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映画の中の美術館でフランシス・ベーコンの絵が出てきて、なんとなく妙な感じがしたのですが、町山智浩さんの解説を聞いて、なるほど!映画「ラスト・タンゴ・イン・パリ」の影響のもと、フランシス・ベーコンの絵が出てくるのであった。どういうことかというと、「インセプション」も「ラスト・タンゴ・イン・パリ」も妻に自殺された男の話である。「インセプション」で出てくるパリの橋は「ラスト・タンゴ・イン・パリ」の冒頭に出てくる橋である。「ラスト・タンゴ・イン・パリ」ではフランシス・ベーコンの絵が使われている。
2010年07月29日
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『帰らせてもらいます』と言うと、両側から両腕、両肩をつかまれた。『飛び降りる決心がつくまで、われわれの用意した部屋で過ごしてもらいましょう』 そんなばかな、とは言うものの、目隠しをされ、引っぱってゆかれる。 それから、エレベーターに乗せられた気がする。『着きました。飛び降りる決心がつきましたら部屋の電話で知らせてください。受話器を上げるだけでつながります。では、また』 両腕を離してもらって堅い目隠しを取ったときにはすでに彼らは去っていて、半円形の部屋だった。
2010年07月29日
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2010年07月28日
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2010年07月25日
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とりあえずやってみたらどうかと言われたって、その、「とりあえずやる何か」というのをとりあえず取り出さなくっちゃね。「そんなの何も無いよ」と答えるなら、「『とりあえずやる何か、なんて何も無い』と考えること」をとりあえず選んだことになる。そいつはなんだかつまらない。そんなことなら、無理にでも何かするか、無理にでも「考えることをやめようと試みる」なり「すべての考えは言葉にすぎない、と自覚しているつもりなのも言葉にすぎない、などと試みる」ほうがとりあえずましである……ホントかしら?
2010年07月25日
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屋上のふちに連れてゆかれる。『見てのとおり、雲というか霧というか、さえぎられて見えませんが、霧の向こうには身を受け止めてくれる安全装置があるのです』『網のようなものですか?』『残念ながら直接見たことはないのです』『見たことない、ですって? 安全装置はほんとにあるのでしょうか?』『だいじょうぶですよ。きっとあるはず。そうでなければ飛び降り任務はただの自殺になりますからね。そんなばかげたことはないはず』『いや、遠慮しておきます』 両側からしっかり、両腕両肩をつかまれた。
2010年07月25日
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『トーヤマニンムだなんて、僕にできるものでしょうか?』『誰にでもできる』『そんな簡単なんですか?』『考えようによる』『どんなニンムなんです?』『テオから飛び降りる』『何ですって!』『だいじょうぶ。けがひとつしない』『こんな高いところから飛び降りるのに?』『だいじょうぶでしょう。こちらへ来てください』 屋上のふちまで連れていかれ、見おろす。
2010年07月22日
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2010年07月19日
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『あなたは任務遂行のため遠山記念館からテオの屋上にやってきた』『あなた方から見ればそういうことになるのかもしれませんね』『そうと決まればさっそくですが、あなたの任務ですけど、そうですね、仮にトーヤマニンムとでも名づけておきましょうか』『遠山でなくてたんに任務でいいですよ。だって、区別すべき別の任務があるわけではないのですから』『ベツニンム?』『たとえばこの会話をパソコンに打ちこむとか…』『そういった別の任務があるわけなのかね?』『ありますか?』『それはあなたが決めることじゃない。まあいい、とにかくトーヤマニンムを遂行してもらいます』『僕にできることでしょうか?』『誰にでもできることはできます。簡単ではありますから』
2010年07月19日
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2010年07月18日
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『何のため、テオの屋上にいるのですか?』『もちろん、任務遂行のためです』『しかしですね、僕は塔のためにやってきたのです。僕の任務はテオではなく塔で行われるのです』『混乱しているようですね。物事を整理してみましょう。まずは出発点から』『わかりました』『あなたは遠山記念館から来ましたね?』『遠山記念館なんて知りませんよ』『あなたがヘリコプターに乗った建物です』『ああ、あそこのことを遠山記念館と呼ぶのですか。だったらたしかに、遠山記念館からヘリコプターに乗ってここに来た、ということになるのでしょうね』『遠山記念館からテオに来た』
2010年07月18日
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「考える人・村上春樹ロングインタビュー:新潮社」での村上さんの発言なのですが、「(夏目漱石の『こころ』は)どうしても好きになれない」(p62)「(ノルウェイの森を)書き終えたとき、リアリズムの話はもう十分だと思いました。もうこういうのは二度と書きたくないと。」(p22)「あそこ(ノルウェイの森)に出てくる登場人物たちがその後にどうなったかとか、そういう興味が不思議に湧いてこない。」(p22)うーむ…なんだか妙な気配がする。村上さんはどうして『こころ』と『ノルウェイの森』に好意的でないのかについて、おもしろいことを思いついた。まあ、同じようなことを言ってる人もいるのだろうけど…『ノルウェイの森』は『こころ』のつづきである。『こころ』というのは読みようによっては、「<K>が自殺した時点で<先生>もまた自殺を考えたのだが、そうすると<先生の奥さん>がひとり残されてしまう。そこに<私>が登場する。<先生>は<先生の奥さん>を<私>に任せることができそうだと思えてから自殺する」『ノルウェイの森』において、<先生>を<キズキ>、<先生の奥さん>を<直子>、<私>を<僕>と置き換えてみよう。<キズキ>は<僕>と出会う前から自殺を考えていたのだが、そうすると<直子>がひとり残されてしまう。そこに<僕>が登場する。<キズキ>は<直子>を<僕>に任せることができそうだと思えてから自殺する。さて、つづきである。<キズキ>が自殺した時点で<直子>もまた自殺を考えたのだが、そうすると<僕>がひとり残されてしまう。そこに<緑>が登場する。<直子>は<僕>を<緑>に任せることができそうだと思えてから自殺する。もしかしたら、『こころ』(のツヅキ)では、<先生>が自殺した時点で<先生の奥さん>もまた自殺を考えたのだが、そうすると<私>がひとり残されてしまう。なので、<先生の奥さん>は<緑>にあたる女の登場するのを待っているのかもしれない…
2010年07月17日
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2010年07月15日
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『言葉が通じるんですね。ここは塔ですか?』『いいえ、塔ではなくテオです』『えっとですね、そのテオというのはですね、僕たちが今しゃべっている言葉に翻訳すると、塔のことですよね?』『もしそのようなら塔と言ってます』『じゃあ、ここはどこですか?』『テオの屋上です』『まあいいです。塔とテオの違いはとりあえず置いといて、どうしてテオの屋上にいるのですか?』『とりあえず置く?』『ああ…えっと…そっと置いといて…』『まあいいです』
2010年07月15日
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2010年07月14日
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彼らはテオの屋上にてヘリコプターの到着を待っている。「ようやく来たようですね」「今度もうまくゆくだろうか?」(屋上の写真をあれこれ探したものの、なかなか気に入ったのは見つけられず、眠くなってきた。 そこで、 屋上の写真の代わりに 屋上の写真です) ヘリコプターは屋上に着地する。僕は降りる。ヘリコプターから『ニンムスイコウ』という音声が大きく鳴らされる。屋上にいた人が近づいてきてしゃべる。『任務遂行だなんて言うほどおおげさなものじゃないんですけどね』 ありがたいことに知ってる言葉だった。
2010年07月14日
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2010年07月11日
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「ニンムスイコウ」と装置は言う。「ニンムスイコウ」と聞き取れる。『任務遂行』と装置が言うのが聞き取れる。 わけわかんないけど、でもまあ、ヘリコプターに乗って任務に向かうなんて、なかなか格好いいじゃないか。 ヘリコプターはビルの群れを横切ってゆく。 僕がこの街へ来た目的というか個人的な任務は塔へ行くことだけど、装置の言う『任務』とはいったい何だろう? 彼らは望遠鏡でヘリコプターを観察している。「お客さんがやってくるみたいですよ」「久しぶりだな」「そうですね。前回の任務は奇妙なものでした」
2010年07月11日
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2010年07月10日
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2010年07月09日
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2010年07月08日
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「〈量子力学を使う骨の折れる授業の後には、もちろん酒を一杯呑みたいよ!〉という文章と「π」との関係は?」「ナンダカタノシソウデスネ」「さっきのは〈How I want a drink, alcoholic of course, after the heavy lectures involving quantum mechanics!〉という文章の訳で、〈How〉の字数は3、〈I〉の字数は1、〈want〉の字数は4…というふうに字数を並べると、3.14159265358979!となるんだ」 操縦士はいくつかのボタンを押す。単語をゆっくり読みあげるような声が出る。ふいにひとつの単語が聞き取れた。「ニンムスイコウ」と装置は言った。「ニンムスイコウ、ッテイッテマスヨ!」 操縦士は発声装置を止めた。どうやらいろんな言語で〈任務遂行〉と吹きこんだものらしい。
2010年07月08日
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2010年07月08日
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2010年07月07日
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「ドコヘムカッテイルノデスカ?」「クイズは好きかね?」「オナカガスイテキマシタ」「量子力学を使う骨の折れる授業の後には、もちろん酒を一杯呑みたいよ!、という文章と「π」との関係は?」 操縦士がいくつかのボタンを押すと、テープから途切れとぎれの声が出る。意味はわからない…わからないはずが、ふいにわかる…いや、けっして言葉全体が天啓のようにわかったわけではない。ひとつだけ聞き取れたのだ。「ニンムスイコウ」とテープは言った。「ニンムスイコウ、ッテイッテマスヨ!」 操縦士はテープを止めた。■ところで、「量子力学を使う骨の折れる授業の後には、もちろん酒を一杯呑みたいよ!」というのは「How I want a drink, alcoholic of course, after the heavy lectures involving quantum mechanics!」の訳です。(自然にひそむ数学:佐藤修一(著):講談社ブルーバックス)より引用
2010年07月07日
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2010年07月05日
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「ドコヘムカッテイルノデショウ?」「任務遂行」 ヘリコプターは軽やかに進む。「ドウイウコトニナッテイルノデショウ?」「パソコン直ってよかったですね。それにしてもあなたがた登場人物さんというのは、パソコンが壊れて書かれなければどういうことになるのでしょうね?」「トウヘイキタイノデスケド」 操縦士がいくつかのボタンを押すと、単語を次つぎ読みあげているような、暗号のような音声がテープから流れ出したが、もちろん何を言ってるのかわからない。
2010年07月05日
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2010年07月04日
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2010年07月02日
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