おどろきの桃園
入り口の木の成り方が少なくて、袋をかけた時点で摘果する必要がないと思ったのが間違いだった
煤病になったり、シラミの団体に襲われたり・・・それなりに数が減る予定が、おどろきの桃はそれらの敵を乗り越えて、ひたすら実っている。
このくらいなら有り難いのだが・・・
確かに上を向いていたはずの枝たちが重さで地面に向かってダイブ
必死で足をふんばって支えているおどろき
自然の力の凄さをみせつけるかのように、桃は赤く染まり枝を覆う
この桃の叫びが聞こえますか?
放射能も地震も恐れることなく、自分のなすべきことを果たしている
子孫を残すだけのために、こうして必死で実をならせている
その命を人は分けてもらって生きてきたのに
園主も私も、もうとてもこれらの桃を活かすことができない現実
去年あれほど切ると叫んでいた園主が、これを切ることができなかったのは、この人をはるかに越えた生命力を知っているから
木を切れば500もの桃の命が一瞬で消える
大地に根をおろし自然の恵みだけで生き続けている桃たちに比べて、人間はなんと愚かなのか?
いつしか桃園で落ちている桃は気にならなくなり、拾う気力もない私
それどころか、園主の教えで味見した桃は齧ったらそのまま放る
味を見て出荷時期を決めるのに、いちいち完食していては始まらないし、もちかえったとて、まだ加工するには早い
生ゴミとして廃棄するよりは土にかえせと、初めのころは齧った桃を投げることなどできなかったのに・・・いつしか習慣となり、その動作をみて驚く人も多い
投げた桃をもったいないというのなら、それはまだ味見をしてもらってその役目を果たした桃と言えるけれど、大量に収穫後出荷できずに穴を掘って投げ込まれる桃はどうなるのだろう?
味もみてもらえずに捨てられる桃
せめて親の木の根元に捨ててやろうと、園主は言う
種となって子孫を残せば、それが桃の本望だから
数年前に園主は、ほとんどの桃を怒りにまかせて落として埋めてしまったことがある・・とても悲しい記憶
市場に集荷をやめて、ハネ桃としても売れる場所へ出した昨年ですら穴に投げ込まれた桃はたくさんある
芯くい虫にやられていたり、病気になっている桃は廃棄するしかない
農薬を減らせばこの段階の廃棄桃がたくさんでる
すべての桃を流通に乗せられないのは、桃園の持ち主のせいではない
桃を買ってきて裏返ししたら痛んでいた・・・クレームつける人もいるだろう
今年の桃はひどいと、こんなもの送ってくるなんて・・と
そういう一言がどれだけ生産者の心を暗くするか・・・
安くだしてもクレームが来る桃、おどろき
こんないつまでも固い桃は食えない!と
今年もまた、そういう声との闘いが始まり、桃の木レンタルを依頼した中には、固くて魅力がないのでたくさん要らないからレンタルはしたくないと断った人たちもいる。
成りすぎて出荷しきれないと判断して、いまのところ2本、私と園主は手をつけなくて済む桃を決めた。
それでもまたたくさんの桃が収穫される予定なので、桃もぎとりボランティアを募集することにした。
近所の人で、桃の収穫を1時間ひたすら桃を運んでもらって、お礼に自分でひと箱分とって、5キロ箱に並べてお持ち帰り。
いい桃をとれば2000円は下らない桃、ハネだとしても1000円
時給1000円のバイトと思ってボランティアしてもらえたら、どうにか出荷できるかもしれない。
この案がうまくいけば、動けない園主も詰めて出荷だけならどうにか・・・
あとは出荷先とのやりとり次第
どうにかなるだろうか?
きっとどうにか乗り越えられる!
昨日ふくろを外して、試食にもちかえった桃はとても甘くて例年より美味しい桃になっています。
ただし相変わらず固いりんごのような桃です。
今日来てくださったお客様、その固い桃のファーンということで、もぎとりボランティアに来てくださるそうです。
それを伺ってちょっと元気になりました。
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