マックス爺のエッセイ風日記

マックス爺のエッセイ風日記

2011.05.26
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< 茂吉の歌碑 >

 県境の峠が43.5km地点だから、ゴールまでは残り20km近く。時間は午後の3時を過ぎた。日が長くなったから良いものの、山中で雨に降られたら大変だ。急な下りを慎重に走る。対向する車がほとんどないため、気楽に走れるのが嬉しい。左手の谷間に楢下集落が見えた。きっとあそこを旧街道が通っているのだろう。うねる山道をどんどん下って、ようやく里へ出た。

 16時ちょうど、楢下集落入口に到着。ここは50km地点辺りだと思う。道端に腰を下ろして休憩し、お握り、バナナ、グレープフルーツ、ビスケットを食べる。16時14分スタート。間もなく左手に「楢下宿」の標識。きっと集落内を走ったら、旧街道の面影をたくさん見つけることが出来たはず。暫くして右手に「こんにゃく番所」の看板。単なる蒟蒻屋さんなのだが、その外見がまるで江戸時代の番所。たくまざるユーモア精神に思わず笑顔。

 さらに下ると左右にサクランボ畑が見えて来る。山形は果物王国で、サクランボ、ブドウ、洋ナシ、リンゴなどの名産地なのだ。16時30分、道端に斉藤茂吉の歌碑を発見。


   桜桃の花しらじらと咲き群るる 川べを行けば母をしぞおもふ


 茂吉は山形出身の歌人で、母親想いの孝行息子だったようだ。彼は、精神科医斉藤茂太と作家北杜夫兄弟の実父でもある。16時47分、細谷口バス停前通過。ここは54km地点くらいか。道はほとんど平らになり、盆地の向こうには朝日連峰が見える。最後の飲み物としてお茶を購入。上山バイパスとの分岐点が56.3km地点で、ここから右折した方が近かったのだが、県道13号線を直進してしまった。

 県道104号線との分岐点が59.6km地点。ここから右折して上山市内へと向かう。疲労の色が濃く、足取りは重い。こうなるとゴールがとても遠く感じてしまう。そのまま直進して「かみのやま温泉駅」の標識が見えたら右折すべき所を、少し手前から右折し、1kmほど余分に走った計算。それでも何とか駅前に出た。17時22分ゴール。かかった時間は10時間26分。そして走った距離は63kmに達した。

 ところが電車の接続が悪く、40分以上待つ計算。僅かな距離を特急に乗る必要はない。こうなったらゆっくり帰るまでと腹を括る。身障者用トイレで着替えてさっぱりし、売店でビールを買う。これがあっと言う間に飲み干し、急いで2本目を購入。実に美味しいビールだった。次いで仙台までの切符を買う。

 結局この日使ったお金は4084円也。3回の峠越え合計でも1万円ちょっとで205kmを走ったのだから安い遊びだ。家に着いたのは夜の9時前。草臥れたが雨に遭わずにゴール出来て良かった。さて、次はどの峠を越えようか。候補はあと幾つか残っている。<完>





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Last updated  2011.05.26 17:57:46
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