Brog Of Ropesu

Brog Of Ropesu

2011年02月13日
XML
カテゴリ: KDB



純文学とは一般的に不良の読み物とされて来ました。……今では価値感が逆転している気がしますが。

既存の概念に疑問を投げかけるのは、真理を探求する行為であると同時に、有り方自体を否定しかねない危険な物であるとされた様です。
三島由紀夫の影響が大きかったのもあるのだとは思いますが……




三姉妹繋がりBGM





===





「はいはい。静かに静かに。

……うん。気付いたよね。
私と一緒にここに残るグループが生き残れる可能性は正直1割以下だと思う。それでも良いって人は……私に命を預けてくれるかな?

勿論、逃げたい人や降伏したい人はそれでも良いよ。みんなも攻めないであげてね。誰だって死んじゃうのは怖いもん。

――でもね、これだけは覚悟して。

私に付いて来てくれる人はきっと……死ぬよりも辛い目に逢う。

勿論、私も全力全開で行くから説明しておくね。私に託された”ビフロンズ”の能力は……」






~~

~~~~









「ん。どうやらソフィーには”ビフロンズ”。イシュトーには”アモン”が適合するみたいだね。ある意味二人とも大当たりだな」












「大当たり……ですか?」











「ああ。アモンは私の父上曰く”最強の能力”らしい。そして、”ビフロンズ”は唯一”自我を持つアーティファクト”だそうだ」










「イシュトー君のはともかく……それって凄いの?」












「いや、自我云々はオマケだよ。無論、能力も最高峰だ。

……但し、大きい代償を支払わなければならない。予め言っておこうか――


――君のビフロンズとアモンだけは絶対に使うな」











(確か……大姉様の代償は”睡眠”。
眠気が襲って来るのに眠れないのは常人でもかなり辛いものがあるけど、三度の飯より居眠りが大好きな大姉様にとってこの代償に対する苦痛は相当なもの。

小姉様は本来持っていた実力に少し上乗せ補正されただけみたいな能力だったから代償も小さい。
けれど、極度の人見知りで仮面が無いとマトモに人前にさえ出れない小姉様にとって、”異性と【ピー】して【ピーピー】する(検閲されました)”代償は、やっぱり拷問以外の何物でもない。

……私はどうだろう?特に固執するモノも無いし、苦手な事も無いと思うけれど……)













「先ず、アモンの代償は……” ”だ。能力は発動させれば自ずと解ると父上は言っていた。

そして、ビフロンズだが……こちらの能力は”死体の肢体を繰る”のだ。数も無制限で生み出せる。
君と意識レベルで共有しているからそれこそ自身の手足が如く自由自在だぞ」











「う~ん……思考が分散しちゃいそうで難しそう」










「確かに常人では無理だ。だが、君なら出来るだろう?大きな問題はそんな事じゃあない」












「死者に対する冒涜かも」











「それもそうだが、それだけじゃない。

――代償だ。……使っている間は”死ねない”んだよ。”死なない”では無く”死ねない”んだ。

意識を共有した遺体の腕が落とされようが、脳を蜂の巣にされようが、その痛みはそのままに、ね。……けれど意識を失うことも出来ない。

自身が……周囲が段々と人間としての形を失っていく中で、意識も痛みも止まらない。そこに見るのは真の阿鼻地獄さ。

相手を殲滅するまで……偽りの生の中で、もがき続けるんだ」










「殲滅するまで?じゃあ、相手を斃したら?」











「そこでようやく死ねる。……だが、例えネクロマンサー本人も死体達が無傷でも死ぬ事になる。
ビフロンズは所有者の生命を食って動く。

一度発動させたが最期……行き着く先は”死”あるのみだ」







~~

~~~~







「これが、私の能力……絶大な力を発揮する代わりに、全てを食らい尽くす私の禁じ手……」












「そんなの……そんなのダメであります!ここは本官が食い止め……ソフィー殿が脱出するべきであります!!
本官は……本官はもう目の前で仲間が逝ってしまうのを見届けるのは嫌であります!!」










「私じゃ無理。この場面では、突破力がある貴方が最適任なの。

貴方の武力と……貴方が受け継いだ”ナベリウス”なら出来るのよ。と、言うよりもその組み合わせ以外では不可能」











「けど……けれど……!」












「じゃあ、他により生存率が上がる方法があるの?より少ない犠牲者ですむ方法があるの?あるならそれに従うよ?」











「けれど……!しかし……!!」









「いい加減にして!甘えた事言わないで!助けを乞えばスーパーヒーローが駆け付けて来てくれるとでも言うの?!そんな都合の良い事ある筈ないじゃない!

これは私と貴方だけの問題じゃないの!ここで生き残ってカリン隊長や小姉様に情報を持ち帰れば、他の戦場で闘っている皆の生存率もグンと上がるの!それだけじゃない!ここにいる兵士たちにだって守りたい家族がいるのよ?!

”でも”とか”しかし”とか……曖昧な提案なんか聞きたくない!

上官の命令に従いなさい!渡辺忠道!!突破口を拓くのよ!」











「うっ……ぐ……!必ず!必ず助けを連れて戻ってくる!!地獄の番犬”ナベリウス”!!俺に従い……道を拓けぇええええ!!!!」








グォオオオオオオン!!!!











「ふぅ……ようやく行ったか……。これじゃあどっちが年上なんだか解らないよ。

……ごめんねルーシーちゃん。約束破るよ。でも、これが正しい使い方だと思うから……!行くよ!ビフロンズ!」






ビフロンズ「ォーン!ウォーンオーン!」









「泣かないで。ビフロンズ。……貴方の所為じゃないよ。私が望んで、私が貴方に協力して貰ってるだけなんだから。

君が悲しむ必要なんてないんだよ。うん。大丈夫。後は姉様達が絶対何とかしてくれるから。大丈夫だよ。ホント……本当に大丈夫だから」






ビフロンズ「オーン!オンオンウォーン!」











「やめて……やめてよ……大丈夫。私は大丈夫だから泣かないで……泣かないでよぅ………」











ビフロンズ「クォオオーン!オーンオンオンオン!」











「やめてったら……私まで……泣きたくなっちゃうじゃない…………そうだよ、本当は大丈夫なんかじゃないよ……死ぬのが平気なはずないじゃない……!

死にたい訳無いじゃない……死ぬのが怖くないなんて……そんな事あるワケないじゃない……
死にたくない……死にたくなんてないよぅ……!

まだまだやりたい事もいっぱいあった!姉様達にも甘えたかった!もっとみんなと仲良くなりたかったよ!でも、もう叶わないんだよ……怖いよぅ……助けてよぅ…………姉様…………みんな……」









続く








お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2011年02月13日 18時44分24秒
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: