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「優れた美術品商は、膨大な量の美術品を投資対象として購入する」と同社(投資会社のホライゾン・リサーチ)は書いている。「多くの美術品を長期間保有すると、その一部が優れた投資対象であることが判明する。その結果、ごく一部の高リターンな美術品により、コレクション全体が黒字になる。これが成功する美術品商のビジネスの仕組みなのである。
ビジネスや投資など、多くのことがこの仕組みで動いている。つまり、テールの力だ。テールとは、結果の分布図の最後尾の部分を指す言葉である。少数の事象が結果の大部分を占めることがあるファイナンスの世界において、これは莫大な影響力を持っている。
しかし投資家は、「5割の確率で間違っていても、トータルでは大儲けできる」ということを簡単には理解しづらい。私たちは物事の多くが失敗するのが当たり前であることを見逃しているのだ。だから、失敗に過剰に反応してしまう。
ディズニーを成功に導いたのは”400分の1”の作品
ディズニーは1938年までに延べ数百時間の映画を制作したが、ビジネス的には「白雪姫と7人の小人たち」の83分間がすべてだった。
何であれ、莫大な利益を上げたり、特別に有名になったり、巨大な影響力を及ぼしたりするものは、「テールイベント」(数千~数百万分の1の確率で起こる例外的な出来事)の結果だと言える。人々の目は、巨大なもの、儲かっているもの、有名なもの、影響力のあるものに向けられる。つまり、私たちが注目するもののほとんどは、テールイベントの結果なのである。
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