マックス爺のエッセイ風日記

マックス爺のエッセイ風日記

2008.09.04
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>山の神の怒り

 常願寺川の支流である称名川に架かる橋を渡って称名滝レストハウス前ASに向かう。H多さんが振り返り「飴いる?」と訊ねる。「いらない。もう他人のことは気にしないで自分のことだけ考えて」と私。昨年の立山帰りの車中で私は彼女を叱った。彼女が称名滝ASでリタイヤしたと聞いたからだ。「簡単にリタイヤしちゃダメだよ。「立山」は出たくても出られない人がたくさんいるんだから」と。時計の電池が切れたことが理由だったようだが、きっと体調も良くなかったのだろう。だが、それ以降のレースで彼女の粘り強いランを目の当たりにし、私は彼女に対する認識を変えた。同時に他人へ気遣いし過ぎるほど優しい人だと言うことも知った。

 私の声に押し出されるように彼女は走り出した。称名滝ASまではわずか6kmの距離だが標高は900mあり、立山駅ASからの高低差は500mになる。結構勾配がきつい道だ。それを物語るように称名川の中にある砂防ダムの段差が凄い。去年は30度を越える暑さで、山から湧き出る水を頭から被った。きつい勾配に耐え難い暑さ。初めてのコースに戸惑いながら、それでも山頂のゴールを目指したっけ。途中から立山有料道路が別れ、見上げると対岸の絶壁を沿うようにその道が見えた。

 最後のトンネルを抜け、坂道を登るとスタッフの姿。そしてゼッケンナンバーと名前を呼ぶ声。ようやく称名滝のASだ。先ず売店に寄りお茶を買い、それから荷物を受け取る。愛知のH川さんがストックを片手に走り出すのが見えたが、既にH多さんの姿はなかった。袋から軍手、トレイル用シューズ、大福、雨対策用のビニール袋を取り出す。逆に入れたのはカロリーメイトなど。だがポケットの中の懐中電灯を入れ忘れる。よほど慌てていたのだろう。

 10時06分に到着したこのASで食べたのは素麺3杯とパンとお汁粉。シューズを履き代える時に足が痙攣した。ここまで来る間にも股関節にも軽い痙攣が来ていた。やはり無理をしたのかも知れない。合計10分の休憩で慌しく出発。橋を渡り対岸へ。いよいよ八郎坂の取っ付きだ。周囲に人がいないことを確かめ、称名滝の方に向かって放尿。この行為がやがて山の神の怒りを買ったようだ。

 ここは3kmの間に500m登る急坂。それが数日来の雨で滑りやすくなっている。どうしたことかいつになく胸の動悸が激しい。よろける足。転ばないように踏ん張ると、今度は痙攣が起きる。苦しい坂に難儀しているうち、突然右膝に激痛。思いがけない神経痛の発生だ。これはもう駄目かもと諦めた頃、何とか痛みは治まった。だが一難去ってまた一難、眩暈がし出す。慌てて膝に手を置き頭を下げる。足の筋肉に血流が偏り、血圧が下がって脳貧血になったのだろう。こんなことは初めてのこと。やはり先ほどの放尿が山の神の怒りを買ってしまったのだろうか。

 称名滝が見え出す。その左右にも細い滝。3本の滝を見るのは初めてのこと。やはり降り続いた雨で水量が増えているようだ。その滝に時々ガスが掛かる。昨年と違って今回は景色を楽しむ余裕がない。山道の所々で崖崩れ。谷側に滑ったら命を落とすか大怪我をする。繰り返し起きる眩暈。後ろのランナーに道を譲り、休むこと20回ほど。去年はたった4回しか休まなかったのに。悪いことに心配していた雨まで降り出した。万事休す。もはや時間内完走は絶望か。<続く>





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Last updated  2008.09.05 13:24:05
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