バリュー投資に騙されるな!

バリュー投資に騙されるな!

2007.11.18
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引き続き信用取引の負の面を見てみたい。前回までは建て玉の損切りが何を意味するかを書いた。建て玉の損切りは現物株の減少を伴う。そしてその苦しみから逃れる為に、損切りが遅れ、被害が拡大する。決済期限があるため、持ち続ける事はできない。いよいよ期限が差し迫った時は、更なる含み損を抱えていた…。制度信用では決済期限は6ヶ月と定められており、決済期限のない一般信用は金利が高く、複利の面からも余りオススメできない。常に暴落の恐怖と隣り合わせ。含み損に苦しみ、自分のやりたいような取引がなかなかできない。
以上は、信用取引のデメリットの半分。比較的分かり易い面である。今回は多少、分かり難い部分に突入する。興味があれば付いてきて欲しい。

さて、シリーズ初回でも述べたが、レバレッジをかけた時の複利の負の面を考えたい。安い時に建て玉を、そして現物株を売却した後、株価が元の位置まで上昇したらどうなるだろうか?欠損金に充てた売却分の現物株の評価額だけでなく、上昇分の利益が失われた事になる。50%下落した銘柄は、100%上昇しないと元の株価に戻らない。当たり前である。信用取引ではこれにレバレッジがかかるだけでなく、株数が減少してしまう。これが何を意味しているか、よく考えて欲しい。しかし、この本当の意味を理解するには、信用取引の肝である維持率の説明なしには語れないだろう。
結論から先に言うと、建て玉を損切りして現物株の売却を欠損金に充てた後、下落した株価がめでたく元に戻ったとしても、信用取引で被った損失は、信用取引では取り返せない。

維持率とは、担保に対して建て玉がどのくらいあるかを示した値と思って差し支えない。口座内の評価額にたいする建て玉の割合が多くなれば維持率は低下し、ある一定の値を下回ったら追証発生となる。追証の詳細は後日書くが、ここでは追加資金を投入しないと強制決済される、という認識くらいで良い。つまり、信用2階建てで株価が下落すると、現物株の株価の減少と、建て玉の含み損の2重で評価額が減少するため、維持率は急激に減少する。「○○ショック」などと呼ばれる大暴落の日など凄惨である。週足チャートの大陰線から木霊する耳を劈くような阿鼻叫喚は、信用取引をやっていない人には絶対に聞こえないと確信する。
何れにしろ、担保となる評価額が少なくなればなるほど、建てられる玉の大きさも決まってくるという当たり前の話だ。評価額は現金と現物株、建て玉の評価損失から算出される。しかし、建て玉の含み益は反映されない。建て玉の含み益は、同じく建て玉の含み損と相殺される事はあっても、評価額の向上にはならず、現物株の含み益と異なり維持率の向上には繋がらない。建て玉の含み益は水物、当てにならないというのが証券会社の考えなのだろう。また、そうである以上、机上の論理ではあるものの、含み益のある建て玉はとっとと売却して利益確定する方が合理的である。これは、更にややこしいので後日別の機会に説明する。

なにはともあれ、維持率の下限が決められている以上、評価額が減少すると建てる事が可能な玉も小さくなる。市場の下落に伴い現物株の株価の減少、建て玉の含み損の増加。評価額が2重に減少した中で、建て玉の損切りに伴う現物株の減少。現物株と信用株が減少し、維持率も低下した中で市場が反転し、元の株価に戻ったとする。当然金利や手数料などが引かれる訳だが、それを考慮しなかったとしても元の評価額には戻らない。下落時に比べて上昇時の保有株数は、信用株の損切りに伴う欠損金に充てる為に現物株が減少しているのだから当然である。損失を取り返す為には維持率を低くしてでも建て玉を多くする必要がある。しかし、欠損金に充てた現物株の減少分、評価額は少なくなっており、やはり元の株価に戻っても元の評価額には戻らない。更には過剰に建てた玉が維持率の低下を伴い、見込み違いの下落時に更なる損切りを余儀なくされる。

信用取引の恐ろしさをお分かり戴けただろうか?しかし、これでもなお信用取引の恐ろしさは書ききれていない。当然である。信用規制も、逆日歩も、追証の詳細までも語っていないのだ。
だからといって今回のテキストを侮ってはいけない。信用取引をしていない人は勿論、信用取引をしている人でさえ気が付いていない人が多いのだ。信用取引は奥が深い。現物株取引の100倍奥が深い。奥が深い故に楽しくもあるのだが、利益追求には余り向かない手法であるともいえる。使い方次第では、守りにもなる。応用編を書く事があれば、守りの信用取引について述べたいと思う。まだまだまだまだ先の話である。





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Last updated  2007.12.06 10:05:41
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