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モンゴル滞在の著名作家、中国の警察が拘束?という記事を見て、一瞬、また「モンゴルと内モンゴルの違いも良くわからない海外の記事」かと思ったのでした。ですが、ちゃんと読むと全然違います。「中国の警察当局」が、「モンゴルに滞在」していた「内モンゴル自治区出身の」著名作家であるラムジャブ・ボルジギン氏を拘束し、中国に連れ戻したとあるのです。つまり、中国にとってはモンゴル国内も中国国内と同じように、自分たちの警察権が行使できる場所だと思っているということです。これに関する日本での情報が限られているので、モンゴル国内での批評に関しては分かりませんが、モンゴル政府はこのようなことを許していいのでしょうか?記事は「ボルジギン氏が首都ウランバートルで、車両2台に分乗した中国の警察当局者4人に拘束されたとしている。」「陸路で中国に連れ戻され、現在は自治区のシリンホトにいるとの見方が出ている」とあります。これはまさに警察権そのものです。日本の警察だって、フィリピンに滞在中の犯人たちを捕まえたいと思っても、自ら警察権の行使を外国ではできないため、フィリピン政府にお願いしてなんとか逮捕にこぎつけたのです。逆に言えば、警察権の範囲が、その国の管轄権の範囲ともいえるのです。ウランバートルの非政府組織(NGO)関係者はボルジギン氏が今年に入って中国から出国し、ウランバートルに滞在していたと明かしました。この関係者が4月上旬に電話で話した際、「中国には戻りたくない。自由な国で本を書きたい」と新たな書籍の執筆意欲を語っていたと言います。ボルジギン氏は中国で2019年、中国の「文化大革命」(1966~76年)に関する著作を問題視され、中国の裁判所で有罪判決を受けた、のだそうです。一種の亡命なのかもしれません。私はこの記事を読んで、徳王(モンゴル名デムチュクドンロブ(Дэмчигдонров)のことを思い出しました。本ブログの2022年10月25日、26日付けで書いたものです。それによると、内モンゴルとモンゴル人民共和国の南北統一を夢見たと内モンゴルの徳王は、1949年徳王を主席とする「モンゴル自治政府」を内モンゴルで発足させました。そして当時すでに「独立国」であった(はずの)モンゴル人民共和国のトップであったチョイバルサンと接触し了解を得て、遂にモンゴル人民共和国に亡命し、ウランバートルに到着したのでした。ですが、結局、中国やソ連にの干渉によって徳王は中国に連れ戻されたのです。当然、国家分裂を企てた徳王は有罪となり、中国で禁固刑となりました。どうですか?「ボルギジン氏がモンゴル国という自由な国で作家活動をしたい」「徳王が南北統一のためにウランバートルへやって来た」のに、結局は中国に連れ戻されたという事実は、何も変わっていないのです。徳王の時代は社会主義ですから仕方なかったと言えるかもしれません。ですが、それから70年以上もたった自由主義のモンゴルも結局は中国に逆らえないということなのでしょうか?モンゴルは本当に独立国なのでしょうか?モンゴル人は「内モンゴルとは違う!我々は中国には干渉されない!」と言いますが、本当にそうなのでしょうか?かくいう日本だって、中国警察が既に日本国内にあるとの話もあります。陸続きではないので、身柄拘束してそのまま連れ去るのは簡単ではないでしょうが、北朝鮮のように海岸から拉致することはできます。日本政府も、この問題をもっと掘り下げて問題意識を持ってほしいと思います。モンゴルも最早安全な場所ではないのでしょうか?ちょっと怖い気がしますね。
2023.05.16
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大相撲3月場所は、霧馬山の優勝で終わりました。私は次の大関候補は豊昇龍(朝青龍の甥っ子)だと思っていましたが、今回の優勝で霧馬山も最優力候補になってきました。テレビで「遊牧民出身」というのを聞いて、どこかなと調べてみました。モンゴルの横綱の多くが土俵を去ったとはいえ、まだまだ多くのモンゴル人力士が活躍していますが、その多くはホトっ子(UB出身)で遊牧民らしさは全然ありません。本物の遊牧民出身力士と言えば、幕内では逸ノ城くらいじゃないでしょうか?なので、ちょっと調べてみました。彼はモンゴルの東の端、ドルノド県で遊牧民をしていたんだそうです。ドルノド県と言えば、ハルハ河戦争が起こった場所で、本ブログでも時々紹介しています。私もコロナ前に行きました。草原の国モンゴルの中でも、トップクラスの大草原が広がる平地が続くところで、車に乗って1-2時間寝た後目覚めても、同じ風景が続いていると言われるほどです。それだけ遊牧に適した場所ともいえるでしょう。この霧馬山という名前、私は当初は、「霧に包まれた草原にいる馬が見える山?」みたいな風景を思い浮かべていました。要するに、モンゴルと関係あるんだろうと。ところが、彼の親方が元霧島の陸奥(みちのく)親方だと知って、「なるほど、霧馬山の霧は霧島の霧だな」とわかったのです。そこにモンゴルの「馬」をつけたんだろうと勝手に解釈していました。ですが、どうやらもっと深い意味があるようです。霧は霧島の霧ですが、馬山は双葉山からとったんだそうです。双葉山は誰もが知る、伝説の大力士です。そのふたばやまの「ばやま」をもらって、霧ばやまとしたんだそうです。なかなか複雑な構成ですね。でも、名前を見れば、その期待の大きさがわかろうというものです。霧葉山ではなく、霧馬山としたところくらいに、多少はモンゴル的要素が含まれているのかもしれません。彼はドルノドのどこ出身かとか、ルーツなどは日本語の情報では出ていないので、ちょっとモンゴル側の情報に助けてもらいながら調べてみましょう。彼はドルノド県のセルゲレン郡(ソム)出身のウゼムチン族です。以前に本ブログでも紹介しましたが、ドルノド県には少数民族のバルガ族がいると書きました。バルガ族は歴史をたどれば、ロシア領土にされたブリヤード人がロシアを嫌って南下し、満州・中国領内に移った人たちで、更にモンゴル国に移住してきたのです。このバルガ族とは違いますが、やはりウゼムチン族は内モンゴルからやってきた人たちです。ウゼムチンとはどういう意味か?チンというのは「~の人」という意味で、直訳すると「レーズンの人」となります。レーズンとは、干しブドウのことですが、恐らく先祖が「レーズンの収穫者、収集者」であったことによると考えられています。このウゼムチン族には東ウゼムチンと西ウゼムチンがあり、ともに現在の内モンゴルです。東ウゼムチンはドルノドの東側、ホロンボイル高原辺りにいる人たちで、西ウゼムチンは内モンゴル中部、シリンゴルあたりのようです。なので、言葉も違って、西ウゼムチンの人たちはチャハル方言です。東ウゼムチンはわかりませんが、ホルチン方言の可能性があります。さて霧馬山です。彼のお父さんは、ビャンバチュルーンさんであったと思われます(彼の名前より)。で、その父親、つまり霧馬山のおじいちゃんは、どうやら内モンゴルからモンゴルにやって来た人のようなのです。年齢的に推測すると、戦後或いは中国共産党成立の時代、更には文化大革命による大迫害の時代と想像されます。いずれにしろ、中国にいた多くのモンゴル人が迫害を受け、モンゴルに逃れてきた時代であったと思います。そのおじいちゃんは、なんとモンゴル相撲の選手だったようです。霧馬山はそのおじいちゃんの血を継いでいると考えられます。テレビ解説などでは「モンゴルでは柔道などをやっていたようですが、モンゴル相撲はやってなかったようですね。」と言ってましたが、モンゴル相撲の血統のようです。おじいちゃんはもしかして内モンゴルで有名だったのかもしれません。なぜなら、今回の霧馬山の優勝が内モンゴルで結構話題になっているからだそうです。なぜ話題になっているのかはわかりませんが、可能性としては一つは内モンゴルに多いウゼムチン族であることが知れたから?もう一つは、彼のおじいちゃんが内モンゴルの相撲取りとして有名だったから?ではないかと推測している次第です。遠く数十年前に、中国共産党の迫害から逃れてきたモンゴル相撲力士の孫が、日本の大相撲で優勝して、内モンゴルの人たちの話題になるなんて、東アジアの目に見えないつながりを感じますね!
2023.03.30
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1月21日は中国春節でした。コロナの移動禁止がなくなり、中国では数十億人が大移動しているとの報道がありました。実際には延べ21億人だそうです!片道10億人が往復したというレベルですね。やはり人口大国には間違いありません。最近は、中国人の日本入国が少なくなったこともあり、実質的に日本にいる外国人で一番多いのはベトナムになりつつあるようです。そのベトナムでは旧正月をテトと言います。先日、郊外を走っていた時にベトナム専門店らしき店を見つけて、ちょっと覗いてみました。基本的にはベトナム関連の食料品店です。コンビニよりも小さい店に、所狭しとたくさんのベトナム食材が売られていました。商品名などは全てベトナム語で、日本語は一切なし。完全なベトナム人向け食材店として成立するほど、在日ベトナム人が多いということなんでしょう。冷凍の食材が多く、豚肉や鶏肉はもちろん、カエルやアヒル、虫!などの食材も直輸入されていました。ほとんどがベトナムからの直輸入品で、一部中国からの調味料もありました。そんな中、日本ブランド品がたった一つだけありました。味の素の1kgです。この写真は、日本の味の素が日本国内向け業務用に売っているものです。ネット価格を見たら1290円でした。これに送料などもかかるのでしょう。ですが、そのベトナム食材店にあったのは489円と500円を切っていました。これはインチキ品?と疑うところですが、れっきとしたベトナム味の素で販売されている正規品です。半値以下なんですね。つまり、ここで売っているものは「珍しい食材を日本人に高く売る店」ではなく「本場の食材をベトナム人に安く供給する店」だということが、うかがい知れました。で、モンゴルです。ネットで「モンゴル ツァガンサル 2023」と入れても、ツァガンサルのことは出てきません。中国やベトナムは、今年の日程なども詳しく出てくるのに。それだけ在日モンゴル人はまだまだ少ないということでしょう。なので、私のこのブログが検索に引っかかってくれるといいです。今年のツァガンサルは2月21日です。大晦日は20日ですね。ここ3年ほどコロナでツァガンサルができなかった(あるいは家族だけ)ですが、今年は制限がないので、大いに盛り上がるのでしょうか?久しぶりに田舎でツァガンサルをやるという声も聞こえてきます。新年の日の決め方が異なる(これについては、本ブログで以前説明)ので、中国とは毎年微妙に違いますが、今年は1か月も違います。これは結構大きな差です。ここでちょっと疑問に思ったのは「内モンゴル人は1か月も違うときは、どうするんだろう?」ということです。当然ですが、全ては漢人ベースで決められているので、職場も学校も休みは春節です。で、ちょっと内モンゴル人に聞いてみました。ですが、内モンゴルでは春節をツァガンサルということにしてお祝いしてきた記憶があるとの答えでした。あるいは、最近モンゴルに行った内モンゴル人は「春節とツァガンサルの日程が違うということ」「つまりモンゴルと内モンゴルのツァガンサルが異なる日にちであること」に驚いたというのです。ただ、この件に関してこれ以上突っ込んで聞いても、そもそもツァガンサルに関しての歴史的、文化的教育は内モンゴルではほとんどなされてないので、よく知らないとのことでした。なので、以下は私の推察です。中国は歴史的にこよみ(暦)を決められるのは皇帝だけです。現在の皇帝は習であり、共産党ですから、それ以外の人々に暦を決める権限はありません。いわんや少数民族が漢人様の春節にケチをつけるなんて許されません。もしかして100年前には、内モンゴルもモンゴル人が独自に日程を決めていたのかもしれませんが、共産党になってからはそんな抵抗もできないので、代わりに春節をツァガンサルということにしたのでしょう。もっと言えば、春節のモンゴル語訳がツァガンサルとなっているのでしょう。なので、現代の内モンゴル人には春節とツァガンサルが本来は別物だということがわからなくなっているのでしょう。自分たちで暦を決めることができる権利は、意外と重要なのですね。更にある外国人に「日本人はどうして旧正月を捨てたの?」と聞かれました。確かに私の幼少のころは、田舎で旧正月らしきことをやっていた記憶がかすかにあります。あれはどうしたんでしょうか?調べてみると、明治5年(1872年)に明治政府が旧暦から新暦に切り替えたことが直接の理由のようです。でも、他のアジア諸国だってどこも公式には新暦を使っています。ただ新暦に変わっただけでなく、どうやら明治政府は「もろもろの祭りごとを旧暦で行っているものは新暦の日付に当てはめて行うべし」との指示を出したからのようです。当時の明治政府は、当然強権的で民衆を従わせようとしたので、各地の役所もそれに従ったようです。現在も旧正月の色合いが強く残っているのが沖縄本島や南西諸島です。これは明治5年当時にはまだ琉球王国としての独立色が強く、明治政府の指示も浸透してなかったことによるのが今も残っているようなのです。私の幼少期にかすかに残っているとはいえ、佐渡の実家ではなく実際に育った家で旧正月をお祝いした記憶は全くないですね。内モンゴル人もこれと同じで、ツァガンサル=春節であると教えられた世代が大きくなると、「え?ツァガンサルって春節のことじゃないの?」という世代がメインになってもおかしくはないですね。
2023.01.23
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先日の本ブログで書いた、石炭汚職に関するデモなどの国民の不満の声は収まる様子はなさそうです。金額も金額ですし、汚職の当事者が現在の政府首脳部にいるのですから、「問題解決」には程遠いのは仕方がないでしょう。これはモンゴルの国内問題のように見えますが、どうやら中国との関係においてはかなりまずい状態にあるようなのです。そもそもこの事件は、中国の輸入統計とモンゴルの輸出統計が大幅に異なっていることから発覚してしまった事件です。モンゴル政府首脳は当然ですが、自分たち自身が絡んだ汚職ですので、元々知っていたわけです。ですから、今回の汚職が大きく発覚したのは最近のことですが、不正行為自体は着々と長い期間に行われていたのです。当たり前ですが、去年今年だけやったというレベルではありません。そして中国側にも当然ですが協力者がいるわけで、中国政府もこの不正については昨年から承知していたのです。恐らくもっと前からかもしれませんが。で、今年の1月、つまりほぼ1年前の時点で、オユーンエルデネ首相は中国側から、この事件のモンゴル側関係者の名前5名程度のリストを受け取っていたというのです。これは何を示唆するかというと、中国側はこの汚職事件を調べ上げ、中国側とモンゴル側で関わった政治家や経営者などの名前を掴んでいるということなのです。そして1月に出した名前はその中のほんの一部の名前であり、当然ながら「最重要人物」の名前は出していないそうです。この話を聞いた時に私は「なるほど、中国側にモンゴルの汚職政治家のリストがあるのはまずいけど、中国側だってそれを公表したら大問題になるから、簡単には公表できないんじゃないのかな?」と思いました。が、中国側は先手を取っていたのです。「中国側では既に汚職にかかわった人たちを逮捕し、すでに処分は終わっています。」とのことで、死刑になった人もいるとか?!さすが中国、やることが早いです。そもそも死刑になった人が本当の首謀者かはわかりませんけど、今は死人に口なしです。なので、どうやら中国側は本件が公表されても、痛くもなんともないみたいです。習の一連の汚職追放の一つとして扱われているのかもしれんが、「もう処分が終わったこと」となっているのです。それに対してモンゴル側は全く違います。現役や前の大統領も絡んでいるとなると、これは大スキャンダルになります。さらに多くの現役の政府幹部が関係していると推測されますから、なんとしても隠したいでしょうね。モンゴル側は隠したい、中国側はリストを握っている。しかも、公表しても処分は終わっているので、堂々と発表できる。この立場の違いはかなりヤバいです。こうなると、モンゴル側は「いろいろな」中国側の要求になかなか「NO!」とは言えないでしょうね。しかも中国側は重要度の低い関係者から小出しにリストを出してくるでしょうから、大臣、首相、大統領クラスは心配でしょうがないでしょう。ちなみに、現大統領のフレルスフは前大統領のバトトルガのせいにしています。当然、バトトルガは逮捕されるのを見越しますから、現在は韓国の病院に入院しに逃げているようです。都合が悪くなると病院に逃げるのは日本も同じですが、モンゴルの場合は国内の病院では安心できないのでしょう。オユーンエルデネ首相は「恐らく」この汚職には関係していないと言われていますから、早く全面的な真相解明をしたいところです。が、それを本気でやると自分をバックアップしてくれて来たフレルスフと対立することになります。まあ、もう実際には対立しているそうです。こうなると、国会の解散があるのではないかという声すら出ています。「解散権?大統領にあるの?」と聞くと「議員自ら3分の2以上の決議によって解散することができる」というのです。「議員自ら?一体どんなメリットがあるのか?」「自分で自分の議員の立場をなくす???」1つの見解としてはこうなります。今の状況はどうにもならないし、簡単には解決しない。このまま放っておいたら、2024年の選挙で人民党は大敗するのではないか?だったら、来年前倒しでやった方がいいのではないか?民主党は相変わらずごたごた続きで、人気がない与党人民党よりももっと人気ないから、勝てるんじゃないか?その方が長期的には安定につながるだろう。という考え方です。岸田政権がどんなに不人気でも野党には負けるはずない、というのと似たような構図なのでしょう。ダメ野党がいる国は、与党の横暴を防げないという典型的な2例だと思います。中国としては、自分の立場しか考えないモンゴルの政治家は大歓迎でしょうし、脅しやすいのでしょう。当分は、中国の支配からは逃れられそうにもないモンゴルです。
2022.12.21
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数日前から、モンゴルで大きなデモが起きているとの情報があります。日本のネットニュースにも出ているので、ご覧になられている方も多いと思います。この寒い時期に、一体何が起きているのでしょうか?まず、いくつかのネットニュースを整理してみましょう。ウランバートルで数千人規模のデモが12月4日に起きたとあります。そしてそれがすぐには収まらず、7日現在でも続いているというのです。警察とデモ隊の衝突もあるようです。場所はスフバートル広場です。一部の暴徒化したデモ隊が政府庁舎などにも侵入したとあり、更には大統領宮殿前でもデモがあるとの報道もあります。大統領宮殿であれば、スフバートル広場とは反対側の川を挟んだザイサン方面ということになります。市内でも結構広い地域で起こっているということなのでしょう。デモの原因としては、長く続くインフレへの不満などがあるようですが、直接のきっかけは中国への石炭輸出を巡る汚職への反発とありますが、具体的にはどのようなことなのでしょうか?日本に届くネットニュースだけでは良くわかりません。以下、私が現在得ている断片的な情報を書きます。ここで言う中国向け石炭に関する汚職というのは、どうやら今までの汚職とはレベルが違うようです。今までも当然ですが汚職はあったに決まっていますが、それは許認可とか輸出額の何パーセントとか、よくある輸出者に対して政治家がお金を無心するというようなものでした。ですが、今回のはもっと大きく、敢えて言えば国家レベルでの汚職ともいえるレベルです。報道では650万トン、18億ドル(2450億円相)とあり、とんでもなく大きな金額です。時代は全然違いますが、ロッキード事件の5億円、リクルート事件6億円とはけた違いどころの話ではありません。これはどういう仕組みで、どのように発覚されたのでしょうか?そもそもの発覚は、統計のずれにあったようです。中国政府が発表したモンゴルから中国への石炭輸入量とモンゴル政府が発表した中国への石炭輸出量との間に差があったというのです。その差は誤差というレベルではなく、明らかな違いであったというのがそもそもの発端です。ネットニュースでの「650万トンが盗まれた?」というのは、この両国の統計上の差異を指していると思われます。モンゴルの石炭輸出は最近のコロナで変動が大きいのですが、2019年は3600万トン(31億ドル)、2021年は1600万トン(28億ドル)で、今年は昨年よりは増えたと言われています。確かにこのレベルの中で650万トン、18億ドルというのは「統計の誤差」どころではない差異です。中国は実際にモンゴルから届いた石炭の量を発表しているので、差異を生み出しているのはモンゴル側です。しかも正確な数字はわかりませんが、モンゴル側の数字を単純計算すると、輸出単価が異常に低いという問題もあるのです。ま、簡単に言えば「薄められた」と表現してもいい状態なのです。しかもこの汚職資金の捻出の仕方が複雑なのです。これだけ大きな金額となると、インチキの口座に振り込むにしても大ごとですし、中国とのお金のやり取りがあるので、外国為替の問題が出てきます。そうなれば簡単に足がついてしまうというものです。ではどうするのか?それはお金ではなく、モノで受け取るのです。例えば建設資材。ウランバートへ行かれた方は、あちこちでたくさんのアパートや商業ビルが立ち並んでいるのをご覧になったでしょう。あれらの建築資材の多くが中国から来ています。モンゴル側で石炭を中国へ輸出し、直接の代金は受け取らずに建築資材の形でモンゴルへ輸入し、ビルやアパートを建設販売してモンゴル国内で現金化するというわけです。これであれば、外国為替を通す必要がないので、資金の流れが見えにくくなります。ただ、これだけの金額ですから、数か月やそこらでできる話ではないでしょう。また一部の政治家がちょこちょこっと操作できるレベルでもありません。これだけの規模の汚職をするとすれば、許認可権を持つ政治家、石炭採掘業者、建築資材輸入業者、モンゴル国内での不動産開発業者、金融関係者、更には中国側での協力者などがないととてもできないのは明白です。そしてこれだけの規模で関係者を動かせるとなれば、相当の権力者でないととてもできません。その最有力容疑者は、前首相であり、現大統領であるフレルスフではないかと言われています。確かに現在のフレルスフ大統領は歴代の中でもトップクラスの強い権力者だと聞きます。現在のオヨーンエルデネ首相がこの件に関わっているのかどうかはわかりませんが、彼は実質的にフレルスフによって指名された首相ですから、基本的には大統領には従います。ですが、当然のことながら現在のデモや汚職疑惑については、国民からは現首相に対して批判が行きます。もし現首相が汚職にかかわっていないとしたら?真相はわかりませんが、現在、大統領と首相が対立しているという情報も入ってきています。これは今まで起きたモンゴルでの汚職とは比べ物にならないくらいの大スキャンダルに発展する可能性もありますが、一方で大統領と首相は同じ人民党ですから、どこかで手打ちをして「ああ、あれはオペレーション上のミスが重なっただけのことであった」なんて結末になるのかもしれません。こうした汚職疑惑に、ここ数年溜まりに溜まった「物価高」「低賃金」「高失業率」などへの不満が一気に爆発したデモだと言えるのだと思います。マイナス30度でのデモはモンゴル人にだって寒いですが、そうせざるを得ないほどの厳しい生活環境なんだということなのです。
2022.12.08
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習近平の軟禁情報は世界中を回ったようです。が、27日に習が姿を現したことでフェイクであると結論付けられました。今回の噂の経緯と、広がった理由を考えてみます。そもそもの発端は、北京に向かう国内便の多くが欠航しているというニュースから始まったようです。あるいは、北京方向に軍の車両が数珠つなぎになって向かっているとか。こうした「若干の事実」をベースに反体制派の人たちが広めたらしいです。あんなに管理が厳しい中国にもまだ「反体制派ジャーナリスト」がいるんだと、少し驚きました。こうした噂を広めたのが、これも被弾圧団体である法輪功グループのようです。ま、新興宗教ですね。日本の統一教会もひどいですが、中国政府も新興宗教には手を焼いているのでしょう。もっとも日本の場合は、弾圧対象ではなく、現役首相や自民党議員は応援者で、大切な支持者団体ですけど。ここまでなら中国国内の問題ですが、それをインドのメディアが取り上げ、そのまま世界に広がったようです。ただ私も書いた時点で感じたのは、外国人ほど中国人は騒いでないなと言うことでした。具体的には、日本にいる中国人に「凄いことになっている」と伝えても、驚きはなく、「どうせ噂でしょ?」ってな感じで、大した反応はなかったのです。その辺を少し探ってみると、、、今回の噂の広がりには、海外の華人・華僑が関わっているようなのです。関わると言っても、意図的に悪い噂を広めたという意味ではありません。要は人間の心理の影響だということなのです。日本人なんか特に多いですが、理由もなく「きっと大丈夫」「きっと日本経済は復活する」「きっと日本は戦争で勝つ」みたいな、あの希望的観測に乗っかる心理状態です。人は話を聞いた時に、自分の願望に近い話は信じたくなるという傾向があるそうです。要するに、多くの華人・華僑たちは、「習近平よ、いい加減にしてくれ。これじゃあ、アメリカや西側とのビジネスができないじゃないか!」「人権なんてどうでもいいけど、ビジネスの支障になることは止めてくれ!」という潜在的な願望があるのです。そういう時に、こうした「願ったり!の噂」にはすぐに飛びつきたくなるのです。欧米人からしても、華人・華僑が発信する情報となれば「これは単なる噂ではないな」と思い、ますます広がるというわけです。要するに、今回の噂は海外の華人・華僑が願っている通りのシナリオだったということらしいのです。なので潜在的には習失脚のニーズはありますが、中国国内では全く相手にされていない情報のようです。私も正直「おっ、これはいいニュースかも!」って思ったのは事実ですからね。失礼しました!
2022.10.03
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昨日の夜から、不穏な噂が耳に入ってきます。モンゴル人の友人に「習近平が軍部に軟禁されたって、本当ですか?」と聞かれたのです。驚いて、「何それ?どこで聞いたの?」というと「モンゴルのSNSに出始めている」とのことでした。噂の筋書きとしては、10月の共産党大会を前に、軍部がこれ以上の習近平の暴走を抑えるために軟禁したとか。もちろん、真偽のほどはわかりませんし、習は中国の軍のトップでもあるので、もし本当なら立派なクーデターでしょう。現時点で日本語のニュースはありませんが、Youtube上の中国語テレビニュースには「出大事了!習近平被軟禁在中南海家中?習連任懸了?」(何かあった!中南海の自宅で軟禁中の習近平?習氏再選あるか?」というのが半日前に掲載されました。恐らく中国国内ではないと思いますが。驚傳習近平遭軟禁 軍權被罷黜!(習近平が自宅軟禁され、軍事力が解任されたという衝撃の噂!)というのもありますが、どうやらこの2本の記事はともに香港から出ているようです。これだけでは単なる再生回数を稼ぎたい偽情報ユーチューバーの可能性があります。もう少し調べると、時刻新聞という中国語のニュースを見つけました。発行元がどこかは、私の中国語能力では調べ切れてませんが、単なるアドホックなニュースを出しているのではなく、過去からたくさんのニュースを伝えているサイトのようです。それにはかなり具体的に書かれています。翻訳で書いてみましょう。以下引用を翻訳World Wide Readers Network によると、中国共産党の第 20 回全国代表大会が近づく 9 月 22 日、北京から様々なニュースが出てきました。Twitterによると、習近平の中央アジア滞在中に中国共産党の退役軍人が行動を起こし、中央警備局を調整し、習近平の軍事力をはく奪し、16日遅くに北京に戻った後、習近平は現在自宅軟禁されている。現在、この噂は確認されていません。しかし、22 日に中国共産党の公式メディアに掲載された記事は、習近平が中国共産党軍の指揮権を剥奪されたという噂を裏付けるように見えました。Xingaodiは22日にニュースを発表し、北京は衝撃を受けました。習主席は14日に中央アジアを訪問している時、胡元主席と温元首相は常務委員会の元メンバーである宋平(筆者中:なんと105歳の長老!)を説得し、その夜、中央保安局に連絡した。 中央委員会のメンバーと北京の元常務委員会のメンバーは、挙手をして習近平の軍事力をはく奪した. 習近平は16日の夜に北京に戻り、空港で拘束され、現在中南海の自宅で軟禁されている。 現在事実確認はできていません。エリックのTwitterの友人も、スレッドに情報を追加し、北京から出てくるあらゆる種類のニュースを整理しました. ツイートは、習近平が9月16日の深夜に北京に戻ったと書いた.中央保安局の警備員は全員交代し、現在、全体的な状況は胡錦涛の管理下にある。中国共産党政治局も緊急会議を開催し、胡錦濤が議長を務め、現在の常務委員の李克強と王陽、元常務委員の温家宝と習近平が出席したが、習はオブザーバーに過ぎなかった。2月に習主席とプーチン大統領が調印した中ロ密約が中央政府によって破棄されたため、ロシア側は天然ガスを中国の官庁に1週間送ると発表した。また、北京発の高速鉄道の切符が数日前から第11期中に売り切れと発表されたのは異例のことで、第7回の総合対決に向けて準備を進めているようだ。高速鉄道は軍隊を配備する最も効果的な方法です。現在、上記の噂は確認されていません。以上です。この記事の内容は、単なる噂にしては、筋が通っていて信ぴょう性があります。まだまだいろんな情報がありますが、とりあえずはこの段階でアップします。最初のニュースソースは、モンゴルでのSNSでした。追加で書きます。どうやらこの動きの伏線があるように見えます。習は現在評判の悪いゼロコロナ政策を推し進め、それが大成功しているとアピールしたいようなのです。そしてどうもそのゼロコロナ政策は、我々が想像するよりも、ずっと過酷な政策のようなのです。チベットでは50日以上も外出禁止で餓死者が出ているとか、隔離の名のもとに反対する人たちを有無を言わせずどんどん隔離施設に送り込んでいるとか。そして10月の重要な共産党大会に向けては、「コロナの危険があるため、長老たちは参加させない」「隔離して安全な場所に移動させる」などの話が出ているそうなのです。習に何か言えるのは長老しかいませんから、そいつらをコロナ名目で閉じ込めてしまえ!ということなのでしょう。そうしたことを察知した長老たちが、何かの動きを起こしたということのようです。特に105歳の宋にしてみれば「いつ死んでも構わない。怖いものはない。」という心境で、今回立ち上がったのではないかという見立てがあります。また現在「習近平軟禁」は中国ででは検索不可能となっているそうです。以上、追記でした。
2022.09.25
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モンゴルからいろいろな情報が定期的に送られてきます。内容は、ネットニュースのまとめみたいな感じで、政治や経済のことが短く英語で書かれています。それを更に深く見たければ、大元の情報サイトに飛べば見られるというわけです。(大元はモンゴル語ですけど)そのニュースの見出しにはこうありました。「UBの交通渋滞を25%削減するために、 light railway system が2024年に稼働し、3つのルートが設定されている。運賃は700-1200トゥグルグとなるであろう。」というものでした。え??鉄道?2024年稼働?どういうこと?「聞いてないよー!」と思いました。もちろん私にいちいち報告する必要はありませんが、10年近く前に地下鉄構想やモノレール化など結構ウランバートル市の人や政治家らとも話し合ったことがあるので、そう思ったわけです。あれから随分時間がたっていますから、話としてはありえるかもしれません。でも、運賃が700-1200トゥグルグというのは30円から50円程度ということになります。庶民のために低価格にしたい気持ちはよくわかりますが、とてもその運賃では資金回収はできないですし、当初資金を別にしても運営収支は合わないでしょう。人口150万人近いウランバートル市に新交通手段が必要としていることは理解できますし、そのための検討も何度もしていることは知っています。ですが、投資資金の調達をどうするか、その後の運営資金をどうするかの目途が立たないのです。日本のODAという話は以前にはあったようですが、今は無理でしょう。モンゴルの政治家が望む30円程度の運賃ではとても運営できないのです。モンゴルの冬はマイナス30度どころか40度にもなります。その時のレール管理、停留場の管理などかなり難しいものがあります。地下鉄は有力な手段ですが、投資額が大きすぎてとても調達できません。調達にGOサインを出せそうな事業計画は作れないでしょう。ここの記事には軽便鉄道システム(LR)とあるので、恐らく道路を走る電車のことでしょう。今もトロリーバスが走っていますから、そこを使えるということかもしれませんが、トロリーバスは一般車両との混合通行ですが、LRは専用レーンになると思いますので、ある意味もっと道路は渋滞するでしょうね。UBの鉄道に関しては、今まで3つの可能性を当局から聞きました。一つは地下鉄。路線図やイメージ図も見せてもらいましたが、やはり建設資金が膨大である点とその後の運営赤字が大きいという問題がありました。モノレールというのもありました。こちらの方が建設資金は小さいのですが、マイナス40度の世界でモノレールを運営できるのか、誰も経験がないことです。極寒の中、高いところにあるホームで安全に乗客が待てるのか?そのための寒さ対策を考えると、建設コストが大きくなってしまいます。更には鉄道という話もありました。これは現在のモンゴル縦貫鉄道のウランバートル部分にバイパスを設けて、現在の路線を都市交通に生かすというような話でしたが、これも頓挫しました。モンゴルの官僚や政治家と話していて感じたのは「とにかく自分たちには金はない。技術ももちろんない。資金は国でも民間でも全部日本が出してほしい。そして儲けたら、そこから返済すればよい」というものでした。しかも「運賃は安くしないといけない。儲けるかどうかは、日本側の問題」みたいな感じでしたね。当然ですが、こんないい加減な計画では話し合いにもなりません。まあ、それでもやるというのはあの国しかないでしょうね。で、今回の報道の顛末はどうなったのか?この話は現在止まっています。報道されてからわずか10日も経たないうち頓挫したようです。そもそもこの話は多くの人が知っていた話ではなく、補正予算の審議中に浮上してきた話だそうです。フェーズ1、つまり最初のルートでしょう、それで必要なのは18キロで8億ドルくらい。3路線合計で30億ドル前後らしいです。今のレートでは4000億円近い額です。モンゴル政府が5億ドルの保証を付けるなら、中国が全額ローンを出してくれるという説明だったそうです。そうなると、今もたくさんある負債がGDPの70%近くまで膨らんでしまいます。UB市のグループは2024年の選挙活動資金を得るために強引に話を進めようとしたらしいのです。鉄道建設資金がなぜ選挙資金に?と疑問を持つ方もいるかもしれませんが、もしこれが決まれば当然中国側からたんまりと賄賂をもらう予定であったということだと思います。ですが、世論は反対しました。当然です。中国から大きな資金を借りるけど、もちろん返済できない。当該鉄道網は中国のものになるだけではなく、国としてもお金に変わる何かを差し出す必要が出てきます。それが鉱山の権利なのか、国土の一部なのかはわかりませんが。現に中国は借金を返せなかったタジキスタンは中国に領土を割譲させられてしまいましたから。モンゴルも中国化に金返せないときは、その覚悟が必要です。モンゴル国民は、中国の借金漬けになるよりは渋滞のほうがまし、というあるいみ正常な感覚を持ち続けているのだと思います。今回のこの件は、これで一件落着かはまだわかりませんが、とりあえず国民の常識が一部の政治家の利権を抑えたということでしょう。
2022.04.29
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現地北京オリンピック会場にいるモンゴル人スタッフからの報告です。昨年の東京オリンピックと比べた感想を聞きました。「基本的には中国人による中国人のためのオリンピックあって、東京オリンピックのような国際的なイメージはない。」とのことです。食事に関しては、ネット上にいろいろ出ていますが「そんなにまずいってことはないけど、バブルなので他に選択肢がない中、やたら値段が高い印象です。」だそうです。料理の質は、日本と比べられるレベルのものではないとのこと。私がネットニュースで見て、「お土産物販が売れているみたいですね?」と聞くと、「買っているのは中国人しかいませんよ。」とのこと。どういうことか?まずはネットの日本語ニュースを見てみましょう。 「北京にある2022年北京冬季オリンピック公式グッズ旗艦店は公式グッズの販売店の中で最も広く、商品の種類も最も多い店です。春節の大型連休期間中、旗艦店の前にはいつも長い行列ができていて、数百メートルに達したこともありました。ぬいぐるみだけでなく、「ビンドゥンドゥン」の記念バッジやフィギュア、ストラップなども大人気。また、ネット販売のプラットフォームでは、発売直後に即時完売することもしばしばありました。」とありました。ビンドゥンドゥンです。よくよく考えると、この内容はおかしいですね。「春節の大型連休中」と書いてあるのを読むと、買っているのはたくさんの中国人のように思えますが、この店はいわゆる「バブル」の中にあるので、一般人は立ち入ることはできないのです。どういうことなんでしょう?現地の「バブル内」の印象はとにかく現地の中国人が多いということです。それは一般人ではなく基本的にはボランティアなんですが、とにかく多い。無茶苦茶多い。そしてそのボランティアたちは、ボランティアをするというよりもお土産物を求めて殺到するんだそうです。ここに書いてあるように、バブル内にあるオフィシャルショップは大きくて、そこにしかないものもあり、大人気です。が、並んでいるのは中国人ばかり。ちょこっとしたお土産やキーホルダーでも買おうかなと思っても、とにかく長蛇の列に並ばないと買えないのです。右はシュエロンロンしかもここに書いてあるように数百メートルも並ばないといけないのです。なので、西洋人はまず並んでまで買う人はいない。他のアジア人(中国人以外)もばかばかしくて買わない。なんせ開店の2時間前から長蛇の列ですから、買えるはずないのです。この滅茶苦茶多いボランティアの人たちは、ボランティアが目的ではなく、この店での買い物が目的かと思うほどです。で、彼らはそんなに買ってどうするのか?当然彼らもオリンピック終了までバブルから出られませんから、誰かにあげることはできません。で、郵送というか宅配便というか、それで中国国内に送るのです。オフィシャルショップの近くには郵便局があって、そこまた中国人がものすごく並んでいるのです。とてもじゃないが、外国人は入れません。オークションサイトを見ると、結構な高値でビンドゥンドゥンのぬいぐるみが売られています。なるほど、バブル内という一般人が立ち入れないショップで買ったこれらのグッズはお土産にもなるし、転売してもいい値段が付くというわけです。こういう大本営発表そのままの記事を読むと、まるで北京オリンピックを訪れた世界のアスリートがオフィシャルグッズをたくさん買っているかのような印象を与えますが、それは全くないのです。中国人のためのオリンピックであり、それがまさに習の狙いでもあるわけですから、外国人が買えるかどうかなんてどうでもいいのです。沙羅ちゃんの失格問題、羽生の氷の穴問題、スノーボード竹内智香の勝利取り消し問題、ショートトラックの中韓の非難合戦、いつものことではあるがロシアのドーピング問題などなど、過去のオリンピックとは比較にならないくらい、悪印象連続のオリンピックとなっています。でも、習は全然気にしないでしょう。国内向けには検閲済みか忖度満載のニュースしか流れないので、「さすがは習先生のご指導の下、北京オリンピックは大成功し、世界中から尊敬を集めていますね!」というプロパガンダで覆い隠すのですから。やはり「習による中国国内向けの国際ショー」でしかないということです。IOCバッハは公平さとか選手の犠牲などにはもちろん関心ありません。チャイナマネーがたんまり入ってくるかどうかだけが唯一の関心事なんですから。それはそれでご満悦でしょう。
2022.02.10
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オリンピックのスポンサーはグローバルにもローカルにも世界各地でたくさんありますが、その中でも最高位のスポンサーは「ワールドワイドオリンピックパートナー」で、日本企業としてはトヨタ、ブリヂストンそしてパナソニックがなっています。この3社に関しては、排他的にこのスポンサーの製品を使うことになっていますし、場合によってはテレビでの映りこみも含めてかなり慎重にチェックされます。コカ・コーラなどはかなりセンシティブに管理していることで有名です。東京オリンピックでは、当然使われる車はすべてトヨタ車であり、ホンダや日産の車が使われることはありませんでした。と言うのが今までの常識でしたが、さすがは中国、こんな常識やルールは通用しません。選手やメディア関係者らの送迎に使う車には、トヨタ車以外が多いのが実態だそうです。メディアの人を迎えに来たのは日産ティアナだったりします。ちなみに日本ではもう販売されていないティアナは中国では人気のセダンです。じゃあトヨタのトップスポンサーとしての地位は完全に無視されているのか?と言えば、そこは中国、ちゃんと対策は取ってあります。それはなんと日産のエンブレム の上に黒いテープが張られているそうです。更にハンドルにも必ずついているエンブレムにも黒テープが張られているんだそうです。さすがは中国、このテープで「契約は守っているんだぞ」ということを表現しているんでしょうね。しかもこれはティアナのボディが黒だから、テープも黒らしいのです。なぜなら、選手を乗せるマイクロバスはヒュンダイなのですが、それはボディがシルバーなのでエンブレムを隠すテープもシルバーなんだそうな。そんなところに気を使うなら、もっと本質的な問題に気を使うべきなんじゃないかと思います。トヨタは中国でも194万台も売っており、いくらでも車はあるはずなのですが、なぜかオリンピックで使われるのは他社メーカーが多いそうです。日産、ヒュンダイ以外にも中国メーカーも多いそうです。電気自動車で有名なBYD(中国トップクラスの電気自動車メーカー)もかなり使われているそうですが、もちろんちゃんと車内外のエンブレムをテープで張って隠しています。トヨタは何の文句も言わないんでしょうかね?それとも、トヨタ自身が「北京オリンピックへの車の供給を止めた」のでしょうか?そこはさすがにわかりません。まだまだ日本の報道機関では伝えられないような、超マイナーな話題が提供できたらいいなと思っています。(基本的なネタ元は、北京滞在中のモンゴル人の友人とのFace Timeです)
2022.02.05
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もうすぐ北京オリンピックとツァガンサルです。今後の日程をまとめると次のようになります。1月31日オユーンエルデネ首相が北京へ2月1日中国の春節、モンゴルの大晦日2月2日モンゴルのツァガンサル2月4日北京オリンピック開会式2月20日北京オリンピック閉会式多くの西側諸国首脳が北京オリンピック開会式への参加を拒否している中、モンゴルのオユーンエルデネ首相は12月末に参加を表明し、中国政府は即座に「熱烈歓迎」と反応しました。さすがに輸出先の9割を占める中国相手にケンカを売ることもできませんから、これはまっとうな判断だと思います。モンゴルの大統領や首相が日本へ来るときには、通常便のMIATに政府関係者や報道陣も一緒に乗ってくることもあります。ところが今回は、首相の乗る飛行機と報道陣の乗る飛行機は別々なんだそうです。ちなみに、両方ともチャーター便だそうです。せっかく貸し切り便にするのですから、一緒に乗ればいいと思うのですが、そうではありません。しかもそれは「中国政府からの指示」によるものなんだそうです。なぜか?それはオユーンエルデネ首相は中国の習主席と会う可能性があるからです。習は今や中国の皇帝みたいなもんですから、中国にとっては最も大切な人です。その習に会う可能性がある人は、絶対にコロナに感染していてはいけないのです。なので、習に会う可能性がある人は誰であっても、特別機で北京入りしないといけないのです。特別機というのは、もちろん一般人と同じ飛行機ではないということであり、報道関係者も一般人と同じということです。最小限の政府関係者のみがその特別機に乗れるのです。ということで、首相は少数の政府関係者を従えて、MIATのチャーター便で北京に行くというわけです。一方、通常であればそのチャーター便に乗ることができるメディア代表の人たちは、別のチャーター便で行くことになりました。こちらはフンヌエアーのチャーター便です。30名弱の報道陣らがフンヌエアーに乗っていきますが、そのチャーター便費用は当然ですがメディア側が出さねばなりません。なので、莫大なチャーター便費用を20数名の搭乗者で割り勘することになり、かなり割高なチケットとなったようです。しかも北京到着後は、例の「バブル内行動」のみです。北京滞在での報道陣が宿泊するホテルも中国政府指定のホテルで、しかも価格も指定価格です。更に、一旦このバブルに入った人は閉会式の2月20日までバブルから出ることはできません。帰国することもできないのだそうです。これは日本人の報道陣も同じように扱われるとネットニュースに出ていました。なんと現地のホテルの従業員たちも感染対策でこの3週間の期間中は自宅に帰れず、ホテルで寝泊まりをするんだそうです。仮に泊まったホテルの隣に有名なレストランがあったとしても、そのレストランへは行けないそうです。とにかくそのバブルからは絶対に出させないとのことです。昨年の東京オリンピックも当初は似たようなことを言ってましたが、実際には近所のコンビニどころか六本木に遊びに来ていた外国人選手はかなり多かったようです。その辺は、中国は相当厳しいでしょうね。自由行動とか人権とかを許していては、感染リスクが高まってしまうと思っているのでしょう。日本政府は外国人選手が「自由がない」とか「これは人権の問題だ!」などと騒ぐと、すぐにビビって「例外措置」を作って腰砕けになりますが、中国はそんなこと言われても、そもそも日常から自由も人権も認めていないのですから、ビビる必要もないでしょうね。それにしてもあと数日で開幕だというのに、こんなに事前に盛り上がらないオリンピックも珍しいのではないでしょうか?期間中、中国政府の異常な管理の厳しさでもわかりましたら、また報告させていただきます。
2022.01.27
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今年もツァガンサルに関する公式行事はない模様です。多くの県(アイマグ)も既に「県の公式行事は中止」と発表しています。今年のツァガンサルは2月2日で1日が大晦日ということになります。(中国とは日程は異なります)これで3年連続の中止となります。去年も一昨年も本ブログで書きましたが、本当にこの伝統的な行事はどんどん減っていくことになるでしょうね。公式的な行事はほとんどなくなり、家族だけの内輪のお正月ということになると思います。特にUBからはほとんど里帰りもなくなるでしょうから、田舎とUBを結び付ける習慣そのものが廃っていくのではないかと思います。それにしてもこのオミクロン株の影響は甚大です。特に観光立国を目指し、観光業を主要産業に育てようとしていたモンゴルには相当な誤算だと思います。2014年の本ブログによれば「当時の年間外国人観光客数は50万人程度であったのに対し、政府の2030年の目標は500万人」でした。当然ですが、その後のコロナでそんな数字は吹き飛んでしまっていると思いますが、そうした数字が私の頭の中に少し残っていました。それが残っていたので「2021年のインバウンドは323,300人がモンゴルに入国した」というニュースには「え?30万人もいるの?あの頃50万人だったけど、このコロナ禍で4割しか減っていないのか?飛行機もほとんど運休したのに・・・?」と不思議に思ったのです。ですが、どうやらそのニュースの見出しが誤解を招くような書き方だったことがわかりました。いや、正確に言えば「私が誤解していた」というほうが正しいでしょう。どうも日本のマスコミの「インバウンド」の使い方に慣れてしまっています。要するに私はインバウンドを「インバウンド外国人」だと勝手に思い込んでしまったのですが、英語をちゃんと調べると、ここでの使い方は単に「国境を越えて入国した」という意味のようです。で、私が「そんなに多いのか?」と誤解した、本当の意味での外国人の入国者数はわずか39,200人でした。日本も同じですが、コロナ前の10分の1以下というのは当然の結果でしょう。つまりこの32万人の9割近くはモンゴル人だったということです。どんな人たちなんでしょうか?私が関心を持ったのは入国した場所別入国者数です。通常の外国人観光客であれば圧倒的にウランバートルの空港でしょう。ですが、その外国人観光客の数字は小さいままで、しかも多くの国際線は運航中止か大幅な減便ですから、全体の人数には影響しないと考えられます。で、結果はやはりほとんどが陸路でした。陸路となれば当然国境の町ザミンウッドが一番だと思いましたが、そうではないのです。第1位はガシューンスハイト(Gashuun Sukhait)というあまり耳慣れない検問所です。ここだけで全インバウンドの24.7%とほぼ4分の1にあたる人数が記録されています。場所を調べると、ザミンウッドよりも西へ700kmほど行ったところの中国との国境地域です。ここから北へほんの100kmちょっとでオユトルゴイ鉱山があります。更にその140kmほど先にはタワントルゴイがあるのです。つまりこのガシューンスハイトは、OTやTTの石炭や銅を中国に運ぶために設けられた検問所と言っていいでしょう。多くの車両が頻繁に出入りする場所ですから、延べ人数にすれば数万人規模になるのはわかります。第2位は16.4%のザミンウッドです。これは日用品や食料品をはじめ、海外からの輸入品の多くが通る昔からの要所です。日本から送られた車などもここを通ります。第3位は12.1%のシヴェーフレン(Shivee Khuren)とこれまた聞きなれない地名です。これは第1位のガシューンスハイトからさらに西に1000km以上行った中国との国境に位置しています。恐らくここも鉱山関係の車両の出入りが多いのでしょう。そして第4位は5.7%のボヤントオハー(Buyant-Ukhaa)です。これまた聞きなれない地名です。また中国との国境なんだろうか?と調べてみたら、なんと旧ウランバートル国際空港、つまりチンギスハーン国際空港のことです。2020年7月に新空港がチンギスハーン国際空港を名乗ることから、この名前に変更になったそうです。ですが、正確には旧名に戻ったんだそうです。2005年にチンギスハーン国際空港に変更されたとあります。ということは、私が最初にモンゴルに行ったときは、ボヤントオハー国際空港でチンギスハーン国際空港ではなかったのですね。全然知りませんでしたし、確かに当時空港名まで気にはしていなかったと思います。5.7%、13,000人余りの人が空路でモンゴルに入国したということでしょう。13、000人を単純に365日で割ると、1日平均36人程度。厳しい状況がわかります。新空港を勘案して半年で割っても1日70人程度です。そして第5位がアルタンブラグ(Altanbulag)で5.2%です。これはモンゴル鉄道の北の国境にある検問所です。セレンゲ県スフバートル市の北隣にあります。もちろん、ロシアとの交易、交通の要所です。こうして見ると、2000年ころを想定した場合と比較すると、今のモンゴルの置かれている状況がよくわかります。当時は第1位のガシューンスハイトと第3位のシヴェーフレン合わせて36.8%もの入国はほぼゼロだったでしょう。これに従来からのザミンウッドを加えると過半数を超えます。しかも6位以下の合計で35.9%もあるわけで、その中には中国関係もたくさん含まれることでしょう。コロナだからこそ見えてくる、というか、観光客などを除いた「不要不急」で仕事している人たちのみの数字がこうした数字に反映しているのだと思います。最早、モンゴルにとっての国際的人的交流は7,8割が中国相手になってしまったと言っていいと思います。当分は「中国のくびき」から抜けられそうにありません。
2022.01.23
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10月31日からイギリス・グラスゴーにおいてCOP26が開催されました。正式名称は「国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)」というずいぶん長い名前です。ここでは当然のことですが、地球温暖化対策を中心に話し合われました。報道によれば、先進国と途上国との対立などが大きな問題となっているようです。特に世界最大の人口を抱える中国やインドへの「より積極的な参加」を先進国が促しているように見えます。日本の立場も微妙で、立場的には先進国グループなんですが、石炭火力発電を止めるという宣言も出せずに「化石賞」を今年もまたもらったようです。世界的には中国の世界の世論を無視した横暴が多いこの頃ですが、この件に関しては同情すべき余地はあると思います。産業革命以降、ヨーロッパやアメリカはやりたい放題好き勝手に石炭を使い、その後はじゃぶじゃぶ石油を消費して経済発展を遂げたわけです。日本も同じです。なので、過去200年くらいの中で溜まりに溜まったCO2などの大元はほとんどが欧米日が元凶だと言ってもいいと思います。中国が世界的に脅威となるような化石燃料による排出をするようになったのはせいぜいここ20-30年程度です。なんとか欧米に追い付こうと、豊かになろうと頑張ってきた途中であるのに、「化石燃料はやめろ!」と言われているわけです。日本も基本的に同じ構造ですが、中国より早めに先進国になったので、偉そうに欧米側にいるわけです。この会議が、1970年代の高度成長の真っ最中だったらきっと「もうちょっと待ってください。あと10年くらいで先進国に追いつきますんで」なんて言ってたかもしれません。ただ現実には今日現在中国は世界最大の石炭産出国であり、石炭消費国なんですね。石炭はかなりの自給率がありますから、エネルギー安保の面でも「もう少し石炭で発電させてほしい」と言いたいところだと思います。短期的には、オーストラリアからの石炭輸入を停止したために、石炭火力発電での石炭不足となり、困っているところです。その恩恵で、モンゴルからの石炭輸出は堅調なんですけど。そんな中国が力を入れているのが、脱石炭で再生可能エネルギーの強化です。再生エネルギーは主に風力と太陽光ですが、この両方ともに力を入れています。そこで狙われているのが、内モンゴルです。内モンゴルの西方には、なんと東京23区くらいの敷地に世界最大の太陽光発電所を作ったというのです。その発電量はなんと原発4基分に相当するそうです。辛亥革命以降、モンゴル人の土地(主に内モンゴル)に大量の漢人が侵入してきました。当初は、先祖伝来から遊牧民の遊牧地であることを知っていたので、恐る恐る遠慮気味に進出し、小規模な農耕地としていたそうです。ですが、共産党が完全把握してからは、モンゴル人を追い出しながらどんどん農耕地化していったのです。主だった豊かな草原は、農地になるか、工場などの産業設備ができるか、鉱山開発されるかなどで、遊牧に適した草原はどんどん減ってきたのです。仕方なく、遊牧民を続ける内モンゴル人は砂漠や砂礫地帯に追いやられたのです。ゴビ砂漠は「砂漠」といっても、アラビアの砂漠とは違い、小さな植物などが生成しており、「最良の草原」ではないですが、遊牧は可能な場所はあります。しかしそうした場所を太陽光発電に使おうというのです。こうなると、遊牧は全くできなくなってしまいます。今でもほとんど遊牧に適した場所は残されていないと言われるのに、農地にも鉱山にもならずに何とか残っていた砂漠、砂礫地域も塞がれてしまっては、内モンゴルの遊牧はほとんどなくなってしまうことでしょう。モンゴル人から言葉を取り上げ、モンゴル文字の教育を取り上げ、残された遊牧地域も取り上げられては、あと20-30年もすれば、モンゴルの遊牧文化まで消えてしまいそうな気がします。COP26の趣旨には賛成ですが、こうして大きな被害を被る民族がいるということも知ってほしいと思いますね。
2021.11.04
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前回の本ブログで、モンゴルはワクチン接種率が高いわりに未だに感染者数が多いということを書きました。私なりの推定理由は、都市部にあるゲル地区などが原因ではないかと書きました。が、その後、「それより、そもそもワクチンが中国製だからではないか?」とのコメントを得ていました。確かにモンゴルは世界中からかき集めたとはいえ、数量的には中国製ワクチンが圧倒的に多いようなので、そういうこともあるのかもしれません。ですが、中国製が効かないのが原因なら、世界中にばらまいている中国ワクチンが効果なしということになるので、モンゴル固有の現象であればそれは違うだろうと思っていました。そんな時に目にしたニュースがまさにそれでした!「新型コロナウイルスのワクチンの接種率が最も高い水準にありながら、圧倒的な勢いで感染者が急増しているバーレーンは6月3日、すでにシノファーム製ワクチンの2回の接種を完了した人を対象に、米ファイザーと独ビオンテックが共同開発したワクチンの「ブースターショット(追加接種)」を開始することを明らかにした。」との報道です。前回のブログでも書いたように世界の主要国の中でワクチン接種率が最も高いのはUAEです。そのUAEでの6月13日の1日の感染者数は2123人です。同じ日の日本は1947人。日本の人口はUAEのおよそ13倍です。なので、日本と同じ人口比で言うとなんと27,600人‼とオリンピックが絶対できないようなレベルの感染者数です。日本は世界でも主要国最低レベルのワクチン接種率、方やUAEやモンゴルは英米をも上回る世界トップレベルのワクチン接種率を誇ります。ですが、この大きな差!は何?理由は?それが中国製ワクチンだったということです。確かにモンゴルの主流は中国製であり、UAEからの情報ではほとんどが中国製ワクチンとのことです。つまりこううことでしょうか?「ワクチン接種を完了したから、もうこれで安心。」と思う国民が増え、それに伴い国民の行動がより自由になる。場合によってはマスクなんかいらない!「だってワクチン世界トップレベルだぞ!」との意識もあり、行動がどんどん危ない方向に行く。が、現実的には「効かないワクチン」を打っただけなので、打たない国よりも感染がどんどん広がった、ということでしょう。UAEについて「同国で接種を完了した人の割合は、およそ50%に達している。その上、シノファーム製のブースターショットをすでに開始していた。それにもかかわらず、人口10万人当たりの死者数がインドを大幅に上回っていることから、方針を変更したものとみられる。」とも報道しています。ブースターショットとは、免疫効果を補強する追加接種のことです。つまり、中国の正規の接種では効かないから、更に追加接種もしたけど、それでも効かないってことです。その結果、今ではファイザーのワクチン接種を始めたということなのです。なんともひどい話ですが、中国のインチキさを知っている日本人や欧米諸国から見れば「あるある」みたいな話です。オリンピックのために中国は日本に無料でワクチンを提供すると言ってきましたが、さすがに政府も国民も「いくら困っていても、それだけは自殺行為みたいなもんだから」と拒否したのは当然です。ですが、一応この中国ワクチンはWHOの認可を取っています。が、やはり中国が後ろから手を回してインチキ承認を取ったようなのです。中国も一応臨床試験はしましたが、対象は全員若くて健康な男子のみで、高齢者や女性は対象外だったそうです。なので、中国ワクチン(シノファームとシノバック)については、以前から有効性の検証は不十分だと指摘されていたのだそうです。それでも承認したのは、あの有名な中国マネーをバックにしたエチオピア人事務局長がいたからでしょう。これらを勘案すれば、なぜ世界トップレベルのワクチン接種率を誇るモンゴルとUAEに未だに日本の10倍以上もの高い比率で感染者数が多いのかがわかります。私は元々中国ワクチンは信じていませんし、「共産党が効くと言えば効くんだ!」「共産党が安全と言えば安全なんだ!それがルールなんだ!!」という国家体質が生み出すワクチンは絶対に日本には来てほしくないと思っていました。その時は「効かない」リスクよりも「安全性」の方が心配でした。接種直後に判明する副反応はまだましでしょう。一番怖いのは、5年か10年してから発症する恐ろしい病気です。モンゴルでの中国ワクチンが「ただ効かないワクチン」だけであることを祈ってます。別の報道でも多くの例が出ているようです。世界一の接種率と言われるセーシェルやモルジブ、バーレーン、チリ、ウルグアイなどは接種率50%を超えていますが、感染者数が急増しているようです。いずれも中国ワクチンが多くを占めています。最初の武漢ウイルスで世界中を苦しめた上に、更にインチキワクチンで被害を広げていると言えそうです。
2021.06.18
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黄砂の最大の原因は草原の砂漠化によるものです。ちょっと物知りの方はこう言うかもしれません。「花粉症は確かに戦後かもしれないけど、黄砂って随分昔からあると聞いた」と。確かに随分昔ではありますが、せいぜい江戸時代くらい以降でしょう。話は清の時代に遡ります。清は1616年に満洲に興った国ですから、江戸時代とほとんど同じです。1644年からは漢人中国とモンゴルを支配した大帝国となりました。支配したと言っても、その扱いは全然違って、力の足りない満洲人はモンゴル人の武力を借りて漢人を支配するという構図でした。つまり、満洲人とモンゴル人が支配層で漢人が被支配者側だったのです。なので、満洲人はモンゴル人の生活様式を守るべく「漢人は長城を超えてモンゴル人の遊牧地域である草原には入植してはならぬ」という規制を設けたのです。このブログでも何度かお伝えしていますが、遊牧民と農耕民族の対立は単に「遊牧地域を減らさないで」というレベルの話ではないのです。遊牧民は長い経験から、「果てしなく緑が続く草原は実は非常に弱いデリケートな表土である」ことを知っているのです。それは一度草原を掘り起こすと砂漠化してしまい、二度と元の草原には戻らないということです。一方、農耕民族にとっては「空き地があれば耕したい」「どんな小さな土地でも田畑に変えたい」というDNAがあります。日本人が山奥でも棚田を作ったり、厳しい寒さの北海道で開拓をしたのもその流れです。満洲人による清帝国運営が上手くいっていた時は、この漢人による草原への入植禁止は守られていました。ですが、清国の晩年となると満洲人の支配力はかなり落ちていました。更に「武器の近代化」によってアヘン戦争で敗北するなど、17世紀には世界最強だったかもしれないモンゴルの軍事力も、19世紀になってみると大して当てにならないことがわかってきたのです。そうした背景もあり、清朝末期には漢人による遊牧地域への入植が徐々に許され、辛亥革命(1911年)の頃には内モンゴルは既に漢人が人口の半分以上を占めるようになっていたという説もあるほどになりました。当初は「モンゴル人の土地で農業をさせていただく」的態度だった漢人も、その後徐々に変わっていき、共産党が牛耳るようになると、草原での農業をやり放題に変わって行ったのです。当然、遊牧できる土地がどんどん減少し、内モンゴル人は貧困化していきました。それでもその分漢人が農業で大もうけしたと言うならまだ理屈はゼロではないのですが、農業に適さない草原では数年もすると作物が育たなくなり、結局漢人も離農してしまったのです。「学ぶことを知らない漢人」はそれを内モンゴル内で繰り返し、今ではもうほとんど遊牧ができない程に砂漠化されてしまったのです。その「人工的に」砂漠化された内モンゴルで強風が吹くと黄砂が発生するようになったというわけです。モンゴル高原やゴビ砂漠では3月から5月にかけて時々暴風が吹き荒れます。ちなみにゴビ砂漠という日本語からまるでゴビはアラブの砂漠みたいだと勘違いされる方が多いですが、小さな草木が生えているステップです。まあ、緑の少ない草原という感じです。なので、大切に保護していれば、完全な砂漠にはなりません。内モンゴルは、そのステップを掘り起こして砂漠にしてしまったというわけです。私に言わせれば漢人の自業自得であり、自然を冒とくした仕返しであると思っています。このように「草原を大切にする北のモンゴル人」と「漢人にやり放題に荒らされた内モンゴル」は違います!と言いたいところなんですが。。。最近はどうもそんなきれいごとは通用しません。モンゴル側でも鉱山開発という名のもとに多くの地域で草原の生態系を崩してしまうような環境破壊が行われています。九州のぼた山のように、鉱物がなくなったらそのままほったらかし、という地域は多く、当然それらは砂漠化しています。とはいえまだ内モンゴルほどひどくはないようですが、このままいけばモンゴルが本当の黄砂の発生源になる日は近いような気がします。(完)
2021.03.17
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中国での黄砂に関するニュースが日本に伝わってきています。それらのニュースの伝えるところは「過去10年で最悪の黄砂」「視界が300m~700mしかない」「PM2.5がWHO基準の20倍」など、日常生活にも影響を及ぼすレベルであることを伝えています。ですが、そのような中で気になる報道があります。それは「モンゴルで起きた砂嵐に巻き上げられた砂ぼこりが北風に乗って飛来した。」とか「14日にモンゴル南部で発生した黄砂が中国北部の広い地域に拡散した。」などの記述です。もちろん、例によって日本のマスコミは共産党大本営の発表をそのまま真に受けて報道しているだけです。確かにほとんど先が見えませんね。中国の大本営の発表には気を付けないといけません。中国は民族問題が出たときは「内モンゴル人は中華民族の一部」と言いますが、何か都合が悪い時は今回のように「モンゴルで発生した」などと、あたかも外国に原因があるような言い方をします。これが単なる表現上の問題なのか「わざわざ中国ではなく、モンゴル国が悪い」と言いたい確信犯なのかは、別の報道でわかります。それは韓国での報道です。韓国のメディアが「中国発黄砂」と報道したら「中国ではない!モンゴルだ!」と韓国の報道を中国側が批判したのです。韓国側は「中国内内モンゴルで発生」と言っているのをわざわざ「中国ではない!」と主張しているのです。なんだか「中国ウイルス」と言われて「発生源は中国ではない!」と証拠もなしに主張するのと似ています。 もちろん発生源は内モンゴルですから、国としては中国ということです。 これは数年前に九州大学が黄砂の流れを発表したものです。日本人にとって発生源が中国であるかモンゴルであるはどっちでもいい話なので、これは中立的立場による研究と言えます。この天気図でもわかりますが、発生源とみられる赤い地域のほとんどが中国内の内モンゴル自治区と重なります。そしてそれにはちゃんと「理由がある」のです。端的に結果だけを言えば「犯人は中国人、つまり漢人」なのです。もっと言えば、これだけ深刻な黄砂が発生するのは自然現象ではなく、人為的行為による自然っぽい災難だということです。人為的と自然っぽい関係というのは、言ってみれば我々日本人の多くが苦しむ花粉症と似たような話です。ご存知の通り、日本では戦後植林で杉を植えすぎてしまい、それがそのまま残されてしまったためにこのような異常な花粉に悩まされているのです。江戸時代の人は花粉症なんてなかったでしょうね、少なくともこんなに広い地域では。(続く)
2021.03.16
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本年7月18日付け「モンゴル語教育禁止!!??」で、今まで大人しかった内モンゴルのモンゴル人が本当に抵抗できるかどうかわからないと書きましたが、どうやら遂に行動に出たようです。今日の新聞では「内モンゴル130人拘束」と出ていました。それによると、拘束された住民がいるのは区都フフホト市をはじめ、東部の通遼市や赤峰市、西部のオルドス市にも広がっているとのことです。更には抗議の自殺者や授業のボイコットまで出ているということです。内モンゴルではモンゴル人はモンゴル語教育を中心とする「民族学校」と中国語中心の通常の学校を選べるようなのです。当然、民族学校を選ぶということはモンゴル語で教育を受けられるということが最大の特徴です。つまり内モンゴルでは全部モンゴル語教育をしているのではなく、民族学校を希望するモンゴル人だけがその対象なのです。なのに、その民族学校での「国語」の授業でのモンゴル語を禁止し中国語にするというものですから、これは大変な問題です。比較していいのかどうかわかりませんが、在日韓国・朝鮮人の民族学校で「ハングル禁止」なんてことになったら、半島政府も含めて大騒動になるのは目に見えています。中国外務省報道官は「国の共通言語を学ぶことは権利であり、義務である」と述べていますが、これは対外的に誤解を与えることを狙っているように見えます。なぜなら、民族学校でも当然ですが中国を学ぶのです。なので、今までもちゃんと中国語は学んでいます。そもそも内モンゴルは既に大量の漢人が進出しているので、日常生活では中国語を使わないといけない状態なのです。その上で、モンゴル語をきちんと残そうと民族学校では子供たちにモンゴル語教育しているわけです。それを禁止するということは、当然「モンゴル語の消滅」「モンゴル語に基づくモンゴル文化(民謡、文学、詩、歴史など)の消滅」更には、漢化によるモンゴル民族そのものの消滅を狙っているとしか思えません。北のモンゴル国にとっても大きな問題です。現在モンゴル文字を日常的に使っているのは内モンゴル人だけなのです。モンゴル国ではロシアのキリル文字ですから、実は歴史的なモンゴル文字は読めないのです。もちろん、小中学校でモンゴル文字教育はしていますが、現実には使われることなくほとんど忘れられているのが現状です。実はこのような民族語を国語から外すという動きは既にウィグル自治区で2017年、チベット自治区で2018年にあったとのことです。これは民族弾圧の順番と逆の順番です。共産党による殺戮を伴う民族弾圧の最初のターゲットは文化大革命時の内モンゴル人でした。それを弾圧できたことに自信を持ち、次にチベットを弾圧したのです。その時にダライラマ14世がインドに亡命したのは有名な話です。多くのチベット僧侶を殺戮し弾圧をほぼ終えたところで、現在のターゲットがウィグル人です。これはまさに「過去の歴史」の話ではなく「現在進行中のジェノサイト(民族集団殺戮)」なのです。チベットやウィグル人弾圧は世界的に有名であり、著名人も含めて弾圧に反対の声をあげる人は多いですが、モンゴル人はあまりにも前の出来事(50年前)なので、ほとんどの外国人は知りませんし、実際、内モンゴル人たちからも「ほぼ諦めている」という声も聞きます。そんな羊のようにおとなしくなってしまった内モンゴル人たちも、さすがに今回のモンゴル語禁止には声をあげ、行動に出たのでしょう。これを機に、中国人の恐るべき民族弾圧をもっと外国人に知ってほしいと願っています。今の共産党相手では、多くの外国人が批判の声をあげたくらいでは何も変わらないだろうということはわかってはいますが、それでもやる必要はあると思います。中国悪魔が襲い掛かる相手は、モンゴル人、チベット人、ウィグル人そして香港人、台湾人です。もしこれらが全部成功したら、次に来るのは・・・?他人事ではないのです。
2020.09.16
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香港問題で揺れ、ウィグル自治区問題でも過激さを増す中国共産党がまたしてもひどい政策を打ち出してきたようです。それは内モンゴル自治区でのモンゴル語による教育の廃止です。中国共産党はほぼすべての周辺国と領土問題を起こし、大きなグループの少数民族を弾圧していますが、その原点は内モンゴルでのモンゴル人弾圧がそもそものスタートでした。中華民国設立後直後は少数民族の賛意を得るために表向きは自治権の保証らしいことを言ってましたが、共産党政権になり、文化大革命を通じてそれを全面的に否定しました。数千年前から北方遊牧民を恐れていた漢人は、文化大革命の名のもとに内モンゴルにおける多くのモンゴル人知識人を中心に殺戮や暴力などによって内モンゴル自治区を制圧しました。その成功に味を占めた共産党は「一番手ごわいモンゴル人さえも抑え込むことができたんだから、他の少数民族なんか難しくない」と次々に、少数民族弾圧に乗り出したのです。モンゴル人の次のターゲットはチベット人でした。ですが、漢人は自ら手を下す前に、モンゴル人を使ってチベット人を攻撃させたのです。チベット仏教への信仰が厚いモンゴル人にとっては、チベット人僧侶を殺害し、チベットの寺々を破壊する行為はさぞかし辛かったと思います。そして今はウィグル人への弾圧を強化しているのは承知の通りです。国内の主だった少数民族制圧に目途がたったからなの、今度は香港や台湾などの共産党に従わない外部地域の制圧に力を入れてます。その最初の「成功例」であった内モンゴルに対して、今度は言語弾圧です。言語弾圧の持つ意味は非常に大きいです。ある意味、領土を取られることよりも大きなインパクトとなりえます。領土は「いつか取り返せるかも」との希望的観測が残りますが、言語の場合は取り返しがつかないほどの影響が残るからです。モンゴル人が「我々はモンゴル人である」と明確に主張できる要因は大きく3つあると思います。一つは領土。中国の漢人農耕民族地域の北側に広がる草原地帯は、有史以来モンゴル人またはモンゴル系、トュルク系民族の領地でした。これは大きなアイデンティティです。二つ目はそこに広がる遊牧という生き方、更にはそれに伴う文化を持っている民族であるということです。当然今では遊牧ではない人々も多いですが、遊牧文化を基盤とする社会性は今も残されています。日本だって、今や農業は人口の3%程度ですが、文化の基本は稲作文化ですから。そして三つ目はモンゴル語を話すという人たちです。これも有史以来、モンゴル語または同系統のトュルク系言語だけがこの地で話されてきました。文字も伝統ある縦文字があります。これはウィグル文字から伝わったもので、漢字とは全く無関係の文字です。私が一番心配しているのは、このモンゴル縦文字の存続です。モンゴル国では社会主義時代にソ連の指示で縦文字は廃止され、キリル文字に変わってしまいました。民主化後、縦文字に回帰しようという動きや法律改正まであったのですが、残念ながら今もほとんど使われていません。今、モンゴル縦文字を日常的に使っているのは内モンゴルだけです。そこでの教育が廃止されるということは、モンゴル文字の存続の危機に瀕するということです。社会主義モンゴルでわかるように、一度使われなくなって数十年経過すると簡単には戻れなくなるのです。生まれた時からモンゴル文字を教えられたことがない人がそのままお年寄りになってしまうくらいの時間が経過すると、その後の世代の人たちにはもう戻せなくなるのです。モンゴル語教育を廃止したら、最初はモンゴル文字が継承されなくなり、やがてはモンゴル語自体が「学問上の言葉」だけになってしまうでしょう。日本も他人事ではありません。アイヌ人に対してアイヌ語での教育を廃止し、全て日本語教育にしてしまったせいで、今ではほとんど話せる人はいなくなり、研究する学者らの助けがないと、伝承もできないほどになってしまいました。長年の弾圧によって物言わなくなった内モンゴルのモンゴル人たちも、さすがに今回の件では声をあげようとしているみたいです。ですが長い時間と共に、漢人共産党と戦う気概を失った内モンゴル人たちが、香港やウィグル人のように抵抗できる力が残っているかはわかりません。モンゴル人の一番の弱点である「団結力」が必要なだけに、SNSで文句を言う程度しかできないのではないかと思います。一刻も早く中国での共産党支配を終わらせないと、本当に取り返しのつかない事態になってしまうでしょう。北のモンゴル国はこのことに関してコメントは発表するのでしょうか?中国の甘い毒がたっぷり回っている国会議員たちには、とても何かを発言する勇気はないでしょうね。
2020.07.18
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というわけで、現在の雲南省にもともと住んでいたのは漢人ではなく、東南アジア系(ラオスやカンボジア系の人)のイ族だったのです。で、それをこれまた中華とは何の関係もないチベット人商人が片道2200kmの道のりを往復1年かけて山の険しい道を馬を伴ってお茶を買いに来たというのです。なぜチベット人がそんな大変な思いをしてお茶を買いに来たのか?当然ですが、それは儲かるからでした。チベット人商人はチベット人が必要とするお茶よりもずっと多くの量を買っていったのです。それは遊牧民に売るためです。遊牧民は肉や乳製品はよく食べますが、野菜はほとんど食べません、なので、ビタミン不足になりがちです。それを補ってくれるのがお茶なのです。なので、遊牧民にとってのお茶とは「嗜好品」(必要ではないが好きだから飲む)ではなく「必需品」(ビタミン補給に不可欠)な存在だったのです。元来、モンゴルなどの遊牧民は漢人とは文化的な付き合いはありませんでしたが、チベット人とは大いに付き合いがありました。チベット仏教もその一例です。で、チベット人はお茶の原産地雲南から大量のお茶を買い込み、それを遊牧民に売っていたというわけです。なので、もちろんカザフにも他の遊牧民にもお茶を飲む習慣は今もあります。が、それは漢人文化の影響ではないのです。そもそも日本人がいつも目にするお茶と見た目からして違います。中国のお茶屋さんに行けば、何十、何百という種類のお茶がありますが、見た目はどれも日本人には見慣れたものです。乾燥させたお茶の葉っぱですから。ですが、モンゴルなど遊牧民が使うお茶は固形茶と言って、固く四角い固形に固められたのが多いのです。こうした四角に固められたのが多いです。 固いので、ナイフで切りだして使います。これでわかるように、モンゴルをはじめとする遊牧民はビタミン補給のためにお茶を飲む習慣(多くは牛乳などと一緒に煮だし、ミルクティーとして飲む)は、漢人から伝わったものではなく、チベット経由で入ってきた遊牧民固有の習慣なのです。というわけで、結論は明確になりました。モンゴルの食文化の中心である、ボーズ、ホーショール、ツィバン、ゴリルティシュルそしてスーテーツァイはどれも漢人文化の影響ではなく、遊牧民共通の食習慣だということです!(完)
2020.05.31
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小麦料理で同じように日本人から「中国の影響?」と思われてしますのが、ツィバン(焼うどん)やゴリルティシュル(肉うどん)です。なんせ麺類はどうあがいても日本人には中国が本場でしょう。ですが、これも中国経由ではなく、西からモンゴルに直接入ってきたのです。これはゴリルティシュルです。これまた西方の遊牧民は、スープに小麦加工品を入れるというのは昔からある手法です。ゴリルティシュルという名前は、ゴリル(小麦粉)、ティ(入った)、シュル(スープ)に分けられます。つまり小麦粉入りスープというのがその直訳です。つまり「うどん」という加工品ではなく「小麦粉(を練ったもの)」を入れたスープというわけです。やや細かいですが、中国やその影響を受けた日本は「うどん」を食べるのに「スープ」に入れます。が、モンゴルは「肉スープ」を食べるのに「小麦粉」を入れているのです。その証拠にモンゴルではうどんを食べるのにスープで食べます。カザフスタンも他の遊牧民の国もスプーンで食べるのです。要は日本の感覚では、うどんはスープの具なのです。 同様にツィバンもそうです。名前は「モンゴル焼うどん」とされていますが、実際には蒸しうどんですから、中華の焼きそば系とは作り方も違います。そもそも中国から伝わっていたとしたら、中華系の調味料がもっとモンゴルにあったでしょうし、名前も「なんとか麺」みたいな名前になっていたでしょうし、食べるのも箸でしょうね。 これはカザフ料理。モンゴルのツィバンと同じような感じです。というわけで、モンゴルの有名料理ボーズ、ホーショール、ツィバン、ゴリルティシュルなど、小麦粉を使った伝統料理は中国伝来ではなく、西のペルシャを起点とし、遊牧民によって伝えられてきたことがわかると思います。ですが、「スーテーツァイ」(モンゴル式ミルクティー)だけは、さすがに中国伝来と思っていました。なんせお茶と言えば中国ですから。ですが、今回この茶馬古道を見て「なーるほど!」とわかったわけです。まず「なるほど」と思ったのは、お茶の原産地は現在の中国雲南省ですが、ここはもともとの漢人ではない地域なのだそうです。要するに今の中国は何でもかんでも5000年前から中華民族だと妄言していますが、もちろん嘘です。共産党に言わせれば、チベット人もウィグル人ももちろんモンゴル人(なんとチンギスハーンも!)全て5000年前から中華民族というのですから、どこまで嘘を言えば気が済むんだ?というレベルです。(続く)
2020.05.29
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先日、NHK・BSの「茶馬古道」という番組を見ました。内容は古代に雲南省のお茶の産地からチベット高原にお茶を運んだ道を紹介するという内容でした。それを見ながら「あー、やっぱり!!」と膝を打ちました。モンゴルを観光で訪れる程度であれば特に気にはならないのですが、実際に住んで感じるのがある種の中国との共通性です。スーテーツァイ(お茶)、ツィバン(焼うどん)、ボーズ(モンゴル風小籠包)など、それらを見た日本人の多くはどうしてもその背景に中国の影響を感じてしまうのです。ですが、モンゴル人に言わせると「私たちは中国とは文化的には全く別です。そもそもボーズが中国の餃子から来たって、どうして言えるんですか?モンゴルから伝わったからかもしれませんよ。」となります。 遊牧文化はともかく、食文化はどう見ても中華の世界と比較しようがないほどシンプルなモンゴルですので、私は当初は一種のナショナリズムかなと思っていたのです。そもそも日本人は多くの文化や食べ物が経由地が半島であろうと直接であろうと、大陸から伝わってきたことに対してのアレルギーはありません。ご飯も豆腐も納豆も醤油も漢字も律令制も仏教も、「はい、ルーツは中国大陸ですよ。」と素直に答えます。ただこの素直さが危うい場合があるのです。日本人には「何か古いものがあれば、それは当然中国から来たんだ」と思う習慣があるのです。確かに日本の位置を考えれば、北のシベリアや西のアメリカから古代に伝わってくるとは考えませんから。そしてそれを特に考えることもなく「モンゴルにも当てはめてしまう」日本人が多いのです。ですが、私はモンゴル滞在をきっかけに中央アジアなどの遊牧民、更にはペルシャ方面の文化的影響に関する書物をたくさん読むようになり、段々わかってきたのです。特に食文化です。日本人が当たり前に考えるほど、なんでもかんでも中国から伝わってきたわけではないんだということを。そしてその最後のピースが「お茶」だったのです。 まずは、ボーズやツィバンについてです。最初に確認しなければならないのは、小麦の原産地はユーラシア大陸西部(コーカサスやメソポタミア)であるのに対して、コメはアジア、中でも中国や東南アジアなのです。日本人から見れば、原産地がどこだろうが伝わってきたのはどちらも中国経由になります。が、モンゴルにとってはコメの原産地は南の中国方面ですが、小麦は西になり中国経由を必要しないということなのです。この視点が日本人には決定的に欠けているのです。小麦の原産地に近いペルシャ(昔は大帝国でした)は小麦粉を使った料理の発祥の地の一つとされています。(或いは、盛んになった地の一つ)国の存亡とは別に、遊牧民やソグド人らによって多くのペルシャ文化は東(モンゴルや中国)に伝わってきました。遊牧民はもともと肉を食べる習慣が多いのはご存知の通りですが、肉を小麦粉から作った皮で包んで食べるという習慣はモンゴルどころか、カザフにももっと西の遊牧民地域には古くから伝わっていたのです。これがボーズです。「肉を小麦粉の皮で包んで食べる」というのは、まさにモンゴルではボーズ、中国では餃子です。同様にカザフスタンにもキルギスタンにもどこにでもあるのです。 これはカザフスタン料理「肉を小麦粉の川で包んで」蒸すのがボーズ、油で揚げるのがホーショールで、これも似たような料理は中央アジア各地にあります。モンゴル人の中には「え?カザフもボーズ食べるの?」「モンゴルから伝わったの?」と勘違いしている人もいるほどです。これでは、中国人に「モンゴルのボーズは餃子の真似しているの?」と言われるのと同じです。遊牧民は国は違ってもペルシャから伝わったこの同じ調理法をどこも持っているのです。なので答えは「ボーズやホーショールは中国からではなく、西のペルシャ方面から遊牧民を通じて伝わった」と考えるのが正しいのです。(続く)
2020.05.27
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本来の伝統的なモンゴル人の遊牧では、メインは羊です。羊は食肉、フェルト(ゲルの材料)、羊毛など、モンゴル国内での消費のために中心的に遊牧されてきました。が、カシミヤの出現、正確には国際的にカシミヤ原料が羊毛の10倍以上で売れることが知れ渡ってからは、急速にヤギの飼育数が増え、今では羊と同じくらいの頭数にまで増えています。問題はこれが砂漠化を引き起こす原因になることです。羊は草の葉っぱの部分だけを食べますが、ヤギは根こそぎ食べてしまうので、大量のヤギが食べた後の草原が砂漠化してしまうのです。伝統的にモンゴル人はそうしたリスクを知っていたので、ヤギを飼う数は羊に比べて相対的にかなり低く抑えられていましたが、その割合が大幅に変化し、モンゴルの草原の砂漠化が起こっているのです。モンゴルの草原は大昔から砂漠化との戦いでした。漢人は農業をやりたがりますが、草原は一度土を掘り起こすと二度と優良な草原には戻らないのです。だからモンゴル人は漢人を草原には入れたくなかったのです。今の内モンゴルを見ればわかります。漢人のやり放題で、もう遊牧に適した草原はなくなったと言われています。モンゴル人は太古の昔から、そのことを巡って漢人と何度も何度も争ってきたのです。そして、現代の砂漠化の原因もやはり漢人・中国人が関わっています。違うのは、過去の農業化と違ってモンゴル人自らの意思でやっているということです。一つはこのカシミヤ。大量のヤギの飼育で砂漠化が進んでいます。もう一つは鉱山開発です。これも結局はモンゴル人が儲かると思って自らの意思でやっているわけです。カシミヤも石炭も売る相手はほぼ中国です。今回のウィルスでわかったのは、カシミヤも石炭も中国人が買ってくれなければ、モンゴルの国内的には何の役にも立たないということです。少なくとも大量生産は不要です。自ら繊維製品を作るよりは、原料のまま売る方が楽ですぐお金になる。自ら鉄鋼製品を作るよりは、原料のまま売る方が楽ですぐお金になる。同じ論理です。政府は今年6月24日の国会議員選挙を前に、カシミヤが売れない遊牧民を助けるための援助施策(政府によるカシミヤ買い上げなど)をやっているそうです。ところが、コロナで苦しむウランバートルの若者らが「なんでヤギを助けるんだ?」みたいな主張を、半ばヤギを虐待するように抗議をしているとの声も入ってきます。もちろんヤギには何の罪もありません。家畜を大事にしてきたモンゴル人の心までが、コロナウィルスに冒されているようで、残念でなりません。(完)
2020.05.20
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今日の日経新聞にモンゴルのカシミヤのことが出ていました。気になったのは、その記事の内容もありますが、記者の名前です。ほとんどのモンゴルに関するニュースは、日経新聞中国総局の多田部俊輔記者だと記憶していますが、今回の記事はハウリン・バヤルツォグトとあります。私はこの名前を見て「ハウリンバヤル」を思い出しました。毎年ゴールデンウィークに練馬区光が丘で行われるモンゴル人のお祭りです。ハウリンバヤルのハウリンは「春の」という意味で、バヤルは喜びや祭りという意味ですから、「春祭り」ってことです。この記者のハウリンというのは恐らくお父さんがハワルさん(春という意味)なのででしょう。ハウリンというのは「ハワルさんの」という意味です。バヤルは祭りでツォグトはツォグがあるという意味です。ツォグは威厳とか威光とか何か男らしく勢いがあるようなものですから、そうしたものが備わっているという意味でしょう。「荘厳な祭り」という意味でしょうか。お父さんの名前から続けると「春の荘厳祭」って感じかな。名前の意味はさておき大事なのは、もしかして日経新聞でモンゴル人を採用したのでしょうか、ということです。あるいは、現地のコレスポンデントかもしれません。恐らく日本留学経験のあるモンゴル人でしょう。とにかく今までは北京駐在の日本人の記事でしたので、やや頓珍漢なところがありましたが、今後は良くなっていくでしょう。期待しています。また通常であれば記事発信の場所は「ウランバートル」か「北京」がほとんですが、今回の記事はエメールト(モンゴル)とあります。ローマ字ではEmeelt、キリルではЭмээлтでしょうが聞いたことない地名です。ちょっと調べてみると、ウランバートルの西側、1地区よりももっと西側、ナーダムの競馬会場の方ではないかと推測されます。あの辺には遊牧民が多くいますから、恐らくあの辺の遊牧民に話を聞いて書いた記事なのでしょう。で、記事の中身です。要するに、新型コロナの影響でカシミヤの中国人バイヤーが来られず、中国との取引が大幅に低下したということで遊牧民が困っているということなのです。記事では昨年はキロ11万トゥグルグで取引されたのに、今年は半値以下の4万5千トゥグルグ(約1800円)でしかないと。モンゴルはカシミヤ生産で有名であり、世界の生産の3分の1を担っています。しかし残りの3分の2が中国であり、しかもモンゴルの生産の8割以上を中国に買ってもらっているというのが大きな問題です。単純計算すれば、中国はカシミヤの世界生産の66%しか生産していないが、モンゴル分のほとんどを買い占めているので、世界の原料の9割以上を握っているということです。要するに原料となるカシミヤは確かにモンゴルでたくさん生産しているものの、そのほとんどは製品にならずに原料のまま中国に売っているだけということなのです。これは以前から指摘されていた構造的な問題です。要するにモンゴルのカシミヤは「繊維産業」ではなく「原料供給畜産業」がほとんどだということです。これでは今回のように中国人が買いに来てくれなければ、あっという間に遊牧民が窮地にさらされてしまうということなのです。もちろん、繊維産業としてのカシミヤも頑張っています。中でもゴビはライバルの「ゴヨウ」と統合し、ブランド価値向上や新製品開発に力を注いできました。が、残念ながら技術面やコスト面でまだまだ課題は多く、中国産製品には太刀打ちできていないのが現状です。カシミヤ問題は根が深く、モンゴルの家畜の構成比をここ10年~20年で大きく変えてしまいました。(続く)
2020.05.19
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バトトルガ大統領が2月27日に習主席と会い、羊3万頭などを寄付すると言ってから3週間近くになります。そしてその数日後に本ブログで「中国に羊あげるとは言ったけど・・・」という記事も載せました。どうやら、その後も話は何も進んでいないようなのです。少なくとも「今コロナウィルスで困っている中国の人のためにお見舞いをあげる」ことにはなりそうもないようなのです。やっぱりモンゴル人ですねー、計画性はゼロのようです。大統領の訪中についてはモンゴル国内でも賛否両論はあるようですが、基本的には一定の評価はあると思われます。賛否のうちの否、つまり賛成しない人の意見は、大統領は肉関連の会社を持っているから、その会社のためにやっただけなんじゃないかと言う疑惑です。やはり私の推察通り、今年のツァガンサルが「大幅自粛」で静かだったことにより、肉の販売機会が激減したということです。だから自分の利益のためにやったというわけで反対しているということです。ま、それはそうなんでしょうけど、どっちにしてもモンゴル国内にツァガンサルで消費される予定の膨大な肉が在庫になったままであるとしたら、今年はずっと肉の相場が低迷し、その結果遊牧民が大きな打撃を受けることは必至です。なので、私は理由はどうあれ、今回の行動はいいと思います。問題はどうやって中国に持って行くのか?これは一種の輸出と同じですから、そうした手続きも必要でしょう。で、3万頭というのはどの程度の量なのか、を知らねばなりません。モンゴルでの試算によると、3万頭は羊の肉に換算すると大体13万トンになるそうです。これはなんと、モンゴルの肉の総輸出量(2018年)の4倍を超える量なんだそうです!これは凄いです。要するにモンゴルの肉の輸出4~5年分位を一度に中国にあげちゃいましょうって話だったんですね。当然、そんなに凄い量の肉の輸出なんですから、事務方が準備しておくべきことだとは思いますが、そこはまあモンゴルですから、当然ありません。ちなみにちょっと調べてみました。吉野家などの牛丼やステーキチェーン、更にはスーパーで人気のアメリカ産牛肉。この1年間の日本への輸入量が13万トンなんです。そりゃあ、膨大な量と考えて間違いありません。で、現在いろんな疑問が出ています。まずは、そんな大量の肉を輸出できる施設やキャパシティがモンゴルにはあるのか?―――もちろん、ありません。モンゴルにはこれだけ大量の羊または羊の肉を集める物流体制があるのか?―――もちろん、ありません。これらの肉が輸出用だとすると、輸出に適した肉としての羊が本当に集められるのか?―――もちろん、わかりません。そもそも3万頭といっているが、それは家畜として、つまり生体のまま中国に送るのか、3万頭分の肉として送るのか?―――もちろん、わかりません。こんなに大量の肉を本当に近々送れるのか?年内か?数年かかるのか?―――もちろん、わかりません。と、驚くほど何も考えてなかったことが判明しているそうです。モンゴル国内だけでの話なら、モンゴル人同士「非現実的だけど、気持ちは嬉しいよ」で済みますが、相手は中国でしかも習近平です。以前、このブログで何度か「モンゴル人にとっての約束の意味」のことを書いたことがあります。なぜ書いたかというと、多くの日本人は「モンゴル人が嘘をつく」と感じることが多いからです。で、私の解説では、約束の意味が日本人とモンゴル人は違うのだと書きました。日本人は約束とは守るべきものであり、その約束を実現するために今の行動が規定されると。例えば今日の夜7時に会おうとなれば、それに合わせて今日の行動を決めていき、できるだけそれを実現できるように判断していくとなります。ですがモンゴル人は違います。確かに昨日、今日の夜7時に会おうと約束しました。それは嘘ではありません。その時は確かにそう思ったのです。でも、その後別な出来事が起こったのです。例えば、急に友達が「今晩、飲みに行こう!」とか。「なるほど、それもいいな」とその友達と飲み行くことにしました。で、当然、今日の夜7時には現れません。おかしいなと思って電話すると「ああ、今友達と飲んでいるんだよ」「え?今日は私と会う約束したでしょ?」「うん、昨日約束したね。でも、急に友達から電話かかってきたんだよ。」「え?じゃあ、昨日の約束は嘘だったの?」こうなると、モンゴル人は怒りだします。「嘘つき?私が?私は嘘なんかつかないよ!なんてひどいことを言うんだ!」と怒るわけです。「でも、約束したじゃないか・・・」「嘘なんかつかないよ。あの時はそう思ったんだよ、本当に。ただ、その後に事情が変わっただけだよ」これがモンゴル人の約束に対する思考回路です。日本人からすると「なんか大げさに書いてるんじゃないの?」と突っ込みたくなるところですが、こんなのはモンゴル人同士では日常茶飯事で、喧嘩にすらならないのです。さて、モンゴル人同士ならそれで済みますが、対中国ではどうなんでしょうか?私が心配しているのは、中国の国民感情です。はっきり言って、習にとってはどうでもいい話です。羊が3万頭こようがそれが3千頭になろうが。問題はこれがWechatで国民に広まってしまったことです。既に中国内では「あれ?あのモンゴルの羊はどうした?だれがもらったの?」などが話題になっているようなのです。忘れてくれればいいのですが、数か月してモンゴルの話題や羊の話題になったら「あれ?そういえば、3月にもらった羊3万頭はどうなった?」なんて問題視されなければいいのですけど。「なんだ、モンゴル人ができもしないことを嘘ついただけのことか?」なんて。その時に「馬鹿にするな!モンゴル人は嘘なんかつかない!!」「あの時には本当にそう思ったんだから」では済まないと思いますけど。きっと数か月先にも解決されてない気がします。
2020.03.18
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世界経済評論IMPACTというWebsiteから依頼されて、3月9日付けで「大国に挟まれたモンゴルのしたたか外交」という題名の記事を載せました。世界経済評論というのは、大学教授らが論文を載せるような季刊誌的(2か月に1回?)刊行物であり、私もモンゴルに関することを何度か寄稿したことがあります。ですが、さすがにこの時代2か月に1回だけの印刷物の発行では時勢に追いつかないということで、そのWeb版である世界経済評論IMPACTというWebsiteが作成されたのです。私の掲載記事にご興味ある方は是非ご参照ください。http://www.world-economic-review.jp/impact/article1651.html但し、内容的には、本ブログで書いたものをベースにしていますので、本ブログ読者には既に読んだような内容となっています。で、この掲載を知ったモンゴル側からこれをモンゴルの情報Websiteに掲載したいということで、準備してもらっていました。3月9日の掲載日から4日後には翻訳・掲載準備が完了したとの報告を受けました。ですが、バトトルガ大統領自身に関することでもあり、私もお目にかかっている方ですので、モンゴル語版をWebsiteに載せる前にモンゴル大統領府に送ってもらうことになったのです。で、正式な掲載は16日月曜日になる予定でした。ところが、大統領府はこの内容が気に入ったとのことで、正式なアップの前に大統領府から別の情報Websiteに掲載依頼があったようで、1日フライングして15日に掲載されたのです。掲載されたのはEagle.mnです。http://eagle.mn/r/69964?fbclid=IwAR1q7Y3J-Nsp06-hLHBmVSt29uCwFTxYVPXhixv6TzRzgoL95Bh-4IovRp0それで慌てて、もともと16日に掲載する予定だったSHUUD.mnも前倒しで15日に掲載されたとの報告を聞きました。http://www.shuud.mn/a/517506?fbclid=IwAR2LTcDmgjK7aIhSXLOzMy2g1NMVpcNY5oS6VSQBq_fpRXOsuXJxmd4qq1M当たり前ですが、この2つは同じ内容です。バトトルガ大統領はモンゴルで一人も感染者がいない段階で即座に中国との国境を封鎖し、日韓に対しても相当早い時期に入国禁止を打ち出しました。普段はモンゴルの政治家に対しては辛口の私ですが、動きの悪い日本政府に比べると、「民族を守りたい!」という気持ちの強いモンゴルに今回の対処に関しては、評価すべきだったと思っています。安倍さんにとっての優先順位は「習への忖度の方が、国民の安全を守る意識よりも強い」ですが、バトトルガ大統領にとっては「民族を守る」方が大事だったということです。経済基盤が日本に比べ圧倒的に弱く、悲しいほどに中国に依存しているにもかかわらず決めた今回の民族を守るべきモンゴル政府の措置は、高く評価していいと思っています。そしてその後に、経済的に重要な相手の好感度を上げる今回の突然の訪中は立派だったと思います。中国と4600kmの国境を有するモンゴルでほとんど重大な感染が出ることなく、先日ヨーロッパ線で入国したフランス人が初感染となった程度ですから、厳しい措置の効果は十分にあったと思います。
2020.03.15
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中国では「モンゴルから羊3万頭が来る!」というニュースがインパクトあったせいか、その後のフォローニュースも流れているようです。「モンゴルの大統領は羊3万頭くれると言ったけど、実はまだ来ていないし、いつくるかも不明らしい」と。詳細の内容は私にはわかりませんが、いかにもモンゴル人らしい発想です。モンゴル人の場合は「中国に羊3万頭寄付しよう!」と言えば「それは素晴らしい!この時期、大統領が直接行けば習主席にも感謝されますよ」と周囲が賛成し「よし、明日習主席に言うぞ!」で終わりです。それ以上のこと?もちろん、誰も考えません。私の経験では、モンゴル人には「5分以上先のことを予め予測し、考える」という習慣がほとんどありません。もちろん、これは私の個人的な感想ですが、こんな例はモンゴルに行けばいくらでもあります。日本人ならどうか?「中国に羊3万頭寄付しよう!」と言えば「それは素晴らしい!だが、具体的にどうやって送るんだ?国境は閉鎖しているし、そもそもどうやって3万頭もの羊を集めるんだ?」「ウランバートル市やトゥブ県だけ?」「いやいや、やはりゴビの方でしょう?」「でもダランザドガドのザハに3万頭は無理だろう。」「サエンシャンドのザハを足しても全然足りない」「集めたとして、どうやって運ぶ?1台のトラックに30頭の羊を載せたとして、1000台のトラックが必要だぞ。そんな数のトラックを手配できるのか?」「羊を運ぶトラックだけ、閉鎖の対象外にするのか?運転手は、中国まで送った後モンゴルで14日間の隔離を課すのか?」・・・と時間がかかることは確かです。こう考えると、どちらがいいとは一概には言えませんね。ただ、全ての日本人がきちんと準備してから発表するわけではないことは、最近の日本政府を見ればわかります。「全ての小中高校を3月3日から休校にします!」「え?働いている親はどう対応するの?共働きの方が多いって知ってるの?」「シングルマザー、ファーザーはどう対応すればいいの?」「学童保育は継続します」「それって、学童保育の方が安全ってこと?」「経済的困難はどうなるの?」「それは国民が一致協力して国難を乗り越えるために・・・」え?もしかして副作用を全然考えずに、思い付きで言っちゃったってこと?これを見れば、モンゴルのことは言えませんね。こうした状況を見ていると「いつかモンゴルも日本のようにちゃんと先々まで考えて行動する国になるかな?」なんてことを期待するよりは「いつか日本もモンゴルのようにあまり先々まで深く考えずに、その場その場の思い付きで行動しする国になるのかな?」と考える方が正しいのかなとも思ってしまうのですが、いかがでしょうか?
2020.03.01
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私はこれらの一連のバトトルガ大統領の行動を見て、なかなかしたたかな外交をするなぁと感心しました。もともとは「反中国で大統領選挙に出た人」なんです。が、確かにその後は中国からの裏に表の攻勢を受けたのでしょう、最近は立派な中国派になっています。そのことは置いておいても、強大な世界2大わがまま身勝手国家に挟まれた小国としては、なかなか良い戦術だと思います。何か贈り物をする場合、どうせなら相手に強い印象を持ってもらう、相手が一番困っている時に助けてあげる、気持ちだけではなく態度で表すというのは非常に大事なことです。現在の中国は本当に困っていると思います。いくら共産党が命令したって、ウィルスばかりはどうにもなりません。しかも世界は中国排除の方向に向かっています。「中国人来るな」「中国には行きたくない」「悪いのは中国人だ」などなど。モンゴル人は他国の百倍中国人嫌いですから、国内の声は当然反中国でしょう。そんな中、外国の元首として自ら中国に乗り込んで、隣国としての最大級の支援を表明しました。習からすれば、一番つらい時に来てくれたバトトルガ大統領への感謝の気持ちは強いでしょう。バトトルガ大統領が意識したかどうかは別にして、今回の寄付訪中で3つのメリットがあると思います。一つ目は、2021年まである大統領任期中は、よほどのことがない限り中国に意地悪されることはないということです。いくら反中と叫んだところで、現実的にはモンゴルは中国の経済傘下にあると言えます。なんせ輸出の85%は中国向けで、しかもそのほとんどが国家と関係の深い資源なのですから、ちょっと意地悪されたらひとたまりもありません。今回の訪中は、そこの懸念を相当緩和してくれたと思います。二つ目は、朝貢外交的な見返りが期待できるということです。中国は昔から朝貢外交を行ってきた国です。中国に従属し、自ら中国にへつらって品物を送る国に対しては、それはそれは優しく対応し、貢物の何倍ものお返しをするという国です。現在で言えば、日本やアメリカのように中国従属しようとしない国への対応は厳しいですが、カンボジアやラオス、更には韓国など、中国を世界の中心と敬う国に対しては、巨額の資金援助など手厚く対応します。モンゴルはもともとは従属するような国ではありませんでしたが、今回の「一番大変な時に真っ先に寄付してくれた国」であるモンゴルに対しては、必ずや「何倍ものお返し」が期待できると思います。それが鉄道なのか道路なのか、あるいは借金棒引きなのかはわかりませんが。そして三つ目の効果は、モンゴル国内対策です。本ブログでもお伝えしたように、今年のツァガンサルは静かでした。行き交う人の数も、ぐっと少なかったようです。そうした状況を前に、先日の本ブログでも書きましたが、羊の肉の消費量がものすごく落ちたと思われます。なんせ各家庭に羊が丸ごと一匹どーんと提供されるべきこの時期に、そんな大量の肉は必要なくなったのですから。そうなると、この時期に出荷のピークを予定していた遊牧民たちは当てが外れてしまいます。当然、肉の相場が低迷するでしょう。そんな中、一気に30,000頭もの羊の買い上げを政府がやってくれれば、かなり相場も堅調になり、いい傾向に変わるのではないでしょうか。遊牧民を助けるための一種の公共事業とも言えるでしょう。しかもバトトルガ大統領の覚悟がすごいです。帰国後2週間は隔離されるというのです。まあ、隔離と言っても、大統領官邸にずっといるという程度でしょうけど。これも習主席的には「自国の内政に影響を与えてまで来てくれた」との感謝を引き出す行動と言えます。というわけで、今回のバトトルガ大統領の訪中は一石二鳥どころか、三鳥、四鳥にもなる話だと思いました。中国人の対モンゴル感情の好転、苦しい時に来てくれた習の感謝、いずれ「お返し」があるであろう「朝貢外交」、そしてモンゴル国内の遊牧民支援対策です。(完)
2020.02.29
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中国のSNSであるWeChatで、モンゴルが話題になっているとの情報が入りました。私はフェースブックすらやらないので、当然WeChatにもアカウントは持っていないし、見ることはできません。で、その情報を基に、ネットで探してみると確かにありました。一番多い見出しは「蒙古国总统向中国赠送30000只羊」というものです。どのページもメインの映像や画像はモンゴルのバトトルガ大統領が北京で習近平主席と会っている様子を映しています。日本語の記事を記載します。「習近平国家主席は27日北京にある人民大会堂でモンゴルのハルトマーギーン・バトトルガ大統領と会談しました。 習主席は席上、「いま、中国政府と中国人民は新型コロナウイルスの感染拡大に全力で対応している。その取り組みはモンゴルの政府と国民からも多大な支持と支援を得ている。バトトルガ大統領は、感染症の発生後に中国を訪れた初めての外国元首であり、慰問と支持の意を伝えるために来てくれた。この訪問はモンゴルが中国との関係を重視しており、両国人民の間に深い友情があることを表している。また、互いに見守り、助け合いながら、共に困難を乗り越えるという隣国関係を具現化したものである」と述べました。 これに対し、バトトルガ大統領は「難に遭った時に真の情を見る、雪中送炭という言葉があるように、中国といつまでも善隣友好関係にあるモンゴルは、この特別な時期に中国と苦楽を共にしていく。国家の安泰と国民の健康を祈っている」と話しました。」以上が記事です。ここには挨拶文だけですが、具体的にモンゴルが何を支援したかと言うのは他の記事に出ています。写真は、寒中厳しい中バトトルガ大統領を迎える式典なのでしょう。そこに書かれているのを要約すると1.モンゴル大統領が中国に30,000頭の羊を寄付する。2.モンゴル政府は早期に中国に対し20万ドルを寄付する。3.ウランバートル市政府が5万ドルを寄付する。4.500万元(7800万円相当)の善意ある寄付は多くのモンゴル人の1日の給与を自ら集めたお金によるもの。更に別の報道では「今回の寄付のために訪れたモンゴル大統領は、帰国後14日間の隔離を受けることになっている。」とまでも書かれています。そして羊の写真も。更にこれらの報道を受けて、モンゴルに対する中国内でのネット上の反応が良いらしいのです。「あまり発展していない国であるモンゴルからこのような援助を受けるとは感動だ」「モンゴル国民にはお礼を言いたい」更には「災害の年にあなたに肉を差し上げる人は決して富のある人ではなく、きっとあなたのアンダだ」と、「アンダ」まで持ち出してモンゴル人への感謝を表しています。「アンダ」とは友達のことですが、単なる友達と言うより「盟友」あるいは「義兄弟」という意味です。チンギスハーンとその盟友ジャムカとの「アンダの誓い」はチンギスハーンの生涯の中でも重要な義兄弟の契りとして有名です。またこのモンゴル称賛の機を捉えて「北京はフビライが作ったんだ」と言う人も現れたそうな。この「アンダ」と「フビライ」は恐らく、内モンゴル人からのメッセージではないかと推測します。とにかく現在ネット上では「めちゃくちゃモンゴルを誉めている」とのことです。(続く)
2020.02.28
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ここで出てくるのが三峡ダムです。三峡ダムは言わずと知れた世界一のダムです。2009年に完成しました。場所はなんと武漢の近くです。(以下、掲載されている写真はネット上からの引用です。大元の出典を探したのです、あまりにも「引用」が多すぎて大元がわからないので、このまま載せます。)まさに武漢の喉元というか、近いのがよくわかると思います。ここからが大切です。今回の武漢ウィルスとは関係なく、この完成後わずか10年の世界一のダムが危険だ、やばい、ダム決壊の危機など、このダム自身のリスクの高さが非常に多く指摘されています。ただ「三峡ダム」と検索しただけなのに、その記事のほとんどが「ダム危ない」なのです。具体的にどう危ないのか?どんなに隠そうとしても、今はグーグルアースでなんでも見えてしまいます。左上が2009年の完工当時で、右下が2018年で、比べれば歪んでいるのがよくわかります。もうちょっとよく見てみましょう。これが現在の三峡ダムです。赤く囲まれたところをアップにすると・・かなり曲がっているのがよくわかります。これもひどい。とまあ、キリがないほどひどい写真が出ています。世界最大の貯水量を誇るダムですから、途方もないほどの水圧を10年間も受けてきてどうしようもないという状態なのでしょう。当然ですが、昨年までの記事では「武漢が危ない」「上海まで壊滅的になる」「1000万人は死ぬ」などの激しい言葉と共に、危なさを訴えていました。あなたが習ならどう考えますか?彼にとっての必須条件は何でしょうか?最大優先順位は、共産党の維持です。習皇帝体制を守ることが一番大事です。ここまで内外を巻き込んでしまったウィルス騒動ですから、全てが白日の下にさらされたら、将来的にアメリカなどから痛烈な批判が出ることは間違いありません。仮にカナダからのウィルス盗難などの噂が本当だとしたら、ウィルスを盗んだことも絶対に秘密ですし、それをウィルス兵器に転用しようとしていたとしたら「平和を愛する共産党」としては言い訳ができません。全ての証拠は永遠に消し去らなければならないのです。桜の会と同じです。どんなに悪いことをしても、証拠を消滅させれば言い逃れができることを、我が安倍首相が教えてくれました。他方、習皇帝にとって優先順位が低いことは何でしょうか?それは人民の命です。共産は創立以来、人々の命を優先したことは一度もありません。モンゴル、チベット、ウィグルそれに法輪功への虐殺を考えれば、武漢市民程度は何でもないことです。さあ、あなたが習皇帝ならどうしますか?世界は既に三峡ダムが危険だということはわかっています。決壊したら、武漢のウィルス研究所も、武漢市内で目撃した多くの人民も死んでしまいます。習あこがれの毛沢東も、数千万人の人民を死なせました。共産党にとっては、1千万人単位の人民の死は勲章みたいなもんです。今決壊したからと言って、それは共産党の指示だなんて誰も思いません。西側の研究者が「今すぐ決壊してもおかしくない!」とお墨付きを与えているのですから。この話はもちろんどうなるかわかりません。が、仮に何かが起こった時には、このブログを思い出してください。(完)
2020.02.15
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モンゴルは今のところまだ感染者が出たとの発表はないようですが、遠い遠いアフリカでも発表されましたから、モンゴル国内だけがゼロのままということへの私の疑問は残っています。ですが、空港や鉄道、道路封鎖などを行ったことにより、大きな被害にならないことを祈っています。日本はその点まだまだ甘く、今でも中国人はどんどん日本にやってきてますし、減便されたとはいえ、飛行機も飛んでいるようです。日本政府は習に忖度しているようですが、外国から見れば日本は「第二の感染国」と認知されつつあるように思います。日本の政治家はどうしていつもこんなに甘ちゃんが多いのかといつも思うところです。ウィルスに関してはいろんな噂がネット上に出回っているのはご承知の通りです。ですが私が「ホントなの!?」と思うような噂がまだ日本語では出回っていないようなので、ちょっとご紹介します。もちろん、私の検索方法が下手で、とっくに大騒ぎになってることを知っているという方もおられるでしょうが、「私レベルでは」という点でご了解ください。なぜネット上にまだないのかと言いますと、キーワードが全く引っかからないからです。そのキーワードは「三峡ダム」です。このキーワードで検索しても全ては2019年以前のもので、2020年に入ってからの記事がないからです。私は10日前の2月5日に、数年前のカナダでのコロナウィルス盗難事件が今回の武漢ウイルスと関係あるのではないかという「噂」を聞きました。中国人の知人に聞いたところ、ウィチャットではそんな話は知らないということでした。考えていれば当然で、共産党管理下にあるウィチャットでそんな記事が出るはずありません。というか、今回のウィルスに関して言えば中国人の方が知らないことが多いようです。要するに「大本営の発表」しか中国のネットや新聞には出ませんから。カナダでの盗難事件に関しては、既に日本語でもネット上にも出回っているので検索すれば探せます。要すれば、「数年前(?)にカナダのウイルス研究所でウィルスが盗まれ、それが中国に送られた」(送り先が中国であるところまでは突き止めたそうです)「中国でそのウィルスを管理できる場所は、武漢市と浙江省にある研究所のみ。」(厳重なウィルス管理体制がないと保管できない)「カナダでは、その時期にそのカナダのウイルス研究所で働いていた中国人研究者が逮捕された。」(その研究者が武漢に頻繁に出張していた事実がある)「中国はそれをウィルス兵器にするつもりで研究していたが、管理ミスで外部にウィルスが漏れた。」「だから共産党は2‐3週間もの間、発表できなかった。なぜなら、カナダから盗んだこととウィルス兵器を作っていたことがバレるから。」という「う・わ・さ」です。信憑性はもちろん保証しません。その後はご存知の通り、共産党の予測をはるかに上回る勢いで感染が広がっています。アメリカなどから専門家が武漢に入って調査協力を申し出ているのに、今も頑として受け付けないのは、そうしたことがバレルこともありますし、実態が公表数値をはるかに上回るほどひどいこと世界に知らされるということがあります。ベトナム人などは日本などと違って、かなりのベトナム人(労働者?)が武漢に取り残されて、現地から情報や映像を流しているそうです。中国人相手の情報削除ですら追い付いていない現状ですから、ベトナム語チェックなんてさすがに人民解放軍も手が回らないのでしょう、たくさんの映像が出回っているようです。その中には「数百人の死体の山を見た」とか「遺体を焼却する場所からのおかしな煙が異常に多い」など、死者数がとても千数百人で収まるはずがないだろうという内容も含まれています。こうした事実は、いずれ今回の騒ぎが終息した時点で明るみに出てくる可能性があります。そうなると、単なる地方政府の責任にしたかった共産党そのものの存続が問題になるかもしれません。さあて、習さん、どうしましょうか?(続く)
2020.02.14
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こんな題名を書いてはいますが、はっきり言って私には特別な情報はありません。一般情報として皆さんも聞いたような話しかありません。モンゴルでは未だにウイルス患者は発生していないとのことです。テレビでも世界地図を使って発症者が出た国が書かれていますが、中国の隣のモンゴルだけは空白国みたいでやや不思議です。その一方で、現在モンゴルでは肺炎で亡くなる方が増えているとの情報もあります。理屈としては「肺炎で死んでいるが、コロナウイルスによる肺炎ではない」ということなんでしょうが、モンゴルを知っている立場からするとそのまま真に受けることができません。私の推測ですが、「感染者がいなかった」というのは正確ではなく「感染者のウイルスを検出できなかった」ということなのではないでしょうか。そもそもモンゴル国内ではコロナウイルス感染を検出できる機器はなかったそうです。なので、1月末にようやく日本から200個検出器が届いたそうですから、検査はこれからでしょう。モンゴルはかなり急用でも土日は休みますから、早くて月曜日の3日以降に稼働するんじゃないかと思います。患者情報が出るのはそれからでしょうね。しかも恐らくこの数では少なすぎることと、モンゴルのウランバートル偏重傾向からすると、UB市内の有力病院の第一、第二国立病院やサッポロの先にあるいくつかの有力病院などに優先的に納入されると予測されます。逆に言うと、田舎は後回しでしょう。ですが、中国との国境地域は圧倒的に田舎です。ドルノド県からスフバートル県、ドルノゴビ兼、ウムヌゴビ県、バヤンホンゴル兼、ゴビアルタイ兼、ホブド兼、バヤンウルギー県と全て田舎です。モンゴル的発想では、UBの次はエルデネットやダルハンの病院の方が「偉い」でしょうから、そっちへの納入が優先にならないか心配です。なので「モンゴルは発症ゼロで大丈夫なんだ」と暢気に構えているわけにはいかないのです。統計的に見ても、モンゴルへ来る中国人は圧倒的に陸路で入ってきます。空港で厳重体制を取ればいい日本とは大違いで、出入りする人たちを完全にチェックできるかは疑問です。私が心配しているのは、モンゴルが中国との国境で人や車の通行を止めたことです。当たり前のように思われるかもしれませんが、モンゴルではこれは大きな決断です、もし本当に国境を遮断するのであれば、ですけど。なぜか?それはモンゴルは肉の一部と小麦粉・じゃがいも以外のほとんどの食料品を中国からの輸入に頼っているからです。更に中国以外の貿易相手(日米韓も)であっても、ほとんどが中国経由で運ばれてきます。米、各種調味料、ほとんどの野菜、牛乳の原料(粉乳)、ブラジル産鶏肉、中国産豚肉、更には、鉛筆・文房具から住宅建材、日米からの輸入車、衣料品、医療品、マスク、洗剤、トイレットペーパー・・・とにかく、ありとあらゆるものを中国経由の貿易に頼っているので、被害増大です。輸入品に頼っている外国料理レストラン(日本料理とか韓国料理とか)も食材難に陥ることでしょう。この供給がストップしたら、ほんの数週間でモノ不足になります。こんなことは私に指摘されなくてもUB市民はわかっているので、既に食糧備蓄を始めているようです。なので物価の方はそれを見越して、すでに上がっているとのことです。鉄道はどうなのでしょうか?汽車だけ通しても、運転する人間がいないと動きません。トラックはダメだが、鉄道は大丈夫なんでしょうか?また石炭輸出への影響も出ます。表面的には、毎日ものすごい数のトラックで石炭を中国に輸出していますが、それがストップしてしまいます。これは「即」モンゴルの外貨残高に影響することです。長期的には、中国各地の製造工場がストップしているということは、それだけエネルギーである石炭需要が減るということですから、確実に石炭減産になるでしょう。ようやく少し上向き始めたモンゴル経済へのマイナスの影響は確実に出ます。市民生活への影響も大きいです。上記の中国貿易の影響以外でも、モンゴルはかなりの規制を施行しました。モンゴルからは「これから3月まで暇になった」との声が届いています。どういうことか?モンゴルではすべての学校(保育所・幼稚園~小中高学校~大学)まで全部3月2日までお休みです。生徒のみならず、先生などの職員もお休みです。保育所や幼稚園が休みとなると、そこに預けている親の仕事にも影響が出るでしょう。モノ不足と合わせると、相当の混乱が出るような気がします。図書館も映画館もゲームセンターも全部営業停止ですし、外気は例によってひどい煙で大変ですから、子供から大学生まで家にいるしかないでしょう。ストレスにならないといいのですが。そしてこんな状態でツァガンサルを無事迎えられるのか?ツァガンサルには「大量の」お土産品需要が毎年今頃から発生しますが、今年はそんなこと言ってられないような気もします。中国より1か月遅い分、心の準備はできますが、いつもとは異なるツァガンサルになるような気がします。日本の人口の40分の1のモンゴルでは、一人の患者が発生するということは日本で言えば40人相当です。3人で日本の120人相当。比率的にはあっという間に日本を抜くような気もしています。こういう「停止処分」は出すのはいいのですが、難しいのは解除のタイミングです。1か月以内に完全に解決されればいいのですが、とてもそんな感じではなさそうです。そうなると、数か月も続くのか?解決しないけど、物不足により一部解除するのか?今後は難しいかじ取りが迫られるような気がします。
2020.02.02
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最近の報道で目にした方もいると思いますが、プラハ市長が「中国を「信頼できないパートナー」だと非難すると同時に、台湾の台北市と姉妹都市関係を結ぶ方針を明らかにした。」との記事がありました。これはなかなか画期的な決断だと思いました。そもそも日本も含め、中国批判は多いですが、そのどれもが口先だけで行動を取ろうという人はいません。それは日本人も例外ではないです。最近、南太平洋の島国のいくつかが台湾と断交して、中国政府と国交を結ぶニュースがありました。そうしたニュースへのコメントは大体似たようなもので、「また中国が金の力で台湾と断交させた」とか、未だ台湾と国交を結んでいる国に対しては「台湾との国交継続を支持する」や「中国に負けるな!」みたいな稚拙なコメントが目立ちます。私に言わせれば、よくぞこの長い間中国の経済力による誘惑や脅しに耐えてきたなと思います。そもそも日本は1972年、つまり48年も前に台湾と断交し、中国と国交を結んでいるのです。まるで他国の「台湾断交中国国交」が悪いことのように思っている人がいるようですが、それ言うなら「日本は今すぐ中国と断交せよ!」と言えばいいのです。ですが、そんな主張はほとんど聞きませんし、現実的にも受け入れられるはずがありません。中国は今や日本にとっての最大の輸出国であり、断交なんてことになったら、それこそ経済的に天地がひっくり返るような話です。つまり日本人のこういうコメントする人たちは、自分たちは安全な立場(中国と国交を持ち、大きな経済的利益を得ている)にいながら、太平洋に小さな島国を「中国に金で変えさせられた」などとほざいているわけです。そうした本音と建前で中国を批判する人が多い中、プラハ市長はすごいです。当然ですが、チェコは国としては中国と国交を持ち、台湾とは断絶しています。しかもチェコの大統領は、当然中国マネーを意識しながら、対中関係の親密化を目指しているのです。これは奇手というか、すごいアイデアだなと思いました。国レベルでの断行となると、中国が好きだ嫌いだの問題ではないのは、日本を見ればわかります。ものすごい政治的圧力を受け、結局は断念せざるを得ないでしょう。ですが姉妹都市となると話は別です。姉妹都市なんて国とは関係ない、自治体ベースの話ですし、国同士の権利義務とか協定違反とか関係ありません。しかもプラハが凄いのは、北京市を切って台北市に変えたという、象徴的な変更ができるレベルの主要都市だということです。仮に新潟市が中国ハルピン市との提携を止めて、台湾の台南市と提携したからと言って大したニュースにはなりませんし、デメリットの方が多い気もします。プラハ市長は「中国は怨恨(えんこん)に満ちており、チェコの世論に影響を及ぼそうとしている」と言ったり、「中国のいわゆる「一つの中国」という主張について、フジブ市政下のプラハ市は支持しない方針」を示したり、皆の心の中にある「中国に対して言いたいこと」を明確に言ってます。更に「チェコ政府に「チベットと台湾の独立に反対する」ことを強いる合意には署名できないと」述べているのです。あのトランプ大統領でも、心で思っていても言えないことをはっきりと言い切っています。そして世界の国々に対して「脅威や脅迫を前にして、自らの価値観や誠実さを放棄しないよう皆に求める」と訴えた。のです。日本の政治家辺りは「チェコなんて中国から遠い国だから言いたいこと言えるんだよ」なんて言い訳する人もいるでしょうが、じゃあ「イスラエルに原爆を作るのを止めろ」とか「パレスチナ人への迫害を止めろ」って言えますか?日本の政治家はとてもそんな度量はないでしょうね。歯切れのいい物言いの期待されたホープも「石炭使うのは仕方ないんだ」とか言って「化石賞」を二度ももらうくらいですから、日本の政治家にはとてもできない正しい主張です。ところで、モンゴルは台湾領だというのをご存知ですか?もちろん、今ではさすがの台湾人もモンゴルを台湾領だと本気で思っている人はいません。ですが、建前上は台湾はそう主張してますし、実際、台湾の地図にはモンゴルがその領土となっているものが多いのです。中華民国は清の領土を引き継いだとされています。今のモンゴル国は中国共産党とソ連から独立国と認められていますが、中国国民党はその前に台湾に逃げ込みました。その国民党は中国本土の奪回を(建前上は)目指しているわけです。中国本土とは中国共産党ができる前の清の時代の領土なので、モンゴルまで中華民国領になってしまうというわけです。今ではウランバートルに台湾代表処を置いているくらいですから、友好関係もありそんな主張は現実的ではありませんが、念のためモンゴルファンの方の頭の片隅に入れておいてください。
2020.01.16
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Newsweekの記事を読みました。題名は「韓国に対して、旧宗主国の日本がなすべきこと」というものです。が、韓国関連の記事にしては珍しく、他の分断国家について書かれていました。「「同じ民族が他者によって分断されるほど悲しいことはない」というのが、2度の世界大戦を経た20世紀のコンセンサスだろう。」と書き出し、その例として東西ドイツと南北朝鮮を挙げています。世界的にはこの文章の続きは南北ベトナムとなるのが通例ですが、ここでは「内外モンゴル」と書かれていたのです。この時点で私は「あれ?この文章書いたのは、なんかちょっと違う人だな?」と思い、著者名を探すと・・・やっぱりでした、内モンゴル出身で日本に帰化した楊海英さんでした。私もモンゴルを分断国家だと認識していますが、一般的にはそうは思われていないのが普通です。日本の教科書も分断国家といえば、ドイツ、朝鮮、ベトナムだけですから。ですが、よく考えてみると世界には分断国家に聞こえる国は他にもある気がします。例えば今は統合しましたが、北イエメンと南イエメンや最近分かれたスーダンと南スーダンとか。アイルランドもそうでしょうし、2つあったコンゴなど、探せばいろいろあるでしょうが、ネットで「分断国家」で探しても、なぜかモンゴルは出てきません。考えるにこれは、内モンゴルが「国家ではない」からではないでしょうか?確かに分断国家、分裂国家で探すと、一応国家体制が違う同一民族の国が出てきます。こうしたことからも、モンゴルは一般的には分断国家と見なされていないのが普通で、その前提でこの記事を読むと「おやっ?これを書いた人はモンゴル関係者かな?」と感じてしまったということです。楊海英さんは、「墓標なき草原」など素晴らしい本を世に出されている方です。彼は、「日本が韓国との「共通の価値観」を強調しても、彼らにとって民族統一の理念に比べたら次元は低い。」と述べています。なるほど、そう言われればその通りです。つまり「民族統一の理念は民主主義や人権など、いわゆる普遍的な価値観を凌駕する。」と、民主主義だ社会主義だなんて違いは、民族統一価値に比べれば低いってことを日本も理解しないといけないということです。それらを主張する事例にモンゴルが出てきているのですが、そうであればなぜ内モンゴルの話ばかりになるのか不明です。もちろん彼は内モンゴル出身ですから、自身の体験を話せる立場であることは間違いありません。ですが、民族の分裂という視点で語るなら、ロシアのブリヤード人を含めたモンゴル諸族の分断を語るべきではないかと思うのです。彼は単なる内モンゴル出身という立場ではなく、モンゴル研究者なんですから。でも彼の主張はわかります。日本にとって良かろうが悪かろうが、朝鮮半島を植民地化した国として、半島の統一化を邪魔してはいけない、阻止したら植民地支配よりももっと深い恨みを買うだろうと。今の文大統領が北朝鮮っぽい政策で、今までの日米体制とは違う道に行こうと、それが日本にとって良くない方向であろうと、日本は統一を応援すべきであって邪魔はするなということです。「モンゴルの民族統一を阻止している中国をモンゴル人が絶対に許せないことが何よりの証拠だ。」と指摘しています。国の体制なんかどっちでも構わないから、まずは民族統一を認めろ!ということです。そうであれば、楊さんには是非ロシアにも訴えてほしいのです。今のロシアには恐らく「モンゴルを分断させた」なんて気持ちは全然ないでしょうから。スターリンの時代やその前の帝政ロシア末期から「あの辺はロシアのもの」と疑っていないんだと思います。楊さんには中国だけでなく、ロシアの研究を期待したいです。プーチンに「ブリヤードをモンゴルに返せ!」なんて、今のモンゴルの政治家に言える人は一人もいないのです。それができるのは、研究者である楊さんしかいないと思います。
2019.09.21
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私はこのブログでは、以前は内モンゴルと呼んでいましたが最近はできるだけ南モンゴルとか南モンゴル(内モンゴル)と書くようにしてきました。「内」と書くのは、中国が中心だからで、モンゴル国から見れば「南」なんだということです。なので、中国的視点の時は内モンゴルと書く時もありますが、モンゴル的には南モンゴルと書くようにしてます。「日本海」なのか「東海」なのか、地理的呼称はいろんな見方があるのは、世界どこにもあるのでしょうが、モンゴルに関してはできるだけ気を付けるようにしてきたつもりです。ですが、今日からもうその必要はないので、きっぱりと「内モンゴル」に統一しようと思います。なぜか?それは数日前のモンゴル初の記事を見たからです。その記事は「モンゴル/中国Expo」に関しての内容でした。要するにモンゴルと中国共同での国際博覧会を内モンゴルのフフホトやウランチャブで来月9月6日から10日まで開催するというものです。まあ、そのこと自体はやればいいって感じです。ただ中国側の注文が面白いというか、「牛乳や乳製品、蜂蜜、ラード、豚肉製品は検疫のため持ち込み禁止」とあります。「他の肉や肉加工品については、中国への輸出許可を持っている会社のみ持ち込み可能」となっています。恐らく日本でやるとしても似たようなルールにはなると思いますが、お隣のモンゴル人の自治区でやるのに、随分不便だなあとは感じました。モンゴル製品から乳製品や蜂蜜を除いたら何があるのかな?羊の肉とカシミヤ?革製品?どれも中国にはたくさんありそうなものが多いような気もします。で、問題はこのことではありません。これらの博覧会の記事には開催地として「Hohhot, Ulanqab, and Tongliao cities of Inner Mongolia,」と書かれているのです。インナーモンゴリア?内モンゴル?これは中国人の記事か?と思いました。で、寄稿者を見るとモンゴル人女性の写真と名前が載っています。しかもメールアドレス付きで。そのアドレスはなんと「@XXXX.gov.mn」とあるではないですか!そうです、モンゴル政府です。つまりモンゴル政府の役人がこの地域を「内モンゴル」と呼んでいるのです。「内」の主語はもちろん北京の中国です。これを見て、なんだか急に力が抜けました。モンゴル政府自身が書いてる文章(モンゴルのWebニュースに英語で)に内モンゴルとあるんですから、もういちいち南モンゴルとか言う必要がないということです。中国べったり、中国大好き政権なので、外国人がとやかく言う必要はないということなんだと思います。
2019.08.19
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先月末に日経新聞主催のアジア会議が東京でありました。これはもう25回目にもなる大きな会議です。マレーシアのマハティール首相やバングラディシュ、カンボジアなどの現首相も出席する、アジア各国トップクラスの政治家が参加します。本ブログでも、過去の様子を伝えたことがあります。もちろん、モンゴル的視点で。今回のテーマは「新たな秩序の模索~混沌を超えて」です。マハティール首相は米中対立に対して、アジアの協調を謳い、定期会合や共通通貨を提唱しました。中国の北京大学教授は「中国も振舞い方を学ばないといけない」と珍しく、自己主張を抑えています。バングラディシュの女性首相は、女性の社会進出やアジアの協力関係強化を訴えてます。ベトナムの副首相は、米中貿易戦争を前に、共通課題に関するルールつくりを訴えています。このように現在の国際情勢を鑑み、特に米中対立を念頭にアジアがどう対応していくかを大国でも小国でも、各国のリーダーたちはなんとか平和的発展を願い模索するような提言をしています。こうした中、我らがモンゴルは何を主張するのか?参加したのは、最近国会議長になったゴンボジャヴ・ザンダンシャタル議長です。前にはエルベグドルジ大統領(当時)も参加し、モンゴルの身の丈に合わないような大きな提言もしていました。大きな提言、大いに結構だと思います。で、ザンダンシャタル議議長は何を言ったのか?日経の見出しを見て情けなくなりました。「一帯一路で大きな役割」ですよ。今時「はあ?」でしょう?なんで今この時に中国を持ち上げて、うちにもお金頂戴ねって演説するんでしょうか?情けなくなります。中国の属国となりつつあるカンボジアだって、中国一辺倒ではありません。わざわざ「カンボジアは一帯一路に参加する一方で、日本やインドのイニシアチブにも参加している」と言ってます。カンボジア以上に中国の属国化が明確なラオスの首相でさえも、「ラオスは米中対立による漁夫の利は求めていない」「対話と交渉で妥協点を探れ」と訴えています。しかるにモンゴルの議長は、「モンゴルは中国の広域経済圏構想「一帯一路」で大きな役割を果たせる」と、1‐2年前ならわかるけど、今更それを言う?という主張をしています。それでも百歩譲って、それでモンゴルが経済発展をするというならわかりますよ。でも、その「大きな役割」とは?「ロシアと中国をつなぐ経済回廊の開発が進めば、ロシアの資源をモンゴル経由で中国に運べるようになる」だというのです。はあ?それってただの通り道で、通行料がもらえて嬉しいってだけじゃないですか?そんな通行料は政治家の懐には入りますが、一般のモンゴル国民の雇用にも所得にもほとんど関係ないですし、そもそも自助努力の匂いすら感じません。「中国の金で回廊を作ってくれたら、何もしなくても通行料が懐に入って嬉しい!」って言ってるだけです。利権丸出しの政治家ですね、全く!はっきり言いましょう。そりゃあ、カンボジアだって、ラオスだって、ベトナムだってそれぞれみんな自国に帰れば「本音」を持っているでしょう。でも、こういう国際会議の場では、自国の品位や名誉もありますから「国際ルールを!」とか「建設的な協力を!」と訴えているわけです。他人の金で作った道の「通行料が入って嬉しい」なんて、超情けない演説をしているのはモンゴル以外にはありません。やはりエルベグドルジ大統領の方が圧倒的に品位と名誉を感じましたね。どうせ何話したって、モンゴル国内向けには関係ないんでしょうから、だからこそ「格調」が必要だと思うのです。前のエンフボルト議長の演説を目の前で聞いたとき「こりゃあダメだ!」と思いましたが、そういう人が国会議長になる国がモンゴルってことなんでしょうか?モンゴル人がまさかの「中国万歳」を国際会議で主張するとは夢にも思いませんでしたね。そのことがおかしいと気づかないモンゴル国民もヤバいでしょうけど。
2019.06.17
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先日、米中の貿易戦争に関するニュースを見ていたら、習が「文明への尊重・・・」とかなんとか言っているのを聞いてビックリしました。しかもそれは、アメリカへの批判であることを意味していると聞いて二度ビックリ。自分自身の反省ならともかく、こんなことを口にできる立場じゃないのは、世界主要国の中では中国以外にはないはずなんだけどと思って、ネットでその内容を確認してみました。彼はアジア文明対話大会での開会式で文明に関することを話したのです。その内容は、「第一に、相互尊重と平等対処を堅持する。いずれの文明も自己を育んだ土地に根ざしたものであり、一つの国家、一つの民族の非凡な知性と精神的追求が凝縮しており、すべてが自身の存在する価値を有している。我々は平和と尊重を堅持し、傲慢や偏見を捨て、自己の文明と他の文明の差異性への認識を深め、異なる文明間の交流と対話、調和的な共存を推し進めるべきだ。」と実に素晴らしいことを言っているのです。何の文脈もなければ、いよいよ習も反省して、政策転換したかと思うほど、今の中国に当てはまっています。また、こうも言ってます。「自らの人種や文化がより優れていると考え、他の文明を変えたり、あるいは置き換えることを主張するのはばかげた考えで、悲惨な結果を招く行動だ」と述べた。いやー、遂に習も気づきましたか、おのれの愚かさを!素晴らしい。「異なる文明間の衝突など起きていない。われわれはすべての文明に美を見いだす目を養う必要があるだけだ」と言い添えたが、米国については言及しなかった。だそうです。当たり前でしょ、これはアメリカとは何の関係もない、中国自身の話ですから。この立派な言葉を今までの経緯を踏まえて、一つ一つ確認してみたいと思います。これらの文章は過去の中国の反省文としては最適だと思います。「第一に、相互尊重と平等対処を堅持する。いずれの文明も自己を育んだ土地に根ざしたものであり、一つの国家、一つの民族の非凡な知性と精神的追求が凝縮しており、すべてが自身の存在する価値を有している。」いずれの文明も大事で、尊重すべきものと言ってます。農耕文明とは違う遊牧文明があることは、漢人なら2000年も前からわかっていたのですから、もちろん尊重すべき文化です。牧草地息を農耕で回復不能にしたり、鉱山開発で遊牧民を失職させたりなんてできなはずです。「一つの民族の非凡な知性と精神的追及が凝縮され、価値がある」と言ってくれてます。チベット文化の精神性は大いに尊重されねばなりませんし、その基本となるチベット仏教を大事にし、それを支える僧侶、寺院は大切にしようということなんでしょう。また中国が歴史に登場したころから、西域から先進的な文化や知恵をもたらした西の人々、特にイスラムの人々も大事にしましょうということなんです。違う民族に対しても「相互尊重と平等対処」が大事なんですから、暴力的支配なんてもっての外の論外です。100万人の強制収用ももちろん論外もいいとこです。「自らの人種や文化がより優れていると考え、他の文明を変えたり、あるいは置き換えることを主張するのはばかげた考えで、悲惨な結果を招く行動だ」とも言ってます。漢人だけが偉いんじゃない、漢字を作ったから偉いとか、人口が多いから優れているとか、そんな馬鹿な考えは許しませんよ、と言ってるわけです。ここまで言ってる習がなんで自国の愚かさに気づかないのかわかりません。よっぽどのバカか、共産党教育に自らも飲み込まれてしまったというしかないですね。これではまるで、「泥棒が泥棒を説教する」ことや「殺人者が人を殺すのは良くないんですよ、と説教垂れている」のと同じです。百歩譲って「我が国はこの70年間は愚かでした。これらは全部だめなことなんですよ、アメリカさん。現に私が今言ったように、悲惨な結果を招く行動だったってことを我が国が証明しているじゃないですか。」くらい踏み込むなら、多少は聞いてもいいかなとは思いますけど。遊牧文化の遊牧民を蹂躙し、チベット僧を虐殺し、大量のチベット寺院、イスラムモスクを破壊し、今なおウィグル人やカザフ人を大量に弾圧している習が、よくもまあこんなこと言えるなと。盗人猛々しいとはこのことです。私には習の発言は、アメリカへ向けた発言などとは到底感じられず、100%天に唾した発言だと思います。
2019.05.21
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第2位はミサイル国家北朝鮮で76.0%と大きく数字が跳ね上がります。ま、中国以外はほとんど誰も相手にしない国ですからこの順位もうなずけます。そして第1位は?もちろん皆さんお分かりの通り、我らがモンゴルでぬぁんと90.0%です。経済制裁されて、ほとんどの国から相手にされてない北朝鮮よりも上です。90%なんていう数字は、日常的な感覚ではほぼ100%というところでしょう。同じ中国、ロシアに隣接する内陸国家カザフスタンは22.7%とモンゴルの4分の1で17位です。政治家の意識の違いでしょう。カザフはこのレベルでも「中国に頼りすぎて、このままでは大変なことになる」という危機意識が強いです。そのカザフから見たら、モンゴルの90%は一体どう見えるのでしょうか?以前の本ブログにも書きましたが、モンゴルは従来からこんなに中国に依存していたわけではなかったのです。特に2000年以降の政治家たちが、人為的に中国への依存度を上げてきたのです。本人たちは「上げるつもりはなかった」というでしょうが、日本などを排除してでも袖の下政治で依存度を増したというわけです。東南アジアの中で「あそこはもうほとんど中国の言いなりだよ」とささやかれているカンボジアですらランク外です。ラオスでさえも25.1%とモンゴルに比べれば超健全です。要するに世界で一番中国依存度が高い国になってしまったのが、モンゴルということです。もう1つは、日経新聞です。中国が新興国を借金漬けにして半植民地化する問題について、英フィナンシャルタイムズの記事が載っています。内容は中国の新興国への融資姿勢の問題に関して書かれていますが、途中から具体的な国名が出てきます。引用します。「はっきりしているのは、負担がとてつもなく重いことだ。欧米のアナリストらは、二十数か国がこの債務の返済に苦労しており、うち8か国(モンゴル、モンテネグロ、パキスタン、ラオス、モルディブ、ジプチ、キルギス、タジキスタン)がデフォルト(債務不履行)に近い状態か事実上のデフォルトに陥っていると推定している。」モルディブやらジプチやら、中国とは歴史的に距離的にも遠い国が騙されたというなら同情の余地もあるでしょうが、モンゴルなんて1000年以上前から中国人に騙されてきた民族なのに、今もって騙されているのが情けないです。しかもここまで来ているのに「中国はモンゴルに投資しているんだ。問題ないよ。」というモンゴル人エリートがいるのも残念です。目の前のお金以外何も見れないモンゴル人エリートには、歴史を勉強してほしいです。ま、冒頭のように、国のトップが変遷してしまうほどのパワーが中国マネーにはあるわけですから、仕方ないかもしれません。ですが、この膨大な借金は国民の負担となることは理解せねばなりません。せっかく算出される石炭などの資源も、算出と同時に、いや埋蔵時点から既に中国のものなので、いつになっても借金は減りません。モンゴルが消滅するとしたら、この時代戦争はないでしょう。あるとしたら、合法的な借金漬けによる半植民地化。別な言い方をすれば「モンゴル側の人為的なオウンゴール」とでもいえるような気がします。(完)
2019.05.10
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2015年04月19日付け「モンゴルにおける中国人の横暴」(2)(https://plaza.rakuten.co.jp/mongolmasami/diary/201504190000/)へのアクセスが昨日今日となぜか多いので、再度読んでみました。そのコメント欄にはなんと合計24ものコメントがアップされていました。内容的には、このまま中国支配が強くなっていくことへの懸念が、モンゴルと付き合いの長い日本の人たちからアップされていました。この記事は4年前ですが、あれから改善されているのでしょうか?結論としては全く改善されておらず、むしろ悪化しているといえます。現バトトルガ大統領は「反中国」の旗印で当選した人で、このままでは中国に飲み込まれるとの懸念から、中国への傾斜を止めようということで当選しました。確かに当時「反中国」色が濃い大統領ということで、中国側からはかなり目を付けられ、厳しい対応にあったこともあったようです。それが続いているなら、少しは変わっているはずですが。言質からの話では、いつの間に「中国との隣国親善外交が大切」と180度変節したそうです。地元では「相当いろいろな手が回ったのだろう」と見られています。これは1000年も前から、遊牧民を手なずける手腕に関しては漢人の方が上手だったので、今回もまあ、そんなもんでしょう。そんなことを思っていたら、2つほどメディアにモンゴルのことが載っていたので、この問題は根深いんだろうなと思いました。1つは、最近出た新書版の本からの引用です。そこには産経新聞社が作成したという「対中国輸出依存度ランキング」が載っていました。第22位はキューバの15.2%です。その上の21位なんと日本で18.1%です。いわゆる欧米先進国はすべてこの日本のランクよりは低いです。なので、ヨーロッパ諸国は依存度自体は低いので、中国脅威論はほとんどなく、「なんでもいいから売れれば儲かる」良い市場なのでしょう。アメリカは貿易依存度が惹きので、直近の報道にもあるように「貿易戦争したって、大して傷はつかない」と言えるのだと思います。それらに比べれば、なんやかんや言っても、日本は先進国としては大きく中国に依存した経済構造になっているのが読み取れます。日本人が口で言うほど、中国不要論なんて幻想にしか過ぎないのです。中国に傾斜しすぎ?と言われる韓国は13位で26.1%。マスコミが言うほど韓国は中国依存は大きくないというか、日本と大して変わらないといえます。韓国もそうですが、台湾の11位で27.1%も大変でしょう。政治的には合意できることはほとんどないでしょうが、経済的にはかなり依存しています。トップ10内には意外ですが、近隣アジアは2つだけ。先進国で唯一トップ10入りしているのがオーストラリアで7位、36.1%です。オーストラリアは政治家によって対中政策が相当揺れますが、これだけ依存していると、アメリカや日本と同じ立場とは言いずらいのでしょう。あとの7か国はアフリカ6国と中東1国です。そしていよいよトップ3の発表です。3位はアフリカ勢トップのコンゴで44.7%。(続く)
2019.05.08
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以前に、2017年7月26日付け本ブログ「風が吹けば桶屋が儲かる・・・は、本当のようです」(https://plaza.rakuten.co.jp/mongolmasami/diary/201707260000/)を書きました。そこには、「7月13日の本ブログで、外国の記事で「北朝鮮制裁のお陰でモンゴルが儲かる」というような趣旨が載っていたと書きましたが、やはり本当のようです。モンゴルの新聞でもそのことを認めています。モンゴルの新聞によると、北朝鮮の石炭に対する中国の輸入禁止のお陰で、その減少分を埋めるために2016年の10.4百万トンから79.5%もモンゴルから中国への輸出が増えたとあります。」とあります。要するに中国が北朝鮮からの石炭輸入を禁止したおかげで、モンゴルにメリットがあったってことです。中国の経済低迷や世界的な石炭離れがある中も、今のところモンゴルの石炭輸出は比較的順調のようです。これにはやはり、北朝鮮からの輸入禁止の影響がまだ続いているということもあるでしょう。トランプ大統領と金のハノイ会談で、もし仮に北朝鮮への経済制裁を緩めることになったら、中国は北朝鮮からの輸入を増やすでしょうから、そうなるとモンゴルへはマイナス影響がでそうです。ですが、どうもその第二弾が出てきそうなので、もしかして再びモンゴルの石炭輸出に追い風が吹くかもしれません。それはオーストラリアです。オーストラリアはつい最近まで中国の恐ろしさを知らずに「中国大好き、投資歓迎」を表明し、どちらかと言えば日本を冷遇してきました。ですがここにきて、さすがにノー天気なオージーも中国の怖さに気づいたようです。つい最近、オーストラリアの永住権を持っていた中国人投資家が突然その永住権を取り消されるということがありました。まさに突然で、香港にいるときに取り消されたそうで、永住権どころか入国禁止措置まであって、その投資家はオーストラリアに帰れないんだそうです。もちろん、財産や家族はオーストラリアにあります。そしてその流れ(対中国警戒)で、中国・大連の税当局がオーストラリアからの石炭輸入量を禁止する措置を決めたそうです。メディアの推測では、今回の中国人投資家への取り消しに対する対抗措置だということです。ま、中国が脅威なのは、オーストラリアが無知なため今頃知ったというだけのことですが、この措置はモンゴルへの好影響が期待できます。オーストラリアは世界有数の石炭産出国ですから、そこからの輸入が止まれば、モンゴル産に大きな需要が期待できるでしょう。中国はオーストラリアから年間8000万トン輸入しているそうです。モンゴルからは恐らく2‐3000万トンでしょうから、オーストリアからの輸入がストップすれば大きな影響があるでしょう。北朝鮮問題やオーストラリアの中国問題は、直接はモンゴルには関係ない話ですが、どうも間接的にはプラスに働きそうです。もちろん、こんなのは短期的なボーナスですから、これだけに期待するというわけにはいきませんけど。
2019.02.23
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もう一つのニュースは、トランプ大統領が「アメリカが万国郵便連合を脱退する」ことを決断したことです。これは一見何を言いたいのかわかりにくいですが、実は中国対策なのです。万国郵便連合は140年前も前にできたルールを今でも運用しています。それによれば、発展途上国から外国へ向けた郵便代は安く設定し、その分先進国からの郵便代を高く設定しているというものです。一見、理にかなったルールですが、それはあくまでも「途上国が途上国らしい状態の時」です。今や世界最大の輸出国になった経済大国中国にもこのルールが適応されているのです。しかも今やネット通販の時代です。中国からアメリカへ送る物流費はものすごく安いのに、アメリカから中国へ送る物流費は割高になります。トランプ大統領はこの不公平性に目を付け(実際には側近の誰かが助言したのでしょうが)、万国郵便連合に是正を申し出ました。が、140年前のルールですし、非常に多くの国が加盟している連合体ですから、簡単ではありません。なので、脱退すること決めたのです。これにより、中国からアメリカへの輸送費(宅配便も含む)は大幅に上がると見込まれています。そしてアメリカ相手に個人向け通信販売をしている中国企業は大きな打撃を受けることになりそうです。どうもこの額が半端なく大きいようなのです。この二つの事例から何がわかるか?中国は段々「途上国型商売」ができなくなるということです。中国は国連演説でも「我々は途上国であり」というのを強調していますが、その裏にはこうした途上国という立場による様々なメリットが存在するのだと思います。今回のODAはまだしも、郵便代などという我々では思いもつかないところにも優遇があるのですから、このような中国としては「捨てたくない」「続けてもらいたい」優遇制度はたくさんあるのだと思います。確かに、モンゴルが日本やアメリカと取引する上で何かのアドバンテージがあるのは問題ないですし、それがモンゴルの発展につながるのであれば意味ある制度だと思います。ですが、世界第二位の経済大国で、かつ周辺国を軍事力を使って年中脅しているような国が、こうした制度を利用し続けていいわけがありません。トランプ大統領の考え方に賛成する立場ではありませんが、対中関税報復やこうした万国郵便連合脱退などは、なるほどと思う部分はあります。中国もそろそろ「途上国のふりをして、補助金をだまし取るような態度」を止めて、正々堂々と世界の中心勢力として立ち回ってほしいものだと思います。
2018.11.01
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最近の2つのニュースから、中国が明らかにターニングポイントに来ていることがわかるなと思いました。モンゴルとは直接関係ありませんが、やはり隣国の巨大な国中国のことは常に頭に入れておくべきでしょう。まず最初のニュースは、「中国へのODA(政府開発援助)中止へ」というニュースです。多くの日本人は「え?まだやってたの?」と思ったことでしょう。そもそも中国へのODAを続けていいのかというのは、随分前から問題視されていました。2010年に尖閣諸島での漁船衝突事件があり、日本車が叩き潰され、イオンなどの日系スーパーが破壊されたのに、日本政府は喜んで中国へのODAを続けていました。しかもその年には、中国のGDPが日本を抜いたのです。当然のことながら、日本国内ではこのODA継続に批判が起こりました。要するにお金に色はついてないので、中国へ援助したお金は回りまわって対日軍事力強化に使われていたということです。2014年の外務省有識者会議でも、中国ODAの大幅見直しが提言されていましたが、外務省などは「日中の友好関係を維持するため」などと言って継続しました。が、習主席のあの嫌日の態度を見れば、何の意味もなかったことは誰にでもわかることです。日本はこういう適応力にものすごく欠けていると思いますね。トランプ大統領やエルドアン大統領の例を待たずとも、「不要ならば止めてもいい。必要になったら再開すればいい。」という臨機応変な態度やリーダーシップが取れないのです。それは意味のないダム建設をだれも止めることができないとか、有明海埋め立てのように害がある施策をも変更できないという、国内公共事業と同じ扱いだからでしょう。役所は一度握った予算は、天地がひっくり返っても中止はしないでしょうし、「それが役に立つかどうかなんて自分たちの仕事じゃない」「決められたことを粛々と実行するのみ」としか考えられない頭になっているのです。私はお役所の方々と会う機会もありましたが、未だに昔の人たちが言うところの「日本の官僚は優秀だ」という実感をただの一度も持ったことはありません。敢えて言えば、逆ですね。中国向けのODA継続も、そんな風土から生まれたのでしょう。経済大国になって久しい中国へのODAは、GDPが日本の2.5倍になるまで続けているのに、我らがモンゴルへは基本的な無償援助は昨年(だったかな?)終了してしまいました。「中国を続ける金があるなら、モンゴルへもっとくれよ!」と叫びたいほどです。なぜか?中国は日本から援助してもらっていることを国民には隠しています。北京空港が立派なのも、上海の地下鉄がすごいのも、「全部共産党のおかげ」というメッセージしか出さないので、ほとんどの中国人は日本が作ってあげたなんて夢にも思っていません。でもモンゴルは違います。モンゴル人は中国人と違って、他人からの助けに感謝するという気持ちがあります。なので、街を走るバスにも「このバスは日本からの援助です」と日の丸付きの看板を付けてます。日本の援助でできた道路は「太陽道路」、都心にかかる橋は「太陽橋」と命名しているほどです。モンゴル人には太陽=日本なので、だれもがわかっています。他にも学校や病院、最近では空港もありますが、どれも日本の援助でできたことを知っています。当然、親日になります。日本の外務省が甘いのは、中国が「すべては共産党のおかげ」というプロパガンダをしていても、「それは国内問題」と文句の一つも言わないことです。日本からの巨大な援助額のうち、一体どのくらい人民解放軍の武器や兵器に回ったのでしょうか?もう一つのニュースは、トランプ大統領が「アメリカが万国郵便連合を脱退する」ことを決断したことです。(続く)
2018.10.31
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数日前の日経新聞の風見鶏というコーナーに「親日モンゴルに中国の影」という題の記事が載っていました。書いてるのは、中国総局長です。中国総局長と言えば相当偉い人でしょう。もう10年も20年も前でしょうか、大手総合商社の日本人駐在員の数が中国がアメリカを抜いたという記事がありました。それだけ今の日本企業にとっては、中国は最重要拠点となっているのです。総合商社がそうなんですから、「経済新聞」である日経もそうなんでしょう。そういう意味では、日本の新聞社のトップクラスの人が書いた記事とも言えます。しかもモンゴルにとっては中国総局長という人はとても大切です。なぜなら日本の大手新聞社でモンゴルに駐在員を置いている会社はなく、どこも中国駐在員が「たまに、アルバイト的に」見ているからです。では、この日の中国総局長による記事を見てみましょう。新空港を訪ねると、開港が2年遅れること、アクセスが1時間以上もかかることが書かれている。せっかくの取材なら、せめて1行でもいいので「なぜ2年も遅れたのか」に言及してほしかったが、それは書かれていない。空港への道路は現在中国企業が請け負い、現場では約200人の中国人が働いているとあります。これを例の「中国借金漬け」戦略の一部ではないかとの推測をしています。こうした現象は、実は遠い日本にいる私でもわかっていることなんですが、なぜそうなっているのかを中国側と合わせて取材してほしかったと思います。そういう形跡はありません。それよりも「モンゴル人はかつて、元寇で鎌倉時代の日本に攻めて。。。」という時代錯誤の文章が突然現れたかと思うと、その子孫たち(今のモンゴル人のこと)は驚くほど「反中」を口にするとあります。「モンゴル人が反中」であることをわざわざ驚いて記事にするというのは、やはり残念ながら基本的な予備知識もなく「観光気分」で来たんだなと思わざるを得ません。そしてそれ以上に驚くのはこの反中の理由が「200年以上にわたって清朝の支配を受けたからだ。」と断言しているところにあります。これは完全に中国かぶれした人の見方です。モンゴル人にこんな見方をする人はいません。なぜそう言えるのか?モンゴル人は清朝を中国とは思っていません。あれは満州人の国なのです。満州人に支配されたのはもちろん悔しいのですが、満州人というのは漢人ではなくむしろモンゴル人に近い女真族がその大元です。女真族は元来、半狩猟・半遊牧民族で農耕民族の漢人とは全く違い、いわゆる北方遊牧民族がそのルーツになります。つまりモンゴル人にとっては、確かに支配はされたけど、違う国の人に支配されたわけではないのです。遠い親戚のような民族なのです。満州文字(女真文字)は漢字の影響はまったくないですが、モンゴル文字(モンゴル縦文字)がその基になっているという事実だけでも、漢人とは関係なく、遊牧民仲間だということがわかるでしょう。日本人にはわかりにくい構造ですが、敢えて言えば大和朝廷が東北の蝦夷に支配された場合(ケースA)と中国の明に支配された場合(ケースB)とは、同じ支配されたとしても全然違うでしょう。ケースBは完全に異国・異民族に支配されてことになりますが、ケースAは同じ地域の異なる勢力に支配された、くらいの感覚です。中国人(共産党)の論理は清朝は中国なので、この中国総局長もケースBの感覚で清朝支配=中国支配=反中の原因、と見なしているわけです。ですが、モンゴル人の感覚はケ-スAなので、中国に支配されたとは全く思っていないのです。むしろ、中国=漢族もモンゴル人同様、満州人による被支配民族だったという認識なのです。なので、同じ被支配民族同士であるからには、清朝が反中の原因である可能性はゼロなのです。もっと突っ込んでいえば、満州人(=女真族)は遠い親戚みたいな民族であり、満州人側も漢民族を支配するためにはモンゴル人の武力を当てにしなければならない事情もありました。なので、モンゴル人の上層階級を清朝の貴族扱いとしたほどです。はっきり言って、支配者側の貴族となって結構いい気持でいたモンゴル人も多かったのです。モンゴル人の反中はこんなたかだかここ200‐300年で起こったものではありません。もっと根が深い、モンゴル帝国(13世紀)よりも以前からの、モンゴル人の言うフンヌ(私たちは一般的に匈奴という名前で学習しました)の時代からの遊牧民対農耕民族の死闘をかけた民族闘争が原点です。その原点に立ち返れば、満州人=女真族はモンゴル人と同じ立場で農耕民族漢人と1000年も2000年も戦ってきたのです。それこそがモンゴル人の反中の原点であり、ある意味DNAに組み込まれています。なのでモンゴル人の多くは「なぜ自分がこんなに中国が嫌いなのかわからない」「気づいたときには中国嫌いであった」というのはこのためです。ある意味、民族のアイデンティティでもあります。そうした民族の歴史を露とも知らず、また思いをはせることなく、清朝=中国という共産党大本営の発表を鵜呑みにした中国総局長がモンゴルを担当しているわけですから、さすがの日経もまともな記事は書けないのは当然です。もちろん私は「報道されている事実」は新聞を参考にしますが、こうした「もっともらしく、洞察を伴った記事」はほとんど観光客レベルだと思っています。私のブログでそういう欠落を補うことはできませんが、少しでも「モンゴルに縁のある日本人」「日本に縁のあるモンゴル人」に、別の視点を提供できればと願っています。
2018.10.25
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ちょっと旧聞になりますが、中露の軍事訓練をプーチン大統領が視察したという記事が半月前ほどにありました。その記事によると、中露の合同軍事訓練にモンゴルも加わったとあります。場所は東シベリア・ザバイカル地方とあります。地図で調べると、確かに中露とモンゴル3国の国交が交差するあたりにあります。モンゴルで言えばドルノド県の北東部(地図では右上)、中国は旧満州北部でモンゴル国境寄り、そしてロシアにとっては東シベリア南部の中国とモンゴルとの国境付近ということです。場所自体はロシア国境内になりますが、この辺はブリヤート・モンゴル人の住んでいる地域で、当然のことながら歴史上のほとんどの時間はモンゴル人の土地だったところです。そこで3国で軍事訓練をするというわけです。プーチン大統領は「ユーラシア地域の安定と安全保障が共通の課題だ」と述べています。「東アジア」と言わずに「ユーラシア」と言ってます。この記事を読んで、仮想敵は一体誰なんだろうか?と思いました。「東アジアの安定」と言えば、多分日本かなと。あるいは、朝鮮半島有事とか。その場合は韓国とアメリカになります。ま、仮想敵はあくまでも仮想なんで構いませんが、中露はともかくモンゴルが「日本」「韓国」「アメリカ」を仮想国と見なすことは考えられません。世界の二大独裁・暴力大国の中露に挟まれているので、この半分ヤ*ザな国に言われたら断れないのはよくわかります。ですがこの2国の影響を最小限にしたいというのが、モンゴルの民主化後の基本戦略なわけで、その唯一の解決策(にまだなってませんが)が「第三の隣国」戦略です。要はこの2国にいつ脅され、いつ潰されるかわからないような状態を脱するためにこの2国以外の友好国を作りたいということです。その最有力候補が日本であり、アメリカです。また人的・経済的結びつきをどんどん強めている韓国もその有力候補です。そんな民主主義3国を独裁2国と一緒にモンゴルが攻撃するというシナリオは想像できません。もしそれが現実となるときがあれば、それは既に自治権が奪われこの2国のどちらか、或いは両方に乗っ取られている時でしょう。そういう意味では独立政権である限りは、仮想敵にする意味はありません。プーチンの言う「ユーラシア」に注目してます。通常この地域でユーラシアという言葉を使うときは、東向きではなく、西の内陸地域を意識した場合に使います。でも西を見ると、カザフスタンをはじめとする中央アジア諸国があります。ここは中露の覇権争いの中心地で、もともとはロシアの勢力下だったのが、最近は中国の力が圧倒しつつあり、ロシアは神経をとがらせています。なので、ここを舞台に中露が戦うことはイメージできますが、中露が一緒になって中央アジア諸国と戦争するイメージは全くありません。ましてや、同じ遊牧民族であるモンゴルがこれらの国へ攻撃する理由もメリットもありません。まあ、敢えて無理やり考えるとすれば、新疆ウイグル地区の漢人が「テロ」と称する民族運動を鎮めるためということはあるかもしれませんが、これもモンゴル人が歴史的につながりが深いウィグル人を攻撃する理由はありません。本来の最大の仮想敵は、ロシアにとっては中国であり、中国にとってはロシアです。モンゴルも望みはしませんが、敢えて仮想敵と言えば、そりゃあ中国とロシアでしょう。それ以外から攻撃される可能性はゼロでしょうから。もちろんこんな軍事訓練は政治的なショーであることは承知しています。「この3国は仲いいんだよ」とアピールするための。でも、仮想敵が浮かばない軍事訓練なんて身が入らないだろうなと思うわけです。仮に日本が仮想敵だったら、モンゴル人兵士には全然モチベーションでないでしょうね。「いつかはランクルに乗りたいな」とか「東京ディズニーランドで彼女とデートしたいな」なんて思っている若者には、全然ピンとこないでしょうから。そうは言っても世界最大のヤ*ザの親分二人に誘われたら、断れるはずないのもわかっていますけど。
2018.09.29
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モンゴルへ何度か行ったことある方ならわかるでしょうが、モンゴル人は内モンゴル人をあまり好きではありません。「中国化したモンゴル人」みたいに見ているんです。ですが私に言わせれば、内モンゴル人が独裁国家中国で大変な思いをして民族のアイデンティティを守ろうとしてきた歴史を今のモンゴル人はほとんど知らないので、そういう誤解があるんだと思っています。こんな内モンゴル人に対してあまりいい感情を持っていないモンゴル人にとっても大変人気がある内モンゴル人の歌手がいるのです。それがTengerさんです。(テンゲルというのは、モンゴル語で天の神様という意味です)この方が歌っている曲を2曲ご紹介します。まずは、Bi Mongol Hunという歌です。「私はモンゴル人」という意味です。歌そのものは古い歌だそうですが、ビデオは最近UBで撮影したようで、映像がとてもモンゴルらしくで素敵です。この中に皆さんが知っている人が出てきますが・・・さあ、だれでしょう?https://www.youtube.com/watch?v=oWt8tjaHA9w&start_radio=1&list=RDoWt8tjaHA9wこの曲の歌詞はモンゴル人みんなが小学生の時に暗記する詩だそうです。彼は90年代にその詩に曲を作ったのです。その訳詞は以下の通りです。私は遊牧民の家に生まれた大草原は私の愛する故郷生れたこの故郷を自分の身体のように愛し身体を清めた河を母の母乳のように思えるこの人はモンゴル人母なるこの国を愛する人というわけで、「遊牧民」「大草原」そして「母」というキーワードがモンゴルらしいですね。モンゴル人なら内モンゴル人も含めてほとんどの人が知っている歌、歌手といえるようです。次は、天国(中国語名:天堂)という歌で、歌詞は中国語です。Tengerさんは内モンゴルのオルドス出身です。オルドスというのは黄河流域の重要な地域で、モンゴル人にとってしばしば歴史上の重要な舞台になった場所です。この故郷が地下資源があるという理由で掘られて、だんだん砂漠化して行ったの見て、「私の故郷は天国」という曲を作ったようです。https://www.youtube.com/watch?v=H2mvc0miJ-w&list=RDH2mvc0miJ-w&start_radio=1これは漢字の字幕が出ており、日本人にもわかるレベルの文字なので歌詞の内容はわかると思います。彼の中国名は腾格尔ですが、これを中国語的に読むとやはりTenger, Tengri になるそうです。この2つのビデオを見ると、やはりモンゴル民族が2つの国に引き裂かれていることがよくわかります。いつか一つの国になってほしいと、切に願います。
2018.09.28
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ネットニュースを見ていたら「中国「一帯一路」が生む借金地獄 米機関が指摘する「高リスク」8カ国とは」という題名の記事がありました。中国がスリランカやタジキスタンなどに、返せる見込みもない金を貸し付けて、最後は借金の方に権益やら領土やらをふんだくるという話は有名ですので、興味を持って読みました。ちなみに「一帯一路」に関して言えば、中国側の発表や各種報道機関の報告などを見ると、陸上のシルクロードはほとんどが中国からカザフスタンなど中央アジア・ロシア経由でドイツなどの西欧に進むようになっていますので、幸か不幸かモンゴルはその対象ルートから外れているように見えます。私の推測では「一帯一路」の目的は、一つはロシアの裏庭である中央アジアへの進出であり、もう一つは進出によって有り余る中国製品をその沿線国に売りまくることにあります。なので、モンゴル経由となると、モンゴル+ロシア(シベリア鉄道)だけでヨーロッパへ行けてしまうので、わざわざ大げさに「一帯一路」なんて言う話じゃなくなるのです。一方、カザフ経由となれば、中央アジア各国やロシア南部の国々も巻き込むことができ、かつ人口もたった300万人のモンゴルの比ではありません。というわけで、私はこの「一帯一路」からモンゴルはある程度距離を置いているものだと思っています。そういう前提でどんな国々が中国の餌食になっているんだろうと思い、読み進みました。まずはスリランカです。これは何度も新聞に出ている通り、借金返済できないので99年間中国にリースするというものです。99年間といえば香港をイギリスが統治したのと同じです。つまりほとんど割譲のようなものです。こうした例をもとに、アメリカのシンクタンク・世界開発センターが中国への債務に返済リスクのある国を8つ取り上げました。ここにはスリランカは入っておらず、今後のリスクが大きいという国が出ています。ジプチ?東アフリカの角と言われるところにある国で、アラビア半島とアフリカ大陸を挟むところにあるマンデブ海峡を望むところにある国です。要するに紅海、その先のスエズ運河を通るときに必ず通過しなければならない交通の要所です。なるほど、ここは中国としては欲しいでしょうね。逆に日本としては、こんなところを中国に握られたら大変です。欧州との交易はほとんどここを通りますから。ラオス、キルギス、タジキスタン。これらは中国の隣国で、中国からの借金漬けになって政治的にも言いなりだというのは、ある程度有名です。現にラオスは中国の真似して一党独裁になってるし、タジキスタンは領土を割譲させられました。ま、これらの国の政治家のほとんどは中国からの賄賂で自国を売っていると思って間違いないでしょう。なんと!そんな「仲間」になんとモンゴルの名前が入っているではないですか!!確かにモンゴルの借金は問題ですよ。でも、スリランカのような「巨大な港」や7000億円を超す鉄道プロジェクトがあるラオスなどはわかりますが、モンゴルにはそんな象徴的な大事業を中国からはもらってませんよね?リスク最大の国として挙げられているパキスタンの首脳は「このプロジェクトは債務のワナではない。中国とのパートナーシップだ。」なんて寝ぼけたこと言ってますが、モンゴルの政治家がこの人たちとは違うと言い切れるかは、私も疑問です。この調査機関がIMFのデータなどをもとに挙げた8か国にモンゴルが入っているのですから、それ相当の根拠があるのでしょう。ラオスやキルギスを「ああ、中国に騙されてかわいそうに」と思ってきましたが、世界的に見ればモンゴルもラオス、キルギスと同レベルの国だとみなされているってことでしょう。最後はTT(タワントルゴイ、世界最大の石炭鉱)かドルノゴビ県(サエンシャンドがある県、鉄道が走っている県)あたりを「両国合意のもとに合法的に」割譲することになっちゃうんでしょうかね?相手は中国ですから、冗談で済む話ではないことは確かです。モンゴルの政治家にはいい加減、国の将来のことを考えてほしいですね。
2018.08.11
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今のモンゴル人に下記の認識を質問をしたら、一体何と答えるでしょうか?1、 「ああ、内モンゴルはかわいそうだ。モンゴルでは国が今も遊牧民を大切にして、遊牧民は経済的にも困ることなく気持ちよく暮らしてますよ。もちろん、都市への移動なんてほとんどありません。」2、 「えー、それはひどいですね。さすがは悪名高き中国共産党だ。私たちの民主的な政府は遊牧民第一ですから、もちろん資源開発のために遊牧地を荒らしたりなんかしませんよ。モンゴル政治家にとっては、資源開発によるお金より、遊牧民の伝統的な生活を守る方が大切なんですから。」3、 「ホントですか?都市へ移住したら仕事がなく無職なんですか?私たちモンゴルでも確かに首都ウランバートルへ移住する人もいますが、もちろん住む家もあるし、仕事だって民間企業活動が活発なので、仕事に困ることはありません。」これらの私の作ったコメントを皮肉と取る人がいたら、それは現状のモンゴルを現わしているということでしょう。私の認識は大変残念で意地悪な言い方に聞こえるかもしれませんが、民主主義であろうと共産党管理下であろうと、モンゴル民族の決断であろうと漢人による指令であろうと、結局はモンゴル人は遊牧生活・文化を捨てて、お金(=資源開発)に走っているんじゃないかってことです。なのでこの手のニュース(漢人による横暴)は、漢人じゃなくてモンゴル人による政府なら、起こりえない問題なのか?ということです。私は今のモンゴル政府を責めているのではなく、世界の潮流を考えれば、漢人でもモンゴル人でも考えること、やることは一緒じゃないかってことです。もちろん私はその動きに賛成しているわけではありませんが、所詮は他民族に強制されると「怒り」がでるけど、自民族の決めた方向性なら「諦め」るしかないということです。こんなひといロジック(論理性)に対して、モンゴルの人たちはどう反論するでしょうか?私には北も南も、モンゴルが似たような方向に動いているような気がして残念です。「モンゴルは全然違うぞ!内モンゴルと一緒にするな!!」という反論が聞きたいです。(完)
2018.07.23
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先日のネット記事に、内モンゴルの教員らがデモをやっているとの記事が出ていました。それによると学校の廃校などに伴う失業に抗議する目的で、解雇を迫られている小中学校の代用教員2000人がモンゴル自治区の区都フフホトでデモや集会を実施し、武装警察部隊などが出動したとあります。中国は1997年から正式に遊牧民への定住化政策を打ち出しており、それ以降遊牧民の都市部移住が急速に進んでいるとのこと。そのため多くの小中学校が廃校に追い込まれ、その結果大部分の代用教員が解雇され失業に追い込まれたというのです。遊牧民の都市定住化に伴い、2005年から2009年までの4年間で3000校も廃校になったというのですから、確かにそれによる解雇の影響は大きいでしょう。アメリカワシントンに本部を置く「南モンゴル人権ニュースセンター」によると、チベット自治区なども含めると定住を余儀なくされた遊牧民は200万人に達するとあります。それによって解雇された代用教員は10万人以上というのですから、フフホトのデモ参加者2000人はほんのその一部ということでしょう。歴史を見れば、遊牧民を追い出したり、移住させたりするのは多くの場合漢民族の農地開拓が目的でした。ところが、現代の遊牧民定住化の目的は牧草地の地下にある資源開発だということです。内モンゴルではもう遊牧生活を維持できない環境に物理的にも変化していき、二度と戻れなくなっていくのでしょう。そもそも内モンゴルあたりでの漢人の進出はひどいことになっているというのはよく知られていますが、私はなんとなく「中国共産党になってから、一段とひどいことになったんだろう」と思っていました。それはそれで確かなんでしょうが、そもそも清の時代から内モンゴル、つまり長城の北側、ゴビ砂漠の南側は既に「モンゴル人もの」ではなかったようなのです。例えば「徳応の見果てぬ夢」(佐々木健悦著、2013年出版)によれば「1936年11月現在のチャハル盟の民族別人口統計は、漢族45万2849人、蒙古族2万8890人、日本人311人、外国人60人、計48万2110人で漢族が93.9パーセントと圧倒的多数を占め、蒙古族は6.0パーセントにすぎなかった。」とあります。1936年と言えば、まだ共産党の時代ではないですし、辛亥革命から25年たっているとはいえ、人口構成は清朝末期とほとんど変わらなかった頃です。そう考えると、内モンゴルの漢化は清朝の時代にほとんど終わっていたと言うことです。とはいえ、清朝の初・中期はまだ遊牧民保護を意識し、住居地域を分けたり、漢人による農地開墾をある程度制限していました。が、清朝末期になるとそれもなし崩し的に消え去り、漢人が好き放題に入ってくるようになったのです。そういう流れからすると、目的が資源開発とはいえ、少数民族のことを何とも思っていない中国共産党が、いよいよ遊牧民のライフスタイルの破壊まで規制してきていることは十分に予測・理解できます。私が問いたい本当の問題はここからです。(続く)
2018.07.22
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司馬遷は武帝の逆鱗に触れ、なんと「宮刑」の処されたのです。宮刑?女性アナウンサーも言いにくそうでしたが、要するに去勢するということです。紀元前ですから、もちろん麻酔もないでしょうし、衛生管理もないでしょう。場合によっては大量出血で死ぬ可能性もあったでしょう。どこをどのくらい切り落としたんだろうと邪推しながら、その辛さを考えてしまいました。司馬遷はその恥辱で自害も考えたようですが、結局、このことをきっかけに史記を書く決意をしたようです。当時も今も、中国の歴史書はその時どきの権力者にすり寄って書かれていますが、こうした経緯もあって司馬遷は「歴史を正しく、客観的に書く」と決めました。そして書き上げたのがなんと130巻!文字にして52万字余り、繰り返しますが、日本は文字はもちろんありませんし、米を作ることに精いっぱいだった時代です。当時の他の史書は当然のことながら、敵国匈奴の悪口を書いていました。野蛮人だの、教養や文化がないなど。ですが、司馬遷は違いました。匈奴には我々とは違うが、立派な遊牧文化があり、国家組織もあってきちんと運営されていると。更には、武帝の失政についても書いたと言われています。(その後、修正・削除された?)また司馬遷は、王朝の歴史だけでなく、人物に焦点を当てて描き出していました。歴史は結局のところ、人を通じて作られるしかない、ということなんだと思います。つまり、司馬遷は単なる歴史家だというだけでなく、偏見を取り除きながら客観的な歴史・人物像を残そうとした人だったのです。歴史家としての矜持を持っていたのです。話はここで終わりません。司馬遷の故郷には立派な生家が保存されて今に伝えられています。なぜか?中国共産党が観光用に建てたわけではないようです。司馬遷没後の1300年後、フビライが大元ウルスの皇帝になったとき、この司馬遷の功績を讃えて生家を整備させたのです。モンゴル人はフンヌ(匈奴)をモンゴル人の祖先と考えています。その匈奴の歴史を正確に残してくれた司馬遷を讃えたのです。この一連のストーリーを知って、司馬遼太郎が単に「有名な歴史家の名前を拝借した」というわけではないことを理解しました。時の権力や周囲の声に惑わされずに、しかも視点が権力者側からでなく、民(たみ)の側からの歴史を書こうとした姿勢を引き継ごうとしたんだと思いました。司馬遷=匈奴=モンゴル=司馬遼太郎という、名前だけではない、もう一つのつながりが浮かんできて、ちょっと嬉しかったです。(完)
2018.01.03
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またしてもテレビ番組を見ての感想です。BSで中国古代史の特集を続けてやってたので、それを見ていました。ちなみに、全部再放送でした。当然中国側の視点からの構成となりますが、やはり古代から遊牧民族との接触はかなり多かったと言えます。その中でも司馬遷についての内容が興味深かったです。司馬遷は紀元前1-2世紀頃の歴史家で、その著書「史記」は大変有名です。かつ、司馬遼太郎のペンネームにもその名が使われるほどの人です。ですが、正直言って、あまりその人のことは良く知りませんでした。今回、少しだけ知ることができたので、ちょっと書いてみようと思ったわけです。司馬遷は漢の時代の人です。最初の漢なので、前漢とも呼ばれまが、この前漢は「項羽と劉邦」で有名な劉邦が作った国です。司馬遷はその七代目の武帝に仕えていました。今となっては、「漢字」「漢人(中華民族という架空の民族ではなく、元々の中国の中心的民族)」「漢化政策」など、イメージ的には中国のオリジナルを表す言葉である漢はこの時の王朝の名前です。以来、2000年以上にも渡って中国そのものを表す漢字となりましたが、その起源は意外なものだと知りました。劉邦は秦の天下の時の小国「楚」の役人時代、地方の閑職に飛ばされていました。その場所が、長江(揚子江)の支流である漢水にある「漢中」という地方でした。閑職になるような場所ですから、決して国としても文化的にも中心地ではなかったのです。この時の名前を国の名前に使ったのが起源だそうです。そして、劉邦の統一後、前漢、後漢、西漢などと名前は変えつつも、漢の時代が400年も続いたので、その後中国そのものを表す文字になったのです。司馬遷は、元々歴史や天文を司る家に生まれたそうです。幼少より、様々な歴史書を学んだとあり、20歳前後の時は現在の江蘇省、安徽省、浙江省、湖南省、江西省などの東南を回り、更には北へ向かい山東省、河南省、そしてその後は西域まで足を延ばしたとのことです。中国は日本の25倍の国土を持ちます。それから考えても、これらの軌跡の距離は日本一周どころじゃないんじゃないかと思える長さです。しかもこれは紀元前2世紀ごろの話です。日本はまだ弥生時代で、やっと米を作ることが出たような時代です。卑弥呼は紀元後ですから、それよりも300-400年も前のことです。その時代に「歴史書を読む」「史跡を訪ねて旅をする」などということができた中国の歴史の深さには、改めて凄みを感じましたね。古事記や日本書紀ができたのは、その900年後くらいですから、「歴史書を読んで勉強する」などという行為が日本でできたのは、中国の1000年後という計算になります。いやー、確かにどう見ても当時の日本は東アジアの後進国だったのは間違いないでしょう。司馬遷はその旅の後、22歳ころに武帝に仕えました。その頃、漢は北の遊牧国家「匈奴(フンヌ)」と国境を接し、争っていました。当時の軍人・李陵が匈奴の捕虜になったことを武帝が責め立てたとき、誰も逆らえない雰囲気の中、司馬遷だけが「漢軍5千人、匈奴3万人の中、李陵は頑張った」とただ一人弁護したのです。普通の英雄伝だと「さすが、誰も皇帝に物言えない中、司馬遷は言うべきことを言いきった」となり、その後の出世物語になりそうなところですが、この時代はそんな簡単な話ではないということです。(続く)
2018.01.02
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一つはスピード。500戸、1000戸ずつ作ったところで、20万世帯(?)とも言われるゲル地区の人たちが入れるようになるまで数十年から100年もかかってしまうでしょう。更には、現実的にゲル地区の人たちには資金がないことも大きな問題です。頭金30%、年利8%などと言われますが、とてもじゃないですがそんな頭金や返済資金が用意できる層は限られています。かといって、国が無制限に作って超格安で販売できるような国家財政ではありません。年利8%ローンの補助ですら、既に国家財政を圧迫しているのですから。というか、もうそろそろ限界だとも言われているほどです。どうせ数十年もかかるなら、遷都という手もあります。ウランバートルは周りを山に囲まれた盆地であることが大気汚染問題を大きくしている原因でもあるので、ウランバートル郊外か、トゥブ(中央)県への首都移転という選択もあります。もちろんこれも10年どころではない事業です。新空港ですら、建設資金を日本が出すと決めてから15年たっても開港できないのですから、モンゴルの決断力、実行力の乏しさを考えると、30年でもできないでしょう。となると、結局は現状維持イコールこのまま変わらないというのが現実的な答えだと思います。心配なのは、子供たちです。ここ10年以内に生まれた子供たちが大人になるときには、どんな影響が出ているのか不安です。年々悪くなる一方(ゲル地区の人口が増え続けている)なので、子育て環境という意味で心配ですし、一部の外交官は家族を母国に返しているという話もありますから、世界レベルでも「最悪の環境国」のレッテルが張られ、夏の観光客にも影響が出る懸念もあります。もう一つのマイナス材料は、商品としての石炭需要低下です。そもそもパリ協定などで、世界的に石炭はCO2に対しては「絶対悪」とされていますから、今後の需要は確実に減っていくでしょう。先進国では確実に減りますが、世界最大の需要国であり、モンゴル石炭の唯一最大の輸出先である中国が、このように「石炭禁止令」を出すということは、発電所のみならず暖房用も確実に減っていくということです。モンゴル政府の愚かさはここにあります。政治家個人の利益ばかり考えたり、ナショナリズムの声を気にしてばかりいて、TT入札はどんどん遅れています。例えば、2008年にさっさと外資系のどこかを選定して算出させていれば、石炭価格のピーク時のメリットもあっただしょうし、IMF救済まで必要なかったかもしれません。ところが、まるで「世界の需要はいつまでもモンゴルを待ってくれている」という「天動説的思考」なので、石炭のトータルの価値がどんどん落ちているのです。分け前を少しでも多く取ろうという浅はかな考えが、こうして巨大な機会ロスにつながっていることをわかっていないのです。つくづくモンゴルの政治家は、頭が悪いと思いますね。自国民でも政治家自身でも構いませんが、その懐を豊かにしたいのであれば、10年前に入札を決定し、さっさと大きな投資を受け入れていれば良かったのです。ウランバートルの煙問題(極端な都市への流入)も石炭算出による国富獲得も、ともに政治家による人為的な政策ミスが原因であることは確かです。(完)
2017.12.18
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