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2016年07月15日
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テーマ: ニュース(100344)
カテゴリ: 政治問題
 作家の赤川次郎氏は、「言葉」を軽んじる安倍政権を次のように批判している;




 たった2日間しか使わなかった海外メディアのための国際メディアセンターに30億円もの費用がかけられ、しかも後に何の利用もせず取り壊すというので話題になっているが、動員された警察官の数も半端ではない。東京都内もいたる所に警官が立っていて、その光景は不気味だった。警官ってこんなにいたのか、と驚いた。まさかパートを雇ったわけじゃないだろうが。その人件費まで含めたら、いったいどれだけのお金をかけたのか、気が遠くなる。

 しかも、 結局のところサミットは安倍首相の消費増税延期の口実と、オバマ大統領の広島訪問に並び立つパフォーマンスに利用されただけだ。 その実態は海外メディアに見透かされ、批判されている(5月31日「こちら特報部」)。 各国の首脳を集めておいて、国内での人気取りに利用するのがグローバル化なのか?

 相変らず日本のジャーナリズムの反応は鈍い。「報道の自由ランキング」で70何位だかまで下ったというニュースに、あるテレビキャスターが文句をつけた。「政権を批判しただけで投獄される国が日本より上に来ている」というのだ。しかしまさに、 批判しても投獄も暗殺もされないのに、批判できない、その姿勢こそがランキングを下げているのだ。

 6月2日夕刊1面では、オバマ大統領が広島での演説原稿に直前まで手を入れていたと報じていた。言葉の内容はともかく、欧米の政治家はいかに「言葉」が自分たちの死命を制するか、よく知っている。たった一つの失言で政治生命を絶たれることもある。

 このコラムの第一回で、私は 安倍政権ほど「言葉」を軽んじた政権はない、 と書いた。最後になる今回も、また同じ文章で終わらなければならない。福島第一原発の状況を「コントロールされている」と広言した安倍首相は、 消費増税の延期を「アべノミクスの失敗」とは認めず「新しい判断」と表現した。これが通じるなら政治家の辞書に「約束」の文字はないことになる。

 沖縄で若い女性が殺された事件を、サミット直前の 「最悪のタイミング」だと言った政治家も辞職に値する が、翁長知事が求めたオバマ大統領との面談を冷たくはねつけた安倍首相も同類だ。

 若い世代に言っておきたい。未来は変えられるのだ。原発事故の放射能で、生まれた土地に住めなくなるなんていやだ!

 戦争に行かされて、人を殺すのも殺されるのもいやだ!

 体をこわすほど働いても普通の生活ができないなんていやだ!

 既得権にあぐらをかいている大人たちへ「NO!」を突きつけてあわてさせる。痛快じゃないか。さあ始めよう。
(作家)


2016年6月12日 東京新聞朝刊 5ページ「新聞を読んで-未来は変えられる」から引用

 この記事は参議院選挙の一ヶ月前に書かれたもので、現政権を倒して政治に変革を求ようという勢力を勇気づけるために書かれたと解釈することも出来るが、選挙の結果は筆者の希望したようにはならなかった。しかし、ここに述べられた「政権批判」の一つ一つは正鵠を射たものであるから、次の選挙でも政権批判に有効である。今回の選挙から18歳と19歳の人々にも選挙権が与えられ「どれくらいの人数が投票所に来るか、予測は難しい」などと、さも新たに選挙権を手にした若者が大挙して投票に来るかのような発言をする人もいたが、ふたを開けてみれば、若年層の投票率が他の層よりも飛び抜けて高いなどということはなく、甚だ拍子抜けであった。「18歳からの参政権」政策を推進してきた人たちは、この事実をどう受け止めているのか、興味深い。







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最終更新日  2016年07月15日 16時40分31秒


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