マックス爺のエッセイ風日記

マックス爺のエッセイ風日記

2013.06.16
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 地獄で天女、高原でビール  ≫


 折角なのでキュウリに塩をつけて食べ、味噌汁も飲んだ。慌ただしくレストステーションを飛び出しながら時計を見ると、13時35分。関門閉鎖のわずか5分前だった。次の関門が73.3km地点の銀河高原であることは十分に知っている。だが、閉鎖時間までは念頭になかった。相変わらず県道1号線の日差しは強く、どこまでも続く登り坂が疲れたランナー達を苦しめる。

 第2関門から500mから1kmほど走った個所で、ある婦人が個人エードを開いていた。おや、あれはS村さんの奥さん。声をかけて飲みものをいただく。氷の塊を入れた冷たい水が美味い。「地獄で仏」とはこのことか。いやいやご婦人に仏はない。ここは「地獄で天女」にしておこう。お礼を言って再びレースに復帰。

 それにしても水のない関門や、お握りのない「レストステーション」にはビックリ。レース後大会本部に苦情のメールを送ったが、指定の宛先では届かなかったのも不愉快。かつて、第2回大会の完走記を書いた私のブログを大会本部のスタッフが読んだことがあった。何でも意見を書いてほしいとのコメントだったため、幾つかの要望を書いた。

 私の提案は、1)制限時間を13時間から14時間に延長すべきこと。 2)ゼッケンナンバーは前後2枚とし、ランナーの名前を付すこと。 3)エードステーション(AS)に置く食べ物の質を上げること。 4)給水所(または水を入れた容器)の個所を増やすことなどだが、それらのほとんどが、その後実現された。だが、今回選手数を200名増やしたのは良いが、果たして十分に対応したのだろうか。200名増えた分、エードの食べ物を増やすのが当然だが、私には対応出来てなかったように見えた。

 「地獄じゃ~!!地獄じゃ~!!」。叫びながら走っている私を、2人連れの女子ランナーが笑う。彼女達の計算によれば、1km7分ペースで行けば第3関門を突破出来る由。私は瞬時に無理だと悟った。疲れ切った体で坂道をそのペースで走れるのは、十分鍛えたランナーだけ。過去6回参加した私の経験だと、フルマラソンを4時間半程度で走れないと完走は無理なように思う。




ミズ.jpg


                         ≪ ミズ ≫




 小川の畔に生えている「ミズ」を発見。これはとても美味しい野草で、実の漬けものが絶品。清楚なエゴの花も見つけたが、今年はルピナスが少なかった。いつもの年は1m近いルピナスが見事なのだ。しかし、わずか6.8kmしかない次の関門までの遠いこと。疲労が進むと走るスピードが鈍り、距離感が全然狂ってしまうのだ。やがて女子の2人連れが歩き出した。1km7分ペースが無理なことに、彼女達もようやく気づいたようだ。





和賀岳遠望 69km.jpg


                        ≪ 和賀岳遠望 ≫




 69km地点辺りで、左手前方に和賀岳が見えて来た。朝渡った和賀川の水源地の一つがあの山。全く余裕はないのだが、記念に撮影する。GMCメンバーのゼッケンをつけた2人連れが缶ビールを飲みながら歩いている。「諦めたの?まだkm3分ぺースなら間に合うけどね」と冗談を言うと、「ハハハ」と笑った彼らは青森県のランナーで、仲間同士みたい。私は走る。関門通過が無理なことは分かっているが、最後まで全力を出し切るのが自分流。

 ようやく道の左側に銀河高原へ向かう「矢印」が見えた。そこを曲がると正面に和賀岳。2年ぶりの風景が懐かしい。第3関門から戻って第4関門に向かう道に、ランナーの姿がない。どうやら制限時間がオーバーしたようだ。いつもの年ならここでランナー同士がすれ違い、エールの交換が出来るのだが、今は道路の片側は無人。それを眺めながら必死に前進。前方に関門が見えて来た。ようやく銀河高原だ。

 今回はビール工場の構内には入らず、直進するみたい。既にASでは片づけが始まっていた。役員に申し出て、タイムを申告。到達地点は73.3kmで、タイムは10時間38分。関門閉鎖の18分後だった。これで長い戦いがようやく終わった。役員に頼んで、73.3km地点の標識を撮らせてもらう。次にホテルのフロントで銀河高原ビールを購入し記念撮影。





リタイヤと銀河高原ビール.jpg


                  ≪ 73.3km地点 戦い終えて ≫




リタイヤした赤鬼.jpg


                   ≪ 赤鬼さんもここでリタイヤ ≫ 




 赤鬼に仮装したランナーも、ここにいた。「仮装を止めたらもっと楽に走れるのに」。私がそう言うと、「この恰好で走るのが良いんです。これでも段々速くなったんですよ」と屈託がない。世の中には色んなランナーがいるものだ。「収容バス」がなかなか来ないので、お互いのレース評を話ながら待つ。それぞれに苦戦した理由はあるのだろうが、誰もが存分にウルトラマラソンを楽しんだみたい。




収容バスの中で.jpg


                 ≪ 絶品で冷え冷えの銀河高原ビール ≫





 30分ほどかかって、ようやく収容バスが来た。座席に落ち着き、飲んだ缶ビールを記念撮影。車内は寛いだ雰囲気の選手達。さて、今回のレースで「いわて銀河」は4勝3敗だが、全力を尽くしたので全く悔いはない。参考までにこれまでの記録を記して置きたい。


☆ 第2回 62歳 完走      12:16:24

☆ 第3回 63歳 完走      12:17:43

☆ 第4回 64歳 86km     11:19:00  左足靭帯故障中

☆ 第5回 65歳 完走      13:29:31

☆ 第6回 66歳 完走      13:23:24

☆ 第7回 67歳 73.3km   10:38:44  不整脈発生

☆ 第9回 69歳 73.3km   10:38:00  不整脈治療中

                                    <続く>






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Last updated  2013.06.16 10:00:29
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