ちょっと本を作っています

ちょっと本を作っています

Jan 17, 2005
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カテゴリ: 本を作る
出版業界でメシを食う方法(その十)

スキーがらみの話が続いてしまいました。もちろん他にもいろいろやっていたのです。でも、ついでですからスキーに関わる話を書いてしまいます。楽しかった出会いの話です。そして、どん底の時期のある日の出来事です。


「スキースクールは杉山進さんとこだけじゃないよ」

「ナイスクって知ってる? オーストリースキー教室って?」

「日本で一番古いスキー教室だよ。蔵王や志賀など全国にあるんだよ」

「規模からいっても、やはりナイスクだよ。知らなきゃモグリだよ」


以前私が働いていた会社の同僚が口を尖らせて話しかけてきました。

「よし、そこへ一緒に連れて行ってよ」。例によって即断即決です。

翌週には、オーストリースキー教室の鹿島槍校に入っていました。


私のスキーはヘタッピーですから、下から二つ目の班です。

以前の会社の同僚は一斑です。最初からダンチの違いです。

でもそれは昼間のこと、夜のお酒の席では、やっぱり私です。


ここの校長先生が面白い。伊藤先生と言いました。本職は大工さんです。

スキーの技術をさまざまな例え話で解説してくれるのです。

話の面白さにつられ、「よし、それ本にしましょうよ」と突撃です。


「いやー、私よりも、もっとヘンなのがいますからご紹介しますよ」

ナイスクの東京事務所と、ある人物を紹介されました。

スキー場から帰った日に、その足で事務所に出向きました。


スパイにされちゃった

紹介された松尾喬さんが出て来ました。名刺には代表とあります。

「あれ、松尾さんは社長さんですか」「ええ、ついでに社長もやっています」

もろカウンターパンチです。とぼけた人です。すぐ意気投合してしまいました。


「あのー、鹿島の伊藤校長から電話が入っているのですが」

「もしもし、松尾です。何?」

「うん、それはきっとスパイだよ。うちの運営方法を探りに来たんだよ」


「さすが、とーさん(伊藤校長先生の愛称)見る目があるよ」

「うん、本を作りたいって。ナニナニ、なるほどねー。うん、間違いないね」

「それがきっと手なんだよ。注意しとくよ」「ところでちょっと代わるね」


「もしもし、伊藤先生ですか。私、スパイの○○です」

「スキー場ではお世話になりました。またスパイに行きますので宜しく」

「………はあ………どうも………」。伊藤先生、言葉が出ません。


スキーって遊びだよ。楽しい本を作ろうよ

こんな出会いから、本を作ることになりました。あとはハチャメチャです。

「民間療法 フツーのスキー」って本です。名前のとおり、とぼけた本です。

私が独立する直前だったので、前に働いていた出版社で出しました。


「スキー界って、体育会系なんだよね。遊び心が足りないんだ」

「お金払ってスキースクールに入って、それでしごかれたんじゃ馬鹿みたい」

「やーなんだよね。○○さん、一緒に遊ぼうよ。楽しい本を作ってよ」


丸っきり松尾さんのペースです。話がポンポン出てきます。

「あなた学生運動やってたでしょう。代々木系でしょう。ほらね、やっぱり」

「代々木系は、クソ真面目で頭もいいのが多いけど、ちょっと固いんだよね」


「ちょうどいい。ボク、三派系で軟弱だから足せばいいんだ。二人でやろうよ」

この調子で私が独立する前も、そして独立してからも付き合いが続きました。

その後の松尾さんとのエピソードは、ゆうに本一冊分ぐらいはあります。


さてここで、それから十年ちょっと後の文章を転載します。

私の事業が躓いた直後の松尾さんとの会話を書いた文章です。

浮き沈みの多い私の人生で最悪の、地獄の底へ叩き落とされたときの話です。



……… こんなこともあった。志賀高原や蔵王のスキースクールやテニススクールを運営する会社の社長でMさんという人がいる。不思議なキャラクターを持つ人で、頭も切れるが口八丁手八丁でいつも圧倒されている。

彼の会社の仕事の一環として何冊か本を書いてもらっていた。支払いをズルズル延ばしていたので、倒産時には印税など三百万円以上の債務が溜まっていた。そのM社長に呼び出された。恐縮しながら訪ねて行くと、喫茶店へ連れ出された。

「ボクのこれから話すことに、絶対ダメとは言わないでよネ」と前置きして、「ボクからの提案は三つある」と切り出した。

「一つ、ウチのおたくへの債権を放棄することに異議を申し立てないこと」
「二つ、今ウチの会社で仕掛かっている本が出せるなら、印税はおたくの会社に再建資金としてカンパさせてもらうこと」
「最後の三つ目は、もし夜逃げするなら、家族揃ってボクの紹介するところへ行くこと。出来るだけの面倒は見させてもらうよ」

「本当にいいんですか?」
「ウチの会社が出版などの仕事を始めることが出来たのは、○○さんのおかげだと思っているんだよ」

三つ目の提案の夜逃げだけはお断りしたが、債権放棄と新刊の印税をカンパしてもらうことについては、好意に甘えさせてもらった。………


ちょっと最後は暗くなったかな。明日は三浦敬三さん、三浦雄一郎さんとの出会いを書こおーっと。これまた偶然なんですよ。同じ頃、堀江謙一さんとも出会ったんだけど、何があったか忘れてしまったなー。女優の川口晶さんとのことなどいろいろ関係していたはずだけど……。まあ、いいや。どうせあの人、すぐ居なくなるんだもの。今も太平洋の真っ只中でしょう。ついていけないよ。海の上じゃね。帰って来るまでには思い出すだろう。






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Last updated  Jan 17, 2005 08:27:27 PM
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聖書預言@ Re:ネットを再開するぞーっ! と思ったとたん(04/28) 神の御子イエス・キリストを信じる者は永…
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第五章 自分の本を売ってみよう


第六章 安く本を作る方法を考えよう


第七章 物書き稼業と編集者稼業の裏表


第八章 昨今の出版業界のお寒い事情


第九章 いまどきの本屋さんと物流事情


第十章 出版業界こぼれ話


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第二章 山里「コンタ」発見


第三章 知らないってことは


第四章 竹の子で仲間を釣り上げる


第五章 森の天使の小さな落し物


第六章 小悪魔『チビクロ』参上


第七章 チビクロ砦とチビクロ王国


第八章 まったくもう、田舎暮しってヤツは


第九章 チビクロ、チビコゲへ変身中


第十章 隠れビーチで日向ぼっこ


第十一章 チビクロ、何処へ行こうか


第十二章 何で、お前まで行ってしまうの


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