投資逍遥

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2005/12/11
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テーマ: お勧めの本(7336)
カテゴリ: 読書
この本は平成11年3月に発行されました。
『別冊文藝春秋』に中断をふくみ連載されましたが、その期間が長い。
1982年4月~1997年4月までなので、15年間にわたって連載されたようです。
史実を精査しながら書かれた内容であろうと思います。
この本の最後に著者が挙げられた参考文献が83点ほどありますが、この数には驚きます。
しかも、この83点は代表的な参考文献であるようで、「このほかにも、たくさんの資料から貴重な、知的な贈り物をいただき」と書かれており、もっと多くの文献を参照されたことが推定されます。

『東京セブンローズ』 は、昭和20年の根津の団扇屋主人による日記という形式で書かれています。
そこには戦下の市民の真実と、戦後の占領軍による日本語ローマ字化計画が書かれており、この「ローマ字化計画」は、セブンローズ(この本では日本人の7人の娼婦という意味です)により潰され、日本語が守られたという突飛な内容です。
もちろん小説なので史実とは異なり、著者は次のように語られています。

ある雑誌インタビューで井上氏は、「いくらなんでも七人の娼婦が日本語を守ったというのはウソだけど、細部は全部本当です。でも、小説全体を読むと『ウソ話を読まされた』というのを書きたかったんですよ」と。

以下に 【この本からの引用】 【征野の感想】 を少々書きます。

【この本からの引用】

散髪は15分で終わった。
理髪代が3円。
それとは別に1円の貯蓄券を買わされた。
この4月からそういう規則になったのだそうだ。

【征野の感想】

この貯蓄券とは何か?
臨時資金調達法に基づいて発行された金融債券のようである。
ここ を見ると今なら千円位で売れそうだが、戦後には紙くずとなったのであろうか、調べていないので何ともいえないが。

債券といっても税金ですな。


【この本からの引用】

我国は大東亜共栄圏における標準語を日本語にしようとしていた。
シンガポール、マレーシア、フィリピン、それから朝鮮半島で日本語をそれぞれのところの国語として使わせようとだいぶ苦労しておった。
つまり自国の言葉を敗者に使わせたいと思うのは、勝者の本能のようなもので、なるほどたしかにアメリカは我国に英語をおしつけてくるかもしれませんな。

【征野の感想】

戦後間もなく、誠文堂新光社から発行された『日米會話手帳』は、ベストセラーとなったようで、半月で200万部売れたという。
目ざとい商売人は、いつでもいるものだと思う。

それから、日本語を改革したいと考えていた日本人も結構いたようである。
この本によると、前島密、福沢諭吉、石川啄木、大槻文彦など、枚挙にいとまがないという。
このへんは多少興味をもったので、機会があれば調べてみたいと思う。





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Last updated  2005/12/11 08:30:01 PM
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