へっぽこ院長の独り言

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カテゴリ: 徒然に




ひとりの人間には、その運命と人生を決するようなときが、

生涯に一度はあるもので、

それを乗りきった瞬間、彼の未来は全面的に変わる。

                              (遠藤周作)



僕は一生が大事だと思いますよ。

来世があろうが、過去世があろうが、

この一生が大事だと思いますよ

                      (有島武郎)



7月8日
目覚めると曇り空、それほど暑さは感じない。リハビリは休んだ、やはり思うようでないので午前中ベットに身体を横たえていた。お昼過ぎに母親と二人の弟の家族が、たまには外に出て食事をしようとやって来てくれた。身体はきつかったが気分は軽くなった。帰りに息子の洋服を買いに行くというので付き合った。しかし疲れていたので車の中で待つ事にする、少し明けた窓から心地よい風が入ってくる。何となく心地よい風にあたりながらぼんやりと少しずつ明るさを変えていく空を眺めていた。突然道向こうにあるマンションの通路灯が灯った。一斉に点くのでなく微妙にずれて光ったのを見て、何故か可笑しく『やはり蛍光灯だな』と一人呟いた。帰宅してから風呂に入れてもらうさっぱりして気分が良い。
暦が変わる前から車が雨を跳ね上げる音がしている。久しぶりに一人でテレビを見ていたら、車いすテニスで世界ランク1位の青年のドキュメンタリーを放映していた。小学生の時に両脚の自由を失った彼は、病を克服させようと考えた母親の勧めで車いすテニスを始めた。現在は1年のうち3カ月は海外を転戦し、普段は母校の大学の職員として働いているそうだ。彼は『健常者の人と何も変わりません』と言っていた。人並みならない努力したに違いない、試合を見ていても迫力があった。殆ど背もたれのないテニス用の車椅子を縦横無尽に操作し腰砕けすることのないサーブを打っていた。
昔国リハで一緒だった脊損(腰髄損傷)の青年に『歩きたいと思いませんか』と問いかけた時『不自由ないし、慣れたから思いませんね、みんなもそう思っていると思いますよ』と言われたことを思い出した。たしかに歩けるかどうかわからないし、医者はハッキリ歩けないと言う、そして手が自由に使える、服も着替えられ、身体も洗える、尻も拭ける、字を書くこともキーボードを軽快にはじくことも出来る。たしかに許容できる人が多いかもしれない。歩くリハビリにしても上半身が効けば下肢をカバーできる。頸損が車椅子テニスを使用としても、リムをつかめないから早く俊敏には漕げないしサーブは体幹が効かないから椅子から落ちるだろう、国リハのスポーツリハで、車椅子バスケをやっていたが私のように上のレベルの頸損は漫画のリアルのようには行かない。ゴールまでボールが届かないので下にもう一つのゴールが置いてある。運動会の玉入れの網のようなもで高さも低い。それでもボールが重いし脊損の人達とまじってやるとなるとスピードの差は否めない。だからテニスの彼のように健常者と同じとは言えない、彼も人間として変わりはないと言っているのだと思うが、微妙に生きている上で差を感じてしまう。それでも車椅子に乗れるだけ幸せなのだが、どうしてこうも羨ましく思えてしまうのは浅ましいことだ。修行が足りないのかもしれない。




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最終更新日  2007/07/09 01:21:18 AM
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