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2008年10月22日
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カテゴリ: 戦争映画
2007 イギリス  監督:マーク・ミュンデン
出演:ジェラルド・カーンズ、レオ・グレゴリー、マシュー・マクナルティほか
95分 カラー THE MARK OF CAIN


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  イラク戦争におけるイギリス陸軍のイラク人捕虜虐待問題を題材にした社会風刺的ドラマ。イラク南部のバスラにおける治安維持活動でのアクションシーンも多少はあるが、主に捕虜虐待に荷担したイギリス兵の精神的呵責や軍の指揮系統の矛盾を問うヒューマンドラマとなっている。イギリス軍に限らないが、イラク戦争での捕虜虐待事件は問題となっており、本作は一応フィクションということになっているが、少なからず実際の事件を参考にしているものと思われる。

 戦地での捕虜虐待問題はイラク戦争に始まったことではなく、戦争では必ずつきものの悪事である。ジュネーブ協定で古くから禁じられてはいるが、戦地おける狂気と兵士の精神的暴走はそう簡単に止められるものではないのが実態だ。第二次大戦の戦犯裁判でも取り上げられたことが多いが、命令を下す上官の残虐性だけでなく、末端兵士の無知さ、戦地治安の異常さ、報復行為など要因は多岐にわたり、原因を特定して断罪することはなかなか難しい。とはいえ、残虐行為によって命を失った者にとっては、余りに理不尽な行為であり、出来る限りその根絶を目指さねばならないのも事実である。
 本作は、その捕虜虐待行為が発生する過程、関与者の精神状態、そしてその事件の発覚と軍の対応を一連のドラマとして再現して見せている。捕虜が無実だったり、軍が隠蔽工作を行うなど、やや恣意的なストーリーではあるが、例えばの話しとして見る分には、タブーとされがちな戦争の陰部を垣間見ることが出来るという点で新鮮な作品だ。
 ただ、何分にも題材が重たいので95分が結構長い。捕虜虐待に加わる兵士の気持ちや良心の呵責にさいなまれる気持ちは、犯罪行為としてやはり重たい。また、上官命令は絶対という軍の規律は堅く、軍は真の勇気よりも忠誠を優先するという風刺が痛々しい。軍にとって末端の兵士は所詮虫けらでしかないのだという衝撃の事実を目の当たりにさせられる。

 本作中では、苦悩する兵が何度も「カインの烙印(罪)」という言葉を発する。原題もそうなっているのだが、聖書に出てくるものらしく、アダムとイブの子カインが弟を殺してしまうという一節だそうだ。私には今ひとつピンと来ないのだが、本作にとっては重い命題になっているのだろうか。

 映像的には低予算映画らしく、用意されたセットも登場する兵器類もチープ。戦闘シーンもたいしたことなく、イラク治安維持活動だからそんなもんだろうとは思うが、イラク人憎しで捕虜虐待するシーンに持って行くには、起承転結としても盛り上がりに欠けてしまってしる感じ。従って捕虜虐待ばかりに目がいってしまって全体のバランスという点ではちょっともったいない。
 興味深かったのは捕虜虐待シーン。捕虜虐待を行ったという主設定なのだが、いつまでたっても虐待シーンが出てこない。実は最後の最後で映像が出てくるのだが、もったいぶった編集がサスペンス的な雰囲気を醸し出している。ただ、私個人的にはあまり効果的では無かったような気はするが。全般的にグロさ度は低めかな。

 タブー的題材を扱った作品であり、娯楽性は低い。こういう社会的問題に関心があるならば見る価値はあるが、そうでなければ面白くはないだろう。


興奮度★★
沈痛度★★★★
爽快度★★★
感涙度★★


(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい)

 2003年8月のイラク南部のバスラ。イギリス軍は治安維持活動を行っていた。若干18歳の新兵マーク・テイトとシェイン・ガリバーは初めての戦場に緊張しながらも手柄を求める若者だった。ガソリンを求めて暴動を起こすイラク人を抑えて満足するマークだったが、分隊の短気者ランス・クエリー伍長にトリークル(甘ちゃん)と馬鹿にされいじめられる。それでも分隊の軍曹に困った事があれば言って来いと優しくされる。
 パトロールはコーラ缶などに詰められた爆弾の存在など危険を伴うものだったが、ある時ガソリンを盗んだとイラク人に暴行を受けるクウェート人を発見する。暴行を制止する軍曹らだったが、イラク人は殺せ殺せとわめき散らす。たかが盗みで射殺とは論外だったが、イラク人をなだめるため軍曹は順番にクウェート人を殴り倒すこととする。マークは勇気を見せるため最初に殴る。シェインは殴る事ができず、殴ったふりをしていた。
 次のパトロール中にイラク人の襲撃を受ける。初の銃撃戦に恐れおののく二人だったが、敵の放ったロケット砲で車内に残っていたグリンが戦死する。イギリス軍は犯人一味の潜む住宅を急襲し、怪しい男たちを確保する。シェインは吠えてうるさい犬を射殺する。
 捕虜はいずれMPに引き渡すこととなっていたが、仲間を殺された怒りから軍曹らは捕虜の虐待を計画する。部隊の指揮官少佐も暗黙の了解済みだった。マークは捕虜の虐待に良心の呵責を感じ逃げようとするが、シェインは仲間を殺された報復だとしてマークを強引に誘う。監獄でシェインは捕虜を殴り、捕虜同士キスをさせたり男根をくわさせたりする。マークも嫌々ながらもそれに従うのだった。捕虜の男の一人が脳挫傷で瀕死となるが、捕虜の母親には脱走しようとしたからだと嘘の説明する。マークは混乱し従軍牧師のもとに赴くが、牧師もまた特殊な状況下だから仕方ないのだと冷めた言葉を放つ。
 シェインとマークは任務帰還を終えて本国に帰還する。シェインはイラクでの出来事を得意になって恋人のシェリーに話し、捕虜の虐待を写した写真を見せる。不快に思ったシェリーは、浮気をしたシェインに怒った際に捕虜虐待の事実を警察に通報する。イラクでの捕虜虐待事件が明るみになり、写真に写っていたマークとシェインは軍法会議にかけられることになる。同様に写真に写っていたクエリー伍長や軍曹は司法取引によって罪を逃れ、少佐も全く知らなかったと抗弁する。結局捕虜虐待の罪は若い二人だけに押し付けられ、マスコミの餌食となっていく。マークは軍曹らを憎み、徐々に気がおかしくなってくる。錯乱したマークは病気休暇を許されるが、ついに自殺を図ってしまう。シェインは軍曹らに軍に忠誠を示せ、裏切るなと言い含められるが、マークの葬儀にも来ない軍曹に憤りを感じ、真実を語る事を決意する。
 軍法会議の場で、シェインは捕虜虐待の真実を述べ、軍曹やその他の兵の暴行、少佐の指示であったことを暴露する。騒然とする軍法会議だったが、シェインはそのまま軍刑務所に拘留される。護送にあたったクエリー伍長は市民の誰もおまえなど助けてはくれないんだと冷たく言うのだった。





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最終更新日  2008年10月22日 10時49分03秒
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