まいかのあーだこーだ

まいかのあーだこーだ

2023.09.04
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誘蛾灯英語テストは三十点 花火背に夢中で描いた父と母 夏の果明日は来るなと神頼み すぐ後ろママの姿は入道雲 箱庭の四人家族の無表情 日盛りのマック課題図書のあらすじ 一心に日焼けの鱗はぐ子かな
プレバト俳句。
お題は「夏休みの宿題」。




勝俣州和。
誘蛾灯 ゆうがとう 英語テストは三十点


学校からの帰路、
(作者いわく、夏休み中の「塾の帰路」だそうです)
暗い夜の誘蛾灯を見たときの不安な気持ち。

この季語は動きようがなく、
その意味でも模範的な出来映え。



森口瑤子。
箱庭の四人家族の無表情


季語の「箱庭」は、
基本的には"人事"を詠むためのものでしょうが、
箱の中の"自然"を詠んでこそ夏の季語なのだろうし、
そこで《涼しさ》や《楽しさ》を味わうのが本意だと思います。

しかし、この句の場合は、
ほとんど心理療法的な発想で「箱庭」を描いており、
涼しげでもなければ楽しげでもなく、
なかば無季の句のようでもあるし、川柳のようでもある。

独創的で面白いとは思うけれど、
およそ"俳句らしさ"からは遠い作風だし、
かなり特殊なので、
一般的な俳句観から逸脱したところで評価するしかない。

なお、詠み手によっては、
助詞を「四人家族 無表情」とするでしょうが、
やはり写生に徹するためには、
わたしも「は」でなく「の」にするのが正解だなと思う。



キスマイ横尾。
日盛りのマック 課題図書のあらすじ


いつもの「AのB/CのD」の対句です。

"マックで宿題"ってのは、
若い世代の句材としては凡庸じゃないかしら?
梅沢は「オシャレだ」と言ってましたけどね!(笑)

とはいえ、
温暖化した都市の晩夏と、
冷房の効いたファストフード店を対比させ、
そこで要領よく宿題を片付ける子供を、
シュールにアイロニカルに描いているともいえる。

実際、
マックもエアコンも温暖化もスマホもなかった時代から見れば、
これはほとんどSFのような世界でしょうから、
その意味では、すごく現代的な人事詠かもしれません。



弓木奈於。
花火背に夢中で描いた父と母
花火観る父母 ちちはは を描く花火背に
(添削後)

原句は、
「花火を背にしている父母を」描いたのか、
「花火を背にしている自分が」描いたのか、
位置関係が分かりにくい。

しかし、
位置関係を説明するためとはいえ、
季語の「花火」を2度使う添削も煩雑です。

破調の17音なら、
花火に照らさるる父母 ふぼ の顔描けり

と出来ます。



鬼越トマホーク坂井。
夏の果 明日は来るなと神頼み
夏果の宿題 明日よ来るな嗚呼
(添削後)

助詞の「は」ってのは厄介で、
「象は長い」と書けば「象」が主語になりますが、
「象は鼻が長い」と書けば「鼻」が主語になるのよね。

それと同じく、
この句は「明日」が主語のようにも見えるし、
(たとえば「明日は《借金取りが》来るな」のように)
別の主語が省略されているようにも読み迷わせる。

これを避けるには、
「明日 来るな」or「明日 来るな」と書くしかない。



それはともかく、
こういうことを神様に願うってのは、
のび太=ドラえもん的な世界観を匂わせるし、

コワモテの外見に似合わず純粋 (…というか幼稚) なのかな。

なお、
夏休みの終わりは暦の上では秋なので、
そこで「夏の果て」を用いるのも間違いだし、
のみならず、この季語の本意は、
過ぎ行く夏を惜しむことにあるのだから、

添削句を字面だけ見れば、
「ああ夏が終わってしまう!
 永遠に明日が来ないでほしい!
 私はこの宿題をいつまでもやっていたいのだ!」
との意味に読めてしまいます。



尾上右近。
すぐ後ろ ママの姿は入道雲
入道雲 宿題迫るママみたい
(添削後)

季語を比喩にしてしまう初心者の過ちですね。

こういう俳句に対して、
「雲のような母」ではなく、
「母のような雲」に逆転すれば解決するってのも、
もはや機械的な添削手法なのだろうなぁ…(笑)



梅沢富美男。
一心に日焼けの鱗はぐ子かな
宿題は遅々と日焼けの鱗剥ぐ
(添削後)

最近の梅沢のボツ句に共通するのは、
情報量が少なくて、内容が薄いってこと。

たとえば、
剪定や鋏の音の霏々として (=剪定してるだけ)
水筒の囀り満たし一息に (=水筒の水を飲んでるだけ)
せせらぎの1/F夕蛍 (=川に蛍が飛んでるだけ)
…ことごとく内容が薄いのよね(笑)。

ごくありきたりな内容を、
俳句っぽい調べと言い回しにしたにすぎない。

まあ、上の3作にくらべれば、
今作には、ゆったりした味わいもあって、
だいぶマシな気はするし、

一概に情報量が多けりゃいいってもんでもないけど、

所詮は、この句も、
「子供が日焼けの皮を剥がしてる」だけなので、
中身が薄いといわれても仕方がないですね。





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最終更新日  2023.09.04 15:51:29


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