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2009年01月11日
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カテゴリ: 戦争映画
2008 スペイン・フランス・アメリカ 監督:スティーブン・ソダーバーグ
出演者:ベニチオ・デル・トロ、デミアン・ビチル、ロドリゴ・サントロほか
132分 カラー CHE part1:The Argentine

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 キューバ革命50周年を控えて制作された、キューバ革命の雄エルネスト・チェ・ゲバラの伝記的ドラマ。キューバ革命実行時のパート1、ボリビア革命での死を描いたパート2の2部に別れており、本作はパート1になる。こちらはゲバラの「革命戦争回顧録」を基盤に、パート2は「ゲバラ日記」を基盤にしている。
 チェ・ゲバラはアルゼンチンの裕福な家に生まれ、医学生時代に中南米をバイク旅行したことで貧民・農民救済の必要性を感じる。医者になった後、キューバから亡命していたフィデル・カストロに共鳴し、1956年にキューバ革命に参加し、1959年にバティスタ政権を倒した。キューバ革命後はキューバの主要閣僚として政権を担うが、1965年に再び革命闘争に戻り、1967年にボリビアで死を遂げた。本作はそのうち1956年のキューバ上陸前後から1959 年1月のサンタクララ占領(バティスタ亡命)までを描いている。

登場するエピソード類は、彼の著作「革命闘争回顧録」そのまんまと言っても良いぐらいで、監督によれば脚色によるエピソードはないのだそうだ。著作どおり時系列のキューバ武力闘争を描いていく中で、モノクロ映像による1964年ハバナでのリサ・ハワードのインタビューと、ニューヨークでの国連総会演説の再現を随所に盛り込む形で進んでいく。そのモノクロ映像がドキュメンタリーということを思い出させてくれるが、ストーリー全般はドラマとして高い完成度で出来上がっている。二部作と言う長尺ながらもダレることなく楽しめる。
 全体の雰囲気としては1969年のアメリカ映画「 革命戦士ゲバラ! 」に似ている感じ。同じ著作を利用しているので似て当たり前なのだが、特にゲバラやカストロの人物像の描き方と言う点に共通性を感じた。やはりアメリカ的視点が強いのかなとも思わせる。異なるのはエピソードの選び方で、本作では82名でのキューバ上陸や政府軍による直後の壊滅的打撃が大胆に省かれているかわりに、シエラ・マエストラ山中での戦闘、エル・オンブリトでの拠点構築、都市ゲリラとの共同、サンタクララ市街戦を詳細に描いている。中でも、初期の外国人としての気後れを描いたホルヘ・ソトゥス大尉との合流、部下が苛めと勘違いしたカミロの褒め言葉、政府軍列車の転覆作戦などはエピソードとして新鮮であった。
 また、ゼネスト戦略の各都市ゲリラなどとの協定やシエラマエストロ宣言など、革命過程が描かれているのも良かった。カストロやゲバラの革命思想や方法が、必ずしもキューバ全民に支持されていたわけではないという泥臭い一面をうかがうことができる。こうした個別事象を詳細に描きこんだため、結構時系列が飛んでしまっていて、歴史的背景に知識がない人には理解するのがやや厳しいかもしれないが、ドラマ仕立てとしてはメリハリがついていて良かった。

 真正なる革命家として神聖視されるゲバラだが、本作のゲバラは美化されるわけでもなく淡々と描かれている。熱烈なマルクス・レーニン主義者だった彼の高尚な理想とそれを裏打ちするための倫理、そして実行力は偉大なものではあるが、そのあたりの描写はあまりない。確かに著作に忠実とはいえ、何故命を賭して革命に参じたのか、何を目的にしていたのか、彼を語る上で重要な「革命は愛によって導かれる」という言葉も、本作からその裏にあるニュアンスを理解するのはやや難しいかもしれない。そこは自分で勉強しておけということか。革命と言う、ややもすると甘美な蜜の裏にある、理想と現実の乖離に苦渋する姿はパート2に引き継がれていく。

 監督のソダーバーグはスペイン語があまりわからないまま、スペイン語の映画を撮影したそうで、主役のゲバラ役ベニチオ・デル・トロをはじめ各役者は中南米出身者でスペイン語を話している。アルゼンチン出身のゲバラがキューバ、メキシコ、プエルトリコなど各国の人間と話している姿は、スペイン征服の証なのだなと感じる。
 主役のベニチオ・デル・トロだが、ゲバラに心酔しきったような迫真の演技はなかなかのもの。特に喘息の演技は上手だ。だが、雰囲気全般でいえば1969 年版のオマー・シャリフの方が似ている感じ。知人が言っていたが、ベニチオは何だか古谷一行みたいだそうだ。言われてみれば・・・・。
 やや気になったのは、登場人物の解説が少ないこと。ゲバラやフィデル・カストロはともかく、弟のラウル、ゲバラと並ぶ司令官のカミロ・シエンフゴエスをはじめ、ラミロ・バルデス、フアン・アルメイダ、セリア・サンチェス・アレイダ・マルチなど反乱軍の主要人物が色々と登場するのだがちょっとわかりにくい。やはり事前の知識はかなり必要だと感じる。
 戦闘シーンは思ったよりも秀逸。山中やサンタクララ市街戦は銃弾による負傷や射撃、着弾映像がリアルで、戦争映画として及第点レベル。ドラマのストーリー性を阻害するほどでなく、リアリティを維持できており、バランスとしても良い。

 とにかく、キューバ革命やゲバラについての知識は最低限必要かな。知った上で見ると全然楽しみ方が変わってくるだろう。知らずに見るとただただ眠いだけかも。また、監督にはゲバラの革命思想を形成した中南米旅行を描いた「モーターサイクル・ダイアリーズ(2003米英)」とあわせて、3部作とする意向もあるようだから、それらも視聴するとより一層良いかもしれない。

興奮度★★★★
沈痛度★★
爽快度★★★
感涙度★



革命戦争回顧録

新訳ゲバラ日記

(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい)

 1955年7月、メキシコでキューバ革命指導者フィデル・カストロと会ったエルネスト・チェ・ゲバラは、キューバのバティスタ政権打倒のために共鳴し、1956年11月82名の兵で漁船に乗ってキューバに上陸する。
 政府軍によって大打撃を受けたカストロらは 1957年1月17日にラ・プラタ兵営の攻撃に成功し、武器や食料を得る。3月には現地部隊のホルヘ・ソトゥス大尉と合流したが、アルゼンチン出身のゲバラはまだ気後れするところがあり、カストロに叱責される。
 5月28日、エル・ウベロの敵駐屯地攻撃でも成功をおさめるが、ゲバラは負傷した兵の輸送を買って出、カストロと別行動をとる。7月になり、カストロは都市部でのゼネスト闘争を主とする反政府グループであるウラル・チバスやフェリペ・パソスと協定を結び、シエラ・マエストロ宣言を出す。そして、軍事的能力を評価されたゲバラは軍医をやめて第2部隊の司令官に任命される。
 司令官としてのゲバラは規律と指揮系統を重視し、マナーに劣る脱落者を厳しく処刑する。カストロと別れ、カミロとともに戦線を移動しながら兵を集めていく。
 1957年の終わり頃にはエル・オンブリトで拠点を形成し、学校、病院、発電機までそろえていた。そこが政府軍に急襲されたのち、ゲバラは新兵教育係として任命される。彼にしかできない重要な任務だった。
 1958年になり、他の武装勢力と協定を結ぶ。革命後を心配するゲバラだったが、なんとか彼らをまとめあげ、カストロが総司令官となる。いよいよ政府軍との最終対決が迫り、カミラとともにサンタクララの攻略に向かう。政府軍が陣を構えるサンタクララは手ごわいが、敵の増援部隊を乗せた列車を転覆させるなどして、次第に敵司令部に迫る。バティスタ政府軍は部下に徹底抗戦を指示しながら高級幹部は逃げる始末。1959年1月1日、ついにバティスタがドミニカに亡命し、革命が成功するのだった。
 いよいよハバナへの進軍という最中、敵兵の車を盗んだ兵を叱責するゲバラの姿があった。





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最終更新日  2009年01月12日 01時35分21秒
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