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アジア・メディアは初値が672円、まぁこれは想定の範囲内だったのですが、その後買い注文が殺到し、上場二日目の4月27日の終値はなんと852円だとさ。公募価格から二日で33%も上昇しちゃいました。ちょっとショック。最近は、中国のネットやメディアの方々とお仕事をしているのですが、何だかすごくバブルです....。スタートアップ(設立)したばかりで向う1年は赤字見込みのネット系企業に、いきなり1,000万US$(12億円)規模のヴァリュエーション(企業価値算定)がついたりしちゃうのです....ふう。そんなんですから、マネージメント・クラスの人件費も高騰しています。ここのところ、北京でリクルーティングを行っています。一つはファイナンシャル・ディレクター(財務総監)、もう一つはビジネス・ディベロップメント・シニア・マネージャー(事業開発上級経理)。どちらも、手取りで月2万RMB(30万円強)が相場でした。所得税や福利厚生費やボーナス見込み分を計算すると、会社負担額は年間で40万RMB(約600万円)を越えてしまいます。インタビューを行ったキャンディティの中で、一番の高給取りは手取りの年収が60万RMB(約900万円)でした。3アメリカの大学でM.A.を取得し、中国とカナダの公認会計士(CPA)資格を持っていて、欧米系のメディア・エージェンシーでファイナンシャル・ディレクターを務めている、30代半ばの北京出身の女性でした。手取りの年収が60万RMBと言うと、会社負担は90万RMB(約1,400万円)を越えてしまうはずですが、特に吹っかけている様子も無く、そのくらいもらうのは当たり前、というご様子でした。事業開発系の人材でも、欧米系の会計事務所や法律事務所で働いている人たちは、30代前半でも平気で手取りで月3万RMB(45万円強)とかもらっているようです。まぁ、中国の日本企業で現地採用の中国人にこんなに払っているところは、ほとんど無いでしょうね。ただ、こういう人たち、レジメを見ると素晴らしい経歴ですし、インタビューしていてもしっかりしていて、人材としてはほんと魅力的ではありました。日本に戻ると、いまの会社、いろいろ事情があって、常時求人活動をやっているようで、職を求める中国人のレジュメがかなりストックされていました。国籍など関係なく、大学新卒の場合、年収はグロスで400万円弱くらいではないでしょうか。手取りにすると月20万円を切るくらいでしょう。日本の大学を卒業して、日本の会社で3~4年のキャリアを積んだ中国人でも、希望年収は400~500万円くらいだったりします。30代前半の社会人経験10年選手でも500~600万円くらいで働き甲斐のある職を探していたりします。こうした中国人を日本の本社で雇用して、中国に送り込んだほうが、現地で採用するより安く済んでしまいます。日本で採用すると、中国で働いてもらうときに、中国人であっても海外勤務扱いになり、諸手当や家賃補助などで費用がかさんでしまう企業が多いのかもしれませんが、こうした規定こそフレキシブルに運用しないと、逆に不公平を引き起こしちゃいます。北京出身の中国人が日本で採用され北京に赴任するときに、海外勤務手当てや家賃補助まで、日本出身の日本人並みに手立てしてあげる必要はあるでしょうか?現地採用の中国人との待遇格差が顕著になるだけではないでしょうか?日本の本社へのロイヤルティなども考慮すると、日本の本社で採用し、中国で勤務してもらうほうが有利であることは確かでしょう。しかも、現地採用のほうがコストセーブできる、というついこの間までの常識が、常識ではなくなりつつあるわけですから.....。ただ、日本で社会人経験がある人材が必ずしも優秀とは限りません。むしろ、中国で仕事の経験が無い(少ない)不利を考慮する必要があるでしょう。現地で働いていなければ得られない情報や経験はたくさんあります。たとえ日本の会社で中国のファイナンシャルの仕事をしていても、現地の税務当局などと直接遣り合う機会はほとんど無いでしょう。日本企業のトーン&マナーはわきまえていても、中国ではうまく機能しない場合が多いでしょう。マネージメント・クラスであれば、日本の本社採用にして現地に送り込んだほうが、現地で採用するより安く済む、と言う数年前では考えられないような状況になりつつありますが、いろいろ考慮すると、少し高くついても現地での経験が豊富な人材を雇用したほうが、うまく行くような感じもしております。
2007.04.27
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以前身を置いていたトラディッショナルな広告会社の人たちと食事をしました。とある大型広告主の中長期の広告扱いを決めるピッチング(複数の広告会社によるプレゼンテーション)の話題になったのですが、その準備のために田舎にお家を買える位のお金がかかったらしいのです。もちろん、その広告主の仕事が獲れれば年間数十億円の売上になるわけですから、投資と言うか開発費みたいなものです。その代わり、その広告主の仕事がよその広告会社に持って行かれれば、プレゼンテーションに費やしたお金は無駄になってしまうわけです。広告会社がピッチングの準備のためにかける費用の大半は、外部の著名なクリエイターやブランディングなどのコンサルタントやアドバイスをしてくれる"先生"やそうした会社に支払われます。特に大きなピッチングの場合、広告会社内部だけでは智恵も足りないし、広告主企業に対するインパクトも小さいので、外部の"先生"などを担ぎ出して共同作業で準備をしたりします。私が駆け出しの頃は、コピーライターが持てはやされていて、広告会社による"取り合い合戦"が繰り広げられたりしていましたが、いまは実績あるクリエイターが独立してつくったクリエイティブ・エージェンシーとかブランド・コンサルタントなどの協力を得て(実質的には、ほとんどの準備作業をこうしたところで行い、広告会社はちょっかい出すくらいの場合もあるのですが)、プレゼンテーションの準備を行うわけです。そして、こうした会社や"先生"個人に支払う報酬がプレゼンテーション準備費用の大半を占めたりるすのです。日本で大きなピッチングがあると、D-H-Aという広告会社上位3社はたいてい参加します。以前なら、プランやアイディアが採用されなくとも、ピッチングに参加すると"参加賞"として、メディア扱いの一部を分けてもらえたりしていたものですが、最近はピッチングで選ばれた1社だけに、すべての業務を依頼する傾向が強くなりました。ですから、ピッチングで敗北し広告を受注できなかった広告会社は、プレゼンテーションの準備費用を回収できません。そして、自分が準備に協力した(或いはアイディアや戦略を提供した)広告会社がピッチングに敗れたとしても、クリエイティブ・エージェンーやブランド・コンサルタントなどの"先生"は広告会社に請求書を突きつけて、多額の報酬を得る場合がほとんどです。つまり、自分(たち)のクリエイティブのアイディアやブランド/マーケティングのストラトジーが広告主に採用されようがされまいが、多くの"先生"たちはしっかりと報酬をゲットするのです(もちろん、採用された場合のほうが大きなビジネスになるわけですが....)。日本でも"成果主義"が徐々に浸透してきました。企業の人件費カットなどに悪用されるケースも多々ありますが、よい結果を出せば良い報酬が得られる、と言うのは人類のモチベーションに欠かせない鉄則でもあります。中国のセールス職は100%歩合制だったりします。ネット・メディアの台頭によって、広告効果が明確になり、広告やブランディングの世界でも"成果主義"が潮流になってきました。かつては、15秒CM1本いくら、と言う丼勘定が、視聴率1%を獲得するのにいくら、と言う取引になり、バナー広告を1回見てもらったらいくら(Cost Per View)からバナー広告をクリックして自社サイトまで誘導してくれたらいくら(Cost Per Click)に進化し、更にはネット上の広告からモノがいくら売れたらいくら(Cost Per Acquisition)と言う料金制度が浸透しているわけです。この「楽天広場」のアフィリエイトにしても、ブログをみてもらっただけでは一銭にもならず、商品やサービスを購入してもらって初めてポイントになるんですよね.....。欧米の広告主はもともと広告効果にシビアでした。効果的にメディア予算を配分するためにメディア・プランが進化しました。成果のあがらないメディアには広告が寄り付きません。クリエイティブ(広告表現)もそうです。これはネット・メディアで明確に数値化されます。同じ広告主が同じポータルサイトの同じポジションに同じサイズのバナー広告を掲出しても、広告表現が異なればクリックされる回数も違います。そして、そのデータはリアルタイムで確認できるのです。ですから、ネット系広告の人たちはクリエイターも含めて成果に敏感なのです。成果のあがらない広告ではお金が稼げないのですから.....。そのいっぽうで、トラディッショナルな広告業界で活躍し"先生"と呼ばれるようになった一部のクリエイターの人たちは、自身のアイディアが広告成果を上げるどころか、広告主から採用されず、世にも出ることも無いアイディアであっても、けっこうな報酬をもらっているわけです。大手広告会社が弱小クリエイティブ会社のリスクを肩代わりする、と言う昔ながらの商習慣が、いまもなお引き継がれているのも事実でしょう。こうした一方で、実力や機会に恵まれず貧乏生活を余儀なくされているクリエイターもいらっしゃるわけで、ある意味で"成果主義"の弊害なのかも知れません。けれども、日本の広告やクリエイティブ、ブランディングをリードするような"先生"たちまで、こんな甘い条件でピッチングに取り組んでいるのだとすると、先行きが暗い気持ちになってしまいました。既にがっぽり儲けたんだから、大きなピッチングに参加するときくらい、ハングリーな精神で取り組んでほしい、と思ってしまいました。広告は成果があがってナンボでしょう。
2007.04.25
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香港などを除く中国本土の企業として初めて(香港系資本と経営陣が上海に設立した新華ファイナンスが2004年に上場していますが)日本の株式市場に上場を果たす『アジア・メディア・カンパニー・リミテッド』。"ケーブルテレビ関連事業を手掛ける"などと2007年3月22日付けNIKKEI NETでは紹介していますが、実態は広告会社です。しかも、上場するアジア・メディアと言う会社は中国本土には存在しません。イギリス領バミューダで登記された持ち株会社なのです。これは主として中国の外資規制や海外市場上場障壁をクリアするために用いられるストラクチャーで、NASDAQに上場している百度(BAIDU)も新浪網(SINA.com)も分衆伝媒(Focus Media)も、中国の事業会社がIPOしたのではなく、イギリス領ヴァージン諸島やケイマン諸島などに登記されている持ち株会社が上場したのです。持ち株会社『アジア・メディア』傘下の事業会社には、地方CATV局の番組ガイド(の広告)を扱う『北京寛視網路技術有限公司』(以下『寛視ネット』)、BTV(北京電視台)などの広告枠を扱う『北京寛視神州広告有限公司』(以下『神州広告』)、そしてソフトウェアの開発や販売を行うことになっている『北京寛視軟件技術有限公司』(以下『寛視ソフト』)があります。2006年の『アジア・メディア』の連結売上は約34億円(2.2億RMB)で、純利益は8億6,000万円(5,500万RMB)、利益率は25%となかなか高収益ではありますが、『神州広告』によるテレビ広告レップの比率が約60%とダントツなのです。自社サイトでは、「中国におけるメディア・プラットホームを越えたテレビプログラム・ガイドソリューションとサービスの提供の先導者であります。」などと、地方CATVの番組ガイドや映画のテレビ局への配信などの事業を強調してはいますが、実態は広告会社(メディア・レップ)なのです。『アジア・メディア』の売上の6割を稼ぎ出しているのは『神州広告』ですが、実は『アジア・メディア』の子会社ではありません。『アジア・メディア』のCEOである崔建平さんが100%出資する中国独資企業なのです。『アジア・メディア』は自身のCEOであり『神州広告』の出資者でもある崔建平さんと出資持分質権設定契約や独占買取権契約などを結ぶことによって、『神州広告』を実質100%支配の会社として連結決算に取り込んでいるのです。なぜ、そんな面倒なストラクチャーになったのでしょう?まず第一に海外市場でのIPOを前提としたために親会社をイギリス領バミューダに置かなければならなかったこと、第二に最も"稼ぎ出す"業務セグメントが広告ライセンスを必要であったこと、第三に広告ライセンスは100%外資でも受けられるのですが、出資する外国の親会社がに3年以上の広告業務の実績を必要とすること、などの条件が重なったからでしょう。ですから、『神州広告』を設立する必要に迫られた際に、持ち株会社である『アジア・メディア』からの直接投資にすることができず、また広告業務の実績が無い"外資企業"扱いの『寛視ネット』や『寛視ソフト』の子会社にすることもできなかったのでしょう。『アジア・メディア』の"中核会社"とも言える『神州広告』が『アジア・メディア』と直接的な資本関係が無いという事実は、日本の投資家に少なからぬ不安を与えることになるでしょう。公募予想金額が600円~650円に対し、初値予想も600~640円(鉄拳制裁!IPO!! 萌えろ!初値予想!!IPOはノーリスク・ハイリターンといわれる…など)。ブックビルディングで当選しても、エースを引き当てた、と言う感動が得られるかは疑問と言えるでしょう。とは言え2007年の業績予測は、売上が前年比2.1倍、純利益も1.9倍の15億5,000円とのことなので、中国企業のIPO独特のストラクチャー・リスクを無視すれば、なかなかの成長株とも言えそうです。現にIPOにより調達を見込んでいる資金は約14億円(1億RMB弱)で、これを元手にプレペイメント(前払い)で優良なメディアの広告枠を仕入れることができれば、売上や利益が倍増するのも絵空事ではありません。『アジア・メディア』の株式のうち6.71%を電通(の関連会社)が持っています(NTTドコモも少し)。今回のIPOで60万株を放出するので3億6,000万円のキャッシュを手に入れることになります。まぁ、もっと多く注ぎこんでいたとは思いますが....。
2007.04.15
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NIKKEI NETの『中国ビジネス特集』に富士通総研の金堅敏さんという上席主任研究員のインタビュー記事が掲載されていました。タイトルは、「日本企業が中国でつまずく4つのポイント」。金さんのご意見の多くに、私は共感を得ました。まず日本企業の中国ビジネスは、自動車、デジカメ、コピー機を除くほとんどの分野で、うまく行っていない、との認識。このニュースサイトの主である日本経済新聞社やNHKをはじめ、多くのメジャーな日本のマスメディアが、中国市場における日本の活躍を伝えています。そのほとんどは、提灯記事或いは広告取引などメディアへの便宜供与と引き換えに伝えられたものと言っても言い過ぎではないでしょう。中国でつまずいている企業については、週刊誌などのマイナーなメディアが、やや大袈裟に伝えたりしています。こちらも、広告予算の少ない企業を対象としているか、或いはあまり広告収入に依存していないメディアによるものか、或いは根っからの中国嫌いのジャーナリストの手によるものか、いずれかが多い感じでしょう。大手企業が中国ビジネスで失敗したことを、教訓を込めてでも報道しているメジャーなメディアはほとんど無いでしょう(これも伏線)。金さんは、日本企業が"つまずく"ポイントとして4つ挙げているいますが、その一つめは製品やサービスを投入するポイントが遅れていること。つまり中国のマーケットの分析ができていない結果です。二つめは人材登用の問題、三つめは経営状況の本社との共有ができていないことで、四つめに挙げたのはPRや政府との関係作りが遅れていることです。つまり、コンシューマとのコミュニケーションが不足している、とも言えるわけです。現地調査に基づく、日中米企業の競争優位性によると、日本企業は製造技術や生産・品質管理での評価は高いようですが、ブランド力やマーケティング力での評価は低いのです。総合評価でもアメリカ系、ヨーロッパ系企業に大きく水をあけられ、第3位に甘んじていると言う状況です。ステキな技術や完璧とも言える品質管理のノウハウがあって、少し中国向けに作り変えれば、中国でも大儲けできるような製品やサービスを持っていたにも拘らず、マーケットを読み違えたばかりに、出し惜しみしてしまい商機を逸してしまった、と言う構造が見えてきます。もちろん、流通など様々な障壁があることも確かですが、中国のコンシューマの動向を予測できなかったこと、心を掴むようなコミュニケーションができていなかったことが、"つまずき"の大きな要因であったことは確かです。中国人の有能なマネージメントに委ねれば、こんなことにはならなかったかも知れません。でも、多くの日本企業はやすやすと中国人に会社を委ねたりはしない体質です(いや日本人であっても、社長やCEOの権限すら怪しいものです)。そうした状況において、マーケットの動向を予測し、マーケティングの提案をし、中国のコンシューマとの良好なタッチング・ポイント(接点)を創出するお手伝いをするのが、日本が誇る巨大広告会社であったりするはずなのです。ところが、電通(等)日本が誇る巨大広告会社って案外"内弁慶外味噌"だったりして、日本ではヤバいニュースを握りつぶすくらいのパワーを持っていても、海外ではそうでも無かったりします。唯一、日本の優良ブランドがクライアントとして着いて来てくれていることが強みでしょう。ですから中国など異邦の地において、政府やコンシューマとのリレーション・シップづくりに期待しても、日本のようにはうまく行かないのです。しかも、金さんがインタビューで指摘した"つまずく"日本企業の典型のように、主要人材はすべて日本から送り込まれてくるワケです。中国のマーケットとコンシューマにコミュニケーションしていかなければならないお仕事なのに.....。その反面、欧米系のいわゆる"メガ・エージェンシー"は、早くからローカル・マネジメントに取組み、中国マーケットに関するノウハウを蓄積していました。マーケットとしての中国が注目され始めた1990年代後半から数年前くらいまで、中国でモノやサービスを提供し始めた日本企業のほとんどは、中国でも電通(等)を頼りにしていたのです。そして、いくつかのメジャー・ブランドはひっそりと中国マーケットから撤退し、いくつかのメジャー・ブランドは欧米系の"メガ・エージェンシー"とともに再起を目指し、そして世界規模で電通と寝起きを共にすることを余儀なくされているいくつかのメガ・ブランドだけが、以前と比べると当然パワーアップした電通をパートナーとして中国のマーケットに挑んでいる、いまはそんな状況でしょう。もちろん、電通(等)を選んだ日本企業にこそ"つまずき"の最大の原因があるのでしょうが、電通(等)を選ぶのは海外旅行傷害保険に加入するようなもので、つまずいたとしても、社内的な責任は問われないですし、そのうえ、日本のマスメディアも報道も抑えてもらえるので、株価にもさほどひびかず、経営陣も泥をかぶらずに済んだのかもしれません。試しに、Googleで"携帯電話 中国 撤退"と検索してみてください。ウェブ検索ですと幾つかのニューサイトやブログ具体的なブランド入りで表示されますが、ニュース検索ですと本エントリーで取り上げたNIKKEI NETの記事くらいしか表示されないでしょう....。日本経済発展のため、中国ビジネスの失敗情報についても、積極的に報道してほしいものです。
2007.04.11
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2007年4月4日にGoogle(中国)は中国語の入力システム「Googleピンイン」を発表しました(Nikkei BP Net)。中国語入力システムは、日本語同様Microsoftが無料で提供しています。でも、あまり入力効率が良く無いようなので、別な入力システムを利用している方も多いようです。日本のATOKにあたるような有料の製品版としてはUNIS(清華紫光)があります。ほかにも、部首入力に似たウービー(五筆)のようなピンイン(日本語のローマ字入力のようなもの)以外の入力システムなど、ネット上で無料でダウンロードできるようなものもたくさんあります。フリーの中国語入力システムの中で人気が高いのが、捜狗輸入法(SOGOU Input System)です。これは、中国の老舗ポータルサイト「捜狐(SOHU)」の検索サイトである捜狗(SOGOU)が開発したもので、もちろんだれもが無料で利用できます。残念ながら日本語OSには対応しておらず(英語OS対応版はあります)、私は利用したことが無いのですが、自社調査によると単語変換の正確さはMicrosoft Pinyin IM 2007より25%も高いそうです。きっと、辞書がいいんだろうなぁ、と素人ながらにも思ったりしていました。こうした中、"言葉の魔術師"Googleが中国語入力システムを発表したと言うことで、中国でも期待が大きかったと思います。ところが......「Googleピンイン」の辞書データベースが盗用だったことが明らかになったそうです(CNET Japan)。しかも、こともあろうかGoogleがライバル視していたであろう捜狗輸入法(SOGOU Input System)からパクった、というから驚きです。Google自身も自社ブログで、4月4日の1st リリースには実験段階で使っていたGoogleのモノではないデータベースが含まれていたことを認め、ユーザーと捜狐(SOHU)に対するお詫びの意を表わしました。しかし、4月8日正午にリリースしたVer.1.0.17.0からは、Google独自で開発した辞書データベースを使用している、と表明したのです。これに対して、捜狐(SOHU)側は4月8日のバージョンも、変換一致率が80%近い。許容範囲は4割くらいだ~、最新バージョンもこ盗用だろう、と言っているそうです。ちなみに、百度(Baidu)とGoogle中国では検索結果が大きく異なります。最初のページの一致度は平均30%くらいでしょう。もちろん、SEOの効果に拠るところもありますが.....。さて、Googleが組織的・意図的に捜狗輸入法(SOGOU Input System)の辞書データベースをパクっのかは、疑問が残ります。個人的にはそうでないと信じたい気持ちです。ただGoogle自身も認めるように、1stリリースで捜狗(SOGOU)のデータベースが使われていたのは事実です。開発過程でダミーのように使っていた他社の辞書が、たとえ"試供品"とはいえ公にリリースされてしまうことなどあり得るでしょうか?担当者レベルの単純なミスだとしても、Googleの管理体制は非難されるべきでしょう。或いは、Googleですら、中国でビジネスをしているとパクり体質になってしまうのでしょうか?当然ソフトウェアも含まれる知的財産侵害でアメリカが中国をWTOに提訴したばかりだというのに(東京新聞)、こともあろうに今やそのアメリカを代表する企業とも言えるGoogleが中国企業の知的財産をパクるなんて....。Googleには、納得のいく事実の説明をお願いしたいものです。
2007.04.10
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中国のトップ携帯電話キャリアであるチャイナモバイル(中国移動)が2006年の業績を発表していました(自社サイト。それによると、純利益は660億RMB、日本円にするとほぼ1兆円だそうです。ニューヨーク市場に上場しているくらいだから、粉飾しているとも思えません。日本が誇る最優良企業と言われているトヨタ自動車の06年3月期の当期利益が1兆3,700億円でしたから、中国国内でしか稼いでいない企業としては、破格の収益率と言えるでしょう。ちなみに日本のトップ携帯キャリアであるNTTドコモは6,100億円(06年3月期)くらいなものです。まぁ日本では9,500万くらいの契約の取り合いで一喜一憂する状況ですが、チャイナモバイルの契約者数は既に3億を越えているのです。しかも、13億人すべてがケータイを持てるような環境にあるわけでは無いのですが、それでもあと2億か3億くらいのマーケットは残っています。毎月のARPU(1契約あたりの平均収入)は90RMB(約1,350円)ってところで、日本と比べたらかなり低いのですが、それでも3億を掛けると、270億RMB(約4,000億円)ものキャッシュが毎月毎月入ってくるのです。もちろん広い中国ですから、設備投資にも莫大なお金がかかりはしますが、中国ビジネスのウマミである"数の論理"が活かされていると言えるでしょう。チャイナモバイル・ユーザーの1%が月5RMB(約75円)のコンテンツを買ってくれれば、毎月1,500万RMB(約2億3,000万円)の収入になるわけで、日本のモバイル・コンテンツ屋さんもいろいろ頑張っているようですが、そこは中国、そう簡単にはよその国に分け前を譲ったりしてくれていないようです。さて、チャイナモバイルがドコモだとすると、auみたいな存在がチャイナユニコム(中国聯通)です。こちらもマーケットの拡大に乗じてある程度契約数を伸ばしてはいるのですが、都市部に特化したCDMAネットワーク構築が祟ってしまい、これからも成長が望めるはずの農村部ではチャイナモバイルに水を空けられる格好になっている様子です。チャイナモバイルの"一人勝ち"状態を逆手にとって(?)、胡散臭さが増しているのが3Gライセンス問題(参考:中国情報局)。来年8月の北京オリンピックのときには、3Gサービスが始まっていないと、ちょっとメンツが立たないかも知れない中華的事情もあるのですが、もう一つの中華的メンツであるTD-SCDMAという中国独自の規格(とは言っても、その技術の多くは欧米頼みらしいのですが)の"なすりあい"がキャリア間で繰り広げられているのです。中華的ご自慢の規格ならば率先して導入すると手を挙げればいいのに、どのキャリアも実用実験にすら消極的な状況でした。誰もババを引きたくないくらい、TD-SCDMAは怪しげなのでしょう。そんな中、TD-SCDMAの導入に二の足を踏んでいるモバイル・キャリアに脅しをかけるように、固定電話中心のキャリアであるチャイナテレコム(中国電信)にTD-SCDMAによる3Gライセンスをプレゼントしちゃおうみたいな話まであったようで、この際だからチャイナユニコムと合併すればぁ、みたいな、政府当局によるキャリア再編指導まで疑われるようになりました。モバイルに参入したいチャイナテレコム、このままでは泡沫キャリアになりかねないチャイナユニコムをうまく脅しつつ、王様であるチャイナモバイルにさっさと中国が誇るTD-SCDMAを導入してもらいたい、と言うのがきっと政府当局の本音であるわけで、年間10兆円もの純利益を出しているのなら、少しくらいコケてみるのも良いのではないか、と私としては思ったりもしています。
2007.04.01
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