再出発日記

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2010年10月08日
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カテゴリ: 洋画(09~)
「くそ野郎、俺は生きてる」
小学校五年、自分で決めて自分のお金で初めてみた映画は「ポセイドンアドベンチャー」だったけど、その次の次に自分で決めてみた映画はこれだったかもしれない。

最後老人になったスティーヴ・マックイーンが脱獄不能といわれた島を抜け出る。そのときの青い海とテーマ音楽が頭から離れないでいる。いや、その場面しか覚えていない。(You Tube参照)けれども私はそれ以降、「自由」という言葉を聞くと、非常に高い確率で「パピヨン」という言葉が思い浮かんでいた。あれ以降一度もこの映画を見ていないのにもかかわらず、「パピヨンにおける自由とはなにか」一言も語れないのにもかかわらず、だ。一体あれはなんだったのか。それを確かめたくて、おそらく37年ぶりに、大画面で「パピヨン」を見た。

監督 : フランクリン・J・シャフナー
出演 : スティーヴ・マックイーン 、 ダスティン・ホフマン 、 ロバート・デマン 、 ウッドロー・パーフリー 、 ドン・ゴードン
(完全ネタバレです)
胸に蝶の刺青のあるパピヨンは自称「無実の罪」で南米仏領ギアナの島の刑務所に入れられる。刑務所暮らしには経験のあった彼は最初から脱獄を考えていた。過酷な労働、非人間的な扱い、(ワニを素手で捕まえるのを強制させられたりする。看守たちはそれでワニ皮を手に入れるのである)。脱獄仲間のドガ(ダスティン・ホフマン)は偽札の名人だが、ある日彼を助けるためにパピヨンは看守を殴り逃亡を図りつかまってしまう。この刑務所には独房があって、一回目は二年、二回目は五年の罰が与えられる。そこで大抵の人間は死ぬか、精神をこわされるかされる。もちろん、それを狙っての独房であった。最初のころ差し入れをしていたドガの名前を最後まで割らなかったためパピヨンは食事を半分にさせられる。パピヨンは毎日の運動を怠らず、虫を食って生き延びる。ここの鬼気迫る映像が実はこの映画のハイライトである。これによってパピヨンとドガの友情は確かなものになる。

パピヨンとドガたちは一度は脱獄を成功させる。そのとき、彼らを裏切るのは白人であり、修道所のシスターである。そしてパピヨンを助け、一時の平穏を与えるのは、島に隔離されたハンセン病患者であったり、半裸で生活している現地民であるという対比が面白い。

シスターに密告されて兵士に銃で思いっきり足を殴られる。そのときの叫びから一転して五年後、独房から出てくるマックイーンを映し出す。この転換が素晴らしい。白髪にはなっているが、今度は五年の独房生活だったはずなのに、しっかりとした足取りで意志の強い姿で彼は出てくるのである。それだけでこの五年を彼がどのように過ごしたかがわかるというものだ。

今度は潮流と鮫で脱出不可能といわれる島に島送りされる。そこには、ドガが暮らしていた。逃げなければ、自給自足の生活になっていて、悪くは無い。けれども、食料を盗みに来る影におびえるドガの姿を見て、隔離される生活の中で、ここには精神の自由はないとパピヨンは悟るのである。脱出は一か八かの確立である。最初一緒に島を出ると言っていたドガは土壇場になって島に残ることを選択する。パピヨンがうまく潮流に乗ったのを確認するドガの寂しげな表情がたまらない。最後の場面は青い海で終わるのだとばっかり思っていたら、現在はもう閉めているギアナの刑務所(おそらく本物)の草と泥で朽ちた映像で終わっていた。

自由とはなにか。
あえて言葉で言えば、自由とは勝ち取らなければならないものであり、その多くは「権力」から勝ち取るべきものである。ということになるのかもしれない。まさか、少年の私が、そんなことを自覚していたとは到底思えない。しかし、心の奥底に「自由」の核心の形が映像として組み込まれたように思える。名画というのはそれだけの力を持つということなのかもしれない。





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最終更新日  2010年10月08日 23時00分49秒
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