マックス爺のエッセイ風日記

マックス爺のエッセイ風日記

2016.07.05
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 <縄文の漆文化を見直す>

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 縄文人が漆を使用していたことは、三内丸山遺跡から出土した漆塗りの櫛で知っていた。だが漆が土器にまで使用されていたことを知ったのは、昨年訪れた青森県立郷土館の展示物を観たのがきっかけだった。

 今回の旅で八戸市の是川遺跡を訪れ、ここでは漆は住居の近くに植えられ、きちんと管理されていたことに驚いた。そして見事な漆製品がたくさん発掘され、展示されていたことにさらに驚いた。



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 漆は英語で「Japan」と呼ばれる。もちろん中国大陸にも漆文化はあるが、日本の漆とは若干DNAが異なると聞いた。どうやら日本の漆文化は、独自に発達したようで、その萌芽が既に縄文時代の東北地方にあったのだ。何はともあれ、先ずは是川遺跡の漆製品をご覧いただこう。ぽっ


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 赤い色の土器と黒い色の土器には漆が塗られ、光って見える。ひょっとしたら後の1本もそうなのかも知れない。縄文人の暮らしには、ここまで漆文化が浸透していたのだ。


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 漆が塗布された注口器型土器。美しいだけでなく、強度が一層増すのも漆の特徴だ。


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 到底土器とは思えない重厚さが感じられる作品。だがこれは生活用品であって、芸術作品として作ったわけではない。


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 中の材質は竹で編んだザルだが、それを補強するために漆を塗っている。これらは籃体漆器(らんたいしっき)と呼ばれ、軽くて丈夫なのが特徴だ。


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 木の皮で作った容器に漆を塗ったもの。私は今回初めて観た。


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 浅鉢の底部。本体は木製で、その上から漆を塗布してある。(☆後出の復元品を参照されたい)


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 容器の蓋(ふた)で材質は不明だが、木製品のようにも見える。


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 弓2張り。このような武具にまで漆が使用されていることに驚く。恐らくは強度を上げるためと思われる。


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 湾曲した木の枝。私見だが、これに網を取り付け、漁具として使用したのだろう。


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 腕輪と思われる装身具。


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 櫛(上)と土製のイヤリング(左下)。


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         漆器に描かれた紋様。


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 漆が塗られた土器類の総合展示風景。


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 ここからは縄文時代の技法を使って復元された漆製品の展示物。木製の木地に漆を塗っているが、到底「ろくろ」を使用したとしか思えない作品だ。


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       ☆前出の木胎漆器(鉢)の復元品。見事な完成度に驚かされる。


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 木胎漆器による深鉢。復元品とは言え、縄文時代のものとは思えない出来栄えだ。


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 台付き皿。現代の作品と比較しても、何の遜色もないように見える。


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 縄文時代の技法で復元された4本の櫛。当時の暮らしぶりが偲ばれる。


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 これは私の推測だが、漆が塗料として使用されたのは、偶然のことがきっかけだったのだはないだろうか。だが賢明な縄文人は長い間かかって研究を重ね、塗料として漆を使う技術を完全にマスターし、代々子孫に伝えて行った。

 土器も石器の製造も同じ。先人が確立した技法を子孫が継承し、さらに発展させて行った。縄文人の精神性、宗教性の深さや、文化の高さには驚くことばかりだ。明日は是川遺跡の目玉である国宝指定の「合掌土偶」ほか、優れた「遮光器型土偶」の数々を紹介したい。ウィンク<続く>





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Last updated  2016.07.05 04:25:47
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