Brog Of Ropesu

Brog Of Ropesu

2011年02月12日
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カテゴリ: KDB

『ソフィーの世界』を読んで、哲学に目覚める人は多いと思いますが、読む時期を選ぶ危険な書である事は確かです。
影響されて哲学を専攻しようもんもんなら人生が一気にベリーハード。
自分を捜していたら、自分と職と未来を見失ったでござる、という事態となってしまう可能性をゆめゆめ忘れなき様……

何事にも慎重さは必要なのだわ。




BGM



===






「ねぇ、ロザリィ?……どこから気づいてた?」











「うんとね。ソフィーちゃんが私たちの詰所に帰還してきたときかな。だって、普通だったら戻ってくる必要が無いもの。

分隊指揮官を任されたソフィーちゃんと、後方でのオペーレーターであった私たちはずっと連絡を取り合ってたんだよ?

あっちに集合するんだったら無線で呼び出せばすぐじゃない」








「……面倒臭がり屋のあの子が戻ってくるのは確かに変ね」










「それにさ、幾ら目標の沈黙を確認したとはいえ、まだ戦勝を締めてもいないのに、理由も無しに持ち場を離れるのはご法度だよ。

ましてや指揮官クラスなら尚更……絶対にカリン隊長が許可する筈が無い。つまり……」











「つまり?」







~~~

~~~~~






――私達、三姉妹が軍職に就いたのは、本当にただ何となくの消去法で……特に理由があったワケじゃあ無かった。









「ねぇ、姉様?何か、楽して稼げるお仕事って無いかなぁ……」










「……う、う~ん……そんな都合の良いものなんてあるかなぁ……私はちょっと思いつかないよ。

うぅぅうう……また面接で落ちたよぅ……」









「アンタはまずその赤面症と対人恐怖症を治す方が先ね。面付けないとマトモに会話も出来ない人間がなんで接客業に応募してるのよ。

ソフィー?……性産業は?手っ取り早く稼げるわよ?」











「泥臭いのは、や!少し潔癖症の気もあるし……知らないおじさんに触られるのはやだなー。もっと、華やかで稼げる仕事ないかなぁ……」











「会話するのは怖いけど、人と触れ合うのは好きなの!!

そう言う、ねーさんだって勤めても直ぐに辞めちゃうじゃない!」











「私は優秀過ぎるから、飽きちゃうだけよ。愚鈍な凡人は私の灰色の脳細胞について来れないみたいね。スタートラインにも立てないアンタと一緒にしないで」











「う~ん……働かなくても死なない様な……こう、食事しなくても平気な体にバビッと進化とかすれば楽なんだけどなぁ……」







――いや、見栄を張るのは止めよう。私達、三姉妹には真っ当な職に就ける様な社会性は無かった。











「じゃあ、軍隊なんかは?一応、公務員だし食いっぱぐれは無いと思うわよ?」










「……え~、でも訓練とかあるんでしょ?何か凄く面倒臭そう……走り込みとか絶対にしたく無いし……」










「楽隊なんかはそうでもないわよ。その分、軍のエリート中のエリートしかなれないみたいだけどね。

……どうする?一応、公募貰って来たけど駄目元で受けてみる?」










「じゃあ、やるだけやってみようかな」











「え?ソフィーちゃん受けるの?!じゃあ、私も受ける!」











「無論、私も受けるつもりよ。その為に持ってきたんだもの。

ま、私達は人間性はさておき能力だけはあるから、1年も練習すれば行けるでしょうね。そうと決まれば適当に楽器でも買ってきましょ」









――宣言通り、1年集中して特訓した成果を発揮し、見事”合格”と言う結果を勝ち取った。








「やったぁ!やったやった!やっちゃった!私のヴァイオリンね!教官にすっごく褒められたんだぁ!」











「私のフルートの腕をきちんと評価出来る優秀な教官で僥倖だったわ。ま、誰だろうと感服させる自信はあったけど。ソフィーはどこに配属されたのかしら?」









「ん。落ちちゃった。楽器よりも指揮者の方が向いてるらしんだけど、指揮者はもう居るから、要らないみたい」








――そう、私を除いて。









「あ、でも気にしないでね。姉様を応援しながら、また来年も受けてみるから」










「うん!待ってるからね!」









――そして、一年後、再び私は楽隊の公募に志願した。











「姉様……また、落ちちゃった」





――結果は、去年と同じ不合格。










「そのワリには、あまり落ち込んでいる様には見えないけど」












「うん。楽隊は駄目だったんだけど、総合演習で教官が言うには”指揮能力には目を見張るものがある”んだって。

それで……楽隊には入れることは出来ないけど指揮官としての訓練を受けてみないかって」












「凄いじゃない!勿論、受けるんでしょ?」











「……でも、合宿みたいな生活になるから姉様達には早くて数年……下手すれば数十年単位で会えなくなるって……」









「それがどうしたの?じゃあ、私が楽隊辞めて指揮官養成部に異動希望出せば良い事じゃない。何も悩む必要は無いわよ」










「でもでも……!姉様達は活躍も認められてそろそろリーダーになれるってこないだ……」











「たった2年で?ぎ取れる様な称号に価値なんて無いわ。それよりも貴女の方が私達にとってはよっぽど大切なんだから。

……ただし、私が行くからには指揮官なんて器じゃなく、参謀を目指すけれどね」











「大姉様……!小姉様……!」










~~

~~~~







――そして、今まで駄目人間と言われても差し支えない様な怠惰な日々を送っていた私達三姉妹は……気付いたときには皆から一目置かれる存在になっていた。




――曰く。

あらゆる局面に於いてカットレイス=サンダースを論破できる人間なぞ存在しない。
ルズリハ=サンダースの前で隠し事を貫ける者は存在しない。

そして……自己、自我を持つ生物に於いてセフィリハイト=サンダースが統率できない集団は存在しない。

との事。

……我が事ながら、ちょっと過大評価し過ぎじゃないかなぁーとは思う。









「う~ん……考え得る限りでは一番最悪な状況かも」







陸上隊員「サンダース大隊長殿!360°全方位!物の見事に包囲されています!」









「あ、今の韻踏み良い感じだね。リズム感あるよ。参った参った……飛蝗は囮で本来の目的は私達を潰す事だったなんてね。

敵はやっぱり帝国かな?共和国軍の人間も何人か混じってるし、連合軍?情報が無いから上手く判断出来ないなぁ……」











「何か突破する策はないでありますか?ソフィー殿」








「音程悪いなぁ、あるのかないのか解らないよ、それじゃ。

ん。ある事はあるよ。……と、言うよりも現状ではそれが唯一の手段。ものっ凄く泥臭い方法なんだけどね。

じゃ、はーい!みんな!私に注目!」







ざわ…… ざわ……










「みんな、絶体絶命とも言うべき状況で浮き足だっているのは解るよ。でも、ちょっと間だけ我慢して私の話……ううん。命令を聞きなさい。

これから我々は撤退戦に移る。農作物は残念だけど、今は何としても全滅だけは避けなくちゃ行けないからね。

ナベちゃんと共に包囲網を突破するグループと、私と一緒に脱出口を切り開くグループに別れてね」







ざわ……  ざわ……












「な、何を……!?それってもしや……?!」













続く











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最終更新日  2011年02月12日 18時19分27秒
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