やっぱり読書  おいのこぶみ

やっぱり読書 おいのこぶみ

2018年02月11日
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カテゴリ: 読書メモ
​​​​​​イワン・イリイチという裁判官が死んだ。
その知らせを受けた同僚たちが、それぞれいろいろのことを考える。
「空いた席に自分が昇進するかも」「その席を親戚の若い者に紹介できるかもしれない」
「いや、席がずれて空席に自分が入れるかも」・・・イリイチの死を悲しむのではなく自分の都合のことばかり。
同僚が弔問に訪れても、イリイチ家において未亡人すら現実的なのだ。お葬式の段取りだ、やれ手続きだと悲しんでいる暇がない。
そして夫人から夫の死の苦しみを聞いて同僚の男は恐ろしくなったものの、それは自分じゃないのだと思う。「死は必ずやってくる。しかし他人の死はこわくない」
あげくにあろうことか夫の死に際しての年金額を吊り上げるにはなどの相談も、しかし夫人がすでに調べつくしていることを同僚は見抜いてしまった・・・。

何たるむきだしのエゴとエゴ!
つまりトルストイが人間のエゴを、近代文学世界のレベルに乗せたのであって、なんとまっとうなしかし普遍的な気付きではある。

先日のブログ「伊藤整『文学入門』より抜き書き」で「読んでいなかったか」と気になったトルストイの小説。

なにしろ、
伊藤整が人間のエゴをこれでもかと描き出すこと近代文学のお手本のような小説と挙げているし、
光文社古典新訳文庫から新訳も出ていることだしと。

『イワン・イリイチの死』 は短い小説。この文庫には 『クロイツェル・ソナタ』 収されてあり、これは若いころ読んでいたのだが、ストーリーをまったく忘れてしまっていたことがわかり、それも新鮮な驚き。

トルストイの小説ではやはり 『アンナ・カレーニナ』 が印象深すぎということかもしれないし、 『イワンのばか』や『人は何で生きるのか』 などの寓話の方に気を取られたのある。
近々(と言っても約10年前だけど)読んだ 『戦争と平和』 にも圧倒されている。

(ところで、わたしの『あらすじ戦争と平和』のブログページ、アクセスがいつも多い、不思議だ。)

『クロイツェル・ソナタ』
「夫婦喧嘩にしろ、夫婦円満にしろ、夫婦間のずれはある」というこれも夫婦の普遍的事実小説で(簡単にまとめて、ちょっと乱暴だが)感想はまた今度。








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最終更新日  2018年02月12日 14時44分29秒
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