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Ryu-chan6708

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2007.11.20
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カテゴリ: 読書感想



:どこかの書評で 星の王子さま 」の誤訳 について書いているとあったので図書館から借りたが、驚いたね。
 「 星の王子さま 」の和訳は 岩波少年文庫の 内田濯 訳が半世紀に渡り流通 してきたが、 2005年6月以降、独占的出版権の期限が切れたことで、十数点の新訳が出版 されているんだね。
  この本の題名の「 憂い顔 」というのは、 誤訳だらけで原書の「星の王子さま」が「 憂い顔 」をしているという意味 だね。
  著者はフランス語の権威らしいが、 内藤訳の100箇所を超える誤訳 を、徹底的な論理というか、厳しい皮肉を含めてズバズバ指摘しているね。
 その誤訳を 最近の和訳15点についても比較 しているね。
 重箱の隅をつつくというより、ストーリー上、重要な誤訳を指摘しているね。
 個人名を挙げて逃げ場がない指摘だね。
 よくこういう本が出版できたね。

A氏 :「 星の王子さま 」のもとは フランス語 だから、 フランス語の誤訳 だね。

:俺は フランス語 は全くわからない。
 しかし、救われたのは 英語訳も3点 とりあげて比較していることだね。
英語訳をみると、誤訳がなく、キレイな訳 でうらやましいね。

A氏: 英語とフランス語は同じ言語体系 をもっているからかね。

:それに 文化的 に近いからね。
言語というのは文化の総結晶 だからね。
 つくづく、 日本語は独特の日本文化の総結晶 だと思ったね。
それに卑屈になるのか、誇りに思うのか、俺たちの生き方の問題 だね。

A氏 誤訳 のもとは 外国語力の不足 からくるものかね。

:この本の著者は 日本語訳には2つのステップ があるとしているね。
第一ステップ は原文を正確に理解すること、すなわち、 語学力 の問題。
第二ステップ は日本語らしい文章にすること、 日本語力 の問題。

 しかし、俺は原文を理解するには語学力だけではだめで、 原文が描いている情景なり考えを正確に理解する「教養力」 みたいなものが背景にあると思うね。
  それは 日本人 の場合は、「 日本語 」を通じて学ぶ。
  だから、 外国語を正確に理解するときは、日本語の理解力が重要 なんだね。

A氏 :そういえば、君の 誤訳知的街道 は次のように昨年の夏に集中しているね。
サスペンス小説 が多いのは、 サスペンス 著者が描いているシーンを正確に「想像」 できないと サスペンスの意味 がないからだろうね。
「想像」には「教養力」が必要 だということかね。

  誤訳について 」、「 長いお別れ 」、「 ベイ・シティ・ブルース 」、「 レイモンド・チャンドラーの長編と英語 」、「 チャンドラーの英訳・その1 」、
 「 チャンドラーの『待っている』比較読み・その1 」、「 その2 」、「 その3 」、「 その4 」、「 その5 」、
 「 男はなぜネクタイを結ぶのか 」、「 再度・『男はなぜネクタイを結ぶのか』とチャンドラー『大きな眠り 』」、
「『ダヴィンチコード』と日本語訳・その1 」、「 その2 」、「 その3 」、
  「 海外ミステリ誤訳の事情 」、「 グレート・ギャツビー 」、 チャンドラー『ロング・グッドバイ』村上春樹訳 」などがあるね。

「飛行機がサハラ砂漠でパンクするまで、(・・・)飛行機のモーターが、どこか故障をおこしたのです。」

A氏 飛行機 パンク 飛行機 モーター

:新訳のすべてで、 パンク は「 故障 」「 不時着 」と修正されている。
 「 モーター 」のフランス原語は「 エンジン 」だそうで、英語はきれいに3点とも engine
 新訳15冊も1冊を除き「 エンジン 」と修正された。

A氏 :新訳はそういう内藤訳の誤訳は修正されているの?

:それがこの本によるといろいろだね。
 訳者の「 教養力 」の問題かもね、翻訳は怖いね。
 俺は子供の頃も、今も「 星の王子さま 」を読んでいないので 実害 がないがね。
 著者は、 誤訳が多いのは出版社の責任 でもあるとして厳しいね。
食品の偽装 同様、 出版社の偽装問題 だということかね。

 「 星の王子さま 」を日本語で愛読してきた人には、なんだか「 もやもや 」していたことが、この本でそれが 誤訳 のせいだと分けると、その「 もやもや」が消える効果 があるかもね。






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Last updated  2007.11.20 08:49:52
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誤訳について  
見習い鵜匠 さん
文学の世界では、言語を媒介にするため、誤訳という問題が出ますが、音楽の世界になると、チト事情は異なるようです。ドイツに留学して、ドイツ人の先生に直接教えを受けた声楽家が、本人は全くドイツ語が解らないのに、ドイツで開いた演奏会で大喝采を受けて、本人は何でこんなに好評をとったのか解らず、キョトンとしているが、物理的な発声、発音と共に、情念まで仕込まれるから、こういう事が起きる、と、昔、ある声楽家から聞かされました。その一方で、ナチスが音楽を政治利用したように、文学とは違った面で、危険な要素があるようです。
(2007.11.20 09:14:02)

Re:誤訳について(11/20)  
Ryu-chan6708  さん
見習い鵜匠さん
>文学の世界では、言語を媒介にするため、誤訳という問題が出ますが、音楽の世界になると、チト事情は異なるようです。
-----
音楽の対比は興味がありますね。
実は「星の王子さま」15点の和訳の翻訳家のうち、河原泰則氏はドイツ・ケルンのWDR交響楽団の主席コントラバス奏者として国際的に活躍する音楽家で「翻訳者=演奏家」という理論をもとに訳しているそうです。言語も音を基にしているので、著者は稲垣訳を声を出して読んだときに、よどみなくすなおな歯切れのよいメロディーに乗って聞こえてくる日本語の作品だとほめています。
そうかといって、原作に忠実であるべきだとして、原作にない冗長な説明を批判しています。同様に河原訳も冗長だと批判しています。
ナチスで思い出すのはヒットラーのオペラのような演説です。それは東条英機の演説、ブッシュの演説、小泉元首相の演説スタイルを連想します。 (2007.11.20 10:11:07)

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