当時の松井選手は、極度のスランプに陥っていました。
ホームランを期待されてヤンキースに入団したのに、試合ではいつもボテボテのゴロばかり。
手厳しいことで知られるニューヨークのマスメディアは、そんな松井選手を「ゴロキング」と呼んで連日酷評しました。
ある記者から「ゴロキングなどと叩かれて気にならないか」と聞かれた際に、松井選手は平然として次のように答えたのです。
「まったく気になりません。記者さんたちが書くことは僕にはコントロールできません。
僕は自分でコントロールできないことには興味を持たないようにしているのです」
松井選手は「自分がコントロールできないこと」を気にしていると、自分のパフォーマンスを落とすだけだと熟知していたのでしょう。
そして、練習で打撃技術を高める。筋トレで体を鍛えるといった「自分がコントロールできること」に注力して結果を出そうとしていたのではないでしょうか。
(
脳の老化を99%遅らせる方法 奥村歩 幻冬舎 155ページ )
松井秀喜氏がこのような認識を持っていたことに驚きました。
森田理論を学習している私たちもぜひ見習いたいところです。
森田では不安などの感情は自然現象であり、人間の意思の自由は効かないと学びました。
神経症的な不安は、強い欲望を持っているから生まれてくるのだというとらえ方をしています。
逆に現実的な不安はコントロール可能です。
これには積極的に取り組む必要があります。
例えば、地震が来たらどうしようというような不安です。
こういう不安を感じたら、家具などを固定する。
非常食やミネラルウォーターや防災グッズを用意しておく。
避難経路を確保して、地震訓練に参加してみる。
地震保険を検討してみる。手をつけることはいくらでもあります。
これ以外にも、現実的な不安は次々と待ち構えています。
そちらの方に注意や意識を向けて、対策を立てて実行することが肝心です。
特に日常茶飯事に手を抜かないで、真剣に向き合うことが大切です。
「凡事徹底」は森田的な行動のポイントです。
神経症に陥ると、現実的な不安に手を抜いて、コントロールできない不安と格闘しているのです。やることなすことが逆になっているのが大きな問題です。
ミスや失敗で自己否定してしまう人へ 2024.09.17
不快な感情や気分に振り回されている人へ 2024.08.27
適度な不安やストレスを抱えているほうが… 2024.08.21
PR
Keyword Search
Category
Comments
Calendar