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2012年01月23日
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カテゴリ: 戦争映画
2012 韓国(東映配給) 監督:カン・ジェギュ
出演者:オダギリジョー、チャン・ドンゴン、ファン・ビンビン、キム・イングォン、山本太郎ほか
140分 カラー 

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 日中戦争から第二次世界大戦まで、朝鮮、ソ連、ドイツを舞台に、マラソンを共通に出会い、時代に翻弄され、憎しみあい、友情を芽生えさせた日韓の青年を描いたヒューマンドラマ。日本、韓国、中国の俳優を共演させ、「実話から生まれた衝撃と感動の物語」というキャッチフレーズで上映された。激しい戦闘シーンを背景に、過酷な収容所生活、脱走などを経て、憎しみが融和され友情を芽生えさせる、激動のストーリーが描かれる。
 監督のカン・ジェギュは戦争映画「ブラザーフッド」を手がけ、戦争映画や感動的なストーリーを描くのには定評がある。

 さて、事前予告での期待は高まる一方だったが、視聴したところ正直がっかりの作品であった。本作品の良い点一つと悪い点三つをあげてみる。
 まず、良い点だが、さすが韓国映画だけあって、戦闘シーンの激しさはさすが。火薬使用量はもとより、銃火器類、戦車にいたるまできちんと形作って撮影しているのが良い。多くの箇所でCGも使用されているが、上出来の部類。また、なかなか日本では作れないようなエグイシーンも多く、このあたりは韓国映画の真骨頂か。ただ、惜しむらくはノモンハン戦、ノルマンディー上陸戦での距離感で、敵戦車、敵艦船が異様に近く描かれてしまっている点。せっかくのレプリカやCGを大きく見せたいのだろうが、戦場の空間を認識するには狭すぎた。

 悪い点の一つ目。日本人の描き方がひどすぎること。確かに日韓併合時には厳しくあたる日本人もいたことは事実だろうが、あまりに強調しすぎて、全ての日本人が悪人であったかのような錯覚を抱く。レビューなどでは日韓公正に描かれたという記述も見られるが、全くそんなことはない。事実、映画館で見終わった若い女性が「日本人が心底嫌いになった」と言っていたが、歴史を知らない人にとっては、最良の悪玉チョッパリの刷り込み映画となったであろう。まあ、この点は日本人ならではの減点部分ではあるが、不快感を覚えたことは確かだ。

 二つ目は、戦史の検証が著しくいい加減なこと。近年の戦争映画は史実に忠実に作り、慎重に歴史検証を行うのが主流だが、本作は実話をベースにと言いながら、実にいい加減で、加えて、戦闘シーンでの不可思議さも多い。
 ノモンハン戦でのソ連軍戦車への肉弾突撃強制は何に基づいたものなのか。また、主人公長谷川辰雄(オダギリ)は若干20歳そこそこなのに、いきなり連隊長級大佐で登場。入隊数年で大佐になるとは唖然とした。
 ソ連ベルミの収容所シーンも、軍の階級剥奪で韓国人がリーダー就任しているが、抑留収容所の史実と比較して違和感があるが、こうした史実はあったのかどうか。
 ジュコーフスキーでの独ソ戦は、「スターリングラード(2000 米・独・英・愛)」「捕虜大隊 シュトラフバット(2004 露)」でもお馴染みの退却兵皆殺しシーンだが、それはいいとして、生き残った主人公二人がドイツ軍軍服に着替えるシーンで、あの激戦後戦場に誰もいなくなっているのは不自然。あまりにご都合主義の映像はリアリティを著しく阻害した。
 ノルマンディー上陸戦では空爆のあと艦砲射撃までは良いとして、戦場離脱した主人公らが落下傘降下してきた空挺部隊に囲まれるシーンは、時系列や部隊配置から見てありえない。いくらヒューマンドラマ主体でフィクション映画だとはいえ、苦難や奇跡を乗り越えてきた感動を描く以上、多少はリアリティを持たせて欲しかったところだ。このあたりで、この監督は史実などまるで眼中にないのだということに気付いた。言い換えれば捏造したって関係ないということだ。

 最後に、感動映画なのにまるで感動できなかったこと。オダギリジョーもチャン・ドンゴンも、悪役曹長役の山本太郎も(笑)、役者としては良い演技をしていたと思う。演技力だけから言えば、十分に感動できたかもしれないが、いかんせん、心情変化が手抜きだった。オダギリが鬼指揮官に変貌する理由、捕虜の辱めから生への執着に変わる時、チャン・ドンゴンに友情を感じる瞬間など、映画のターニングポイントがいともさらっと流されてしまっており、溜めがないので感動に結びつかないのだ。感情の変化にはそれなりの理由やきっかけがあるのであって、その葛藤や感情を描いてこそ視聴者は理解できるのに。とにかく浅い。浅いのだ。
 狂気で腰抜けの日本人指揮官と、男気あふれた人情派の韓国人という対極ばかりが強調され、ラストシーンに融合昇華がみられるものの、既に時遅し。すっかり冷め切った心には何も響いてこなかった。

 ロケ地はノモンハンなどが韓国、ノルマンディーはラトビア。兵器類ではソ連軍のBT戦車風、I-16戦闘機、ドイツ軍ではIII号戦車風のものが登場する。戦車は実寸大模型、戦闘機はCGであろうが、まあまあ良くできている。

 全体から見て、映像やスケール感はそれなりの評価が出来るが、ストーリーや設定はかなり駄作。しかも感動できないとなると、やはり高い評価はできない作品であった。

興奮度★★★
沈痛度★★★
爽快度★
感涙度★





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最終更新日  2012年01月23日 23時20分02秒
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