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今上陛下の【生前退位】に附随して巻き起こった【改元狂騒曲】も大詰め。 とどめの十連休に突入しました。 目下のところ、全国的に大過なく推移している模様ですネ。 (^_^) 各TV局共、頻りに【歴史的瞬間】へ向けてのカウントダウンを謳い、祝賀気分を煽っている様ですが、些か大仰に過ぎて、視聴者としては食傷気味なのではないでしょうか? 気の抜けた炭酸水にはときめきを感じない。 無論、真摯な問題意識の下に、三十年余に及んだ平成史を掘り下げ、その検証を試みている企画も多々見られますが···。 個人的には、殊更に気負うでもなく、新世紀到来の前夜にそうであった様に、ごく自然体でその瞬間を迎えたいと思っています。
April 28, 2019
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『レ・ミゼラブル』と並ぶ、文豪ユゴーの代表的長編小説と云うよりも···。 ディズニー社製アニメ『ノートルダムの鐘』の原作とした方が通りが良い『ノートルダム・ド・パリ』ですが、今般の大聖堂火災によって、ちょっぴりクローズアップされた感が有ります。 つとに指摘されている様に···。 人間愛を主題とし、ハッピー・エンドを謳っているアニメ版と異なり、原作は重く陰鬱な内容で、結末も救いの感じられないものです。 物語佳境···。 無実の罪を着せられたヒロイン・エスメラルダを匿い、大聖堂に立て籠ったカジモド。 正面の門扉を閉ざした大聖堂は、堅牢な要塞そのもの。 そこへ、エスメラルダ奪還を叫ぶ悪党軍団が押し寄せ、凄絶な攻防戦が繰り広げられる。 天涯孤独の身で、異形の者としての宿命を生きるカジモドにとっても···。 賤しめられ、都市下層民としての辛酸を舐め尽くし、己の命のほか失う物を持たぬ悪党達にとっても···。 エスメラルダは救済の象徴···【女神】に他ならない。 それ故、双方とも死に物狂いで戦う。 云うなれば、貧民窟の闇に躍る悪鬼どもと孤独な怪物との女神争奪戦である。 酸鼻を極める争闘の果てに門が破られ、女神奪還は成ったと思われた、その時···。 エスメラルダ追捕の命を受けた国王軍が参戦し、更なる地獄図が現出する。 首領・クロパンを始め多数戦死者を出して、悪党軍団は潰乱。 エスメラルダも無惨な最期を遂げる。 首に縄を巻かれ、引き摺られていく遺骸を、カジモドは大聖堂の尖塔上から、呆然と見下ろすしかなかった。
April 21, 2019
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全焼という最悪の事態は免れたにせよ、数百年にわたって、フランスの精神文化を育んで来たノートルダム大聖堂が炎を噴き上げる光景は、多くの人々に言葉に出来ない衝撃を与えた模様です 今回の事態を日本に引き寄せて、先ず思い浮かぶのは、1950 (昭和25) 年7月に起きた金閣寺焼失事件ですが、その衝撃は、いわゆる文化人・知識人の範囲に留まっていた様に思われます。 焼け跡に建ち並ぶバラックも闇市も姿を消し、深刻な食糧難も解消されて居り、また朝鮮戦争の勃発によって特需景気が巻き起ころうとしていましたが、いまだ国民の大半は目先の生活に追われている状態で、実の所···それ程の関心は示さなかったのではないでしょうか? 無論、文化的背景が異なり、国情・国民性もまるで異なるので、当然の事なのですが···。 ノートルダム大聖堂の様に、動乱の幾世紀を一般国民と共に見つめ続けた建造物を日本に求めるのは、ちょっと困難な様です。 ペスト禍と百年戦争。 (中世) 断続しつつ四十年余に及んだ宗教戦争。 (近世) 大革命とナポレオン戦争 七月革命と二月革命。 普仏戦争とパリ・コミューン。 君主制と共和制の目眩く交替劇が演じられ、民衆が主役の座に躍り出た··· (近代) そして、今日のヨーロッパの枠組みを決定した、二つの世界大戦。 戦後の五月革命。 (現代) 栄光と悲惨の交錯する歴史の中で、絶えず民衆の苦難に寄り添い、精神的な支えと成って来たのがノートルダム大聖堂でした。 私達は、ついつい【世界遺産】の枠に括って捉え勝ちなのですが···。 仏国民にとって、それ以上に、揺るがせに出来ない重味を持って、その精神史の上に息づいている存在であるらしく、その被災がもたらした衝撃の深さには、私達日本人の想像も及ばないものが有る様に思われます。
April 21, 2019
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多分、あッと云う間に下火になると思われる、今般のブームですが···。 “万世に伝わるべき集” (『広辞苑』) とも云われて来た『万葉集』が、ただ書架を飾るだけの存在に成り果てる筈もない。 日本最古の歌集ならではの凄味が···その本領が発揮されるとしたら、むしろ皮相なブームが去ってからの事になるでしょう。 一般に、読書の仕方は人それぞれで、名作との出会いも実に様々な契機に因るものですが··· 気が進まなければ、無理に読み通さずとも良いのです。 その内に、何気なし手に取り、ふっと読み返したくなる時が必ず訪れます。 恰かも仕組まれていた時限装置が作動し始めたかの様に···。 眼に触れた歌の幾首かに心惹かれ、思わず知らず諳んじている···としたら、もう占めたもの。 政治的アナウンスにも、一過性の流行にも惑わされない、一人の読者として、千数百年の時空を超え、作者 (或いは詠み人知れずかも知れませんが) と相対している自分がいるわけです。 その自身の感性をこそ大切にしなければなりません。 優れた古典文学とは···きっと、はるか後世の読者をして、その作品世界に引き込まずにいない、強力な磁性を帯びているものなのでしょう。
April 20, 2019
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4月11日 不意討ちの様に首都圏を襲った降雪。 季節外れの雪で、直ちに想起される歴史的事件と云えば···。 1860 (安政7) 年3月3日、江戸城桜田門外で起きた大老・井伊直弼暗殺事件で、この時、降り頻る雪が襲撃者の側に有利に作用した事は、能く知られている所です。 この【桜田門外の変】から更に連想を働かせると···。 “雪の日の惨劇” と呼び慣らされている、幾つかの事件が更に浮かびます。 1219 (建保7) 年1月27日、粉雪の舞う鶴岡八幡宮境内で起きた鎌倉幕府第三代将軍・源実朝暗殺事件。 実朝の死を以て源氏の正統は絶え、北条氏による執権体制が強化されていくのですが、暗殺の真相を廻っては諸説入り乱れ、鎌倉時代初期に於ける最大の謎とされています。 ···程なくして起こる兇変の予兆の様に、地上のあらゆる事物を白一色に塗り込めてしまう雪。 元禄期の赤穂浪士による吉良邸襲撃にせよ、昭和期の二・二六事件にせよ···。 無機質な、冷々とした···然し、異様な緊張感を孕んだ雪の情景は、その舞台装置として切り離せないものと成っています。 無論、後世の人間が政治劇・歴史劇に見立てた場合の話で、雪は雪でしかなく、空間も空間でしかないのですが···。 さて。二つの大震災を始めとして···。 平成は、有りとあらゆる自然災害に苛まれ通した時代でした。 然し、全ての災害事象が不可抗力なもので有ったかと云うと、決して左右ではない。 頻発する異常気象 (地球規模の気候変動の一環である所の) は、他ならぬ我々人間の責任でもあるからです。 バブルに浮かれ、トレンドに振り回されて、 “地球温暖化” とか “環境破壊” とか聴いても、余所事の様にしか受け止めてはいなかった。 近年の異常気象は、そのツケが一気に顕在化したものと見る事も出来ます。 今後は “異常” が常態化し、居座ってしまうのでしょうか? 重苦しい課題を残し、平成は歩み去ろうとしています。
April 14, 2019
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···「私、すごく物分かりが良いんです。すぐ【忖度】します」 成る程。 いわゆる “能吏” の条件の一つが···。 眼から鼻へ抜ける様な悧発さ。 (上司から) 一つの指示を与えられれば、そこに十の含意を読み取り、迅速かつ的確に処理する能力であるとするなら···。 上記の副国交相の問題発言は、その点についてのみ正鵠を得ていると云えるかも知れません。 前後の文脈から完全に切り離して、他愛のない自己アピールと受け止めれば···の話ですが。更に云うなら。 (^_^;)【忖度】なる言葉を知ったのは中学時代。 有島武郎の小説『生まれ出づる悩み』(旺文社文庫版) によってでした。 もう半世紀前の事になりますネ。 硬質の格調高い文体を一層引き締めていて印象的でした。 それが今般の様な、極めてえげつのない用い方をされる様になってしまったのは、誠に残念と云うしか有りません。 同様の運命をたどった、残念な言葉・慣用句としては···。 【気配り】とか、【行間を読む】(或いは【空気を読む】)とかがすぐ浮かびますが、いずれも使われている内に、何とも姑息で厭ッたらしい、打算的な響きを帯びてしまうのは何故なのでしょうか?
April 6, 2019
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新元号選定に際して、頑なに秘密主義を貫こうとする政府と···。 無責任な事前予測でひたすら祝賀気分を煽る各種メディアとの攻防が、図らずも壮大なジョークを織り成していて、大いに愉しませて貰った数週間では有りました。 待ちに待ったその公表日が万愚節···エイプリル・フールというのは、些か出来過ぎの感さえ有りますネ。 さて、平成の終幕まで残り一ヶ月。 秒読みの段階に入り、【改元狂騒曲】は愈々ヒートアップしていくのでしょうか?
April 1, 2019
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