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さて今日は株式投資本オールタイムベストシリーズです。
第94位は、バフェットの銘柄選択術(メアリー・バフェット、デビッド・クラーク著、日本経済新聞社、2002年)です。
この本は以前から投資家の間で非常に評価の高い本であり、例えば「らうさん」という投資家の方は200冊投資本を読んだ中での第1位に挙げていらっしゃいます。
2002年発売の本ということもあり、表紙のバフェットが若いですね。ちなみにこの本はオールタイムベストシリーズ作成のために膨大な数の本を読み直さなくてはならなかった関係で、2015年の夏にぶどう狩りをしながら再読しました。(汗)
さて、
バフェット本に名作ほぼ無し
というのが私の投資家としての基本的なスタンスです。安易にバフェットの名前を冠につけることで内容の薄さ・しょうもなさを隠そうとするもの、肝心の著者のバフェットに対する理解が非常に浅いと思われるものが多く、一読して壁に投げつけたくなるような駄作が本棚の最も手に取りにくい「3軍」に大量に屍として存在しています。
そんな中でこの本は、バフェット流の投資のエッセンスだけを抽出して分かりやすく繰り返し反復して説明してくれていると言う点において良書であると思います。バフェット本嫌いの私がしぶしぶ&嫌々ながらトップ100に入れざるを得なかったということですね。
第1章では、
株式投資家の95%はただただ一夜にして大儲けすることしか頭にない。。。投資家の知的レベルがどんなに高くても、こと株式投資になると話は別。。。そこは動物的本能が支配する世界だと言うことをバフェットは見抜いた。。。「悪材料で売る」という悪材料現象こそ、変転極まりない株式市場の、唯一普遍的な特性といっていい。。。
と述べられているのですが、これは本当にその通りだと思います。
例えば今、ツイッターを見ていても数年単位での中長期の時間軸で銘柄を保有している投資家などほとんどいません。誰もが今月の、今週の、もっと言えば今日の良好なパフォーマンスを血眼になって求めています。そして投資家の目線は以前に較べても更に短期になっていると実感しています。ただ、だからこそ、中長期投資は常に有効な投資戦略であり続けているのだろうと感じています。
この本の中では、魅力のない企業群を「コモディティ型」の企業と呼んでいます。具体的には売上高利益率が低い、ROEが低い、ブランド価値が無い、多数の競争相手がいる、利益が不安定などですが、PF内に航空会社や自動車部品会社を多く持つ私には非常に耳の痛い指摘です。(汗)
逆にバフェットが興味を示すのは、その事業がファンダメンタルな条件に恵まれ、長期的に健全な繁栄を続ける可能性のある企業な訳ですが、彼はこれを「消費者独占型」企業と呼んでいます。具体的にはROEが高い、強いブランド力がある、インフレを価格に転嫁できる、利益が力強い増加基調にあるなどですが、私のPFでいうとシロアリ防除の 6073アサンテ などが当てはまるかなあと思います。
ちなみにアサンテについては以前に、
アサンテの恥辱
という超人気記事を書いていますので、未読の方はこの機会に是非ご覧ください。(滝汗)
すいません、少し脱線しました。
そして、 安値で買うことの大切さをきちんと力説してくれているところが、この本の素晴らしさ
だと思います。 出来の悪い凡百のバフェット本にはこの視点が決定的に欠けている
からです。
ちなみに、バフェットの投資法の本質は、
クオリティ銘柄
を「市場に恐怖が舞い降りて暴落した瞬間」に買うというやり方
であると個人的には考えています。
つまり、
バフェットの投資法の優位性は、 クオリティ × 恐怖 と言う、2つの強力なファクターを掛け合わせたもの
である と個人的には認識しています。
これは口で言うのは簡単ですが、人間の原始的な本能に逆らったやり方なので、実行するのはとても難しいです。バフェット翁は人間心理に関する達人なんですね。
後、「恐怖ファクター」を使ったやり方がどれほど有効な投資戦術であるかについては、
「恐怖で買って、強欲で売る」 短期売買法 (ローレンス・A・コナーズ著、パンローリング社 2019年)
を読むとよくわかると思います。
この本は今年2019年に出た本ですが、率直に言って凄まじい出来です。ローレンス・A・コナーズには名著が多いですが、自分はこの本がこれまでの彼のベストであると思っています。彼のいいところが「ゴリゴリの特盛」で全部出ています。
ちなみに当株式投資本オールタイムベストシリーズでもいずれ紹介するつもりで既に書評も完全に書き上げていますが、なにしろ紹介したい本が大量にあるので順番がいつになるかは現時点では分かりません。「どうしても早めに紹介して欲しい。」などということがありましたら、是非ブログかツイッターでコメントをください。
すいません、またもや大きく、かつ修復が不能なくらいに脱線しました。(鬼汗)
以上をまとめると、この本はバフェット本の中では比較上位に位置する良書であると考えています。何と言うか、読んだ後に頭がすっきりするんですね。頭の良い著者がしっかりと考え抜いて書き上げた何よりの証拠だろうと思います。
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