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運動中は「時間の感覚がゆがむ」ことが明らかに、最新研究5/25(土) 2024年4月、学術誌Brain and Behaviorに掲載された研究英国およびオランダの科学者からなる研究チームが行なったもの。体を動かす活動を行なっている時、人は、時の流れがスローダウンしたように感じる。この研究は、33人の活動的な成人を対象にして行なわれた。これらの人々は、バーチャル環境を背景にしてリアルな自転車に乗り、1回につき4キロメートルの距離を漕ぐという対照実験に参加した。このバーチャル環境は、参加者が熱心に取り組み、挑戦心をかきたてるように設定されていて、一部には、バーチャルな競争相手が表示される環境もあった。これは、他者の存在を意識することが、時間感覚に影響を与えるかどうかを確かめるためだ。参加者は、エクサイズの前、中、後という3つの異なるタイミングで、時間感覚を尋ねるタスクに回答した。その結果、エクササイズ中には、参加者の時間感覚に有意のゆがみが生じていることが明らかになった。具体的には、時間が伸びるように思える現象が起き、体を動かしているあいだの時間が、実際より長く感じられていたという。さらにこの現象は、バーチャルな競争相手のあるなしに関わらず発生していた。ここから、この時間が伸びる感覚の原因は、他の人の存在よりも、エクササイズという行為そのものにあることが示唆されている。研究論文の主著者の1人で、英国ケント州に拠点を置くカンタベリー・クライスト・チャーチ大学のアンドリュー・エドワーズ教授は、プレスリリースでこう述べている。「我々の研究結果は、健康に良いエクササイズの選択や、楽しさのレベル、さらには、運動のパフォーマンスを最適化するためにはこの知見をどう用いるべきかということに関して、いくつかの重要な含意を持っている」この論文が示唆しているのは、仮に人の時間感覚が人為的に操作可能で、それによって、エクササイズの心理的な負担感や、「運動している時間が長い」という感覚を軽減できるのであれば、定期的に体を動かす活動をしようという人が増え、全体的な心身の健康レベルが改善する、ということだ。例えば、実際より時間が長く感じられるような高負荷の運動については、短時間だけフィットネスのルーティンに組み込むことで、時間の長さを感じずに、長時間のエクササイズの利益を得ることが可能になるかもしれない。加えて研究チームは、エクササイズの最中に時間感覚が変わる過程を解明することで、体を動かす活動をより楽しめるようにするための、新たな戦略を策定するのにも役立つ可能性があると示唆している。これには、エクササイズの習慣を長続きさせる効能も期待できる。「この研究の主眼は、運動に取り組むよう人々を動機づけし、『時間が進むのが遅く感じられる』というマイナスのイメージを、回避あるいは緩和する方法を調査する点にある。時間の流れが遅くなる感覚を、うまく活用することもできるかもしれない」と、エドワーズ教授は述べている。「この研究結果が広く一般に当てはまるかは、まだわからない。33人というサンプルの大きさから言っても、『人間の時間感覚が変化する様子を垣間見る機会が、初めて得られた』というところだろう。また、エクササイズをしているあいだに、さらなるレベルアップを図るための手がかりも得られたかもしれない」
2024.05.25
待ちに待った初夏の味覚! 森町特産「甘々娘」本格収穫スタート2024.5.24トウモロコシの栽培が盛んな森町で24日、特産品種「甘々娘(かんかんむすめ)」の本格的な収穫が始まった。同町谷中の遠州森鈴木農園では初夏を告げる採れたてのトウモロコシが直売所に並び、早朝から大勢のファンが買い求めた。町内最大規模の約16万平方メートルでトウモロコシを栽培する同農園では午前4時半ごろから収穫作業を開始。従業員が手際よくもぎ取り、直売所の前に昨日午後7時から列を作って購入を待ち望むファンに初日は約2万本を販売した。午前1時から並んでいるという浜松市の運送業野中祐助さん(40)は「毎年の楽しみ。今年も家族や同僚に配っておいしくいただきたい」と笑みを浮かべた。 抜群の甘みと粒の柔らかさが特徴で、市場に出回りにくい希少性から県内外に根強いファンが多い。鈴木弥社長によると、「今年は寒暖差があるため糖度がしっかりと乗り、例年よりも甘く仕上がった」という。 町内のトウモロコシの収穫期は7月いっぱい続く見通し。収穫期には例年、盗難被害が相次ぐことから、袋井署やJAが警戒を強化する。https://www.at-s.com/news/article/shizuoka/1476985.html?utm_medium=Social&utm_source=Facebook&fbclid=IwZXh0bgNhZW0CMTEAAR0m8aGqGCbTUy0fUiCyBC4g7TNilp-Cl1VIxI8VETF3GmizOk7B0yBbvJU_aem_AU3taOqIvt4kES2w2c_5apFtez8b1gYw-cA0XsAvBMy36yp8n-UtZ3ktl3wBmi0Tyb8u5_lnPZwizPM5YC8hKLdU#Echobox=1716510727生でも甘いトウモロコシ “甘々娘”の販売開始…糖度20度超 前夜から並ぶ人も 静岡・森町糖度が高く毎年人気を集めている静岡県森町特産のトウモロコシ「甘々娘」。2024年も収穫が始まり、直売所では早朝から大勢の人が買い求めていました。午前5時には約100人が並ぶ24日午前4時半。森町で最大規模の「遠州森 鈴木農園」では、日の出前から従業員が特産のトウモロコシ「甘々娘」を次々と収穫していきます。一方、直売所では販売開始1時間前の午前5時、既に100人ほどが集まっていました。
2024.05.25
「低コストで効率的に」排ガスからCO2を分離・回収する装置 九大発のスタートアップ企業が開発5/25(土)カーボンニュートラル社会の実現を目指し、スタートアップ企業が排ガスから低コストでCO2を分離・回収する装置を開発しました。九州大学発のスタートアップ企業=JCCL(ジェイシーシーエル)が開発したのは、排ガスから低コストでCO2を分離・回収する装置です。従来のプロセスに比べて4分の1程度のコストでCO2を回収し97%以上に濃縮できるため、水素とCO2でメタンを合成する「メタネーション」などへの活用が期待されています。この装置はJCCLが福岡市からの補助金を使って九州大学と共同で開発したもので、福岡市の高島市長は「世界のCO2削減に大きく寄与することを期待している」と述べました。減圧蒸気スイープ型膜分離性能評価装置(VSS1)CO₂分離膜に、調湿されたCO₂含有ガスを流し、透過側を減圧、蒸気供給することで膜の性能を評価する装置<装置の特長>・独自の減圧・調圧・蒸気供給・温湿度制御システムにより透過側の相対湿度、圧力、スイープ水蒸気供給量を任意に設定してCO₂分離性能を評価し、最適なCO₂分離条件を探索・検証可能。・供給ガスの温湿度およびガスの量、CO₂の濃度を任意に設定し、各種燃焼後排ガスや空気などを模擬したガスを供給し、対象ガスに合った最適な分離条件を検討可能。・供給側および透過側に回収されたガスの量、CO₂の濃度、温湿度、圧力を計測、記録可能。・独自の調圧・調湿機能および排水機構により加湿・水蒸気供給実験で課題となる結露を防止し、万が一結露水を生じた際も装置を止めること無く排水が可能。・CO₂濃度計の自動校正及び装置の自動制御システムにより長期間の耐久・実証試験が可能<想定顧客・用途>「CO2分離膜によるCO2回収・利用プロセスを実証したい」、「自社開発した分離膜で回収可能なCO2の量や濃度を定量的に評価したい」、「CO2分離膜を使って効率よくCO2を回収する操作条件を検討したい」などのニーズをお持ちの企業や大学、研究機関等による利用を想定しております。九州大学×福岡市×株式会社JCCL、CO₂分離・回収のための装置及び材料の製品化に成功!2024.05.24 | プレスリリース NEWS九州大学発スタートアップの株式会社JCCL(本社:福岡市西区)は、このたびCO₂分離・回収装置の製品化に成功しましたので、お知らせいたします。今回製品化されたのは、CO₂分離膜性能評価装置の『VSS1』及び固体吸収剤によるCO₂回収装置の『VPSA1』です。これらの装置は、九州大学工学研究院の星野友教授の特許技術をコア技術とし、福岡市をはじめとする公的機関からの支援・共同研究を経て、JCCLが完成させた、まさに産学官連携により生まれた成果です。株式会社JCCLは、政府が目指すカーボンニュートラルの実現に向けて低コストなCO₂分離回収に貢献してまいります。① 減圧蒸気スイープ型膜分離性能評価装置(VSS1)CO₂分離膜に、調湿されたCO₂含有ガスを流し、透過側を減圧、蒸気供給することで膜の性能を評価する装置。 減圧蒸気スイープ型膜分離性能評価装置(VSS1)モデル図<装置の特長>・独自の減圧・調圧・蒸気供給・温湿度制御システムにより透過側の相対湿度、圧力、スイープ水蒸気供給量を任意に設定してCO₂分離性能を評価し、最適なCO₂分離条件を探索・検証可能。・供給ガスの温湿度およびガスの量、CO₂の濃度を任意に設定し、各種燃焼後排ガスや空気などを模擬したガスを供給し、対象ガスに合った最適な分離条件を検討可能。・供給側および透過側に回収されたガスの量、CO₂の濃度、温湿度、圧力を計測、記録可能。・独自の調圧・調湿機能および排水機構により加湿・水蒸気供給実験で課題となる結露を防止し、万が一結露水を生じた際も装置を止めること無く排水が可能。・CO₂濃度計の自動校正及び装置の自動制御システムにより長期間の耐久・実証試験が可能<想定顧客・用途>「CO2分離膜によるCO2回収・利用プロセスを実証したい」、「自社開発した分離膜で回収可能なCO2の量や濃度を定量的に評価したい」、「CO2分離膜を使って効率よくCO2を回収する操作条件を検討したい」などのニーズをお持ちの企業や大学、研究機関等による利用を想定しております。<優位性>・1%のCO₂を75%以上の濃度まで濃縮できることを確認済み。13%のCO₂を1ヶ月以上安定して97%以上まで濃縮できることを確認済み。関連特許の出願・取得済み。・JST、JAXA、文部科学省、福岡市などの公的機関からの支援・共同研究を経て完成。量産及び拡販に向けたパートナー企業との連携体制を構築。・アミン含有ゲルを分離膜の材料に使うことで乾燥に必要なエネルギーが不要となり、低コストなCO₂分離プロセスを実現可能。② 減圧蒸気スイング型CO₂回収装置(VPSA1)調湿されたCO₂含有ガスを固体吸収剤に供給してCO₂を吸収させ、相対湿度が自動制御された減圧蒸気を定量供給することで1日2kg程度のCO₂を97%以上に濃縮・回収できる装置。九州大学×福岡市×株式会社JCCL、CO₂分離・回収のための装置及び材料の製品化に成功!2024.05.24 | プレスリリース NEWS九州大学発スタートアップの株式会社JCCL(本社:福岡市西区)は、このたびCO₂分離・回収装置の製品化に成功しましたので、お知らせいたします。今回製品化されたのは、CO₂分離膜性能評価装置の『VSS1』及び固体吸収剤によるCO₂回収装置の『VPSA1』です。これらの装置は、九州大学工学研究院の星野友教授の特許技術をコア技術とし、福岡市をはじめとする公的機関からの支援・共同研究を経て、JCCLが完成させた、まさに産学官連携により生まれた成果です。株式会社JCCLは、政府が目指すカーボンニュートラルの実現に向けて低コストなCO₂分離回収に貢献してまいります。① 減圧蒸気スイープ型膜分離性能評価装置(VSS1)CO₂分離膜に、調湿されたCO₂含有ガスを流し、透過側を減圧、蒸気供給することで膜の性能を評価する装置。 減圧蒸気スイープ型膜分離性能評価装置(VSS1)モデル図<装置の特長>・独自の減圧・調圧・蒸気供給・温湿度制御システムにより透過側の相対湿度、圧力、スイープ水蒸気供給量を任意に設定してCO₂分離性能を評価し、最適なCO₂分離条件を探索・検証可能。・供給ガスの温湿度およびガスの量、CO₂の濃度を任意に設定し、各種燃焼後排ガスや空気などを模擬したガスを供給し、対象ガスに合った最適な分離条件を検討可能。・供給側および透過側に回収されたガスの量、CO₂の濃度、温湿度、圧力を計測、記録可能。・独自の調圧・調湿機能および排水機構により加湿・水蒸気供給実験で課題となる結露を防止し、万が一結露水を生じた際も装置を止めること無く排水が可能。・CO₂濃度計の自動校正及び装置の自動制御システムにより長期間の耐久・実証試験が可能<想定顧客・用途>「CO2分離膜によるCO2回収・利用プロセスを実証したい」、「自社開発した分離膜で回収可能なCO2の量や濃度を定量的に評価したい」、「CO2分離膜を使って効率よくCO2を回収する操作条件を検討したい」などのニーズをお持ちの企業や大学、研究機関等による利用を想定しております。<優位性>・1%のCO₂を75%以上の濃度まで濃縮できることを確認済み。13%のCO₂を1ヶ月以上安定して97%以上まで濃縮できることを確認済み。関連特許の出願・取得済み。・JST、JAXA、文部科学省、福岡市などの公的機関からの支援・共同研究を経て完成。量産及び拡販に向けたパートナー企業との連携体制を構築。・アミン含有ゲルを分離膜の材料に使うことで乾燥に必要なエネルギーが不要となり、低コストなCO₂分離プロセスを実現可能。② 減圧蒸気スイング型CO₂回収装置(VPSA1)調湿されたCO₂含有ガスを固体吸収剤に供給してCO₂を吸収させ、相対湿度が自動制御された減圧蒸気を定量供給することで1日2kg程度のCO₂を97%以上に濃縮・回収できる装置。 減圧蒸気スイング型CO₂回収装置(VPSA1)モデル図<装置の特長>・独自の減圧・調圧・蒸気供給・温湿度制御システムにより回収時の圧力、水蒸気供給量を任意に設定して分離性能を評価することで最適な分離条件を実験的に探査・検証可能。・供給ガスの温度および相対湿度を任意に設定し、各種燃焼後排ガスや室内空気などを模擬したガスを供給し、対象ガスに合った最適な分離条件を検討可能。・回収されたガスの量およびCO₂の濃度は体積流量計およびNDIR式のCO₂濃度計で長時間に記録可能。・独自の自動調圧・調湿機能および排水機構により加湿・水蒸気供給実験で課題となる結露を防止し、万が一結露水を生じた際も装置を止めること無く排水が可能。・CO₂濃度計の自動校正機能及び装置の自動制御機構により長期間の耐久試験が可能。<想定顧客・用途>「小スケールでCO2の回収試験を始めたい」、「CO2吸収剤や吸着剤によるCO2回収のコストの検証や研究用に利用したい」などのニーズをお持ちの企業や大学、研究機関等による小規模実証や研究開発を想定しております。<優位性>・JCCLの固体吸収剤『アミン含有ゲル』を最適条件で使用した場合、濃度7%のCO₂を97%以上の濃度まで濃縮できることを確認済み。関連特許の出願・取得済み。・JST、JAXA、NEDOなどの公的機関からの支援・共同研究を経て設計が完了。量産及び拡販に向けたパートナー企業との連携体制を構築。・湿度が高いガスからのCO₂直接回収が可能なJCCLの固体吸収剤を使うことで、排気ガスや空気の除湿が不要となり、プロセス最適化により従来手法に比べ、最大4分の1程度の低コストで回収が可能。(JCCL調べ)・環境省プロジェクトにより、スケールアップした装置の設計開発およびメタネーションプロセスの実証を複数の企業と連携のうえ実施中。
2024.05.25
認知機能の衰えない高齢者「スーパーエイジャー」 秘密は脳の白質にあった5/23(木)米神経科学会誌ジャーナル・オブ・ニューロサイエンスに発表された新しい研究結果によると、「スーパーエイジャー」(super-agers、スーパー高齢者)と呼ばれるごく少数の幸運な高齢者たちは、実年齢が80歳を超えているにもかかわらず、脳の健康状態は50~60代と同等の水準を維持している。今回、スーパーエイジャーは同年代の一般的な人と比べて、記憶力や認知能力に関連する大脳組織である白質の減少が少ないことが明らかになった。私たちの脳は、灰白質と白質という2種類の組織で構成されている。認知に関する議論や研究でよく話題になり脚光を浴びるのは、灰白質である。灰白質はニューロン(神経細胞)が集まる脳の領域であり、学習、記憶、推論といった複雑な脳機能のコントロールセンターの役割を果たしていることから、これは驚くには値しない。一方、白質は脳の奥深くに位置している。主な役割は、いわば広大な交通網のように、脳のさまざまな領域を相互に接続することだ。白質は、ニューロン間の通信(神経伝達)を可能にする電気的な信号(インパルス)を伝える連絡路として機能する。インパルスによって、指を動かす動作や足のつま先をぶつけた際の痛みなど、体の各部位の情報がニューロンに伝達される。認知機能の健康には、灰白質と同様に、白質も重要だという理解が次第に深まってきた。白質が減少して両者をつなぐ「道路網」がなくなれば、脳のさまざまな部位が適切に情報を共有したり、機能を調整したりできない。その結果、認知機能が低下してしまうのだ。スーパーエイジャーと他の高齢者の違いを明らかにするため、今回の研究では80代の高齢者119人を対象に10年間にわたる追跡調査を行った。研究参加者の内訳は、スーパーエイジャーが64人、年齢相応の推理力を有する高齢者が55人だった。研究期間中に参加者は、記憶力と思考力のテスト、定期的な採血、複数回の脳スキャンを受け、運動習慣、食生活、喫煙と飲酒の有無など、生活習慣に関するアンケートにも答えた。スーパーエイジャーと一般的な高齢者の主な違いは、白質にあった。一般的な高齢者の脳では、加齢とともに白質のかなりの部分が失われたが、スーパーエイジャーの白質は大きく萎縮することなく、その傾向は特に、記憶と密接に関係する領域である海馬と嗅内皮質で顕著であった。また、スーパーエイジャーは認知のさまざまな面に関与する前頭葉の領域間における接続性も良好だった。重要なのは、アルツハイマー型認知症の兆候を示した参加者が一人もおらず、認知や記憶の変化がアルツハイマー病に起因している可能性を排除できたことだ。スーパーエイジャーはかなり珍しい存在である可能性が高く、シカゴ大学のエミリー・ロガルスキー教授(神経学)によれば、診察する患者のうち該当すると思われるのは10%に満たないという。*白質(はくしつ)とは、脳と脊髄からなる中枢神経組織の中で、神経細胞(ニューロン)の細胞体に乏しく主に神経線維が集積し走行している領域である。
2024.05.23
ドクダミを除草剤を使わず防ぐ方法3選 生態と対策がよく分かる解説に「待ってましたよ!」 「これは嬉しい!」と大反響5/20(月) 1.お湯をかける方法 数年前から流行している湯をかける方法は「100%枯れる」もの。原価を安くすませられる点もメリットの1つです。一時的に土は傷みますが、熱が引けばまた微生物も発生して回復します。 デメリットとしては、まずは湯を庭へ運ぶことが危険だということ。また、残っている根が生きていると再び繁殖してしまう場合も。駆除という点では「効率が逆にすごく悪いんじゃないかな」というのがカーメン君さんの意見です。2.重曹を利用する方法 続いては重曹を利用する方法です。重曹は植物内に侵入して細胞を破壊し、葉の気孔を開けっぱなしにするため、植物は水分をとどめることができず枯渇し枯れるとのこと。さらに土の中に入った重曹によって根が伸びなくなり繁殖が止まる効果があります。コストパフォーマンスが良く使いやすい点に加え、土への残留もあまりないことも安心です。 デメリットとしては、水に溶かしてまく場合にしっかり吸収しない雑草だとあまり効果がない点です。粉末状でまけばそれなりの効果はあるものの、メリットとして挙げられたコスト面での負担にも。また、実際カーメン君さんがドクダミにかけてみたところ傷むは傷むものの、ドクダミに関しては「枯れない」という結果に……。根絶やしにするといった効果は見込めないかもしれません。3.防草シートをかける方法 3つ目はカーメン君さんが「最強」と言う「防草シートをかける」方法です。防草シートは敷くと遮光するので植物は育ちません。しかしコストがかかることや継ぎ目なく一面に貼ることで景観を損なうデメリットがあります。 “いずれ何かを植えたい場所なのか?”や“通路にするのか?”など今後どうしていきたいかを決めて防草シートを利用することをオススメするというカーメン君さん。植物を植えない場所にするのであれば、しっかり厚めのシートを敷いた上に、砂利やマルチング、バークチップ、人工芝など装飾的な工夫を施せば景観のマイナスもなく雑草が生えるのを長期にわたって防げるそうです。ドクダミは、環境や日当たりを見直し、石灰をまくなどして土壌環境を変えることで発生率を下げることができます。 土をあまり傷めたくない場合は刈り取るタイミングで発生を抑制することも可能です。時期は梅雨前の4~5月あたりが適していて、葉っぱだけでもさっさっと取り除くと光合成を防ぎ、樹勢を抑えます。
2024.05.23
イスラエル首相とハマス指導者の逮捕状、ICCが請求…発行されれば日本も拘束に協力義務パレスチナ自治区ガザでの紛争をめぐり、国際刑事裁判所(ICC、オランダ・ハーグ)のカリム・カーン主任検察官は20日、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相とヨアブ・ガラント国防相の2人、イスラム主義組織ハマスのヤヒヤ・シンワル指導者ら3人に戦争犯罪などの疑いで逮捕状を請求したと明らかにした。ベンヤミン・ネタニヤフヨアブ・ガラントヤヒヤ・シンワルICCの予審裁判部が今後、提出された証拠を精査し、逮捕状を発行するかどうかを判断する。発行されれば、日本を含むICC加盟124の国・地域は、ネタニヤフ氏らの拘束に協力する義務が生じる。 声明では、ハマスの3人に関し、昨年10月7日の越境攻撃でイスラエル市民らを無差別に殺害した行為が戦争犯罪などにあたる疑いがあるとした。イスラエルの2人については、ガザ地区を意図的に封鎖して食料や人道物資の搬入を途絶えさせたことに戦争犯罪などの疑いがあると指摘した。☆喧嘩両成敗(けんかりょうせいばい)とは、中世および近世の日本の法原則の1つ。喧嘩に際してその理非を問わず、双方とも均しく処罰するという原則。中世の人々が双方の損害を等価にしようとする「平衡感覚」と「相殺主義」への強いこだわりが指摘される。当時の人々はやられた分をやり返すのは正当な行為だと考えており、過剰なやりかえしが引き起こす「復讐の連鎖」が止まらないことが珍しくなかった。喧嘩とは「騒動」「喧騒」の意味であり、一族や村落を挙げた抗争事件や境界紛争なども意味している。喧嘩両成敗は、紛争当事者同士の「衡平感覚」を考慮しつつ、緊急に秩序回復を図るための決手段とも言える。「問題を起こしたら双方を処分」するのではなく、「問題を武力で解決(故戦防戦)しようとしたら双方を処分。」である。
2024.05.21
道端に咲くオレンジの花の正体 茎には毒…「切ったら黄色い汁」 自治体が続々と「注意喚起」 強い繁殖力も特徴5/11(土) ポピーのようなオレンジの花が道端に咲いているのを、見かけたことがある人はいるでしょうか。この花は「ナガミヒナゲシ」と呼ばれるケシ科の外来種で、4月から6月ごろにかけて花を咲かせます。しかし茎には毒があり、触るとかぶれる恐れがあるため、注意喚起を行う自治体も増えています。人通りのある道端や、植物の多い公園など様々な場所で咲く「ナガミヒナゲシ」。線路の高架横など、手が届かないような場所でも生息しているのが確認されています。街のあちらこちらに咲く理由について、専門家はナガミヒナゲシが持つ“特有の物質”が関係しているとしています。【大阪市立自然史博物館学芸員・長谷川匡弘さん】「『アレロパシー』という、根からほかの植物が育つのを抑制するような物質を出していると考えられています。ほかの植物の生育を抑えて、自分がどんどん広がっていく。そんな戦略を取っている植物です」さらに、生命力の強さには、もう1つ秘密がありました。「(実が)青い時は傘みたいなのをかぶっているんです。成熟すると傘が反ります。反ると下の方に窓みたいな(隙間が)あくんです。この中から種がパラパラとこぼれてくる。風で揺れると窓から種が飛んでいくんだろうと思います。それが人の足とかタイヤについてどんどん広がっていくのだろうと思います」研究によると、ナガミヒナゲシの実1つにおよそ1600粒、一株で15万粒ほどの種子が作られ、ものすごく強い繁殖力を持っているということです。専門家によるとナガミヒナゲシには有毒物質があるといいます。【大阪市立自然史博物館学芸員・長谷川匡弘さん】「黄色い汁が、茎を切ると出てくるんですけども、ちょっとピリピリするんです。肌が弱い人はかぶれたりする可能性はあると思います。ただ、毒はそんなに恐れるほど強いものではない」長谷川学芸員は、駆除をする際は毒性物質に触れないようにするため軍手やゴム手袋を着用し、黄色の液体が肌に付着したらすぐに水で洗うようにしてほしいとしています。大阪府堺市では5月2日、ホームページで「ナガミヒナゲシ」に関する注意喚起を行いました。道端に咲いていても、素手で茎を触ったり折ったりしないよう呼びかけたほか、自宅の庭などに生えている場合、ゴム手袋などをつけて注意して駆除をするよう求めています。堺市には去年まで、ナガミヒナゲシに関する相談は寄せられていませんでしたが、ことしに入って数件あったということです。内容は「空き地に咲いていて、近くで遊ぶ子どもが触ると危ないため処理できないか」などといった相談でした。しかし、ナガミヒナゲシは国の駆除対象となる「特定外来生物」には指定されていません。そのため堺市は注意喚起として、市民に初めて呼びかけることにしたということです。このような注意喚起は、大阪府貝塚市や八尾市、京都府大山崎町などでも4月から5月にかけて出されています。一見、可愛らしいナガミヒナゲシ。しかし繁殖力が強く、触ると害のある花なので、道端で見かけても触らないよう気をつけてください。
2024.05.12
寿命3倍、東芝エネルギーシステムズが開発「CO2吸収液」の実力5/11(土)東芝エネルギーシステムズ(川崎市幸区、島田太郎社長)は、劣化速度を従来の3分の1に抑える新しい二酸化炭素(CO2)吸収液を開発している。2023年度には佐賀市と共同で、同市の清掃工場に納めた同社製のCO2分離回収装置を用い、吸収液の約8000時間の運転を実施して性能を確認、良好な結果を得た。通常、排ガスからCO2を分離する際、アミン系の化学水溶液を用いる。分離回収装置では、発電や焼却などで発生した排ガスから、吸収塔内で低温状態の吸収液を用いてCO2を選択的に回収する。その後、再生塔で吸収液を加熱することで、CO2を放出させる。放出後の吸収液は吸収塔へと戻し、CO2の吸収に再利用する。 同社では13年に佐賀市の清掃工場に小型のCO2分離回収実験プラントを納入しており、16年には商用設備を納めている。同工場ではゴミ燃焼時に発生する排ガスの一部から、1日最大でCO2を10トン分離・回収が可能だという。開発した新しいCO2吸収液は、CO2回収量1単位当たりの必要エネルギーは現行と同等を維持しつつ、吸収液の劣化度合いを抑えることに成功した。同社パワーシステム事業部の斎藤聡炭素利活用技師長「CO2と結合する時の反応熱の小さいアミンを選び、さらにそこから壊れにくいアミンを選んでいった」吸収液の劣化を抑えることができればCO2回収システムの維持管理費低減のほか、大気へのアミン成分の排出量も減り、環境負荷も少なくなるなど、カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)の実現に貢献できる。新しい吸収液を用いた佐賀市清掃工場での約1年の実証では、劣化速度やアミンの排出量などを現行品と比較し、試験プラントと同等の結果を確認した。斎藤炭素利活用技師長「吸収液の性能をアピールしつつ、分離回収装置とのセットで顧客に販売していきたい」
2024.05.12
オランウータンが「薬草」で自分の顔の傷を治療、野生動物で初めて観察5/10(金) 2022年の夏、かつて誰も見たことのないオランウータンの行動が観察された。「ラクス」という愛称で親しまれているスマトラオランウータン(Pongo abelii)が、抗菌、抗炎症、抗真菌、抗酸化作用のある「薬草」を使って、頬にできた大きな擦り傷を丁寧に手当てしていたのだ。その様子を記録した論文が、2024年5月2日付けで科学誌「Scientific Reports」に発表された。「わずか数日でひどい傷が治り始め、さらに2日後には傷口が完全に閉じていました」と、論文の筆頭著者で、ドイツにあるマックス・プランク動物行動研究所の霊長類学者のイザベル・ラウマー氏は話す。「薬効のある植物を使って傷を治療する野生動物が観察されたのは、これが初めてです」 ラクスの行動は、インドネシア、スマトラ島のグヌンルセル国立公園内にあるスアックバリンビン研究ステーションを取り巻く熱帯雨林で観察された。研究センターは1994年から、周囲の保護林に生息したり、頻繁に姿を見せるオランウータンを観察してきた。動物たちに干渉することなく、あくまで見守る形で、その動きや行動を注意深く追跡、監視、記録している。「決して彼らの邪魔にならないように数十年間観察を続けてきた結果、向こうも私たちのチームが近くにいることにすっかり慣れてしまいました。人間の存在を無視してもいいのだとわかり、完全に野生のままの姿を見せてくれます」と、ラウマー氏は言う。 研究センターの周辺の熱帯雨林は、スマトラオランウータンが地球上で最も密集している地域だ。オランウータンの生息地は、森林伐採によって年々縮小している。そのため、本来単独行動を好むオランウータンたちが、お互いに近い場所で暮らさなければならなくなっている。 ラクスは、2009年から研究センターのなかやその周辺で暮らしている。2022年6月のある朝、研究者たちは、ラクスの右目の下の頬に大きく擦りむいた傷があることに気づいた。 その前に、ラクスは監視エリアの外に出て行っていたため、どのようにして負傷したのかは誰にもわからない。おそらく、木から落ちて枝にぶつかったのか、他のオランウータンと争ったときに負った傷だろうと思われる。 いずれにしても、傷はその後数日間膿み続け、「かなり悪いように見えました」と、ラウマー氏は言う。 3日目に、研究者たちはラクスがアカルクニン(Fibraurea tinctoria)というつる植物を探し求め、それを食べている様子を観察した。一般に傷の手当てや赤痢、糖尿病、マラリアの治療に使われている植物だ。 わざわざアカルクニンが生えている場所まで行って食べるという行動自体が極めて珍しいと、ラウマー氏は指摘する。「私たちのデータを見ると、ここに生息するオランウータンが食べるもののうち、アカルクニンが占める割合はわずか0.3%です」 ラクスの傷が感染症を起こしたり、発熱していたりしたら、理論的にはアカルクニンを食べることで症状は改善しただろう。ラクスがそうと理解してこれを食べていたのだとしたら驚くべきことだと、研究者は考えた。とはいえ、その時点ではまだ単なる憶測にすぎなかった。 しかし、次にラクスが取った行動は意図的としか思えないものだった。「ラクスは、葉をちぎって口に入れると、飲み込むことなくそれを噛み、抽出した液体を直接自分の傷口に塗っていたんです。それを何度も繰り返していました」 このようにして7分間傷の手当てを続け、その後さらに約30分にわたってアカルクニンを食べ続けた。「植物の液を傷口だけに塗っていたという点が重要です。体のほかの部分には付けていませんでした」と、ラウマー氏は強調する。そして今度は、噛んだ後の葉を「湿布のように」傷口に貼り付けた。 翌日も、ラクスはまたアカルクニンを食べに戻ってきた。3日後、傷口はふさがれ、順調に回復しているように見えた。1カ月ほどで、傷はほとんど目立たなくなった。 米オハイオ州にあるケント州立大学の人類学部長で生物人類学者のメアリー・アン・ラガンティ氏は、ラクスの行動について「注目すべき発見」としながらも、「オランウータンの高い知能を考えれば、それほど驚くことでもありません」と話す。オランウータンが植物で傷の手当てをする様子を科学者が初めて観察動物が自己治療するケースは記録されているが、動物が傷の治療に薬草を使うケースは知られていない。しかし、ドイツのマックス・プランク動物行動研究所とインドネシア国立大学の生物学者による最近の観察によると、オスのスマトラオランウータンが顔の傷を薬草で治療していたことが記録されている。オランウータンは、伝統医療でよく使われる抗炎症・鎮痛作用のある登山植物の汁を食べ、繰り返し塗った。また、傷口全体を緑の植物のネットで覆っていた。このように、傷の治療はヒトとオランウータンの共通の祖先から始まったのかもしれない。痛みや回避行動はヒト以外の動物でも定期的に観察されるが、特定の植物の一部を飲み込むという形のセルフメディケーションは動物の間で広く見られるが、発生頻度は低い。ヒトに最も近い類人猿は、寄生虫を治療するために特定の植物を摂取し、筋肉痛を治療するために植物で皮膚をこすることが知られている。最近では、ガボンでチンパンジーの一群が傷口に昆虫を塗っているのが観察された。しかし、この行動の有効性はまだわかっていない。生物学的に活性な物質による傷の治療は、まだ記録されていない。ドイツのコンスタンツにあるマックス・プランク動物行動研究所とインドネシア国立大学の認知・進化生物学者が、野生の雄のスマトラオランウータンに薬草による積極的な創傷治癒の証拠があることを報告した。キャロライン・シュプリとイザベル・ラウマーが率いるこの研究は、絶滅の危機に瀕しているスマトラオランウータンが約150頭生息する熱帯雨林保護地域であるインドネシアのスアック・バリンビン調査地で行われた。「オランウータンを毎日観察していたとき、ラクースという名のオスが顔に傷を負っていることに気づきました。おそらく隣のオスとケンカしたのでしょう」と研究の筆頭著者であるイザベル・ラウマー(MPI-AB)は言う。傷の3日後、ラクスは一般にアカル・クニン(Fibraurea tinctoria)として知られるつる性植物の葉を選んで摘み、噛み砕き、できた樹液を顔の傷に数分間繰り返し塗った。最後に、噛んだ葉で傷口を完全に覆った。
2024.05.11
「日本には硫黄がある」軽くて低コストの電池、実用化へ研究会発足4/25(木)次世代の蓄電池の一つである「リチウム硫黄電池」など、電極に硫黄を使う電池について、実用化に向けた企業などの研究会が関西で発足した。硫黄を使う電池は低コストで重量が軽く、ドローンなどの飛行体にも向いているとされる。火山国の日本で豊富にとれる物質でもあり、期待は大きい。 研究会の名称は「硫黄系電池事業創出研究会(SULKEN)」。硫黄をつかった電極の開発に取り組んでいる住友ゴム工業(神戸市)、ADEKA(東京都)の素材メーカー2社と、国の研究機関である産業技術総合研究所(産総研)などが設立した。2社がほかの企業の技術者らと幅広く意見を交わす機会を設け、協業につなげるのが狙いだ。 産総研などによると、硫黄を使った電極素材は理論上、現状のリチウムイオン電池の数倍のエネルギー密度が見込め、同じ容量でも軽量の電池がつくれる。資源が偏在しているコバルト、ニッケルなどとは違って国内に産地が多いほか、原油の精製過程でも大量に産出され、コスト面でも期待が大きい。
2024.05.02
なんと、日本の技術がアメリカに勝利…! 月の「過酷な夜」をものともしないSLIMの「驚愕の高性能」5/1(水) 「おおすみ」から54年後、日本は月探査機「SLIM」を月面に着陸させた。月面への探査機の着陸は世界で5番目だが、その凄さは「SLIM」の別名、「ムーンスナイパー」にある。 2024年1月20日、午前0時20分、月面着陸した「SLIM」は、着陸寸前の高度50mで2基のエンジンのうち1基が損壊したにもかかわらず、着地目標点からわずか55m離れた場所に着地を果たした。 これまでの各国の月着陸機の着陸点は誤差10kmが「常識」だった。誤差数キロから10kmは、銀座4丁目交差点のど真ん中を狙ったのに東京ディズニーランドの西端に着地してもいいや、というぐらいの誤差だ。 では月着陸機は、なぜそれほどの着地精度が必要なのか。佐伯和人さん 地球上でも、広大な乾燥しきった砂漠地帯もあれば、極寒の極地、深い緑と豊かな水、そして太陽エネルギーが豊富な熱帯雨林地帯もある。それと同じで、月も、水や資源、太陽エネルギーが十分得られる場所があるが、その場所はごくごく限られている。 そのため、各国はその月の「一等地」を目指している。その「一等地」を先に確保し基地を建設した国が、月利用の「勝ち組」になる。月利用の「勝ち組」になるためには、月探査機によって「一等地」の候補地を精密に調べる必要がある。銀座4丁目交差点のエリアが「一等地」候補であれば、何よりもまずそこを調べることが重要だ。 そのため、銀座4丁目交差点を狙ったのに10km離れたディズニーランドに着地したのでは「一等地」を逃すことになる。 月は、将来の資源採掘や火星など他の惑星への宇宙飛行、人類の移住地としての重要性が増すが、それにふさわしい「一等地」の条件の第一は「水」だ。水が得られる「一等地」であれば、太陽光発電による電気分解によって、他の地域よりも水素ガスと酸素ガスがより多く得られる。 水素ガスは月を発進する探査機の燃料に、酸素ガスは水素を燃焼する酸化剤になる。H3ロケットもかつてのスーペスシャトルも、燃料は水素と酸素なので宇宙往還機の燃料として使うノウハウは十分にある。「水」は月面で食料となる植物の栽培や人の呼吸にも役立つ。佐伯さんは、月の水の起源の可能性を3つあげている。 一方、ごく微量の水を取り出すにはできるだけ多くの太陽エネルギーを利用する必要があるが、月面で年間を通して太陽光が当たる場所もごくごく限られている。月面の「一等地」は、水という資源と太陽光というエネルギーが豊富な場所を指すのである。 そういう「一等地」をなによりも早く見つけたい。 日本が自力で宇宙飛行士を月に送ることができなくても、無人探査機でいち早く「一等地」を見つければ、宇宙飛行士を月に送ることができる国と連携して、「一等地」での月面基地建設で大きなイニシアチブをとることができる。 14年前、「我が国の月探査戦略」が重要なマイルストーンとして「ロボットによる月面へのピンポイント軟着陸」を記したのは、このことだったのだ。 「SLIM」が世界初となる誤差55mという超高精度での着地を成し遂げたことは、間違いなく大きなイニシアチブを手にしたことを物語っている。 4月17日、SLIMのプロジェクトマネージャの坂井真一郎さんは、H3ロケットのプロジェクトマネージャ、岡田匡史さん、JAXAの山川宏理事長とともに首相官邸に招かれた。岸田総理は、山川理事長同行のもとバイデン大統領との会談で、米国に次いで日本人宇宙飛行士が月面着陸を行うことになった取り決めを披露。加えてアメリカでもSLIMへの関心が高く、「米議会でのスピーチでもSLIMのピンポイント着地について紹介した」と明かした。 岸田総理が米議会でのスピーチでSLIMに触れたことを伝えたメディアはなかったので初耳だったが、SLIMの成功はバイデン大統領との月面プロジェクトに関する協議でも大きな役割を果たしたことを伺わせた。 また、今後の月探査では大型ロケットという日本独自の「輸送力」も必須条件だが、H3ロケットの成功が日本の月探査にとっても大きな意味を持つことを、岸田総理自身語っていた。 そして、坂井プロマネの首相官邸表敬訪問から1週間後の4月24日、休眠中だった「SLIM」が3度目となる目覚めを果たした。 -170℃という極低温環境での3度にわたる「休眠」だっただけに、まさか! という思いだ。 岩石分析をする「マルチバンドカメラ」は電源入るもののまだ観測はできない状態で復活の努力が続いているが、着地用の「航法カメラ」は健全で、これまでと同様の月面写真を地球に送ってきたのだ。 小惑星探査機「はやぶさ初号機」が数え切れないほどのトラブルに見舞われながらも、地球目前にまで戻ってきた時、プロマネの川口淳一郎さんは、『「はやぶさ」、そうまでして君は。』という一文を発表して話題になった。 私はそれにあやかり、「そうまでして君、SLIMは」と語りかけたい思いだ。
2024.05.01
2008年01月31日「命ということ 心ということ」(椋鳩十著)の「肉体の神秘」という文章が載っている。椋さんは77歳の時、循環不全*と医者に宣告された。*心臓および血管系から各臓器,組織に対して必要な質および量の血液を循環することができない病的状態「心臓をとりまく血管に、コレストロールがたまった、十分に、血が流れないことです。まあ体が、かなり悪くても、長生きする人もありますからね。」椋さんはそれまで90本吸っていたタバコをぴたりとやめた。4,5ヵ月後、今度は突然、脚のふくらはぎが痛くなった。「動脈瘤のようですね。」レントゲンをとると脛の動脈が15センチほどなくなっていた。「動脈がなくなったということはどういうことですか?」「脛に血が流れていないということです。」「脛に血液が流れないとどうなります?」「脛が腐ってしまいますね。」「脛が腐ったら?」「命がなくなります。」ところが自然と血流のバイパスができた。「命を助けるために、肉体は、自分の力でバイパスを作って、腐り始めた動脈を自分自身の中に吸収してしまうのですね。」椋さんはお医者さんの話を聞いて、レオナルド・ダ・ビンチの言葉を思い出した。「人間の肉体は、小宇宙だ。いやいや、宇宙そのもののごとく、奥深く、言語に絶した素晴らしいものである。しかしまた、この素晴らしい肉体の中に、ブタの腸のごとく、汚い精神が宿ることがあるが、なぜだろう」椋さんは病院から退院してきたときこう思ったという。「肉体の素晴らしさに対して、私の心もまたこれに、ふさわしい答えをしなければならない。」心をハツラツとしよう。心をハツラツとするためには、心を燃やすことだ。家にいるときは朝に晩に、心を感動を与えてくれるようなものを読もう。孤独は精神を集中させる。精神が集中すると、太陽の光のように素直にものがはっきり見えてくる。さまざまな人、さまざまなものと出会うために旅にもでよう。レオナルド・ダヴィンチがいう「大宇宙のごとく素晴らしい」わが肉体にこたえるために・・・☆キータンのブログに「お酒を呑んでもいいですか?」とあった。「お酒を呑んでもいいのでしょう?」退院する時にたずねると先生は「う~ん」とうなった。「エッ、お酒は駄目なのですか?」「いいや、お酒を呑んではいけないとは言ってはいません。ただ……」先生は苦笑いをしながら血液検査報告書を見せてくれた。「γ-GTP、血糖値、中性脂肪、すべて良好です。、入院して生活習慣病がすべて治っているということです。お酒を控えて塩分控えめな食事した結果がこうなったということを自覚してください」そう、先生は微笑みながら言ったという。
2024.04.03
「カラス語」でゴミ集積所を荒らすカラス撃退、足立区の対策が大きな成果…ゴミ出す住民の意識も向上3/26(火)ゴミの集積所を荒らすカラス。東京都内でも各地で住民の頭を悩ませているが、足立区が昨夏に実施した対策が大きな成果を上げ、注目を集めている。カラスが嫌がる「カラス語」を利用して集積所から追い払うという前代未聞の対策で、見事に成功し、カラスが姿を見せなくなったという。ゴミを出す住民の意識向上にもつながったといい、区は今後も必要に応じて実施していく考えだ。区がたどり着いたのが、カラス被害のコンサルタント会社「CrowLab(クロウラボ)」(宇都宮市)が開発した「クロウ(カラス)コントローラー」だった。鳴き声を分析 機器は縦21センチ、横16センチ、厚さ10センチの大きさで、カラスが近づくと赤外線センサーが反応し、スピーカーから数秒間カラスの鳴き声が流れる。人や天敵である猛禽(もうきん)類が近づいた際に録音したカラスを不安にさせる鳴き声で、周囲のカラスに「この場所は危険」だと知らせる。 区が昨年6月から9月、竹ノ塚駅周辺など特にカラスの被害が大きい集積所5か所で機器を試験導入すると、効果はすぐに表れた。集積所に近づいてきたカラスが鳴き声を聞くと、その場から離れていく様子が確認されたという。 同社社長で宇都宮大特任助教の塚原直樹さん(44)は20年以上カラスを研究しており、カラスの鳴き声のサンプルを収集し、どのような状況で鳴いたのかを分析するなどしてきた。「1万以上のサンプルを分析した結果、警戒した際のカラスの鳴き声が、別のカラスを遠ざけることが確認できた」と自信をみせる。意識向上にも 思わぬ「副作用」もあった。センサーはゴミを出す人などにも反応してカラスの鳴き声を周囲に放つため、ゴミを出す人は、カラスが近くにいるように感じるのか、自然とネットの中央にゴミを出すようになった。また、荒らされていない集積所を見て別の集積所を利用する住民も防鳥ネットを正しく利用するなど設置前に比べ自発的にカラス対策を行うようになったという。 区は昨年12月、クロウコントローラー5台を正式に購入。今後、集積所への設置の要望があれば貸し出しを行うほか、集積所をきれいに使うことを呼びかけるチラシも配布する。 足立清掃事務所の長谷川澄雄所長は「カラスを集積所から移動させるだけでなく、ゴミを出す住民の行動変化にもつながった。今後も住民の意識の変化を促しながら、きれいな街・足立を目指していきたい」と話している。生態正しく知り共存へ カラス研究のススメCrowLab社長 塚原直樹(宇都宮市) 彼を知り己を知れば百戦殆(あやう)からず。カラス対策はまさに「彼」を知ることが重要だ。正しく生態を理解し、研究すれば、百戦勝つことはできずとも、より適した対策につなげることで、より良い関係を築けるはずだ。 では、どうすれば正しくカラスを知ることができるのか。先入観にとらわれない、擬人化しない、結果を疑う、この三つが鍵と考える。 身近なイヌやネコは鼻が効くため、動物は嗅覚が優れると思いがちだ。しかし、カラスの嗅覚が鈍いことを示唆する解剖学的な証拠がある。ゆえに、臭いでカラスを寄せ付けなくする対策は難しい。 トウガラシの激辛ソースをごみ袋に塗りたくれば、カラスもごみを荒らさなくなるのでは、というアイデアを耳にする。つい調子に乗って度が過ぎた辛みを食べ、体調を崩した経験のある方も多いだろう。その感覚を基にすると、カラスも嫌がりそうだ。しかし、カラスはへっちゃらである。なぜなら、鳥はトウガラシの辛み成分のカプサイシンを感じにくいからだ。 試しに、強烈な臭いを放つ芳香剤をごみ集積所の上にぶら下げたり、激辛ソースをごみ袋に塗ってみたりするとしよう。おそらく、カラスのごみ荒らしを防げるはずだ。 はて? 言っていることがあべこべだと思われただろうか。カラスの嗅覚は鈍く、激辛も大丈夫だとすれば、これらの対策をしてもごみは荒らされてしまうのではないか。 実は、違う要因でごみ荒らしを防げている。それは、変化自体が原因だ。 芳香剤の容器やソースの塗られたごみ袋など、いつもと違う状況が、記憶力と洞察力に優れるカラスを警戒させる。そのため、この時はごみが荒らされるのを防げたのだ。だが、これらの対策はカラスにとっては実害がない。そのため、何回か試した後には必ず効果がなくなる。 私は、この一時的な効果を「かかし効果」と呼んでいる。かかしはヒトを模した対策だ。しかしカラスは、微動だにしないかかしをヒトとは思わないだろう。かかしも、設置直後はカラスを寄せ付けない。見慣れないものがあるのでとりあえず近づかないでおこう、とカラスが警戒するためだ。ただ、何度も目撃していると、警戒すべき対象ではないと判断し、無視するようになる。 対策を研究する上で、このかかし効果が厄介だ。一見、カラスが嫌がっているような結果を出してしまうからだ。先入観や擬人化による誤った解釈の後押しで、間違った「効果的なカラス対策」を発見してしまう。都合の良い結果をすぐに信じてはいけない。 そして「己」を知ることが重要だ。カラス対策で言えば、ヒトの行いが被害に直結している。「彼」を知ろうとすれば、きっとそれに気付く。共存の道が近づくはずだ。 【略歴】鳴き声でカラスの行動を制御する製品などを提供するCrowLabを設立。ふん害や食害といった対策を全国で手掛ける。宇都宮大特任助教。桐生市出身。
2024.03.27
「記憶」に深く関わるニューロン発見、脳の治療や書き換えに繋がる可能性3/10(日)ドイツのフライブルク大学のルカス・クンツ博士とその同僚らが、最近の『Nature』に発表した研究によると、内側側頭葉の特定のニューロンが人間の連想記憶と高い共活性を持つことがわかった。つまり、2つの異なる物体の間に連想記憶を確立するとき、私たちは繰り返しの相互作用を通してその記憶を学ぶ。電車で向かい合って座っていた人の顔を覚えることができないのは、それだけでは十分な刺激にならないからだ。内側側頭葉の特定のニューロンがその人の顔を見ることを処理するために活性化するが、その記憶は海馬に刻み込まれない。しかし、数週間あるいは数カ月にわたって毎日その人に出会っていれば、それらのニューロンは定期的に同じデータで刺激され、記憶が作られる。連想的に、電車に座っていたことを思い出すと、その人の顔も思い浮かぶかもしれないし、その逆もあり得る。連想記憶が呼び起こされると、記憶の形成時に最初に刺激されたニューロン活動が、海馬の活動とともに再び活性化される。この脳波パターンは、しばしば睡眠中の回想の瞬間に引き起こされる。クンツ博士らは、記憶課題に参加する被験者をモニタリングすることによって、この共活性化を明らかにした。参加者は仮想環境で8つの物体とその位置を覚えるように求められた。最初の記憶作業中に、研究者らは内側側頭葉で有意な局所活動を観察した。その後、被験者に物体とその場所を思い出す課題を与えたところ、内側側頭葉の同じニューロンが脳波の海馬の活動と同時に発火した。さらに研究者らは、参加者が回想を繰り返すにつれて、そのニューロンや海馬活動の活動とともに記憶能力が向上することを指摘した。これは、特定の記憶に対する慣れとともに、神経活動が強化することを示唆している。再生医療に関しては、この研究は多くの異なる方向に私たちを導くことができる。まず第1に、この研究は、記憶喪失をもたらす神経変性疾患や外傷への理解を深めることにつながるだろう。加齢にともなう記憶障害は、高齢の米国人の約40%に影響を与えており、その多くはアルツハイマー病などの疾患に進行する。ニューロンを標的とした刺激により、おそらく一部の記憶喪失は予防したり、回復させたりすることもできるかもしれない。第2に「脳=機械インターフェース」の観点から、この研究はより高度な神経補綴物(神経系の入力または出力を補完するように設計された医療機器)の開発につながる可能性があり、記憶障害のある人に治療効果をもたらす可能性がある。3つ目は、おそらくこの3つの中で最もSF的なものだが、人工的な記憶の開発や記憶の改変が考えられる。もし個人が厄介な記憶を忘れたいと思えば、その重荷から解放されるだろうし、誰かが新しい経験をしたいと思えば、人工的な記憶を事実上追体験できるかもしれない。かつては不可能だと思われていたこれらのアイデアも、日に日に実現可能性が高まっている。この分野のさらなる研究を非常に楽しみにしている。なぜなら、それが再生医療と私たちが知る人間の経験に大きな影響を与える可能性があるからだ。
2024.03.10
エジプト・ファラオの上半身像発掘 1930年発見の下半身像と一致3/5(火) エジプト観光・考古省は4日、中部ミニヤ県アシュムネインの遺跡で紀元前13世紀に在位した古代エジプトのファラオ(王)、ラムセス2世の上半身の彫像を発掘したと発表した。1930年にドイツの考古学者が見つけた下半身の像と一致することが判明したという。上半身の像はエジプトと米国の合同調査チームが発見した。同省によると、像は石灰岩で作られており、高さ約3・8メートル。王権の象徴とされる二重の王冠と、コブラを乗せた飾りを頭に着けており、背面にはヒエログリフ(古代エジプトの象形文字)で王をたたえる文面が記されていた。下半身と合わせると、約7メートルの高さになるという。 ラムセス2世は新王国時代のファラオで、数多くの神殿などを建設したため「建築王」と呼ばれることもある。国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産に登録されているアブシンベル神殿を造営したことでも知られている。
2024.03.06
今後もM7、津波3m発生を懸念 能登震源域周辺、専門家が解析3/2(土) 能登半島地震の震源域周辺に、あまり動いていない断層や、ひずみのたまった断層があり、今後もマグニチュード(M)7クラスの大きな地震や津波の発生が懸念されるとの解析を、東京大地震研究所の佐竹健治教授(地震学)や東北大の遠田晋次教授(地震地質学)が2日までにまとめた。 1月1日に最大震度7、M7.6を観測した後も周辺では地震が続いている。同9日には震源域の北東端付近でM6.1の地震があり、新潟県長岡市で震度5弱を観測。佐竹氏は「さらに大きなM7クラスの地震が発生すると、佐渡島を含む新潟県沿岸で3m程度の津波が予想される」と注意を促す。 能登半島地震の震源域は、半島を北東から南西に横断するように約150キロにわたって延び、北東端は佐渡島西方沖、南西端は半島の西方沖に及ぶ。複数の断層が連動したとみられている。 佐竹氏は今回の震源域と重なる七つの断層の動きを分析。半島北側の沿岸部周辺にある四つの断層が1.2~4.1mずれ動いた一方、北東端の二つと南西端の一つはほとんど動いていないとの結果が出た。💛佐竹氏の警告を無視すべきではない。郷里に愛着する心情は理解するも、少なくも津波の恐れのある「北東端の二つと南西端の一つ」の地域や道路が寸断され壊滅的被害のあったところは、ボランティアなどへの二次被害が最小限にするためにも一時移住したほうがよいのでは?
2024.03.03
千葉沖で地震活動が活発化、プレート境界面が緩やかに動く「スロースリップ」影響か千葉県東方沖地震活動が2月下旬から活発化地震調査委員会3月1日臨時会議プレート境界がゆっくり滑るスロースリップで地震活動が起きてる「今後も震度5弱程度の強い揺れ観測の可能性がある」平田委員長「南関東はM7代地震が起きる可能性が非常に高いことに注意」
2024.03.02
新属新種の植物「ムジナノショクダイ」を発見 鹿児島・肝付の山林ムジナノショクダイはキノコのような形で、全体が白く、数珠状のゴロゴロとした根を持つ。根の先端からの高さは3センチ。6月上旬の約1週間だけ、触手のような花の部分(高さ2ミリ、直径2センチ程度)が地表に現れる。 最初に見つけたのは福岡市の植物愛好家、中村康則さん(49)。2022年6月、鹿児島県肝付町の山林の中で、タヌキノショクダイの仲間のように見える白い花が、雨で流されて落ちているのを見つけた。知人の研究者を通じて神戸大の末次健司教授(植物生態学)に詳細な検討を依頼した。 タヌキノショクダイ科の植物は東南アジアを中心に5属100種程度存在している。末次さんらが形態を詳細に調べ、さらに遺伝子解析をした結果、見つかった植物は既存の属の植物とは異なることが分かり、チームはタヌキノショクダイ科の新属「ムジナノショクダイ属」として発表した。 末次さんによると、植物学者・牧野富太郎(1862~1957年)ら先人の功績によって、日本は世界で最も植物の調査が進んでいる国の一つだという。このため新属はもちろん、まったく知られていなかった新種の植物が見つかることも極めてまれで、末次さんは「今回の発見は日本の植物史の中で歴史的な意義を持つ」と話す。 研究成果は、日本植物学会誌「ジャーナル・オブ・プラント・リサーチ」電子版に掲載された。 ◇発見の中村さん「喜びと震えがきた」 新属新種の植物「ムジナノショクダイ」は、年に1週間程度しか地表に姿を見せない。時期がわずかにずれるだけで完全に地中に埋まってしまうため、開花時期以外に偶然見つけることは「ほぼ不可能」(末次さん)という。 22年6月、中村さんが白い花を見つけた翌週に末次さんらが同じ場所に調査に行ったが発見できなかった。1年後の23年6月上旬、中村さんらが再度調査し、ようやく4個体を発見。遺伝子解析などのための試料を確保することができた。 日本では、発見と同時に新属と認識され、現在もその属名が認められている植物は1930年発表の「オゼソウ属」以降なかった。中村さんは「植物が好きで、普段から山を歩く時は地面を見ているが、雨で偶然転がり落ちていなければ発見は難しく、運も良かった。当初は単に新種かと思っており、正式に新属と分かった時は喜びとともに震えがきた」と振り返る。末次さんも新属の発見について「自分が発見に携わるかどうか以前に、もう日本にはそんな植物は存在しないと思っていた」と語る。 ムジナノショクダイは、おしべとめしべを支える構造やその位置関係がこれまで知られていた仲間とは異なるなど、複数の属の特徴を併せ持っていた。
2024.03.02
南太平洋に沈む「第8の大陸」…これまでの知見より2倍古い、10億年前のものだったニュージーランドを取り囲む太平洋の下には、ジーランディアと呼ばれる「8番目の大陸」が隠れている。ジーランディアの94%は海底に沈んでいるため、この大陸の年代を判別したり、地形図を作成したりすることは困難だ。新たな研究によると、ジーランディアは10億年前に形成された。これは地質学者が以前考えていたよりも約2倍古いという。南太平洋の深さ約1000メートルの海底に、オーストラリアの約半分の面積に相当する広さ500万平方キロメートルの地殻がある。しかし、ジーランディアと呼ばれるこの海底に沈んだ土地が大陸であるかどうかは、科学者たちの間でも意見が分かれている。2017年に地質学者チームが大陸であると宣言したが、すべての研究者が納得したわけではなかった。「山や国、惑星といったものと違い、大陸であるかどうか承認する正式な機関は存在しない」と、2017年に地質学者チームを率いたニュージーランドの研究機関GNSサイエンスの地質学者、ニック・モーティマー(Nick Mortimer)がInsiderに語っている。大陸の定義についてはまだ議論されているところだがが、モーティマーのチームは、明確な境界線を持ち、100万平方キロメートル以上の面積があり、大陸地殻が周囲の海洋地殻よりも厚く、高い位置にあることを提案している。ジーランディアは、これらの条件をすべて満たしている。「もし海の水を抜いたとしたら、ジーランディアは海底から高く盛り上がった台地に見えるだろう」とモーティマーは言う。彼はジーランディアのことを「最も薄く、最も沈んでいる、最も小さい大陸」だと考えているしかし問題は、他の大陸には10億年以上前の地殻が存在するのに対して、ジーランディアで採取された最古の地殻や岩石は5億年前のものでしかないと、つい最近まで考えられていたことだった。しかし、2021年5月12日に公開された研究論文によると、ジーランディアの一部が、これまで地質学者が考えていたよりも2倍も古いことが判明し、モーティマーの主張を後押しすることになった。「今回の研究により、最後のチェック項目が満たされた」と、ニュージーランドの地質学者であり、論文の筆頭著者であるローズ・ターンブル(Rose Turnbull)はプレスリリースで述べている。「我々が大陸の上にいることに、もはや疑いの余地はない」1995年に地球物理学者のブルース・ルイエンダイク(Bruce Luyendyk)が提唱したジーランディアとは、ニュージーランドと周辺の海底にあるいくつもの地殻の塊で構成される。この地殻とは、約8500万年前にゴンドワナと呼ばれる古代の超大陸から分離したものだ。ジーランディアは、ゴンドワナから分離した後の約3000万年から5000万年の間にその約94%が海底に沈んだ。そのため、研究するのは非常に困難だ。今回の研究では、ニュージーランドの南島とスチュアート島の下から採取された169個のジーランディアの花崗岩の調査が行われた。花崗岩とは、地殻の奥深くでマグマが結晶化してできたものだ。研究チームは、花崗岩から微細な結晶を取り出すことで、結晶自体の年代と、結晶が形成された地殻の年代の両方について分析することができた。その結果、この地殻は13億年前から9億年前に形成されたロディニアというゴンドワナよりもさらに古い超大陸の一部であったことがわかった。つまり、ジーランディアの地質学的な歴史は、5億年前よりもはるかに早い時期に始まっていたのだ
2024.02.13
英国大使館跡に弥生後期の大規模集落、竪穴建物跡40基以上…マンション建設予定地で調査 東京都千代田区は9、10日、英国大使館跡地(同区一番町)で発見された弥生時代や江戸時代の遺跡を区民らに公開した。土地を所有する三菱地所レジデンスなどが調査を進めており、弥生、江戸の両時代の人々の生活がうかがえる貴重な資料も見つかっている。 「土が赤く変色しています。ここは料理を煮炊きしていた場所」。9日午前、発見された弥生時代の竪穴建物跡の前で、調査員が当時の生活の様子などを、訪れた人に説明していた。 これまでの調査では、弥生時代後期とみられる竪穴建物跡も40基以上発見された。このほか、弥生土器に加え、縄文土器も見つかっているという。 遺跡が見つかったのは、同社が2022年4月に英国から購入した英国大使館の敷地の一部。マンションの建設予定地として購入されたが、23年2月に区の試掘で遺跡が発見され、同社が同6月から本調査を行っている。調査は今春までに終了する見込みで、順次、埋め戻しながら、マンション建設を進める予定という。今回の調査地域は、旗本や大名の武家屋敷などとして利用されていたとみられており、調査では地下室や上水跡なども確認された。 区内には、江戸時代を中心に97か所の遺跡が登録されているが、弥生時代後期の大規模な集落が見つかるのは初めてという。江戸の町が整備される以前の暮らしを知る手がかりとしても期待されている。 区の学芸員、相場峻さん(36)は、「江戸時代は切り土や盛り土をして土地を開発してしまうことが多く、これほど大規模な弥生時代の遺跡が残っていることに意義がある」と話した。 同社や区などは、26年3月末までに、遺跡について報告書をまとめ、区民らにも閲覧できるようにする予定。
2024.02.12
オオバンという黒い水鳥を散歩の途中よく見かけるようになった。オオバン体全体まっ黒で嘴と額が白い水鳥カモに似るがカモ目ではなくツル目オオバンは1960年代まで秋田県以北で繁殖 越冬期には西日本へ渡る鳥だった1980年代から日本での越冬・繁殖分布が広がり1990年代以降九州より北の県で繁殖・越冬するようになった特に越冬個体は驚くほどの急増ぶり西洋では、その色彩やら身のこなしから美や雅(みやび)のシンボルとなるいっぽうで、白い頭部の連想から、英語で「額がハゲあがっている」ことをas bald as a coot(オオバン)という。
2024.02.07
2月6日、東京都心は午後2時30分までの最高気温が5.0℃となり、今シーズン一番の寒さとなっています。午後2時の積雪は4センチ。気温が低いのでなかなか雪がとけずに残っている状況です。今夜から明日7日朝にかけては厳しい冷え込みとなり、路面凍結に注意が必要午後2時30分までの最高気温は東京都心で5.0℃。昨日5日の最高気温6.2℃を下回り、今シーズン一番の寒さとなっています。横浜市で5.5℃、千葉市で5.0℃など関東の各地でこの冬一番の寒さです。午後2時の積雪は東京都心で4センチ、さいたま市で1センチなど、気温の低い状態が続き、雪のとけにくい状態が続いています。今夜から明日7日朝にかけては、関東各地で厳しい冷え込みとなるでしょう。
2024.02.06
月面着陸の「SLIM」 JAXA理事長「実証、大体のことは全て実現」2/9(金)宇宙航空研究開発機構の山川理事長は、日本初の月面着陸に成功した探査機「SLIM」について、「実証としては全て実現した」と述べました。JAXAの「SLIM」は1月、逆立ちの状態で月面着陸に成功し、当初は太陽電池が発電しませんでしたが、9日後に太陽光が当たるようになり、運用の再開を果たしました。山川理事長「まずは非常にシンプルな言葉で非常にうれしかったということと、実際にそういったデータに基づいてその通りになったというところが、非常にすばらしいところであった」これにより画像の撮影にも成功し、山川理事長は「実証として大体のことは全て実現した」と述べました。一方、現在は夜になり再び「休眠」状態となっている「SLIM」。 氷点下170度とされる過酷な夜を越す想定ではつくられていませんが、再び太陽光が当たる2月中旬以降に「プラスアルファの成果」を目指し、再開に挑戦する予定です。「探査の扉開いた」 精密着陸、科学観測も完遂 トラブル乗り越え月到達・SLIM2/4(日)宇宙航空研究開発機構(JAXA)の小型無人探査機「SLIM(スリム)」が1月20日、日本初の月面着陸に成功した。 2023年9月に打ち上げられたSLIMは、3カ月半後の12月25日に月を周回する楕円(だえん)軌道に投入された。着陸地点の「神酒(みき)の海」にあるクレーターを目指し、飛行中に撮影した月面画像を詳細な地形データと比較しながら位置を把握する「画像照合航法」で接近。計14回の照合はいずれも正確だった。 しかし、着陸の約30秒前、高度約50メートルで2基あるメインエンジンの片方が破損。残る1基で降下を継続し、ゆっくりした速度で着地した。最終的には東に約55メートルずれ、太陽電池が上面に向くはずが、エンジン破損の影響で垂直に「逆立ち」した姿勢に。着陸直後は太陽光が当たらず、機能しない状態となった。 坂井氏は、エンジンが直前まで正常に動作していたことなどから「エンジン以外の外的要因が波及した可能性が高い」と指摘。原因究明を継続する意向を示した。 搭載機器のうち小型ロボット2機は、着陸直前に投下され月面で活動。このうちタカラトミーなどと共同開発した「LEV―2」はSLIMの機体を撮影し、地球に送信した。科学観測用の分光カメラは、太陽電池が発電を再開して以降、予定の撮影を完了。鉱物組成などから月の成り立ちを解明する手掛かりが得られると期待される。 成果を巡っては、JAXA宇宙科学研究所の国中均所長が着陸直後の会見で「60点」、ピンポイント着陸判明後も「63点」と自己採点していたが、政府の宇宙政策委員会の常田佐久委員長代理(国立天文台長)は、「100%に近い成功」と高く評価。「月に着陸したことがなかった日本が、さらにピンポイントまで成功したのは大きなインパクト。(国際月探査の)アルテミス計画にもいい影響があるのは確かだ」と述べた。小型月着陸実証機(SLIM)の月面着陸の結果・成果等について2024年(令和6年)1月25日国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構・SLIMの主ミッションであった100m精度のピンポイント着陸の技術実証は達成できた・探査機からは、今後のピンポイント着陸技術に必要な着陸に至る航法誘導に関する技術データ、降下中及び月面での航法カメラ画像データを全て取得できました。また、接地直前には小型プローブ(LEV-1・LEV-2)の放出を成功裏に実施しました。加えて、SLIMに搭載されたマルチバンド分光カメラ(MBC)についても、電源オフまでの間に試験的に動作し、撮像画像を取得できました。・高度50m時点で障害物回避マヌーバを開始する直前、2基搭載されているメインエンジンの1基の推力が失われた可能性が高いことが判明しました。その状況下でSLIM搭載ソフトウェアは自律的に異常を判断し、徐々に東側に移動するSLIMの水平位置がなるべくずれないように制御しながら、もう1基のエンジンでの降下を継続しました。接地時の降下速度は1.4m/s程度と仕様範囲内より低速でありましたが、横方向の速度や姿勢などの接地条件が仕様範囲を超えていたため、結果として計画と異なる姿勢に落ち着くことになったと考えております。メインエンジンの機能喪失原因については、メインエンジン自体ではない何らかの外的要因がメインエンジンに波及した可能性が高い・
2024.02.04
「街を森に」…透明太陽電池の量産化を目指す2/3(土) ■京のスタートアップ「OPTMASS(オプトマス)」(2021年創業、京都府宇治市) 太陽光のうち、目に見えない赤外光を活用して発電する「透明太陽電池」を開発している。世界の研究機関などが実用化を競う中、京都大化学研究所の准教授で、最高技術責任者の坂本雅典氏(46)が、赤外光のみを効率的に吸収できるナノ粒子(ナノは10億分の1)の開発に成功した。2030年をめどに、この素材を活用した発電用のフィルムやパネルの量産化を目指す。開発したナノ粒子は、特定の周波数の光を吸収し、ほかの光を透過するように調整できる。既存の太陽光パネルのように暗い色にする必要がなくなり、透明な素材として使える。そのため、窓ガラスや建物の壁などに重ねても景観を損なわず、機能も維持できる。 都市部で問題になっている「ヒートアイランド現象」や熱中症の一因となる赤外光を吸収することで、冷房需要の削減にもつながる。坂本氏は、新たなエネルギー源の活用につながるとし、「街が、エネルギーを生み出す森になる」と話す。 すでに基本的な技術は出来上がっており、既存の太陽光パネルに劣るエネルギー変換効率をいかに高められるかが、最大の課題となる。
2024.02.03
竹をパウダー化...畑の肥料に 福島・相馬の鉾建さん「厄介ものが宝」1/28(日)相馬市の鉾建(ほこたて)茂さん(74)は、改造した農機具で竹をパウダー化し、畑の肥料などに利用している。鉾建さんは「ちょっとした工夫で、厄介ものが宝になる」と話す。 鉾建さんが機械のエンジンをかけ、導入口に直径10センチほどの竹を差し込むと、固いものが粉砕される轟音が辺りに鳴り響いた。見る見るうちに竹は短くなり、パウダー状になってはき出されてきた。「1日作業を続ければ、100キロぐらいの竹を処理できる」と説明する。 鉾建さんが竹のパウダー化に取り組むようになったきっかけは、農機具を改造して竹粉砕機を作った千葉県のグループに関する記事を農業雑誌で見たことだった。「どこに行っても、里山が竹に浸食されて荒れている。何とかならないかと思っていたので、ぴんと来たんだ」と振り返る。早速、記事で取り上げられたグループを訪ね、教えを受けた。 鉾建さんが改造した機械は、古いハーベスター(脱穀機)。コンバインの導入に伴い、使われなくなった機材を農家から譲り受け、地元の鉄工所に改造を依頼した。回転軸にチップソー(丸鋸(まるのこ))を10枚重ねて取り付け、粉砕装置にした。粉々になったパウダーを受け止める容器として金属製の箱も溶接した。費用は20万円程度で、市販の竹粉砕機を購入するよりも、大幅に出費を抑えることができた。 パウダーにした竹は家庭菜園で活用するほか、10キロ2000円で販売。餌に混ぜてニワトリに与え、卵の品質改善につなげている養鶏家もいるという。 今では活動が知られ、竹林の伐採の依頼が増えたという鉾建さん。「竹で困っている人は多いはず。活用する動きが広がり、里山の保全につながってくれればうれしい」と思いを語った。
2024.01.28
1月20日、月面着陸に成功した月着陸実証機「SLIM(スリム)」。当日開かれた記者会見では日本初の「快挙」にもかかわらず、関係者の表情はさえず、終始、重苦しい雰囲気でした。約5日半が経った25日午後2時、JAXA=宇宙航空研究開発機構は改めて記者会見を行い、その後の状況を説明しました。いい意味で予想を大きく裏切るものでした。「小型月着陸実証機SLIMは、2024年1月20日0時20分に100m精度のピンポイント軟着陸に成功したことを確認しました」口火を切った宇宙科学研究所の国中均所長はこのように報告しました。着陸場所は目標地点から55m離れた場所であることも明らかになりました。ピンポイントの着陸精度そのものは、障害物回避の前の段階で概ね10m以下、後述の異常を加味すれば、実際の精度は3~4m程度だった可能性が高いということです。約38万km離れた天体に向けて放った物体が、わずか3~4mの精度で着陸する……まさに驚異の数字だと思います。ピンポイント着陸の成否を判断するには当初1ヵ月ほどの時間が必要とされていましたが、この精度の高さが判断を早める結果になりました。さらに着陸直前に放出された2つの小型ロボット「LEV-1(レブワン)」「LEV-2(レブツー、別名SORA-Q(ソラキュー)」も着陸。特に「LEV-2」はSLIMの撮影に成功、着地した機体をしかと捉えていました。着陸の“動かぬ証拠”です。「腰が抜けそうになった」運用責任者の坂井真一郎プロジェクトマネージャは、画像を見たときの衝撃をこのように表現していました。一方、5日前の会見が重い空気になった理由である太陽電池の不具合、その原因も明らかになりました。着陸直前の高度50m付近で、2基あるメインエンジンのうちの1基に異常が発生。推力が半減して想定と異なる姿勢で着地、ひっくり返ったような状態になったということです。これにより、太陽電池が西を向き、当時、東側にあった太陽の光が当たらず、発電できない状況になりました。ただ、太陽電池が地面を向いていれば、発電の望みは本当に絶たれます。西を向いたことで電力復活の望みはつながれたわけで、坂井プロマネは「あの姿勢になっているだろうと推測はついていたが、よくあの形でとどまってくれた」と胸をなでおろします。着陸直後の管制室の様子は混乱していたものの、万が一、電力が確認できなかった場合の対応もあらかじめ決めており、「そのときのメンバーの落ち着きぶりは感銘を受けた」と、メンバーを称えました。今後、太陽が西の位置になれば、太陽電池が発電し、機体の運用が再開される可能性があります。太陽電池自体が損傷しているかどうかも不明な状況ではありますが、JAXAでは2月1日までの運用再開を想定しています。着陸後に数日間予定していた「マルチバンド分光カメラ」と呼ばれる特殊なカメラで月面の岩石を分析する任務は、太陽電池の復活がカギを握ります。「500ニュートンスラスタ(メインエンジン)が惜しかった。あと数分もってくれれば着陸できた」と無念さを見せながら、「SLIMに搭載されたマルチバンドカメラ、LEV-1、LEV-2が正確に動いたことで各1点加算して、63点でお願いします」メインエンジンは今後の火星探査などでも不可欠の技術。異常の原因はしっかりと究明されなくてはいけません。宿題が少なからず突き付けられました。しかし、衝撃の月面画像など、多くのデータも獲得できました。チームは公式X(旧ツイッター)で「ホッとするとともにワクワクし始めている」と記していました。記者会見は着陸直後から一転、柔らかな雰囲気に包まれました。まだまだ進行中のプロジェクトですが、「さらなる高みへ」
2024.01.27
「75年前の手紙」を頼りに世界で最も希少な鉱物の一種が発見1/27(土) ドイツ・バイエルン州環境局(LfU)に現在保管されている古い鉱物の収集品を調査していた専門家チームが、地球で見つかる最も希少な鉱物の一種であるフンボルチン(Humboldtine)のかけらを複数発見した。フンボルチンは、鉄と炭素と酸素からなる含水鉱物で、産出地は世界でわずか30カ所しか知られておらず、ドイツ、ブラジル、英国、カナダ、米国、ハンガリー、チェコ、イタリアにある採石場や鉱山などに限られている。まれに微小な結晶を形成するが、黄色い非晶質の塊として見つかることが最も多い。炭素化合物と酸化鉄が水と反応して形成され、結晶構造内で炭素と他の元素が結合する数少ない有機鉱物の1つだ。フンボルチンは、ドイツ人鉱物学者のアウグスト・ブライトハウプトが、チェコのモスト郡コロズルキ村近郊の風化亜炭鉱で最初に発見した。1821年にペルー人地質学者のマリアーノ・エドゥアルド・デ・リベロ・イ・ウスタリスが科学文献に記載し、19世紀ドイツの博物学者で探検家のアレクサンダー・フォン・フンボルトにちなんだ名前を命名した。鉱山技師をしていたフォン・フンボルト自身も、熱心な鉱物収集家だった。2023年、LfUに保管されている記録文書のデジタル化作業中に、ある炭鉱の所有者から同局宛に送られた手紙が見つかった。手紙には、バイエルン州内にあるMatthiaszeche炭層に、フンボルチンが存在することが記されている。場所は、同州東部のオーバープファルツ行政管区を流れるナープ川の畔の町シュワンドルフの近くだ。LfUは、この発見を裏づけるために、追加的な分析に用いるサンプルを送るよう依頼している。だが、その後の経緯に関する文書は存在しないようだ。この手紙に興味をそそられたLfUの地質学部門を統括するローランド・アイヒホルンと同僚らは、同局の地下室に保管されている、長年にわたって集められた鉱物の膨大な収集品を調べてみることにした。その数、岩石と鉱物の標本が13万点以上だ。サンプルが本当に送られてきたのなら、まだここにあるかもしれない。体系的に整理された収集品の引き出しの中には、化学組成の順に鉱物が並べられている。そこでアイヒホルンらのチームは「Oxalit」というラベルが付いた、まだ古い紙箱に入ったままの黄色い鉱物のかけらをいくつか見つけた。Oxalitはドイツ語で有機化合物の意味だ。ラベルには、手紙に書かれていた産出地からサンプルが送られてきたことも記載されていた。最新の化学分析の結果、75年前の発見が間違いではなかったことが確認された。6個のかけらは、最大のものでもナッツくらいの大きさしかないが、確かにフンボルチンだった。他のサンプルと合わせると、これまでに知られているフンボルチンの総量がこれで2倍になる。アイヒホルンによると、これはラッキーな発見だったが、鉱物コレクターにとって悪い知らせもある。発見地のMatthiaszecheは、露天掘りの炭鉱だったが1966年に閉鎖され、その後に浸水したため、この産出地からはこれ以上フンボルチンを手に入れることができなくなってしまった。
2024.01.27
55m誤差のSLIM「新しい扉開いた」 従来機は最大数十キロ1/25(木) 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は25日、20日未明に月面着陸した小型月着陸実証機「SLIM(スリム)」について、誤差100メートル以内のピンポイント着陸に成功したと発表した。着陸直前に分離した小型ロボット「LEV―2」が撮影した、月面に降り立ったSLIMの画像も公開した。 昨年9月に鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられたSLIMは、日本時間20日午前0時20分ごろ、月の赤道南側の「神酒(みき)の海」のクレーター付近に着陸した。着陸後のデータなどを調べた結果、着陸地点は目標の約55メートル東だった。 SLIMは月面を撮影しながら自身の位置を推定すると同時に、あらかじめ用意した月面地図と照合しながら障害物を避け、自律的に安全な着地点を探した。この動作を繰り返した結果、障害物を避ける前までの推定誤差は約3~4メートルと極めて高い精度だったという。従来の月探査機の着陸精度は誤差数キロ~数十キロレベルだった。 一方、SLIMは月の上空50メートルまで順調に高度を下げた後、2基あるメインエンジンの一つが何らかの異常で脱落していた。着地する際の水平方向の速度が想定範囲を超え、エンジンが上向きになり90度傾いた姿勢で着陸した。機体に目立った損傷は確認されなかったが、太陽電池パネルが西側を向いたため、太陽光が当たらず発電できなかった。バッテリーを切るまでの約3時間に、飛行時の画像やデータのほか、分光カメラで撮影した月面のスキャン画像257枚を地球に送信した。 アクシデントに見舞われながらも高精度の着陸に成功した結果を受け、記者会見したJAXAの坂井真一郎プロジェクトマネジャーは「自己採点は100点満点。これまで誰も行けないと思っていた所に着陸し、今後は『行けるはずがない』と思うことができなくなった。新しい扉を開いた」と笑顔で語った。
2024.01.26
太陽系の第9惑星が見つかるかも! 超高性能の“怪物望遠鏡”が「歴史を書き換える」1/24(水)南米チリに建設中のベラ・C・ルービン天文台(VRO)は、これまで知られていなかった太陽系の大部分を明らかにし、天文学に進歩と革命をもたらすことが期待されている。驚異のエンジニアリングとソフトウェア、科学的な創意工夫から生まれたVROの目的は一つ。夜空全体を丸ごと記録することだ。「海王星まで、またその先に至るまで太陽系のすべてを記録した、かなり包括的な目録になるでしょう」と、VROと連携する米ワシントン大学の天文学者マリオ・ユリッチ氏は言う。 確認される小惑星の数は、VROの運用が開始された直後に急増すると予測されている。1801年に最初の小惑星が発見されてから200年以上の間に、見つかった小惑星の数は100万個に達している。それが、VROによってわずか3~6カ月の間にこれまでの倍になるという。 太陽系の外縁に存在するという説がある第9の惑星が見つかる可能性もある。「運用開始から1年以内に、何かがあるかどうかわかると思います」と、ワシントン大学の天文学者ペドロ・バーナディネリ氏は話す。 ほかの星系からやってくる恒星間天体の発見にも期待がかかる。異世界の星の破片であるこうした天体は、「ほかの惑星系の様子を教えてくれるでしょう」とユリッチ氏は言う。 VROは、2025年から10年間観測を行い、太陽系の新たな百科事典を天文学者たちにもたらす予定だ。「これによって、わが銀河系のゆりかごである太陽系の起源や進化に関して理解が深まるでしょう」 英国の北アイルランドにあるクイーンズ大学ベルファストの天文学者で、VROと連携するメグ・シュワンブ氏も、「歴史を書き換えることになると思います」と話した。VROは、ダークマター(暗黒物質)の存在を明らかにした天文学者にちなんで名づけられた。全米科学財団(NSF)と米エネルギー省の共同出資により、標高約2700メートルのセロ・パチョン山頂に建設されている。あらゆる宇宙の謎に挑むべく設計された最先端の天文台は、まさに科学機器の怪物だ。「ルービンは、すべてが巨大です」と話すのは、建設の副主任を務めるサンドリーン・トーマス氏だ。「超高速で動かせる望遠鏡に、超巨大で精密なカメラ。検出器も非常に大きく、画素数も莫大です」 ほとんどの天文台は、一度に空の隅々まで見渡せる広い視野か、より多くの光を集めて遠くの暗い天体を明らかにできる巨大な鏡のどちらかしか持っていない。しかし、画期的なエンジニアリングによってその両方を併せ持つことに成功したVROは、南半球から見える空全体を10年にわたって追跡し、あらゆるところのあらゆる天体を観測することができる。ベールの向こう側 VROの発見の大部分は、火星と木星の軌道の間にある小惑星帯でなされると考えられている。「小惑星帯は、惑星が形成された際の材料の残りかすが集まったものです」とシュワンブ氏は説明する。なかにはそこそこの大きさで地球に近い軌道を持つ小惑星もあり、将来地球に衝突する危険性もないとは言えない。これまでの観測には引っかからなかったとしても、VROであれば、そのような小惑星を多く見つけてくれるかもしれない。事前に発見できれば、壊滅的な衝突を回避するために何らかの手を打つことができる。 地球軌道の内側にも、金星の近くに宇宙岩石が多く集まる場所が存在するとの仮説があり、ここでも新たな発見があるかもしれない。小惑星帯の内側だけでなく、外側にあたる外太陽系の構造も、初めて明らかにされる可能性がある。 木星と土星の未知の衛星を発見したり(環を持つ惑星として有名な土星の衛星は、現在146個確認されている)、遠方から飛んでくる彗星も、こちらに近づいてくるはるか以前から検知できるようになるだろう。 ごく一部の巨大彗星を除いて、ほとんどの彗星は太陽にかなり接近するまで見つからない。氷の塊である彗星は、太陽の光が当たる小惑星帯の内側に入ってくると熱によって温められ、氷の粒が剥がれ落ちて長い尾を引き、見つけやすくなる。 誕生後初めて太陽に向かって飛来する彗星が、まだ遠くにいるうちに発見できるようにすることは、天文学者たちの長年の夢だった。太陽系の黎明期からの、手つかずの記録がそこには残されているためだ。十分早い時期に見つかれば、太陽の熱で温められる前から彗星を追跡し、「探査機を送って間近で観測することだってできそうです」とシュワンブ氏は話す。 さらにVROは、「太陽系に惑星はいくつあるのか」という難問にも挑戦する。10年ほど前から、冥王星のはるか先、太陽系の外縁に奇妙な軌道を持つ天体があり、そのなかに海王星と同程度の大きさの惑星が隠れているのではないかという仮説が立てられてきた。既存の望遠鏡ではそこまで遠い世界を見通せない。しかし、もし本当に第9の惑星が存在すれば、VROはそれを見つけ出せるはずだ。 2017年、天文学者は観測史上例を見ない驚くべきものを発見した。別の恒星の重力を振り払ってやってきた恒星間天体オウムアムアだ。平べったい形をしたオウムアムアは驚異的な速さで太陽系に侵入し、去っていったため、天文学者たちはわずか数日しかそれを調査することができなかった。そして2019年には、第2の恒星間天体であるボリソフが見つかった。 今のところこの2つしか発見されていないため、恒星間天体がどのような性質を持っているのかについてはほとんどわかっていない。 しかし、VROなら年に数個は恒星間天体を発見できると予測されている。ほかの恒星系からやってきた天体には、太陽系とは異なる恒星や惑星環境のなかで形成された物質が含まれている。「銀河系全域の恒星系における、惑星の形成過程を示してくれるサンプルなのです」と、ニュージーランド、カンタベリー大学の天文学者ミシェル・バニスター氏は語る。 VROが持つ最新鋭の目は、様々な色の天体を見分けることができる。つまり、はるか遠くにある恒星間天体を見つけるだけでなく、それらが何でできているかも把握できるということだ。VROが大まかにめどを付けた場所を、視野がより狭く、拡大撮影能力が高い別の望遠鏡を使ってより詳細に調べるという使い方もできるだろう。
2024.01.24
黒トリュフの人工的な生育に国内初成功 「継続的な栽培目指す」 岐阜県森林研究所1/22(月) 岐阜県森林研究所などは、世界三大珍味として知られる高級食材「黒トリュフ」の人工的な生育に国内で初めて成功し、注目されています。 黒トリュフは国内で自生しているものの、生育環境を整えることが難しく、国内で流通するトリュフはすべてヨーロッパや中国などからの輸入に頼っています。 県森林研究所では、茨城県つくば市の国立森林総合研究所と共同で国産トリュフの人工栽培を目指し技術開発に取り組んでいました。 2016年に「アジアクロセイヨウショウロ」の菌をコナラの苗木につけて試験地に植え、去年10月、直径約4センチに成長した黒トリュフ2個(約50グラム)ができ、コナラにつけた菌から発生したことが確認されました。 研究所によりますと、黒トリュフの人工的な生育の成功は国内初で、担当者は「短期間で安定的に発生させ、経済的にも成立させるために、継続して栽培できる方法を確立させたい」と話しました。
2024.01.22
成功の会見も表情さえず 「ギリギリ合格の60点」JAXA幹部 活動時間の短縮で「わが国の技術で、月面へのアクセスに新たな道が開けた。海外にもさまざまな知見を提供していけるだろう」。小型実証機「スリム」の日本初の月面着陸が20日未明に成功したことを受けて開いた同日未明の記者会見で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の山川宏理事長はこう語った。だが、晴れがましい席にもかかわらず表情はさえなかった。着陸は成功したが、直後に機体の太陽電池が発電していないことが判明。数日を予定していた月面での活動を、数時間に短縮せざるを得なくなったためだ。JAXAの国中均・宇宙科学研究所長も、壇上で「辛口だが、ぎりぎり合格の60点だ」と苦虫をかみつぶし、集まった報道陣からは「着陸成功の記者会見だというのに、なぜそんなに表情が硬いのか」との質問が出た。同席したJAXAの藤本正樹・宇宙科学研究所副所長は、「着陸後のスリムから送られたデータをすぐに分析し、機体がどんな状態にあるのかを一刻も早く知りたくて仕方がないからだ」と、気もそぞろの面持ちで説明。実際、スリム計画の責任者であるJAXAの坂井真一郎・プロジェクトマネージャは、データの分析を急ぐため、会見には出席しなかった。JAXA宇宙科学研究所の國中均所長「私どもとしましてはソフトランディングには成功したと考えている。その理由は、探査機が正常にテレメーターを地球に送信していて、搭載機器がおおむね健全に動いているということを意味している。高度10キロから降りたので、うまくいっていないのであれば高速で激突していたはずだ。そうなれば探査機の機能はすべて失われていたはずだが、着陸後もデータが地球に送り届けられているということは、当初の目的としていたソフトランディングに成功した証左だと考えている」太陽電池が電力を発生せず、バッテリーを使っている状況について「いまのところは数時間、バッテリーの電力がもつであろうと考えている。バッテリー電力を温存するために、ヒーターの電力を切るなどの延命作業を実施している。ピンポイント着陸のためのナビゲーションのデータをSLIMが正確に取っていれば、どのような軌道を描いて、探査機が降りていったのかをあとで再現できるので、優先的に取得しようと考えている」搭載していたLEV-1とLEV-2の2つの小型ロボットについて「月の上空でホバリングしている最中に、LEV-1が分離できたものとみている。分離されると自動的に電波を送るが、その電波の受信に成功している。なので、LEV-1、およびLEV-2は正常に分離できたと考えている」寺薗淳也さん「SLIMが目指していたミッションを達成できたという点で見事な成果だ。太陽電池が動いていないことは心配だが、今後回復する可能性に期待したい」「月面に着陸をすることは宇宙探査を行う上で欠かせないステップで、日本はそれをいままで成功できずにいたが、大きな階段を1歩あがったという点で素直に評価していい思う」「着陸しただけでは、ほかの国のミッションと比べて差がつけられない。今後は日本が定期的に月に着陸できるようになり、アメリカなど月探査を進める国々に影響を与えるようになる必要がある。今回、何ができ、何ができなかったか、反省点をまとめていくべきだ」
2024.01.20
タイでリチウム鉱床発見 埋蔵量約1500万トン、世界3位規模1/19(金) タイ政府は19日、大規模なリチウム鉱床が見つかったと発表した。埋蔵量は約1500万トンで、ボリビアとアルゼンチンに次ぎ世界3位規模となる 政府の副報道官はテレビ局ネーションに対し、鉱床は南部パンガー(Phang Nga)県内の2か所で見つかり、推定埋蔵量は1480万トンだと明らかにした。 ただし、「発見した資源のうちどれだけ利用できるか調査中だ。判明には時間がかかる」と説明している。 リチウムは電気自動車(EV)の他、スマートフォンなどの電化製品に使われている電池の主原料となっている。 タイは従来型の車の組み立てで培った経験を生かし、東南アジアにおけるEV生産の中心地になることに意欲を示しており、今回のリチウム鉱床の発見は、その目標達成に向け弾みをつけるものとなる。
2024.01.20
日本の探査機SLIM、月面着陸に成功 世界5カ国目 JAXA発表1/20(土) 2:13宇宙航空研究開発機構(JAXA)は20日、小型月着陸実証機「SLIM(スリム)」が月面着陸に成功したと発表した。旧ソ連、米国、中国、インドに続く世界5カ国目の快挙。日本の探査機が地球以外の天体への着陸に成功したのは、2005年のはやぶさ(小惑星イトカワ)、19年のはやぶさ2(小惑星リュウグウ)に続き3例目。LIMは昨年9月7日、H2A47号機で鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられた。同12月25日に月の周回軌道に入った。日本時間19日午後から高度を下げ、20日午前0時ごろ、月面へ降下を開始。約20分後に降り立った。 SLIMの着陸目標地は、月の東側、赤道のやや南にある「神酒(みき)の海」の「SHIOLI」クレーター(直径約300メートル)付近。JAXAによると、最大の任務に掲げた「誤差100メートル以内のピンポイント着陸」に成功したかどうかは1カ月以内に判断できる見通しという。 JAXAは今後、機体の状態を確認しながら、搭載した分光カメラで、月の地下のマントル由来と考えられる岩石の成分を分析し、月の誕生と進化の謎を探る。月面着陸か、JAXAが最終確認 探査機「通信できている」1/20(土) 宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発した小型探査機「SLIM(スリム)」が20日、月面着陸に挑戦した。午前0時ごろに高度約15キロから最終降下を始め、約20分かけて赤道南側にある「神酒の海」のクレーター付近を目指した。JAXAによると着陸予定時間以降も通信ができている状態で、月面着陸したとみて、慎重に最終確認を続けている。 地球の約6分の1の重力がある月での着陸は難しく、成功すれば日本初。世界では旧ソ連、米国、中国、インドに続き5カ国目。宇宙開発を巡る各国との競争が激化する中、日本の技術力を示せるかが試される。月面着陸、20日未明に挑戦 発想転換「転ばせる」、JAXA2024/01/18月の地形は複雑なため、不安定な斜面でも安全に着地できる2段階着陸を採用。発想を転換し、あえて最初から「転ばせる」奇抜な方法で成功を目指す。*SLIMには、カメラ付きの小型ロボット2機を搭載。月面を跳びはねながら移動する「LEV(レブ)―1(ワン)」(重さ約2・1キロ・グラム)と、玩具メーカーのタカラトミーなどが開発し、球体から変形して車輪で移動する「SORA(ソラ)―Q(キュー)」(直径約8センチ、重さ約250グラム)が、着陸直前に機体から分離される。月面で待ち構えた2機は、着陸後のSLIMを撮影し、LEV―1を介して地球へ画像データを送信する。 着陸予定地のクレーター付近には、隕石(いんせき)の衝突で掘り返された月のマントル由来のカンラン石があり、組成などを解析すれば月の起源を解明できる可能性がある。SLIMは月面上で移動できないため、機体に搭載したカメラを使い、周囲の岩石を調べる予定。
2024.01.20
火星の赤道直下に紅海と同じぐらいの分量の氷があることが判明マーズ・エクスプレスは2003年6月2日に打ち上げられ、12月25日に火星軌道に到着した火星探査機です。ランダーであるビーグル2号を火星に無事に送り込むことはできなかったものの、これまで20年以上にわたり軌道上にとどまるオービターとして火星探査を続けています。 マーズ・エクスプレスは2006年3月から2007年4月にかけて、電離層探査用火星アドバンストレーダーを用いてメデューサエ溝状層(Medusae Fossae Formation:MFF)を調査し、厚みが最大で2.5kmある巨大堆積物の存在を明らかにしました。 MFFは風化によってできた高さ数km、直径数百kmの複数の造形物で構成されています。火星の低地と高地のちょうど境界にあり、火星で最大の堆積物の1つとみられています。初期の観測でわかったのは、MFFはレーダーの透過性が高く、密度が低いことでした。これは氷床の特徴と一致しますが、火山灰や砂塵などでも同様の特徴が出るため、正体を特定するには至りませんでした。 その後、データの蓄積と新たなデータ分析ツールの登場により、堆積物は当初観測されたものより大きく、厚さが最大3.7kmに達することがわかりました。 また、氷が豊富であることがわかっている火星極冠部でみられるレーダーシグナルと似ていることから、堆積物が氷塊であることも明らかになりました。 分析を行ったイタリア国立宇宙物理学研究所のアンドレア・チケッティ氏は「もしMFFが砂塵の塊であれば、自重でもっと圧縮されていると予想されます。そうなると、もっと高密度の堆積物が生み出されます。氷の含まれないさまざまな物質がどのように振る舞うかをモデル化したところ、MFFの特性を再現できるものはありませんでした。つまり、氷が必要なのです」と述べています。 欧州宇宙機関でマーズ・エクスプレスなどのプロジェクトに携わる科学者のコリン・ウィルソン氏は「最新の分析は、MFFについての我々の理解に、答えと同じぐらい多くの疑問を投げかけるものです。これらの氷の堆積物はどれぐらい前に形成されたものなのか、そのとき火星はどういう状態だったのか。もし、水からできた氷だと確認されれば、堆積物は火星の気候史の理解を変えることになるでしょう。『古代の水の貯水池』なら、探査の魅力的なターゲットになると思います」と述べました。 なお、MFFの巨大堆積物が氷だとすればその量は地球上でいうと紅海に相当し、もし溶けたら火星を水深1.5m~2.7mで覆うことになるぐらいの分量だとのことです。
2024.01.19
鳥の言葉を証明した世界初の“動物言語学者”が国際的賞を受賞 プロフィール写真に集まっていた“まさかの注目”1/19(金) 東京大学先端科学技術研究センター准教授で、世界初となる“動物言語学者”の鈴木俊貴氏(40)が、ナレッジキャピタル主催の「第10回 World OMOSIROI Award」を受賞したことが1月19日に発表された。「World OMOSIROI Award」とは、2015年から始まった「OMOSIROI」をテーマとした国際的な賞で、国内外の有識者が推薦した100名以上の候補者から最終的に5名の受賞者が毎年選ばれる。これまでに日本人では筑波大学准教授でメディアアーティストの落合陽一氏(36)やイェール大学助教授の成田悠輔氏(39)、慶應義塾大学特任准教授の若新雄純氏などが、外国人では台湾のオードリー・タン氏(42)などが受賞している。鈴木氏といえば“鳥の言葉がわかる”ことで有名だ。野鳥の一種、シジュウカラが鳴き声を単語として使ったり、それを組み合わせて文章まで作って会話していることを発見。古代ギリシャ時代から言葉は人間に特有のものと信じられていたのに対し、動物たちのコミュニケーションにもヒトの言語との共通点が沢山あることを証明し、世界中から脚光を浴びている。シジュウカラ語の証明をきっかけに、鈴木氏はさまざまな動物たちの言葉を解き明かすための新しい枠組み“動物言語学”を提唱。2023年4月に世界初となる動物言語学分野の研究室を東京大学に立ち上げた、注目の研究者だ。今回の受賞は、鳥の言語の解明と動物言語学という新しい分野の創設が評価されたことによるという。そんな鈴木氏だが、実は昨年12月、一風変わった投稿でXをバズらせていた。《ある賞をいただくことになりプロフィール写真を選ばなければならないのですが、どの写真がいいですかね?》という問いかけと共に投稿されたのは、3枚の写真。1番と2番は、森の中で野鳥を観察するための双眼鏡を首から下げた鈴木氏の写真。ところが、3番だけなぜか一緒に写る黒い犬と同じ目線の高さで四つん這いになり、枝をくわえて“犬になりきる”鈴木氏の姿が。一般的な研究者のプロフィール写真のイメージとは異なるがーー。なんと、この投稿は389万件表示され、リプライ欄に設置されたアンケートには最終的に18万票超が集まる事態に。コメント欄は《3番一択で!》《ダチョウ倶楽部の手法》などと異様な盛り上がりを見せ、結果は84%を超える得票で3番の“犬の目線”の写真が圧勝となった。このときに鈴木氏が指していた“ある賞”というのが、今回受賞した「World OMOSIROI Award」のことだった。情報解禁となった今、鈴木氏に受賞した現在の気持ちを聞いた。「研究活動が評価され、このような名誉ある国際的な賞をいただくことができ、とても光栄です。シジュウカラをはじめとする森の小鳥たちや、いつも応援してくださる皆さんのおかげです」
2024.01.19
石川県「能登でM8.1」試算を知りながら防災計画は「M7.0」想定 知事は「震災少ない」と企業誘致に熱地元の石川県は2012年、今回の震源地の能登半島北方沖でM8.1の地震が生じうると試算したが、家屋倒壊などの被害想定を示さず、地震対策の議論を先送りした。当時から住宅の耐震化などを進めていれば「救えた命」がなかったか。「地震リスクが周知されず」で済ませていいか。・ 今回の地震で目を見張るのが、倒壊家屋の多さだ。 石川県によると、17日午後2時現在の判明分(全半壊、一部破損)で2万2000余の住宅に被害が出た。能登半島の先端にある珠洲市、西隣の輪島市は集計困難として除かれており、実際の数はさらに多くなる。県が17日までに氏名を公表した犠牲者59人のうち、9割が家屋倒壊で亡くなった。 堀氏は「畜産用の牛舎の倒壊も激しく、生業を維持できない。古い木造家屋は壊滅的だ」と語る。 耐震化の遅れは、被害の拡大を招いたとみられる。現在の耐震基準を満たす住宅の割合(耐震化率)は、全国平均の87%(2018年度)に対し、珠洲市は51%(同)、輪島市は46.1%(22年度)にとどまる。・ 震源地は能登半島の北側辺りとされる。政府の地震調査委員会は、能登半島沖の北東から南西にある複数の活断層が連動し、大きな揺れを引き起こした可能性に言及している。 能登半島の北方沖では、かねて複数の活断層の存在が指摘されていた。国の研究機関「産業技術総合研究所」の岡村行信氏らは2010年の「能登半島北部周辺20万分の1海域地質図説明書」で四つの活断層を記載した。産総研によると、半島北岸の5〜10キロ沖で海岸と平行に逆断層が分布し、一つ当たり20キロ前後の長さで四つに区分される。 2012年3月にあった経済産業省原子力安全・保安院の「地震・津波に関する意見聴取会(活断層関係)」では、北陸電力志賀原発(志賀町)の審査に際し、岡村氏が委員として出席。四つの活断層が連動する可能性に触れた。議事録には「多分連動するような断層の配置」「考慮して当然」といった岡村氏の発言が残る。これを受け、北電は「約95キロ区間の連動を考慮すると、マグニチュード8.1相当になる」という試算を報告した。岡村氏は取材に「原発の安全性審査のためには、最大クラスの地震規模を想定することが必要だった」と当時を回想した。・ 北電の試算と同じ月には、県が「平成23年度石川県津波浸水想定調査」の報告書をまとめ、能登半島の北方沖で活断層が95キロにわたって動く場合の地震規模を見積もった。 翌月の12年4月の説明資料には、M8.1という試算結果が記されている。地震波の最大振れ幅を踏まえる気象庁の算出方式に基づいた値で、震源断層のずれの大きさから計算する「モーメントマグニチュード(Mw)」は7.66。同月にあった県防災会議の震災対策部会で県の試算が報告され、北陸中日新聞などで報じられた。・ 県は「能登半島北方沖でM8.1」の試算後、地域防災計画の津波災害対策編に反映させた。12年5月のことだ。各地の津波高や到達時間を出し、津波ハザードマップの作成や避難路の整備などの対策も示した。 2014年9月に政府の有識者会議「日本海における大規模地震に関する調査検討会」が報告書をまとめ、「能登半島北方沖でMw7.6」の地震を見立てると、県はこの報告書を考慮し、地域防災計画の津波災害対策編を見直した。・ 不可解なのが、県の地震対応だ。地域防災計画の地震災害対策編では「能登半島北方沖でM8.1」を盛り込まず、1997年度公表の想定を据え置いた。記載した地震の規模は「北方沖でM7.0」。地震による被害も「ごく局地的な災害で、災害度は低い」とし、死者は7人、建物全壊は120棟、避難者数は約2780人と見積もった。 こうした想定は備えを鈍らせなかったか。本来は多数の家屋倒壊や道路の損壊といった地震の被害を念頭に置き、耐震化の予算を付け、孤立対策などを準備すべきだったのではないか。 科学ジャーナリストの添田孝史氏は「これだけ何もしてこなかったのは理解を超えるレベルだ。被害想定ができていなかったために初動も遅れ、正確な情報も集まらず、自衛隊の救援も含めて人手確保ができないまま全てが後手に回ったのではないか」と話す。 金沢大の平松良浩教授(地震学)も「あんなに更新されていない地域防災計画は実効性がない。自治体は住民の命と財産を守るのが根本。喫緊の課題だったが、県の動きは鈍かったと言わざるを得ない」と語る。・ M8.1の試算は、1994年から7期28年にわたって知事を務めた谷本正憲氏の在任中に行われた。しかし谷本県政では、地域防災計画の地震災害対策編に反映されなかった。 試算が出た2012年は東日本大震災の翌年。県議会の会議録によれば、谷本氏は「震災が少ない地域」とアピールしながら企業誘致に力を入れ、北陸新幹線の金沢開業を控えて誘客に躍起になっていた。 そんな中、県が地震の被害想定を据え置いたのはなぜか。県危機対策課の南良一課長によれば、政府の方針が関係しているという。 政府の地震調査委が発表する主要な活断層の「長期評価」は17年から海底活断層も加えて調査しているが、能登半島沖は検討が始まったばかり。南課長は「本県から働きかけて国に調査をしてもらった手前、それを待たずして先行するのはどうか。県としては国の調査結果をずっと待っていた」と述べる。・現知事の馳浩氏が就任した2カ月後の22年5月、地域防災計画の地震災害対策編を見直すと決めた。ただ、早ければ25年度の公表という作業工程で、今回の地震には間に合わなかった。・東京女子大の広瀬弘忠名誉教授(災害リスク学)は「国の支援に頼りきるのではなく、ある程度、県や市が幾分か自力でできる力を付け、地域にその力を持たせていく必要があった。ところが今回、状況も全容もつかめず、国の激甚災害に指定されたのも10日後だった」と述べ、こう訴える。 「災害は政治的な現象がよく現れる。地域防災計画を早く見直し、それに合わせて被害予想を得ていれば、被害を最小限にできた。改めて地方の防災力がないことを浮き彫りにした。災害は想定外で起きることを絶対に忘れてはならない」
2024.01.18
二酸化炭素からカーボンナノファイバー、副産物で水素も 米研究所1/15(月)温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)から、航空機などに使われる炭素できた繊維材料「カーボンナノファイバー(CNF)」を効率的につくることができたと、米エネルギー省のブルックヘブン国立研究所などのチームが発表した。これまでの方法と比べて低温で常圧の環境でつくることができ、より実用化に近づく可能性があるという。チームは触媒を用いた電気と熱の2種類の化学反応を起こすことで、CO2から炭素を取り出し、CNFの構造に組み立てた。これまでに、1千度を超える高温でCNFをつくる方法などが考案されていたが、今回は400度程度とより低温だという。また、CNFをつくる過程で、次世代エネルギーとして期待される水素も生み出すことができるという。
2024.01.18
海水から水素の製造可能に、貴金属を使わない合金電極を開発 筑波大など1/18(木) 豊富な海水を電気分解して水素を工業的に製造できるようにする合金電極を、筑波大学などのグループが開発した。チタンなど化学反応を起こしやすい9つの卑金属元素で構成する。加速劣化試験で10年以上は使える耐久性を確認。イリジウムなど高価な貴金属を用いなくてすむため、海に面する砂漠地帯などで安価に水素が作れる可能性があるという。 脱炭素が求められる昨今、水素は化石燃料に代わるエネルギーとして注目されている。再生可能エネルギーを使って海水を電気分解するのが手っ取り早いが、海水中の塩化物イオンが電気化学反応を起こして電極(陽極)が劣化するのを防ぐには、イリジウムや白金、ルテニウムなどの貴金属を材料として使う必要がある。 筑波大学数理物質系の伊藤良一准教授(電気化学)らは、コストの安い卑金属で耐久性のある電極づくりを目指した。5つ以上の多元素がほぼ同じ原子量で溶けて均一に固まった「高エントロピー合金」は強度と触媒能力が向上し、化学反応に対する安定性が優れることに着目。卑金属15の元素を候補として、すべてを加えた合金の安定性を調べた。合金の透過型電子顕微鏡像(左上)と、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Zr、Nb、Moについて元素分析を行った「その場元素マッピング」像。9つの元素が均一に混じり合っている(筑波大学数理物質系伊藤良一准教授提供)塩水中で電流を流し、溶けずに残った成分であるチタン(Ti)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)の卑金属9元素を、産業で多用されるアーク溶解法という不活性なガス中で合金にし、2022年に発表した。この合金電極を海水の塩分濃度に相当する塩化ナトリウム水溶液と実際の海水に入れ、電源のオンとオフを6000回繰り返す加速劣化試験を行ったところ、水溶液、海水ともに電解性能をそれぞれ97%、92%まで保持できた。1日1回電源がオンとオフになる太陽光発電を利用した場合、10年以上は電極の劣化がほぼ起きないとされる高い耐久性が示された。化学反応を起こしやすい卑金属でありながら耐久性がある理由を、シミュレーションによって解析した。電極表面の酸化によって塩化物イオンが表面へ吸着しにくくなるうえ、水から酸素を発生させる触媒として働く場所に塩素がくっつきにくくなり、触媒活性が保たれるとみている。 卑金属合金は耐久性こそ高いものの、酸化イリジウムに比べると高電圧が必要でエネルギー効率が劣る。伊藤准教授は「改善の余地はあるが、淡水も貴金属も必要としない水素製造が将来見込める」と話している。 研究は名古屋大学や高知工科大学と共同で行い、2023年12月9日付けの国際学術誌ケミカルエンジニアリングジャーナルに掲載された。
2024.01.18
中国南西部で新たな発見 人類の活動史が5.5万年前にさかのぼる1/17(水)中国南西部の貴州省文物考古研究所、中国科学院古脊椎動物・古人類研究所はこのほど、最新の研究成果として、貴州省の穿洞遺跡における発掘調査の結果を発表しました。 穿洞遺跡は貴州省安順市中心部から北に26キロ離れた同市普定県の郊外にあり、発掘済みの地層の下から新たな遺跡の層が発見されました。新たに調査された遺跡の年代は旧石器時代の中期末から後期、新石器時代に及んでおり、普定地区の古い人類の歴史が5万5000年前にさかのぼることが明らかになりました。 この発見は、貴州地域の人類活動史を補充するだけでなく、約5万5000年前の「穿洞人」を再認識し、貴州高原の旧石器時代中期と後期の文化とその分布、現代人の起源、中国南西部での早い時期における人類の適応戦略の転換、先史時代の文化交流などの学術問題を探求する上で重要な意義があります。 発掘面積は40平方メートルで、出土品がある遺跡層の厚さは6メートルを超え、石器1万点余り、骨・角製品2500点余り、動物の骨10万点余りが見つかりました。同遺跡は現在のところ、中国ひいては東アジア全体で、出土した磨製骨器の数が最も多く、種類が最も豊富であり、中国の先史時代の磨製骨器の起源や技術の特徴、時空分布の枠組みの探索、さらに東南アジアや欧州、アフリカの同類の考古学出土品との比較研究に極めて系統的で全面的な材料が提供されました。 遺跡では、旧石器時代末期から新石器時代初期への移行段階にある墓3基が発見され、未成年の下顎骨2点と成人の頭蓋骨1点、副葬骨器2点、骨製釣り針1点が出土し、同地域の先史時代の人類の身体の特徴および埋葬慣習の研究の重要な資料が得られました。さらに今から1万年ほど前の「二次葬」の発見により、中国南部での埋葬の変遷の研究にも重要な手がかりを得ることができました。二次葬とは原始社会に普及していた、死者の骨を2回以上埋葬することで、多くは場所を変えて埋葬することが顕著な特徴です。 また、遺跡の第11層からはホモ・サピエンスの臼歯の化石1点が発見されました。年代は5~6万年前と推定され、この発見により貴州地域の過去の古い人類研究の空白期間が埋められました。 穿洞遺跡は1978年に発見され、1979年に試掘が行われ、1981年と1982年と2回の考古学調査が行われていました。当時の調査では石器や骨器、動物の化石と人の化石が1万点以上、骨角器が1000点以上、人類の完全な頭蓋骨が2点出土し、当時としては中国で唯一で、世界でも珍しい磨製骨器が最も多く出土しました。貴州省文物考古研究所、中国科学院古脊椎動物・古人類研究所は2022年に、40年ぶりとなる3回目の考古学発掘調査を共同で実施しました。
2024.01.17
日本初の月面着陸へ、探査機「SLIM」が最終準備…誤差100m以内の「ピンポイント着陸」なるか 宇宙航空研究開発機構(JAXA(ジャクサ))は15日、月面探査機「SLIM(スリム)」が高度を下げ、20日未明の着陸に向けた最終準備に入ったと発表した。狙った場所への誤差100メートル以内の「ピンポイント着陸」や傾斜地でも安全に降り立てる独自技術で、日本初の快挙に臨む。 月の上空約600キロ・メートルを飛行中のSLIMは今後、さらに高度約15キロ・メートルまで降下する。20日午前0時頃には、減速を始めて目的地に向けた最後の飛行に入り、約20分後に赤道付近にあるクレーター周辺に着陸する。 鍵を握るのは、飛行中に撮影した月面の画像を使って軌道を自動修正する「画像照合航法」だ。明治大の鎌田弘之教授らが開発した技術で、画像から目印となるクレーターの位置を抽出し、月面の地図データと比べて現在位置を推定する。月探査機、1月20日に着陸挑戦 成功なら世界5カ国目宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発した小型探査機「SLIM(スリム)」が今月20日、月面着陸に挑戦する。現在は月の周回軌道上を飛行中で、20日午前0時ごろに高度15キロから最終降下を始め、約20分後に赤道南側にある「神酒の海」のクレーター付近に降りる。着陸に成功すれば、旧ソ連、米国、中国、インドに続き、世界では5カ国目となる。 スリムの目的は、狙った場所の100メートル以内にピンポイント着陸させる世界でも前例のない技術実証だ。これまで成功した他国の着陸精度は数キロ~十数キロで、「降りやすい場所に降りる」ものだった。月には地球の6分の1ほどの重力があり、日本が探査機「はやぶさ2」で試料回収に成功した小惑星と比べ、着陸だけでも難度は格段に高い。 最終降下の速度は時速約6400キロ。減速しながら約800キロ先の半径約100メートルの円に降りる。JAXAの坂井真一郎プロジェクトマネジャーは「飛行機の数倍の速度で、新千歳空港の上空を通過して、甲子園球場の中にピタッと降りるような挑戦だ」と解説する。
2024.01.13
H2Aロケット打ち上げ成功 情報収集衛星を予定の軌道に投入H2Aロケット48号機が12日午後1時45分ごろ、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられた。政府の情報収集衛星「光学8号機」が予定の軌道に投入され、打ち上げは成功した。
2024.01.12
「地面が約4m隆起した」──能登半島地震の地殻変動、産総研が調査結果発表1/12(金)産業技術総合研究所(産総研)は1月11日、2024年能登半島地震に伴う海岸の地殻変動の調査結果を発表した。調査した場所は、石川県輪島市門前町鹿磯周辺。国土地理院の観測データによると、この場所では最大4mの隆起の報告が上がっており、実地調査をしたところほぼ報告通りの隆起を確認できたという。産総研が鹿磯漁港を調べたところ、防潮堤壁面に付いたカキなどの生物が隆起によって水面から離れている様子が見られた。壁面に付いた生物の高度から地震前のおおよその海面を予測できるため、これと地震後の海面を比較。複数地点で調べた結果、その差は3.8~3.9mでほぼ報告通りの隆起を確認したとしている。 鹿磯漁港からさらに北側を調べたところ「波食棚」という平たんな岩棚が、地震による隆起で干上がった様子を確認。波食棚の前方は崖になっており、地震後の海面との高さを比較すると約3.6mの差が見られたという。波食棚は本来、平均海面付近の高さに広がる地形であるが、今回の地震によって階段状の地形「海成段丘」を形成したことが分かったとしている。 能登半島北部沿岸は約6000年前以降に形成したと思われる、3段の海成段丘が分布してたが、今回の地震の影響で地面が隆起し、4段目の海成段丘を形成したことになるという。【解説】「隆起」が“津波の防波堤”に 輪島市では約4メートル「隆起」1/11(木)「元日に最大震度7の地震が発生した瞬間、何が起きていたのか? ポイントになるのは『隆起と津波』です。今回の地震では、能登半島の海岸の非常に広い範囲で『地盤の隆起』という現象が見られています。海のあった場所が陸地となり、新たな砂浜が現れたところや、漁港では船が打ち上げられ、海底だった場所が歩けるようになっていました」「『隆起』の現象ですが、専門家の分析では能登半島の『北側』の非常に広い範囲で起きていたということがわかりました。距離にすると約90キロ、面積では約4.4平方キロメートル。東京ドーム約94個分の範囲の、海だったような場所が『陸』になってしまったということがいえると思います」「『地震後』わずか4秒から5秒くらいの短い時間で、このように海岸がわっと上がってきたということが指摘されています。輪島市では、約4メートル『隆起』したというのも観測で事実になっているのですが、これが、『津波』にも大きな影響を及ぼした可能性があります」「今回の地震なんですが、地震のメカニズムは、『逆断層型』というタイプの地震で、能登半島の『北側』は、海岸線も含めて地面が上に上がるような感じでした。これが、いわゆる“天然の防波堤”のような役割をしたことによって、輪島市など能登半島の『北側』では少し『津波』の被害が抑えられた可能性があると専門家たちはみているんです。一方で、能登半島の『東側』では、こういった大きな『隆起』現象が見られていないんです。そのため、海岸線沿いに『津波』が到達してしまって大きな被害が出た、というふうにみられています」「気象庁が観測できた『津波』は、輪島市で最大1.2メートル以上ということで止まってしまっているのですが、専門家たちが現地調査を行い、『津波』の痕跡を調べました。それによると、4メートル近くに達する場所もあったということで、かなり大きな『津波』が町を襲ったのではないかとみられています。海岸線が変わってしまったことで、今後の漁業などへの影響も心配されるなか、それをどうやって再建していくか、考えるところがあると思います」「能登半島から『津波』が広がり町を襲っていくのですが、地震直後すぐに陸地に押し寄せています。今回の地震は、地震発生後数分で『津波』が陸に到達したとみられているのですが、これは、日本海側で起きる地震津波の特徴なんです。震源が陸地に近い所で起きる地震が多いので、『津波』がすぐにやってきます。なので、場合によっては、津波警報が出るよりも早く『津波』が到達する可能性があります。強い揺れを感じたら、情報を待たずして、高い所に避難するとか、そういった行動が必要になるかと思います」
2024.01.12
太平洋岸の広い範囲に津波注意報 フィリピン近海のM7.7の地震で日本時間の2日午後11時37分ごろにフィリピンであった地震を受けて、気象庁は千葉県の内房や伊豆諸島など太平洋沿岸の広い範囲に津波注意報を出しました。 日本時間の午後11時37分ごろ、フィリピン付近を震源とするマグニチュード7.7の地震がありました。 気象庁は、沖縄県、千葉県内房、伊豆諸島、小笠原諸島、静岡県、愛知県外海、三重県南部、和歌山県、徳島県、高知県、宮崎県、鹿児島県東部、宮古島・八重山地方に津波注意報を出しました。 この地方には最大で1メートルの津波が予測されています。 また北海道や東北地方、九州の西側などでも若干の海面変動の可能性があるとしています。 この被害想定は、南海トラフの想定震源域が一気にずれ動いた場合を前提としています。このケースは「全割れ」とも呼ばれています(※地震学の関係者の間では地震が起きることを「割れる」と表現することがあります)。一方で、国や専門家が強い警戒を呼びかけるもう1つのケースが「半割れ」です。◎フィリピン付近で起きた大規模な地震で、気象庁は3日、八丈島で午前4時27分、40センチの津波を観測したと発表した。 午前5時までに、和歌山県串本町や高知県土佐清水市などでも20センチを記録した。 鹿児島県奄美市では午前3時12分、20センチの津波を観測し、気象庁は奄美群島・トカラ列島にも津波注意報を追加発表した。 気象庁は2日深夜、千葉県から鹿児島県にかけてと、東京都の伊豆諸島と小笠原諸島、沖縄県の宮古島・八重山地方に津波注意報を発表。最大1メートルの高さの津波が予想されるとして、警戒を呼び掛けた。 ◎日本の防災を長年リードしてきた京都大学の河田惠昭名誉教授「あまりにも被害が大きく、どこから手をつけていいか分からないような巨大災害です。今の時代はあらゆることがネットワークでつながっているため、一部でも大きく被害を受けると全体に響いてしまいます。例えば、巨大地震で大阪や名古屋を中心に大きな被害が出て、札幌や福岡は大丈夫かと言ったら、そこにもとんでもない被害が及んでしまうのです。この災害をきっかけに、日本の衰退が始まることも考えられます」南海トラフ地震と聞いて、太平洋側が一気に襲われる巨大地震をイメージすると思います。このとき、国は最悪の場合の死者を32万3000人と想定しています。「赤色」で示した東側の震源域と、「黄色」で示した西側の震源域がそれぞれ別々に、しかも時間を空けてずれ動くケースです。この「半割れ」は、歴史的にも繰り返し起きています。江戸時代の1854年には、「安政東海地震」と「安政南海地震」が32時間差で、そして昭和の前半には1944年の「昭和東南海地震」と1946年の「昭和南海地震」が2年の時間差で発生しているのです。摂南大学 西村勝尚特任教授「たとえば針金をクネクネと曲げても、1回や2回曲げたくらいでは変形するだけで折れることはありません。しかし10回くらい継続して曲げているとポキッと折れてしまう。それと同じことが起きるのです。今の建物の設計基準では継続時間の長い2回の揺れに襲われることが想定されていないため、南海トラフ地震が起きた場合にこういうリスクがあるということを構造設計者や建築主、そして建物を利用する私たちも理解しておくことが必要です」関西大学 永田尚三教授「部隊が駆けつけられない影響は人員だけでなく、津波災害に備えた水陸両用車などの特殊車両も利用できない可能性があります。被災地は孤立化し、訓練を重ねてきたような救助活動が展開できないおそれもあるのです。沿岸の自治体を中心に住民にはあらためてハザードマップや避難経路を確認し『救助が来ない可能性』も考慮して備えてほしいです」名古屋大学 福和伸夫名誉教授「日本は歴史上、把握できているだけでも9回の南海トラフ地震を経験していますが、先人たちは毎回、それを乗り越えてきました。つまり、南海トラフ巨大地震としっかりと向き合えば、私たちは次の災害も乗り越え、よりよい時代を作ることができるということです。来ることが分かっている地震なので、恐れおののくだけでなく、前向きに乗り越えていけるような形に社会が変わっていく必要があります。私たちひとりひとりが地震に対してしっかり備え、被害を減らしていくという気持ちを持ち続けたいと思います」◎大和、海老名、座間、綾瀬市 消防通信指令業務の共同運用で合意大和、海老名、座間、綾瀬の4市長が2日、大和市役所で共同会見を開き、消防通信指令業務の共同運用を2026年10月に開始することで合意した、と発表した。大和市の古谷田力市長が公約した広域連携の推進に向けて7月にスタートした懇談会による最初の成果になった。 同業務は現在、海老名、座間、綾瀬の3市消防本部が15年4月、海老名市柏ケ谷に共同指令センターを新設して運用している。合意により同センターを25年度に改修して大和市が機能移転して加わる。対象人口は60万人規模になる。 会見によると、共同運用は大和市の現行システムが26年3月に更新満期を迎える機会に統合することで、経費削減や減員を図るのが目的。3市では既に指令業務の共同運用に合わせて救急業務の共同運用も実施している。💛巨大地震に対して、心の準備と体制の整備を防災用品を備蓄しておこうっと(^^)
2023.12.03
「生物多様性がどんどん回復する」日本ワインのブドウ畑に行ってみた。「世界に通用する日本ワインを造りたい」キリンホールディングス(HD)傘下でワインなどの製造販売をするメルシャンは、「日本を世界の銘醸地に」という思いを胸に、日本でブドウ造りに適した広大な土地を探していた。質の高いワインになるブドウが育つには、日当たりが良く、雨が少なく、排水も良いなどいくつかの気候条件がある。2000年、メルシャンが出会ったのは、長野県上田市のもともと桑畑だった遊休荒廃地だった。「荒れてしまった土地をなんとかしたい」という地元住民の協力もあり、3年後に「椀子(まりこ)ヴィンヤード」と名付けられたブドウ畑が開園。2019年には「シャトー・メルシャン 椀子ワイナリー」がオープンし、翌年から4年連続で「ワールド ベスト ヴィンヤード 」に選出され、2023年は世界第38位、2度目の「アジアでNo.1」も獲得した。山に囲まれた標高650mの小高い丘に広がる約30ヘクタールのブドウ畑では、メルローやシラー、シャルドネ、カベルネ・ソーヴィニヨンなど全8種類のブドウが育つ。水捌けも陽当たりも良い元々の地形を、一部を除きできる限り活かしたこのブドウ畑は、「畑」というより、草原の丘にブドウの木が馴染んでいるように見える。農研機構とキリンHD、メルシャンの共同研究で生態系を調査していくと、植物や昆虫の希少種が多数発見された。その数は年々増え、昆虫が168種、植物が289種になった。キリンHD CSV戦略部シニアアドバイザーの藤原啓一郎さんは、「土の中に水分が少ない方が良いブドウが育つなど様々な理由から、下草を生やし、垣根仕立ての草生栽培をしています」と説明した。「農作業的に下草を伸ばしっぱなしにすると大変なので、定期的に草を刈りをすることで、『草原』の機能が回復していったんです」草刈りをしないと強い種類の植物だけが高く伸びてしまうが、定期的に草刈りをしたことで背の低い弱い在来種にも日が当たり、多様な植物が生息できるようになったという。「また、土を削ると土の中で眠っていた微小な生きものが取り除かれてしまいますし、耕すと土の中の生物が一気に死んでしまうと言われています。土を削らずに元々の桑畑の地形をできるだけ残したことで、草原環境になった畑に、以前いた植物も芽を出し、たくさんの生き物が戻ってきて生態系が豊かになったことが研究で分かりました」実際にブドウ畑を歩くと、足元には多種多様な植物が混在し、トンボや蝶などの虫が飛び交っていた。このように人が農業や林業などのために手を入れることで保たれる自然環境を「二次的自然」という。日本では里山などがこれにあたる。椀子ヴィンヤードは10月6日、日本で唯一、事業として農産物を生産しながら生物多様性の保全ができている場所として、環境省から「自然共生サイト(OECM)」に正式認定された。これによって椀子ヴィンヤードは、世界全体で生物多様性の損失を食い止め、回復に向かわせる「ネイチャーポジティブ」の目標達成に貢献することになった。シラーは白胡椒のようなスパイシーな香りが印象的だった。この香りは椀子の土地や気候の条件ならではの特徴だそうだ。椀子ワイナリー長の田村隆幸さんは、「今、世界的に『クールクライメイトシラー』が注目されています。冷涼な気候で育ったシラーは白胡椒の香りが特徴的で、海外の専門家からも椀子のシラーは特に白胡椒の香りが強く、世界で選ばれるワインになる可能性が高いと言われています」と説明した。白ワインのソーヴィニヨン・ブランには、「ミッドナイト・ハーベスト」という名前がつけられていた。研究の結果、ブドウが一番養分を蓄えた状態になるのは深夜だとわかり、早朝3〜4時に収穫して造られたことが由来だ。ワインの美味しさを求めてヘッドライトをつけて深夜に収穫作業をする、その情熱に驚いた。実際に飲んでみると、シトラス系の香りが高く、爽やかな酸味が感じられ、味に奥行きがありながらさっぱり飲みやすい。「他にも、国内では珍しく椀子ヴィンヤードはカベルネ・ソーヴィニヨンがしっかり熟す場所なんです。カベルネ・ソーヴィニヨンは晩熟な分、例えば収穫までに雨や台風など『関門』が多かったり、10月以降に寒すぎるとうまく熟さなかったりと難しい品種ですが、ここはその微妙な気象条件をクリアできる場所なんです」(田村さん)メルシャンで長年ワインの美味しさを追求してきた田村さん。ブドウ畑の生物多様性がデータで可視化され、豊かになっていくのをどう受け止めていたのか聞くと、「白状しますと…」と当時の心境を打ち明けてくれた。「最初に藤原さんに生物多様性の研究の話を持ちかけられた時は、『ブドウ畑なんて単一の作物しか育てないし、殺虫剤や殺菌剤も使わざるを得ないし、面白い結果なんて出ない』と思っていました。お金になるわけでも、ワイン造りの効率が良くなったり、ワインの味が変わったりするわけでもなさそうだし、最初は断ったんです」その後、藤原さんの熱意に負けて調査を受け入れた。すると、生物多様性がどんどん豊かになっていることが可視化され、「自分の想像と全然違う結果が面白くなってきた」という。「生物多様性が豊かになっていく過程で、ブドウ畑の新しい側面が見えました。結果的にワインへの興味に加えて、SDGsや生物多様性など別の興味から椀子を訪れてくれる人もいっぱいいますし、自然共生サイトにも登録されて国内外から注目してもらえる可能性もあります。地元の人にも喜んでもらえていると思います」椀子ヴィンヤードができる前、地元ではワインを飲む文化はあまりなく、焼酎や日本酒好きが多かったそうだ。しかし、今ではワイン用のブドウ畑が約30haに拡大し、「ワインをどう保管するのがいいか」などと楽しそうに話す人の姿も。上田はすっかりワイン好きを魅了する町になっていた。もともと桑畑だった遊休荒廃地がブドウ畑に生まれ変わったことで、生物多様性が豊かになり、多くの人が訪れるようになった。椀子ヴィンヤードを見渡すと、自然と人が共生した光景が、これからも遠い未来まで紡がれていくような気がした。
2023.11.25
厄介者の「ムラサキウニ」集中駆除の効果は…高校生が実験で確認(鳥取市)鳥取県沿岸で大量発生しているムラサキウニ。海藻を食い荒らすことが問題となっています。この厄介者の駆除方法について実証実験をしている鳥取市の高校生が、駆除の効果を確認しました。鳥取県沿岸では5年ほど前から、ムラサキウニが大量に発生。貝や魚の住みかや餌場となる「藻場」の海藻を食べつくしアワビやサザエなどの生育に影響を及ぼしています。鳥取市の青谷高校では、2022年度からこの問題の解決策について授業の一環で取り組んでいて、2023年は6月から青谷町の長和瀬漁港に設置した100平方メートルの区画内でウニを定期的に駆除して、藻場を回復させる「集中駆除」の効果について実証実験を行っています。実験最終日の11月21日、、生徒たちは駆除した区画の海に入ってウニの個数を数え、「集中駆除」の効果を確認しました。その結果、ウニの大きな個体はほとんど見当たらず、海藻も増えたことがわかりました。Q効果は出ている?生徒:「海藻が復活してくれたので効果がありました。自分たちが頑張ってこうやって結果が出たことがとてもうれしいので、ぜひ漁師さんたちにもいかしてもらいたい」生徒たちは実証実験の結果をまとめ、12月、校内で発表するほか、県内の漁業関係者に情報提供することにしています。
2023.11.24
コロナワクチンで死者9割以上減 京都大チームが推計 新型コロナウイルスワクチンの接種によって、国内の2021年2~11月の感染者と死者をいずれも90%以上減らせたとの推計結果を京都大・西浦博教授(理論疫学)らのチームがまとめた。この期間の実際の感染者は約470万人と推計され、死者は約1万人だったが、ワクチンがなければ、それぞれ約6330万人と約36万人に達した恐れがあるとしている。 国内では21年2月から始まったワクチン接種に、どの程度の効果があったのかは十分検証されていない。今回の推計では、接種のペースが実際よりも14日間早ければ感染者と死者を半分程度に抑えられ、14日間遅かったら感染者は2倍以上、死者数は約1.5倍になっていたとの結果も出た。 西浦教授は「結果的にワクチン接種はうまくいったと言えるが、それで終わりにしてはいけない」と指摘。「将来の感染症対策のためには、接種を進めつつ、感染状況の推移をリアルタイムで予測し、政策を決める人や社会に示せる仕組みが必要だ」と話した。 研究成果は10月18日付の英科学誌サイエンティフィックリポーツに掲載された。
2023.11.18
ナノ泡が雑菌を吸着し、鮮魚ピチピチ 隠岐の島振興協が生成機を開発 魚を腐らせる「主犯」は付着した雑菌。それを泡の力で取り除く機器を、島根県・隠岐の特産品販売などを手がける「隠岐の島振興協会」(隠岐の島町)が、愛知県東海市の自動車部品メーカー「ミヤゼット」の協力を得て開発した。この機器を使えば、魚の鮮度をより長く保つことができ、輸送に時間がかかる離島のハンディを克服できるという。海水と魚を入れた水槽やクーラーボックスに投入して使う。作動させると海水に微泡が混じり、この微泡が魚に付いた雑菌などを吸着する。鮮度を保てる日数がトビウオ(内臓付き)で4倍、イシダイ(同)でも3倍延びるという。 振興協会から提供され、今春から使っている島根県海士町御波の漁師吉川岳(たかし)さん(46)は「魚のぬめりがとれ、臭いがしない。長持ちするので店が高く買ってくれる」。吉川さんは素潜りでイシダイやクエ、キジハタを取り、東京、大阪などの飲食店に売っている。 機器は隠岐の島町のカキ養殖業者にも提供しているという。振興協会では、吉川さんらの声をもとに改良し、来春から販売を始めたい考えだ。経営企画部長の前田裕太さん(34)は「漁業者や漁協で使いたい場合は貸し出します。生産者とともに隠岐を盛り上げていきたい」と話す。
2023.11.16
新島誕生、西之島噴火から20日で10年 標高250m、海は茶、緑に2013年に小笠原諸島の西之島(東京都小笠原村)に新島を誕生させた噴火から20日で10年を迎える。島は現在も断続的に噴火を繰り返しながら成長を続けている。10月下旬に毎日新聞社機で上空を訪れると、標高約250メートルまで大きくなった姿が太平洋上にあった。 島からは火山活動に伴う変色水が出て、海水を茶色や緑色に染めていた。火口から局所的な噴気があるが、島全体としては上陸できそうなほどに落ち着いていた。 航空取材に同乗した東京大地震研究所の前野深准教授(火山地質学)によると、島の面積は爆発的噴火のあった20年8月以降、約4・4平方キロでほぼ変わらない。噴火前の旧西之島(0・25平方キロ)の20倍近くになった。前野さんは「噴気が少なく穏やかな様子だが、濃い変色水が出ており、まだまだ活発な状況といえる。波の浸食を免れて火山島が成長し始める初期の姿を見られる貴重な島だ」と話した。続く火山活動、今後の変化は 東京 小笠原・西之島の進化 2013年に東京・小笠原諸島の西之島に新島を誕生させた噴火から20日で10年を迎える。島は噴火形式を変えながら、今も成長を続けている。海洋島の誕生から進化の過程を目撃できる、地球上でもまれな場所として注目が高まっている。 10月下旬、毎日新聞社機で西之島上空を訪れた。火山灰で覆われた島の大部分は灰色にもかかわらず、第一印象は「カラフルな島」だった。硫黄を含んだガスの噴出跡が火口付近を筋状に白や黄色に染め、島の山体からは鉄分が染み出て、真っ青な海を茶や濃い緑色に変えていた。島全体は穏やかに見えた。だが、この姿は強弱を繰り返す火山活動の波の一面に過ぎない。島は現在も断続的に噴火している。航空取材に同行した東京大地震研究所の前野深准教授(火山地質学)は「10年前、現在のように活動が続くとは誰も思っていなかった」と振り返る。西之島は東京から約930キロ南にある火山島だ。海上に見えるのはごく一部で、山体の大部分は海の中にある。数万年前から何度も噴火を繰り返し、海底からの高さは推定約3000メートル。富士山にも匹敵する規模だ。1973年に有史以来初めての噴火が観測され、40年ぶりとなる13年11月の噴火で新島が誕生した。その1カ月後には溶岩流が隣の旧西之島に達し、二つの島は一体化した。
2023.11.16
コロナの心臓への攻撃方法が明らかに、動脈に直接感染していた、初の報告11/10(金)2023年9月28日付けで医学誌「Nature Cardiovascular Research」に発表された論文は、新型コロナウイルスが心臓の動脈に直接感染することや、プラークをつくる細胞のなかでウイルスが生き残り、増殖することを明らかにした。プラークは、脂質を取り込んだ細胞が動脈の壁に蓄積したもので、動脈が狭くなったり硬くなったりする動脈硬化の原因になる。 もしこのプラークが破裂すると、血流をふさぎ、心臓発作や脳卒中を引き起こす恐れがある。今回の研究によれば、新型コロナウイルスは、プラークの炎症を引き起こし、破裂するリスクを高めるという。 これによって、なぜ一部の新型コロナ患者に、長期的な心血管への影響が見られるのかの説明がつく可能性がある。 新型コロナウイルスは、呼吸器以外にも様々な臓器に感染することがわかっている。しかし、心臓の動脈にまで感染することが示されたのはこれが初めてだ。「ウイルスが動脈壁に直接影響を与えているかどうか、これまで誰も実際に調べる人はいませんでした」と話すのは、米ニューヨーク大学ランゴーン医療センターの心臓病専門医で、この研究を率いたキアラ・ジアナレリ氏だ。 イタリア、インスブリア大学の心臓専門医ファビオ・アンジェリ氏らは、80万人以上のデータを解析し、新型コロナ患者はそうでない人に比べて高血圧になる割合が2倍近くに上ることを示した。しかも気がかりなのは、軽症だった患者でも心疾患のリスクが高まるということだ。この研究は、2023年10月16日付けで医学誌「European Journal of Internal Medicinne」に発表された。「コロナは軽症だったのに、今では除細動器を使っている患者もいます」と、米メイヨー・クリニックの心臓専門医バーナード・ガーシュ氏は言う。 新型コロナ患者の心血管系がダメージを受けるのは、ウイルスが血管を直接攻撃しているからなのだろうか。それを調べるため、ジアナレリ氏らニューヨーク大学の研究チームは、新型コロナで死亡した高齢者から採取した冠動脈(心臓自身に血液を送る動脈)とプラークの組織を分析した。すると、それらにウイルスのRNAが残っていたことや、そこでウイルスが複製されていたことが明らかになった。 ウイルスは、動脈内では主にマクロファージと呼ばれる白血球にすみ着いていたことがわかった。マクロファージは感染症と戦う免疫細胞だが、血中コレステロールなど余分な脂質を取り込む働きもする。しかし、あまりに多くの脂質を取り込んでしまうと、マクロファージは「泡沫細胞」と呼ばれる特別なマクロファージに変わる。この泡沫細胞が、プラークのもとになる。 ウイルスが実際に血管の細胞に感染して増殖しているのかどうかを確認するため、科学者らは、ヒトのマクロファージや泡沫細胞、動脈の壁の細胞(大動脈平滑筋細胞)を培養し、新型コロナウイルスに感染させた。 するとウイルスは、動脈の壁の細胞よりも高い割合でマクロファージや泡沫細胞に感染した。マクロファージも泡沫細胞も、感染力のあるウイルス粒子の生産は持続しなかったものの、ウイルスが複製された。しかも、泡沫細胞の方が、ウイルスが増えやすく、ウイルスのRNAやタンパク質も多く蓄積した。「泡沫細胞のなかではウイルスがより長く残る傾向にあることがわかりました」と、ジアナレリ氏は言う。つまり、泡沫細胞が新型コロナウイルスの貯蔵庫になっている可能性がある。動脈に脂質が蓄積すればするほど泡沫細胞が多くなるため、プラークはウイルスが残る可能性を高め、新型コロナ感染症を重症化させうる。 科学者たちはさらに、マクロファージと泡沫細胞が新型コロナウイルスに感染すると、「サイトカイン」という小さなタンパク質を放出することを発見した。サイトカインは、細菌やウイルスと戦うよう免疫系に信号を送るが、動脈内では炎症を起こし、さらに多くのプラークの形成を引き起こす。「動脈硬化と心血管系の問題を悪化させるほどの炎症が、ウイルスによって引き起こされていました」と、ジアナレリ氏は言う。 過去には、血管壁の炎症を測定することで、新型コロナ感染後の長期的な心血管系の合併症がどの程度かを診断できることを示した研究もある。この論文は2022年8月に医学誌「The Lancet Digital Health」に発表されており、今回の研究はそれを裏付けるものだと、この論文の著者である英オックスフォード大学の心血管医学教授ハラランボス・アントニアデス氏は言う。 英ロンドン大学セント・ジョージズの心血管専門医であるフアン・カルロス・カスキ氏は、「今回の研究で明らかになったのは、ウイルスの存在がプラークの破裂を助長したり、拡大させるかもしれないということです」と話す。氏は、今回の研究には参加していない。
2023.11.10
市民が発見!4世紀後半に造られた「前方後円墳」 国土地理院が公開の陰影の付いた起伏図見て連絡11/8(水) 長野市・荻原健司市長:「(篠ノ井塩崎にある古墳が)実は前方後円墳の可能性が極めて高いということが分かりました」前方後円墳と判ったのは、長野市篠ノ井の「将軍山古墳」です。直径32メートルの「円墳」とされてきましたが、4世紀後半に造られた全長80メートル級の「前方後円墳」と分かりました。国土地理院が公開している陰影の付いた起伏図を見た市民から連絡があり、専門家を交えて現地で確認したということです。「ヤマト王権」の影響力を示す前方後円墳は善光寺平の南では8つ目で調査が進めば、県内でも3番目に大きな物となる可能性があります。長野市・荻原健司市長:「長い歴史の中で大変貴重な発見、さらなる歴史や郷土の研究につながることを期待している」で
2023.11.09
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