まいかのあーだこーだ

まいかのあーだこーだ

2024.09.23
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清秋や海にマンタといるしじま 月白や温泉にいる吾と腫瘍 山の宿昭和のままの虫の闇 ひとすじの秋水ひとり旅とどめ 退職金一括金秋の四季島 秋麗作家と話す陶器市
9月19日のプレバト俳句。
先週にひきつづき金秋戦予選。

Cブロックのお題は「一人旅」です。




犬山紙子。
月白や 温泉にいる吾と腫瘍
月白や 旅の湯に吾 と吾 が腫瘍
(添削後)

この季語の選択はすごい…。
月の出の前に明るく白んだ東の空。

一般的には、
名月を待ちわびる期待の季語ですが、

この句の場合は、
快癒への希望と不安がないまぜの心情で、
乳房やお湯の白の暗示とも思えます。
場面全体が乳白色になるように見える。

中七の「いる」は、
たしかに意味のない動詞だけど、
「いる」の代わりに「入 る」を使って、
月白や 温泉に入る吾と腫瘍

と書けば、いくぶん映像的かもしれません。

なお、
「旅の湯」と書けば兼題に近づきますが、
「温泉」と書けば湯治のニュアンスが出る。


9月9日に手術だったようです。
元気で何よりです。



キスマイ千賀。
清秋や 海にマンタといるしじま


これが1位でしたが…

原句は、
前段が「海上」で、
後段が「海中」の取り合わせに見える。
さすがに海中が清秋ってことはないでしょ。

たとえば、
清秋の海や マンタのいるしじま

と書けば、
全体が「海上」の場面になりますが、

全体を「海中」の場面にしたいのなら、
清秋の海にマンタといるしじま

と書くのが正解じゃないかしら?

ちなみに、
「~と~にいる」という構造は、
犬山紙子の句と同じですね。
作者がそこに「いる」のは当たり前だけど、
「~といる」のは特殊なのかもしれません。


追記:
俳句では通常、
一人称の「私」は省略できる主語だし、
be動詞の「いる」「ある」は省略できる述語ですが、

かりに中七・下五で、
「私はしじまの海にいる」とか、
「しじまの海にいる私」とか書くとすれば、
それは主たる描写対象が私(作者自身)であり、
その私が「いる」こと以外に何もしてない場合です。

…ただし、その場合でも、
「私」と「いる」の両方が必要かどうかは微妙。
たとえば千賀の句は、
「しじまの海にマンタと吾」と書けば、
述語の「いる」は不要になるはずだし、
逆に、犬山紙子の句は、
「胸の腫瘍といる湯舟」のように書けば、
主語の「吾」は不要かもしれません。




武田鉄矢。
山の宿 やど 昭和のままの虫の闇
山宿 やましゅく や 昭和の色の虫の闇
(添削後)

前回も 「昭和の子」 だったし、
武田鉄矢らしい作風ではあります。

原句も悪くないと思いますが、
「昭和だなあ」と詠みたい気持ちを、
説明でなく映像にするのは難しいよね。




清水アナ。
秋麗 あきうらら 作家と話す陶器市


季語をふくめて、
内容にひねりがない気はするけど、
さほど悪い出来じゃないし、
平場なら才能アリでもいいのでは?

ためしに、
歳近き作家 九月の陶器市
としてみました。




中田喜子。
ひとすじの秋水ひとり旅とどめ
ひとすじの秋水 ひとり旅の果て
(添削後)

原句は一句一章で、
《ひとすじの秋水(が)ひとり旅(を)とどめた》

という内容なのだけど、
最後の「とどめ」の意味が不明瞭。

先生は、
「風景の美しさ見て、旅を心にとどめた」
と解釈したようですが、
わたしは、
「風景の美しさが自分をその場にとどめた」
と解釈しました。

…しかし、作者によれば、
「不吉な予兆を感じて旅をやめた」
という意味らしい。

ポジティブな意味の季語を、
ネガティブな意味で用いた是非も問われますが、

かりに作者の意図に沿うのなら、
ひとすじの秋水 旅先の不吉
秋水のひとすじ旅を遮れり

とでも書くしかありませんね。



パックン。
退職金一括 金秋の四季島
退職の旅よ 金秋の四季島
(添削後)

原句は、
前段が手段の説明だし、
前後が因果関係になってます。

退職金で「金秋」ってのも卑しいので、
(金 カネ の秋みたいに見える!)

せめて「錦秋」と書くほうが上品かもしれません。



▽過去の記事はこちら
https://plaza.rakuten.co.jp/maika888/diary/ctgylist/?ctgy=12




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最終更新日  2024.09.25 17:35:34


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