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2011年06月20日
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カテゴリ: 戦争映画
1942 イギリス 監督:ノエル・カワード、デヴィッド・リーン
出演者:ノエル・カワード、ジョン・ミルズ、バーナード・マイルズ、ケイ・ウォルシュほか
138分 モノクロ In Which We Serve


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 第二次世界大戦時に実際に起きた海戦をもとに描かれた、ドキュメンタリータッチのヒューマンドラマ。主役は実在した英海軍K型駆逐艦ケリー(HMS F01 Kelly)で、製作監督のノエル・カワードはケリーの艦長マウントバッテン大佐の友人だった関係から本作の制作に至ったとされている。製作年は1942年で、ドイツ海軍との激戦期にさしかかった時期でもあるため、多くの戦意高揚的海軍映画が製作されている。本作もそれに漏れず、英国情報省(MOI)の支援を受け、多分に戦意高揚的な要素が見受けられる。ただ、本作は駆逐艦ケリーが撃沈されるなどイギリス海軍にとっては悲惨な敗北であること、漂流する水兵がドイツ軍の機銃掃射にさらされる恐怖など、果たして戦意高揚につながったかどうかは疑問だが。「戦場にかける橋」のデヴィッド・リーン監督のデビュー作でもある。

 本作に描かれる海戦は1941年5月23日の地中海クレタ島撤退作戦で、複数の英国艦船がクレタ島撤退作戦に従事中、ドイツ軍機の空爆によって撃沈された。本作主役のK型駆逐艦ケリーもこの海戦でドイツ軍爆撃機の爆撃によって損傷し撃沈しており、映画中では駆逐艦トリン(Torrin)として登場する。また実在の駆逐艦ケリーはルイス・マウントバッテン艦長(大佐)のもと、Uボートとの海戦やナムソス撤退作戦にも従事し、本作でもそのシーンが登場している。
 このマウントバッテン艦長は、本作中ではキンロス大佐として登場するが、この撃沈後はディエップ港奇襲作戦や対日ビルマ戦の最高司令官として赴任し戦後処理にもあたった人物である。もともとイギリス皇族家系のため、最後は暗殺されるが、日本人嫌いとしても知られている。

 ストーリーは、艦名や人物名など多少の脚色はなされているが、多くは実話に基づいていると思われ、特に関係者の家族関係を中核に据えたヒューマンドラマ仕立てとなっている。時系列による戦闘シーンを芯にしながらも、かなりの部分を各兵の家族との回想シーンに時間を割いており、若干ストーリーを追いかけるのが大変。従って戦記ものというよりはヒューマンドラマの性格が強く、勇猛さや英雄的な雰囲気は余りない。そのため前述したように戦意高揚的に効果があったかどうかは疑問で、海戦戦記として期待するとかなりはずれ感が強いだろう。むしろマウントバッテンを英雄扱いしようという政治的な匂いもする。

 そんな中で唯一良かったのは、数少ない海戦シーンにおける音響で、対艦及び対空機関砲のポンポンという音がなかなかリアル。このあたりはさすが戦時中だと思わせる。駆逐艦ケリーのシーンは実物大模型と記録ニュース映像が用いられているようだ。実物大模型はロンドン郊外で製作されたそうで、駆逐艦の細部にわたってリアル感がある。ただ、せっかくの実物模型を海戦シーンで生かしきっておらず、ちょっともったいない。記録映像では1940年当時のケリーや同型艦のカシミール(F12)、D型駆逐艦ディフェンダー(HMS H07)などの映像が登場する。ちなみにカシミールも5月23日にドイツ軍機空爆によって撃沈されている。
 海戦シーンは基本的にミニチュア模型が用いられており、火薬使用ともにしょぼく、見るべきものはない。ドイツ軍機は下から撮影した記録映像のようで、本物?のドイツ軍爆撃機Ju88らしきものが度々登場する。また、ダンケルク撤退戦で乗船してくる陸軍兵は本物で、コールドストリームガーズ第5大隊兵によって演じられているそうだ。

 役者陣はそれなりの俳優を起用しているようだが、監督兼主役のノエル・カワードはやや好印象に努めすぎたようで、ちょっと印象薄く、性格付けが今一歩。その分、ジョン・ミルズ演じる水兵の個性が濃すぎて全体のバランスが悪くなっている。というか、ジョン・ミルズ若い水兵演じるには歳とり過ぎ(当時34歳位)。

 全般に何を焦点を絞ったのかわからないまま終了。海戦ものとしても、ヒーローものとしても、ヒューマンドラマものとしても中途半端。ちょっと色々な思惑に振り回されたのではないかと推測するが、海軍物を多産量産する時期としてはこんなものなのだろうか。ちなみに、本作は1943年のアカデミー賞候補となっている。

興奮度★
沈痛度★★★
爽快度★★
感涙度★



(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい)

 英国の造船所で駆逐艦が製造され進水していく。1941年5月、英国駆逐艦トリンはキンロス艦長(大佐)のもとクレタ島付近でドイツ軍と戦闘状態にあった。ドイツ軍の艦船を砲撃で撃退するも、ドイツ軍の爆撃機ユンカース88によって直撃弾を受け、トリンは撃沈する。キンロス艦長以下数名の船員はなんとか救命筏にとりつくことができるが、ドイツ軍の機銃掃射などの脅威にさらされ、一人ひとりが英国での家族のことを回想するのだった。
 艦長キンロスは妻アリックスとの間に幼い息子ボビーと娘ラビーがいる。忙しい任務の合間に家族と会い、妻アリックスは士官の妻として不安を見せまいと努める。兵曹長のウォルター・ハーディは子供はおらず妻キャシーと母メロンと住んでいる。妻と母の折り合いは決してうまくはいっていないが、夫婦の愛は固い。
 駆逐艦トリンは1939年に造船され、1940年にキンロスが艦長として赴任してきた。トリンにはキンロスと古くから馴染みのレイノルド、ショーティ・ブレイク、アダムズ、コーム、パーキンソンらベテランもいた。キンロスは部下に厳しい訓練を課しながらも、楽しく効率的を合言葉として叱咤激励する。士官のパーティではキンロスの妻アリックスがスピーチを述べるなど統率役をまかされる。
 (漂流する海上ではドイツ軍機の機銃掃射があり、ショーティ・ブレイクが腕を撃たれて負傷する)
 水兵のショーティ・ブレイクは休暇中の電車内で女性のフリーダ・ルイスと出会い、恋に落ちる。彼女はハーディ兵曹長の姪にあたり結婚に至る。新婚旅行をかねた移動中には艦長夫妻に紹介し祝福される。
 トリンはドイツの電撃戦頃ドイツ海軍と海戦を繰り返しており、ある時敵艦を撃破しながらも魚雷によって被害をうけてしまう。必死の応戦によって艦はなんとか停泊地に戻ることができたが、海戦の最中に一人の若い兵マックリッジは持ち場を逃げ出してしまっていた。複数の戦死者を出し、帰港した際にキンロス艦長は全員の兵の活躍をねぎらいながらも、ただ一人持ち場を離れた兵のことを残念だと言う。マックリッジはこのことをひどく恥じ、改心するのだった。
 1940年5月、フランス沿岸のダンケルクで英国陸軍兵の撤退作戦が開始される。トリンもその輸送部隊として参加。多くの負傷兵を献身的な介護をしながら連れ帰る。
 いよいよドイツ軍はパリに侵入。イギリス国内でもドイツ軍機の飛来が見られ、上空ではハリケーンとbf109が空戦を繰り広げている。さらにロンドン市内の爆撃もひどくなり、子を身ごもったフリーダが身を寄せるキャスの家にも空襲警報がなる。だが母親ともどもシェルターに逃げることを良しとしない彼女たちに直撃弾が襲う。フリーダは無事で男の子を出産するも、キャスと母親は死亡。このことを手紙で知らされたショーティは意を決してハーディに知らせに行く。この知らせを聞き毅然と対処するハーディはショーティの子供の誕生を喜ぶ。
 ついにトリンが海面から姿を消す。さらに海上で漂流する彼らに再びドイツ軍機が機銃掃射を加え、数名が命を落とす。そこに味方の駆逐艦フロートリアが救助にやってきて残った9名が救助される。船にはすでに90名近くが救助されており、キンロス艦長は瀕死の兵から最後の言葉を聞いてまわるのだった。
 彼らはアレクサンドリアに上陸する。撃沈の報を受けて意気消沈していたショーティの妻フリーダのもとにショーティから無事との報が届き喜ぶ。同じくキンロス艦長の妻アリックスのもとにも報が届く。
 いよいよキンロス艦長がアレクサンドリアから離れることに。艦はなくなったがトリンの精神は不滅だとし、一人ひとりと握手を交わして去っていく。





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最終更新日  2011年06月20日 22時29分08秒
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