マックス爺のエッセイ風日記

マックス爺のエッセイ風日記

2014.11.24
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<57年ぶりの斑鳩>

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 11月8日土曜日。さて、奈良の旅の3日目は正直な話、何も決めてなかった。最初は古墳を見ようと思ったが止めた。交通の便もあるが、外から眺めただけではあまり面白くない。木が生い茂って普通の山にしか見えない古墳がほとんどなので、感激は薄いのだ。それに妻が興味を持つかどうか。

 それで法隆寺を訪れることにした。そこから京都へ引き返し、東寺と伏見稲荷を見る案を妻に示した。帰路の夜行バスに乗る京都駅前から近いためだ。先ずはJR天理駅まで歩いて電車に乗った。奈良で法隆寺方面へ乗り換えるのだと思ったら、そのままの電車で良いのには驚いた。どうやら「三角形」の路線のようだ。


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 前日妻が買って喧嘩の原因になった柿とミカンは私が持った。化粧道具も私に持ってと言う。それもリュックに詰めるとかなりの重量だ。JR法隆寺駅前から法隆寺までは案外距離がある。一日中歩くことを考えればバスに乗った方が良いと思って妻に勧めたが、彼女は歩くと言う。それならばと歩き出す。法隆寺付近の観光案内所に寄り、何種類かのパンフレットをもらった。それを見ているうちに法隆寺だけでなく、中宮寺、法輪寺、法起寺へも行きたくなった。歩いて4つのお寺を見ることを妻に告げる。


花8.jpg 枯れたアジサイ

 斑鳩(いかるが)の後は、この朝予定を変えて奈良の平城宮跡へ行くことに決めていた。テレビのニュースでそこを会場にした「平城京天平祭」が開催中であることが分かったからだ。私が平城宮を最後に観たのが19年前。その後「朱雀門」が再現されたことを知り、この機会に見たくなったのだ。多分京都へはこれからも訪れる機会があるだろうが、そこから一歩奥まった奈良へはなかなか来れないとの判断だ。



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 大阪勤務時代、法隆寺を訪れる機会があった。だが、私は修学旅行で訪れていたため奈良市内の古墳を見て歩き、妻が1人で行ったのだ。修学旅行は中学2年生の時で、私はまだ13歳だった。あの時は大阪造幣局の通り抜けの桜を見、奈良では東大寺、春日大社と法隆寺に寄り、その後京都の清水寺と滋賀の石山寺に行った。あれは自分にとっては大旅行だった。帰宅後にその時の様子を思い出しながら、短歌を作ったのを今でも良く覚えている。


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   緑なる春日の宮の朝の風 吊灯籠を揺すりおるかな

 これは春日大社での印象。赤と緑の鮮やかな大社の建物を、私は思い出していた。


   老人の鐘つき堂に一人いて 石山寺は線香の香

 これは滋賀県の石山寺の印象。どこか暗いイメージが残っていた。中学生なので、まだ「鐘楼」と言う言葉は知らなかったのだ。そして法隆寺を思い出して詠んだのが次の歌だ。


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   斑鳩の里にそびえし塔見れば 花の如きのいにしえ思ほゆ

 「いにしえ」が昔のことで、「思ほゆ」が思われる意味であることを知っていたのだ。どの歌も極めて観念的だが、それが私が初めて作った記念すべき短歌で、今でも忘れずにいる。まだ幼かったあの日から57年経った。果たして今でも本当に法隆寺を覚えているのだろうか。


法11パンフ.jpg パンフレットから

 その法隆寺が圧倒的な存在感で私の目の前に現れた。いや~っ、これは明日香村とも山の辺の道とも違う感激だ。わずか13歳だった頃の自分と、古稀を迎えて知識と経験とを重ねた自分とでは、物の見え方が丸きり違うことに気づいた私だった。<続く>


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 今回の旅のバックナンバーに以下の記録があります。興味がある方はご覧ください。

 11月10日~14日 「奈良の歴史を訪ねて」(明日香村の話:5回分)
 11月15日~21日 「山の辺の道を行く」(7回分)







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Last updated  2014.11.24 05:17:59
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