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2007/05/04
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カテゴリ: 読んだ本(時代)
天保の改革時に独り立ちしてバタバタ生きようとする旗本の部屋住みを描いた,

藤沢周平の「よろずや平四郎活人剣-上」(1983)

を読んだ。

もちろん,テレビドラマの影響である(笑)

ということで,参考のために原作のほうをまとめてみた。ということは ネタバレもある ので,注意してください。

話の流れは次の4本線
●旗本の部屋住みから脱しようとする神名平四郎は雲弘流矢部三左衛門道場(芝露月町)の友人北見十蔵(仙台浪人,紺屋町糸屋の離れで寺子屋の師匠をする),明石半太夫(肥後浪人)2人と道場を構えようとする。

◎「よろずもめごと仲裁」で生計を立てる。

※許婚であったが,旗本塚原家改易で消息不明になった早苗と平四郎の恋の成り行き。

☆「水野忠邦(老中)と鳥居耀蔵(天保9年から目付→12年12月南町奉行)」VS「堀田(老中)と神名監物(天保2年から目付,平四郎の兄)」の暗闘。

以下は,各話のまとめ。

辻斬り
●天保12年8月。平四郎(村松町与助店)は北見,明石とともに西神田に道場を構えようとするが,明石の夜逃げにより頓挫。

◎駕籠かきの三造,およしの夫婦喧嘩を仲裁しようとして失敗。

+道場をつくり家を出るということで兄夫婦から10両。窪井の件で監物から2両。
-平四郎が5両,北見が10両を明石にとられる。

※5年前に平四郎(19)と塚原早苗(14)が婚約するが,塚原家の改易で立ち消え。

☆監物(45)の命で,辻斬りの常習者である築地の旗本窪井小左衛門(36,無形流居合の名手)を斬る。


浮気妻
●9月。明石を見つける(南本所石原町)。

◎明石の紹介で,石原町の紙商市毛屋のおかみおこう(28)の浮気相手枡蔵を手切れ金5両で追いはらう。神名家の中間政之助が枡蔵行きつけの賭場を突き止めた。

+おこうからの手間賃1分,礼1~2両。
-書いていないが,政之助への駄賃。

☆下男の嘉助が羽織、袴を届ける。監物とともに老中の堀田正篤(30前後)と会い,高野長英の「蛮社遭厄小記」の件での協力を求められる。帰り道で侮れない剣を遣う男と軽い手合わせ。


盗む子供
◎?月。北見の紹介で,紺屋町に住む種物屋の隠居伊兵衛(56)に盗み癖のある鍋町の子供竹蔵(8)を世話する(母親に10両)。

+伊兵衛から3両。
-1分を捕まえた子供(竹蔵)の母親に。北見に酒。

※嫂里尾から墓参帰りに深川で早苗を見たと告げられる。

☆監物配下の御小人目付樫村喜左衛門に三河町の田島耕作の家に案内される。10日ほど後,田島の女房を鳥居の配下から救い,三島町の医者杉野宅に送る。黒羽織の男と睨み合う。

逃げる浪人
◎?月。松坂町の裏店に住む仇持ちの西国浪人戸田勘十郎(42,天心独名流の遣い手)の依頼で,古沢武左衛門と談合(戸田を死んだことにする)に持ち込もうとするが失敗。古沢は返り討ちにされ,戸田は逐電。

+戸田からの1分。
-金を預っていたおふじ(30)に1分を返す。

※早苗探しを道場仲間で御家人の次男坊伊部金之助に依頼。

☆三河町(田島宅)の見張り二人が奥田(黒羽織の男,鳥居の配下の御小人目付)殺されているのを発見。


亡霊
◎?月,晩秋。佐久間町の糸問屋臼杵屋の徳兵衛(喜平)への25年前の泥棒仲間からの脅し(千両かみな殺し,本所御竹蔵北に住む枡六が代弁)を交渉と夜襲を北見,明石とともに撃退したことで200両で手打ちに。

+臼杵屋から10両(北見と明石は5両ずつ)。

☆樫村から渡辺崋山の自裁を知らされる。


女難
◎?月。市毛屋のおこう(「浮気妻」)が連れてきた同じ町(南本所石原町)の油屋のおかみおたかの頼みで,30両で旦那長兵衛(45)と妾おきぬ(20)を別れさせる。

+おたかから仲裁料2分,礼1両。

☆田島の女房の実家(小網町の菅笠問屋辰巳屋)の見張りで六兵衛が田島を見つけたが逃げられる。


子攫い
◎12月。紺屋町の両替商小原屋郷右衛門の息子石太郎(5,北見の寺子屋に通う)が攫われ200両要求される。監物の見張りの一人仙吉に事情を調べさせ,小原屋に恨みを持つ真綿屋美濃屋の友次郎に50両渡してけりをつける。

+吝嗇なのと50両毟り取ったので,小原屋からの報酬は0かもしれない。
-仙吉への駄賃?

※伊部(泣き上戸)から,早苗が御書物同心で金貸しをする菱沼惣兵衛(42)の妻になっていることを知らされる。

☆樫村から田島が鳥居の配下に攫われたことを知らされる。


娘心
◎12月。瀬戸物町の長崎屋の若旦那に夫婦約束を反故にされ,首をくくろうとしかけた表通りの煮豆屋の娘おとし(19)に同情し,頼まれもしないのに「丼に煮豆一杯」を手間賃として相手の親を説得しようとする。千田屋の娘おけいと借金の事情明かされた長崎屋はおとしを嫁に迎えようとするが,おとしは断って桶屋の奉公人の参吉を選ぶ。

☆矢部定謙にかわり鳥居が南町奉行となる。樫村たちは鳥居が田島を隠した場所を捜す。亀井戸の商人の寮で見つけ,田島を取り戻す。


離縁のぞみ
◎天保13年2月(以降)。亭主角左衛門(43)との離縁を望む高砂町の皮問屋粟野屋おとわ(37)の頼みで,御旅所裏の娼婦おてる(20)に5両で芝居をさせて去り状を取るが,おとわは子持ちの草履職人松蔵(34)と一緒になってしまう。

+おとわから2両。

※早苗の住む御家人組屋敷の前の甘酒屋で早苗が外出するのを見つけるが,しばらく跡をつけ,声をかけずに終わる。

☆水野の改革がすすみ,鳥居の取り締まり強化。


伝授の剣
●?月。明石は麹町の筒井三斎の道場(直心流)の手伝いをして羽振りがよい。

◎明石の紹介で,越後村松藩士日田孫之丞(27)が「風切り之太刀」の秘伝の伝授に1千石の旗本の跡とり埴生康之介が横槍を入れるのに20両で話をつけるが,埴生は日田を襲い見事な居合で剣を宙にとばされる。

+村松藩の助川六兵衛から5両,明石に1両
(手当をもらう前,不時の備えの一分銀のほか83文しかなく,羽織は質入りのまま)


道楽息子
◎?月。北見の紹介で,本銀町の竹皮問屋橘屋甚兵衛(50)の勘当したことにしている息子庄次郎と黒江町で所帯を持った裾継女郎上がりおもん(19)を30~50両で別れさせようとするが,甚兵衛におもんと会わせ,甚兵衛はおもんに息子と一緒にいるように頼む。庄次郎の愚痴から始まった橘屋襲撃を北見とともに撃退。

+3両の約束だが,無頼の襲撃撃退で平四郎と北見に+αがあったと思われる。
-北見からの手紙の駄賃に5文。


一匹狼
◎?月,夏。東両国の料理屋あづま屋のおかみおこま(27)の依頼で,金貸しの取立てをしている吉次(32)をあづま屋で働くようにさせる。姉娘のおはる(8)の力によるところが大きい。

+吉次のあとをつける日当1日500文と報酬5両。

「下」の日記は →こちらから どうぞ。

 読了本(日本)  (藤沢周平)からごらんください。

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Last updated  2007/05/04 01:33:48 AM
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