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2015.10.12.の日記 で、漫画家さんと編集者とのトラブルについて触れたが、出版社の公式サイトに発表された 「お詫び」 で説明されている経緯が、余りに衝撃的だったので、ちょっと、人事管理の面から、この件について考えてみた (事件そのものを糾弾する意図はありません)。およその経緯を簡単に記すと、〈1〉 締切の1年以上前、当該編集者が、漫画家への執筆依頼を し損ねる (理由は不明)。〈2〉 締切間近になって、編集者がデスク (雑誌編集責任者) に対し、「漫画家自身の都合で」 と偽り、執筆をキャンセルしようとするが失敗。漫画家に全く相談せぬまま、「ページ数を減らしての執筆の了承を得た」 とデスクに虚偽報告する。〈3〉 編集者が、漫画家から預かっていた過去の同人誌作品を無断でスキャン、改変、改題して入稿。 その上で、デスクには 「漫画家が多忙により (こちらの指示を無視して) 過去の原稿を出してしまい、掲載をキャンセルしたがっている」 と虚偽報告するが認められず、「漫画家から改めて掲載の承諾をもらった」 と、さらに出まかせを言う。〈4〉 執筆した覚えのない雑誌掲載の動きに気付いた漫画家からの問い合わせに対し、編集者は、「犯人を見つける」、「会議にかけて販売中止を決め、回収させている」 等、虚偽の弁明を繰り返す。〈5〉 一方で、異常に気付いたデスクから説明を求められた編集者は、「漫画家がデスクに会うのを怖がっている」 などと偽り、トラブル発覚の阻止を図る。 …以下略。…とまあ、「ミスで焦って、その場しのぎのウソをついてしまいました」 と、言い逃れすら出来ないような、「計画性」 をも感じるウソのつき方だ。どうやら、漫画業界では、担当編集者の頭越しに漫画家が出版社とやり取りするのは 「御法度」 に近いらしく、この件で真に怖いと感じたのは、〈2〉 の段階で 「漫画家が多忙で、どうしても描けないと言っている 」と、担当編集者が言い張れば、(漫画家に罪を着せたまま) 原稿落としが認められた可能性もありそうなところだ。他の BL漫画家さんからも 「同じ編集者から似たような被害を受けたことがある」 (過去の二次創作作品を無断で発行され、一部流出) という告白がネットに挙げられていることから、この編集者は、こういうミスやウソを常習的に重ねてきたのではないかと推察される。今回、編集者のウソが悪質過ぎたこと、漫画家に、Twitter (現在閉鎖) に書き込む手段や 追及する勇気があったことで 問題が発覚したから まだ良かったが、編集者の怠慢や虚言のせいで、作家の信用が失われるケースは、いくらでも起こり得るということだ(今回も、編集部がサイトで経緯報告をしなければ、世間からは漫画家の非を疑われた可能性もある)。特に、BL漫画界というのは、作家も編集スタッフも読者も、圧倒的に女性ばかりだろうから、はっきり言ってしまうと、「閉鎖的な世界」 で、関わる人の多くが 「世間知らず」 で 特殊な世界(=だから、トラブルが表に出にくく、自浄作用も働きにくい) …と片付ける人もいるかもしれない。だが、古くなるが、2012.1.31.の日記 で 「昔の職場の同僚に ヒドい人がいて大変だった」 話を綴ったことがあるが、能力が低いだけならまだしも、ヘタに動いて会社にとんでもない損失を与えかねない社員というのは、男中心の大企業でも存在する。マイナー漫画家が陥れられそうになったって程度なら世間は大して気にしないが、「怠慢な嘘つき」 が、「マンションの杭打ち工事」 なんかに関わったりした日には、業界全体を揺るがすような、社会的、経済的なパニックを起こしかねない …ということは、昨今のニュースからも分かるだろう。では、雇用する側からすると、こういう人間を 「如何に排除するか」 という問題になるのだが…。今回の事件に関して言えば、出版社からの釈明文からは、編集部内の体制の不備や責任については認めているものの、あくまで直接的な原因は「一編集者単独の所業」 とされている (この辺も、「マンション杭打ちデータ偽装事件」 にそっくり)。実際、それはその通りなのだろうが、当該編集者が いつから出版社に在籍していたのか知らないが (少なくとも、問題の雑誌の執筆依頼内容が決まった 2014年1月には在籍していたと考えられる)、一緒に働いていて、編集部内の誰一人この編集者の資質の欠陥に気付かない、ということはあり得ないと思うのだ。前に挙げた、私自身の元・同僚の出向社員にしても (パッと見には好青年と言えなくもなかったが)、着任して数ヶ月のうちに関係部署は勿論、直接関係の薄い近隣部課からも、彼の悪評が私の耳に入ってきた。 つまり、こうした 「口だけ人間」 というのは、案外、簡単に周囲から察知されるものだ。皆がそれを分かっていて、なかなか排除できないという問題の根深さ…。私の同僚の場合、出向前から問題人物だと 私は分かっていたが、自分の上司にも相手方の上司にも、それを訴えることは出来なかった。 相手の評価を落とすことへの躊躇もあったが、それ以上に、自分自身が 「告げ口屋」 とか 「仕事相手をコントロールできない人間」 とか思われたくないという見栄もあったと思う。彼のミスが、結果的に こちらのミスに繋がると分かっているから、フォローしてやらざるを得ない。本人からは全く感謝されないが、ミスを未然に防ぐ為に 周りがガミガミとフォローし、結果、問題社員を排除出来ない上に、周囲の社員のストレスは増していくばかり。ハッキリ言って、こういう人物は、どこにいてもトラブルを起こしかねないが、編集や工程管理のような、細かい采配をふるわねばならない職種には 特に向いていないにもかかわらず、本人的には 「口から出任せ」 でナンとかなると思って入り込んでくる為、始末に負えない。日本の労働基準法は本来、労働者を 「不当解雇」 から守ろうという目的が強い (※) ので、法令遵守のマトモな企業ほど、こうした不良社員を抱えたまま周囲の社員に我慢を強いる …という状況が続くことが多い。(※) 労働契約法16条 解雇は、客観的に合理的理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合には、その権利を濫用したものとして無効とする一番の理想は、「こうした社員を雇い入れない」 こと。(試用期間を取ることは言うに及ばず)ただ、人事採用担当に必ず、「初対面で人の本質を見抜く」 裁量のある人を置け、と言っても、小さい会社では無理がある。 採用基準に 「コネ」 や 「資格」、「経験」 などが絡めば、余計に 「人柄」 だけでは測れなくなる。今回の編集者トラブルの場合、移籍前の出版社でも訴訟沙汰を起こしながら、同じ畑の出版社に採用されたことがまず不思議で (知っていて、その他のメリットを考慮して採用された可能性もあるが)、その経緯を知りたいところだが、ともかく、こういう人物は、採用面接時にも何かとウソをつく可能性があるので、職歴や前の会社での仕事内容など、種々の質問をして 回答を記録しておくのは防衛策の一つになるかもしれない。面接でウソをつかれたとしても、必ずしも解雇理由に相当するとは限らないが、採用後の細かいトラブルと、「合わせ技」 的に処分できる可能性もある。経歴詐称が解雇事由になりうることを就業規則に明記しておくことも重要。雇用してしまった後は、当該労働者が取り返しのつかないトラブルを起こす前に、人事権のある上司が 「何とか」 すべきなのはヤマヤマなのだが、これがすんなり行けば 苦労はない。大きな組織ならば、異動させて閑職に追いやることも可能だろうが、中小企業ではそうもいかない。トラブルを起こされてからでは遅いと言っても、起こす前に解雇するわけにもいかなかったりする。とりあえずは、「ヤバい社員」 に関してだけは、細かい業務上での 「虚言」 やトラブル、それに対する教育措置などの記録を残しておいた方が無難だ。 (すべての社員に対して管理を厳しくし過ぎるのはギスギスして良くないと思うが…)ともかく、こうした極端な 「怠慢ちゃん」、「虚言ちゃん」 を、毅然と 「切れる」 企業じゃないと、優秀な人材にまで逃げられ、結果的に組織は衰退しかねない。<関連日記>2012.1.31. 我慢を重ねた、最後の最後に使用すべき言葉・・・ 屋山太郎 名言録 2015.10.15. あまりに切ない 偏執的な愛の形 ・・・ はらだ 『 やじるし 』 【楽天ブックスならいつでも送料無料】小さな会社の労働契約と解雇のルール [ 石井孝治 ]価格:1,728円(税込、送料込)
2015年10月26日
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気まぐれ労務ネタ。 ちょっと古い記事からなんだが…。「ルミネ」 がウェブCM として公開した動画が、一部からのクレームで公開中止に追い込まれたという話題。実際の動画は既に削除されているので、J-CAST の記事による説明をそのままコピペさせていただく。*********************☆ 上司のセクハラ言動や価値観に迎合している ルミネの「働く女性応援CM」に批判、謝罪に追い込まれる<記事からの引用> 会社勤めの若い女性「ヨシノさん」を主人公にしたストーリー仕立ての動画で、第1話では男性上司とのやりとりが展開される。ある日の朝、上司は出社中のヨシノさんを見るなり「なんか顔疲れてんなぁ、残業?」と聞く。「いや...普通に寝ましたけど」と答えると「寝てそれ?あっははは」と失礼な一言。ヨシノさんは表情を曇らせる。 社内に入ると、2人の前を可愛らしい同僚女性が通りかかる。同僚女性は茶髪のロングヘアで、花柄スカート&オレンジのアンサンブルニットといういかにも女性らしい見た目。一方のヨシノさんは、ボーダートップスに白パンツ、ベージュのトレンチコートと全体的にメンズライクなファッションだ。 上司は同僚女性に「髪切った?」と声をかけた後、「やっぱかわいいなあの子」とつぶやく。ヨシノさんは「そうですねぇ、いい子だし」と合わせるのだが、その様子が自信なげだったためからか、上司は「だーいじょぶだよ、ヨシノとは『需要』が違うんだから」と「フォロー」してみせる。動画ではここで丁寧に「需要」という言葉について「求められること。この場合、『単なる仕事仲間』であり『職場の華』ではないという揶揄」との説明が入る。 ずいぶんと無神経な上司だが、ヨシノさんは腹を立てることなく「最近、サボってた?」と自問。そこで「変わりたい?変わらなきゃ」というルミネのメッセージが打ち出され、動画は終了する。 同時に公開された第2話は第1話の続編となっている。・・・<以下略・引用おわり>*********************こういう事態になると、クレームをした女性らに対する批判が必ず出てくる。この記事に対しても、一見 「もっとも」 っぽいものから、 「支離滅裂」 なものまで、様々な批判コメントが書き込まれ、半ば喧嘩腰の議論が展開されている。全てまともに読むとバカバカしいので斜め読みしかしてないが、目についた 「CM 擁護派」 のコメントに対して、ちょいと、この場で反論したい (この場で反論しても何の意味もないが、件の記事の議論はとっくに終わっているので、あくまで自己満足の為に…)。●「クレームは過剰反応だ」というご意見→ 「たかが、おふざけCM に目くじら立てるな (これだから女はめんどくせぇ)」 ってことなんだろうが (この手の騒動にムキになる男の方も、かなりめんどくせえヤツだと思うが)、では女性は、いつ、誰に 「目くじら」 を立てればいいのかね? 現実社会では、もっとヒドいことを言われても、殆どの女性は我慢してるんだろうと思うが。実際に上司に言い返したり、裁判沙汰にすれば、それこそ社内外から激しく個人攻撃されるだろう。せめて、公のCMくらい 良識のあるものを作ってくれよ、と意見して何が悪いのか (的外れなクレームなら、企業側が無視すれば良いだけの話だ)。●「女だって、男を見た目で差別するだろう」 という、論点のすり替え→ 「管理・評価する側」 (日本では未だ、圧倒的に “男性” が多い) の発言と、 「若い女性ヒラ社員」 の陰口レベルの発言・思考とを同列にする時点で、問題の本質を理解できてない (或いは意図的にねじ曲げるのがウマい) 人たちだ。●「見た目をキレイに…と努力するのは女として当然で何が問題か分からない」という、ご意見(女性からも)→ だーかーらぁ、 「キレイにするべき」 とか 「しなくていい」 とか、論点はソコじゃないっつうの。 「上司 (評価する側の人) が部下に言っていいことかどうか」 が問題なんでしょーが。よっぽど職場に相応しくない服装を注意されるならともかく、男好みのおしゃれ (フェミニン) かどうかで優劣をつけられてる… と感じさせる 「上司からの」発言が、セクハラじゃなくて何なのよ?●「この程度の発言がセクハラになるなら、女性に対して何も言えなくなる」 等々→ そもそも、このCM の上司の発言が 「全くセクハラと思わない」 と本気で思っている人とは、何を話し合っても無駄… という気がするが、私自身、実際に上司から同様のことを言われたら、大して気にも留めずに笑い飛ばしているかもしれない。 私の若い頃は 「セクハラ」 なんて言葉自体、一般化していなかった時代。 この程度でメゲてはいられなかったのも事実だ。また、受け止める側の意識で、許されたり許されなかったりが変わることも多少はあろう。 そこそこ美人が相手なら 「冗談」 で済む発言も、不美人だとシャレにならない場合もあるかもしれない。とは言え、やはり、 「世間一般で許されているから」、「見逃されているから」 と言って、公のCM でやってもいいってわけではないのだ。こうしたCM を子供や学生が観れば、 「女は職場でも見た目で評価される」 と深層心理に刷り込まれるかもしれないし、一部のバカな男は 「この位なら言ってもセーフなんだ」 とか、 「生意気な女には、こういう言い方で攻撃すれば、おとなしくなるんだ」などと都合よく解釈するかもしれない。それ以前に、女性がターゲットのCM で、当の女性の多くが不快に思うなら、単純に、宣伝として不適切だろう (ルミネで物を買わない ネトウヨ男たちの擁護など、ルミネにとってすら無意味だ)。アウトだろうがセーフだろうが セクハラの可能性のある上司の発言 (というか、このCM の場合は、どう見てもアウトだと思うが) に唯々諾々と迎合してしまうこのヒロインの姿を通して、 「女は “馬鹿で素直” が正解」と言われているに等しいのだから。つまり、寧ろ、この上司の (冗談としても面白くも何ともない) セクハラ発言そのものよりも、若い女性社員が、 「上司や男の言いなり」 になろうとしている (= 女は男の価値観に従えば幸せになれると、女性自らが気付く)… という描写の方が問題なのだ。その論点も理解できずに、 「女の方が差別的」 だの、「女を優遇して男を逆差別しようとしてる」 だの、トンチンカンなコメントしてる人は、セクハラ云々論ずる前に、己の被害妄想をナンとかせい、と言いたい。仮に、CM の上司役が女で部下役が男だとしたら、それほど問題にならないかもしれないが、それは、世間一般では女性管理職の存在がまだまだレアであり、女性上司にセクハラされる男の当事者が、数的に圧倒的に少ないからだ。 男性というだけで何かと有利である社会的な現状があるから、視聴者も 「目くじら」立てないだけで、当然、男女を入れ替えたCM なら許されるというわけではない。ここまで言っても、 「実際に、色気や可愛さを武器にして仕事してる女は多いしぃ」… などと言い返すんだろうな、Jキャスのコメンテーターさん達は。だからね、男 (上司) がまず、そーゆー女を優遇してきた歴史的背景があってだね…、、、(以下同文。 多分、永遠に平行線)そんなCMを、一応は教養ある社員が揃っていそうな、大手の流通企業や広告代理店が、今どき平然と製作して公開したという現実に、多くの女性が心底ガッカリしたのだろう。【楽天ブックスならいつでも送料無料】疑問スッキリ!セクハラ相談の基本と実際 [ 周藤由美子 ]価格:1,080円(税込、送料込)【楽天ブックスならいつでも送料無料】弁護士が教えるセクハラ対策ルールブック [ 山田秀雄(弁...価格:1,028円(税込、送料込)
2015年05月13日
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★ 『とくダネ!』 (2012.6.11~12.放送分)京都祇園で起きた、暴走交通事故についての特集。容疑者Fの死亡により、原因の特定が難航している事故 (事件?) だが、番組では、医学的な見地からの「可能性」 を2日間にわたり検証。まずは、当初から言われていた 「てんかん」 の可能性。これについては、目撃者の証言 (※) 及び、Fの最近の発作の態様が 「意識を失うタイプだった」 ことから、可能性は低いという意見が大勢。(※) 目撃者の証言〇 最初の追突事故を起こした際、Fは「しまった」という表情をしていた〇 暴走中も、Fは、しっかりハンドルを握り、運転操作していた。第2に考えられるのが、 「高次脳機能障害」 の可能性。Fは 10年前のバイク事故によって、頭部に外傷を負って以来、以前に比べ活発でなくなり、ささいなことで激昂することが増えた…との家族の証言があり、事故の後遺症で 「高次脳機能障害」 の状態にあったのではないかというのだ。高次脳機能障害の代表的な症状は次の通り。〇 記憶障害〇 注意障害 (ぼんやりしてミスをする)〇 遂行機能障害 (自分で計画を立てたり実行することが 苦手になる)〇 社会的行動障害→ 依存性 (人に頼り過ぎる) 固執性 (1つのことにこだわる) 脱抑性 (急に怒る、感情コントロールが難しい)この障害、正確に診断出来る医師が少なく、診断されずに放置されている患者が少なくないという。リハビリや対処法を学べば症状も改善するらしいので、何より、障害に気づくことが重要なのだが、本人が気づかないことが多いだけに難しいのではないだろうか。これで思い出したのだが、昔、大手メーカーの営業部の宣伝広報部門で働いていた時の話。ある時、特約店の営業に出向していた年配の社員が、出戻りで私の課に配属されてきた。このおじさん、 「クモ膜下出血」 の後遺症で片手片足に麻痺が残り、外回りが無理になったので、内勤が多く直接顧客と顔を合わせることが殆ど無い本社業務部門に追いやられた形だった。ずっと営業職で、宣伝広報の経験が無いとは言え、私ら若い社員が仕事の指示を仰ごうとすれば 「経験ないので分かりません」 の一言でシャットアウト、部課長も彼と同年輩なので、頭ごなしに命令することもできず、すぐに、誰も彼に仕事を振らなくなり、殆ど一日中、席でタバコを吸ってぼんやり過ごしていた。たまに電話しているかと思うと私用電話で、電話の相手に声を荒げて怒っていたり…。私も、もう少し年齢が近ければ、何か別のアプローチが出来たかもしれないが、当時は親子ほどの年齢差があり、私自身、自分がやるしかない仕事以外にも、そのおじさんが働かない分、課長から直接下りてくる臨時の仕事が多くて、思いやる余裕も無かった。今にして考えると、彼も、クモ膜下出血の後遺症による「高次脳機能障害」 だったのではないかと思う。当時、まだ基礎体力のあった大企業だからこそ、クビになることもなく、会社に在籍して高い給料も貰えたが、その反面、人格は著しく貶められ、リハビリを受けるチャンスも得られなかった。そもそも、長く出向していて、病気を患う以前の彼の仕事ぶりや性格を知る人が誰もいない環境に置かれ、大企業特有の人的余裕 (カバー力) で、彼が全く仕事をしなくても、何とかなってしまったのだ (カバーさせられていた方はヘトヘトだったが)。寧ろ、このおじさんの仕事ぶりや振る舞いを問題視し、受診させるなり、家族に進言するような上司や同僚が周りにいれば、早く障害に気付いてリハビリすることも出来たのではないだろうか。さらに酷なことを言うと、会社としては、 「過労による脳出血」 での労災を認めて、休業補償や障害補償を国から支給して貰い、おじさんには会社を休職するか十分な退職金を支払って早期退職して頂いた方が、同僚社員のストレスを軽減する意味でも、だいぶ有益だったろう。私が一身上の都合で会社を辞めた後も、そのおじさんは同じ部署に居続け (当然、他に引き取り手はない)、どうやら定年まで勤め上げた模様だ。社員に優しくない会社は成功しないと思うが、過度に優しすぎるのもまた、衰退の一因となる。【送料無料】高次脳機能障害価格:777円(税込、送料別)【送料無料】50シーンイラストでわかる高次脳機能障害「解体新書」価格:2,940円(税込、送料別)
2012年06月13日
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ワタミで、当時26歳の女性社員が、入社2ヵ月で過労を苦にして自殺(平成20年)し、今月、労災認定された件。最近は随分、「過労自殺」の労災認定がされやすくなったが、入社2ヵ月での自殺が認定されるとは、正直、少々驚いた。かなり昔、過労死の労災認定までの困難な過程をドラマ化したものがテレビで放送されたことがあった。あれを考えれば隔世の感がある。巷では、渡邉社長の本件に関するツイッター発言を含めて、ワタミに対する批判的意見が噴出している模様。<参考>渡邉美樹会長発言がネット大炎上 ワタミ側は「自殺社員」の労災認定に反論http://www.j-cast.com/2012/02/23123215.html?ly=cm&p=1念の為、言っておくが、労災(労働者災害補償保険)というのは、事業主が保険料を支払い、労働基準監督署長が認定するか否かを決め、政府が被災労働者に医療費や休業補償や遺族年金等を支払うもの。今回のワタミ社員の場合、労働局審査官への審査請求段階で認定されており、裁判までいってないだけ、比較的、すんなり認められた事例と言えよう。保険料を支払っているのは100%事業主なのだから、労働者を救済してもらうのは、当該「企業」にとっても、「当然の権利」だと思うのだが、様々な理由で、企業側が認定を嫌がる風潮があるのは残念なことだ。今回にしても、社長のコメント(「労務管理に落ち度は無い」)が、少なくともネット上では袋叩きにあっているわけで、素直に「改善に努めたい」とでも言った方がイメージ的には良かったのでは…。勿論、労災とは別に、民事で別途、慰謝料を請求される可能性があり、労災認定や会社の発言が「ものをいう」ことになるかもしれないのは事実なのだが…。労災が認定されたということは、ワタミの労働環境に相当の問題があったことは確かであろうから、庇うつもりは無いのだが、26歳の大人が2ヵ月で自殺というのは、本人のパーソナリティの問題が全く無かったとは言い難い(あくまで私の憶測だが)。過労死や過労自殺の労災認定の難しいところは、同じような劣悪な労働環境で働いていても、耐えうる人も相当数いる、という事実だ。それでも、客観的にみて過酷な労働がきっかけであれば労災認定すべき、というのが現在の潮流。若者のうつ病患者が増えている昨今、「これまで誰も自殺せずに頑張っていた」という言い訳は通用しない。ちなみに、労災が認定されるかどうかで、労働者本人または遺族への補償は「雲泥の差」となることがある(特に、一家の生計の要である人が死亡したり、障害を負った場合)ので、事業主からの目先の見舞金などで丸め込まれたりしないよう、労働者も注意しないとならない。【送料無料】過労死の労災申請改訂増補価格:1,680円(税込、送料別)
2012年02月27日
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『とくダネ!』で、この時期に特集される「ボーナス」情報。国会議員のボーナスが高すぎる(290万8265円)だの、「東電」(37万4000円)や「大王製紙」(60万円)など不祥事企業のボーナス額だの、エコポイント特需のお蔭で電器メーカーは上がっただの、「オリンパス」は非公表だの…。公務員や国会議員のボーナスについて批評するのはともかく、特定の民間企業のボーナス額を云々するなら、自分たちのボーナスも、「幾らでした」と発表すべきでは?ちなみに、フジテレビ社員、下がっても、30代で130万円という噂がネット上で流れてますが…。不祥事を起こした企業でボーナスが出ると怒る人がいるが、日本ではもともと、「賞与」というのは名ばかりで、正社員の予定された給料の一部として定着してしまっているところがあるので、支給そのものについて非難するのもどうかと思う。そもそも、「ボーナス制度」というのは、どちらかというと、雇用主側に都合の良い場合が多い。今でこそ、ボーナスにも社会保険料(厚生年金、健康保険)がしっかり掛かるようになったが、昔は、月給を抑えボーナスを高くした方が、保険料が安く済む時代があった。(保険料は事業主が半分払わないとならない為、安く済む方が企業にとっては有難い)また、様々な手当の計算の元となる「平均賃金」には、ボーナスは含まれない。平均賃金というのは平たく言うと、「1日分の給料」。例えば、休業手当(会社の都合で一時帰休になった場合など)や、解雇予告手当、年次有給休暇、災害補償などの算出の元になる。また、失業した場合の雇用保険の給付額の元となる「賃金日額」にも、ボーナスは含まれない。つまり、「月給20万円でボーナス無し」の人と、「月給15万円でボーナス60万円」の人がいたとしたら、年収は同じ240万円でも、各種手当は、前者の方が高くなる(はず)。
2011年12月09日
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★「社会保障と税の一体改革」政治家・官僚が、もったいぶったタイトルやスローガンを掲げる場合、ろくな話じゃないことが多い。何か大きな改革や法改正を行う場合は、「アメとムチ」を提示して、「痛み分け」のような雰囲気で煙に巻くのが政治的常套手段。今回の年金改革案で言えば、「低所得者への給付加算」や「最低納付期間の短縮(25年→10年)」等がアメで、「給付水準の引き下げ(約2.5%)」がムチ。不愉快なのは、少し前に提起された、「年金支給開始年齢の引き上げ案(65歳→68歳?)」を「審議項目に入れない」ということを、まるでアメの1つであるかのように掲げていることだ。しかも、中長期的には「検討するかも」と、脅しをかけるのも忘れない。全く、図々しいにも程がある。ともかく、今回は「消費税率アップ」が第一目的だから、今のところは、引っ込めておいてやろう、ということか。「アメとムチ」たって、今回の年金改革案に関しては、アメを与えられる人と、ムチを打たれる人は殆ど一致せず、後者(年金生活者)の数の方が圧倒的に多い。(勿論、一番きついムチは、消費税アップだ)最大の問題は、これで若い世代の将来の年金が必ず保障されるという保証は全く無いということだ。2004年の改正では、「保険料の引き上げ」と「国庫(税)負担増」を決めたが、あの時言ってた「100年安心」とかいうスローガンは何処へ行った?年金政策の見通しの甘さや失敗に関しては、誰も責任を取らず、まるで、団塊世代が高齢化したことが、「想定外の事故」みたいに扱われ、「現役世代の不公平感」をことさら強調している。まあ、これまでの官僚政治、自民党政権、民主党政権・・・。これらを支持してきたのは、高齢者を中心とした国民自身だから甘んじて受けざるを得ない、とも言えるか。とにかく、国民年金保険料を20歳から比較的きっちり払っている昭和40~50年代生まれは、かなり、損をしそうな気がするぞ。【送料無料】難解な年金相談事例集価格:1,890円(税込、送料別)
2011年12月07日
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★『クローズアップ現代』 NHK総合(月~木19:30~)“現代型うつ”にどう向きあうか (2011.11.22.放送)***************************(公式サイトによる説明)http://cgi4.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail.cgi?content_id=3124今、これまでの概念では捉えきれない「うつ病」が増加している。不眠に悩む、職場で激しく落ち込むといった「うつ」の症状を示す一方で、自分を責めるのではなく上司のせいにする、休職中にも関わらず旅行には出かける…。いわゆる”現代型うつ”だ。20~30代の若者を中心に増え続けているとされ、従来の治療法が効きにくいことから医療現場は混乱している。さらに企業では休職者が増え、経営を圧迫。中には「怠け」と判断し、解雇したところ裁判で訴えられるケースも出ている。現代型うつに翻弄される医療現場と企業の実態に加え、最新の治療法も取材、対応策を考える。***************************上司からのちょっとした叱責などが原因で会社を欠勤するが、友人との飲み会や趣味などには楽しんで参加できる…。私の若い頃にも、精神的な問題で長期欠勤する若手社員はいたが、最近は、人事担当者が本気で頭を抱えるほど、増えているらしい。数年前、「社会保険労務士」開業希望者向けのセミナーに参加したら、テレビで時々見かける社労士が、「うつ病の人を雇い入れない対策」の1つとして、「採用面接時に精神科の通院歴・病歴を聞いておくこと」と言っていた。これは、雇い入れ後、「うつ病」を理由に欠勤された場合、通院歴について「嘘をついていた」ことが判明すれば、それを理由に解雇が可能だからだ(うつ病そのものを理由に即時解雇することは出来ない)。シビアに聞こえるかもしれないが、ギリギリの人件費で経営する中小企業にとって、長期欠勤者の存在が痛いことは当然だし、今や予防策を取らざるを得ない位、深刻な状況のようだ。 …ちなみに、入社面接で病歴を聞くこと自体は、「差別」には当たらない。 また、採用試験段階での、様々な「差別的排除」は、「労働基準法3条」(※)違反にも、「男女雇用機会均等法」違反にも当たらない。これらの法令を遵守しないとならないのは、あくまでも雇入れ後、雇用契約を結んだ後のこと。(※)使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。話は戻り、「現代型うつ」の件。「最近の若者は心が弱い」「わがまま」と言ってしまえば簡単なのかもしれないが、私的に引っ掛かる点がいくつかあった。まず、そもそも、従来の定義に当てはまらないのならば、「うつ病」という診断名を使用すべきではないのでは?という点。企業の本音からすれば、精神科医がやたらと診断書を濫発するから、病気欠勤を認めざるを得ないという現状に苛立ちもあるだろうと思うが、それはさて置き、本来の「うつ病」の人からしても、同じ括りで捉えられると不利益が生じるのではないかと思うのだ。それから、この病気(?)の原因を、本人の心の弱さという点ばかりから論じている点。勿論、それが一番なのだろうが、自分の社会的不適応を他人のせいにする人間は、いつの時代にもいるものだ。昔と大きく違う点は、簡単に仕事を欠勤してしまう点。最近は、義務教育段階でも、家族旅行等で簡単に子供を休ませてしまうが、こうした、義務より権利を優先する風潮も、少しは影響しているかもしれない、と思った。それに、私らの頃は新卒の採用数が多かったから、同期も多く、愚痴を言い合って解消できる環境が整っていたし、上司との飲み会もよくあって、そういう場で人間関係の補正もできた。だから、一見、無駄に見える「社内交際費」や「社員旅行」等の予算を削り過ぎるのは、長い目で見ると考えものなのだ。こうした社員を大勢抱えて困っている会社は、そもそも、入社段階の見極めが甘かったり、労務管理上の問題もあるのではないかと思うが、人事担当者が四苦八苦している段階で止まるならば、まだ良い。社会問題化して、「リスクの多い正社員よりも、派遣社員やパートで」という企業が、ますます増えてしまうのが怖い。ヘタすると、労働基準法自体が緩和されて、こうした長期欠勤者を解雇しやすい方向に向かう危険性すらある。だが、「子供を強く育ててください」と親世代に口で訴えても無駄だろうし…。こうしたことは、人も社会も自然に耐性がついて、治っていくことを期待するしかないのかもしれない。それにしても、精神科医も、もう少ししっかりして欲しい。「わがまま」か「不可抗力の病気」か、誤解を助長するような診断をするなら、治療や予防に、もっと責任を持つべきではないだろうか。(番組では、グループカウンセリングで治療効果を出している実例も、一応、挙げていたが)精神科医が何も出来ないというなら、個別の病気というより、「社会病理学」上の問題のように思うのだが?【送料無料】イザというときの労働基準法価格:882円(税込、送料別)
2011年11月24日
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なるほど。「年金支給開始年齢を68歳に引き上げ」と、まずは脅しをかけておいて、一旦それを引っ込め、「高額所得者から搾り取る」と言えば、一般庶民は納得するだろう。・・・という魂胆ですか。「月収60万円以上なんて、自分には関係ない」と考える若者は多いと思うが、社会経済ってのは、色んなところで繋がってるから用心した方が良い。知ってのとおり、厚生年金保険料は、労働者の給料だけから払っているわけではない。事業主と折半なので、保険料が上がれば、その分、企業の負担も大幅に増えることになる。不況の中で、そう簡単に商品価格に転嫁することは出来ない。社会保険料負担が上がれば、企業としては、人件費を総額で抑えなければ…ということになる。そうなれば、安月給ヒラ社員の昇給にも影響するかもしれないし、そもそも、社会保険料の掛かる正社員の採用をもっと減らして、非正規雇用を増やそうという動きがもっと加速するかもしれない。「株なんか持ってないから、株価が暴落しても関係ない」と安穏としていたら、巡り巡って「勤務する会社が倒産して失業」と、もっと酷い目に遭う人が出てくるのと同様、結局は、何かしら、庶民にも降りかかるものだ。***************************<NHK NEWS WEB 10月26日 4時39分より>http://www3.nhk.or.jp/news/html/20111026/t10013510281000.html「高所得者保険料上げ検討 厚生年金」 厚生労働省は、所得の高い人の厚生年金の保険料について、月収が60万5000円を超えるとそれ以上は上がらない今の仕組みを見直して、保険料負担を増やすかどうか、来週開かれる社会保障審議会の部会で検討することにしています。厚生年金の保険料は月収に応じて段階的に上がりますが、将来の年金支給額が高くなりすぎないよう、月収が60万5000円を超えるとそれ以上は上がらない仕組みとなっています。これについて、所得が高い人の保険料負担が低いという指摘があることから、先に政府・与党がまとめた社会保障と税の一体改革案に上限額の引き上げを検討することが盛り込まれ、厚生労働省が、来週開かれる社会保障審議会の年金部会で議論することになりました。具体的には、保険料の算定基準となる「標準報酬月額」の上限を、健康保険の保険料で設定されている121万円まで引き上げる案などについて検討することにしています。厚生労働省の試算によりますと、仮に121万円まで引き上げた場合、年収およそ1900万円の人の年間の保険料負担は、いまの2倍近いおよそ300万円に増えますが、40年払い続けて将来受け取る月々の年金も、今より10万円ほど多い40万円余りとなります。このため厚生労働省は、保険料を引き上げたうえで、将来の年金支給額を抑えるかどうかについても検討することにしています。***************************
2011年10月31日
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前回の日記(年金開始「68~70歳」念頭に厚労省3案提示)に関連して…。私の予想じゃ、年金支給開始が68歳だか70歳だかに引き上げられる頃(20年後か30年後か知らないが)には、日本人の平均寿命は下降し始めていて、保険料を払うだけ払って老齢年金を少ししか受け取れずに死ぬ人が増えるのではないかと思う。第一の理由は、原発事故の放射能問題は無視するとしても、一般的に現代人が、成長期に、ダイオキシンや水銀、紫外線等の有害物質に、相当、汚染されている事実。(特に昭和30~40年代生まれはヤバい)第二に、医療技術の進歩がもたらす、長期的な影響。産科技術に乏しく予防接種も無かった昔は、乳幼児死亡率が非常に高かった。しかし、その分、乳幼児期を生き長らえる人は、「生来の生命力」のある人ばかりだった。子供の死亡率が激減した分、人々は必要最小限の数の子供を大事に育てるようになった。それが悪いというわけではなく、要は、もともと余り丈夫でなく、昔なら成人前に自然死してた人が、老齢まで生き残る率が増えているという現実だ。こういう人たちに、「70歳まで働け」というのも酷な話だ。非婚や子供を持たないことで、孤独に耐えられずに自殺する人も増えるかもしれない。生涯独身者は増える一方なので、遺族年金を受け取る人はかなり減るかもしれない。厚労省にとっては有難いことかもしれないけど、その程度じゃ「焼け石に水」なのだろうね?少なくとも、厚労省は目先の年金財政しか考えていないように見えるが、「年金さえアテにできない」という喧伝が国民に与える心的影響、それにより、さらに加速する少子化のことなんか、どうでもいいんだろうな。・・・自分で書いてて、暗い気分になってきた。
2011年10月12日
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あ~あ、やれやれ、ひどいね。また、いつの間にか、さらっと改正しちゃうんですかね。60歳開始を65歳開始に引き上げるのも、結構な裏切りだったと思うけど、さらに引き上げって…。詐欺もいいところでしょう。ただでさえ、終身雇用も危うくなってるのに、68歳だの70歳でやっと年金支給開始じゃ、資産家か大企業サラリーマンか公務員以外、歳とって大病でもしたら、即、生活できなくなるでしょうね。(医療保険制度だって、相当危ういってのに)消費税は上がるし、年金もアテにできないでは、もう節約して貯金するしかない。消費経済も一層冷え込むだろうし、負の連鎖は延々続くことに…?社会保険労務士試験の年金科目が、またややこしくなるのかもしれないと思うと、受験生には気の毒だ。***************************★読売新聞 10月11日(火)21時58分配信厚生労働省は、厚生年金の支給開始年齢を将来的に68~70歳に引き上げることを念頭に、11日の社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の年金部会で三つの案を提示した。同省は、年内の改革案取りまとめを目指す。厚生年金の支給は、男性は2025年度までに、女性は30年度までに、それぞれ60歳から段階的に65歳まで引き上げ、基礎年金と合わせることがすでに決まっている。だが、厚労省は、少子高齢化の急速な進展などを念頭に、年金財政の安定化のためには年金支給開始年齢を一層引き上げる検討に入る必要があると判断した。3案は基本的に、年金が受給できる年齢を遅らせ、そのスピードをどう速めるか、度合いをそれぞれ調整したものだ。具体的には、〈1〉厚生年金の支給開始年齢を3年に1歳ずつ引き上げる既定スケジュールを「2年に1歳ずつ」に前倒しし、65歳に引き上げる〈2〉厚生年金を現在のスケジュールで65歳まで引き上げた後、基礎年金と併せて支給開始年齢を3年に1歳ずつ引き上げ、68歳に引き上げる〈3〉2年に1歳ずつ前倒しして65歳まで引き上げた後、さらに同じく2年に1歳ずつ引き上げ、両年金の支給開始年齢を68歳に引き上げる――との内容だ。***************************
2011年10月11日
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震災後、複数の知人から聞いたウワサ話がある。それは、「首都圏では、警察発表よりも、もっと多くの人が震災によって亡くなった」という話だ。(ちなみに、警察発表では、東京都で7名)より具体的な話だと、「スカイツリー建設現場で、作業員が何人か転落死したらしい」というもの。ちなみに、スカイツリー広報では、「作業員全員の無事、構造体への被害はないことを確認致しました。」と発表している。根も葉もない噂だとしたら悪趣味だと思うが、こういう噂話をする人に対して、「それはデマでしょ」と真向否定することは、人間関係上なかなか難しいので、敢えて、ウワサが真実であると仮定して、「死者を隠匿した」理由と、実行の可能性を考えてみた。(1) 企業や建造物のイメージ低下を防ぐ為の隠匿例えば、スカイツリーなら、「人が落ちるほど揺れた」とか、「作業員が何人も死んだ」とかいうことで、建物自体の信頼性や、輝かしいイメージが下がるのは必至。しかし、だからと言って、作業中の労働者が死んだことを隠すとしたら、必然的に「労災隠し」につながり、バレたら、却って企業のイメージダウンだ。遺族に多額の慰謝料を払って口止めするってのも、弁護士や社会保険労務士が溢れている昨今、そんなの、危なっかしくてやってられない、と思うのだが…。死傷した作業員が、知識の薄い日雇い労働者とか (建設現場では、あながち少なくはない)だったら、「日雇いには労災は出ないよ」などとデタラメ言って労災隠しをする悪徳業者はいるかもしれないが、そもそも、「地震による死者」であることを警察に知られないようにすることが可能だろうか?特に、スカイツリーほどの有名現場となると、最も「口封じ」しにくいのは、救急隊員だろう。救急車も呼ばず、現場に死体を埋めちゃったなら別だが…(もはや、巨悪犯罪の域だ)。(2) 確実な労災認定をねらっての虚偽申告5年程前、北海道で、トンネル工事の為の建設会社の仮設事務所が竜巻の直撃に遭い、9名が死亡するという痛ましい事故があった。この頃、私は、社会保険労務士の受験勉強をしていたのだが、予備校の講師が、「これは自然災害による事故なので、労災が認定されない可能性が高い」と言ったのを覚えている。(実際には、業務起因性が認められ、認定されている)※ 参考 「竜巻災害で労災認定」http://anzenmon.jp/vizwik/app/view_page_printable.html;jsessionid=55922190B3788593FB6B4BADE594281B?id=352509そこで、私が考えたのは、「地震が原因で死んだとすると労災が認定されないかもしれない」から、咄嗟に、「‘地震による死者’としては報告せず、何か、他の理由をつけて死亡の報告をし、労災申請した」可能性だ。つまり、事業主や労務担当者が、確実に労災が認定されるよう、「親切心」で虚偽報告した、という説。(労災が認定されるかどうかで、遺族に対する補償には雲泥の差が生じる)ビルの建設現場などでは、作業員が本人の過失で転落死することは、別に珍しいことではない。 地震の数分前に転落した、と申請すれば、医学的にはごまかせるだろう。…が、企業が、そこまで労働者の利益を慮るかというとかなり疑問だ。万一、嘘がバレたら、刑事責任を問われないとも限らないのに。まあ、「労災認定」と「建造物のイメージ維持」と一挙両得を考えたなら、可能性がなくもないが、あの震災のゴタゴタの最中に、そこまで考えられる事業主(現場責任者)がいるだろうか?しかも、無名の工事現場ならともかく、スカイツリーのような衆目の集まる現場で、複数の事故死者の発生を 「地震以外が原因である」として、ごまかし通せるとは、とても考えられない。ちなみに、阪神大震災や今回の東日本大震災の後、厚労省は、「仕事中に今回の震災で死傷した場合は、原則として労災認定する」という指針を出している。http://www.mhlw.go.jp/shinsai_jouhou/roudoujouken.html(3) 警察による「震災死亡者数の数え方」の問題そもそも、「震災で死亡した」とカウントされるのは、どういう場合なのか…という問題。「交通事故死者数統計には、事故後24時間経過後の死亡者は含まれない」…という有名な話があるが、ひょっとして、「地震(津波)発生から○分以内のケガに限る」とか、もっと厳しい基準があるとか…?若しくは、転落死した場合でも、「揺れが原因かどうか」因果関係がハッキリしない場合はカウントしない、とか。しかし、直後の報道では、「逃げようとして慌てて転んで亡くなった」とかいう報告もあったような気がする。どっちかというと、前後に死亡した人は何でもかんでも 「犠牲者」としてカウントされる印象の方が強いのだが。まあ、警察には、何につけても管内の「事故や犯罪の死者数」を抑えたい欲求(競争意識?)があるようなので、案外、これが真実だったりして…。…と、乏しい知識で色々考えてみたが、結局のところ、「知人の話は多分、デマだろう」というのが私の正直な結論だ…。【送料無料】労働災害・通勤災害のことならこの1冊改訂2版価格:1,785円(税込、送料別)
2011年09月24日
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