投資逍遥

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2005/07/24
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カテゴリ: 読書
2003年2月に発行されたこの本には、日本の警察を創った男としての 川路利良(かわじとしよし) が書かれています。
著者は昭和7年生まれの方ですが、鹿児島県警察本部長を退官後、現在は歴史小説を執筆されているとのこと。

川路利良とはいかなる人物か、まずはこの点を書いてみます。
川路利良(1836~1879年)は、薩摩藩士。
戊辰戦争に参加、維新後1871年に東京府大属となり、邏卒(らそつ)総長に昇進。
警察制度視察のため渡欧し、帰国ののち司法権と警察権の分立を主張、警保寮を司法省から内務省に移管させた。
また征韓論分裂による政治情勢の動揺に対して東京警視庁が創設されると、大警視に任ぜられ、首都治安の取締りにあたった。
1877年西南戦争には別働隊を率いて参加。
警察権の確立につとめ、警察制度を整えるのに尽くした。

以下は、 【この本からの引用】 【征野の感想】 です。

【この本からの引用】
戦乱の時にあっては人心は荒廃する。
「大久保と川路の家を叩きこわしてしまえ」という声に煽られて、甲突川の東にある大久保の家をめちゃめちゃにこわした群衆は、川路の家にむかった。

【征野の感想】
これは、西南戦争時のこと。
西南戦争では、薩摩藩士であった3人(西郷隆盛、大久保利通、川路利良)が敵味方に分かれることになるのですが、この戦乱の時に暴動で大久保や川路の家は壊されてしまったと。
更に、川路の出身地では親族7人が暴殺されたそうです。

思い出されるのは、日露戦争後の日比谷焼打ち事件です。
これも暴動ですが、ポーツマス会議の全権・小村寿太郎の家も壊されたと記憶しています。
何時の時代でも暴動は起こりうるもの。
現在の日本では、民衆に大きな不満がないから暴動は起きていないだけのことなのか。


【この本からの引用】
川路は刀について一家言をもっていた。
「刀というものは、抜かないですますことができれば、それが最上の道というものだ。たとえ強賊逮捕の危険にのぞむも、やむをえない場合以外は、決して抜剣してはいけない」
こう説諭して剣の使用を制限した。

【征野の感想】
この川路の考え方が、今でも生きているのですね。

現在の警察の武器使用の規制によると、武器使用が許されるのは、
第一は、「正当防衛」
第二は、「緊急避難」
第三は、警察官だけに適用されるもので、「死刑又は無期若しくは長期三年以上の懲役若しくは禁固にあたる凶悪な罪を現に犯し、若しくは既に犯したと疑うに足りる充分な理由のある者が、その者に対する警察官の職務に対して抵抗し、若しくは逃亡しようとするとき、又は第三者がその者を逃がそうとして警察官に抵抗するとき、これを防ぎ、又は逮捕するために他に手段がないと警察官において信ずるに足りる相当の理由がある場合」

このように、武器は使うな、使用は慎重に慎重にせよとのこと。
元鹿児島県警察本部長であった著者が語るには、
「昔に比して、犯罪者が使う武器も格段に進歩し、サリンのような恐るべきものまで出現した。凶悪化する犯罪から国民を守るためにも、殉職という悲劇をくり返さないためにも、今や警察の武器使用を緩和することが必要である」と。

この辺は、門外漢の私には難しいところですが、著者の主張には説得力があるように思います。








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Last updated  2005/07/24 08:16:04 AM
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