全8件 (8件中 1-8件目)
1
北海道・道東の春(8) 摩周湖は約700年前の巨大噴火によって生成された窪地に水がたまって出来たカルデラ湖日本では最も、世界でもバイカル湖についで2番目に透明度の高い湖 はるか彼方には残雪の峰が連なり良く晴れて、おだやかに陽光きらめく、明るく深い青の春の摩周湖 (摩周ブルー:急激にふかくなっていること、その透明度から青以外の光の反射が少なく、良く晴れた日の湖面は深いブルーとなる。) Danjose一行の訪れた日は良く晴れた穏やかな春の日霧も晴れて摩周ブルーの湖面が静かにゆらめく (流入、流出の河川のない閉鎖湖の摩周湖。伏流水による湖。) 冬の摩周湖はこんなにも暗く寒々と凍てついて (30余年前の冬に訪れたときに撮影した冬の摩周湖)枯れた木々のざわめく静寂の湖面であった。 今、その木々は 萌え出るほのかな紅紫ダケカンバは芽吹きのときを迎えて、 長い厳しい冬から解き放たれていのちざわめかせている。 やがて来る夏には 冷たい霧が外輪山を越えてカルデラの中にたまり湖面を覆い尽くす深い霧の摩周湖 先日(7・31)、NHKスペシャルで「摩周湖・神秘の夏」という番組を放映した。このドキュメンタリーは、摩周湖に流れ込む海霧が、どこでどのように発生し、どんな旅をして摩周湖に流れ込むか(滝霧)を最新の撮影技術を駆使して記録したものである。(年に数回しか見られない滝霧)(摩周湖から雄阿寒岳を望む) 摩周湖から500km離れた太平洋三陸沖の冷たい親潮と暖かい黒潮がぶつかる海で巨大な霧(海霧)が発生し、風に乗って北上、沿岸の街や牧草や釧路湿原を呑み込みながら摩周湖に到達し、滝のように霧が湖面に流れ込む。滝霧とこれをいい、年に数回おきるかどうかという自然の神秘がもたらす光景。 内陸深く海霧が浸入できるのは、国内最大の釧路湿原から水分の供給をうけるからだという。 長い旅をした霧が外輪山を乗り越えてあふれ流れるさまは、まさに壮大な一幅の墨絵のよう。壮大な眺めであった。 (摩周湖の外輪山の外側を多い尽くしている霧。摩周湖から雄阿寒岳を望む) この海霧が摩周湖に流れ込むには、風や気温など色々な条件がそろったときだけである。 この壮大な霧の旅はまさに自然の神秘。海流や大気の温度、風の強さそれに釧路湿原の湿気いくつもの偶然が重なった時だけに起きる「神秘の霧」 最近ではこの「神秘の霧」が起きる回数が以前に比べるとかなり減少しているという。 原因はまだはっきりとはしないが、地球の温暖化による海霧の発生が減少したことや釧路湿原の乱開発による湿原地帯の減少などが考えられると言う。(80年前に比べると海霧の発生は2割減少。90年前に比べると釧路湿原の面積は2割減少) 人々の暮らしを潤し、自然の営みを豊かにしてきた巨大海霧が北上する霧の道は今危機的状態にある。 原生林がいまだ豊かに残っているかに見える北海道・道東地方にも自然の営みを蝕む現象はこのように進行していることをこのドキュメントは私たちに警告している。今から1万年前、雄阿寒岳の噴火活動によってせき止められて作られた湖阿寒湖 天然記念物マリモが生育する湖沼大きな球状の集合体を形成するのは阿寒湖と小川原(青森県)の湖沼だけ。美しい姿の鞠藻(マリモ)も近年減少傾向にあり、絶滅危惧種に指定されているという 耐寒性、耐暗生につよいマリモ。きっと温暖化による気温の上昇や乱獲など生態系の変化が影響しているのでしょう。 一見した景色は雄大で美しい道東の数々の湖沼 これらの湖沼にその奥深いところで深刻で危機的な現象が進行中。
2011.08.14
コメント(2)
北海道・道東の春(その7) ウトロ側に位置する5つの小さな湖原生林に囲まれ、知床の山々を湖面にたたえて静かにたたずむ湖。原始のままに保存し、植物や動物が豊かに生育、生息し続ける環境を守り続けている知床五湖。(早春の一湖:湖面に映る知床連山) 知床連山の残雪を湖面に映して、まだ浅き春。萌え出でんとする芽吹きの季節、木々の枝は淡い紫色に霞み、うごめいて、来るべき新緑の鼓動が聞こえてる。(5つの湖は、一湖、二湖、三湖、四湖、五湖と呼ばれ、一湖は高架木道で、自由に散策できるが他の湖を巡る散歩道は、厳しい条件をつけ、観光客の無制限に入ることを制限している) エゾシカの楽園 若草も青み増して明るい春の陽光満ちる草原をエゾシカも三々五々と草食みておだやかな昼さがり 厳しく長い冬を潜り抜けて迎えた春 エゾシカたちの楽園知床の春 草食むエゾシカの遠景にある高架木道は、一湖を巡る散歩道 (立派な高架木道) この辺りはヒグマの棲息環境のなかにあり、ヒグマが出没するので、観光客とヒグマを棲み分ける木道。電気柵も施され、ヒグマが近づかないように配慮されている。 ほら、キタキツネもこんなに真近に見ることができました。 湿原には水芭蕉も咲いていました。 水芭蕉咲く湿原がある環境はまだまだ自然が豊かに残されているあかし。(開発で真っ先に破壊されるのが湿原の植物たち) このほかに、二湖、三湖、四湖、五湖を巡る地上遊歩道が設けられているが、棲息する動物や植生を守るため、時期やガイド付きでなければ入場できないなど、原始の自然環境を守るためのさまざまな努力がなされている。しかし近年、エゾシカが増え、町に出没して人間の暮らしに被害を加えたり、クマさえも冬に町に出没するなど、人と動物とが共生する暮らしが崩れている。
2011.07.30
コメント(0)
人間の魂をゆさぶる地・知床 (北海道・道東の春 その6) 知床は明治政府による北海道開拓政策によって、東北や越後の貧しい農民の子弟たちが移住し、開拓者として農業や漁業を生業として暮らしていた。アイヌや日本各地からやって来た開拓者たちだけが知る地であった。この知床を日本国民が広く知ることになったのは、ディスカバージャパンのコマーシャルとともに、国民が旅行するゆとりが生まれた1960年代である。そのころ加藤登紀子が歌う「知床旅情」が大ヒットした。まさにこの1960年代は日本が高度経済成長に向かおうとする活気あふれた時代であった。「知床旅情」といえば森繁久彌の「オホーツクの舟歌」が思い浮かぶ。これは戸川幸夫原作の東宝映画「地の涯にいきるもの」(1962年)の主題歌になった歌である。森繁自身がこの映画ロケのため知床に長期滞在した。その主人公は、長い冬を知床半島の番屋で過ごした。厳しい自然のなかで生きる男の孤独。ただ海鳴りばかりの暗い荒々しい知床の冬の海とその孤独な生涯は響きあい重なり合い、男の魂の慟哭となる。森繁久彌・作詞作曲「オホーツクの舟歌」 (流氷の海から知床半島を望む) オホーツクの海原ただ白く凍てはて 生命あるものは暗い雪の下 春を待つこころ ペチカに燃やそ 哀れ東にオーロラ哀し (流氷の浮かぶ海とオオタカ。) さい涯ての番屋に命の火チロチロ トドの鳴く夜はいとし娘の瞼に 誰に語らんこの淋しさ ランプのほかげに海鳴りばかり (知床の春は海からはじまる。流氷が溶けると、漁師たちは半島の先端にある番屋にむけて漁に出て行く。秋までその番屋を拠点に漁を続ける) 鈴蘭の緑が雪解けに光れば アイヌの歌声谷間にこだます シレトクの春は汐路にあけて 舟人の腕(かいな)海に輝く (明るいブルーの春のオホーツクと若草を食むエゾシカ) オレオレオオシコイ沖の声舟歌 秋アジだエリャンサ あげる網や大漁(春のウトロ港は番屋を拠点にして、秋まで漁を続ける漁師たちの漁船が出て行く)かすむクナシリに我がふるさといつの日か詣でん御親(みおや)の墓に眠れ静かに ( 知床峠から国後を望む) 森繁自身が歌う「オホーツクの舟歌」若き日の森繁の歌声です。You-tubeでどうぞ オホーツクの舟歌 倍賞千恵子さんもこの同じ曲を澄んだ美しい声で大きく歌い上げています。 この森繁さんの「オホーツクの舟歌」の詩は、オホーツクの海をそこで生きる人々の視点から見事に言い尽くしている。それに比べ同じメロディーの「知床旅情」はあくまで旅人として愛惜の情を歌っている。 知床旅情の歌碑(ウトロ港)。最初の題名は「さらば羅臼」 森繁久彌が映画の長期ロケを終えて、羅臼の村を去るときに贈った歌。 さらば羅臼 (残雪のラウス山) 知床の岬にはまなすの咲く頃思い出しておくれ おれたちのことを 飲んで騒いで丘に登ればはるかクナシリに白夜はあける (硫黄山から斜里岳を望む) 旅の情(なさけ)が酔ふほどに さまよい浜に出てみれば月は照る波の上君を今宵こそ抱きしめんと岩かげによればピリカが笑う (知床峠の這い松) 別れの日は来たラウスの村にも君は出てゆく峠を越えて忘れちゃいやだよ気まぐれ鳥(からす)さん私を泣かすな白いかもめを (知床岬の夏を彩るハマナス) 加藤登紀子さん歌う「知床旅情」は広く世間にしられていますが、森繁さん若き日の歌声「知床旅情」もまたいい。 これらの歌や歌い手はまさに私たちの青春そのものです。すこし背伸びして気取っていたあのころなつかしい歌声です。
2011.07.04
コメント(0)
いよいよ旅は知床半島へ(北海道道東の春・5)5月18日、観光船オーロラ号でオホーツクの海から知床半島を眺望する海の旅 春のオホーツク海 鋭く切り立った岩その向こうに広がるオホーツク海流氷が運んでくる豊富な海の栄養分に満ち満ちた海豊かに生き物たちを育てる海どこまでも穏やかに広がる春の海オホーツク海 観光汽船オーロラ号に乗って知床半島を海から眺める1時間半ほどのクルーズの始まり。 1200m~1600m級の壮大な山々が連なる知床半島およそ860万年前から始まったといわれる海底火山活動によって生みだされた山々陸上火山活動はおよそ25万年前に始まって今にその姿がある知床連山 今もその原始の姿を残して海に直立して厳しくたたずんでいる。 知床の山々を背にカモメが観光船のデッキに一休み 豊かな自然の恵みのなかで厳しい自然と闘って生きている生き物たち多様な生き物が生きることの出来る生態系を守ろうと日々努力され維持されている日本では数少なくなってしまった原始のままの自然知床半島 (生態系を乱すからと、人が野生の動物にエサをやることを禁じられている知床では、カモメも人にエサを求めたりせず、観光船のデッキに止り、人間を静かにながめている。でも、きくところによれば、観光客の増加により人間が与える食べ物や食べ残したゴミを食べた野生の動物が病気になって死んだり、人を襲ったりして、人間との共生が破壊され、野生の生き物の世界を乱していることも最近多々あるという。) 断崖絶壁の海岸線この知床半島の地形は鳥以外に近寄ること許さず鳥たちの安全な巣作りの場所となる。 断崖の絶壁にはかもめがいっぱい。 ウミウも絶壁の岩場で羽をやすめている 海からすぐ山となる急峻な地形知床半島は鳥たちにとっては安心して棲める場所流氷が運ぶ豊富なプランクトンによる豊かな海とあいまって多様な鳥類の棲息を可能にする環境。火山活動によって生まれた山々には今でも温泉が豊富川を温泉が流れ急峻な山肌では滝となる カムイワッカ湯の滝 知床半島の背骨のように連なる山々のひとつ知床硫黄山(1562m)オホーツク海側から眺めた硫黄山。 今も激しく硫黄の蒸気を吹き上げている。 知床連山のなかではひときわ高い 羅臼山(1661m)緯度の高い知床では、本州の3000m級の高山と同じ環境の山々5月半ばの今も残雪多い羅臼山(ラウスヤマ) 知床はオホーツク海に面した知床半島と、その沿岸海域が2005年に世界遺産に登録された。冬には世界最南端に接岸する流氷が訪れる。アムール川からの大量の淡水が注ぎ込むことで流氷が生まれやすくなる要因になっているという。その流氷が運んでくる豊富な栄養分がプランクトンを育み小魚やそれをエサとする海獣類、海鳥など海に生きるさまざまな生き物の恵みとなっている。さらに秋には海の栄養物をたっぷり蓄えたサケが急峻な川を遡上して、ヒグマやオジロワシなどに捕食される。これら動物の排泄物および死骸は植物の栄養素として還元される。 このような海と陸との食物連鎖が見事に保たれている自然環境として世界遺産として評価された知床半島このような良好な環境が今では絶滅寸前になっている動植物の棲息をこの地域では可能にしている。世界の生物生態系からみても貴重な自然環境が今も残されているのである。 海からみた知床連山 この豊かな海が遺産としてではなく日常として豊かであり続けること今こそ求められている時である。
2011.07.02
コメント(0)
北海道・道東の春(4) 滝上の春めいて明るい芝桜公園を後にして サロマ湖へと旅は続く。 北海道の宗谷岬から根室半島に至るオホーツク海沿岸の低地には砂丘や砂州、その背後に大小の海跡湖や湿地帯が見られる。そのひとつサロマ湖は湖面の面積では日本で琵琶湖、霞ヶ浦についで三番目に大きい。 サロマ湖の湖面も春めいて柔らかな青 サロマ湖沿岸の常呂町(ところ)には東大文学部の考古学研究施設がある。その研究所の半生紀余の発掘調査によれば、 オホーツク海沿岸を中心に、5世紀~9世紀にかけて、南樺太やアムール川下流域に故郷を持つ海洋民族が渡来し、先住民のアイヌとは別のオホーツク文化圏を形成し、生活していたという。サロマ湖沿岸域はその中心的な活動場所であつたという。 本州が飛鳥・奈良時代の稲作を中心とした農耕文化が大王による統一国家へと歩み始めたとき、日本のもう一方では、船を縦横に操って、オホーツクの海で、海の生き物を捕らえて生業としていた別の文化があったということは驚きである。 サロマ湖の湖岸流域にはその土地独自の独立した文化が連綿と古代より続いていのだ。 (この一帯は秋になるとアッケシソウ(別名・サンゴ草)が紅葉して、湖岸は真っ赤な絨毯になる。) サロマ湖は人々の暮らしを支える豊かな自然の恵みに満ち満ちた海であった。 サロマ湖の道の駅の エゾヤマザクラの並木満開 北の国のサクラ・エゾヤマザクラ 赤茶いろの若葉の展開が芽吹き始めた木々のなかで鮮やか華やいだ彩りとなる。 長く厳しい冬から解き放されたその開放感が赤茶色の若葉や淡い紅の花びらに凝縮され、いのち静かに漲らせているエゾヤマザクラ 芽吹き始める知床の山萌え始める山々赤紫に煙る 萌え出ようとする樹木のざわめきが聞こえるよう。点々とヤマザクラの紅もその内にエネルギー秘め山々の彩となる千年の古も同じ景色であったろうか。 いよいよ秘境の地・知床半島へ、その入口、オシンコシンの滝。オシンコシンの滝の源流は知床半島の中央部に位置する遠音別岳西側斜面にある。 激しく落ちる滝その水しぶきを浴びて蕗がぐんぐん伸びる春コロポックルの神が潜んでいそうな滝壺 芽吹かんとするその直前の木々は紫紅に煙る。その木々の間から大きく2つに広がって流れる滝 その豪快さその壮大さ自然のおくりものはあくまで美しい エゾヤマザクラとオホーツク文化 エゾヤマザクラはオオヤマザクラの別名であるということをこの記事を書く中で始めて知った。大柄な花、大きな葉っぱ濃いピンクなどオオヤマザクラの特徴である。 私の散歩道の途中の公園にオオヤマザクラが植栽された公園がある。ソメイヨシノやヤマザクラより早く開花し、一斉に開花して満開になると、濃いピンクの塊となる。その色は重すぎ、暑苦しい。北国のエゾヤマザクラと同種のものとはとうてい思えない。私の散歩道の公園のオオヤマザクラは暖冬の地方でぬくぬくと育っている為か園芸種として改良されているのか原因はよくわからないが、品格なく造花のようなサクラである。所変われば、植物もここまで変わるものなのか。 サロマ湖を調べている時出会ったのが、サロマ湖沿岸の町・常呂町(ところ)である。ソルトレイクオリンピックの女子カーリングチーム・シムソンズはこの町のチームであるという。そして何よりもこの町には東大文学部の考古学研究施設が半世紀余に亘り在り、この地域から縄文時代以来の遺物や建物跡などを多量に発掘し、この地域の古代史に光をあてた。その成果の一端が「オホーツク」という論文集にまとめられている。私は、これらを興味深く読んで、とても深い感銘を覚えた。日本が万世一系の天皇の国などという歴史観の欺瞞性が浮き彫りにされる。現代におけるオホーツク海文化圏というようなものへと繋がる広がりも感じられ、北方領土問題を含めて考えさせられた。今までとは異なる新鮮な世界観が広がるのを感じた。興味のある方は、東大考古学研究室の論文集: OKHOTSK 北の異界(古代オホーツクと氷民文化)をぜひ読んで見て下さい。 司馬遼太郎も街道シリーズ・38で、熱をこめてオホーツク文化について語っています。読みやすく手ごろな本として司馬遼太郎著 「オホーツク街道」 【送料無料】街道をゆく(38)新装版価格:987円(税込、送料別) (朝日文庫)はお薦めです。
2011.06.15
コメント(0)
北海道・道東の春(3)北の国のさくら 2日目(5/17)の旅は、絶壁断崖の壮観な層雲峡からまだ雪残る浮島峠を越えて、雄大にして華やかな芝桜咲く滝上(たきのうえ)へ 滝上の町を見下ろす山肌は淡いピンク色遥かかなたの連山にはまだ残雪があり雄大な大自然の遠景と白樺の白と芝桜のピンクがみごとに調和してやわらかな水彩画の世界 満開の芝桜の燃える山肌とはまた趣きを異にして淡いピンクに霞む芝桜の風景もそれはそれで趣がある。 そして、エゾヤマザクラも その淡い色の景色に彩り添えて可憐に咲く 何とやわらかなさくら色若葉の紅が花びらのアクセントとなって咲ききるエゾヤマザクラ 北国のヤマザクラは 厳しい寒さに耐えて、解き放たれたいのち、力満ち、凛と咲く。 まだ咲ききらぬ芝桜の山肌にヤマザクラは華やいで咲ききっている。 芝桜の合間を縫って ほら、タンポポもツクシも お日さまに向かって伸び、春に向かって伸び、いのちの歌うたってる。力強く歌っている。芝桜を一面に咲かせるために雑草として刈られても、刈られても、踏みつけられても、いのちの讃歌奏でてるよ。 山肌を一面にピンクに燃え立たせるために耕し、種を撒き、植え、他の草を徹底して排除して今、満開の時を待っている芝桜 余りにも人工的な人間によって作られた明るさ長い冬の後にくる華やかなピンクに燃え立つ山肌 雄大な景観のなかにちょっと不協和音かもしだしてでも人々はそのはっとするほどの華やかさに魅せられてもうすぐ満開の芝桜見にやってくる。 滝上公園の芝桜は10ヘクタールに及び、日本でも有数の広さを誇る芝桜公園。町を見下ろす山肌の中腹一面を満開のときは、ピンクに燃え立たせる。そのさまは圧巻である。Danjoseの一行が訪ねたときは、五分咲きの状態であったが、それはそれで見事なものであった。この芝桜を咲かせるために、懸けられている人間の労力は膨大なものであるという。 この記事をアップする5/31日の滝上公園の芝桜は今、満開である。山肌はピンクに染まり燃えている。芝桜の名所を作る事が、今、日本では流行している。私は茶臼山(愛知県)の芝桜を観に行ったことがあるが、あまり良い印象は持てなかった。なぜ、こんなことをして人集めするのか?(芝桜がないほうが、春の山の美しさあると思う)山を散策する服装の必要な山なのに半分裸の下着のようなドレスを着て、ハイヒールやサンダルをはいた人たちが、車で次々にやって来て大渋滞。 滝上公園の芝桜は茶臼山の芝桜とは規模も異なり、大掛かりで、周囲の深い山々の自然に溶け込んで、ひとつの景観として絵になっていることは確かであるが、でもやっぱりちょっと違和観がある。滝上公園の満開の芝桜(5・30)You-tubeで見られますよ。
2011.05.31
コメント(0)
芽吹きの季(とき)層雲峡(北海道・道東の春・2) 5月半ばの層雲峡は遅かった春がようやく目覚め始めるとき 芽吹かんとする白樺林が冬の眠りからまさに醒めようとして静かに、しかしエネルギー満ちて力強くざわめき始めている。雪解けの水も力強く溢れて 流星の滝となる 石狩川 にも雪どけ水が渦巻き踊る。 層雲峡は約3万年も前に大雪山の大噴火により、堆積した溶結凝灰岩が石狩川によって侵食されたことにより、形成された渓谷であるという。 石狩川の浸食による高さ200mにも及ぶ断崖(柱状節理)は大自然のすさまじい威力を私たちに見せ付けている。その荒々しい景観は圧巻である。 銀河の滝 (春) 芽吹き始めた岩肌の木々大雪山の雪解け水が滝となって流れる まさに春をつげる滝の水 冬の銀河の滝 冬の銀河の滝は凍り木々は裸木 山の斜面には 蕗の薹(トウ)もぐんぐん伸びて花を咲かせている (蕗:キク科フキ属。 サハリンから朝鮮半島、中国大陸にかけて分布する植物で、数少ない日本原産の野菜のひとつ。葉柄が2mにも達する秋田蕗やワラン蕗(北海道産)がある。北海道には、コロポックルという小人の神さまが蕗の下に住んでいるというアイヌの伝承がある。)残雪の大地から薄黄緑の花芽を出し春をつげに来るそしてその花芽を茎を万葉の時代から人々は食してきた。そのほろ苦さ千年の昔も今も春の到来にこころ浮き立たせた味。・明日よりは春菜(わかな)採(つ)まむと標(し)めし野に 昨日も今日(けふ)も雪はふりつつ 山部赤人(万葉集より) 北海道道東の旅ではこの蕗の群落をとてもよく見かけた。 (蕗は植物学的にも珍しい植物。生殖器官(フキノトウ)と栄養体が異なり、葉と花茎が別々に生育する。顕花植物ではこのような生育をするのは、ヒガンバナとフキノトウくらいである。またキク科では少数派の雌雄異株。 雄花から成るフキノトウ(黄白色)と雌花からなるフキノトウ(白色。果実ができ綿毛ができる。上の2枚の写真は雌花と雄花の株の違いではないかとも思われるが、花の状態がこれだけでははっきりしないので正確なところは?です。) 森の中も外も今層雲峡は一斉に芽吹き始めた白樺やカエデやハンノキやカツラの木々の若芽や若葉が、銀白色の薄緑色や赤、淡い黄色などこき混ぜてまさに春の紅葉となり厳しい長かった冬から解き放たれて、いのちみなぎる。
2011.05.31
コメント(0)
北海道道東の春(1)(4/16~19日、北海道・道東地方の旅の記録)日本最北の旭山動物園の春旭川市・旭山動物園は動物を自然の形態で見ることができる「行動展示」を創造した動物園として世に広く知られ、その活き活きとした動物たちの姿を見ることで人気があり、観客動員数においても日本有数の動物園である。 (冬の動物園で、ペンギンさんたち、入園者たちと一緒に園内を散歩します。雪の降るなか、元気いっぱいのペンギンさんたちとぞろぞろお散歩。ニュース映像でその情景を見たことありますが、人もペンギンもみな楽しそうでした。)北海道・旭川市 長い冬厳しい寒さ年間の気温高低差は何と60度!その街は今、春たけなわ木々の芽ぶきとサクラの花々満ち爽やかな5月中旬 (白樺林の芽吹きと蝦夷山桜の競演)そんないのちの芽吹き始めた北海道をDanjose夫妻は高校時代の友人たちと訪れました。遅い春の北海道は芽吹き、花々の開花、新緑と一挙ににぎやかに。 蝦夷ヤマザクラも見事な色合い。淡いピンクの紅と芽吹き始めた葉っぱの赤が溶け合い厳寒に耐えたいのちの力強さを静かにたたえて咲ききっっている。エゾエンゴグサ(蝦夷延胡索)(ケシ科キケマン属。花期5~6月。山の林床に生える。高さ15cm~25cm花1.5~2.5cm)雪解けのころになると咲き始めるというエゾエンゴグサ淡いブルーの花びらはまさに、雪の下で長い冬を過ごして今は、明るいお日さまの光に誘われてきらきらときらめく水の色エゾエンゴグサは カタクリやキクザキイチゲと同じく 初夏には地上部が枯れて翌春まで休眠するという。 まさに春の目覚めだけを告げに来る花サンカヨウ(山荷葉)(メギ科サンカヨウ属。本州からカラフトの深山の林の中や沢に生える多年草。花期5~6月。高さ30cm。花1cm~2.5cm) 早春に他の草木が茂る前に葉を展開しはじめ、茎が直立して、葉は傘のように広がってその下の面に長い柄が付く。この葉の様子が蓮の葉っぱに似ていることから荷葉(ハスの葉のこと)という名があるという。山のハスの葉というような意味か。早春の林に透き通るような白い花びらを可憐に清楚に開く。 秋には実が熟すと青紫色の粉をふいたような美しい色となる。甘酸っぱい実は食べられる。エゾミヤマエンレンソウ(蝦夷深山延齢草)(ユリ科エンレイソウ属。深山のやや湿り気のある林床に生える多年草。葉は広い卵形で3枚が輪生。花は葉の中心から花柄を出し、1個白い花をつける)(近縁のエンレイソウが紫がかった褐色のひとまわり小さな花を咲かせるのに対して、ミヤマエンレイソウとオオバナエンレイソウは白いより大きな花(2cm~3cm)を咲かせる。)オオバナエンレイソウ(大花延齢草) (花期は5~6月。高さ20~40cm、花2~3cm)これらの花は春を待って真っ先に林のなかで咲き春の訪れを可憐に告げる花たち旭山の動物園内にも咲いていた。そして、低地の里山にも高地の深山にも若葉の芽吹きの前に林を華やかに明るく彩るツツジもこの地でも咲いていました。エゾムラサキツツジ(蝦夷紫躑躅) 清んだ明るい紅紫色長い厳しい冬を潜り抜けて、明るい陽光に映える研ぎ澄まされた色そしてレンギョウ、 そしてコブシも早春を彩る花々が冴えた色合いでヤマザクラの淡い紅に溶け込んで競演している旭山動物園の春北国の春 春だ~ぁ上機嫌のクマさん コンニチワ! 北極熊さんもいい気持ち。春の風がそよそよと甘い香りを運んでくれるし 明るいお日さまさんさんと降ってくるよ。この動物園は住み心地満点だ。 白樺の芽吹き大空にむかってその枝枝から大地からの春のエネルギーを解き放たんとしている。 長かった冬の後に来たこの溢れんばかりのいのちのざわめき。 華やかにしかし力強いエネルギー満ちて今春旭山動物園Danhose夫妻は4/16~19日に北海道道東を旅しました。これは、高校時代の友人5組のご夫婦が隔年で行なっている旅行です。今回は5回目で、前回・初夏の熊野路(2009/5月)は故郷・熊野古道を巡る旅でした。70歳を越えたご夫婦が5組も揃い踏みで継続してこのような旅行を敢行できるとは何と素晴らしいことでしょう。 この「北海道・道東の春」の旅は更に続きます。どうぞお楽しみに。
2011.05.23
コメント(0)
全8件 (8件中 1-8件目)
1