音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2018年03月22日
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テーマ: Jazz(1967)
カテゴリ: ジャズ
流暢に流れるサックスを堪能


 “スコット・フィッツジェラルドこそが小説(the Novel)であり、スタン・ゲッツこそがジャズ(the Jazz)であった”とは、村上春樹の言である。英語で定冠詞のtheをつけるわけだから、ニュアンス的には“これぞ小説、これぞジャズ”といった感じだろうか。さて、そんなわけで、今回はスタン・ゲッツの神髄とはどこにあるのだろうかを考えるための1枚(と筆者が思う盤)を取り上げてみたい。

 少々突き詰めてスタン・ゲッツの本質を考えてみるならば、“クール”という語で簡単に済ましてしまうのではどうも不十分なように感じる。ボサ・ノヴァのブーム( 参考過去記事 )とかにも変に振り回されないようにする方がいいかもしれないと思ったりする。そんなわけで、今回取り上げてみたいのは、時代をさかのぼった1956年録音の作品『ザ・スティーマー(The Steamer)』である。

 本盤は、彼の愛称であった“蒸気機関(スティーマー)”を表題としている。1940年代から演奏活動に従事し、1950年頃からはリーダーとして活躍する中、彼は“クール・ジャズ”を代表するテナー奏者となる。そこでの“クール”というのは、“ジャズ=黒人が演る音楽”という図式を崩したものとしてはともかく、“黒人じゃない=熱くない”ということにはならないことを証明していたように思う。実際、本盤のゲッツの演奏は、明らかに“クールな顔をした熱さ”を持っていると形容するに相応しい。滑らかでありながらも、タイトルに違わずスティーム(蒸気)でポンポンと楽器から音が押し出されてくるようなのが、何より印象に残るのである。

 おすすめの演奏として、個人的な好みでいくつか挙げておきたい。1.「ブルーズ・フォー・メリー・ジェーン」は、わずかに陰を湛えつつも、この滑らかさがよい。けれども、本盤の本領は、同じく滑らかでありながら、スタン・ゲッツがより饒舌に一音一音を投げかけてくる部分にあるという気がする。この観点からのベスト曲は、2.「ゼア・ウィル・ネヴァー・ビー・アナザー・ユー」と6.「ハウ・アバウト・ユー」ではないだろうか。ちなみに、リロイ・ビネガーのベースとスタン・レヴィ―(リーヴィー)のドラムは安定感抜群で、ルー・レヴィのピアノはなかなか日本人受けしそうな間合いのピアノ演奏(例えば1.のピアノ・ソロなんかはその典型のように思える)を随所で見せてくれる。


[収録曲]

1. Blues For Mary Jane
2. There Will Never Be Another You
3. You're Blase
4. Too Close For Comfort
5. Like Someone In Love
6. How About You?


[パーソネル、録音]

Stan Getz (ts)
Lou Levy (p)
LeRoy Vinnegar (b)
Stan Levey (ds)

1956年11月24日録音。









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ザ・スティーマー [ スタン・ゲッツ・カルテット ]





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Last updated  2018年03月22日 22時27分39秒
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