音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

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2018年02月13日
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テーマ: 洋楽(3407)
ひっそりと消えた“ジャズ・フォーク・シンガー”の実力


 ティム・ハーディン(Tim Hardin)は、1941年生まれの米国のフォーク・シンガー。1966年のファースト作に含まれた「リーズン・トゥ・ビリーヴ」がロッド・スチュワートによって取り上げられたり、様々なカバーを生んだ「イフ・アイ・ワー・ア・カーペンター」の作者であることなどで知られるが、それ以前からフォークをベースにしつつエレキギターを取り入れるなどしていたという。言い換えれば、“ボブ・ディランの先を行っていた男”でもあった。

 そんな彼は麻薬に侵されて、家族からも見放され、おそらくは自暴自棄になって1980年の末に39歳の生涯を閉じている。ジョン・レノン殺害のニュースが世間を賑わす中、さほどニュースになることもなくひっそりと消えてしまったミュージシャンとなった。

 そんな彼の作品のうち、歌い手(=解釈者)としての実力のほどがわかると思うのが、1971年の『電線の鳥(Bird on a Wire)』というアルバムである。さしてヒットはしなかったものの、チャート・アクションをおこしたアルバムとしては、彼の最後の作品になった。デビュー以来のヴァーヴからコロンビアに移籍しての2作目だったが、妻と子供に捨てられ、イギリスへ逃れる直前のタイミングでの作品だった。

 本盤では、ジャズ系ミュージシャンの参加が目立つ。マイク・マイニエリ(ビブラフォン)やウォーレン・バーンハート(キーボード)のほか、ウェザー・リポートのジョー・ザヴィヌル(キーボード)、ミロスラフ・ヴィトゥス(ベース)、アルフォンス・ムーゾン(ドラム、パーカッション)など多くのジャズ畑のアーティストの顔ぶれが並ぶ。フォークがエレクトリック化し、フォーク・ロックなどというジャンルに発展していく中、ハーディンはジャズへの志向が強いフォークを試みた。本盤はその方向性が結実した1枚といえるように思う。

 1.「電線の鳥(バード・オン・ザ・ワイヤー)」は本盤の数年前に レナード・コーエンのアルバム に収められていたナンバーで、彼のヴォーカルのよさが存分に発揮されている。また、本ハーディン盤の表題もこれをもじって『電線の鳥(バード・オン・ア・ワイヤー)』となっている。有名曲の7.「わが心のジョージア」はジャズ的アプローチという観点で、本作のハイライトの一つと言えるだろう。他に注目曲としては、3.「サザン・バタフライ」、6.「放浪(ホーボーイン)」、10.「ラヴ・ヒム」なんかを挙げておきたい。全体に暗い雰囲気で、彼が置かれていた個人的環境も影響しているのだろうが、この切なさと渋みが同居するヴォーカルは彼の本領発揮で、随所で耳にとまるジャズ的アプローチの演奏との組み合わせが妙にマッチしていると思う。


[収録曲]

1. Bird on the Wire
2. Moonshiner
3. Southern Butterfly
4. A Satisfied Mind
5. Soft Summer Breeze
6. Hoboin‘
7. Georgia on My Mind
8. Andre Johray
9. If I Knew
10. Love Hymn

1971年リリース。




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バード・オン・ア・ワイヤー/ティム・ハーディン[CD]【返品種別A】




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Last updated  2018年02月13日 05時44分22秒
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