音楽雑記帳+ クラシック・ジャズ・吹奏楽

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bunakishike

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2007年12月29日
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 今月はじめに行わたミュージック・ジェイ・ピーのバーゲンで購入した一枚。残念ながらスカでした。作曲家ですから良い曲もあれば出来の悪い曲もあることは当たり前のことです。

ごくまれに優れた作品ばかりという作曲家もいますが、大方は優れていない曲の方が多いと思います。その中で、優れた作品の割合がかなり多いと思われるスパークの作品集。期待したのですが今回は駄目でした。


■どうにもならない交響的変容

 そもそも表題曲の「交響的変容」これが何ともならない曲でした。最初は全然知らない旋律が出てきてこれ本当にサン=サーンスの第3交響曲を使っているのかと疑問視しました。そのうち第2楽章の後半の旋律が聞こえ、その次に第1楽章後半の有名な旋律が出てくる「Meditation」へと続きます。終曲{Apothosis」もせっかちに終わってしまい、あまりセンスが良くないです。

 結局私がヒンデミット並みの傑作を期待したのが悪かったようです。

■スパークらしからぬ劇的な「The Legend of Celobrium」

 表題曲は期待はずれでしたが、他の曲の中でスパークらしからぬ、ワクワクするような曲が収録されていました。

 それは、「The Legend of Celobrium」です。これがスパークの作品らしからぬシリアスで劇的な内容でとても面白いです。CelobriumとはSoleuvreのローマ名で、この作品はこの地方にまつわる「Zolverknappの宝物」という有名な寓話に基づいて作曲されました。ZolverknappとはZolverの近くの村です。

 全体は7つの部分から出来ていて続けて演奏されます。映像が目の前に浮かんでくるような写実的な音楽です。スパークにはこのような才能もあったんですね。このような音楽を聞くと、彼に是非映画音楽を作曲して欲しくなります。この中では「The Enemies Meet」、「The Battle with Tara」などの緊迫した音楽がとても良いです。叙情的な「Exlie」、悲愴な悲しみに沈む「jouney to the differdange」もいいです。

 この曲を聴いていてい、リードを思い出してしまいました。何となくモチーフや曲の作り方が似ているような気がしたためだと思います。

■「Dance Movement」の雰囲気を思い出させる「Colorad Springs Suites」

 また、この曲の次に比較的聞けるのはアメリカ空軍アカデミーバンドの委嘱作品「コロラド・スプリングス組曲」でしょうか。ホルンの勇壮なファンファーレに続く、軽快で快活な「Seven Falls」(七段の滝)がとても楽しいです。ここはコロラド・スプリングスの名所らしいです。滝が水しぶきをあげて流れ落ちるときの楽しさを表しているんでしょうか、聞いているとその情景が目に浮かぶようです。

ホームページで は360度のパノラマを楽しめます。あいにく写っている時の水量が少なくちょっと貧相な感じがします。


 3曲目は「Pikes Peak」。ロッキー山脈最高峰級の山の頂で、標高は、14110フィート(4300m)です。ここは富士山についで世界で2番目に観光客が訪れるところだそうです。音楽は、この頂の威厳のある雰囲気を描いたもので。しかし、そんなに厳かな感じではなく、組曲全体の明るい感じを反映したものです。後半は希望に満ちたクライマックスが訪れ、最後に第1曲のモチーフが現れ曲を締めくくります。

 この第2曲、第3曲目は「ダンス・ムーヴメント」の2曲目、3曲目の雰囲気にとても似ていて悪くないです。

■ティンパニを際立たせたのが敗因 「亜麻色の髪の乙女」

 ドビュッシーの「亜麻色の髪の乙女」は原曲が良いのですが、その良さが消えてしまったような編曲で、聞くに堪えません。問題なのはティンパニを際立たせているためにドビュッシーのまったり感がまるでなく、どろどろした感じになっていまにも何か出てきそうな不気味ささえ感じます。これは完全に失敗作ですね。

 ということで、期待した曲は駄目でしたが、他の曲でスパークの隠された側面を見ることが出来て良かったです。


Philip Sparke:Symphonic Metamorphosis (Anglo record AR021-3)

1.Royal Salute
2.Prelude to a Celebration
3.A Quiet Moment
4.The Camelot Chronicles
 I)At the Castle Gates
 II)King Arthur
 III)Merlin the Wizard
 IV)Lancelot and Guinevere
 V)Knights of the Round Table
5.Scenes from a Comedy
 I)Overture
 II)Harlequin's Entrance
 III)Harlequin and Columbine
 IV)Finale and Peasants’Dance
6.Prelude on an Irish Folk Tune
7.The Legend of Celobrium
 I) The Castle at Zolver
 II) The Enemies Meet
 III) The Battle with Tara
 IV) Exile
 V) Journey to Differdange
 VI) The Castle at Differdange
 VII) The Devil Appears
8.The Girl with the Flaxen Hair/Claude Debussy
9. Colorado Springs :Suite for Band
 I)The Springs Fanfare
II)Seven Falls
 III)Pikes Peak

10. Symphonic Metamorphosis on themes from Saint-Saens’3rd Symphony
 I)Introduction
 II)Scherzo
 III)Transformation
 IV)Meditation
 V) Apotheosis

Royal Scottish Academy of Music and Drama Wind Orchestra
Bryan Allen(3-6、8、10)
Nigel Boddice(2、7)
James Gourlay(9)
John Wallace(1)







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Last updated  2007年12月29日 20時31分46秒
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