円を突破していること がわかります。
同調査によると 40 代の住宅ローン残高の平均は 1671 万円、中央値は 1675 万円なので、負債のほとんどは住宅ローンによるものと推察されます 。
住宅ローンの返済や子どもの教育費などを抱えている 40 代の 2 人以上世帯は、「貯蓄はあっても負債も多い」 という状況にあるようです。
40 代単身世帯の切実なお金事情とは
次に、「平成 30 年( 2018 年) 家計の金融行動に関する世論調査 [ 単身世帯調査 ] 」をもとに、 一人暮らしの 40 代が直面する貯蓄と負債の実態 について見ていきます。
40 代の単身世帯で金融資産を保有している割合は 57.4 %。保有額の平均は 1000 万円を超えていますが中央値は 500 万円です。金融資産を保有していない世帯を含めた中央値は 25 万円にとどまりました 。
40 代単身世帯では金融資産の有無による格差が大きく、厳しい経済状況に置かれている人も少なくないとみられます。
一方、 40 代単身世帯で借入金があると答えた割合は 22.4 %。 2 人以上世帯の数字を大きく下回りました。また、借入金のない世帯を含む中央値は 0 円となっています。
40 代のうちにできる対策を
就職氷河期世代のなかには、日系大手金融機関や外資系企業などからいくつもの内々定を手にした「就活勝ち組」もいた一方で、 新卒で正社員になれなかった人も多かったのが実情 です。その後正社員になれた場合でも、スキル不足が影響して出世が難しくなるケースがあると指摘されています。
また、 非正規で働いている人の場合、将来的に安定的な収入を得られるかどうかが不透明であり、退職金が出ないケースも多いでしょう。公的年金への不安も大きくなる中、新しいスキルの習得、副業、節税、貯蓄など、自分でできる対策について真剣に考えておくことが必要 と言えそうです。
【ご参考】貯蓄とは
総務省の「家計調査報告」 [ 貯蓄・負債編 ] によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。
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LIMO 編集部
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