マックス爺のエッセイ風日記

マックス爺のエッセイ風日記

2017.12.30
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~大相撲の暴力事件について思う~



 元横綱日馬富士の傷害罪による略式起訴が12月28日に決定した。恐らくは罰金刑になる由。これで彼は「前科持ち」となり、日本に帰化するのは極めて困難になったようだ。酔っ払っての暴力事件が、とんでもない代償を負うことになった。事件の翌日に相手の貴ノ岩と「手打ち」をしたと考えていた彼は、思いがけない結果に戸惑っていることだろう。

 彼は法政大学の大学院で学び、絵も描くと言う教養人。本人は「これまで酔って間違いを起こしたことはない」と言っていたが、1回の暴力事件でとても大事なものをほとんど失った。大相撲界に残って親方になる夢、そして強い弟子を育てる夢。それらが一夜の乱行で水泡に帰した。全ては驕りであり、油断だったと思う。彼はモンゴル人力士の後輩を指導した積りだったのだろうが。

 事態が容易ならざることを悟って引退を表明し、協会はそれを受理したが、私は受理すべきではなかったと思っている。何故ならまだ法の裁きが下ってないからだ。あくまでも引退は「預かり」であり、法的な裁断の後で正式に協会の処分が下されるべきではなかったか。もしそうであれば、退職金などを支払う必要性も生じないのだ。そこまで厳しくしないと、相撲界から暴力や八百長はなくならないだろう。



 今回の事件の黒幕はこの白鵬だ。彼が鳥取城北高校相撲部の同窓会に顔を出さなかったら、そしてモンゴル人横綱の日馬富士と鶴竜にも声を掛けなかったら、今回の事件は生じなかったのだから。あの事件の陰には、この人が貴ノ岩を「可愛がろう」としたことがあった。だから他の横綱も誘って、貴ノ岩に圧力をかけようとした。事実その意を忖度して日馬富士は熱くなり、今回の事件を起こした。

 「モンゴル力士会」は、今や相撲界の一大勢力と化した。その力を維持するため、星の貸し借りをしたり金銭的な援助なども行っていたようだ。八百長疑念を払拭するためにも、あってはならないことだ。また力の衰えからか、横綱相撲からは縁遠い、「張り手」や肘打ち同然の「かち上げ」など荒っぽい相撲での勝利が目立つようになった。現に九州場所は15番のうち12番でその荒業だった由。

 千秋楽の優勝インタビューでの彼の振る舞いについては何度か書いた。とても暴力事件の現場に居合わせ、陰で糸を引いた人物とは思えない言動だった。貴乃花巡業部長の巡業への同行拒否発言も、厳罰が下されてもおかしくない行為。それを厳しく戒められない協会にこそ、大きな問題が潜んでいる。これでは到底「国技」とは呼べないし、相撲道など存在しないに等しい。



 今回の事件の唯一の被害者である貴ノ岩の影が薄い。一頃は協会から「仮病」のように扱われた。暴力を受けたのは1人。他は暴力を振るった力士とそれを傍観した力士だけ。多勢に無勢。相手が口裏を合わせれば、あったことがなかったことにされかねない。協会の中間報告と、警察、検察の調書との整合性が、今後問題となるだろう。果たして協会のレポートは、どこまで正確なのか。

 頭部に打撃を加えられた影響は、相当強いものと思われる。普段から鍛錬を積んでいる力士だからこそあの程度の裂傷で済んだが、頭蓋内部への影響はかなり遅れて現れることがある。それは自分の怪我と手術(慢性硬膜下血腫)でも体験済み。だから2番目の診断書を軽く扱った協会の対応には疑問を抱くし、ましてまだ途中の段階で、一方的な情報を漏らすのは印象操作としか思えないのだ。

 故郷のモンゴルでは横綱を引退に追い込んだ悪人との評判が流布され、精神的なダメージも大きいのだろう。体の怪我と同時に、PTSD(心的外傷後ストレス障害)も心配だ。出世争いから脱落したために、将来親方になるのもかなり困難な状況だが、その責任を今後の裁判で問うこともあり得よう。

 全ては相撲界の隠蔽体質から派生した事件で、貴ノ岩はその犠牲者。一日も早い怪我からの回復と、相撲界への復帰を心から願ってやまない。<続く>





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Last updated  2017.12.30 00:00:28
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