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私
:今の天皇が 結婚して50年
になるという。
そのせいか、 昭和に関するマスコミ特集
が多いね。
今月の「 文藝春秋
」も 美智子皇后の特集
だね。
この「 昭和のエートス
」という本は、題名からして 「昭和人
」の俺としては興味をもって、図書館から借りた。
しかし、この本の内容は 内田氏が2006年から2008年にかけてブログ的にいろいろな雑誌などの情報媒体に書いたものを集めたもの
だね。
だから、 40くらいのテーマが羅列的に並んでいる。
そのうちの「 私的昭和人論
」が「 昭和のエートス
」中心だから、テーマ的には全体の40分の1くらいしかないね。
「 カンバンに偽りあり
」だね。
「 エートス
」とは 慣習、気風
などを意味するから、「 昭和人の気質、気風
」とも言うべきかね。
A氏 :君も内田氏に興味があるのか、このブログでもいろいろ扱っているね。
最初にこのブログで「 書評の書評:内田樹「下流志向」講談社刊 」でふれ、次に「 逆立ち日本論」養老孟司・内田樹対談・07年5月新潮選書 、「 私家版・ユダヤ文化論」内田樹著・06年7月文春新書 、そして間をおいて、「 街場の教育論・第10章国語教育はどうあるべきか」内田樹著・08年11月ミシマ社刊 、「街場の中国論」 1 、 2 と続いたね。
私
: 内田氏
は 独特の視点
をもっているね。
養老孟司
氏を高く評価しているようだが、 養老氏
は 1937年(昭和12年)生まれ
、
内田氏は1950年(昭和25年)生まれ
だからかなりの年齢差があるね。
ところで、養老孟司氏も内田氏も 昭和生まれ
だが、 内田氏の定義
によると 「昭和人」とは、「昭和生まれの人間」ではない。
「昭和20年8月15日」という「断絶(ショック)」を受け入れ、生き抜いてきた人
、だという。
それは「 明治人
」が「 明治生まれの人間
」 を意味しない
のと同じという。
夏目漱石
や 森鴎外
は代表的な「 明治人
」だが、 漱石は慶応3年
、 鴎外は文久2年
生まれ。
明治生まれではない。
内田氏のいう「 明治人 」は、「 明治維新 」で、 日本の伝統文化と西欧の文明の「断絶」によって、日本人である自己の半身を否定するような「近代化」の痛みを受け止め、半身から血を滴らせながらも生き延びた人たち であるとしているね。
A氏 :たしか、 岸田秀 氏は、 日本人は黒船で無理やり押し付けられたトラウマ心理 を持つようになったと言っているね。
私
:引越しのとき、本の整理をしたら、 2005年
頃に買った「 百年の誤読
」という2人のライターが対談している本が出てきた。
副題が「 ベストセラーに良書なし?」
とあるように、 名作やベストセラーに厳しいコメントをしている。
百年の誤読
しかし、 夏目漱石
の「 それから
」の書評は評価が高いね。
「 この時代、漱石と泉鏡花の文章に対する意識の高さは一頭地を抜けている 」としているね。
A氏 :やはり、 漱石は漢詩の影響 かね。
私
: テーマの追求という点
からも「 それから
」を 高く評価
しているね。
「 他者と自分
」、「 世間と自分
」、「 西洋と日本
」とまで拡大し、 結局両者は分かりあえないという結論
に達したという。
漱石の作品に現われる「 気鬱や狂気
」はその「 絶望
」に端を発していると批評しているね。
漱石は、「明治の断絶」に対してついに「絶望」
したのかね。
A氏 : 漢詩と英語の間に挟まれた漱石 は、 近代化明治に悩む「 明治人 」の典型 だね。
私
:内田氏は、その「 明治人
」の定義を使って、「 昭和人
」の定義をしている。
明日は、その定義からはじめよう。
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