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2008年11月26日
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カテゴリ: 戦争映画
1959 東宝 監督:橋本忍 脚本:橋本忍 原作:加藤哲太郎
出演者:フランキー堺、新珠三千代、水野久美、笠智衆ほか
89分 モノクロ 


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 なお、本作は橋本忍による脚本だが、後年私は貝になりたいのフレーズの原著作加藤哲太郎から著作権に関する提訴を受け、以降原作者加藤哲太郎のクレジットが記載されている。登場人物、ストーリーはフィクションである。

 フランキー堺による朴訥とした男の演技は特筆もので、苦悩と絶望の表現や映像が衝撃的。決してハッピーエンドではないストーリー展開は見る者に衝撃を与え、そして戦争とは何か、人生とは何かを考えさせる。脇を固める妻役の新珠や笠の演技が華を添える。
 ただ、今となっては映像や編集、そしてストーリー展開にはいささかの古さも感じる。セリフや役者のしぐさはいかにも戦後間もない時期の雰囲気や匂いを醸し出してはいるが、ストーリーの深みという点ではやや物足りない。終盤部の間の取り方は特筆すべきものがあるが、全般に人物の性格付けがさほど強くないうえ、ストーリ展開が早いので感情移入がしずらい側面がある。ただただ、悲壮感と絶望感だけは伝わってくるが、それがどこに起因するのかがいま一つ判然としないので、物語のスケール感が乏しいのだ。予算的なもの、技術的なものの限界なのかもしれない。
 音楽はこれまた古いタイプの雅系。決して悪くはないが、今となってはちょっと違和感も。ただ、随所に無音の効果を入れることによってメリハリをつけているのは良い。

 当時の作品としては衝撃的で、画期的な作品であったと思われる。それだけの評価を受けている作品だが、リメイクも数多くされているだけに、どうしてもそれと比較して総合評価は抑え目になてしまった。

興奮度★★
沈痛度★★★★★
爽快度★
感涙度★★★


(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい)

  土佐の高知で床屋を営む清水豊松は妻房江と息子の健一と細々と暮らしていた。戦局は悪化しており、友人の酒井正吉が応召されるが、間もなく豊松のもとにも町役場の竹内が赤紙をもってやってくる。房江はショックを隠せないが、豊松は気丈に入隊していく。
 軍では二等兵として教練を受けるが、豊松は動作の鈍い滝田とともに班長の立石上等兵に目を付けられる。400機ものB-29による空襲の日、高射砲により撃墜された1機の米軍搭乗員が数名大北山中に落下傘降下する。中部軍司令官の矢野中将は、民間無差別爆撃の米軍に怒りを覚え、国民士気にも関わることから捕虜の捜索と処分を尾上部隊に命じる。尾上中佐はすぐさま配下の日高中隊に捜索を命じる。日高大尉の中隊は大北山山中に入り、豊松らが属する足立少尉の小隊が米兵を発見する。しかし、一人はすでに死亡、2名も意識不明の重症となっており、処分を処刑と判断した日高大尉は新兵教育の一環として2名の米兵銃剣刺殺を命じる。足立少尉、木村軍曹を経由して立石上等兵が最も頼りない豊松、滝田二等兵の2名を選抜。二人は銃剣刺殺を命じられるが、なかなか刺せない。しかし、殴られたあげく再度の銃剣刺殺を敢行させられる。

 日本は敗戦となり、豊松は無事床屋に戻る。闇市の仲介役などをしながら生計を立てているところに、MPを連れた県警察のジープがやってくる。米兵捕虜殺害の罪で戦犯容疑者となったのだ。BC級が集められた横浜軍事裁判所では矢野中将が自分の罪だと認めるものの、それ以下の将校、下士官らは罪や命令を否定する始末。日高中隊長は終戦ととともに自決していた。豊松は言葉の通じない軍事裁判と、日本軍の絶対命令指揮系統を理解できない連合軍裁判員に悩まされ続ける。結局、矢野中将と尾上中佐は絞首刑、足立少尉は終身刑、木村軍曹と立石上等兵にはそれぞれ30年と15年の重労働が課せられる。豊松と滝田はさらに軽い罪かと思ったが、なんと絞首刑を命じられる。
 死刑囚のみ集められた建物に豊松は収監され、ボルネオで犯した罪で収監されている大西と同居となる。自殺者が出るため2人制となっているのだ。大西は聖書を読み心を落ち着かせている。木曜日の朝、収容所中に読経の声が響き始める。木曜日の朝になると処刑者のチェンジブロックが行われるのだ。その朝は大西が連れていかれてしまう。収容者らに別れの挨拶をし、収容者の合唱となった讃美歌を歌いながら大西は出ていく。
 ある日、中庭の散歩で豊松は矢野中将に声をかけられる。しかし、自分の罪を命令した張本人であり無視する。矢野中将は看守を使って何度も訪問を頼んでくる。根負けした豊松は矢野中将の訪問を受け入れる。意外にも矢野中将は豊松に詫びを入れ、自分一人を処刑し、関係の部下の減刑嘆願書を出したと告白する。心を打たれた豊松はその後たびたび矢野の部屋を訪れるようになり、矢野に英文での嘆願書の書き方を教わる。そこで教誨師とも出会う。そして、矢野中将は絞首刑を執行される。豊松は新たな同房者の迷惑にも関わらず、矢野の弔いを続けるのだった。
 妻房江のもとに戦犯委員会から絞首刑となった旨の書類が届く。初めて知った房江は単身巣鴨に面会にやってきて、なぜ真実を言ってくれないのかと責めるのだった。

 矢野中将の絞首刑ののち、処刑が途絶える。1年間の中断により戦犯の間にも安堵感が生まれ始め、さらに講和条約締結の話も浮上してくる。房江も床屋の理髪台や椅子の新しいカタログを持ってきて、豊松はそれを眺めるのが楽しみだった。
 ある木曜日。豊松は看守にチェンジブロックを命じられる。同房者は減刑だと大喜びし、他の収容者たちも豊松の減刑を大喜びする。しかし、所長室で聞かされたのは絞首刑執行だった。あまりのショックと絶望で豊松は動けなかった。教誨師との晩さん会で葡萄酒を飲み、ようやく遺書を書き始める。そして、絶望の気持ちで処刑台の13階段を上っていくのだった。
「せめて生まれ代わることが出来るのなら。いいえ、お父さんは生れ代わっても、もう人間になんかなりたくありません。人間なんて厭だ。牛か馬の方がいい。いや牛や馬ならまた人間にひどい目にあわされる。どうしても生まれ代わらなければならないのなら、いっそ深い海の底の貝にでも。そうだ、貝がいい。貝だったら、深い海の底の岩にへばりついているから、何の心配もありません。兵隊にとられることもない。戦争もない。房江や、健一のことを心配することもない。どうしても生まれ代わらなければならないのなら、私は貝になりたい」





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最終更新日  2008年11月26日 09時34分23秒
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