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2012年03月08日
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カテゴリ: 戦争映画
2012 アメリカ 監督:スティーブン・スピルバーグ
出演者:ジェレミー・アーヴァイン、エミリー・ワトソン、ニエル・アレストリュプ、トム・ヒドルストンほか
146分 カラー WAR HORSE

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第一次大戦時のヨーロッパを舞台に、一頭のサラブレッドが戦火に巻き込まれ、転々とするという、ヒューマンドラマ。原作はマイケル・モーパーゴの同名児童小説で、設定的には映画では若干の変更がなされているようだ。もとが児童小説というだけあって、いわゆるヒューマンタッチでかつ感動的な物語なわけだが、そこはスピルバーグ的な映像感と人物設定によって大人向けの映画に仕上がっている。

 第一次大戦時のヨーロッパはフランスを中心に泥沼の戦いが繰り広げられ、人も馬も生き延びることが困難だった時代である。特に軍馬は農村地帯からも多く徴用され、消耗品のように酷使されていった。本作は軍馬の視点で第一次大戦を見るという点で、戦争映画にとって非常に斬新であり、忘れられていた戦争の側面を教えてくれる佳作だといえる。
 主人公の少年と主役の軍馬「ジョーイ」はイギリスの農村出身で、1914年の第一次大戦勃発から1918年の終結までが描かれる。戦場は主にフランスで、大戦初期からソンムの戦いまでだが、地理的感覚や戦史的な描写は著しく少なく、戦史を知らなくても見ることができる内容とはいえ、いささか軽んじられている感はある。もう少し戦史的な解説があった方が誤解なく見ることができたのではないか。
 例えば、第一次大戦では多くの兵器が試行錯誤で開発され、使用されている。最初に軍馬としてジョーイに乗った英軍将校らは騎兵隊でサーベル一本で突撃していく。これを迎え撃つのはドイツ軍の機関銃隊で、サーベルと機関銃が対決するのはいささか違和感を感じるはずだ。しかし、第一次大戦初期にはこうした時代錯誤的な戦闘が実際に存在し、その後に登場する塹壕戦における中間地帯での肉弾突撃もしかりだ。逆に近代兵器としてはイギリス軍のMk戦車や毒ガス弾が登場する。とはいえ、これらは試行段階として大きな功績を残せておらず、情報伝達は伝書鳩に頼っていたというのが実態なのだ。
 また、見た人の感想で誤解されているのは、はじめは主人公が年齢制限で志願できなかったはずなのに、いつの間にか塹壕にいたのは年齢を嘘ついたのか、という点で、これは本作の年月経過がわかりづらいために既に4年の歳月がたっていることを感じさせなかったことによる。また、ドイツ少年兵の兄弟が逃げて銃殺されるシーンで、その程度で余りにかわいそうという声もあったが、軍における逃亡罪、戦場離脱罪は兵士の士気を下げる意味で、非常に重罪だということも描いて欲しかった。対するイギリス軍でも主人公の友人が逃げ戻ってきた兵を撃てと言われるシーンもしかりで、日本軍、ソヴィエト赤軍ばかりが強調される非道な行いは、どこの軍でもあったことなのだ。さらに、中間地帯での白旗休戦シーンで、戦闘中にありえないといった声もあった。第二次大戦やベトナム戦争などでは余りなくなったことだが、第一次大戦時にはこうした騎士道精神に乗っ取った休戦はしばしば見られたことで、日露戦争時の203高地でも日露軍が負傷者救助のため一時休戦をしていたことが知られている。
 これらのように、第一次大戦はすでに100年近い年月がたち、現代の感覚や知識では理解できにくいことも多い。そういう面では、多少の解説があった方が良かったのではないかと感じた。
 また、トリビア的なシーンもあった。最初の対戦で敵陣を偵察していたのはターバンを頭に巻いていた義勇インド兵。多くのイギリス属国から義勇兵が集められていたのも第一次大戦の特徴だ。

 映像的にはあまりSFXやCGを多用しない、実写重視の映像が良かった。セット的にも経費がかけられていて、チープ感はない。ただ、残念なのは塹壕や中間地帯のスケール感は感じられなかったこと。このあたりが実写のつらいところか。
 また、本作の売りはなんといいっても馬の演技だろう。なんでも14頭のサラブレッドがジョーイを演じたのだそうで、途中で馬視点の感情移入までしそうになるくらい、馬の眼、動きの表現が素晴らしい。馬の力強さばかりでなく、知性をもうまく引き出している。さらに、馬のアクションシーンも凄い。ただ走るだけでなく、塹壕を飛び越え、鉄条網を引き抜き、最後は一回転というシーンは、まさに馬のスタント賞だろう。撮影では安全のため鉄条網はゴム製だったそうだ。一部はアニマトロニクスが利用されているそうだが、それにしても凄い。

 役者陣は特に目立った人はおらず、特に感情移入するということもなかった。馬が主役ということもあって、ちょうど良かったかもしれない。その中で、フランス人の祖父は、何度見ても西田敏行を思い出した(笑)。雰囲気も似てるのだが、声がよく似てる。

 全般に良く出来た見やすい映画だったが、中身の濃度はやや薄い印象。4年の歳月を一気に流したため、エピソードが多すぎて、中抜きした感じだ。随所に感動シーンも含んではいたのだが、それぞれがちょっと短めのエピソードになっていたので、感涙度も少なめだ。また、原作が児童小説だったためか、内容的にはちょっと出来すぎのストーリーというのも、やや冷めてしまった要因かもしれない。

興奮度★★★
沈痛度★★★
爽快度★★★
感涙度★★★★



(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい)


 アルバートは気性の荒いサラブレッドを「ジョーイ」と名づけ、次第に手なづけていく。しかし、父はライオンズの小作料を払えず、荒れた下の畑を耕し、植えカブの秋の収穫で払うことに。そのため、ジョーイは馴れない馬鍬を引かされることに。母ローズは、アルバートに父の秘密を打ち明ける。テッドは南アフリカでのボーア戦争で義勇騎兵連隊に従軍し、戦友を助け勲章を得ているが、人を殺した罪悪感で頑固になっているのだと。母は父が捨てた連隊旗をアルバートに授ける。
 ライオンズをはじめ村中の人が興味本位で見に来る中、アルバートとジョーイは見事畑を開墾する。しかし、暴風によってカブは全滅。ほどなく。第一次大戦が勃発し、テッドはやむなくジョーイを軍馬としてニコルス大尉に売ってしまう。アルバートは取り乱すが、どうしようもなく、ジョーイに連隊旗をくくりつけて見送る。

 ニコルス大尉は英国陸軍騎兵隊の副隊長格で、ジョーイとともに訓練を重ねる。隊長のジェイミー・スチュワート少佐の黒馬トップソーンとの競争にも勝ち、ジョーイ自身がトップソーンとの友情を得ていく。ニコルス大尉はスチュワート少佐、シャルリエ・ウェイヴァリー中尉とともに、フランス戦線に出動する。
 義勇インド兵の偵察により敵ドイツ軍の大隊規模(600人)を発見し、少佐は約半数だが騎兵による奇襲攻撃をかけることに。奇襲は成功したかに見えたが、実は森の中に機関銃を配置し待ち構えていたドイツ軍の策略にはまり、少佐は捕虜に、ニコルス大尉は戦死する。生き残ったトップソーンとジョーイはドイツ軍の負傷者運搬馬車として使役されることに。

 ドイツ軍の馬を管理するのは、若いドイツ兵ギュンターと弟ミヒャエル。しかし弟ミヒャエルが前線に送られることとなり、兄ギュンターは母に弟のそばで見守るという約束ができなくなることに悩む。いったんは弟に軍馬ジョーイについていた幸運の印である連隊旗を渡すが、ついにトップソーンとジョーイを盗み、行進中のミヒャエルを連れ去る。二人はフランスの水車小屋に隠れるが、ほどなくドイツ軍の追っ手に見つかり、二人は戦場離脱の脱走罪で銃殺される。
 水車小屋に残されたトップソーンとジョーイは、水車小屋の持ち主であるジャム農家の孫娘エミリーによって発見される。エミリーは祖父と暮らしており、体が弱いが、すぐに2頭の馬と仲良くなる。だが、近隣で戦闘するドイツ軍の徴用にあい、農作物を根こそぎ持っていかれる。抵抗しない祖父にエミリーは怒るが、実はエミリーの両親は抵抗したことによってドイツ軍に殺されたらしい。さらに月日がたち、ついにドイツ軍は2頭の馬も連れて行ってしまう。

  1918年、第二次ソンムの戦いでドイツ軍とフランス軍が塹壕戦で対峙している。フランス側には、その後徴兵されたアルバート、友人のアンドリューが地主の息子デヴィッド・ライオンズの指揮下で塹壕の中にいた。アルバートはここでもジョーイを探すが、デヴィッドはこれを馬鹿にする。いよいよ突撃が開始されようとし、アンドリューは怖気て戻ってくる兵を射殺するよう命じられ、アルバートらは突撃を開始する。ドイツ軍の機銃掃射で次々に倒れ、デヴィッドも足を撃たれてしまう。アルバートはデヴィッドを助け、さらに突撃して敵機銃座を破壊し、敵塹壕に入る。アンドリューは逃げてきた味方兵を撃つことができず、自ら突撃に参加し、敵塹壕でアルバートと再会する。しかし、そこにドイツ軍の毒ガスが投げ込まれ、アンドリューは戦死、アルバートも目を負傷する。

 一方ドイツ軍で、ジョーイとトップソーンは砲兵隊の大砲牽引馬として酷使されていた。ジョーイは脚を汚しているトップソーンの代わりになって砲を引く。ドイツ軍砲兵下士官は2頭に眼をかけるが、酷使の余りトップソーンは死んでしまう。そこにイギリス軍戦車が突入してドイツ軍は後退。ジョーイは自由の身となり、戦場を駆け巡る。ドイツ軍の塹壕を飛び越え、中間地帯の鉄条網や杭をぶち抜きながら突進するが、鉄条網にからまって動けなくなる。これを見ていたイギリス軍のコリン伍長は白旗をあげてジョーイの救出に向う。ドイツ兵ペーターもそれに呼応して、協力してカッターでジョーイを助ける。つかの間の友情だったが、ジョーイはコリンに連れられていき、「奇跡の馬」として注目を浴びる。

 コリン伍長は軍医にジョーイの治療を頼むが、破傷風がひどく助からないとされ、フライ軍曹によって射殺されそうになる。そこに目の治療で後送されていたアルバートが奇跡の馬の噂を聞き、慣れ親しんだフクロウの声真似でジョーイを呼ぶ。ジョーイはこれに反応し、軍医等はジョーイの毛の特徴などからアルバートの飼い馬と確信し、治療することに。
 ほどなくして、戦争は終結するが、軍の規則で将校以外の馬は競売にかけられることに。しかし、トムキンス少佐、フライ軍曹、デヴィッドらの協力で募金がなされ、競売で買い戻すことに。しかし、落札したのは法外の100ポンドで落とした老人だった。彼はエミリーの祖父で、奇跡の馬の噂を聞いて取り戻しにきたのだ。当初はアルバートに耳をかさなかった老人だが、持っていた連隊旗がアルバートの父のものと知り、ジョーイをアルバートに譲渡するのだった。
 アルバートはジョーイとともに故郷へ帰る。アルバートは父に連隊旗を返すのだった。





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最終更新日  2012年03月08日 23時09分49秒
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