音楽雑記帳+ クラシック・ジャズ・吹奏楽

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bunakishike

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2019年09月08日
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カテゴリ: ジャズ

今年のSfjazz Collectiveのライブ録音を入手した。
国内ではディスクユニオンでは7,128円と高価。
もともと、このグループのCDは限定版で高い。
当ブログとしてはロスレスでいいのでダウンロードできると有難いのだが、今のところそうはなっていない。
以前はSFJAZZのサイトから直接購入していたが、アメリカ国内のみの配送で、仕方なく子供に送ってもらって、それを転送するという方法をとったことがある。
昨年あたりからamazon.comに出るようになったので、amazon.comから購入している。
今回は本体が\3872送料が\833合計\4705となった。
送料が昨年比約2倍になったのは痛い。
国内ではほとんど入手困難なので、多少手間がかかってもこの方法が一番いいようだが、amazonがいつまで対応するかはわからない。
ebayは調べなかったが、今見ると新品で\3,080とさらに安かったが、日本に送るのはひと手間かかりそうだ。
このCDはシリアル番号がついていて「0802」だったので、まだまだ購入可能だ。
前置きが長くなったが、今回はタイトル通りジョビンの作品集と例年どおりメンバーのオリジナルという2枚構成。
ジョビンの特集はあまり期待してなかったが、これが予想外に素晴らしかった。
普通ジョビンの音楽というと癒し系のアレンジが相場なので、こういう攻撃的なボサノヴァは記憶にはない。
おそらく、ボサノヴァがアメリカに紹介しされたときのゲッツの演奏がデフォルトになっていたため、それが当たり前になってしまったのだろう。
実に思い込みは恐ろしい。
それをを打ち破ってくれたメンバーには、賞賛の言葉しかない。
メンバーの競争意識がいい方向に働いて、攻めるアレンジになっているのだろう。
ただ難しいアレンジで演奏するのは、なかなか大変だ。
全曲スカなしで、どの曲もアレンジが凝っていて新鮮な気持ちで聞くことができる。
何よりも、アメリカ西海岸の突き抜けるような青空の中で響いてくる乾いたサウンドで、とても気持ちがいい。
特によかったのはミゲル・ゼノン編曲の「One Note Samba」
速めのテンポで攻めること攻めること。
ロビン・ユーバンクスのトロンボーン・ソロもアグレッシブだ。
テュッティの厚みのあるサウンドはビッグバンドを聴いているようだ。
オーブド・カルベアー編曲の「Waters of March」は最初はアンサンブルでテーマは2分ほどしないと出てこない。
中間部はサルサ風でコーラスも加わる。
エドワード・サイモン編曲の「The Girl From Ipanema」はゼノンのアルトがボサノヴァらしくない不健康な表情なのが面白い。
テンポが上がってからのゼノンのアルト・ソロのバッキングのアレンジが素晴らしくいい。
「Inutil Paisagem」(無意味な風景)はイントロでギターが聞こえるような気がするが、クレジットはない。
この曲は一番ボサノヴァらしアレンジだろう。
ここでもトロンボーンソロが秀逸。
オーブド・カルベアー編曲の「Corcovado」はピアノのオスティナートとドラムスの細かいリズムが続くミステリアスなムードが全曲を支配している。
ピアノといっても、弦をはじいているような音だ。
オルゴールの音を聴いているような不思議な感覚。
やっとテーマが出てきたと思って断片がちょろっと出てくるだけでもムードは変わらない。
オスティナートがやむとテーマの断片が出てくる。
この部分は降り続く雨が一時止んで、つかの間の静寂みたいな詩的な気分になる。
すぐ元の雰囲気に戻ってベースソロでエンディングまで進む。
そうするとオスティナートは雨がしとしと降るイメージを表しているのかもしれない。
このアレンジは大変優れている。
「Chega de Saudade」は速いテンポのリズミックな編曲。
イントロはピアノとヴァイブのデュオでカノン風な進行。
さながらモダン・ジャズ・カルテットの雰囲気。
この曲のサウダージを感じさせる優しいイメージとは違って、かなりアグレッシブ。
途中のサルサ風な部分でのマリンバとアルトの掛け合いも面白い。
デイビット・サンチェス編曲の「A Felicidade」も速いテンポでぐいぐいと迫る演奏。
コンガが加わったパーカッションが充実している。
不協和音を含んだテュッティのハーモニーがしゃれている。
エンディングはパーカションのソロに他のメンバーのコーラスが加わり、お祭り気分を盛り上げている。
ヴァイブをフィーチャーした「How Insensitive」は原曲のイメージに最も近いかもしれない。
シンプルなアレンジだが、ソロが聴かせる。
リフがオリエンタルムードを醸し出して、なかなかいい雰囲気だ。
「Ligia」はサンバのリズムにのって軽快に進む。
途中のベース・ソロではバックとの掛け合いがユーモラス。
後半のヴァイブ・ソロはここでも好調。
2枚目のメンバーのオリジナルは、一人1曲ずつの割り当て。
全体を通して同じムードで統一されており、ばらつきは感じられないのは長い付き合いがあるからだろう。
Edward Simonの「Insight」はクロマティックなメロディーと斬新なハーモニーで爆走する。
作曲者自身の長いピアノ・ソロがある。
オーブド・カルベアーのドラムスのあおりが半端ない。
後半もピアノソロがあるが、そこにかぶさるアルトの短いモチーフが耳新しく、そこに被るテナーのフリーキーなトーンで曲が盛り上がる。
オーブド・カルベアーの「MZ’s World」のMZとはミゲル・ゼノンのこと。
カルベアーが2013年にこのグループに参加して以来、ゼノンからいろいろなことを教えられ、感謝をこめて書かれた曲だ。
ゼノンが中心だが、大きくフィーチャーされているわけではない。
アルトとヴァイブの細かいリズムに乗ってコラール風のメロディーがブラスで奏されるのは、ジャズではあまり聞いたことがない。
テーマが終わるとゼノンの長いアルト・ソロが続く。
高度な技術に支えられた短いパッセージをつなぎ合わせたアドリブは、聴きごたえ十分。
ドラムスは相変わらず荒れ狂っているが、宗教的な気分になってしまう不思議な曲。
サンチェスの「Variation」は出だしからテンポが速く、テクニカルなパッセージの応酬から始まる。
テナーとトランペットのソロが続く。
サイモンのエレクトリック・ピアノが曲にマッチして、いい感じ。
ゼノンの「Infinito」はゆったりとしたバラード
最初はピアノとのデュオでしみじみ聴かせる。
途中から他の楽器も入りテンポが上がる。
ユニゾンで演奏されるテーマが懐かしさを覚える印象的なメロディー。
後半は短いフレーズが執拗に繰り返されるなかに、あらたに断定的なモチーフが出てくるあたりはなかなか感動的だ。
ウルフの「Another Side」はフュージョン系の曲。
彼はブックレットのなか、ハービー・ハンコック、ジョン・スコフィールド、チックコリアのグループのファンで、この曲はそれらのグループの影響が感じられる曲だと言っている。
テンポの速いスピーディーな進行にアルトやエレクトリック・ピアノのソロが絶妙にマッチしている。
エンディングの複雑なリズムをただき出すドラムソロは圧巻の出来。
ベースのマット・ブルーワーの「Unseen Worlds」は彼が初めて作曲した曲だそうだ。
ホーンの4声部のハーモニーの上で、ドラムスがソロを繰り広げるという曲
4分ほどの短い作品
ユーバンクスの「It Takes A Village」はアンサンブルの部分が多い。
テンポが速くなってからは、ダンサブルな曲調になる。
トロンボーン・ソロで重音奏法が聴かれるのは珍しい。
最後はトリニダード・トバゴ出身のエティエンヌ・シャルルの「Sketch」
クールな中に熱いアドリブが入っていて、なかなか聴かせる。
現在のこのバンドのメンバーはラテン系のミュージシャンが多くを占めているが、彼もその一人。
アンサンブルではいいのだが、ソロになると他のメンバーに比べると若干見劣りする。
線が細いのだ。
サンチェスのテナー・ソロがいい。
録音はライブとしては鮮明な録音だが、低音がいまいちなのが惜しい。
ライブ録音は彼らの実力が十分に出ているとは思えない。
ということで、ジョビン特集もメンバーのオリジナルも水準が高くとても楽しめる。
特にジョビン特集はぜひ聞いていただきたいところなのだが、日本に限って言えば高価で入手困難なことが難点だ。
幸いSPOTIFYでは全曲を聴くことができるので、会員の皆様には是非お聞きいただきたい。

SFJAZZ COLLECTIVE :Live At Sfjazz Center 2081 The Music Of Antonio Carlos Jobim

CD1:

1.Jobim(arr.Obed Calvaire):Waters of March
2.Jobim(arr.Miguel Zenon):One Note Samba
3.Jobim(arr.Edward Simon):Retrato Em Branco E Preto
4.Jobim(arr.Edward Simon):The Girl From Ipanema
5.Jobim(arr.Etienne Charles):Garoto
6.Jobim(arr.Robin Eubanks):Inutil Paisagem
7.Jobim(arr.Obed Calvaire):Corcovado
8.Jobim(arr.Warren Wolf):Chega de Saudade
9.Jobim(arr.David Sanchez):A Felicidade
10.Jobim(arr.Warren Wolf):How Insensitive
11.Jobim(arr.Matt Brewer):Amparo (Olha Maria)
12.Jobim(arr.Etienne Charles):Ligia

CD2:

1.Edward Simon:Insight
2.Obed Calvaire:MZ’s World
3.David Sanchez:Variations
4.Miguel Zenon:Infinito
5.Warren Wolf:Another Side
6.Matt Brewer:Unseen Worlds
7.Robin Eubanks:It Takes A Village
8.Etienne Charles:Sketch

Miguel Zenon(as)
David Sanchez(ts)
Etienne Charles (tp)
Robin Eubanks (tb)
Warren Wolf (vib)
Edward Simon(p)
Matt Brewer(b)
Obed Calvaire(ds)

Recorded during the Collective’s four-night residency in October 2018 on the Miner Auditorium stage at SFJAZZ





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Last updated  2019年09月08日 21時16分13秒
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