音楽雑記帳+ クラシック・ジャズ・吹奏楽

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bunakishike

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2007年01月04日
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 英国の吹奏楽作品を紹介するポリフォニックのシリーズ「グレイト・ブリティッシュ・ミュージック・フォー・ウインド・バンド」の最新作です。今回はエレビーの「クラブ・ヨーロッパ」と「トロンボーン協奏曲」、キット・ターンブルの「タイム・ラインズ」、マイケル・ボールの「3つの行列聖歌」、ダロル・バリーの「祝典の知らせ」、ギルバート・ビンターの「スペクトラム」、そして、ゴーブの「アドレナリン・シティ」合計7曲と盛りだくさんの内容です。 「クラブ・ヨーロッパ」は、クラブ・ヨーロッパ・コンサート・ツアーの委嘱により2002年のベルギーとイタリアのヤング・バンド・フェスティヴァルのために作曲されました。とても明るく、軽快で、聞いていると、ウキウキしてくるような曲です。

■アフリカの土俗的なリズムを使った『タイム・ラインズ』

2曲目は キット・ターンブル の「タイム・ラインズ」。元々ブラスバンド用の作品ですが、今回のレコーディングのために作曲者自身で編曲されました。サハラ砂漠よりも南の国々の音楽で使われている12ビートのリズムが特徴的で、これが6×2,2×6、4×3の様ないろいろなパターンに分割され、ここからアフリカの音楽に共通するポリリズムが生まれます。

曲は3部に別れ、最初のゆっくりした部分では、南アフリカの賛美歌「Abasubdu Nabamhl
ope」を基に作られています。次の合唱部分では、賛美歌「Nkosi Sikelel」を基にしてい
ます。最後のアレグロの部分ではアフリカの土俗的なリズムに乗って踊りと歌が繰り広げ
られ、大きな盛り上がりを見せます。

■ブレット・ベイカーの妙技が聞きもの エレビーのトロンボーン協奏曲

エレビー の「トロンボーン協奏曲」はこのCD随一の聞き物です。ブラックダイク・バンドの首席トロンボーン奏者、 ブレット・ベイカー のソロは輝かしく力感溢れる音で、実に素晴らしいです。さすがに、英国ブラス・バンド界で最もうまいと言われるのもうなずけます。イメージ的には、クリスチャン・リンドベルイの音とフレージングにかなり似て
いると思います。

 早いパッセージの歯切れ良さは無論のこと、「エレジー」と題された緩叙楽章での朗々たる歌も、素晴らしいです。第3楽章「モザイク」もラプソディックで歯切れの良いアップテンポの曲です。ここでもベイカーの素晴らしいテクニックが堪能できます。最後に、第2楽章の旋律が戻ってきて曲を締めます。トロンボーン奏者にとっては大切なレパートリーになることは、間違いないところでしょう。

■カラフルでうきうきしてくる『スペクトラム』

 スパークに大きな影響を与えたという、ヴィンター(1909-1969)の「スペクトラム」は1969年のブリティッシュ・オープン・コンペティションのブラスバンドの課題曲のアレンジです。題名の「スペクトラム」は曲の中に様々なエピソードが綴られていて、それが赤、橙、黄色など色のスペクトラムの名前を付けられているからです。全体にスウィンギーで、名前のように非常にカラフルな曲です。とても面白く、一編の冒険映画を見ているような気分になります。全体的に、ユーモアとウイットに富んでいて、サーカスの音楽(ワルツ)を思い起こさせるところもあります。このアレンジも、この録音のためにされたもので、個人的には、病み付きになりそうです。今後ポピュラーになっていって欲しい曲です。でも、日本だとこういったユーモアのある曲はあまりうけないですからね~。

■近未来の雰囲気を感じさせるゴーブの『アドレナリン・シティ』

 最後は ゴーブ の「アドレナリン・シティ」。この曲は、21世紀の都市生活でのストレスと柑橘系のアロマオイル「ビブランス」?からインスパイアされた曲だそうです。10/8でソナタ形式を取っています。活気のある第1主題とムーディーな第2主題。いいですね。相変わらずの作風です。聞いていると、彼の「メトロポリス」に描かれていた未来都市を思い浮かべてしまいます。また、静かな部分は、「アウェイデイ」の雰囲気を思い出します。

 中間部で出てくる、サスペンスがかった東洋風な旋律もなかなか良いです。これが、第1主題と絡み合うところはなかなかスリリングですね。オープニング用の序曲なので、それほど力瘤が入っているわけではありません。しかし、決め所はきちんとおえてあり、さすがです。この曲ではバスクラ、バリトンサックスの使い方が絶妙です。それに、パーカッションの使い方も、相変わらず見事です。

Royal Northern College of Music Wind Orchestra:Time Lines

1.Martin Ellerby:Club Europe/
2.Kit Turnbull:Time Lines
3.Michael Ball:Three Processionals
   I)Marziale
   II)Corlege
   III)Fiesta
4.Martin Ellerby:Trombone Concerto
   I)Panache
   II)Elegy
   III)Mosaic
5.Darrol Barry:Cause for Celebration
6.Gilbert Vinter:Spectrum(arr. Rodney Newton)
7.Adam Gorb:Adrenaline City

Clark Rundell(cond 3,4,7)
Mark Heron(cond 1,2,5,6)
Brett Baker(Tb)
Royal Northern College of Music Wind Orchestra







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Last updated  2007年02月04日 17時10分18秒
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