まいかのあーだこーだ

まいかのあーだこーだ

2019.08.09
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カテゴリ: 漫画・アニメ
NHKで放送された「この世界の片隅に」をじっくりと鑑賞。

つくづくフォークルの「悲しくてやりきれない」ってのは、
不思議な歌だなあ、と思いました。



よく知られているように、この曲は、
期せずして発禁処分になった「イムジン河」の代用品として、
パシフィック音楽出版に強制され、
軟禁状態におかれた加藤和彦が無理やり作らされたものです。

「イムジン河」の音符を逆にたどっていたら、
ひょろっと思いついたメロディだともいわれています。

しかも、そこに、
これまたフォークルとは、縁もゆかりもない、
ジャンルも世代も違う、サトウハチローという御大が、
なんの打ち合わせもないところで歌詞をつけてしまった。



この曲は、
だれの表現の意思ともいえぬところに出来てしまった、
いわば偶然の産物であり、ある意味では、さかさまの歌です。

パシフィック出版でもなければ、
加藤和彦でもなければ、
サトウハチローでもなければ、
イムジン河の作者でもない。
日本人でもなければ、朝鮮人でもない。

だれの意思でもない、
何らの「表現の意思」とも無縁なところ から、
ぽわん、と生まれてきてしまった歌。

そんな歌が、これほどの普遍性をもってしまっている。

山田太一や、
周防正之や、
井筒和幸や、
片渕須直といった人たちに、
繰り返し、繰り返し使用され、

いまや時代と空間を超えて、
世界中で聴かれています。



それをコトリンゴが、
ぽわん、と歌っている。

映画のなかでは、
ボーっと生きてきた一人の無力な女性が、
気づいたら、知らない土地に嫁いでいて、
まったく無力なままに、
選べなかった家族や、
選べなかった時代や、
選べなかった国家の運命に翻弄されていきます。

そんな悲しくてやりきれない人生に、
この誰の意思でもなく生まれた、さかさまの歌 が、
ぽわんと乗っかって、ぴったり寄り添っていく。

そして、
特定の誰かのものではない、
普遍的な悲しみを歌っています。







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最終更新日  2024.06.17 17:39:35


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