マックス爺のエッセイ風日記

マックス爺のエッセイ風日記

2021.08.25
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カテゴリ: 歴史全般
~戦争を止められなかった男とアメリカを戦争に巻き込んだ男~



 「映像の世紀プレミアム」。NHK制作のこの番組を興味深く観ている。初めに観たのは「第一次世界大戦」の事情と背景。そして半月ほど前に観たのは「日中戦争」とそれに引き続いて生じた「太平洋戦争」に関する映像だった。恐らくNHKは実際に入手した映像を極力客観的に繋ぎ合わせただけで、この戦争に関する主観的な主張はしていないように思えた。それがむしろ真実味を増すのだ。

      満州事変  

 日本が統治していた当時の満州国で勃発した「満州事変」は、警察力が弱かった満州では漢族や満州族のゲリラ部隊が出没して、国民(日本人、満州族、漢族、朝鮮族)の財産を脅かしていた。漢族の首謀者は張学林。業を煮やした関東軍の若き兵士は、張学良の兄である張作霖が乗った列車を爆破し、列車はゲリラ部隊によって爆破されたと発表し、満州における権益を強化して行く。



 国民党を率いていた蒋介石(右)は日本軍の力を削ぐため、満州から離れた上海や南京などでゲリラ活動を活発化する。長江(揚子江)下流域の大都市である上海や南京には外国の租界(そかい)が置かれ、ここで戦闘が起こると外国資本の利害にも大きく影響する。それで日本軍は満州から中国本土へと戦線を拡大して行くことになる。



     若き日の毛沢東(左)と中国共産党の逃亡(長征)

 蒋介石率いる国民党と毛沢東率いる中国共産党は、時に相戦い(内戦)、時に合作(協力)して日本軍に立ち向かった。こうして日本軍は中国奥地の工業都市である重慶までをも爆撃するなど、戦線は広がる一方となった。ここで蒋介石は一計を案じ、ルーズベルト大統領率いるアメリカの目を日中戦争に向けさせるべく多くの軍事機密を提供した。



    チャーチル英国首相        日本軍による米国真珠湾攻撃

 一方、イギリスのチャーチル首相も追い込まれていた。ヨーロッパの大英帝国はドイツ機による空襲を受け、アジアの植民地である、ビルマやインドは中国から転戦した日本軍に侵攻されていた。貴重な軍事力を二手に分割されていたのだ。そこで彼もルーズベルトと頻繁に連絡を取り、アメリカを参戦させるべく精力を投入する。やがてアメリカの過激な要求に耐えかねた日本は、真珠湾攻撃の奇襲に出る。ついに日本は、アジアの戦争から広く太平洋を戦地とする「太平洋戦争」に突入。悲劇の始まりだ。



       太平洋戦争の主な出来事(左)と、当時の近衛文麿首相(右)

 左図の青い線で囲まれた部分が日本軍の最大戦域。アメリカに屑鉄の輸出を禁じられて艦船や銃砲の鋳造が困難になった。また拡大する一方の戦域は兵站(へいたん)補給の困難を日本軍にもたらした。石油を得ようと東南アジアに進出するも反撃に遭い、ついには松の根から出る油脂を精製して使用するなど、悲惨の極み。




              <太平洋戦争の映像>

 情報不足と資源不足でありながら、無謀にも戦争に打って出た大日本帝国の悲哀。近衛は軍部を抑えることも、天皇に戦争中止を訴えることも出来なかった。戦後の東京裁判で死刑判決を受けた近衛は、その翌日に服毒して自ら死を選んだ。

  原爆投下後の広島市内
  原爆投下後の長崎市内   

 実際の戦争を知らない世代の一人として、たとえ映像だけでも当時の日本が置かれた状況や、戦争に至った道が少しは理解が出来たように思う。私は中国の大連に旅して日露戦争の戦跡も観たし、台湾に旅して日本統治時代のことを少し知り、オーストラリアでは首都キャンベラの「戦争博物館」を見学して、戦争の傷跡を知った。


  <戦後の風景=バラック造りの「闇市」>

 そして何よりも戦後に少年時代を過ごした者としては、まだあちこちにあった「焼け跡」、戦争孤児としての浮浪児の存在、生きるがため「パンパン」となった女性、未舗装で石ころと穴ぼこだらけの道路を歩いた、そして朝鮮戦争当時日本に駐留していた米軍のジープから投げられるガムやコーヒーを拾い、学校給食の「脱脂粉乳」と塩の塊のような「クジラ肉」で生き延びた。今なお苦く強烈な貧乏時代の切ない思い出だ。

クール ここに書いたことはNHKの見解ではなく、私の個人的な感想と意見です。なお、理解を助けるため放映されたもの以外の映像を加えてあることを合わせて付記します。<続く>





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Last updated  2021.08.25 00:00:10
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